情勢の特徴 - 2014年3月後半
●「地域の経済や雇用を支える『小規模企業』に焦点を当てた新法の『小規模企業振興基本法案』と、関連の『商工会・商工会議所による小規模事業者支援法改正案』が今通常国会に提出された。小規模企業を対象にした基本法の制定は初めてとなる。人材不足や後継者問題などで悩む地域の小規模建設企業にとって、これまで以上に事業活動に対する使い勝手のよい支援策が整うとみられる。中小企業は2012年2月の時点で全国に385万社ある。このうち9割近い334万社が小規模企業だ。建設産業の場合、地域の建設会社や専門工事会社など従業員20人以下の建設業と、測量、地質調査、土木・建築(設計事務所)関係建設コンサルタントのサービス業で同5人以下が該当する。小規模企業は、人口減少・高齢化を始めとした日本経済の構造的変化に直面している。一方で、日本全国に景気の好循環を浸透させ、地方の自立的な経済を構築するためにも、雇用を支え、新たな需要にきめ細かく対応できる小規模企業の重要性は増しているといえる。ただ、これまでの中小企業政策は、中小企業の中でも比較的規模の大きい企業向けのものが多く、小規模企業に対する支援策は必ずしも十分ではなかった。このため法整備の第1弾として、13年の通常国会で中小企業基本法など8法を改正した『小規模企業活性化法』を成立させた。活性化法は、小規模企業の定義を中小企業基本法で明確にした。経済産業省では、この流れを一層進める必要があると判断し、中小企業基本法の基本理念に沿って、小規模企業を中心に据えた新たな施策体系を構築するため、法整備の第2弾となる小規模基本法を制定する。法案は小規模企業振興の基本原則を定め、施策の体系を示す5年間の基本計画を策定することを規定。国と自治体などの責務も明らかにし、政策の継続性と一貫性を担保する仕組みを構築する。基本原則には、中小企業基本法の基本理念である『成長発展』に加え、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持などを含む『事業の持続的発展』を位置付ける。」(『建設通信新聞』2014.03.17)
●「国土交通省は、東京港の海底に整備を計画している『東京港臨港道路南北線』(東京都江東区、延長2.5キロ)を2020年東京五輪までに全線開通させる方針を固めた。…周辺の道路改良と合わせた総事業費は約1100億円。南北線は、東京港(江東区)の10号地その2埋め立て地〜中央防波堤内側埋め立て地間の約2.5キロに計画される路線(4車線)。海底を貫通するトンネル部は約2キロ、残る0.5キロは掘割構造を想定している。現在、東京港の中央防波堤地区につながる道路は南北、東西の各方向に1路線ずつ。2020年の東京五輪では、同防波堤地区には自転車やボート・カヌーなどの競技施設が設置され、多くの人で混雑することが予想される。南北線の新設によって五輪開催時の交通渋滞の緩和につなげる。」(『建設工業新聞』2014.03.24)
●「東京都内の自治体が庁舎の建て替え構想を相次ぎ打ち出している。現在の庁舎が高度成長時代に建てられたものが多く、老朽化が進んでいるためだ。少子高齢化で自治体の財政には限りがあるなか、民間資金を活用して建設コストを抑える取り組みも。ただ2020年五輪を控えて都内で建設需要が増すと予想され、工費の高騰で計画の停滞を懸念する声もある。…東京23区で庁舎の建て替えが相次ぐのは、地方より人口が集積し、財政が比較的安定していることが背景にある。だが、今後は高齢者の増加で関連経費が増大する一方、人口は減少する。東日本大震災を受けて庁舎の防災機能が重視されているが、各区が一斉に建て替えを競う状況には疑問の声もある。NPO法人地方自立政策研究所の穂坂邦夫理事長は『建て替えの目的が耐震化の場合、改修で済むならそれに越したことはないのでは』と疑問を示し、『少しでも経費を抑え高齢化で必要となる行政サービスに資金を割く必要がある』と指摘する。また、五輪に向けた建設需要によって、建築コストが上昇する懸念については『民間の足を引っ張らないように、工事はなるべく五輪後に回すべきだ』としている。」(『日本経済新聞』2014.03.27)
●「企業間で取引するサービス価格が上昇してきた。日銀が26日発表した2月の価格指数(国際運輸除く)は前年同月比0.5%上昇し、デフレに陥る前の約21年ぶりの高い伸びとなった。建設現場などで人手不足が強まり賃金が上昇。人件費増が物価を押し上げる循環になりつつある。モノも含めた物価は円安効果で上昇してきたが、デフレ脱却へ新たな追い風になる可能性もある。企業向けサービス価格指数(2005年=100)は、企業どうしが取引する輸送や通信などサービス価格の水準を示す。為替変動の影響を受けやすい国際運輸を除いたベースでみると、指数は5カ月連続で前年同月比プラスになった。伸び率は消費増税による押し上げ分を除けば、1993年6月以来の高さだ。」(『日本経済新聞』2014.03.27)
●消費税は1989年4月に、国民の大反対を押し切って導入された。2014年産までの、26年間で消費税による税収は282兆円に上った。一方、この間に法人税収は255兆円も減ってしまった。国民に増税して、大企業には減税です。安倍晋三首相は、消費税率8%への増税を盛り込んだ14年度予算が成立した20日の記者会見で、「企業が国際競争に勝ち抜いていくための税制改革の検討を始める」と述べ法人税をさらに引き下げる意向を示した。法人税率引き下げは、財界の強い要望。経団連は昨年9月の「税制改正」提言で、法人実効税率の引き下げは「改革の本丸である」と位置づけ、「最終的にはアジア近隣諸国並みの約25%まで引き下げるべく、道筋を示すための議論を早期に開始すべきである」と政府に求めてきた。…社会保障や財政再建のためといって消費税を増税し、景気が悪くなると大企業減税をするのは、国民を踏みつけにした最悪のやり方である。(『しんぶん赤旗』2014.03.29より抜粋。)
●「国土交通省は、15〜16年度の同省発注工事の入札に参加するための『定期競争参加資格審査』の対象建設業者を社会保険に加入している企業に限定する。定期審査は2年ごとに実施。国交省は、同省直轄工事に加え、他省庁や同省の外郭団体・関連会社などが発注する工事への参加希望を含めてインターネットで一元的に申請を受け付けている。このため15年度以降は、一元受け付けに参加する機関が発注する全工事に、社会保険未加入企業は参加できなくなる。」(『建設工業新聞』2014.03.18)
●「公共建築の円滑な施工確保に向けた対策の実施に地方自治体でも関心が高まっている。国土交通省が各地方整備局に設置している公共建築相談窓口にはことしに入って問い合わせも急増。2月までに約200件の相談が寄せられ、見積活用方式の活用や最新単価での予定価格設定といった入札不調対策の実施方法や、スライド条項の活用などに関する質問が目立っている。自治体だけでなくゼネコンからもスライド条項を申請する基準などについて質問が寄せられており、国交省は窓口をさらに活用して制度理解に努める構えだ。」(『建設通信新聞』2014.03.19)
●「国土交通省は24日開いた道路関係の有識者部会で、2014年度から実施する道路の老朽化対策の骨子案を提示した。地方自治体などの道路管理者に橋やトンネルの点検を5年に1度の頻度で義務付ける。必要な修繕ができない場合は通行規制を実施するほか、人口減で利用が少なくなった橋などは集約や撤去を実施するよう求める。点検対象は、全国に約70万本ある橋と約1万本あるトンネル。このうち橋は約9割、トンネルは約7割を都道府県や市町村が管理している。これまでは自治体に管理のやり方を任せていたが今後は国が全国統一基準を定めて点検を義務付ける。」(『日本経済新聞』2014.03.25)
●「自民党は25日、東日本大震災復興加速化本部と内閣部会、国土交通部会の合同会議を開き、議員立法による東日本大震災復興特別区域法(復興特区法)の改正案を決定した。土地収用法の事業認定手続きの短縮や緊急使用による工事着手期間を1年まで延長するなどし、手続きの迅速化や円滑化につなげる。同日に公明党と協議し、直ちに今通常国会に提出する予定。復興特区法にあわせ、『大規模災害からの復興に関する法律』も改正し、今後発生が見込まれる大規模地震災害などにも備える。」(『建設通信新聞』2014.03.26)
●「国土交通省は、地方自治体が管理する老朽化した道路の大規模修繕・更新を支援するため、複数年度にまたがる事業が可能になる新たな補助制度を検討する。定期点検を適正に実施している自治体を対象に、健全度や重要度に応じた交付金の重点配分と併せて導入することを想定している。メンテナンス業務を効率化するため、市町村の境界を越えた地域単位での一括発注や複数年度契約なども模索する。」(『建設工業新聞』2014.03.26)
●「国土交通省は、公共建築工事で工事価格を積算する際に活用する見積標準書式を改定し、法定福利費を別項目として記載して明確化することを決めた。他省庁の工事でも統一基準として運用することも決定しており、4月1日から適用する予定。同省は26日付で各地方整備局に通知を発出するとともに自治体にも参考送付する。あわせて、公共建築工事共通費積算基準も改定。現場管理費の一部として計上する法定福利費の内容を明示し、社会保険未加入対策の徹底につなげる。」(『建設通信新聞』2014.03.27)
●「国土交通省は14年度から、新興国で行われる施工難易度が高い建設事業を対象に、日本の施工技術を生かして事業を支援する取り組みを強化する。案件形成段階で、官民の専門家が参加する調査団を派遣し、最適な工法や施工時の留意点など相手国の発注者に助言。工事入札の段階で、助言内容を考慮した発注要件を設定するよう促す。日本が得意とするトンネルや橋梁などの大型建設事業でゼネコンなどの受注を後押ししたい考えだ。」(『建設工業新聞』2014.03.27)
●「政府は28日の中央防災会議(会長・安倍晋三首相)で、全国で一体的に地震対策を進めるため『大規模地震防災・減災対策大綱』を定めた。南海トラフ地震と首都直下地震の基本計画も作り、両地震の対策を進める地域として重複を除き924市区町村を指定。非常用発電設備室や備蓄倉庫の整備のため容積率を緩和したり、津波避難施設の整備費の国庫補助率をかさ上げしたりし、防災を推進する。3年前の東日本大震災で当時の想定を超える大きな被害が出たことを踏まえ、東海地震、首都直下地震など5つあった地震大綱を一本化。地震大綱のあり方や基本計画を抜本的に見直した。」(『日本経済新聞』2014.03.28)
●「自民党建築設計議員連盟(額賀福志郎会長)は27日に総会を開き、建築物の設計・工事監理業の適正化と建築主への情報開示の充実に向けた提言を採択した。提言をベースに、書面による業務契約の義務化や一括再委託の禁止範囲拡大などを盛り込む建築士法改正案をまとめ、今国会への提出を目指す。総会に出席した日本建築士事務所協会連合会(日事連)の三栖邦博会長は『設計界振興への大きな一歩』と法改正への期待を示した。…士法改正案では、延べ床面積300平方メートルを超える建物を対象に、設計・工事監理の契約を書面で交わすことを義務付け、300平方メートル超の新築工事では業務を一括して再委託(丸投げ)することを禁じる。国土交通相が定める設計報酬基準に準拠した代価で契約する努力規定も設ける。現行法で『技術的事項の総括』を担うとされる管理建築士の責務を明確化。設計業務で生じた損害を賠償するための保険契約の努力義務も課す。情報開示の充実策として、建築主から請求があった場合は建築士免許証の提示を義務付け『免許証や免許証明書の記載事項に変更があった場合の書き換えを規定する条文も設ける。建築士を処分する際に必要となる国交相や都道府県知事による調査権も創設する。』(『建設工業新聞』2014.03.28)
●「中日本高速道路会社は27日入札不調・不落対策として、応札額が予定価格を上回っても契約できる特例措置『不調特命見積協議方式』を実施すると発表した。事業執行の円滑化を目的に、予定価格内の応札者がいなかった場合、最低価格を提示した業者を協議相手に選定し、見積書の内訳の確認や協議を経て契約できるようにした。」(『建設工業新聞』2014.03.28)
●「政府は28日、2014年度予算の執行を4〜9月に集中させる方針を決めた。13年度補正予算と合わせ、社会保障経費などを除いた約15兆円のうち、3分の2にあたる10兆円規模を前倒しする。4月の消費増税後の国内需要を下支えし、15年10月の消費税10%への増税につなげたい考え。公共工事の現場では人事不足が続き、狙い通りに執行が進むかは不透明だ。14年度予算は港湾や道路などのインフラ整備や文房具の購入が前倒しの主な対象で、事業費は12兆円にのぼる。政府はこのうち6割以上を9月末までに執行する方針だ。…13年度補正予算も3.4兆円分の事業のうち9割を9月末までに執行する。14年度予算と合わせて10兆円を超える事業が4〜9月に集中する。…一方、予算執行が思い通りに進むか不透明な面もある。最大の課題は建設現場の人手不足だ。東日本大震災からの復興で工事が増える宮城県では土木工事の入札不調が昨年12月に全体の45%、岩手県は34%と高水準が続く。安倍政権が発足直後につくった12年度補正予算でもすでに公共工事が増え『最近は執行しやすい工事が少ない』(地方の県幹部)という。」(『日本経済新聞』2014.03.29)
●「国土交通省は28日、『発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会』(座長・小澤一雅東大大学院教授)を開き、多様な入札契約方式の導入に向けた検討の方向性をまとめた。@発注者が多様な入札契約制度を導入できるように指針を策定A建設業界に対しては若手技術者活用のためのインセンティブなど技術者不足への対応を拡大B地方建設業に対しても防災協定締結を評価軸に据える――が大きな柱。今後予定される、公共工事品質確保促進法改正などを柱に進めていく抜本的な入札契約制度改革へ向けた発注行政の姿勢を鮮明に打ち出した格好だ。」(『建設通信新聞』2014.03.31)
●「国土交通省は、予定価格の設定方法を見直し、実勢価格に一定の幅があることを考慮して設定できる仕組みを検討する。実現すれば幅のある実勢価格に近い予定価格となる。また、一般管理費の算定でも企業の適正な利潤や将来の担い手の確保などを踏まえた設定を検討。直接工事費や間接工事費についても、施工実態を踏まえた積算基準の見直しや自治体など発注者への国による支援なども実施する考えだ。あわせて、概算数量発注方式(概略設計発注)の活用や施工パッケージ型積算方式の拡大などによる積算の効率化も検討していく。これまで課題を指摘する声が多かった予定価格のあり方も算出の仕組みを変えるほか、多様な入札契約方式の本格導入など、公共調達制度も大きな転換期を迎えた。」(『建設通信新聞』2014.03.31)
●「国土交通省は、直轄工事を受注する元請と1次下請業者から社会保険未加入業者を排除する措置を8月1日から実施することを決めた。28日に省内で開いた第4回建設産業活性化会議で高木毅副大臣が表明した。排除措置の導入に向け、できるだけ早期に具体的な内容を示す文書を地方整備局などに出す。施工体制台帳を確認して未加入が発覚した場合、2次以下の下請を含めて建設業許可部局による加入指導も実施する。排除措置は、8月1日以降に入札を公告する工事から取り入れる。元請業者については、発注段階で加入状況を確認し、未加入の場合は入札への参加を認めない。下請業者の加入状況は、下請契約額が3000万円(建築は4500万円)以上の工事で元請が提出を義務付けられる施工体制台帳を使って確認する。未加入の1次下請がいれば、元請との間で交わした契約額の10%に相当する額を請負代金から減額。指名停止や工事成績評点の減点も行う。」(『建設工業新聞』2014.03.31)
●「清水建設は、11年度に始めた富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)を活用した新入社員研修を拡大する。14年度は前年度に約140人だった対象者をゼネコン最多の170人ほどに増やす予定。施工を体験できるセンターのメリットを生かし、現場感覚を身に付けさせる。参加者は、同時期にセンターで学ぶ技能労働者や同期社員との集団生活で、ゼネコン社員としての第一歩を踏み出す。…工事現場でのゼネコン社員の仕事は施工管理が主体だが、『座学での基礎知識だけでは現場は通用しない。手を動かして工事の大変さを実感していないと、無理な指示を下請の専門業者に出してしまう恐れがある』(建築事業本部人事部)との問題意識からセンターを活用することにした。職人が習得すべき技能の初歩的な内容を学んで現場感覚を習得させるとともに、自分が想い描いていた理想と現実とのギャップを早い段階から埋める効果も期待する。」(『建設工業新聞』2014.03.18)
●「外国人労働者の拡大はもろ刃の剣−。建設現場の人手不足解消策として政府が技能実習制度を利用した外国人の受け入れ拡大策を検討する中、地方の建設業界から慎重な対応を求める声が上がった。群馬県建設業協会(青柳剛会長)は18日、外国人活用には一定のメリットがある一方、受け入れ拡大は若者の雇用・育成に取り組む業界の努力に水を差す危惧もあると指摘。途上国への技能移転という制度の原点を踏まえ、改正の影響を最小限に抑えるよう求める提言を発表した。」(『建設工業新聞』2014.03.19)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は20日、女性技能労働者の活用に向けたアクションプランを発表した。女性技能労働者の数を5年以内に倍増する目標を掲げ、会員会社と協力会社、専門工事業者が連携し、女性が活躍できる多くの職種の紹介と入職を促すアピールを推進。職場環境の整備や女性現場監督の拡充などにも取り組む。」(『建設工業新聞』2014.03.24)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は20日、『適切な賃金水準の確保および円滑な施工確保の基本方針』を決定した。国士交通省が行った公共工事設計労務単価の引き上げや、施工確保に関するさまざまな対策を受けた措置をまとめてあり、公共建築工事からのダンピング受注の排除、標準見積書を活用した社会保険加入促進などを盛り込んでいる。日建連は、会員各社が事業活動を行うに当たっての『共有すべき基本姿勢』(日建連)に位置付け、対応を要請していく。」(『建設工業新聞』2014.03.24)
●「総務省は25日、2013年7月1日時点の地方公務員の給与に関する調査の結果を発表した。国家公務員を100とした自治体の給与水準を示すラスパイレス指数は103.5となり、12年4月時点に比べ3.5ポイント低下した。多くの自治体が国の給与削減要請を受け入れ、国と地方の給与格差が縮まった形だ。」(『日本経済新聞』2014.03.25)
●「建設業の死傷者は3年連続増加しており、特に墜落・転落によるものが最も多く死傷者の35%を占めている。死亡者に限れば45%が墜落・転落によるものだ。こうした状況を受け、厚生労働省の『足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会(座長=小林謙二・関東学院大学教授)』がこのほど、報告書の骨子案(墜落防止措置のあり方について)をまとめた。足場の組み立てや解体等の際に、安全帯を取り付ける設備がなければ、作業を実施できないように規定することを提言。そのほか、足場の床材と建地とのすき間について一定の基準を設けることや、作業者への教育の充実も求めている。」(『日本住宅新聞』2014.03.25)
●「政府・与党は人手不足が深刻な建設業で、外国人労働者の受け入れを拡大する方向で最終調整に入った。外国人向けの技能実習制度を実質的に拡充し、最長3年間の受け入れ期間を2年延ばしたり、過去の実習生の再入国を認めたりする。受け入れ人数はピーク時に現状の2倍の3万人規模に増える見通し。2020年の東京五輪に向け『即戦力』を活用し、膨らむ建設需要に対応する。」(『日本経済新聞』2014.03.26)
●「雇用の改善が続いている。総務省が28日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は3.6%と前月から0.1ポイント改善し、2007年7月以来の低さとなった。厚生労働省が発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)も1.05倍と同0.01ポイント上がった。改善は15カ月連続で6年半ぶりの高水準。4カ月連続で求人数が求職数を上回った。…全体の就業者数(季節調整値)は6332万人と前月から13万人増えた。雇用者の数に占める非正規労働者の比率は38.2%と、パートや派遣、契約社員といった非正規が雇用の回復を引っ張っている側面が強い。」(『日本経済新聞』2014.03.28)
●「標準見積書による法定福利費の別枠明示の効果が徐々に出始めている。社会保険の加入促進に向け、標準見積書の作成・活用に先導的に取り組んでいる東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、館岡正一理事長)が26日に開いた定例会では、法定福利費の支払いに関する元請けの姿勢に変化が見られるとの声が相次いだ。4月から加入者分の支払いを認める大手ゼネコンが増えているという声も上がり、標準見積書の提出という地道な取り組みが実を結びつつある格好だ。」(『建設通信新聞』2014.03.28)
●「建設業情報管理センター(CIIC)と建設業技術者センター(CE財団)は、若手県と愛媛県をモデルとした地域建設産業のあり方に関する提言をまとめた。特に岩手県では東日本大震災からの復興後における需要減少を視野に、発注標準の上位ランクにいる企業数の絞り込みを提起したのが大きな特徴。データを基に、地域の中核を担うAランク企業の小規模化と利益率の低下が進んでおり、その一因に供給過剰構造があるとして、その是正を前面に打ち出した形だ。提言は都道府県のほか、全国の建設業協会にも送付する。」(『建設通信新聞』2014.03.20)
●「総合建設会社(ゼネコン)各社は建設現場での深刻な人手不足に対応するため、現場で働く人を少なくできる技術を相次ぎ取り入れる。清水建設は工場であらかじめ造った柱などを現場で組み立てる工法を導入し、竹中工務店は建物の天井の設計を見直して資材運搬の手間を軽くする。人手が足りないなかでも工期を守り、顧客企業への悪影響を避ける狙いだ。…厚生労働省がまとめた1月の職業別有効求人倍率(実数、パート含む)で建物の骨組み工事職は7倍を超えている。建設関連は人手不足が深刻だ。ゼネコン大手によれば『都心のビル建設に人手が足りず、働ける人を沖縄県から呼んだこともあるほどだ』という。首都圏で1年半の建設期間を予定していたマンションの工期が3〜4ヵ月延びるなど、人手不足の影響が広がり始め、問題になっている。省力化の技術を現場に広く普及するには時間がかかる。ゼネコンの中には賃金引き上げなどで人手を集める動きもある。これからも新技術と賃金の両面で中長期的に手を打っていく構えだ」(『日本経済新聞』2014.03.21)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は20日、14年度の事業計画を決めた。『たくましい建設業の復活』をキーワードに、七つの重点課題を設定。技能労働者確保のため処遇改善とともに女性・外国人・予備自衛官の活用に取り組む『建設生産システムの再構築』、適正価格での受注徹底といった『建設市場の合理化』などを進める。2050年までを見据え日建連初の中長期ビジョンの作成にも着手する。事業計画は冒頭の基本方針で、建設投資の増加が期待されていることから『わが国経済に先駆けてデフレを脱却したと受け止めたい』として、デフレ状況下で生じた矛盾の解消と、たくましい建設業の復活の必要性を強調した。重点7課題は▽建設業の中長期ビジョンの作成▽建設生産システムの再構築▽建設市場の合理化▽建設企業の基礎体力の強化▽建設事業の的確かつ円滑な推進▽社会的責任としての活動の推進▽建設業への理解促進。主な施策のうち、中長期ビジョンは6月ころに検討に着手し、五輪後(中期)、30〜50年(長期)の目指すべき姿、市場への対応をまとめる。」(『建設工業新聞』2014.03.24)
●「景気の緩やかな回復と震災復興の本格化で建設市場が好転する中、ゼネコン各社は依然として新卒採用の確保に四苦八苦している。ことし4月の新卒採用(予定)は、大手・準大手クラス31社中24社が前年実績を上回った。ただ、新卒採用が前年実績を下回ったゼネコンを含め、7割弱に当たる21社が予定枠の確保に苦労、もしくは確保できなかったと回答した。」(『建設通信新聞』2014.03.28)
●「鉄筋(異形棒鋼)など建設用鋼材の値下げを巡って、電炉と需要家であるゼネコンとの攻防が大詰めを迎えている。原料安や需要鈍化といった弱材料に対し、メーカーは減産による需給引き締めに躍起だ。昨年夏からの上げ相場が今春にかけて下落基調に転換するかどうかの節目を迎えている。…足元の建設用鋼材の相場に影響を与えているのは、原料である鉄スクラップの値下がりだ。関東の電炉買値は昨年12月から2割下落。すでに今年度末までの鋼材を手当てしていたゼネコンは鋼材の先安観から一斉に買い控え、価格交渉は膠着状態に陥った。…『時間との戦いだ』。メーカーとゼネコンの価格交渉を仲介する大手商社の担当者は現状をこう分析する。焦点は4月以降の大型案件で交渉が始まるまでに鉄スクラップが下げ止まるかどうか。それまでにメーカー各社が価格を維持し続けるかどうかだという。鉄スクラップ市況には底入れの兆しも出ている。関東地区の下げ幅が大きく、国際的に割安感が強まっているためだ。関東からの輸出価格は3月の入札で1トン3万900円。米国のスクラップ業者が需要地である韓国向けに提示している金額より約1000円安い。割安感からベトナムなどからの注文も増えている。もっとも日本の輸出向けスクラップの最大需要国である韓国は、中国製鋼材の流入に対応して電炉でつくる鋼材の減産に踏み切るとの観測が強い。主力の韓国向け輸出が伸び悩めば、関東で1トン2万7000〜2万9000円まで下落した鉄スクラップ価格が低迷する可能性も残る。」(『日本経済新聞』2014.03.29)
●「地盤工学会(末岡徹会長)は『災害からの復興における社会基盤整備への復興資材等の利用のあり方に関する提言』をまとめた。震災復興で多量の資材が必要とされる中、災害廃棄物を処理した分別土砂などの『復興資材』の利用が進んでいないと指摘。利用を促進する制度などを整備するよう求めている。東日本大震災では災害廃棄物と津波堆積物が約3000万トン発生し、このうち土砂とコンクリート殻が約3分の2を占めると推定されている。適切に処理すれば『分別土砂』『コンクリート再生砕石』に再生できるが、廃棄物由来といった先入観などから利用が進みにくいとされる。提言では、これらの資材を復興資材と位置付け、発生土や産業廃棄物などの循環資材と共に積極的に利用するよう推奨。資材の運搬などによる環境負荷も考慮し、地産地消の推進を訴えた。」(『建設工業新聞』2014.03.31)
●安倍晋三政権が発表したエネルギ一基本計画案は、昨年末に経済産業省の審議会がまとめた原案がもとになっている。経産省は原案の段階で、国民の声を聞くための意見公募を実施。政府案は、その結果を反映しているので、国民の声が生かされているという。しかし、今回の意見公募のやり方は、開始時も発表時も正常ではない。意見公募の集約結果で目に付くのが「原発ゼロ」を求める国民の声に対する経産省の反論だ。2012年の意見公募の際に明らかにした、原発に対する賛否の割合も発表していない。意見公募は、国民の声に政府が耳を傾けることで「公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てる」(総務省ホームページ)ことを目的にしている。反論するのはあべこべである。異様さは、手続きにも表れている。経産省の審議会が原案を了承したのは昨年の12月13日。ところが、意見公募は原案が初めて提示された12月6日に開始。審議会の委員には事後承諾だった。原案には、複数の委員から原発推進に強い反対意見が出されていた。完全な見切り発車である。(『しんぶん赤旗』2014.03.18より抜粋。)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)が19日まとめた2月の首都圏のマンション発売戸数は前年同月比24.1%減となり、10カ月ぶりに前年実績を下回った。昨春以降、金利や販売価格の先高観を受けて不動産会社の想定を上回るペースで販売が進み、在庫が約20年ぶりの低水準まで減少。品不足になり供給が息切れした格好だ。消費者の購入意欲は依然強いという。…首都圏が10カ月ぶりに減少に転じたのは『想定を上回るペースで販売が進み、売り物が少なくなった』(三菱地所)ためだ。2月末の首都圏の在庫は3851戸となり、前年同月に比べ1割以上減った。リーマン・ショック後の急激な市場低迷で在庫が膨らんだ08年末の3分の1になった。不動産業界では『需要の落ち込みは心配していない』(野村不動産)との声が大勢だ。4月に消費税率が8%に上がるが、住宅ローン減税の拡充や中低所得者向けの現金給付が需要を下支えしそうだ。」(『日本経済新聞』2014.03.20)
●貧困ビジネスともいえる「脱法ハウス」問題対策として政府が出した「通知」が、近年、広がりをみせている空き家を活用したシェアハウスやグループホームの実現を困難にする事態を招き、関係者の間で議論になっている。国土交通省は、脱法ハウスの存在が明らかになるなかで昨年、「事業者が運営するシェアハウスは寄宿舎とする」という「通知」を出した。これに、危険な脱法ハウス排除のための手段の度を越し、健全なものもつぶしてしまうのではないか、という懸念の声が上がっている。国交省が火災時の安全を考え、シェアハウスを「寄宿舎」とみなすことにも一理ある。しかし、「寄宿舎」と規定すると、主要な間仕切りの壁を燃えにくくするなどの規制がかかる。そのうえ、東京都では窓先空地(居室窓に面して避難や住環境のために幅1.5〜2メートルの空き地を求めるもの)を確保しなければならない。多くの空き家はこうした規制をクリアすることができないため、結果として、広がりをみせている単身高齢者や若者を対象としたシェアハウスやグループホームの事業化が困難になっている。(『しんぶん赤旗』2014.03.23より抜粋。)
●「住宅リフォーム推進協議会(内藤弘康代表理事)は、13年度の住宅リフォーム実例調査の報告書をまとめた。築年数が経過した住宅の増加を背景に、13年度は1000万円を超す高額リフォームの件数が前年度より大幅に増加。一方で、調査対象の工事業者の約6割が人手不足に悩まされている現状も明らかになった。」(『建設工業新聞』2014.03.25)
●「国土交通省は、人口減少の進行など都市を取り巻く環境の変化を見据え、市街地の整備や機能更新ツールとして広く活用されてきた市街地再開発事業、土地区画整理事業の制度改正に向けた検討に乗り出す。合意形成の円滑化方策など、現行手続き上のボトルネック解消などが大きな焦点になりそうだ。両事業では関係者間の合意形成が難航するなどし、完了までに数十年の期間を要するものも少なくない。そもそも、都市の拡大・成長を前提とした事業スキームとなっており、社会情勢の移り変わりを踏まえれば、根本の思考転換を始め、事業の仕組みや進め方の見直しは必然の流れとも言える。高齢者の急増や市街地の拡散など、都市が抱える諸課題に対応するため、同省が将来像として描く「多極ネットワーク型コンパクトシティー」の早期実現が求められる中、特に拠点エリアの再構築に有効な両制度を、時代に即し使い勝手のよいものに改める考え。まず現状を調査・把握し、課題点を洗い出す。実際に事業の推進役となるディベロッパーやコンサルタント、ゼネコン、自治体などにヒアリングを行い、大都市と地方都市それぞれでの論点を整理する。」(『建設通信新聞』2014.03.28)
●「ウクライナ危機を巡り、主要7カ国(G7)はオランダのハーグで24日午後(日本時間25日未明)、緊急の首脳会議を開く。合意する見通しの首脳宣言(ハーグ宣言)は、ウクライナ南部クリミア半島の編入に動くロシアが事態をさらに悪化させた場合、制裁強化の用意があると指摘。ロシアが方針転換しない限り、主要8カ国(G8)の枠組みから事実上、除外することに言及し、クリミア編入の撤回を迫る。…ロシアの動向を巡ってはクリミアに加えて今後、ウクライナ東部や南部にも軍事圧力をかける懸念が国際社会に根強い。G7は首脳宣言を出すことで足並みをそろえ、ロシアの動きに歯止めをかけることを目指す。)(『日本経済新聞』2014.03.25)
●「電力大手が大型石炭火力発電所の新設に動き出す。関西電力と中部電力は2020年代前半の稼働をめざし、それぞれ100万〜150万キロワット規模の発電所を建設する。総事業費は1000億〜2000億円程度になるもよう。東北電力も凍結していた火力発電所計画を復活させる方向だ。国内16原発48基のうち再稼働を見込める原発は限られており、電力の安定供給には割安な石炭火力発電所の新設が不可欠と判断した。」(『日本経済新聞』2014.03.25)
●「青森県大間町に建設中の大間原子力発電所を巡り、北海道函館市は26日、事業者のJパワーや国に建設差し止めを求めて提訴する議案を可決した。一方、早期稼働を求める大間町議会でも、今後の建設計画を示さないJパワーに批判の声が上がっている。『ぜひ凍結を勝ち取りたい』。函館市の工藤寿樹市長は市議会が関連議案を全会一致で可決したことを受け、4月3日に東京地裁に提訴すると表明した。自治体が原発建設を巡り国や事業者を訴えるのは初めて。」(『日本経済新聞』2014.03.31)