情勢の特徴 - 2013年10月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省は14年度から、東京や大阪など大都市の国際拠点化を加速させる。国際会議場や外国人対応の病院・学校整備への金融支援制度を創設。新たに開発される業務ビルと直結する鉄道駅の新設や、複数のビルへの熱電併給設備の導入への補助制度も設ける。政府が成長戦略に位置付ける都市の国際競争力強化を後押しする。…新たな支援制度の主な適用エリアは政府が指定する特定都市再生緊急整備地域(全11地域)。容積率規制などを緩和して戦略的に都市開発を誘導する地域として、東京や大阪、名古屋、札幌、福岡、横浜、川崎の各都心が指定されている。政府が検討中の『国家戦略特区』が今後具体化すれば、特定都市再生緊急整備地域での開発要件はさらに緩和されるとみられる。」(『建設工業新聞』2013.10.01)
●「安倍晋三首相は1日、2014年4月に消費税率を8%に引き上げると表明した。合わせて、それに伴う景気の下振れを防ぐために実施する5兆円規模の経済対策も発表。復興事業の加速化やインフラの老朽化対策、東京五輪開催に向けた基盤整備といった公共事業に予算を投入するほか、民間企業の設備投資を促す税制の創設などで民需の底上げを狙う。建設産業界にとっても、国内建設市場拡大の契機となる可能性がある。」(『建設通信新聞』2013.10.02)
●「消費税率が2014年4月から、8%に引き上げられることが正式に決まった。これにより、経過措置の指定日である『13年10月1日』以降に契約し、施行日の『14年4月1日』以降に引き渡しを行う請負工事などは、新税率が適用されることになる。建設関係で経過措置の対象になるのは、工事や測量・地質調査、工事施工に関する調査・企画・立案、設計・監理など。指定日の前日までに契約をしていれば、4月1日以降の引き渡しでも5%の旧税率が適用される。指定日以降の契約でも、14年3月末までに引き渡せば5%のままとなる。経過措置が適用される請負工事で、指定日以降に追加変更契約をする場合は、最終合意額が基準になる。当初請負金額の範囲内であれば旧税率だが、増額変更契約で当初金額を上回った分は新税率が適用される。これは仕様変更や数量の増減に限った措置で、原契約にない追加工事などは新規契約とみなされ、新税率の適用を受ける。」(『建設通信新聞』2013.10.02)
●「政府は産業競争力会議を1日に開き、成長戦略の当面の実行方針をまとめた。国家戦略特区による規制改革や民間資金の活用などによる市場創出などを柱に取り組む方針を示し、PPP・PFIの推進へ10月上旬にも官民連携インフラファンドの民間資金等活用事業推進機構を創設するほか、インフラ長寿命化基本計画を11月中にとりまとめる方針を掲げた。」(『建設通信新聞』2013.10.02)
●安倍晋三首相は来年4月からの消費税率について、予定通り8%に引き上げると表明した。同時に法人税減税などの経済対策を発表した。消費税増税は雇用を破壊し、日本経済を奈落の底に落とし込むものだ。消費税増税は雇用の非正規化を促進させる。それは正社員から派遣社員に置き換えた方が、企業にとっては納める消費税額が少なくなるからだ。…不安定・低賃金の非正規雇用が増加すれば、貧困層が増大し、国民の所得は減少する。 2012年度には、1年継続して働いても年収200万円に満たないワーキングプア(働く貧困層)が7年連続で1000万人を超えた。労働者の年間平均貸金も1997年の446万円をピークに減少し、12年には377万円とわずか15年で約70万円も下落している。所得の減少は個人消費を落ち込ませ、日本経済を悪化させる。(『しんぶん赤旗』2013.10.02より抜粋。)
●「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた施設整備の検討が着々と進み始めている。開催決定後、メーンプレスセンターとして活用する東京国際展示場(東京ビッグサイト)の拡張を始め、関連する調査業務の発注が目立ってきた。約7年という短期間に集中的な施設整備が求められる中、効率的な事業推進を可能にする新たな仕組みが必要になることは明白であり、事業着手の前段階にある、これらの調査業務も大きな意味を持つことになりそうだ。開催決定以降、9月17日に公告した大会運営調査、オリンピックレーン等調査を皮切りに、同24日には東京国際展示場の拡張規模に関する調査や観客・スタッフ輸送関連調査委託が発注になるなど、開催計画の詳細を示した立候補ファイルの具現化へ、発注者が着々と歩を進めている。…晴海地区に整備する選手村は、民間事業者の活用を前提としている。事業費は1057億円と試算。今回の委託業務では、選手村計画の具体化に向けて、事業スキームの検討に加え、事業スケジュールや参加要件を盛り込んだ実施方針(案)をまとめる。具体的には、事業方式や契約形態といった事業スキームの精査・構築とともに、整備施設の要求水準や民間事業者への市場調査を基に民間の参画要件を整理する。また、オリンピック終了後の利活用などを含め、官民の業務分担や業務区分の整理を行い、民間事業者の業務範囲を明確化。民間事業者の事業計画について、シミュレーションを行うなど、民間事業者の負担(資金計画)と都の財政負担を検証する。」(『建設通信新聞』2013.10.07)
●「政府がお金を出して企業に投資する『官製ファンド』が膨張している。安倍政権は2013年に6つのファンドを設立。資金規模は約1兆円増え、全9ファンドで5兆円近くになる見通し。金融危機時の企業支援策として始まった官製ファンドだが、最近は個別産業の育成に照準を合わせるケースが目立つ。…リーマン・ショック直後の09年に相次ぎ設立された従来の官製ファンドは、危機対策の性格が色濃かった。…これに対し、安倍政権のファンドは先端技術や日本文化の発信など成長戦略で重点を置く産業への補助金の性格が強い。」(『日本経済新聞』2013.10.08)
●「国土交通省は、中小建設業者向けの金融支援3事業(地域建設業経営強化融資制度、下請債権保全支援事業、災害対応金融支援事業)の期限を延長する調整に入った。インフラの維持管理や災害対応に当たる地域建設業者向けに、請負代金債権の流動化による資金調達や建設機械の購入資金などを支援するこれら事業はいずれも13年度末で期限が切れる。同省は『企業経営の「質」を重視した支援につながる』(建設市場整備課)とみて継続が必要と判断。それぞれ1年の延長を財務省に申し入れた。」(『建設工業新聞』2013.10.09)
●「東京商工リサーチがまとめた13年度上半期(4〜9月)の建設業の倒産(負債1000万円以上)は1225件(前年同期比20.2%減)と年度上半期としては5年連続で前年を下回り、過去20年間で最少となった。全国9地区のうち四国を除く8地区で減少。全国的に倒産が減った。負債総額は6771億7100万円(241.4%増)。…倒産の減少について同社は、金融機関に融資の返済猶予を促す中小企業金融円滑化法が3月末で期限切れとなった後も、金融機関が返済繰り延べに応じていることや、東日本大震災の復興工事が本格化していることなどを挙げた。今後については、人手・資材不足による工事費の高騰が経営を圧迫することや、公共工事の発注量に地域間格差が出ることなどが懸念要因だとしている。」(『建設工業新聞』2013.10.09)
●「政府は11日、官民が出資した民間資金等活用事業推進機構(PFI推進機構)を立ち上げた。民間企業が公典施設と収益施設を併設してもうけを確保し、国や地方自治体の負担がゼロになる独立採算の事業に出融資する。公共施設の運営権を買い取る事業も対象。国や地方のインフラ整備の負担を抑えるが、野放図にお金を出せば、国民負担が発生する可能性もある。」(『日本経済新聞』2013.10.12)

行政・公共事業・民営化

●「14年4月1日に消費税率を5%から8%に引き上げることが正式決定したのを受け、政府内の相談体制が2日始動した。内閣府は『消費税価格転嫁等総合センター』を開設。転嫁拒否など消費税転嫁対策特別措置法違反の疑いのある行為の相談を専用ダイヤルなどで受け付ける。建設業など業界特有の内容の場合は、センターの『分室』と位置付ける担当各省庁で相談に応じる。国土交通省は、センター機能とは別に対面相談に応じる窓口を設置。本省各課や地方整備局などそれぞれの部署で所管業界の相談を受け付ける。」(『建設工業新聞』2013.10.03)
●「政府は、中小企業金融円滑化法(円滑化法)の期限が3月に終了したことに伴い、事業再生が困難と見られる5、6万社の経営改善と事業再生を目的に、新たな保証枠組み(経営改善サポート保証)を創設する方針を固めた。円滑化法適用企業は全国で約40万社。このうち建設業は業種別適用の上位3位に入っており、金融庁が事業再生困難と見る6万社の中にも相当数含まれているとみられる。」(『建設通信新聞』2013.10.07)
●「政府・与党は建設業の人材不足が深刻になっている点を踏まえ、公共工事の入札制度を見直す。価格の安さを追求する姿勢を改め、若手の技術者を活用する企業を優遇する点数制を導入する。熟練労働者との組み合わせでノウハウを引き継ぐ工事も奨励する。復興や防災、古いインフラの更新や東京五輪の施設整備など高水準の工事が続く見通しもあり、次代を担う人材の育成を急ぐ。…国交省は建設会社が入札時に出す作業員のリストから若手の比率を算出し、評価する。対象の職種は入札により異なるが、現場で施工全体を管理する技術者や実際の作業にあたる技能者が主な対象になる見通しだ。若手の比率に年齢などで基準を設け、基準以上を現場に配置すると加点する。高い点数なら入札で有利になる。 若手と熟練技術者が組んで就労する場合も加点の対象とする方向だ。現場での技術継承を後押しする。」(『日本経済新聞』2013.10.10)
●「全国の自治体庁舎やマンションなど大型建物の耐震化が遅れている。会計検査院は9日、自治体所有の公共施設のうち、国の耐震基準を満たさず、震度6強の地震で倒壊する懸念のある建物が1万5479棟に上るとの調査を公表した。うち3797棟は特に耐震性が低く倒壊の危険性が高い。民間の建物の耐震対応も道半ばだ。政府は投資減税の対象に耐震工事を加え、対策を急ぐ。…1981年の建築基準法改正に基づく耐震基準を満たさない建物は、公立学校を含む教育施設が1万3458棟、市町村役所や警察署などの庁舎施設が1306棟、医療施設が715棟だった。基準を満たす建物の割合を示す耐震化率は、全体で82.9%。教育施設が84.3%と比較的高かったが、医療施設は76.1%。庁舎施設は70.4%。自治体役所は61.2%にとどまった。子供や傷病者が集まる施設で耐震化が先行する一方、自治体の災害対応拠点となる役所の建物で対策が遅れている。」(『日本経済新聞』2013.10.10)
●「国土交通省は11日、14年夏に策定する下水道の中期政策指針『新下水道ビジョン2100(仮称)』に盛り込む施策案をまとめた。情報通信技術(ICT)を活用した施設管理や、PPP・PFIによる民間主導の事業運営を積極的に導入し、事業の効率化を目指す。下水処理場と業務・商業ビルなどの民間収益施設を一体的に整備するといった施設ストックの有効利用も図る。…新ビジョンでは、基本方針の一つに下水道システムの『持続』を位置付ける。05年9月に策定した現行ビジョンで基本方針に位置付けた『施設再生』を進展させ、より効率的な運営体制の構築を目指す。」(『建設工業新聞』2013.10.15)

労働・福祉

●「建設技能労働者の社会保険加入促進に不可欠な標準見積書の一斉活用が始まった専門工事業で、期待と不安が交錯している。東京都鉄筋業協同組合(館岡正一理事長)が9月27日に開いた定例会では、富山県鉄筋工事業協同組合(富鉄協)が標準見積書の活用徹底を図った結果、8月の受注単価が2割程度上がったことが報告された。一方で、『責任を持って仕事をできる人が安く、そうでない人が応援にきて高い単価となっている』などといった事例も指摘されている。全国鉄筋工事業協会の内山聖会長は『標準見積書を活用できない会社は淘汰される。生き残りをかけて頑張ろう』と、標準見積書を活用した適正単価での契約に向けて一致団結するよう促した。」(『建設通信新聞』2013.10.01)
●年収400万円〜800万円程度のいわゆる「中間層」が激減している。国税庁「民間給与実態統計調査」によると、1997年に1753万人いた年収400万円〜800万円の労働者は、12年には1503万人となり、0.86倍に減少した。同800万円〜2000万円の労働者にいたっては529万人(97年)から348万人(12年)へと3分の2以下まで急減した。一方で増加したのが貧困層です。1年間を通して働いても年収200万円以下しかならないワーキングプア(働く貧困層)は1090万人で97年の814万人から1.3倍に急増した。また、年収2000万円を超える労働者も増加した。97年の15万人から08年には22万人と1.5倍に急増。その後、減少したが、それでも12年度は97年の1.12倍にあたる17万人がいる。(『しんぶん赤旗』2013.10.03より抜粋。)
●「政府の雇用制度改革案が4日、出そろった。雇用規制を大幅に強化した民主党政権の方針を転換。4日の規制改革会議は『幅広い業務で期限を定めずに働ける派遣制度』を提言した。雇用規制の緩和は、人材派遣の分野で先行する見通しだ。ただ、地域を限って規制を緩める国家戦略特区での解雇ルール緩和は厚労省が慎重姿勢を見せており、実現は微妙だ。規制改革会議の意見書は、137万人の派遣社員の働き方の見直しが中心。人材派遣会社と無期限の雇用契約を結んでいれば、同じ派遣先で期限なしで働き続けられる仕組みを導入するよう求めた。無期限派遣はこれまで専門性の高い『26業務』に限っていたが、業務区分がなくなることで企業は幅広い業務を任せられるようになる。派遣会社と期限のある雇用契約を結んでいる場合も規制を見直す。従来は『1つの業務で3年』だったが、「1人当たり3年」になる。人を替えれば、一つの業務を派遣社員が担当し続ける仕組みも可能になる。」(『日本経済新聞』2013.10.05)
●「工事現場の施工体制と労務安全に関する書類をインターネット上で管理できるようにする仕組みとして三菱商事が提供する会員制サービス『グリーンサイト』の利用者が急増している。現在、大手を含むゼネコン40社と1次下請約2万社などが利用。1カ月に300社ほどのペースで下請の加入者が増えているという。作業の省力化など元・下請の双方にメリットがあることが利用者急増の背景にあるようだ。…加入した企業は、自社の専用ページから書類を作成・提出したり、内容を確認したりできる。05年にサービスを開始した。 元請側は、建設業法で義務付けられた施工体制台帳や施工体系図の作成が簡単にでき、現場に配置される各作業員の保有資格や健康診断の有効期限なども把握できる。書類の必要事項を自動でチェックする機能を備えているため、記載漏れの心配もない。現場事務所以外に本社や支店からも利用できる。下請側は、紙の書類と違い、元請業者によって異なる記入フォーマットに悩まされることがなく、一度のデータ登録で済む。書類内容を修正するたびに現場事務所に出向く手間が省けるのも大きなメリットだ。…活用方法も広がっている。オプションを利用して作業員の社会保険加入状況チェックに使うゼネコンもある。昨年11月から元請業者には下請の社会保険加入状況の確認・指導が義務付けられた。ある大手ゼネコンは、グリーンサイトで管理する施工体制台帳や再下請通知書に雇用保険、健康保険、年金の加入状況をそれぞれ入力する項目を設け、作業員の加入状況を確認。未加入者への指導を始めた。業界では保険料の支払いに必要な法定福利費を内訳明示した標準見積書の一斉提出も始まっており、グリーンサイトの活用は保険加入の促進にも役立ちそうだ。」(『建設工業新聞』2013.10.09)
●「東京労働局(伊岐典子局長)は15日、躯体系や左官、解体など主要専門工事業団体との『労働災害防止連絡会議』を設置し初会合を開く。同局は、政府の緊急経済対策や同対策の効果による民間設備投資拡大で建設工事量が増加する一方、技能労働者不足が深刻化するとみられることから、今後の労働災害増加に強い懸念を抱いていた。そのため、建設工事を直接担う専門工事業関係団体との連携強化が必要不可欠と判断した。…連絡会議では、労働行政と建設関係団体が、建設需要の動向や施工の安全にかかわる課題について情報共有し、都内の建設市場増加と、技能労働者不足を補う形で増加が見込まれる新規就業者への対応など、さまざまな課題について、官民一体となって取り組むことを検討する。」(『建設通信新聞』2013.10.15)

建設産業・経営

●「建設会社や住宅会社が、施工現場での人手不足の対策に乗り出している。工期圧縮につながる工法の開発・導入や、省力化できる部材を採用する例が増えた。人材育成に力を入れる建設会社もある。国内で2020年に控える東京五輪に向け、建設工事は増える。工期の遅れや建築コスト上昇につながる人材難を緩和したい考えだ。大林組は千葉県船橋市で進める開発事業で、建物の骨格部分の工期を半分にする新工法を導入した。施工に時間のかかる床などを工場で半製品化し、現場へ運ぶ。中低層物件向けで、工場で床の土台をまとめて造り、現場の作業を減らす。…コストはこれまでの工法と変わらず、作業に必要な職人の数を25%以上抑えた。…現場で職人がバーナーで溶接することの多い鉄筋も、ネジでつなぐようにした製品の需要が上向いている。ネジ式を主力製品とする東京鉄鋼は鉄鋼各社が苦戦した昨年度に営業利益が47%増。『今の受注は昨年度と比べ1割増の勢いで伸びている』(松本好取締役)。竹中工務店子会社の東京朝日ビルド(埼玉県草加市)は、3月から人材育成を強化した。鉄筋などの工事現場を率いるリーダー向け研修の対象者を従来の幹部社員から入社3年目以上に広げた。」(『日本経済新聞』2013.10.05)
●「国土交通省は9月26日、工務店などの住宅設計施工事業者や不動産事業者、金融機関等による『中古住宅市場活性化ラウンドテーブル』を開催した。中古住宅流通に携わる民間事業者等のいわゆる“実物サイド”と、金融機関などの“金融サイド”が、中古住宅市場の活性化・拡大に向けた基本的方向や取組課題を共有することが狙い。…会議 議論の内容としては、具体的には、@中古住宅の建物評価改善等の取組を中古住宅流通市場と金融市場に定着させるための方策A高齢化・ストック社会を見据えた中古住宅関連金融商品のあり方――の2つが中心。そのはか、参加者が提起する取組課題についても議題にする。(『日本住宅新聞』2013.10.05)
●「戸建て大手4社の9月の受注金額(速報値)が10日までに出そろった。注文住宅で積水ハウスが前年同月比74%、住友林業が同65%増加。来年4月の消費税率の引き上げ前の駆け込み需要で、大和ハウス工業とミサワホームも同2〜3割台の伸びになった。ただ今月に入って住宅展示場への来場者が減り、早くも『反動減』の兆しが見える。9月末までに建築契約を結べば、引き渡しが来年4月以降でも現行の5%の税率を適用する政府の特例措置の効果が顕著に表れた。…大手各社の受注額は4月ころからほぼ前年同月比2ケタ増が続き、特例措置の期限が迫った夏以降、一段と伸び率が高まった。…駆け込みの反動も出始めた。東京・豊洲(江東区)の住宅展示場で今月5〜6日の週末来場者数が9月の休日平均に比べ2割以上減り、時間を持て余す営業担当者も。前回の消費増税時は97年度住宅着工件数が96年度より2割近く減った。…ただ今回は『前回のような大きな反動はない』(大和ハウスの大野直竹社長)との見方が多い。2020年の東京五輪開催が決まるなど景気回復が続くとみられ、積水ハウスの和田勇会長は『10月から反動減が出るが、年末には収束する』とみる。」(『日本経済新聞』2013.10.11)
●「三菱地所レジデンスは、既存マンションを改修して再販する『リノベーションマンション分譲事業』に乗り出した。同事業の専任グループを10月1日付で設置。首都圏を中心に1戸または1棟単位で中古マンションを買い取り、改修後に分譲する。当面は年間供給戸数100戸、売上高30億円を目標に事業を展開していく。将来的には年間500〜600戸を安定的に供給し、売上高200億円の事業規模に拡大したい考えだ。 国内にある約590万戸(12年末時点)のマンションストックの活用・流通促進に向け、国は買い取り再販事業など先進的なビジネスモデルへの支援を進めている。仲介市場での中古マンションの成約件数(東日本不動産流通機構調べ)については、首都圏の9月実績が前年同月比12.5%増と13カ月連続で増加するなど、市場規模も急激に拡大しつつある。」(『建設工業新聞』2013.10.11)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は14年度から、高齢者が安心して健康に暮らせるためのサービスが充実した『スマートウェルネス住宅』の整備を一段と加速きせる。主に公的賃貸住宅を活用。住宅団地の中に介護などの生活支援施設を併設したり、情報通信技術(ICT)を使った見守りサービスなどを導入したりする民間事業者などに対し、経費の一部を新たに補助する。14年度予算概算要求でスマートウェルネス住宅の整備推進費として前年度予算の約1.5倍増となる789億円を計上した。」(『建設工業新聞』2013.10.04)
●「国土交通省は民間資金を活用して公営住宅を改修する方針だ。公営住宅を介護や子育て施設と一体的に運営する形で収益力を高め、民間企業に運営を委託する。地方自治体の財政負担を抑えつつ、公営住宅の老朽化対策を急ぐ狙いだ。企業が改修費を負担し、県庁所在地にある約10万戸の改修を目指す。国交省によると、全国に約220万戸ある公営住宅の3割程度が築40年以上で、老朽化対策が急務になっている。公営住宅の改修には1回あたり数十億円が必要な例が多く自治体の負担は大きい。国交省は公営住宅の関連事業で収益を上げやすい環境を整えれば将来の収入を見込む企業が事業を受託し、改修費を自治体に前渡しできると見ている。」(『日本経済新聞』2013.10.14)

その他

●「2012年10月に米国で発生したハリケーン『サンディ』について、現地行政機関の対応などを調べてきた国土交通省と防災関連学会の合同調査団は9日、日本での巨大台風発生に備えた緊急メッセージを太田昭宏国交相に報告した。3大都市圏における速やかな大規模水害リスク評価の実行と国民への周知、予測情報を活用した事前行動計画の策定などを提言している。…日本の3大都市圏は広大なゼロメートル地帯を抱え、地下街も広域に発達しているため、ニューヨークより水害ポテンシャルが高いと指摘。地下空間のつながり方やライフラインの位置などについて関係者間で情報共有し、浸水想定域の住民の避難方法を確立しておく必要性などを訴えている。」(『建設通信新聞』2013.10.10)
●地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減について、欧州連合(EU)は京都議定書でEUに課せられた1990年比8%削減の目標を大幅に超過達成することが確実になった。EUの執行機関である欧州委員会が9日、報告書を公表した。京都議定書で削減義務を負うEU15カ国は全体として、11年に90年比で温室効果ガス排出量を14.9%削減した。第1約束期間(2008〜12年)の平均では12.2%の削減となる。これに排出量取引などの京都メカニズムや温室効果ガスの森林吸収による削減分を加えると15.5%の削減となった。12年の実績は今後、集計されるが、目標の8%削減に対し、ほぼ倍の超過達成が予測される。…90〜11年の間にEUの国内総生産(GDP)は15カ国で44%、28カ国では45%の伸びを示している。報告書は「経済成長と温室効果ガス削減は切り離されている」ことを示すと指摘している。…世界で第5位の温室効果ガス排出国(世界の3.8%、2009年)である日本は排出削減にきわめて後ろ向きだ。民主党政権の時に京都議定書の枠組みから離脱し、第2約束期間には不参加。しかも安倍政権は、2020年までに1990年比で25%削減するとした政府の国際公約を「ゼロベース」で見直すと表明し、市民団体から批判の声が上がっている。日本の温室効果ガスの排出量は2011年度には1990年比で3.7%増加している。(『しんぶん赤旗』2013.10.13より抜粋。)