情勢の特徴 - 2014年1月前半
●「国産材の品薄状態が続いており、深刻さを増している。11月分の木材業景況調査結果を見ると、プレカットに関して、製造部門で『受注後、加工までの待ち時間』を1カ月以上とする回答が9割を占めた。流通部門でも7割以上が1カ月〜1カ月以上と答えている。…背景には消費税率引き上げに伴う駆け込み需要があると思われる。注文住宅中心で棟数を追いかけていない地場工務店と違って、建売系の不動産会社や住宅メーカーによる3月引き渡しを目指した建築プッシュが続いており、2013年内で収まる気配はない。そのため、2シフト、3シフトを組んでフル稼働する大手製材事業者もあり、合板メーカーや集成材メーカーも1割以上増産体制を敷いている。しかし、出材量が追い付いていないため、国産材の原木価格の高騰を招いている状態だ。…山側の人材不足は今にはじまったことではないが、2013年は経済対策による公共事業の増加で、治山や路網整備に人手を奪われている状況もあるようだ。…川上から川下までの連携が重要だと、ことあるごとに叫ばれているが、現在のような状況が続けば、信頼関係も崩れていく。需要が急増しても、すぐに山を手当てできるわけではない。補助金の在り方や金融面も含め、マーケットの変動にうまく対応できるシステムの構築が求められる。」(『日本住宅新聞』2014.01.05)
●「東南アジア各国が成長持続に向け、主要都市の地下鉄や病院など生活インフラへの投資を加速する。都市部に人が流れ込み、交通渋滞といった経済活動への弊害が目立ってきたためだ。地下鉄やモノレールなど都市鉄道の2030年の総営業距離は、主要7都市の合計で約1685キロメートルといまの4倍弱に達する見込み。…経済成長を促す都市機能の強化で、各国がまず力を入れるのは住宅地とオフィス街などを結ぶ鉄道の整備だ。タイは首都バンコクで地下鉄やモノレールを大幅に延伸する。いまの総営業距離は79キロだが、29年までに508キロに延ばす。…マレーシアの首都クアラルンプールでも政府系企業による地下鉄の新増設が進む。16年をメドに既存路線を35キロ延ばし、17年には全長51キロの新線を開業する予定だ。…東南アジアの都市部の人口は2億6000万人と総人口の半分弱に達した。自動車の普及率も高まり、都心部では渋滞が深刻になる一方だ。バンコクでは車で30分の中心部から国際空港までの移動時間が、渋滞すると1時間30分程度になる。各国は外資の誘致を成長戦略の柱に据える。都市鉄道の整備ラッシュは、交通インフラなどライフラインが整った国であることを外資にアピールする狙いもある。」(『日本経済新聞』2014.01.06)
●「東京都財務局は、豊洲新市場の建設に向けて、昨年11月の入札が不調になっていた青果棟、水産仲卸売場棟、水産卸売場棟の3件の一般競争入札を再公告した。予定価格は青果棟が259億4592万円(税込み)、水産仲卸売場棟が436億0765万5000円(同)、水産卸売場棟が339億8535万円(同)。3件の合計額は約1035億円。前回の公告から65%増となる約407億円を上積みした。不調の根底にある『実勢価格との禾離(かいり)』に発注者が破格の大幅増額という決断を下した形だ。」(『建設通信新聞』2014.01.06)
●「民主党政権下の09年度に凍結された八ツ場ダム(群馬県長野原町)の本体工事が再始動する。国土交通省関東地方整備局は8日、本体建設工事の施工者を決める一般競争入札手続きに着手する。開札は今夏、着工は今秋以降になる見通しだ。19年度の事業完了を目標に、受注者には工期を短縮する技術提案を求める。政府は13年末に決定した14年度予算案に、八ツ場ダムの本体工事や地元住民の生活再建事業の費用などとして99億3100万円(国費は50億5100万円)を計上している。14年度予算案は今月24日召集の通常国会で審議されるため成立はしていないが、落札者の決定と請負契約締結を予算成立後に行うという条件を付けることで予算成立を待たずに発注手続き登別倒しできる特例措置を採用。早期完工に向け、施工者の決定に遅れが生じないようにする。」(『建設工業新聞』2014.01.08)
●「国土交通省は2014年度、まちの拠点エリアに医療や福祉などの都市機能を誘導するため、新たな補助制度を創設する。学校跡地など地方自治体が抱える公的不動産を、民間事業者に安価で賃借または売却して施設整備する場合に、国が直接、民間事業者に補助金を交付する支援スキームをつくる。低・未利用地を活用するなど一定の条件を満たせば、補助内容をさらに手厚くする。」(『建設通信新聞』2014.01.10)
●日本銀行は9日、2013年12月の「生活意識に関するアンケート調査」を公表した。現在の収入が「減った」との回答が40.6%に上り、同年9月の前回調査(39.4%)から増加した。1年後の収入についても、「減る」が37.8%と前回より1.8ポイント増えた。労働者の賃金減少が続く中、先行きの所得の増加にも慎重な見方が根強いことが示された。1年後の景況感については「良くなる」との回答が15.9%と前回調査(16.2%)を下回る一方、「悪くなる」は29.9%と前回(25.8%)を上回った。現在の景況感も1年前に比べ「悪くなった」との回答が21.5%と前回より増えた。(『しんぶん赤旗』2014.01.10より抜粋。)
●「財政負担をせずに庁舎を建て替え――。東京都渋谷区は区総合庁舎と、隣接する渋谷公会堂の建て替えに当たり、区の財政負担を最小限にとどめる提案を求める公募型プロポーザルを実施。敷地の一部に定期借地権を設定して民間ディベロッパーが高層マンションを建設することで庁舎と公会堂の建設費を賄うとした民間企業グループを選定した。区は財政負担を伴うことなく両施設の建て替えを実現させることになる。都内では豊島区でも全国で初めて区庁舎と超高層マンションを再開発事業として一体開発することで財政負担のない庁舎建設を進めており、官民連携による庁舎建設事業の新たな潮流として注目されている。」(『建設通信新聞』2014.01.14)
●「東京商工リサーチが14日発表した13年(1〜12月)の建設業の倒産は2421件(前年比19.3%減)と5年連続で前年を下回った。1991年(2283件)以来、22年ぶりに3000件を割り込む低水準。全国9地区すべてで前年を下回った。中小企業に借入金の返済を猶予する中小金融円滑化法が3月末に終了した後も金融支援が実質的に維持されたことや、東北を中心とした震災復興工事の進展、前払金制度がある公共事業の全国的な拡大も倒産減少に寄与したと同社はみている。」(『建設工業新聞』2014.01.15)
●財務省が14日発表した2013年11月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支は5928億円の赤字だった。赤字額は12年1月の4556億円を上回り、統計として比較可能な1985年以降で最大となった。赤字は2カ月連続。円安の影響で液化天然ガス(LNG)や原油など燃料の輸入額が膨らんだ。日本から海外への配当金支払いが増えたことも影響した。(『しんぶん赤旗』2014.01.15より抜粋。)
●「国土交通省は2014年度から道路の橋やトンネルの定期点検を地方自治体に義務づける。5年ごとに施設の健全性を4段階で評価する全国統一基準を導入する。危険と判断すれば、通行規制を命令できるようにする。道路補修のための新たな補助金創設も検討している。古くなったインフラを予防的な保全で長持ちさせて、費用を抑えながら安全対策を進める。…国交省によると、建設から50年以上たった施設の割合は、15メートル以上の道路橋で11年度の9%が31年度に53%に、水門などの河川管理施設は24%から62%に上昇するという。…国交省は老朽化した既存の道路の点検を都道府県や市区町村、高速道路会社に委ね、十分に把握できずにいた。そこで今回、道路の適切な維持管理に向けた省令案をまとめた。月内にも一般への意見公募を実施、4月以降の施行をめざす。主な点検対象は、全国に約70万本ある長さ2メートル以上の橋梁や1万本超あるトンネルだ。直轄国道と同じ5年に1度の点検をこれらすべての施設で義務づける。…政府は14年度予算案に自治体向けの『防災・安全交付金』を1兆円超計上しており、国交省は道路の点検や補修向けに優先配分する。15年度予算の概算要求に、道路の維持管理に使える新たな補助金制度を盛り込むことも検討中だ。」(『日本経済新聞』2014.01.03)
●「建築設計事務所各社が設計業務の手戻り対策に苦慮している。多発する入札不調によって設計や仕様の変更を迫られ、設計内容のミスではない要因で手戻り作業が発生。追加のフィーを得られないケースも多く、利益が圧迫される一因になっている。各社ともコストマネジメントの重要性を訴えるが、建設コストの先行きが読めない現状では、施工期間を見据えた高い精度での積算が困難な状況だ。」(『建設工業新聞』2014.01.09)
●「今月24日召集の通常国会に改正案が提出される予定の公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)。改正の目玉となる多様な入札契約制度の導入の中でもとりわけ注目されるのが、最も優れた技術を持った企業を選定し、価格や工法などを交渉して契約する『技術提案競争・交渉方式(仮称)』だ。民間の技術やノウハウを十分に活用できるようにするのが狙いとされる。…国土交通省は、昨年末に開いた有識者会議『発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会』(座長・小澤一雅東大大学院教授)で、同方式の導入に向けて対象案件の考え方や解決すべき課題を提示。改正法の運用段階を見越し、同方式の手続き上のガイドライン作りを進める方針を明らかにした。…現行制度では、公共工事を品質だけで調達する仕組みがなく、一定の予算を目安に最も良い品質のものを調達できる同方式を多様な入札契約制度の一つとして位置付ける必要性を訴えた。国交省が同方式の導入対象と想定しているのは、仕様の確定が難しい技術的工夫の余地が大きな工事。技術的難易度が高い工事だけでなく、工期などの制約条件から通常の構造や工法では条件を満足できない工事や、施工条件が複雑で個別性が高いことから仕様を事前に特定できない工事なども当てはまるという。技術提案を行う際、価格を意識しないで済む同方式では、見積価格が高くなることが懸念される。そうした指摘に同省は、提案のベースをそろえるための『参考額』を競争参加者に提示する考え方を示した。」(『建設工業新聞』2014.01.09)
●「人材不足が深刻化する建設業界で、『予備自衛官』の活用が注目されている。元自衛官などが普段は企業に属しながら有事の招集に応じるのが『予備自衛官等制度』。予備自衛官は数万人いるが、建設業界で雇用されているのはl割に満たない。自衛隊在籍時に大型車両の運転免許や玉掛けなど建設に関連する特殊技能を習得しているだけに、即戦力となる期待が高い。国土交通省も担い手確保の有効な手段になると関心を寄せている。」(『建設工業新聞』2014.01.08)
●「国土交通省は、建設技能労働者に支払われている賃金の水準を調べるアンケートを実施する。昨年6月時点で実施した13年度下請取引等実態調査では、3分の1の企業が4月以降に何らかの賃上げを実施したことが判明した。2月時点で実施する今回の調査は、その後に同省が実施した賃金水準引き上げに向けた対策の効果が見られるかを確認するのが目的。1月末にも対象企業に調査票を発送し、回収・集計の上、本年度未にも集計結果をまとめる。」(『建設工業新聞』2014.01.09)
●資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保が、前年度比で5兆円増の272兆円(2012年度)に達することが全労連・労働運動総合研究所(労働総研)の調べでわかった。大企業が内部留保を着実に積み増す一方で、民間企業労働者の年間平均賃金は、賃金のピーク時に比べ約60万円も減っている。大企業は、法人税の引き下げや租税特別措置による減免という優遇策の恩恵を受けつつ、定期給与の抑制や非正規雇用化など労働者に犠牲を強いることで、内部留保を増やしてきた。1997年度の約142兆円と比べると約130兆円も増やしている。…これに対して民間企業労働者の年間平均貸金は、賃金のピークだった1997年の約467万円から、2012年には約408万円と約60万円も減っている。この賃金抑制と非正規雇用化が、長引く「デフレ」不況の原因だ。昨年から景気回復にむけて賃上げを求める世論が広がっている。しかし、東京新聞の報道では、賃金の増額をおこなうとした企業は主要321社中19.3%にとどまっている。(『しんぶん赤旗』2014.01.14より抜粋。)
●「政府の2014年度当初予算案に盛り込まれた国土交通省や農林水産省など政府全体の公共事業費(社会資本整備事業特別会計廃止に伴う影響額除く)は、前年度比1.9%増の5兆3518億円。国交省分だけでも2.3%増の4兆5580億円となる。4月からの消費増税による影響もあるが、用地取得費など消費税が掛からないものを考慮すれば、ほぼ前年度並みの規模を確保した。5.5兆円規模の補正予算案と合わせ、2年連続の『15カ月予算』で本格的な景気回復を支えていく。一方、昨年12月の月例経済報告では、4年2カ月ぶりに『デフレ』の文言が削除されるなど、着実にデフレ脱却への道筋を歩み始めている。…国土交通省をめぐる14年最初の焦点は、『入札契約の適正化に向けた公共工事の品質確保の促進に関する法律』(品確法)と『公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律』 (入契法)、そして建設業法の改正作業だ。これらの法改正により、多様な入札契約方式の導入やダンピング防止などが明確化されることになり、行き過ぎた価格競争の是正や建設企業の適正な利潤の確保につながるか関心が高まる。…14年度当初予算案によって10年以上続いた当初予算での公共事業費の減少に歯止めがかかり、国土強靭化基本法などの成立もあって公共事業にも曙光が差し始めた。建設業界が長く求めてきた計画的・安定的な公共事業確保への一歩を歩み始める年になることが期待されている。ただ、東日本大震災からの復興事業の本格化や、20年夏季東京五輪の直接的・間接的な需要など、今後7年程度の間に見込まれる需要増大にどう対応するかという課題もある。特に、消費増税時の駆け込み契約案件が本格的に動き始める今春には、人手不足がさらに深刻化する見込みで、工事の進捗がままならない状況になれば、14年度当初予算の査定時に指摘されたような人手不足による公共事業不要論が再燃しかねない。建設業が総力を挙げて円滑な執行を実現しなければならない。」(『建設通信新聞』2014.01.06)
●「円安・株高で推移した2013年の金融・証券市場。年内最後の取引となった12月30日、円・ドル相場は1年前の86円から105円台半ばと5年ぶりの円安水準となったほか、東京株式市場の日経平均も終値1万6291円と6年2カ月ぶりの高値となった。安倍政権の経済政策『アベノミクス』効果によるデフレ脱却への期待とともに、内需拡大への機運が一段と高まる中、建設産業界のトップは2014年をどう見ているのか。トップの意識から各業種ごとに今後を占う。ゼネコン最大手5社のトップに共通しているのは、短・中期での収益回復と顧客の信頼向上、協力会までを視野に入れた生産システム改革実現へ向けた自信と、長期を見据えた明確な企業戦略だ。…昨年、建設需要が回復する中、これまでの不採算工事が多くのゼネコンの営業収益や単体での四半期決算の足を引っ張った。しかし今後について、…大手5社トップに短期・中期見通しの不安はない。建設産業界は、生産年齢人口の減少と高齢化という日本全体の構造的変化とともに、デフレとインフレが混在するという過去に経験したことのない局面を迎えていた。その結果、デフレ下で受注し、施工時には労務費や資材が高騰するインフレ状況に直面することで、ゼネコン各社は請負契約のリスクを再認識させられていた。資材高騰などを今後のリスク要因に挙げる準大手ゼネコントップも多い。にもかかわらず、…大手5社トップが労務・資材高騰への不安を口にしないのはなぜか。ひも解くかぎは、一定の建設市場確保が見込める20年東京五輪開催以降の建設市場、いわゆるポスト五輪を見据えた準備に大手ゼネコンが着手していることにある。裏返せば、売り上げ規模や人員、投資余力でリードする大手5社が、土木・建築・海外事業など従来からの主力事業を柱にした総合力の強みを全面的に打ち出し始めたとも言える。…短・中期の建設市場の動向に左右されず、20年東京五輪後の国内建設市場の中身を冷静に判断し、中長期的な個社の将来像を描きながら、そのための投資や布石を打つ。大手5社に限らず、ゼネコンは将来を見据えた準備を着々と進める年と『2014年』を位置付けている。」(『建設通信新聞』2014.01.07)
●「大和ハウス工業はインターネット通販向け物流施設の開発に重点投資する。2015年度までに2千億円を投じて全国の大都市近郊30カ所に施設を建設、ネット通販各社や物流会社のニーズを取り込む。物流施設の開発は三井不動産や外資系など不動産各社が相次ぎ強化している。急拡大するネット通販の即日配送サービスの充実につながりそうだ。大和ハウスは首都圏での施設開発を優先する。すでに昨年末には神奈川県相模原市に約150億円を投じて物流施設を開設。東京・江東有明北地区に都市再生機構(UR)から421億円で取得した3.6ヘクタールの土地も最新の耐震設備や自動搬送装置などを備えた大型物流施設にする。インターネット通販市場は拡大が続く。野村総合研究所によると、13年度の市場規模は12年度比13%増の11兆5千億円。17年度には17兆3千億円に増える見通し。通販各社は配送の速さを競うようになっており、物流施設を賃借するニーズが高まっている。」(『日本経済新聞』2014.01.11)
●「今後の国内建設市場は、東京オリンピック・パラリンピック関連需要やインフラの新設・大規模更新などから、中長期的に活性化していくと見込まれている。ゼネコン各社は自社の施工能力を見極めながらの受注を強いられそうだ。しかしその一方で、各社に海外市場への手を緩める気配はない。むしろ“攻め”の姿勢を鮮明にしている。2020年以降“ポスト・オリンピック”の国内市場を見据えた動きだ。主戦場の東南アジアでは、事務所や出張所を開設する動きが相次いでいるほか、入社したての社員や若手を海外研修に送り出すゼネコンも増えている。『将来的に全体の2割程度』――。こうした目標を掲げて緩やかに海外の拡大路線を打ち出すゼネコンは多い。…海外事業の拡大に向けた手法はさまざまだ。M&Aを駆使するゼネコンもあれば、比較的リスクの低い。DA(政府開発事業)案件を足がかりとする動き、ライバル社の参入が少ない国・地域で活躍する社もある。一方、比較リスクの高い土木事業からは距離を置き、建築中心で受注を進めるという戦略もある。 今のところ、日系企業の生産拠点整備などの需要を追いかける動きが多い。ただ、こうした需要が一巡することも念頭に入れ、各社とも現地の政府や企業からの受注を目指している。東南アジア市場では事務所や出張所を開設する動きも相次いでいるが、価格競争力に物を言わせる中国勢や韓国勢が台頭している地域では、難易度の高い工事など高付加価値案件が日本勢の勝負所となる。…日本のゼネコン各社は今、海外要員の育成に力を注いでいる。海外要員が一朝一夕には育たないのはもちろんだが、そこにはもう1つの期待がある。海外では、若手でも大きな現場を任されるケースが多い。海外のダイナミックな現場で、さまざまな困難に揉まれてきた人材のマネジメント能力に対する期待は大きい。国内にも難度の高い現場はたくさんある。現状では、『一度、海外勤務になると長い。下手をすると日本に戻れない』といった声も多いが、それは裏を返せば人的資源の固着化を意味する。海外で働ける人材をなるべく多くそろえ、その流動化を進めたいという思いは各社に共通している。こうしたことから、若手社員全員が1度は海外を体験できる研修システムを構築する動きが急速に広がっている。このほか、新入社員の一部を数週間の海外研修に送り出すゼネコンも出てきた。」(『建設通信新聞』2014.01.15)
●東京電力福島第1原発事故から3度目の新年を迎えた福島県では、避難指示などで約2万9000人が今も仮設住宅で暮らす。慣れ親しんだわが家に戻る見通しが立たない中、建物の劣化が日に日に深刻さを増し、住民は「他に行く当てもない」とため息を漏らす。災害救助法は、将来的な解体を前提とする仮設住宅の居住期間を原則2年と規定。長引く避難生活で、県は2015年度末まで延長し、今回初めて、基礎部分を中心に1万6800戸の総点検に乗り出した。…県によると、基礎部分が丸太の場合、劣化で建物が傾く恐れもあるため、一斉点検では、それぞれ施工を担当した業者に依頼し床下の基礎などを中心に調べる。(『しんぶん赤旗』2014.01.06より抜粋。)
●「都市再生機構の有識者検討会『超高齢社会における住まい・コミュニティのあり方検討会』(座長・辻哲夫東大特任教授)は9日、同機構が管理する団地を高齢者や要介護者向けに改修するための施策を柱とする中間まとめを発表した。高齢者が住み慣れた地域で明るく暮らせる住まいの形成に向け、同機構が今後行う施策や解決すべき課題を明示。全国で医療福祉施設の整備や高齢者向け住宅約2万戸供給などのモデル事業を実施することを求めた。」(『建設工業新聞』2014.01.10)
●「韓国政府は14日の閣議で、電力供給に占める原子力発電の比率を2035年までにいまの26%から29%に高める長期エネルギー基本計画を決めた。計画済みの11基以外に5〜7基の原発を新設する方針。日本での原発事故後に『脱原発』を求める意見もあったが、電力の安定供給や産業競争力の維持に配慮し、原発重視路線を維持する。35年時点の電力需要のうち、設備容量ベースで約3割を原発でまかなう。原発は火力や水力など他の電源に比べて稼働率が高く、実際の発電量のベースでの原発依存度は30%から40%台前半に 高まる。…韓国の原発は現在23基あり、建設中を含めた計画済みが11基ある。34基合計の設備容量は3600万キロワットで、35年までの長期計画で見込む4300万キロワットに及ばない。不足分の700万キロワットを埋めるため出力100万〜120万キロワット級の原発5〜7基の新設が必要になる。35年までに廃炉になる原発があればその分も新設を迫られる。東京電力福島第1原子力発電所事故や韓国での原発部品の性能証明書偽造事件を受け、野党や市民団体などは原発依存度の引き下げを求めていた。このため韓国政府は計画策定前に官民で構成する作業部会を設置。同部会は昨年10月、原発比率を22〜29%の間で設定すべきだとの勧告をまとめた。政府は上限値を採用し、原発拡大路線を明確に打ち出した。」(『日本経済新聞』2014.01.15)