情勢の特徴 - 2014年1月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国士交通省は14年度から、大規模港湾にある民間物流施設の建て替え支援に乗りだす。京浜、阪神両港などコンテナ貨物取扱量が10万TEU(20フィートコンテナ換算)以上ある港で、民間事業者が個別に所有している施設を共同で一つの大規模施設に建て替える場合、共用部の建設費を国費で補助する制度を創設。老朽化が進展している物流施設の再編を促し、利用ニーズが高い広い空間の確保や最新仕様への機能更新を急ぐ。」(『建設工業新聞』2014.01.16)
●「東京電力がまとめた『新・総合特別事業計画』によると、発送電分離を視野に入れたホールディングカンパニー制移行に先行して、2014年度に廃炉部門を分社化する。16年度から20年代初頭にかけて、『先端廃炉技術グローバル拠点構想』のグランドデザインを作成し、候補地を選定、建設する予定だ。また、14年度から火力事業で他社と包括的提携などを進め、広野火力発電所と常磐共同火力勿来発電所に最新鋭の50万キロワット級石炭ガス化複合発電(IGCC)各1基を建設・運転する。最速で20年の東京五輪開催までに1基を竣工させ、“オリンピック電源”に位置付けるなど、新たなエネルギービジネスの実現を目指す。」(『建設通信新聞』2014.01.17)
●「円借款の規模が拡大している。2014年度は9650億円と前年度に比べ8%増え、14年ぶりの高い水準になる見通し。財源の柱は、過去に日本が実施した円借款の返済金だ。中国や東南アジアが元利金の返済を始め、中東・アフリカなどへの新規借款に振り向けられるようになった。回収期に入った円借款は、安倍普三首相の外交を支える隠れた武器となっている。…援助した国から返済される元利金は14年度に6360億円と10年前より約6割も増える。円借款の実施機関である独立行政法人、国際協力機構(JICA)はこのうち4000億円程度を円借款の財源に使う。一方、税金による一般会計からの財源は485億円と10年前の4分の1に減る。それでも膨らんだ返済金が補い、高水準の円借款を続けられるというカラクリがある。…返済を前提とした円借款などの有償支援は日本の援助の特徴だ。政府開発援助(ODA)に占める有償の割合は12年に4割超で、先進国では突出している。先の大戦直後で貧しかった日本は『無償支援を出しにくく円借款が主体にならざるをえなかった』(外務省)が、援助国の自立を促す意味で有償支援に重点を置いてきた面もある。だが、円借款の先行きには不透明さも残る。高い経済成長が見込まれる新興・途上国にはグローバル企業が積極的に投融資している。支援を受ける国も雇用創出や技術移転につながりやすい民間投資を歓迎しており、円借款の需要は先細りするとの見方がある。途上国からは『円借款より無償支援を』との声が強まるおそれもある。」(『日本経済新聞』2014.01.19)
●「4月の消費税率引き上げを前に、国土交通省は経済産業省、公正取引委員会との連名で消費税の適正な転嫁について建設業に重点要請した。建設業団体101団体に対し、会員企業に消費税の転嫁拒否などがないよう周知することを求めたほか、消費税転嫁対策特別措置法違反の恐れがある場合は立入検査などを実施するとしている。公取委と中小企業庁が11月に実施した実態調査では、建設業からも転嫁拒否を懸念する声が寄せられており、国交省としても改めて周知することとした。…10月に施行した消費税転嫁対策特措法では、受発注者間や元・下問、下・下問などでの取引の中で規制対象となる行為を定めている。買いたたきや対価から消費税引き上げ分の減額、引き上げ分を上乗せする代わりに商品購入や役務提供などを求めること、消費税額を加えた総額しか記載しない見積書を提出させるなどの本体価格での交渉拒否などがその対象に当たると記載している。今回の通知では、規制対象を周知するとともに、事業者に法律違反の恐れがあれば立入検査を実施し、違反が認められれば公取委が勧告・公表などの処分を講じることを明記した。公取委と中企庁の実態調査は、建設業や製造業、卸売業など15万事業者を対象に実施。…建設業からは1765社から回答があり、発注者や元講企業などから既に転嫁拒否を受けていたり転嫁拒否を懸念するとした企業は229社に及んだ。寄せられた意見では、減額に関するものが170件、買いたたきが159件、本体価格での交渉拒否が101件、利益提供要請が85件の合計515件となった。」(『建設通信新聞』2014.01.20)
●「東京都は17日、14年度予算暫定案を発表した。一般会計は前年度比6.3%増の6兆6590億円、政策的経費に当たる一般歳出は2.3%増の4兆7010億円。うちインフラ整備に充てる投資的経費には10年連続増となる9083億円(前年度比4.8%増)を計上した。首都直下地震に備え、都市整備局が実施する木造住宅密集地域での耐震化・不燃化事業の本格化によって予算額が13年度よりも大幅に増えた。」(『建設工業新聞』2014.01.20)
●「東日本大震災で最も多く災害廃棄物が発生した宮城県石巻ブロック(石巻市、東松島市、女川町)の焼却処理が完了し、18日に発注者の宮城県と受託事業者の鹿島JV共催による火納め式が現地(石巻市潮見)で行われた。広域処理で災害廃棄物処理の加速化に協力した東京都、北九州市、茨城県など県内外の自治体関係者も参加し、復興が新しいステージを迎えた節目の日を祝った。同ブロックの仮設焼却炉の火納めで、県内の災害廃棄物用仮設焼却炉(26基)すべてがその役割を終えた。」(『建設工業新聞』2014.01.21)
●「日銀の大胆な金融緩和で長期金利が低位安定していることを踏まえ、財務省は来年度の国債の前倒し発行を最大5兆円増やす方針だ。2015年度に使うお金を14年度にあらかじめ調達しておける枠を25兆円に拡大する。金利水準が低いうちに発行を増やし利払い費を抑えながら国債の安定消化を狙う。税収の下振れなど今後の不確定要因に備える狙いもある。…政府が発行枠を増やすのは、会計年度よりも前に発行できる『前倒し債』とよばれる債券。調達したお金は国債整理基金特別会計にためておき、必要に応じて財政資金として使う。国債の需要が強い時期に発行を増やして翌年度の国債発行計画で発行額を減らすなど、市場の需給に応じて調整をしやすい利点がある。財務省はこの前倒し債の発行枠を14年度に前年度の当初計画に比べ5兆円増やして25兆円とする。24日に始まる通常国会に提出する特別会計の予算案の総則に盛り込む。当初計画では06年度以来の高水準だ。」(『日本経済新聞』2014.01.23)
●「財務省が27日発表した2013年の貿易統計(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は11兆4745億円の赤字となった。赤字額は過去最大だった昨年の6兆9410億円を65.3%上回った。円安傾向と原子力発電所の停止を背景に原油など燃料の輸入額が膨らんだ。赤字の増大は貿易立国としての日本経済の構造の変化を映す。…13年の赤字額は比較できる1979年以降で最大となった。日本の貿易収支は11年に東日本大震災の影響で赤字に転落して以降3年連続の赤字となった。3年連続の赤字も79年以降で初めてだ。ただ、13年の輸出額は3年ぶりに増えた。13年の大幅な貿易赤字の主因は輸入の増加で、輸入額は前年を15.0%上回る81兆2621億円だった。4年連続の伸びで、過去最大となった。火力発電に使う液化天然ガス(LNG)などが引き続き膨らみ、太陽光パネルやスマートフォン(スマホ)の部品に使う半導体も伸びた。外貨建て取引の基準となる円相場の公示レートは1ドル=96円91銭と、前年に比べ21.8%の円安・ドル高となり、円換算の輸入額を押し上げた。」(『日本経済新聞』2014.01.27)
●「総務省が30日に発表した住民基本台帳に基づく2013年の人口移動報告によると、東京周辺への人口集中が加速している。東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は転入超過が前年比2万9315人増の9万6524人。大都市でも名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)や大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は3年ぶりの転出超過となり、東京圏の増加が際立っている。東京圏は18年連続の転入超となった。12年末以降の円安や株高を背景とする景気回復の流れが、企業が集まる東京周辺の雇用増につながっているとみられる。東京都の転入超は7万172人と全国でも突出しており、次いで神奈川県が1万2356人、埼玉県が1万1554人と続く。…全国的にみると転入超は9都府県にとどまっている。一方で転出超は38道府県にのぼる。…市町村別では転出超が全国の76.2%を占めた。転入超は東京23区や札幌市、大阪市などが上位に名を連ねる。」(『日本経済新聞』2014.01.31)
●「建設経済研究所と経済調査会は30日、2013・14年度の建設投資の見通しを発表した。13年度は前年度比12.7%増の49兆4500億円とし、前回10月の予測から4700億円上方修正した。14年度の予測は1.1%減の48兆9200億円。政府建設投資の前年度からの反動減を見込むものの12年度を超える投資額を見込み、前回予測から1兆0700億円を上積みした。14年度の建設投資の内訳は、政府建設投資が3.5%減の19兆8200億円、民間住宅投資が2.7%減の15兆0400億円、民間非住宅建設投資が4.5%増の14兆0600億円と見込んだ。政府投資では、大型だった12年度補正予算があった13年度からの反動があると分析。民間は、住宅での消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動を考慮している。」(『建設通信新聞』2014.01.31)

行政・公共事業・民営化

●「北海道函館市の工藤寿樹市長は、対岸の青森県大間町でJパワーが建設中の大間原子力発電所について、国や同社に対し、建設差し止めを求め3月にも東京地裁に提訴する意向を固めた。自治体が原発を巡り国に訴訟を起こす全国初のケースとなる。…函館市は大間原発から半径30キロ圏内にあり、訴訟では『重大事故の発生で自治体崩壊という壊滅的な打撃を受ける』と訴えて工事の無期限凍結を求める見通しだ。」(『日本経済新聞』2014.01.18)
●「東日本大震災で発生した宮城県内の震災がれきのうち、可燃物の焼却が完了し、最後の作業現場となった同県石巻市の仮設焼却炉で18日、火納め式があった。がれきの焼却完了は、被害が大きかった岩手、宮城、福島3県で初めて。…昨年11月末時点の環境省のまとめでは、宮城県の震災がれき推計量は家庭ごみなど一般廃棄物の13年分に相当する1102万トン。震災後、沿岸部に仮設焼却炉29基をつくって処理を急いだ結果、11月末の進捗率は96%となっている。宮城県は今後、焼却灰の埋め立てなど残りの作業を続け、今年3月末までに震災がれき処理を完了する見通しだ。昨年11月末の進捗率が90%だった若手県もほぼ順調に作業が進み、今年3月末に終える見込み。しかし東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、仮置き場の確保が難航した福島県は62%と、処理が遅れている。」(『日本経済新聞』2014.01.19)
●「建設工事で、工事を引き受ける建設会社が決まらない事例が相次いでいる。東日本大震災の復興需要などで資材や人件費が上昇しているためで、予定されていた工期がずれ込むといった影響も予想されている。鋼材やセメントなどの資材価格や人件費は依然として上昇傾向。景気回復による民間投資の増加や東京五輪関連の工事需要なども見込まれ、今後もコスト高の影響が続く可能性がある。自治体などの公共工事では、自治体側が設定した予定価格の範囲内では安すぎるため建設会社が入札に応じられなかったり、応じても予定価格を上回り入札が成立しなかったりするケースが増えている。例えば東日本大震災からの復興工事が多い宮城県の場合、2013年4〜11月に県が発注した工事のうち25%で入札が成立しなかった。不成立の割合はさらに高まる兆しもある。入札の不成立は…過疎地などの規模の小さい工事にも多い。小規模工事は効率が悪く、建設会社側に利点があまりないためとみられる。」(『日本経済新聞』2014.01.21)
●「北海道旅客鉄道(JR北海道)で保線担当部署の7割以上がレール検査データを改ざんしていたことが21日、分かった。根深い不正の奥底には経営と現場の間の甘えがある。厳しい経営環境のなかで将来展望がなく内向きになり、世間から乖離した労使間のなれあいが腐食の温床となった。『レール幅の1〜2ミリメートルの修正なら安全に問題はないと思っていた』『日常業務では超過勤務をしてまで補修をしない』『最長で20年前からデータを書き換えていた』――。JR北海道が公表した社内調査の結果からは、安全を最優先すべき鉄道会社とはほど遠い実態が浮かびあがる。国土交通省は21日にまとめた特別保安監査結果の中で、長年のずさんなレール管理を『本社・現場ともに旧国鉄時代のやり方を漫然と続けそれすら維持できない』『前任者からの引き継ぎにより(改ざんが)慣例化していた』と厳しく指摘。同社にJR会社法による監督命令と鉄道事業法に基づく事業改善命令を通知した。」(『日本経済新聞』2014.01.22)
●「太田昭宏国土交通相は21日の会見で、公共工事設計労務単価と技術者単価の見直し、公共工事の入札不調防止対策実施を表明した。太田国交相は今年度労務単価を2月に引き上げるため、『今月中に関係機関と調整して見直しを行うよう、事務方に指示した』と説明。引き上げ率は昨年10月調査結果を反映させる。不調対策では、全国の自治体に対し建築工事での最新単価の適用やスライド条項の適切な活用を徹底するほか、歩切り根絶に向けた要請、主任技術者の兼任要件の緩和や柔軟な工期の設定などによる人手不足への対応も盛り込む。労務単価の見直しでは、技能労働者の賃金動向を調査する中で労務費の上昇傾向がみられることから、市場の状況に応じた見直しに踏み切る。従来は10月の調査を踏まえて翌年度の設計労務単価に反映させているが、今回は具体的な見直し内容を1月内にまとめ、2月以降に適用開始する。…また、技術者単価の見直しも月内に方針をまとめる。適用は14年度になる見込みだ。一方、不調対策は、▽公共建築工事の施工確保▽予定価格の適切な設定▽適正な工事採算性の確保▽人手不足への対応・平準化――の4つを柱に取り組みを講じる。」(『建設通信新聞』2014.01.22)
●「国土交通省は21日、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会(委員長・大森文彦弁護士・東洋大教授)を開き、インフラの品質確保とその担い手確保に関する当面講じるべき施策をとりまとめた。多様な入札契約方式の導入や業種区分の見直しなどこれまで議論された内容に加え、公共工事で元請企業や1次下請企業からの社会保険未加入企業の排除や、施工体制台帳の提出を義務付けていた下請金額の要件撤廃などを盛り込んだ。…社会保険未加入対策については、2017年度をめどに事業者単位での許可業者の社会保険加入率100%を目指すとした目標を達成するため、取り組みを加速化させる。今後の施策の方向性としては、公共工事の施工に社会保険未加入企業が関与していた場合の指導・監督の強化と、公共工事の元請企業とその1次下請企業からの社会保険未加入企業排除の2つ。…インフラの品質確保と担い手確保については、多様な入札契約方式の導入のほか、予定価格の適切な設定、低入札調査基準価格などの適切な設定、若手技術者・技能者の評価などを打ち出し、品確法による対応が望まれると提起。業種区分の見直しや公共工事での入札金額内訳書の提出義務付け、暴力団排除の徹底などを入契法や建設業法などの改正を含めた検討で対応する。」(『建設通信新聞』2014.01.22)
●「国土交通省は、建設業法で定める建設業の許可業種区分に『解体工事』を新設する。現行28業種に新区分を追加する業法改正案を24日開会の通常国会に提出する。許可業種区分の見直しは、1971年に建設業を登録制から許可制に切り替えて現行区分を設定して以来43年ぶりとなる。…解体工事の業種区分は、現行の『とび・土工・コンクリート工事』から分離独立する形で設ける。土木や建築の全体計画の中で行われる解体工事はそれぞれの『一式工事』区分で対応。新設区分は解体だけを手掛ける専門の業種となり、1件500万円以上の解体工事を実施する場合は許可取得が必要になる。」(『建設工業新聞』2014.01.22)
●「国土交通省が、24日召集の通常国会に提出する11本の法案が明らかになった。人口減少に合わせて都市の中心に住宅や交通機能などを集約する『コンパクトシティー』を推進しやすくする都市再生特別措置法と地域公共交通活性化法の改正案を提出。老朽化が進む高速道路の改修費を調達するため、既設道路の上部区間をデベロッパーに売却できるようにする道路法改正案も提出する。許可業種区分に解体工事を新設する建設業法改正案も提出する。」(『建設工業新聞』2014.01.23)
●「国土交通省は、日本企業のインフラ輸出を資金と人材の両面から支援する新会社『海外交通・都市開発事業支援機構(仮称)』を年内にも設立する。官民の金融機関などと連携し、支援対象の現地事業体に建設費の供給や運営・維持管理にたけた人材の派遣を行う。14年度予算案では会社の設立や活動にかかる費用として財政投融資に1095億円を計上している。新会社は、主に東南アジアの交通インフラ整備と都市開発に支援の照準を定める。…法案では、国交相による会社への監督権限などを規定する。会社は国交相の認可を経て設立し、政府が会社の株式総数の半分以上を常時保有。国交相は支援事業の決定認可や支援基準の策定、監督命令などを行う。新会社には政府がほぼ全額、民間が一部を出資する。支援対象の現地事業体に対する資金供給では、国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)、日本貿易保険(NEXI)といった政府系機関や民間の銀行などと連携する考えだ。政府が新会社を通じて支援対象の事業体の株式を買い取ったり、新会社と連携する銀行が融資を行ったりして建設費などの事業資金を供給する。」(『建設工業新聞』2014.01.23)
●「福島県が13年度上期(13年4〜9月)に行った建設工事の入札で、全体の20.8%が不調となっていたことが22日の入札制度等監視委員会で報告された。12年度通期の22.4%に比べると低い数字だが、11年度通期の12.2%との比較では約8ポイントと大幅に上昇した。県は除染作業に伴う労務不足などが不調発生率を押し上げたとみている。報告によると、13年度上期に開札した工事966件のうち194件が不調となったが、このうち応札者がなく入札が成立しなかった件数は128件と7割弱を占めた。出席した委員からは、年間を通じ工事発注件数をなるべく平準化したり、規模の小さい複数の工事を1件にまとめたりするなどの対策を求める声が上がった。」(『建設工業新聞』2014.01.24)
●「24日開会の通常国会に提出された2013年度補正予算案と14年度予算案を『15カ月予算』でみた、土木と建築をあわせた一般会計の公共事業予算規模は、7兆8341億円になることが分かった。12年度補正予算と13年度予算を合わせた15カ月予算との比較では25.4%減となる。12年度補正予算の規模が大きかったことが要因で、当初予算比では、12.1%増となった。14年度予算案の公共事業関係費は前年度比12.9%増だが、社会資本整備特別会計の廃止による一般会計への統合に伴う6167億円の影響額があるため、これを除いた伸び率は1.9%増になる。公共事業関係費は6府省に計上される。14年度予算案の内訳は、国土交通省が5兆7146億円(前年度比15.3%増)、農林水産省が6578億円(1.1%増)、厚生労働省が258億円(25.7%減)、経済産業省が17億円(0.2%減)、環境省が608億円(8.0%増)、内閣府が477億円(9.5%減)。」(『建設通信新聞』2014.01.27)
●「WTO(世界貿易機関)政府調達協定の対象となる基準の邦貨換算額が、2014年度から引き上げられる。財務、総務両省は24日、4月1日から16年3月31日までの2年間に適用する新しい邦貨換算額を官報公告した。国は予定価格(税込み)が6億円以上、地方公共団体は20億2000万円以上の建設工事がWTOの対象となる。適用基準のSDR(特別引出権)に変更はないが、円安による為替の影響で邦貨換算額が上がる。新たな邦貨換算額によると、国の建設工事の基準額は現行の『5億8000万円以上』が『6億円以上』に、地方公共団体は『19億4000万円以上』が『20億2000万円以上』にそれぞれ引き上げられる。また、建設に関連する調査・設計などの技術的サービスは、国が『800万円以上』から『6000万円以上』、地方公共団体が『1億9000万円以上』から『2億円以上』に変わる。WTO対象金額の引き上げにより、国土交通省の発注工事では、実質的にB等級の企業向け案件が増えることになる。」(『建設通信新聞』2014.01.27)
●「国士交通省は24日、14年度の調査・設計業務委託に用いる技術者単価を決定したと発表した。建設コンサルタント業、測量業、地質調査業に所属する1万数千人の技術者の給与実態調査に基づいて単価を設定。全職種単純平均で3万4033円と13年度単価に比べ4.74%の上昇となった。02年度単価と同程度の水準で、前年度からの上昇率は93年度(7.9%)以来、21年ぶりの高さとなった。技術者単価は、基本給相当額、諸手当(役職、資格、通勤、家族、その他)、賞与相当額、事業主負担額(退職金積立、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、児童手当)で構成し、所定労働時間内の8時間当たりの金額として算出する。」(『建設工業新聞』2014.01.27)
●「国土交通、総務両省は、公共工事の入札時に予定価格を根拠なく引き下げるいわゆる『歩切り』を根絶するよう地方自治体に要請した。両省はこれまでも、入札契約の適正化や迅速で円滑な施工の確保といった観点から他の措置とパッケージにした対策の一つとして歩切り防止を求めてきたが、歩切りだけを取り上げて根絶を要請したのは初めて。要請後もなお不適切な行為が見られる場合、個別指導や自治体名の公表にも踏み切る考えだ。…両省は従来も歩切り防止を自治体に繰り返し求めてきたが、予定価格の端数を切り捨てたり、根拠のない一定率を乗じて減じたりする行為が依然として後を絶たないという。全国中小建設業協会(全中建)が会員企業を対象に実施した調査では、6割強が『(歩切りを)されていると思う』と回答している。今回の要請では、入札の不調・不落対策を含め公共工事の円滑な施工を確保するためには、直近の資材価格や人件費の上昇などを踏まえ、実勢価格を反映した適正な予定価格を設定することや、技能労働者の賃金を適正水準にすることが重要だと強調している。」(『建設工業新聞』2014.01.28)
●「国土交通省は30日、2月から適用する公共工事設計労務単価を公表した。全職種の平均値で、昨年4月の適用からさらに7.1%(単純平均)の引き上げとなり、2012年度と比較すると23.2%増となった。東日本大震災の被災3県では、昨年4月から8.4%引き上げ、前年度からは31.2%増となる。技能労働者の不足を受けた労働市場の実勢価格を迅速に反映させるため、例年4月からの改定時期を早めた。新単価は2月1日以降に入札する案件から適用するほか、既契約工事でもインフレスライド条項を活用する。引き上げにより、予定価格は平均的に2%程度の上昇となる。」(『建設通信新聞』2014.01.31)

労働・福祉

●「国土交通省が、2020年東京五輪後も見据えて建設産業の担い手確保に向けた検討を始めた。民間の有識者らを交えた『建設産業活性化会議』の初会合を14日に開催。震災復興や五輪開催である程度の建設需要が想定される20年までを『短期』、それ以降を『中長期』として担い手の確保・育成による活性化策を今夏までにまとめる。」(『建設工業新聞』2014.01.16)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)の労働委員会女性技能労働者活用専門部会(能登谷英俊座長)に設置された同専門分会の女性委員らによるワーキンググループ(WG)が、15日に初会合を開いた。女性技能労働者の活用促進策などを女性の視点から議論。建設業の仕事のPRや、女性技能者を活用する企業へのインセンティブ付与、育児などを考慮した就労環境整備が必要との意見が出された。女子校の改築や住宅リニューアル工事などで女性による施工を選択肢として示すといった提案もあった。」(『建設工業新聞』2014.01.17)
●安倍晋三政権の「日本再興戦略」にもとづく労働時間法制の見直しの議論が労働政策審議会で始まっている。その中心である「裁量労働制」が広く事務系労働者に導入されればどうなるか。…裁量労働制は原則、実際に働いた労働時間にかかわらず、あらかじめ決められた時間を働いたものとみなす制度(みなし労働時間)です。1日10時間働いたとしても、あらかじめ「8時間働いたとみなす」と決められれば、2時間分の残業代は支払われない。労働基準法では1日8時間、1週40時間が原則。裁量労働制はこの例外として1988年に導入された。対象の労働者は、本社などの中枢部門で企画、立案などをおこなう事務系社員で、業務の遂行や時間配分を自分の裁量で決定できるなど、厳しく限定されている。手続きも厳格で、労使代表で構成する委員会の決議、労働者本人の同意などを必要とする。このため適用労働者の割合は、調査した企業のうち0.3%(政府発表)にすぎない。政府は、「企画業務型裁量労働制の弾力化」(規制改革会議答申)として、対象となる労働者の拡大、手続きの簡素化をねらっている。(『しんぶん赤旗』2014.01.17より抜粋。)
●厚生労働省は17日、企業が派遣労働者を受け入れる期間の上限をなくし、専門業務と一般業務の区分を撤廃するなどとした報告書案を労働政策審議会の労働力需給制度部会に示した。今月末に開催予定の同部会で建議がねらわれる緊迫した状況になっている。…新たに加わった内容は、企業が3年を超えて派遣労働者を受け入れる際、労働組合などからの意見聴取にあたって資料を提供することや、前回の法改定で原則禁止された日雇い派遣を法改正によらずに実施できる見直しを検討することなど。日雇い派遣は現在、指定された業務、生業(なりわい)収入500万円以上の人の副業、世帯収入が500万円以上の人で主たる生計者以外の人などが例外として認められている。(『しんぶん赤旗』2014.01.18より抜粋。)
●「『建設業で正社員の不足感は回答企業の6割』――。帝国データバンクが全産業の企業を対象にした『人手不足に対する企業の意識調査』で、建設業の人手不足感が最も高いことが鮮明になった。正社員不足と回答した企業が回答の5割を超えたのは、建設業含め人材派遣や情報サービスなど7業種に上っており、人材不足感を抱く業種が広がっている形だ。調査は全国2万2884社を対象に実施。有効回答は1万0375社(期間は昨年12月からことし1月6日)。このうち、『正社員が不足』と回答したのは4740社で、回答企業の約4割が正社員の不足感を抱いている結果となった。業種別で回答企業の半数以上が正社員不足とした業種が建設業の59.7%をトップに7業種に上ったことに、帝国データバンクは、『消費増税駆け込み需要やアベノミクス効果によって景況感が急速に回復している業種で人材不足感が浮き彫りになった』と分析している。また、従業員の過不足感で『不足』と回答した企業での人手不足の影響について、建設業(874社、複数回答)では77.6%に当たる678社が『需要増への対応が困難』としたほか、『技能・ノウハウの伝承が困難』と回答した企業も359社と半数近くに上った。」(『建設通信新聞』2014.01.23)
●「厚生労働省は23日、自営業者らが加入する国民年金の納付率向上に向けた対策をまとめた。所得400万円以上で、保険料を13カ月以上滞納している人を対象に資産を差し押さえるなど強制徴収に踏み切る。失業者など低所得者向けには納付を猶予する制度を拡充する。4月から順次実施する。」(『日本経済新聞』2014.01.24)
●「政府は、建設分野で即戦力となる外国人の活用を拡大する検討に入った。24日の閣僚会議で年度内に具体的な措置内容をまとめることを確認した。建設業界から要望が出ている外国人技能実習生の実習期間を現行の3年から5年に伸ばすほか、再入国容認や受け容れ人数枠拡大などの方策を具体化するとみられる。2020年東京五輪の関連施設整備で懸念される人手不足を外国人活用で補う時限的緊急措置となる。…外国人技能実習生の活用促進は、人手不足対策のほか、インフラ輸出を進める上で現地の担い手を確保するという効果も期待できる。太田国交相は同日の記者会見で、『実習生は1年で5000人ほど。(現行制度が)3年間なので、現時点で1万5000人になるがこれをもう少し拡充することが狙いだ』と述べた。」(『建設工業新聞』2014.01.27)
●「2013年(1−12月)の建設業での労働災害による休業4日以上の死傷者数が、前年同時点比0.9%増の1万5762人と、3年連続して増えていることが、厚生労働省が28日までにまとめた13年の労災発生状況(1月7日時点、速報値)で分かった。死亡者数は8.5%減の324人で、2年ぶりに減少に転じている。…死傷者数の増加は、建設業に携わる労働者が不足している中、震災復興需要に加え、『アベノミクス』による建設需要のさらなる増加などによって工事量が増え、現場経験が少ない労働者が入職していることなどが安全衛生活動に影響を及ぼしているとみられる。建設業死傷者の事故別人数は、『墜落・転倒』が全体の34.8%を占める5490人で、前年同時点速報値と比べ69人多い。このほか、『はさまれ巻き込まれ』が1749人、『飛来・落下』が1671人、『切れ・こすれ』が1499人、『転倒』が1459人などとなっている。」(『建設通信新聞』2014.01.29)
●「厚生労働省は31日、2014年度の公的年金支給額を0.7%引き下げると発表した。国民年金と厚生年金を受給する全ての人が対象で4月分から変更する。国民年金を満額で受け取っている人は13年度と比べ月額で475円減の6万4400円となる。厚生年金を受け取る標準世帯では同1666円減の22万6925円だ。」(『日本経済新聞』2014.01.31)

建設産業・経営

●「主要な建設資材である生コンクリートの価格が上がっている。全国の指標となる東京地区で1年8カ月ぶりに上昇したはか、値上げ表明も各地で相次いでいる。公共工事の増加や消費増税前の駆け込み需要を背景に出荷が好調だ。原材料高も生コン価格の上昇を招いている。規模が最大級の東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央)や、東関東生コン協同組合(東京・足立)が昨年から打ち出していた値上げが今月、需要家のゼネコン(総合建設会社)を中心に浸透した。都内の指標価格は1立方メートル1万2800円と昨年末に比べて約2%高い。…生コンの需要は好調だ。全国生コンクリート工業組合連合会(東京・中央)によると、2013年11月の全国の出荷量は前年同月比9%増だった。前年を上回るのは11カ月連続。公共工事の増加などで引き合いが強い。東京ではマンション建設や都心の再開発事業などで需要が伸びている。…生コン価格が上昇したのは原材料の値上がりが背景。関東では生コンに入れる砂や砕石である骨材の生産業者が4月から1トン1000円の値上げを打ち出している。昨年春に5年ぶりに価格が上昇し、取引価格は1トン3000円前後となった。」(『日本経済新聞』2014.01.18)
●「地域建設業が直面する経営上の最大の問題は人手不足―。公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)が昨年12月に行った13年度第3回建設業景況調査でそうした現状が明らかになった。これまで経営上の問題点で上位を占めていた『競争激化』や『受注の減少』の割合が低下。代わって『人手不足』『下請の確保難』の割合が上昇した。市場縮小で就業者が減ったところに公共工事が増加。各社が人手の確保に苦労している現状がうかがえる。」(『建設工業新聞』2014.01.21)
●「全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)は24日に理事会を開き、昨年に9地区で実施した公共発注機関との意見交換会の結果を報告した。意見交換では、発注の平準化やC・Dランク工事での指名競争入札の採用、最低制限価格の引き上げなどを求める声が上がった。…歩切りについて、『市町村では5〜10%、ひどいところでは20%も歩切りを行っており、技能労働者の賃金引き上げと社会保険加入の阻害要因になっている』といった強い危機感を示す意見が出された。一方で、歩切りが法律違反であることを首長に伝えたことで、5%の歩切りを止めたケースもあったという。このほか、『(大幅に引き上げられた)公共工事設計労務単価の採用が町村では進んでいない』『現場の実態に合わない設計・積算が行われ、しわ寄せが施工に来ている』『施工パッケージ積算方式は地方に不利な方式になっているので見直しが必要』『事故繰り越しへの適切な対応を講じてほしい』といった意見も出された。」(『建設工業新聞』2014.01.27)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)のまとめによると、会員企業48社の13年(1〜12月)の受注総額は12兆6529億円と前年を22.0%上回った。13兆円を上回っていたリーマンショック前の08年実績には届かなかったものの、5年ぶりの12兆円超えとなった。消費税率引き上げ前の駆け込み需要でサービス業からの受注が前年比69.3%増と大きく伸びたほか、東日本大震災の復旧・復興関連の除染業務や土地造成などで官公庁からの受注も増加した。受注総額の内訳は、国内分が11兆9444億円(21.0%増)、海外分が7086億円(41.2%増)。国内分のうち、民間からの受注額は8兆6228億円(21.7%増)で、発注者別の内訳は製造業1兆2886億円(4.5%減)、非製造業7兆3442億円(27.9%増)。非製造業では、サービス業や不動産業からの受注が増加し、全体を底上げした。製造業は化学などからの受注が減り、マイナスとなった。…官公庁からの受注額は3兆3091億円(20.0%増)。発注者別内訳は、国の機関が2兆0286億円(16.5%増)、地方機関が1兆2805億円(25.8%増)といずれも2桁の増加になった。」(『建設工業新聞』2014.01.28)
●「長谷工コーポレーションは企業の社宅や賃貸マンションを買い取って改修し、割安な『新築並み住戸』として分譲する。台所など設備を最新仕様に入れ替えたうえで、立地などが同条件の新築より価格は2〜3割安く抑える。消費増税や地価上昇で新築マンションの価格上昇が見込まれている。安く良質な住宅の供給が増えれば、子育て世代などにとって購入時の選択肢が広がりそうだ。」(『日本経済新聞』2014.01.29)
●「海外建設受注が3年連続で1兆円を超えた。海外建設協会(白石達会長)がまとめた会員49社の2013年度(4−12月)の海外受注額は、12月末時点で1兆0484億5700万円となった。前年同期比28.1%の増。アジアのほか、中東、アフリカでの受注が増加している。4−12月の海外受注額のうち、本邦法人は62.1%増の4165億2200万円、現地法人は12.5%増の6319億3500万円となった。5月以降、8カ月連続で単月の受注額が1000億円を超えており、このペースで推移すれば、13年度計の受注額は11年度の1兆3503億円を超える可能性がある。」(『建設通信新聞』2014.01.29)
●「標準見積書を使って社会保険料の別枠支給を請求しても、元請がなかなか認めようとしない―。東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、館岡正一理事長)が会員を対象に行った調査で、法定福利費を内訳明示した模準見積書の効果が十分には表れていない実態が浮き彫りになった。組合員からは『反応がない』『払う気はなさそう』といった悲観的な声も寄せられた。…提出された見積書は計364件で、標準見積書が使われたのは178件(49%)。うち元請に受理されたのは121件(68%)、受理されなかったのは57件(32%)で、社会保険料の事業主負担分を認めてくれたのは8件にとどまった。」(『建設工業新聞』2014.01.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省国土技術政策総合研究所(国総研)はこのほど、2014年度に進める重点研究の概要を公表した。防災・減災対策や建築物の老朽化対策など18課題のうち、新規課題が7つ。このうち、『持続可能で活力ある国土・地域の形成と経済活性化』の項目で、“住生活の満足度”を図る指標を開発し、効果的に施策に反映する方策の研究に取り組む。国の住宅政策の基本的方針や目標等を定めた住生活基本計画では、大目標として“豊かな住生活の実現”を掲げている。だが、『社会の成熟化に伴い住生活ニーズが多様化・高度化しているなかで、国民が「住生活の豊かさ」をどのような意識構造で、どう評価しているのか未解明』だと国総研は課題を指摘する。そのため、住生活の豊かさを規定する指標が確立せず、住生活基本計画の成果指標も、どうしても住宅のハード面の状態を示す指標が中心になってしまっている。当然、施策の実施による住生活満足度の到達状況を評価する仕組みも、十分には構築できていない。様々な住宅施策が推進されているが、政府は財政状況を踏まえ、政策評価を適切に行い効果的な施策を重点的に実施する方針でもある。だが、施策の効果を評価する仕組みも未確立だ。こうした背景を踏まえ、国総研は『多様な世帯属性ごとの住生活の豊かさに対する満足度(住生活満足度)の評価構造を解明し、住生活満足度を規定する指標を用いた効果的な住宅施策の実施・評価手法の確立を目指す』としている。」(『日本住宅新聞』2014.01.15)
●「国土交通省は、耐震性が不足している分譲マンションの建て替えを促すため、区分所有者の5分の4以上の賛成があればマンションの建物と敷地をデベロッパーに売却できる制度を創設する。改築費の分担割合などをめぐり時間がかかりがちな区分所有者の合意形成にかかる負担を減らすのが最大の狙い。一定の要件を満たせば容積率を緩和する特例制度も導入する。24日召集の通常国会にマンション建て替え円滑化法の改正案を提出。年内にもこれらの制度を始められるようにする。」(『建設工業新聞』2014.01.21)
●「国土交通省は、毎月の不動産価格動向を指標化した統計データ『不動産価格指数』の運用を強化する。現在は住宅に特化して試験的に運用しているが、対象を店舗や事務所など商業用不動産にも拡大。14年度にも商業用不動産の価格指数の試験運用を始める。住宅の情報提供もさらに充実させるため、価格とは別に取引の件数や面積などを指標化して資産の換金のしやすさを示す『流動性指標』も整備する。…不動産価格指数は、2000年代後半に欧米で不動産バブルが崩壊したのを教訓に、国際通貨基金(IMF)などが先進国や新興国政府に整備・公表を提唱。11年に欧州主導で住宅に特化した不動産価格指数の整備運用指針が策定され、国交省は12年8月に試験運用を始めた。同省は、14年度に住宅不動産の価格指数の本運用を目指すとともに、未整備の商業用不動産の価格指数も導入して14年度にも試験運用を始める。店舗や事務所、工場、倉庫で構成する商業用不動産の価格指数は、最近の不動産投資信託(Jリート)の普及などで不動産取引市場が活性化し、金融機関や投資家などの関心が高いためだ。国交省によると、商業用不動産の価格指数の整備運用指針は14年度に欧州主導で策定される見通しだ。」(『建設工業新聞』2014.01.22)
●「首都圏の2013年のマンション発売が6年ぶりの高水準となった。不動産経済研究所(東京・新宿)が22日まとめた新築発売戸数は12年比23.8%増の5万6476戸だった。住宅ローン金利や販売価格の先高観を背景にファミリー層が積極的に購入に動いた。20年の五輪開催や相続関連の課税強化も追い風となった。14年の首都圏の発売戸数の予測は横ばいの5万6千戸。」(『日本経済新聞』2014.01.23)
●「厚生労働省は来年度の新規事業として『低所得高齢者等住まい・生活支援事業』を盛り込んだ。自立した生活を送ることが困難な低所得・低資産高齢者を対象に、社会福祉法人やNPO法人等が、地域支援の拠点となること等を通じ、@既存の空家等を活用した低廉な家賃の住まいの確保を支援するとともに、A日常的な相談等(生活支援)や見守りにより、高齢者が住み慣れた地域において継続的に安心して暮らせるような体制を整備することについて、国としても支援する。また、Bこれらの事業を実施するための基金の立ち上げ支援とともに、広域プラットフォーム(地域連携・協働の仕組)の構築に対する支援も併せて行う。実施主体は、@Aが市区町村(社会福祉法人等へ委託)、Bが都道府県(社会福祉法人等へ委託)。」(『日本住宅新聞』2014.01.25)
●「国土交通省は、高齢化のさらなる進行や本格的な人口減少社会の到来を見据え、『多極ネットワーク型コンパクトシティー』の形成を促す。一定のエリア内に住宅や医療・福祉、商業施設などが集積したまちの拠点を複数つくり、それらをバスや鉄道などの公共交通網でつなぐ。今通常国会で必要な法改正を行い、予算措置や金融支援などの内容を大幅に充実させる。」(『建設通信新聞』2014.01.30)
●「国土交通省は29日、『既存住宅のリフォームによる性能向上・長期優良化に係る検討会』(座長・深尾精一首都大学東京名誉教授)の第4回会合を開き、既存住宅の長期性や優良性を明らかにするリフォーム基準案を示した。新築基準に近い『クラスS』と、劣化対策など一部項目の等級が1ランク下の『クラスA』を設定し、それぞれの認定に必要な建物水準をまとめた。劣化対策や維持管理・更新の容易性などの『長期性』について、クラスSの場合は新築基準相当とするが、リフォームでの対応が困難なケースも想定されるため、ソフト対策を含む代替基準などを定める。例えば劣化対策のうち、40センチ以上が求められる基礎高さが3センチしかない場合でも、雨はね防止措置などを施すことで新築基準相当とみなす。耐震性や省エネ、バリアフリーなどの『優良性』は、既存住宅としての評価基準を設定する。耐震性については、新築の長期優良住宅は耐震等級2以上などが必要だが、新築と同等の水準以外に、現行耐震基準を満足している物件などもクラスSの認定を受けられる。…国交省では今後、2014年度に創設する補助事業『長期優良住宅化リフォーム推進事業』を通じて基準案を検証。併せて、既存住宅の住宅性能表示制度で基準が定められていない『劣化対策』と『省エネ』の項目について、適切な基準を検討していく。15年度以降に、既存住宅のリフォームにおける長期優良住宅認定基準の告示化などを行う。」(『建設通信新聞』2014.01.30)

その他

●「中国国家統計局は20日、2013年10〜12月の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前年同期に比べ7.7%増えたと発表した。13年通年も7.7%と、8%成長を2年連続で下回った。10〜12月期の成長率は7〜9月と比べわずかに鈍った。インフラ投資が下支えしているものの、生産などに陰りも見え始めており、安定成長の持続には不安も残る。」(『日本経済新聞』2014.01.20)
●国際労働機関(ILO)は20日、雇用情勢に関する報告書で、2013年の世界の失業者が速報値で2億180万人と、初めて2億人を突破したと発表した。14年は2億600万人、失業率は13年比0.1ポイント悪化の6.1%と予測している。それによると、13年の失業者数は12年から490万人増えた。日米欧など先進国の失業者が4470万人とほぼ横ばいとなる一方、中国を含む東アジア、南アジアで深刻化。失業者増加のほぼ半分を占めた。また15〜24歳の若年層の失業者は12年比70万人増の7450万人、失業率は13.1%と高止まりしている。特に先進国、中東、北アフリカでは07年以降の悪化が目立っている。ILOは、次世代技術や環境エネルギー、高齢化に伴うサービスなどの産業分野で18年までに2億人の雇用が創出されると予想。しかし失業者も2億1520万人に達するとしており、厳しい雇用情勢が長期化するとみている。(『しんぶん赤旗』2014.01.22より抜粋。)