情勢の特徴 - 2013年10月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省は7月25日に施行された民活空港運営法に基づく、『民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する基本方針』を公表した。運営権の存続期間は30−50年程度を目安にすることや、運営権者となるSPC(特別目的会社)の選定に当たっては、料金施策に関する提案を積極的に評価することなど、空港にコンセッション(運営権付与)方式を導入する上での基本的な考え方を明記した。基本方針は11月1日に告示する予定だ。」(『建設通信新聞』2013.10.16)
●「北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証の主要前払保証会社3社がまとめた公共工事前払金保証統計によると、2013年度上期(4−9月)の請負金額は前年同期比23.8%増の8兆3927億円となった。12年度補正予算などの効果により、03年度上期以来10年ぶりに8兆円台に回復、地域別では全ブロックが前年同期を上回り、都道府県別では41道府県が増加した。」(『建設通信新聞』2013.10.16)
●「来春の消費増税をにらんだマンションの駆け込み需要が9月にピークを迎えた。不動産経済研究所(東京・新宿)が16日に発表した同月の首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比で77%増となり、震災の特殊要因を除くと約20年ぶりの高い伸びとなった。10月以降は反動が出る可能性もあり、不動産各社は需要つなぎ留めに商品戦略の見直しを進めている。9月の発売戸数は5968戸。5カ月連続で前年同房実績を上回った。伸び率は東日本大震災の反動増が出た2012年4月(81%)を除くと、1994年9月の86%以来の高さ。契約率も好不調の分かれ目となる70%を上回り83%だった。…10月以降の需要動向は不透明。前回の消費増税時は経過措置が終了した96年10月以降、発売戸数が減少に転じ、97年通年で96年比15%減った。今回は景気が回復局面にあり『五輪効果で販売が好調に推移する』(住友不動産の仁島浩順社長)との見方もあり、不動産経済研究所では10月は前年同月比約2割増の3500戸の発売を予測する。」(『日本経済新聞』2013.10.17)
●「地域を限定して大胆な規制緩和を行う『国家戦略特区』が具体化に向けて動きだす。政府は15日に召集された臨時国会で関連法案を成立させ、年内にも特区を指定したい考え。既に全国各地からさまざまな特区が提案され、東京都内でもデベロッパーやゼネコンなどが、海外企業がビジネスをしやすい特区やエンターテインメントを核に国内外から観光客を呼び込む特区などの指定を求めている。成長戦略の実現に向け、来年から国と自治体、民間事業者らで特区の計画づくりが本格化する見通しだ。国家戦略特区は、地域を限定して日本の経済成長・産業発展につながる取り組みに対して、規制緩和や税制優遇などを行い、民間投資を喚起しながら地域の活性化を図ることが狙い。政府は特区提案を民間企業や白治体から募り、これまでに242団体(民間事業者など181団体、自治体61団体)が計197件の特区申請を行った。」(『建設工業新聞』2013.10.17)
●「インドネシアの首都ジャカルタに整備される同国初の地下鉄『MRT(大量高速輸送システム)南北線』の1期工事全6工区(CP101〜106工区)を日本のゼネコンをスポンサーとするJVが施工する。高架橋やシールドトンネルを含む南北線1期6工区は、日本のゼネコンが技術力を生かせる工事が多いとみられ、政府が力を入れるインフラ輸出のモデルにもなりそうだ。CP101〜106の6工区6JVの受注総額は公表額ベースで651億円となる。6工区のうち、工事のオプション対応をめぐって契約手続きが遅れていたCP101・102工区が東急建設と現地建設会社の2社JV、CP103工区が大林組、清水建設と現地建設会社の3社JVが受注することが16日までに決定。これで6工区すべての受注者が決まった。 MRTは、経済成長に伴い深刻化している交通渋滞の緩和策として計画され、日本の円借款によって建設される。南北線はジャカルタ中心部と南部郊外を結ぶ15.7キロの路線。高架9.8キロ(CP101〜103工区)、地下5.9キロ(CP104〜106工区)で構成し、高架はPC箱桁、地下はシールドトンネルとなっている。」(『建設通信新聞』2013.10.18)
●「首都圏の公共事業で工事を引き受ける建設会社が決まらない異例の事態が相次いでいる。東日本大震災の復興需要もあって資材価格などが高騰。自治体が想定する予定価格では採算に合わないことなどで、入札が成立しないケースが増えているためだ。2020年夏季五輪に向けたインフラ整備が本格化すればさらにコストが上昇する可能性があり、大会準備への影響も懸念される。…12年度に700件弱あった都の建築・土木の大型工事のうち落札業者が決まらなかった不調は5.5%を占め、11年度の3.6%から急上昇した。最近でも東京消防庁のヘリ格納施設の建て替え工事(予定価格約16億円)が7月の初回入札で不調となった。再入札では予定価格を引き上げるしかなく、事業費が膨らむことになる。震災以降、復興需要などによる資材価格や人件費といった経費の増加が背景にある。代表的な建築資材であるH形鋼は、日銀の国内企業物価指数によると9カ月連続で上昇。直近の9月に106(10年平均が100)まで高まった。」(『日本経済新聞』2013.10.19)
●「政府は、日本再興戦略を実行するための産業競争力強化法案を閣議決定し、開会中の臨時国会に提出した。2013−17年度までの5年間を『集中実施期間』とし、規制改革や産業の新陳代謝など分野横断的な新たな制度を整備する。産業の新陳代謝では、企業の事業再編促進が柱の1つ。企業が新規事業を開拓する場合や、事業再編によって新規事業の開始や収益性の低い事業からの撤退、事業再生などをする際に作成する事業計画を国が認定する制度を創設する。認定を受けると、会社設立時などにかかる登録免許税が軽減されるほか、政府系金融機関からの低利融資などの支援措置が受けられる。業種や企業規模に関係なく、中小企業も含め期間限定で企業の競争力強化を政府が後押しする。建設市場の先行きを見据えて建設産業の企業が事業再編する場合でも新制度を活用できる。」(『建設通信新聞』2013.10.21)
●「輸出の回復が鈍っている。9月は最大の輸出先であるアジア向けの輸出数量が前年同月に比べて4.0%減り、全体でも7〜9月期は3四半期ぶりに前期を下回ったもよう。新興国の景気が減速していることに加え、生産の海外移転が進み、円安でも輸出が増えにくくなっている。7〜9月期の実質経済成長率は4〜6月期より減速する公算が大きくなってきた。財務省が21日発表した輸出から輸入を差し引いた貿易収支(通関ベース)は9月に9321億円の赤字。赤字は15カ月続き、第2次石油危機時の14カ月連続を抜いて過去最長となった。4〜9月期の貿易赤字も4兆9891億円に達し、半期では最大だった。」(『日本経済新聞』2013.10.22)
●「建設経済研究所と経済調査会は21日、14年度の建設投資(名目)が13年度(予測)比2.3%減の47兆8500億円になるとの見通しを発表した。13年度に12年度補正予算(政府建設投資的5.4兆円)の大半が繰り越されたことへの反動で13年度よりは減るが、12年度(44兆9000億円)の水準は上回ると予測。政府が14年4月の消費増税に備えた総額5兆円の経済対策が実行されれば、駆け込み需要の反動減は97年4月の増税時より抑えられるとみている。…14年度は政府建設投資が前年度比7.8%減の19兆4000億円、民間住宅投資が1.5%減の14兆7300億円、民間非住宅建設投資は5.6%増の13兆7200億円と予測した。消費増税に備える経済対策として、政府建設投資では13年度に編成される補正予算の多くが14年度に繰り越される見込み。民間住宅投資では住宅ローン減税(持ち家対象)の拡充などの措置が講じられる。既に持ち家ではこうした措置が消費者心理に効果を及ぼしつつあり、14年度の反動減は前回の消費増税時より小規模になると予測している。ただ、貸家や分譲を含む住宅全体の住宅着工戸数は減少が避けられないとも見込む。」(『建設工業新聞』2013.10.22)
●全国中小企業団体中央会が21日発表した9月の中小企業月次景況調査によると、景況や売上高、収益状況など9指標のDI(指数)値すべてが前年同月に比べ上昇した。ただ収益状況DIは、9指標中最低のマイナス20.7にとどまった。売上高DIは1997年3月(7.8)以来、販売価格DIが08年7月(0.6)以来、それぞれプラスに転じた。景況DIを業種別にみると、製造業で鉄鋼・金属が6.2と前月比14.4ポイントの大幅上昇だった一方で、紙・紙加工品はマイナス21.8と前月比13.5ポイントも下落した。また印刷業ではマイナス48.4と深刻な状況だ。非製造業では小売業マイナス35.6、商店街マイナス31.1、運輸業マイナス27.8など低い水準で推移している。(『しんぶん赤旗』2013.10.23より抜粋。)
●「政府は、途上国やその国営企業が出資するインフラ事業に対し、日本企業との共同事業を促進する際に途上国側の出資分を円借款で供与するなどの円借款・海外投融資の制度改善に乗り出す。相手国側で資金調達が難しい場合に円借款で支援することで、事業の円滑な実施と日本企業の事業展開につなげる。今年度中にスキームの検討や適用案件の絞り込みを実施する予定だ。」(『建設通信新聞』2013.10.31)

行政・公共事業・民営化

●「第185回臨時国会が15日、開会した。政府提出法案は、企業再編・再生を促す産業競争力強化法案や、交通政策基本法案など23本が予定されている。このほか建設産業界が関心を寄せ継続案件となっていた『防災・減災等に資する国土強靭化基本法案(国土強靭化基本法案)』も本格的な審議に入る予定。与党は臨時国会での成立を見込んでいる。既に各省庁は、大規模災害などに備える事前防災・減災を柱とした政策を、来年度概算要求に盛り込んでおり、国土強靭化基本法案が成立すれば、国、地方自治体の今後の防災・減災の取り組みを法律的にも後押しすることになる。」(『建設通信新聞』2013.10.16)
●「各省庁が連携してインフラ老朽化対策を進めようと、関係省庁による連絡会議が16日、発足した。対策に関する必要施策の方向性をまとめた『インフラ長寿命化計画』を作成し、基本計画をもとにして各省庁の施策や新技術活用、省庁間連携などを検討する場にする。情報共有による効率的な対策の実施とともに、自治体への支援策なども協議していく見通し。この日の会合では、11月下旬に開く次回会合で基本計画をとりまとめた上で、各省庁が具体的な取り組み内容を示す行動計画を策定することで一致した。」(『建設通信新聞』2013.10.17)
●「国土交通省は、官庁営繕事業での入札不調・不落対策に関するメニューを拡充した。見積活用方式の柔軟な運用や施工条件明示の改善、工期が長期に及んだ際の共通費の積み増しなどを実施し、市場動向や労働者不足といった課題に的確に対応する。入札の不調・不落による事業の進捗に遅れが生じ、予算の執行が滞る事態も懸念される中、いち早い対策により円滑な執行を目指す。」(『建設通信新聞』2013.10.22)
●「国土交通省は28日、今後の国土や地域づくりの指針となる『国土のグランドデザイン』を構築するための有識者懇談会を立ち上げる。大規模地震発生が迫るほか、インフラの老朽化や人口減少・高齢化問題、環境・エネルギー対策といった社会状況の変化を踏まえ、長期的な目標と施策の方向性を示すため、2014年春にかけて議論する。5、6回程度の会合を開き、グランドデザインの策定につなげる予定だ。」(『建設通信新聞』2013.10.25)
●「就業者不足に合わせて予算を減らすのは本末転倒―。財務省が財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に、公共事業の予算を不足傾向にある現場労働者や技術者の数に見合う規模に縮小すべきだとの論点を提示したことに、業界関係者から反論の声が上がっている。現在の業界の人手不足はもともと公共事業の削減が招いた悪循環がその一因。論点が現実になれば『業界はさらに疲弊しかねない』との危機感が募っている。」(『建設工業新聞』2013.10.25)
●「国土交通省は28日、国土審議会水資源開発分科会調査企画部会を開き、今後の水資源政策のあり方に関する議論をスタートした。大規模災害に対する水インフラの脆弱(ぜいじゃく)性や老朽化に伴う断水、気候変動による渇水といった新たなリスクや課題の顕在化を踏まえ、ハード、ソフト対策の組み合わせにより臨機応変な対応が可能な“幅を持った社会システム”の構築を目指す。今後月1−2回程度のペースで会合を開き、2013年度末に中間とりまとめ、14年秋をめどに最終とりまとめを行う。」(『建設通信新聞』2013.10.29)
●「国土交通省は28日、社会資本整備審議会建築分科会建築基準制度部会(部会長・久保哲夫東大名誉教授)の第9回会合を開き、構造計算適合性判定の審査方法や対象などの見直しに向けた方向性を整理した。さらに1、2回議論を重ねた上で、2014年2月に『今後の建築基準制度のあり方(第二次報告)』をまとめる。」(『建設通信新聞』2013.10.30)
●「国土交通省は30日、『直轄工事等契約関係資料(2012年度実績)』をまとめた。直轄工事の契約件数は前年度比7.0%増の1万5921件、契約金額は前年度と増減なしの1兆7828億円。低入札価格調査の実施状況をみると、工事で49%減、コンサルタント業務で57%減と、いずれも減少する結果となった。港湾空港関係を除いた各地方整備局のWTO(世界貿易機関)対象工事は8%増の224件で、東日本大震災の復興も寄与したとみられる。低入札価格調査の実施状況は、工事では、調査対象件数1万0839件に対し141件で発生率は1.3%となった。前年度は1万1732件に対し276件で発生率は2.5%。国交省では、11年4月に低入札基準価格を引き上げた効果が現れたとみる一方、企業が調査基準価格のラインを類推して応札することが減ったことの要因とみている。一方、コンサルは、調査対象件数7982件のうち328件で調査を実施しており、前年度の8244件中891件に比べて減少した。件数で比較すると前年度から57%の減少となる。発生率でも、10.8%から4.8%と6ポイントの減。」(『建設通信新聞』2013.10.31)
●「国土交通省は、技能労働者の社会保険未加入対策の一環でスタートした標準見積書の活用状況を把握するアンケートに着手した。社会保険未加入対策推進協議会が9月26日、加入に必要な法定福利費の内訳を明示した標準見積書を下請企業から元請企業に提出する取り組みの一斉開始を申し合わせた。アンケートでは、その後の活用状況や課題を把握し、加入徹底に向けた追加策の検討などに役立てる。…調査内容は、推進協の申し合わせ事項を知っているかどうか、元請の下請に対する標準見積書の提示指導や提示された場合の取り扱いなど。企業向けには標準見積書作成の有無や作成していない場合の理由、元請に提出した際に法定福利費を含む見積額が支払われたかどうかも聞く。」(『建設工業新聞』2013.10.31)

労働・福祉

●「政府は17日、成長戦略の柱に据える国家戦略特区での規制緩和の概要を固めた。海外では認められる医薬品などを使う自由診療と保険診療を併用する混合診療の拡充や、都心の居住を促す容積率規制の緩和を明記。地域限定の規制緩和で新たな需要を生み出す。雇用規制では、有期雇用の期間を最長5年から最長10年に延ばすが、産業界に要望が強い労働時間の規制を一部の労働者に適用しないホワイトカラー・エグゼンプションなど大幅な緩和は見送った。」(『日本経済新聞』2013.10.18)
●「建設経済研究所は21日、2025年までの建設業就業者数を推計し、12年度の建設投資額(44兆9000億円)を基準にした就業者の需給ギャップの分析結果をまとめた。12年度と同規模の建設投資があると仮定した場合、全国で見ると20年は最大119万5000人、25年には最大173万5000人の不足が発生すると予測している。同研究所は、インフラの維持更新や災害対応を行っていくため、官民が一体となって就業者の処遇改善や建設業のイメージアップを図ることが重要だと指摘している。推計結果によると、1996年以降に建設投資額が減少し始めるのと並行して建設業就業者も減少。ピークだった95年の663万人に比べて、2010年には32.6%減の447万人まで減った。現在は建設投資が官民とも回復しつつあり、人出が不足している状況にある。…建設経済研究所は、少子高齢化が急速に進む中で産業間の人材の奪い合いがさらに激化すると予測。公共工事の設計労務単価の引き上げや社会保険未加入対策といった就業者の処遇改善が一層求められるとしている。」(『建設工業新聞』2013.10.22)
●「国土交通省は、技能労働者の賃金水準確保に関する実態調査の中間とりまとめを公表した。回答した企業の3分の1が何らかの賃金引き上げを実施しており、設計労務単価引き上げなどの取り組みが一定の成果を上げたとみている。また、こうした取り組みに対する認知度が賃金引き上げの企業行動にも直結していることがデータからも裏付けられたとして、取り組みの一層の周知徹底を継続する構え。同省ではダンピング(過度な安値受注)対策のさらなる実施や、インフラの整備・維持管理の将来が見通せる施策の提示も必要とみており、今後具体的な取り組みを模索する。」(『建設通信新聞』2013.10.24)
●「中央環境審議会(環境相の諮問機関)の石綿飛散防止専門委員会は23日、改正大気汚染防止法(大防法)の施行に向け、建築物解体作業中の大気濃度測定を、集じん・排気装置を使うすべての特定工事を対象に義務付けることを了承した。大防法施行規則に定める『作業基準』に追加する。専門委の了承を受け環境省は、政令、施行規則、告示の改正作業を本格化させ、年内にも施行規則改正案などをまとめる。一般意見を募った上で、2014年2月にも改正施行規則などの公布を目指す。改正大防法の施行は『一定の周知期間をとる必要がある。14年6月の見通し』(環境省幹部)とし、初めて施行時期も明らかにした。」(『建設通信新聞』2013.10.24)
●「労働組合の中央組織、連合は24日、2014年の春季労使交渉で全組合員の基本給を一律で1%以上引き上げるベースアップ(ベア)の実施を求めると決めた。景気回復や消費増税をにらみ、賃金水準の底上げが不可欠と判断した。デフレ脱却に向け賃上げを求める政府の要請を背景に、一部企業ではベアを容認する動きもあるが、結論は個別企業の労使交渉に委ねられる。業績回復の足取りには企業間で差があり、ベアがどこまで広がるかは未知数だ。」(『日本経済新聞』2013.10.25)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、技能労働者の処遇改善に向けた取り組みについて民間発注者への協力要請を本格化させる。適正価格や工期などが必要な背景などを紹介したパンフレットを利用して不動産協会などに要請。会員企業自らの取引先に配布・説明していくローラー作戦を展開する。ただ、民間案件では依然、ダンピング受注が横行しているとされ、業界側も適正価格での受注という自助努力が問われそうだ。」(『建設工業新聞』2013.10.25)
●「総務省が29日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0.1ポイント低下の4.0%となった。職探しをしていた人の就業が進んだためで、2カ月ぶりに改善した。厚生労働省が発表した有効求人倍率(同)も前月と横ばいの0.95倍だった。雇用環境は堅調に推移しているが、さらなる改善には人手不足産業とのマッチングを進める必要がある。 厚労省は雇用情勢の判断登別月に続き『一部に厳しさが見られるものの、改善が進んでいる』に据え置いた。男女ともに失業率は改善し、男性が0.2ポイント低下の4.3%、女性が0.2ポイント低下の3.5%となった。」(『日本経済新聞』2013.10.29)
●「建設業の求人環境切迫が続いている。建設業の新規求人数は2010年8月からことし9月まで38カ月連続して前年同月比増となった。一方で、9月の建設業就業者数は前年同月比で4万人減の505万人にとどまった。旺盛な人材需要に対し、実際に建設業に就業する人数が間に合わない人材の需給アンバランスが依然として続いている格好だ。厚生労働省が29日に公表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は0.95倍と、前月と同水準を維持したほか、新規求人数(原数値)は前年同月比9.2%増、前月比でも2.7%増と、統計上の雇用環境は確実に好転しつつある。産業別でも建設業の9月新規求人数は、全体(パートを含む)で前年同月比9.2%増、『常用』に限定すれば同11.5%増と人材需要は依然旺盛だ。…一方、総務省が29日にまとめた『労働力調査』でも、完全失業者が前年同月比で17万人減少し258万人、就業率も同0.5ポイント上昇し57.3%と雇用環境が改善していることを浮き彫りにした。全産業の就業者数が増加する中で、建設業は前年同月比4万人減の505万人と就業者数が減少する形となった。」(『建設通信新聞』2013.10.30)

建設産業・経営

●「清水建設の2013年4〜9月期連結営業利益は、前年同期実績(42億円)を若干上回り45億円程度となったようだ。6%減を見込んだ期初予想から一転、増益となる。首都圏などで大型工事が計画を上回るペースで進み、利益の上振れにつながった。東日本大震災後から続く労務費上昇で工事全体の採算は低いが売り上げ増で補った。」(『日本経済新聞』2013.10.16)
●「建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)が会員会社を対象に実施した、経営分析の12年度調査結果がまとまった。12年度中に迎えた本決算のデータを基に収益性や生産性などを分析。売上高は351社平均で25億6200万円と前年度比2億円余り増加した。営業利益は前年度の6300万円から9600万円に上昇。職員1人当たりの人件費は721万円で、前年度の713万円から微増にとどまり、11年度に76.1%だった原価率が75.7%に低下する大きな要因になった。…売上高と営業利益の値を専業社だけで見ると、売上高は28億7100万円と会員会社全体の数値より約3億円多い。営業利益は8700万円で、前年度の4500万円からほぼ倍増したが、全体との比較では1000万円近く少ない水準。売上高営業利益率は、全体の3.8%(前年度2.6%)に対し専業社は3.0%(1.7%)だった。 職員1人当たりの売上高は全体が1731万円、専業社が1669万円。職員数は全体が172人、専業社が148人で、職員1人当たりの人件費は全体が721万円、専業社が735万円となった。東日本大震災の復旧・復興関連で業務量が増え、多くの企業が繁忙状態にある。売上高の増加はこの状況を反映したものだが、売上高の増加が職員数の増加割合を上回り、結果として職員1人当たりの売上高を押し上げた。人件費は前年度からほぼ横ばい状態にあり、受託業務の外部委託を抑える動きと相まって、原価率を押し下げる大きな要因になっている。」(『建設工業新聞』2013.10.21)
●「前田建設は、国内で再生可能エネルギーによる発電事業を強化する。オーストラリアの金融グループ・マッコーリーで投資銀行部門を担うマッコーリーキャピタルと合弁会社を12月に設立。大規模太陽光発電(メガソーラー)事業で、企画段階から出資、EPC(設計・調達・建設)、O&M(維持管理・運営)までを手掛ける。風力など太陽光以外の発電事業も合わせ、今後3年間で300メガワット、総額1000億円規模のプロジェクト開発を目指す。…前田建設は、4月にスタートさせた中期経営計画の3本柱の一つに『脱請負』を列挙。コアとなる建設事業の強化とともに、新たな収益源として再生可能エネルギー発電事業に取り組んでいる。…国内では、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度が昨年7月に開始。東日本大震災の復興、2020年東京五輪関連の施設整備でPPPや公共施設の運営権を民間に売却する『コンセッション方式』など、多様なインフラ整備の手法が検討され、民間資金の導入に期待が高まっている。」(『建設工業新聞』2013.10.22)
●「大林組は、次世代のスマートシティーを想定した技術を実証するため、東京都清瀬市の同社技術研究所にスマートエネルギーシステムを構築する。その構築に当たっては、街全体を3次元モデル化するプラットフォーム『SCIM(スマートシティー・インフォメーション・モデリング)』を導入し、エネルギーマネジメントシステム(EMS)とリンクさせることで制御、管理の状況を“見える化”する。完成は2014年11月末を予定している。 今回の実証は、市街地再開発、大規模な工場や大学、病院など複数の建物を有する施設で想定される省エネルギー・省CO2、BCP(事業継続計画)などスマートシティーに関連する顧客ニーズへのソリューション技術を蓄積するのが狙いで、SCIMの有効性を検証し、次世代の街づくりのプラットフォームへと展開していく。」(『建設通信新聞』2013.10.24)
●「建設経済研究所は、再生可能エネルギー分野での建設企業の事業展開に関するリポートをまとめた。2012年7月に導入された固定価格買取制度(FIT)の設備認定を受けた中規模・大規模システム案件が、13年度から本格的な建設ラッシュを迎えるとの見通しを示した。電力会社側の受入容量の問題などもあるが、今後も活況が見込まれる再生可能エネルギー事業は、建設企業にとっても有望なマーケットであるとし、引き続き効率的な施工技術の開発に注力することが重要と提言している。」(『建設通信新聞』2013.10.24)
●「建設業の許可・更新時に社会保険加入を行政が指導する取り組みを始めて、11月で1年を迎える。現在は、国土交通省の指導でも加入しなかった企業が厚生労働省に通報される段階に入った。現時点で通報は1000社を超え、早ければ年明け以降に国交省による指示処分などが実施される見込みだ。指示処分でも改善されない場合は営業停止となるが、国交省は厚労省からの報告状況を見ながら営業停止の時期や今後の取り組みなどについて検討に入ることになる。今後、状況が改善されなければ、未加入企業の許可・更新時にさらに厳しい対応に踏み込む可能性もある。昨年11月から始めた取り組みでは、国交省や都道府県が建設業の許可時と許可更新時に、社会保険の未加入が判明した企業に対し、まず4カ月以内に加入を求める指導を実施。加入しなかった企業には2カ月以内に文書で指導書を企業に発出する。それでも加入しない場合は厚生労働省に通報し、厚労省が指導を実施することになる。指導に応じない場合は、国交省が建設業法に沿って指示処分し、さらには営業停止に踏み切る。 国交省が公表している6月末までの取り組み状況を見ると、昨年11月以降に許可・更新を申請した11万8628社のうち、4カ月以内の指導対象となったのが1万4079社。そのうち2回目の指導は3302社で、厚労省への通報となったのは178社だった。7月以降に許可・更新の手続きを申請した企業の状況を加えると、通報は1000社を超えているという。」(『建設通信新聞』2013.10.25)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、13年度上半期(4〜9月)の会員企業98社の受注実績をまとめた。総受注額は前年同期比38.9%増の7兆0070億円。過去10年で最も高く、98年度(7.3兆円=48社統計)以来の高水準だった。9月分が前年実績の2倍強に増えた点が特徴。日建連は『消費増税前の駆け込みが最大要因だが、景気回復や労務・資材費の先高観なども複合的に影響しているのではないか』と分析している。 内訳は、国内受注が6兆6980億円(前年同期比37.9%増)、海外受注が3090億円(64.9%増)。国内分のうち、民間からの受注は4兆9640億円(43.1%増)、…官公庁からの受注は1兆7250億円(26.2%増)。」(『建設工業新聞』2013.10.25)
●「ゼネコン(総合建設会社)が鋼材の発注を前倒ししている。好調な建設需要を背景に取引価格が一段と上昇するとの見方を強めている。供給側は長期的な需要動向を重視し増産には慎重な姿勢だ。鉄鋼加工会社の減少で国内の生産能力が下がっているのも影響している。施工業者の人手不足で工事の遅れが目立つ中、鋼材供給への懸念を指摘する声も出てきた。複数の大手ゼネコンによると、主要鋼材のH形鋼は、これまで現場施工の2カ月ほど前に発注をしていた。現在は4〜5カ月前に前倒しされている。柱などに使う大径角形鋼管など品種によっては半年先の案件が発注されるケースもある。」(『日本経済新聞』2013.10.29)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「安倍晋三首相は19日、東日本大震災からの復興を加速するため、被災地での用地取得を最短3週間でできるようにする新たな施策を講じると表明した。財産管理や土地収用の制度を使いやすくし、所有者や相続人が不明の土地を、短期間で集団移転などに活用できるようにする。…新たな施策は『用地取得加速化プログラム』。土地の所有者や相続人がわからない場合、財産管理人が代わりに土地の売却などの手続きをする。財産管理人の選定から、土地の売買までに半年以上かかることがあったが、家庭裁判所などの協力を得て手続きを簡略化する。」(『日本経済新聞』2013.10.20)
●「国土交通省は、中古住宅市場を活性化させるため、リフォームや売買を促す環境整備に乗りだした。新築が対象の長期優良認定住宅の建設費補助を14年度から中古の長寿命化改修にも拡大。ホームインスペクション(住宅検査)の充実や建物評価手法の見直しを進めるほか、リフォーム関係の金融商品開発も促す。住宅の取引履歴などの情報を集約したデータベースも構築する。政府の成長戦略『日本再興戦略』では、2020年までに中古住宅のリフォーム・流通市場の規模を現在の10兆円(10年度時点)から20兆円に倍増させる目標が設定されている。国交省は14年度予算概算要求に中古住宅市場の活性化に向けた経費として82億円を計上している。このうら65億円を『長期優良化リフォーム推進事業』に投入。現在は新築限定の長期優良認定住宅への建設費補助を既設住宅の改修にも広げる。軸組みを補強する耐震改修や、外壁の断熱性を高める省エネ改修などを行う場合、1戸当たり100万円を上限に改修費の3分の1を補助する。住宅診断の実施と維持保全計画の作成を補助の条件にする。…木造一戸建てでは築20年で建物価値がほぼゼロになる現在の中古住宅の評価手法も13年度中に見直す。築年数だけで評価する現行手法を、基礎・躯体と部材ごとに評価する手法に改め、正確な耐用年数などを算出できるようにする。 9月には金融機関や不動産業者らと意見交換する『中古住宅市場活性化ラウンドテーブル』を設置した。この中で、リフォームローンや、自宅を担保に老後資金を借りるリバースモーゲージなど中古住宅に関係する金融商品の開発を金融機関などに促す。住宅の取引履歴や周辺環境などの情報を一元管理するデータベースも構築し、売買を後押しする。14年度からシステム設計に入るため、概算要求に1億1500万円を計上した。15年度から一部地域で試験運用し、18年度以降の本運用を目指す。国内の全住宅流通量に占める中古住宅のシェアは13.5%(08年)。7〜9割を占める欧米諸国(最高は米国の90.3%)に比べ低い。政府はこの中古住宅市場のポテンシャルに着目し、リフォーム・売買活性化を成長戦略の一つに組み入れた。」(『建設工業新聞』2013.10.28)
●「社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)の建築分科会は28日、住宅の構造耐力や省エネ性能などを評価・表示する住宅性能表示制度の改正案を了承した。評価項目(新築は全10分野32項目)に1次エネルギー消費量の評価項目を導入する点が大きな柱。必須評価項目を住宅購入者の関心が高い省エネや耐震性能などに厳選し、地盤の液状化の情報も提供できるようにする。」(『建設工業新聞』2013.10.29)
●「太田昭宏国土交通相がその必要性を強く主張してきた国土のグランドデザインを策定する作業が国交省で始まった。照準は2050年。人口減少と高齢化が進行しても世界最高水準の経済的・精神的豊かさと安心を確保できる国土づくりを描く。都市機能を集約するコンパクトシティー化と都市間ネットワークの強化を一体的に推進する施策に力を入れる方針だ。…グランドデザインづくりで国交省が特に重要な課題と位置付けるのが、人口減少への対応だ。日本の人口は2050年には1億人を下回り、6割以上の地点で現在の半分以下に減ると予想されている。懇談会の初会合で同省は、人口が減っても経済活動や生活サービスを維持・増進するための施策として、都市のコンパクト化と都市間ネットワークの強化を一体的に進める方針を示した。」(『建設工業新聞』2013.10.30)

その他

●「環境省は、東京電力福島第一原発事故で飛散した放射性物質を含む廃棄物や除染に伴う汚染土壌を保管する中間貯蔵施設の建設に向け、福島県双葉町の町有地である双葉町総合公園でボーリング調査を始めた。双葉町では、合計10数地点のボーリング調査を予定している。調査では、調査対象地域の地質やその性状を面的に把握することを目的に必要なデータを取得する。ボーリングマシンで地盤を削孔し、土の硬さを調べるほか、試料を採取して地質を解析する。また、削孔したボーリング孔を地下水観測井として利用、地下水位や水中の放射線量を観測する。…双葉町は9月27日に中間貯蔵施設にかかわる現地調査を受け入れた。これを受け環境省は、今月から現地踏査を進めてきた。双葉町の中間貯蔵施設建設候補地は2カ所で、その周辺地域を含め現地調査を進める。調査結果を踏まえ施設設置計画を検討する。」(『建設通信新聞』2013.10.16)
●「土木学会は、台風26号の豪雨で甚大な土砂災害に見舞われた伊豆大島(東京都大島町)の緊急調査結果をまとめた。16日午前2時ごろから、大島には1時間に100ミリを超える猛烈な雨が数時間降り続き、大規模な土砂崩壊が発生。被害が集中した元町神達地区では、積算雨量500ミリ程度までの降雨による斜面崩壊と土石流、さらに土砂濃度が低い水流が地盤浸食と樹木の流下を活発化させ、被害を拡大させたと推測した。」(『建設工業新聞』2013.10.29)
●「大阪府は30日、『南海トラフ』を震源域とする巨大地震による府内の人的被害の独自想定を公表した。死者は最大13万3891人と、内閣府想定(9800人)の13.6倍に上る。津波避難者は最大106万人超に上るとしており、避難施設や水・食料などの備蓄の確保が課題になる。内閣府が想定に盛り込まなかった防潮堤の沈下が液状化などで発生し、地震直後から大量の水が大阪市内の川沿いに広がるゼロメートル地帯などに流入すると予想。津波浸水域は約1万1千ヘクタールと内閣府の約3.6倍とした。住民らの30%が津波到達まで避難しないなど最悪の状況も想定した結果、死者数が大きく膨らんだ。」(『日本経済新聞』2013.10.30)