情勢の特徴 - 2014年2月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「環境省は14日、福島第1原発事故で福島県外に飛散した放射性物質の除染作業の進ちょく状況(13年12月末時点)をまとめた。学校・保育園は98%、公園・スポーツ施設が95%などと優先的に行う施設ではほとんど除染が完了したほか、住宅の除染進ちょく率も前回集計(13年8月末)の44%から59%へと大幅に上がった。」(『建設工業新聞』2014.02.17)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)は20日、2013年の全国のマンション販売戸数が6年ぶりに10万戸を超えたと発表した。14年は13年比4.5%増の11万戸になるとの見通しで、高水準を維持するという。4月に消費税が8%となるが、住宅ローン減税の拡充などが需要を下支えする。金利や販売価格の先高観からファミリー層を中心に根強い需要があると分析している。13年の発売戸数は12年比12.2%増の10万5282戸。…特に伸び率が大きかったのは首都圏で前年比23.8%増となった。2020年の東京五輪開催が決まったこともあり、湾岸部の大型物件の販売が好調に推移。近畿圏は6.1%増だった。」(『日本経済新聞』2014.02.21)
●「貿易と投資の自由化をめざす環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会合は25日、大枠合意を実現できないまま閉幕した。昨年末に続く2度目の交渉物別れ。要の日米が関税分野で対立し、新興国を含む全体交渉も停滞した。4月下旬のオバマ大統領のアジア歴訪をにらみ仕切り直しとなるが、TPP交渉は停滞感が強まっている。」(『日本経済新聞』2014.02.26)
●「3メガバンクは日銀が金融機関の融資拡大を促す制度を拡充したのを受け、ファンドを相次ぎ増額する。日銀による低利の資金供給を活用し、環境・エネルギーや医療・介護など成長分野への貸し出しを加速。金融緩和の効果が実体経済に波及するのを後押しする。 日銀は18日の金融政策決定会合で、1行あたり1500億円が上限だった成長融資に対する支援額を1兆円に引き上げることを決めた。3メガ銀は日銀の制度拡充を利用し、3月にも成長企業への貸し出しを始める。三菱東京UFJ銀行は2000億円のファンドを設け、27日から融資の受け付けを始める。第1弾として3月6日から別日までの間に、社会インフラ整備や環境・エネルギー分野などで成長が見込める企業に融資を実行する。三井住友銀行は『環境』『中国』など5分野で設けている総額1500億円のファンドを増額。…みずほ銀行も26日、2010年度に設定した成長分野に対応する5000億円のファンドを1兆円に倍増すると発表した。…日銀は成長分野への資金供給のほかに、貸し出しを増やした金融機関への支援制度も拡充する方針を決めている。3メガ銀は『貸し出し増加』の枠も併せて活用を検討し、増加傾向が続く国内の貸出残高を安定的に増やしたい考えだ。」(『日本経済新聞』2014.02.26)
●国際通貨基金(IMF)は26日、所得格差が経済成長を阻害する一方で、所得の再分配政策には成長を促す効果があるとの研究報告を発表した。報告は、IMFが従来、目をつぶってきた所得格差と経済成長の関係にふれ、「格差を放置して成長に焦点をあてることは誤りだろう。結果としての成長が、低調で持続性のないものになるからだ」と述べた。成長を阻害するとしてきた所得再分配については、「報告に使用した過去のデータには、再分配が成長に否定的な影響を与えるとの根拠は、ほとんど見つからなかった」と指摘。高額所得者への高率課税や低所得者への多額の所得移転など、極端な所得再分配には否定的な効果があるとしつつ、「平均的な再分配と、それに伴う格差の縮小は、より好調で持続的な成長につながる」と結論付けた。(『しんぶん赤旗』2014.02.28より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、地方公共団体のPPP・PFI導入を後押しするため、2014年度に新たな支援事業を始める。事業化を目指す初期段階からのアドバイザー派遣と、公共施設の資産や財務などに関する各種情報の整備支援という2つの取り組みが柱。ノウハウや専門的な人材を持っていない自治体の案件組成を手助けして裾野を広げるほか、民間参入時の大きな障壁となっている施設データ不足の解消事例を作って水平展開し、普及拡大への道筋を付ける。」(『建設通信新聞』2014.02.17)
●「政府は14日、6日に成立した13年度補正予算に盛り込んだ経済対策を前倒しで実施する数値目標を設定した。5.5兆円の予算のうち公共事業など3.4兆円を対象に、6月末までに7割、9月末に9割が実施済みとなるよう関係省庁に要請した。公共事業の多くを所管する国土交通省は同日、幹部が参加する組織横断の体制を構築。円滑施工の阻害要因となる事項を洗い出し、必要な対策を機動的に講じていく活動をスタートさせた。」(『建設工業新聞』2014.02.17)
●「東京23区の14年度当初予算案が17日、出そろった。一般会計の総額は前年度比4.6%増の3兆3778億7400万円、特別会計を含む予算案の総額は4.3%増の5兆1269億3000万円。一般会計、総額ともに05年度以降で最大規模となった。投資的経費の総額は20.5%増の4389億4500万円で、各区は13年度に引き続き首都直下地震の発生に備えた防災・減災対策やインフラの老朽化対策、待機児童対策などに予算を重点配分した。中央区や江東区をはじめとする8区が2020年東京五輪を契機とするまちづくり推進経費を計上した。」(『建設工業新聞』2014.02.18)
●「国土交通省が今国会に提出予定の建設業法や公共工事入札契約適正化法(入契法)などの一括改正案の概要が18日、明らかになった。一定規模以上の公共工事の受注者に義務付けている施工体制台帳の作成・提出を小規模工事にも拡大。維持更新工事などでも施工体制の把握を徹底し、手抜き工事や不当な中間搾取を防止する。入札金額の内訳提出も義務付け、見積もり能力がない業者の排除や談合の防止につなげる。」(『建設工業新聞』2014.02.19)
●「国土交通省は、公共建築工事の入札不調・不落対策として、見積括用方式とインフレスライド条項の運用マニュアルを作成した。実勢価格に応じた予定価格が設定できるよう、最新単価を適用するための方法を明確化したほか、契約後に賃金などに変動が見られる場合にスライド条項で対処するための運用方法を示した。…見積活用方式のマニュアルは、標準積算と実勢価格の間にかい離が生じて不調・不落となった工事や、過去に不調・不落となった工事の類似工事での活用を念頭に、入札手続きや見積書の提出方法、予定価格の作成などについての流れを示した。公告の段階では、適用対象工事であることを示し数量書に見積もりを求める工種を提示する。予定価格の作成については、企業からの見積価格の妥当性を資材の取引書類などを根拠に確認し、複数の見積もりの平均値から反映させる。」(『建設通信新聞』2014.02.20)
●「地方公共団体の下水道関係技術者の減少に伴う、中小市町村の脆弱な管理体制が浮き彫りになった。国土交通省の資料によると、下水道担当職員が5人未満の市町村は全国に約500団体存在する。特に専門性の高い機械・電気・水質の職員数は、政令市と人口30万人以上の都市で全体の8割程度を占め、大都市に技術者が集中し地方都市が手薄になっている。下水道事業を行っている全国1413市町村のうち、下水道職員が50人以上いるのは全体の7%に満たない95団体。一方、5人未満は約36%の501団体となっている。最も構成比が大きいのは、5人以上20人未満の約49%で688団体だった。また、下水道職員数の多い上位100団体で全国の職員総数の約6割を占めるなど、マンパワーは大都市に偏在している。」(『建設通信新聞』2014.02.21)
●「国土交通省は24日、今後の水資源政策のあり方を議論している『国土審議会水資源開発分科会調査企画部会』の第7回会合を開き、具体的な取り組みを固める上での論点を整理した。従来の水資源政策は、水需給バランスの確保に重点を置いていたが、今後はこれに加え、大規模災害や危機的な渇水『ゼロ水』、インフラの老朽化、気候変動による深刻な事象など、発生頻度は低いが社会的影響の大きいリスクにも対応できるようにする。ハード、ソフト両面において、従来施策の継続・強化と新規施策の実施という対策の重層化を図り、危機時も視野に入れた『幅を持った社会システム』の構築を目指す。」(『建設通信新聞』2014.02.25)
●「施工パッケージ型積算方式の活用が全国の自治体で広がり、地方建設業界に単価の設定方法や制度についての懸念が高まりつつある中で、国土交通省は制度理解の促進に取り組む。技能労働者不足などで実態と単価にかい離があると指摘される中、施工パッケージ型積算方式では施工状況の実態調査がしやすく元下間の取引の透明性も確保できるとし、より実勢に近い単価を反映する仕組みであることを強調している。同方式は、直接工事費を施工単位ごとに機械経費、労務費、材料費を含んだ標準単価を設定して積算するもの。…方式は都道府県だけでなく市町村レベルでも導入が広がりつつある。ただ、特に地方建設業界からは技能労働者が不足する中、自治体の積算能力が相対的に低い状況で実態に見合った積算となっているか懸念する声も出ている。」(『建設通信新聞』2014.02.26)
●「都道府県の14年度予算案が25日、知事選直後のため公表時期が未定の山口県を除いて出そろった。一般会計の総額は50兆7243億円で前年度比3.0%増、公共事業などに充てる投資的経費の合計は7兆3403億円で1.4%増。投資的経費は12府県が前年度を下回ったが、13年度の補正予算に前倒し計上した分などを含めると上積みされる。引き続き国の経済対策に連動し、積極的な予算編成で地域経済の活性化に取り組む自治体が目立つ。…投資的経費が一般会計全体に占める比率は14.5%となり、前年度から0.2ポイント下がった。引き続き公共事業を中心に重点配分し、インフラの新設や老朽化対応などを推進。発生が予想される大地震・津波など自然災害に対する防災対策も強化し、市民の安心・安全を確保する。」(『建設工業新聞』2014.02.26)
●「国土交通省は26日、直轄工事の元請と1次下請業者から社会保険未加入業者を排除する措置を今夏以降に実施することを明らかにした。入札参加時に元請となる業者の社会保険への加入状況を確認し、未加入業者は入札から排除する。施工体制台帳から1次下請の未加入が判明した場合には、下請契約額の1割を目安に元請の請負代金を減額する。」(『建設工業新聞』2014.02.27)

労働・福祉

●厚生労働省が18日発表した2013年12月の毎月勤労統計調査(確報)によると、基本給と残業代を合わせた「きまって支給する給与」は前年同月比0.2%減の26万739円となった。前年同月を下回るのは2012年6月以来19カ月連続。基本給を指す所定内給与も前年同月比19カ月連続減となる24万484円(0.2%減)。ボーナスなどを合わせた現金給与総額は同0.5%増の54万3597円だった。同日発表された13年平均の現金給与総額(月額)は前年とほぼ同水準の31万4054円(73円減)だった。きまって支給する給与は前年比0.5%減の26万353円、所定内給与は同0.6%減の24万1250円だった。(『しんぶん赤旗』2014.02.19より抜粋。)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)の理事会が20日に開かれ、『女性技能労働者活用専門部会』(座長・能登谷英俊戸田建設東京支店コスト管理センター建築購買部部長)から、女性技能労働者活用促進のための中間まとめが提示された。日建連として、女性技能労働者が働きやすい環境を整備するためのマニュアル作成や表彰制度などを2015年度にも実施する方針を示した。女性主体の施工チームの設置なども会員会社や専門工事業団体に促し、国土交通省などには女性技能者雇用に当たっての環境整備のための経費の積算への反映などを求める。3月20日の理事会で日建連として機関決定する。」(『建設通信新聞』2014.02.21)
●「建設コンサルタント各社が、受注高の増加や事業拡大に向け採用活動を活発化させている。日刊建設工業新聞社が実施した『採用・人材戦略に関するアンケート』によると、主要13社のうち10社が今春(14年4月)の技術系新卒採用人数を前年より増やした。来春(15年4月)の採用についても積極的な方針を打ち出す企業が多く、未定3社を除く10社すべてが今春よりも採用人数を増やすと回答した。即戦力を確保するため、中途採用に刀を入れる企業も多く、生産体制を強化して受注増加や事業拡大に対応する姿勢が鮮明になっている。」(『建設工業新聞』2014.02.21)
●「建設業の担い手確保のために、厚生労働省が13年度補正予算で始めた『地域人づくり事業』(1020億円)を活用する動きが地方自治体に広がってきた。三重県は14年度当初予算案に建設労働者確保に向けた新規3事業の経費を計上。若年者の入職や人材育成を支援する。兵庫県は、県内施設を使った資格取得研修で若年者の建設業への就業を促す。こうした事業の受け皿となる地元業界団体も具体化に向けて動きだしている。地域人づくり事業では、厚労省が交付金を出して都道府県がつくる基金を積み増しし、自治体がそれを原資に若年者の就職促進や人材育成などの取り組みを民間企業や団体に事業委託する形で支援する。対象は、地域経済の活性化につながる産業であれば特に制限を設けていないが、全産業を上回るペースで就業者の高齢化が進み、担い手確保が全国的な課題になっている建設業は有力候補だ。14年度の当初予算案を発表している各自治体の中で、特に対応が積極的なのが三重県。総額21億円の事業費を各部局が所管する事業に振り分け、建設業向けには▽建設業若年労働者雇用拡大推進事業▽建設業雇用管理等相談援助事業▽建設労働者定着支援推進事業――の3事業を創設。事業費全体の1割以上を建設業に振り向ける。…昨年6月に厚労省と共同で建設業の人材確保対策を発表した国土交通省も、各自治体の取り組みに期待している。業界団体にも事業を積極的に活用するよう促しており、『富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)を活用した研修にも取り組んでほしい』(労働資材対策室)と呼び掛けている。」(『建設工業新聞』2014.02.24)
●「建設業に就業している人の給与が上昇していることが、厚生労働省が毎月発表する統計調査データで分かった。従業員5人以上の建設業の事業所が昨年支払った現金給与総額は月平均で37万1213円と前年比で1.5%増(全産業では0.0%増)となった。1月から12月までの毎月の推移を見ても、3月以外はすべて前年同月を上回る水準。国土交通省が業界に技能労働者の賃上げを求めてきた成果が出始めているようだ。」(『建設工業新聞』2014.02.25)
●「厚生労働省は、人材不足分野に位置付ける建設や保育、介護などの人材確保・育成対策を省内の関係部局が総合的に取り組むため、佐藤茂樹厚生労働副大臣を座長とする『人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議』を立ち上げた。対策の強化に向け、短期的な対策だけでなく、中長期的な対応策も検討する。…会合では、高校卒業者が建設業に就職しても3年目までに就職者の約半数が離職していることなど、建設業の雇用環境を説明。その上で、建設分野の人材確保・育成対策として取り組む、全国65のハローワークで実施する『建設人材確保プロジェクト』、14年度から助成金を拡充する『建設労働者確保育成助成金』、13年度補正予算で創設した『地域人づくり事業』の内容を示した。」(『建設通信新聞』2014.02.25)

建設産業・経営

●「大手・準大手ゼネコンが海外受注高を安定的に伸ばしている。各社が発表した13年4〜12月期決算によると、大林組は連結ベースの通期受注目標3600億円に対し、12月時点で8割超の約3000億円を達成。五洋建設はシンガポールで地下鉄などの大型受注もあり、数年ぶりに1000億円を突破した。連結ベースで海外受注高を公表している大手のうち、大林組は3015億円(前年同期比109.3%増)、鹿島は2005億円(40.8%増)、清水建設は817億円(16.5%減)となった。」(『建設工業新聞』2014.02.17)
●「自民党建築設計議員連盟は建築士法改正案のたたき台を作成することを決めた。3月5日の次回会合で提案するため、今後、建築3会(日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会)と関連する5団体(日本建設業連合会、日本建築構造技術者協会、日本設備設計事務所協会、全国中小建築工事業団体連合会、住宅生産団体連合会)、国土交通省と調整に入る。…ただ、建築3会が求める『契約締結の義務化』については、設計施工一貫では設計終了後に締結される実態を踏まえ、日建連や住団連からも懸念が出ており、調整の大きな焦点となりそうだ。」(『建設通信新聞』2014.02.20)
●「全国中小建設業協会の松井守夫会長ら幹部は19日、国土交通省の毛利信二土地・建設産業局長らを訪問し、歩切りの撤廃やパッケージ型積算方式の見直しなどを求めた。…要望書は、2013年10月から11月にかけて全国9カ所で実施した会員協会との意見交換会の内容をまとめたもの。予算関連では、長期安定的な公共事業予算の確保のほか、『4−7月にかけて仕事がない』といった発注時期の偏在が見られることから、発注の平準化を求めた。地方自治体の入札契約については、市発注の工事を受注した6割の企業が『歩切りされている』と感じているとの会員企業アンケート結果も踏まえ、歩切りの撤廃を求めた。積算関係では、全国の自治体に広がりつつある『施工パッケージ積算方式』について、『地方の小規模工事に不利』との声が上がっており、見直しを求めた。あわせて、入札契約制度では、『適正利益が確保できれば従業員の給料を引き上げられる』とし、適正利益を確保できる入札・積算方式を求めるとともに、地方自治体への施策・制度の周知徹底など入札契約適正化法の改正に期待を寄せた。」(『建設通信新聞』2014.02.20)
●「ゼネコン各社が新卒者の採用を増やしている。日刊建設工業新聞社が主要34社を対象に実施したアンケートによると、来春(15年4月)の採用予定人数を回答した33社のうち28社は今春(14年4月)入社を上回る採用を予定していた。うち20社が2桁増となる見込み。公共投資の増加や民間需要の回復を背景とした工事量の増加への対応や、年齢バランスの是非を理由に挙げる社が大半を占めている。即戦力となる中途採用に力を入れる社も目立つ。」(『建設工業新聞』2014.02.20)
●「全国建設業協会(全建、淺沼健一会長)は、13年(1〜12月)の会員企業の倒産状況調査結果をまとめた。倒産の発生は累計125件(前年比25.6%減)で、1996年(103件)以来、17年ぶりに130件を下回った。13年10〜12月の倒産発生は12件で、前年同期に比べ18件減少した。」(『建設工業新聞』2014.02.25)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「厚生労働省は、在宅介護のために手すりを付けるなどの住宅改修事業で、施工業者の登録制度をつくる。不適切な工事や費用請求を排除する狙い。自治体の研修を受けることを登録の条件とする。登録業者が工事すれば、介護保険で賄う改修費の9割は自治体が業者に直接支払い、利用者は立て替え払いが必要なくなる。住宅改修の質を担保し、在宅介護の普及を後押しする。…介護保険制度での住宅改修の対象は手すり設置、段差解消、滑り防止などでの床材変更、引き戸への交換、洋式便器への交換など。現在は在宅介護の利用者が施工業者にいったん全額を支払った後、利用者本人が市町村に申請して自己負担分の1割を除いた9割を受け取っている。支給上限は18万円だ。業者の基準はなく、工務店のほか建設業許可を取っていない個人でも工事できる。…登録した業者は『受領委任払い』という仕組みで改修費の9割を市町村から直接受け取れるようにする。介護利用者は1割の自己負担分を用意すれば済む。市町村に登録しない業者へも引き続き住宅改修を依頼できるが、登録業者を使えば立て替え払いや申請手続きなどが不要になる。」(『日本経済新聞』2014.02.19)
●「国土交通省は、地方都市の中心部に職住機能を集める『コンパクトシティー』普及させるため、自治体の庁舎や学校などの建物・土地といった公的不動産(PRE)の活用を促進する。国内にある不動産全体の4分の1を占めるPREを有効に活用できれば、自治体には街のにぎわいや利便性を高めるサービスの提供と、効率的な行財政運営を両立できるメリットがもたらされると判断。14年度にコンパクトシティーづくりと連動したPREの再編戦略を検討する自治体を支援する。」(『建設工業新聞』2014.02.25)
●「国土交通省は25日、『事業者団体を通じた適正な住宅リフォーム事業の推進に関する検討会』を開き、リフォームを実施する事業者や事業者団体に求める要件について議論した。団体には意思決定の透明性などを求めるとともに、団体構成員の資質の確保に関する取り組みを要件に提示。事業者には業務を適切に実施する資格の保有や工事ごとに消費者保護の観点による取り組みなどを求めた。国は、要件を満たす団体を登録制度などで位置付け、品質を担保していく方針を示した。」(『建設通信新聞』2014.02.26)
●東京都が「防災」を名目に2020年度までに100%の整備を目指す「特定整備路線」計画に対し、「初めに道路ありき」の強引な手続きへの批判や「延焼対策に有効なのか」などの疑問の声が都民から上がっている。特定整備路線は、震災による延焼を遮断するという名目で建設される都市計画道路で、都は28カ所(約26キロメートル)を選定した。多くのところで、道路の整備で多数の住民が立ち退きの対象となる一方、都による住民説明会では「都側の説明が1時間ある一方、質疑応答は30分しかなく、多くの人が質問できずに打ち切られた」(品川区)など、住民合意を無視した計画の進め方に批判が噴出している。…。震災対策事業計画(2011〜15年度)のうち今年度予算で住宅の耐震化にはわずか7億7200万円、一方で大型道路建設には2034億円を投じている。(『しんぶん赤旗』2014.02.26より抜粋。)
●「空き家の倒壊の危険や荒廃に自治体が悩むなか、賃貸や売買の情報を提供して有効活用を狙う『空き家バンク』が続々と誕生している。過疎や高齢化で全国的に空き家は増え続けており、住宅の8戸に1戸は人が住んでいない計算。空き家バンクを通じて若い世代が入居・移住するケースも目立つようになり、地域を活性化する効果が期待されている。…空き家の賃貸・売買情報を提供する『空き家バンク』は各地に広がっている。全国の自治体と企業で組織する移住・交流推進機構が1月に行ったアンケートによると、回答した1158市町村の3分の1に当たる375市町村が設置していた。バンク開設以来の空き家の賃貸・売買成約数は、長野県佐久市の247件を筆頭に、金沢市172件、京都府綾部市110件と続く。09年の調査と比べ、東京圏からの移住者の割合は37%から51%に上昇。年代別では20〜40代の比率が増えた。」(『日本経済新聞』2014.02.28)
●「国土交通省は、公的賃貸住宅の超長期延命化対策に乗り出す。2014年度に、地方公共団体などが行う先導的な改修事業に対する新たな補助制度を創設し、劣化・安全対策や陳腐化対応などに優れた技術を掘り起こす。一定程度の研究開発は進められているが、まだ市場に出回っていない技術などの実用化を後押しする。最新の建築技術を使った長寿命化対策を促すため、現行の支援制度より補助率を割り増しする『公的賃貸住宅長寿命化モデル事業』を立ち上げる。対象となるのは公営住宅、改良住宅、都市再生機構(UR)住宅、公社住宅。…モデル事業では躯体や外壁、設備といった部位・部材の長寿命化のほか、耐震化やバリアフリー化、省エネ化なども推進する方針だ。」(『建設通信新聞』2014.02.28)

その他