情勢の特徴 - 2014年4月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は3月28日に開いた国家戦略特別区域諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、地域を限定して規制緩和を先行させる国家戦略特区の第1弾として、東京都・神奈川県・千葉県成田市の『東京圏』、大阪府・兵庫県・京都府の『関西圏』、新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県の6カ所を選定した。…東京圏の政策テーマは国際ビジネス、イノベーション拠点の形成。容積率緩和やエリアマネジメントなどにより、国際都市にふさわしい街づくりを進める。成田市には既存の医学部とは一線を画し、グローバルな医療人材などを養成する医学部の新設が想定されている。関西圏は健康・医療分野のイノベーション、人材育成拠点との位置付け。高度医療.に関する医療機関や研究機関、メーカーなどの集積を図るとともに、チャレンジングな人材の集まる都市、雇用環境を整える。両圏域の指定範囲を都府県の全部または一部のどちらにするかは、今後関係自治体の意見を聞き、政令で定める。…指定範囲などを明示する政令は4月下旬までに定め、閣議決定する予定。5月には特区ごとに設ける区域会議を立ち上げる。区域会議は国の特区担当大臣と地方自治体、民間事業者の代表で組織する。会議に加わる民間代表は公募する。」(『建設通信新聞』2014.04.01)
●「政府は割安なシェールガスなどの輸入が本格化するのをにらみ、日本企業によるエネルギー輸送を支援する。これまで中東や東南アジアからの調達が中心だったが、拡張工事中のパナマ運河経由のシェールガスや、北極海経由のロシア産天然ガスが増えると想定。海運会社が新しい輸送船を購入する際に貿易保険を使いやすくして、投資リスクを抑える枠組みを検討する。米国からのシェールガスの輸入は2017年に始まる。米東海岸などを出発し、15年中に拡張工事を終えるパナマ運河を経由して太平洋を横断する航路が主流になる見通しだ。ロシア北部のヤマル半島では天然ガスの開発が進む。将来的に北極海航路を使った天然ガス輸入が伸びる可能性もある。国土交通省はこうした輸送ルートの活用を促すため、4月にも官民合同の検討会を立ち上げる。海運や造船のほか、電力・ガス、商社などの民間企業、政府系の金融機関が参加。6月中に国の支援策をまとめ、夏の15年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む考えだ。」(『日本経済新聞』2014.04.02)
●「首都圏の中小企業が相次いでアジアのインフラ事業の受注を獲得している。ミャンマーへの信号機輸出やベトナムでのリサイクル燃料製造など、これまで首都圏の道路やごみ処理といった膨大な需要に対応してきたノウハウを新興国にもいかす。国も2020年に日本企業のインフラ受注を3倍に増やす計画で、地銀も国の支援策を使い取引先の受注拡大をサポートする。…国は昨年まとめた『インフラシステム輸出戦略』で、日本企業のインフラ受注額を現状比で約3倍の30兆円に拡大する目標を掲げた。大企業だけでなく、特定の分野に強い中小企業も支援する。JICAは2012年度からODAを通じて中小企業の海外展開を支援。今年2月からは、外務省の在外公館などから、現地でのPRや情報提供で支援を受けられる『海外展開一貫支援ファストパス制度』も始まった。地域金融機関もこの制度を使った取引先の海外支援を後押しする。武蔵野銀行や横浜銀行など主要な金融機関が同制度に参加。…首都圏の自治体も公営事業で手掛ける上下水道分野を中心に海外展開に取り組んでいる。インフラ技術を生かし、地元企業の海外進出にもつなげる狙いだ。途上国の水道水の漏水率は30〜40%に達するが、東京都は2%程度にすぎない。都はタイの水道公社などと協力関係を結び、低い漏水率を実現するノウハウを海外に“輸出”している。(『日本経済新聞』2014.04.03)
●「トラック運賃が上昇している。消費増税前の駆け込み需要に伴う輸送の増加で、指標となる東京−大阪間の運賃は年初に比べ7%高い。インターネット通販の利用が広がり小口の配送件数が増えていることも運賃を押し上げる要因との指摘もある。東京を出発地とするスポット(随時契約)運賃は3月未時点で大阪行きが片道7万5000〜8万5000円(積載重量10トン、1台貸し切り)。名古屋行きは5万5000〜6万5000円、仙台行きは6万〜7万円でそれぞれ年初比4%高い。2月後半から増税を控えた駆け込み需要で家電や月用雑貨などの輸送が増えた。…引っ越しの増加も運賃を押し上げている。」(『日本経済新聞』2014.04.03)
●「日銀が国債を大量に買い入れる『異次元の金融緩和』を導入してから4日で丸1年。国債の取引の落ち込みが一段と鮮明になってきた。2013年度の長期国債の売買高は前年度に比べ2割前後減り、同じ条件で比べられる1999年度以降で最も低くなる見通しだ。異次元緩和はデフレ脱却に寄与してきた半面、市場で売買できる国債を減らし、少量の取引で金利が乱高下するリスクを高めつつある。…日銀は市場で国債を大量に買い入れている。金利を低く抑ぇ、設備投資やリスク資産への投資を後押しする狙いだ。こうした緩和策で物価が上昇に転じる半面、日銀が保有する国債は急増。日銀の保有残高は昨年末時点で183兆円と1年前に比べ約6割増え、国債の発行残高のうち日銀は19%を占める。昨年4月以降に新しく発行した長期国債では、日銀が5割超を保有する銘柄もある。日銀の保有拡大で取引を仲介する証券会社の保有分は減った。そのため『100億円規模の大口取引がやりにくい』(資産運用会社)との声があがるほか、金利の動きが不安定になるとの懸念がくすぶる。」(『日本経済新聞』2014.04.04)
●「2013年度の企業倒産件数が22年ぶりの低水準になる見通しとなった。景気回復に加え、銀行が貸し出しに積極的になっているためで、最終的な倒産件数は12年度比1割程度減り、1万件前後にとどまる公算が大きい。東京商工リサーチによると、昨年4月から今年2月までの倒産件数は9722件。今年度の月当たりの倒産件数は700件台後半から千件台前半で推移しており、『3月分を加えても13年度の倒産は1万件前後にとどまる』(東京商工リサーチの友田信男・取締役情報本部長)可能性が高い。倒産件数はバブル景気末期だった1991年度の1万1557件以来、22年ぶりの低水準。直近のピークだった08年度の約1万6千件の6割程度にとどまる見込みだ。」(『日本経済新聞』2014.04.06)
●「安倍晋三首相とオーストラリアのアボット首相は7日、都内の迎賓館で会談し、モノやサービスの行き来を自由にする経済連携協定(EPA)で大筋合意した。日本が農業大国と結ぶ初の本格的なEPAで、日本側は協定発効から10年以内に88%超の貿易品目で輸入関税を撤廃する。牛肉や乳製品など豪州産の農産物の輸入拡大につながる内容で、日本の貿易自由化は新たな局面を迎えた。来年初めにも発効させることを目指す。日本が結ぶEPAは今回で14件目で、豪州は2国間の貿易協定としては最大の貿易相手国。特に輸入先では欧州は中国、米国に次ぎ3番目に大きく、EPAは農産物や鉱物資源などの輸入に大きな影響を与える。日本は国内農業保護のため農産物市場の開放に消極的だったが、豪州のような農業大国とのEPAにより農産物市場の開放に一歩踏み出す。豪州との歩み寄りは米国とコメなど農産品5項目を巡って難航する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に影響を与えそうだ。具体的な輸入関税では、日本側は焦点だった豪州産牛肉を現行の38.5%から段階的に引き下げる。加工用食品に使う冷凍牛肉を18年目に19.5%、国内産と競合する冷蔵牛肉は15年目に23.5%にする。乳製品ではブルーチーズを10年かけて関税を2割減らすほか、小麦は飼料用を無税にし、食糧用は将来見直す。コメは関税撤廃の対象外とした。一方、豪州は日本車にかける輸入関税を主力の中小型車ですぐになくし、大型車も発効後3年かけて撤廃する。」(『日本経済新聞』2014.04.08)
●「財務省が4日に開いた財政制度等審議会の財政制度分科会では、今後の社会資本整備についての論点整理が行われ、社会資本の維持管理・更新に関する投資の必要性が打ち出されたほか、建設業就業者不足も大きなテーマに挙げ、必要な財源の確保や技術革新に向けた投資の必要性を指摘した。2015年度予算の概算要求に向けた作業が始まる中で、今回の論点がそのベースになるとみられ、人材確保に関する議論などが今後の焦点になりそうだ。今後の社会資本整備について、新規投資には国際競争力強化や防災対策に対するものに重点化し、既存ストックの維持管理・更新に必要な財源確保も求められると指摘。財政制約がある中で費用を確保するため、残すべきストックの選別や整備する施設のスペックの見直しにも対応すべきとした。また、建設現場での労働者不足にも触れ、『生産年齢人口の減少を踏まえれば、民間投資を含めた建設投資が今後大きく伸びるとは考えにくく、建設業就業者数は、むしろ自然体では減少する可能性が高い』と言明。効率的な施工技術や技術革新に向けて投資するなどの工夫が必要と提起している。」(『建設通信新聞』2014.04.08)
●「公正取引委員会と経済産業省中小企業庁が2013年10月からことし3月末までに、消費税の転嫁拒否行為で建設業16社を指導していたことが明らかになった。消費税転嫁対策特措法の『買いたたき』に当たる指導が多く、『本体価格での交渉拒否』への指導もあった。公取委と中企庁が7日にまとめた3月末までの消費税転嫁対策の取り組みのうち、転嫁拒否行為に対する対応実績によると、違反行為が明らかとなった1199社を指導、このうち16社が建設業だった。具体的には、建設企業間の取引で、消費税率8%が適用される4月1日以後に引き渡しとなる建設工事について、税率5%で計算した金額を記載した注文書を発行していた案件があり、買いたたきに当たるとして公取委が指導している。」(『建設通信新聞』2014.04.08)
●「経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)は8日、2013年の政府開発援助(ODA)実績を公表した。日本は債務免除や二カ国間の有償資金協力を増やした結果、フランスを抜き、前年から順位を1つあげ4位の援助国となった。DAC加盟国の援助額は計1348億ドル(支出純額、約13兆7800億円)で、過去最高を記録した。前年比で6.l%(実質ベース)の増加。13年は世界経済が回復軌道に乗り、各国が援助に予算を振り向ける余裕ができたことが主な要因だ。OECDは14年も引き続き増加傾向が続くとみている。」(『日本経済新聞』2014.04.09)
●「都心に集中していた不動産投資マネーが地方に向かっている。不動産投資信託(REIT)が取得した不動産を2013年度末でみると、東京、大阪、名古屋の『三大都市圏』以外の地方物件の比率が3分の1を超え、過去最高水準となった。インターネット通販拡大を背景に地方の物流施設への投資が拡大。地価上昇で都心の物件に割高感が出たのも一因だ。有力な不動産の買い手であるREITマネーの流入が地方経済を下支えしそうだ。…REITの保有不動産は合計で約11兆5000億円(3月末)。このうち東京23区、大阪、名古屋の『三大都市圏』を除いた地方物件は約4兆円と34%を占め、金融危機以降で最高となった。前年度比の伸び率でも三大都市圏の12%増に対し、地方は28%増と大きく上回った。」(『日本経済新聞』2014.04.10)
●「厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が11日発表した世帯数の将来推計によると、世帯主が65歳以上の高齢世帯は2035年に40.8%と初めて4割を超える。すべての世帯に占める一人暮らしは、3分の1を上回る1845万世帯になる。高齢世帯の急増は生活様式を変え、住宅や家電製品などの消費に大きな影響を及ぼす。企業と政府は先を見越した対応を迫られる。…総人口の推計では、65歳以上の比率は60年に39.9%。世帯主の年齢をもとにした世帯数の将来推計はそれよりも25年早く4割に達する。 世帯全体の数は20年の5305万世帯をピークに減少に転じる。世帯主の主な収入が年金などに限られたり世帯数そのものが少なくなったりすれば、消費の低迷など経済活動への影響は避けられない。」(『日本経済新聞』2014.04.12)

行政・公共事業・民営化

●「都道府県・政令市・市区町村の土木・建築部門に所属する職員数の減少が顕著になっている。東日本大震災の被災自治体では増加傾向にあるものの、大阪府と鹿児島県は2005年比で3割以上減少するなど減少傾向に歯止めがかからない。特に建築部門では29都道府県が前年より職員数が減り、建築部門職員が不在という市も20ある状況だ。こうした自治体での土木・建築の企画調整、建設管理、建築指導、営繕工事管理などを国や県が支援する仕組みが不可欠なほか、行政サービスを民間企業が補助する仕組みの拡充も従前以上に重要になっている。総務省が3月に公表した13年4月1日時点の定員管理調査によると、全国の47都道府県の土木・建築部門(一般行政部門)に所属する職員数は前年比0.5%減の4万8228人、20政令市は1.0%減の2万1083人、1722市区町村(政令市除く、特別区含む)は0.4%減の6万9699人となった。」(『建設通信新聞』2014.04.02)
●「国土交通省は、南海トラフと首都直下の両大地震に備え、それぞれの対策計画を策定した。南海トラフ地震対策では、甚大な津波被害が予測される太平洋沿岸部を中心にインフラの耐震・耐水化など10項目の取り組みを重点的に推進。首都直下地震対策では、建物やインフラの耐震化など11の取り組みを重点的に推進し、2020年東京五輪までに都内区部に広がる密集市街地の解消や特に利用者が多い鉄道駅の完全耐震化を目指す。いずれも自治体や民間企業と連携して取り組む。」(『建設工業新聞』2014.04.03)
●「与野党7党は3日、療法改正の手続きを定めた国民投票法改正案について、8日に衆院に共同提出することで正式に合意した。改憲反対の共産、社民両党を除く幅広い野党が協力を決めたため、今国会成立が確実で、公布とともに施行される。投票年齢は当面『20歳以上』だが、施行から4年後には『18歳以上』に下がる見通しだ。…2007年に成立した国民投票法は付則で、@公職選挙法の選挙権年齢や民法の成人年齢引き下げA改憲に関する公務員の政治活動の制限緩和B国民投票の対象を改憲以外に拡大――を『3つの宿題』と位置づけ、解決策を盛り込んだ改正案を成立させなければ国民投票を実施できないことになっていた。」(『日本経済新聞』2014.04.04)
●「神奈川県の『公契約に関する協議会』(会長・小池治横浜国大大学院教授)は、6回にわたる議論の結果をまとめた報告書を県に提出した。報告書では『なんらかの対応を図るべき』としながらも、公契約条例の導入は委員の意見が一致しなかったため『最低制限価格率等入札・契約制度の見直し』など4項目を指摘し、事業者と労働者の双方に良い契約制度を引き続き検討し、整備することを求めた。…協議会は県が労働者の賃金改善に向けて何らかの対応を図るべきとしたが、公契約条例の導入は、賃金の下支えのために必要があるとする積極的な意見と、労働者の削減や熟練工の賃金への影響や事務負担の増加などの問題があり、適切ではないという意見があり、意見の一致は見られなかった。公契約以外の対応策として、入札・契約制度の改善によって契約額が増加すれば労働者に支払える賃金も増えることから『県は引き続き制度の見直しを図る必要がある』と対応を求めた。…同報告書を受けて、神奈川県建設労働組合連合会(神建連)は『技能労働者への適切な賃金支払い』のために、公契約条例による『技能労働者の賃金下落』に対する歯止め、工事の品質確保、適正価格の発注と地域建設業界の健全な経営などの効果を挙げ、『継続的検討となったことについて、残念ではあるが、引き続き制定条例に向けた運動を展開していく決意だ』としている。」(『建設通信新聞』2014.04.04)
●「東京外かく環状道路(外環、関越〜東名)本線トンネル工事4件の施工者が決まった。中日本高速道路東京支社が発注した本線トンネル(北行)東各北工事は1630億8000万円(税込み、以下同)で大林組・西松建設・戸田建設・佐藤工業・銭高組JV、同(北行)大泉南工事が1354億3200万円の大成建設・安藤ハザマ・五洋建設・飛島建設・大豊建設JV。一方、東日本高速道路関東支社が発注した同(南行)東名北工事が1525億1112万円で鹿島・前田建設工業・三井住友建設・鉄建・西武建設JX、同(南行)大泉南工事は1229億0400万円で清水建設・熊谷組・東急建設・竹中土木・鴻池組JVだった。大深度地下の使用が3月28日付で国土交通省から認可され、4月3日に契約締結した。都内の深さ40メートル超の地下に外径16メートルのトンネルを2本構築する大規模プロジェクトは大手ゼネコン20社が技術力を結集して施工することになる。」(『建設通信新聞』2014.04.04)
●「参院国土交通委員会(藤本祐司委員長)は3日、インフラの品質確保と建設業界の将来の担い手確保を目的にした公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)などの改正案を全会一致で可決した。公共工事の基本となる議員立法の公共工事品確法を中心に、その理念を実現するために必要な措置を政府提出の建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)で規定する仕組み。…改正案は今後、参院本会議で可決された後、衆議院に送られ、成立する運び。改正公共工事品確法は公布と同日に施行。改正業法と改正入契法は一部を除き1年以内の施行となる。」(『建設工業新聞』2014.04.04)
●「国土交通省は7日、昨年12月に施行された交通政策基本法に基づく中長期(15〜21年)の基本計画作りを始めた。空港と港湾の機能拡充策を柱に、経済成長に貢献する国際交通網の増強を目指す。縮小が進む地域公共交通の確保や、大規模災害時も旅客・物流網を迅速に回復できる施策も盛り込み、地方都市の人口減少・少子高齢化や災害に強い国土づくりに対応する。8月に案をまとめ、11月にも閣議決定を目指す。中長期の交通政策基本計画を策定するのは初めて。計画では▽大都市の国際競争力の強化▽地域の活力向上▽大規模災害への対応▽生活交通確保やバリアフリー化▽環境負荷の低減▽まちづくりや観光立国化―の6テーマに関する施策やその目標を明確にする。施策の進ちょく状況は国会に毎年報告する。」(『建設工業新聞』2014.04.08)
●「東京都府中市は2014年度、インフラの維持管理に向けた新たな取り組みを進める。国の天然記念物として地域指定されているけやき並木のある市の中心市街地を対象とした『けやき並木通り周辺地区道路等包括管理業務』を、公募型プロポーザルで選定した前田道路・ケイミックス・東京緑建JVに委託し、16年度末までの3年間、試行的に実施する。道路の日常的な管理を巡回、不具合通報対応、補修などまで包括的に民間委託するのは全国でも初の試みという。市は、今後の対象拡大も視野に入れながら検証作業を進める。あわせて、道路施設の管理を電子情報化する道路管理支援システムも検討する。また、道路や公園を対象に『インフラ管理ボランティア制度』も今年度からスタート、市民との協働による新たな管理も始める。インフラの老朽化が全国的な問題となる中、基礎的自治体の先駆的な取り組みとして注目される。道路等包括的管理業務は、これまで市直営と複数の業務委託を合わせて行ってきた道路の日常的な管理に民間活力を活用した管理制度。スケールメリットや民間技術などの活用で、管理の効率化と経費節減につなげる。…また、道路施設の管理情報の電子化も引き続き検討作業を進める。…インフラ管理ボランティア制度は、地域の環境を将来にわたって守っていくためには地域住民らの活動が重要と判断。清掃、除草などを行う市公認のボランティアを公募し、市が保険や用具の補助を行う。」(『建設通信新聞』2014.04.10)
●「環境省は、直轄で実施する除染特別地域内の除染等工事で使う設計労務単価を改定し、福島環境再生事務所に9日付で通知した。…設計労務単価は、特殊勤務手当を見直したことが改定のポイント。これまでは労務単価に加え、1日当たり1万円、1日の作業時間が4時間未満の場合は6000円を一律に加算していた。これを避難指示区域の区分に応じ、除染の作業場所が帰還困難区域はこれまでと同じ1日当たり1万円、居住制限区域と避難指示解除準備区域は1日当たり6600円にした。1日の作業時聞が4時間未満の場合は、6000円と3960円。特殊勤務手当は、直轄除染の作業場所に避難指示が出されており、作業員の精神的、身体的負担が大きいことを踏まえ、除染開始時に一律1万円と設定した経緯がある。既に除染開始から2年程度が経過し、避難指示解除準備区域と居住制限区域では、事業活動や宿泊ができるなどの見直しが進み始めている。こうした区域の状況変化を踏まえ、除染作業員の負担度合いも一定程度軽減していると考え、『総合的に勘案した結果、特殊勤務手当の金額を見直した』(環境省)。」(『建設通信新聞』2014.04.11)
●「関東地方整備局荒川下流河川事務所は、東京都〜埼玉県間の荒川下流部で実施する高規格堤防(スーパー堤防)の整備事業に民間活力の導入を検討する。スーパー堤防の設計・施工・管理を一括で委託するPFI手法などの導入を視野に入れる。7月以降に検討業務を外注する。スーパー堤防の整備のためにPFIの導入可能性を検討するのは関東では初めて。」(『建設工業新聞』2014.04.11)
●「東京都が実施する発注予定の一括公表が不調対策としての効果を上げている。一例が2013年度末に都財務局契約第一課が実施した都営住宅建築工事を中心とする発注予定の一括公表だ。都では、4月から年間発注予定の詳細化に取り組んでいるが、発注計画の事前提示は応札する建設企業にとって受注戦略の判断材料となる。結果として『不調対策』にも効果を発揮していると言えそうだ。都財務局は、都営住宅を中心に建築工事の発注量が増大する年度末に限定して発注計画を一括公表する取り組みを試行。予定価格9億円未満の建築工事を対象に14年1−2月末までに公表する計43件(一部12月公表分を含む)を東京都電子調達システム・入札情報サービスで事前提示した。応札動向をみると、事前に発注計画を一括公表した43件のうち、『不調』となったのは7件。建築工事の13年4月−12月の不調発生率24.9%に対し、16.3%と低減した。施工場所や工事内容など個々の案件ごとに異なるため、単純に比較することばできないが、一括して発注計画を事前提示する、あるいは早期に発注の全体像を示すことが『不調対策』として一定の効果を持つことが実証された形だ。」(『建設通信新聞』2014.04.14)
●「国土交通省が、直轄工事の入札で8月1日から社会保険に未加入の建設業者を排除する。同じ公共発注機関の地方自治体はどう対応するのか―。日刊建設工業新聞社は都道府県を対象に緊急調査を実施した。その結果、5府県が国交省に先駆けて、業者の社会保険加入状況を確認して未加入業者を入札から排除したり加入を指導したりする措置を実施済みまたは予定していることが分かった。国交省が8月1日から実施する措置では、元請となる業者の社会保険加入状況を確認した上で、未加入の場合は応札を認めないようにする。さらに、1次下請業者については施工体制台帳で社会保険への加入状況を確認。未加入の場合は、元請に対し、請負代金の減額や指名停止、工事成績評定の減点といったペナルティーを科す。…国交省に先立って社会保険未加入業者を個別入札の段階で排除したり、加入指導を行ったりする措置を導入済みまたは導入予定だったのは、秋田、神奈川、福井、京都、大阪の5府県。このうち秋田県は、08年度から健康保険と雇用保険の加入を入札参加要件に設定していた。神奈川県はこの4月から1億5000万円以上の一般競争入札とすべての指名競争入札で、社会保険加入を参加要件とし、1次下請は加入業者と契約するよう促すことにした。福井県は6月から、施工体制台帳で下請の未加入実態が判明すれば、下請から外れるか、社会保険に加入してもらうことを要請するという。…京都府は、未加入業者を排除するところまでは行っていないが、台帳で下請の加入状況を確認し、未加入の場合は加入するよう指導している。大阪府は、13年11月から取り入れている未加入業者の落札を禁じる措置に加え、この4月から全発注案件を対象に次数を問わず下請の加入状況を確認する取り組みを始めた。」(『建設工業新聞』2014.04.14)
●「社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)の道路分科会(家田仁分科会長)は14日、『道路の老朽化対策の本格実施に関する提言』をまとめ、太田昭宏国交相に提出した。産学官のリソース(予算、人材、技術)をすべて投入する『道路メンテナンス総力戦』を打ち出したのが特色だ。国交省は提言に基づき、メンテナンス産業の育成に向けた積算基準の整備や発注ロットの大型化、自治体への支援策の具体化などに取り組む。提言では、国内にある道路橋(約70万橋)や道路トンネル(約1万ヵ所)を5年に一度、国が定めた統一的な基準で点検・診断し、修繕などの措置とその記録を行っていく『メンテサイクル』を確立することを提案。そのために必要な仕組みづくりとして、予算、体制、技術、国民の理解の各視点から具体策を列挙した。提言はメンテナンスをめぐる課題について、▽修繕工事は新設と比べて手間が掛かる▽人件費や機材コストが割高で規模などの発注条件によっては利益が出にくい▽設計と施工の実態が異なり再設計や契約変更が必要になることが多い―などを指摘した。」(『建設工業新聞』2014.04.15)
●「政府は14日、5月末に閣議決定を目指す国土強靭化基本計画の構成案をまとめた。昨年12月に決定した政策大綱で示した強靭化の基本的な考え方や施策の進め方などに加え、大都市にある建築物の耐震・防火対策といった施策の優先順位付けの参考にする大規模災害への脆弱性評価の結果や、民間投資を誘発するために取り組む支援措置などを記載する。計画はその都度行う脆弱性評価に応じて5年ごとに見直す考えだ。」(『建設工業新聞』2014.04.15)

労働・福祉

●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、植村芳輝議長)は3月31日、13年の企業雇用実態調査の結果を発表した。全従業員が『増加』したという回答の割合が過去5年で最高の40%(前回調査28%)に上昇。正規従業員は『変化なし』が55%(67%)だったものの、『増加』が21%(9%)に達した。正規従業員の増加に合わせ、非正規従業員が『増加』との回答も多く、日建協は『事業量の急激な増加に苦慮している様子がうかがえる』と分析している。」(『建設工業新聞』2014.04.01)
●「富山県建設業協会(近藤駿明会長)は、2013年度建設業の雇用実態と経営状況に関するアンケート報告書をまとめた。それによると、技術、技能者の高齢化が加速し、29歳以下の占める割合が急激に低下。若手だけでなく、中堅を雇用していない企業も少なくなく、職場内で生じている世代間のギャップが建設業を敬遠する要因の1つとみており、地域の基幹産業の維持に強い危機感を示している。また、担い手不足の解消に向けて、労務単価引き上げの効果発現に期待を寄せるとともに、就労環境の改善を求めている。…技術、技能者(5123人)の割合を年代別にみると、50歳代が25.8%で最多。40(23.8%)、30(23.6%)歳代がそれぞれ続く。一方、20歳代と19歳以下を合わせて9.0%。技術、技能の継承が難しくなってきている。」(『建設通信新聞』2014.04.03)
●「厚生労働省がまとめた2013年(1−12月)の労災発生状況(3月7日時点、速報値)によると、建設業での労働災害による休業4日以上の死傷者数は、前年同時点に比べ0.7%増の1万6953人となった。2月7日時点の速報値から351人増えた。12年の3月7日時点速報値比では126人増となる。全産業の死傷者数が4年ぶりに減少することが確実な状況の中で、建設業の死傷者数は、3年連続して前年を上回ることが確定的になった。」(『建設通信新聞』2014.04.04)
●「政府は4日、建設分野の外国人材活用に関する緊急措置を決定した。2020年度までの時限的措置として、技能実習修了者を最大2−3年間、国内の建設業務に従事できるようにする。…受け入れは15年度初頭から開始する。復興の加速化や五輪開催に伴う建設需要の増大で懸念される人手不足を、即戦力となる外国人材で一部補う。外国人活用はあくまでも側面を支える手段との位置付けで、国交省は『国内の人材確保・育成が最優先。現在進めている行政、業界を挙げた取り組みは一歩も緩めない』と強調。厚生労働省と連携しながら、今夏をめどに、国内人材確保の施策パッケージを具体化し、強化していく方針だ。現行の技能実習制度の期間延長などではなく、別枠の外国人受け入れスキームを作る。即戦力を確保するとの観点から、建設分野の技能実習修了者に『特定活動』という在留資格を与え、継続的な現場従事や再入国を認める。技能実習を組み合わせた継続従事の場合は、国内で最大5年間働くことができる。前半3年は技能実習、後半2年は特定活動の扱いになる。技能実習を終えて一度帰国した外国人が再入国するケースについては、帰国してからの期間が1年未満であれば最大2年、1年以上経過していれば最大3年の業務従事が可能。特定活動の在留資格が与えられるのは1回だけで、1年ごとの更新手続きが必要になる。この仕組みは20年度までの期間限定で、21年度には特定活動の資格で日本にいる外国人はいなくなる。外国人活用の拡大に伴う不正増加などを防ぐため、技能実習制度を上回る水準の監理体制を敷く。受入企業による外国人材の帰国費用担保や生活指導、監理団体の受入企業チェック、制度推進事業実施機関による団体と企業の巡回指導といった現行の技能実習制度の取り組みに加え、新たに特別な基準などを設ける。」(『建設通信新聞』2014.04.07)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)と建設産業専門団体連合会(才賀清二郎会長)は7日、人材確保や若年入職者促進などについて連携して取り組むため、『技能者確保人材育成推進協議会』を立ち上げることで一致した。全国建設業協会(淺沼健一会長)と全国中小建設業協会(松井守夫会長)にも参加を呼び掛ける。人材確保に向けた重層構造の改善なども議題に上る可能性が高く、技能労働者の確保による『たくましい建設業の復活』に向け、元請団体と専門工事業団体による文字どおり“膝詰め”の検討が始まる。」(『建設通信新聞』2014.04.09)
●「環境省は、改正大気汚染防止法施行令の改正案をまとめた。建築物の解体工事の受・発注者双方を対象に、アスベスト(石綿)の飛散防止対策をより強化する取り組みを規定。環境相または都道府県知事は、石綿が使用されている建物を解体する作業(特定工事)で、作業方法や使用建材などについて受・発注者に報告を求めることができるようになる。5月7日まで改正案への意見募集を受け付けた上で正式決定し、6月の施行を目指す。」(『建設工業新聞』2014.04.09)
●「登録基幹技能者制度推進協議会(向井敏雄会長)は、短期・中期の登録基幹技能者の育成目標人数を固めた。13年6月末時点で計3万9783人に達した登録者数を、16年度までに5万3661人、19年度までに6万8175人に増やす計画。13年度活動として講習実施団体が算定したそれぞれの育成目標数を積み上げた。21日に開く総会で正式決定する。10年後をターゲットにした長期目標人数は、14年度に積算根拠を整理して算出する予定だ。」(『建設工業新聞』2014.04.14)
●「大企業の会社員が入る健康保険組合が相次いで保険料を引き上げている。保険料率は2014年度に平均8.8%となり、過去最高を更新する。健保組合が高齢者医療制度を支えるために払うお金が膨らんだ。政府は消費増税で社会保障の財源確保に踏み出したが、今後も企業負担は増える見通し。企業の競争力強化を通じた経済再生にも悪影響が出かねない。」(『日本経済新聞』2014.04.15)

建設産業・経営

●「宮城県は本年度、新たな建設産業振興プランの策定を見据え、建設業界と本格的な議論をスタートさせる。東日本大震災からの復興需要が収まった後にも、地域の安全・安心を担う建設業が持続可能性を持って活動していくために必要な視点などを探ることが狙い。…同県内では、現在は震災からの復興事業が本格化しており、人材・資材不足などが課題となっている。しかし、震災前は建設市場の縮小傾向が常態化し、人材・資機材を維持することが難しい状況があった。復興需要が減少していくにつれ、再び供給過剰状態へと戻っていくことが予想されており、『一部でダンピングの兆しが見え始めている』(建設業界関係者)との見方もあるのが実情だ。しかし、インフラのメンテナンスや、東日本大震災のような大規模災害対応の面からは、地域建設業の安定的な存続が不可欠との認識も高まっている。こうした背景から、同県は、平時と非常時の両方を見据えつつ、地域建設業界が『まち医者』として活躍していけるような仕組みなどについて、建設業界と積極的に議論を深めていく。」(『建設工業新聞』2014.04.03)
●「経済産業省中小企業庁がまとめた1−3月期の中小企業景況調査によると、建設業の業況判断DI(好転から悪化を引いた指数)は、前期(2013年10−12月)から2.6ポイント上昇の3.9と、5期連続してDIが上昇しプラス幅が拡大した。業種別の『総合工事業』は3.2となり、『職別・設備工事業』も4.6まで改善した。指数がプラスとなったのは2期連続。1996年10−12月期以降は指数のマイナスが続いていたが、政府が公共事業費を増やしたことなどが業況改善に影響を与え、前期からプラスの指数に転じていた。一方で、建設業の経営上の問題点は、前期から2期連続して『材料価格の上昇』が1位で、2位が『請負単価の低下・上昇難』。この結果からは、業況が改善する中でも、中小建設企業は資材価格上昇などに対し不安を抱えていることがうかがえる。」(『建設通信新聞』2014.04.04)
●「東京商工リサーチは8日、『2013年度建設業倒産(負債額1000万円以上)』状況を公表した。件数は前年度比20.4%減の2280件にとどまった。倒産件数は業界の景況感に連動しており、13年度の倒産件数は、バブル期の1990年度に近い水準まで減少した。倒産統計上からは、建設業の景気基調が、バブル期状態まで回復しつつあることを示した格好だ。ただ元請企業と下請企業の一部からは、『先行き市場に不安感がある』『人手不足による着工遅れが、工期ダンピングにつながり収益向上につながるか不透明』など先行きに警戒感を抱く声は依然根強い。」(『建設通信新聞』2014.04.09)
●「東日本建設業保証がまとめた公共工事の動向によると、2013年度(13年4月−14年3月)の請負金額は、前年度比17.4%増の8兆5829億円となり、02年度以来、11年ぶりに8兆円を超えた。…13年度の工事件数は14万9231件で、前年度を4.5%上回った。請負金額の階層別で見ると、5000万円未満の小規模工事が6.2%増、5000万円以上5億円未満の中規模が10.0%増、5億円以上の大規模が36.7%増と全階層で増加した。ただ、全工事に占める割合で見ると、小規模工事が22.l%で前年度より2.3ポイント下がり、中規模も41.7%で2.8ポイント下がった一方で、大規模工事は36.2%で5.1ポイント増加した。受注企業の資本金階層別では、3億円未満の中小規模が51.1%を占めたが前年度から1.3ポイント下がり、3億円以上の大規模も23.l%で1.4ポイント下がった。JVが25.8%で2.7ポイント増加した。」(『建設通信新聞』2014.04.10)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省が3月31日発表した2月の新設住宅着工戸数は前年同月比1.0%増の6万9689戸と18カ月連続の増加となった。ただ、分譲住宅のうちマンションが8674戸と33.5%の大幅減で、1985年以降で2番目に低い水準となった。…マンションの着工戸数の減少率を圏域別にみると、首都圏が23.4%減、中部圏が68.0%減、近畿圏が43.6%減、その他が41.4%減といずれも大きく落ち込んだ。」(『建設工業新聞』2014.04.01)
●「国土交通省は、首都直下地震による被害を最小化するため、発災前後に省の総力を挙げて取り組むハード・ソフト対策を網羅的に整理した『首都直下地震対策計画』を策定した。『人命を守る』『首都中枢機能の継続』『首都圏の復興』という3大使命のもと、最優先する11の重点対策個所を設定。2020年度までに、約2400ヘクタールに及ぶ危険な密集市街地を解消するというように、目標年次も示した具体施策を盛り込んだ。初動を左右する道路や航路の啓開を担う建設業者との連携・協力体制を、さらに緊密にする方針も打ち出されている。」(『建設通信新聞』2014.04.03)
●「国土交通省は、良質な維持管理やリフォームが行われている中古の一戸建て住宅の建物価値が適切に評価されるよう、評価方法の改善に向けた指針を策定した。築20年で一律に建物価値がゼロになる現在の評価方法について、長期優良住宅の認定を受けた住宅であれば100年超の耐用年数を許容し、減価のスピードを抑えられるようにするのが最大のポイント。売買やリフォームを行いやすい環境を整備し、中古住宅流通市場の活性化を目指す。指針では、まず建物評価を基礎・躯体と内外装・設備の二つに大きく分けてから行うとした。うち基礎・躯体については、性能に応じて築20年より長い耐用年数を設定。耐震や省エネなどの性能に優れた長期優良住宅であれば100年以上の耐用年数を設定できるようにし、機能が維持されている限りはリフォームを行った場合に住宅の価値が回復・向上するようにする。」(『建設工業新聞』2014.04.04)
●北海道函館市は3日、青森県大間町に建設中の大間原発(電源開発)について、国と電源開発に対し建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こした。…自治体による原発建設差し止め訴訟は全国初。提訴後の会見で工藤市長は、「これまで再三、地域として大間原発の凍結を要請してきたが、受け入れてもらえなかった。大間原発の問題点、その進め方の乱暴さ、地域の思いを訴えて、理解を得ていきたい」と語った。(『しんぶん赤旗』2014.04.04より抜粋。)
●「復興庁は、東日本大震災の被災地での産業復興に向け、商業機能や企業誘致を促進するため、自治体の担当者などを対象とした研修会を実施する。商業施設開発に関する専門家や企業誘致のコンサルタントなどを講師に迎え、事業を実施する上でのノウハウを提供していく。復興の段階が進みつつある中で、商業施設の整備による商業機能の集積や企業立地による地域産業の活性化も求められており、支援体制を整備して被災地の本格復興につなげる。」(『建設通信新聞』2014.04.07)
●「宮城県石巻市で、東日本大震災からの復興へ向けた市街地再開発事業が加速している。現在、6地区で再開発構想が浮上し、うち5地区で組合施行による計画が進展中だ。8日には立町二丁目5番地区で新たに再開発組合が設立された。中央三丁目1番地区と中央一丁目14・15番地区でも既に本組合が発足済みで、早期完成に向け調整作業が進んでいる。立町一丁目4・5番地区と中央二丁目4番地区ではそれぞれ準備組合が具体化を検討中。このほか中央二丁目11番地区では市施行も視野に入れた検討が始まっている。」(『建設工業新聞』2014.04.09)
●「東京電力福島第1原子力発電所の汚染水処理が足踏みしている。放射性物質を取りのぞく浄化装置『ALPS』が想定通りに動かないためだ。東電は2014年度内に汚染水の浄化を終える計画だが、実現はおぼつかない。汚染水処理が停滞すれば、東電の経営再建に欠かせない柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が遅れる可能性もある。…ALPSは昨年11月に3基の運転を始めたが、トラブルで頻繁に停止。現在も2基は故障中で1基だけが細々と浄化を続けている。原発周囲に設けた貯蔵タンクには約40万トンの高濃度汚染水がたまっている。昨秋、東電の広瀬直己社長は汚染水の浄化を14年度中に終えると安倍晋三首相に約束した。それもALPSがフル稼働するというのが前提。ALPSの稼働率が低いままでは目標達成に黄信号がともる。危機感から政府は昨年9月、国としてALPSを上回る能力をもつ浄化置の増設を決めた。今年9月以降に導入する計画だ。東電が同時期に増設するALPSと合わせると、処理能力は現在の日量最大750トンから同約2000トンに上がる。 ただ、ALPSでトラブルが続く原因は現場の人繰りの問題と指摘する声もある。…国は浄化装置や地下水の流入を防ぐ『凍土遮水壁』の建設などに1700億円弱の国費投入を決めた。今後の廃炉や汚染水対策は、東電が用意する約2兆円の資金枠から拠出するのが原則。ただトラブルが長引けば追加の国費投入についての議論も再燃しそうだ。」(『日本経済新聞』2014.04.10)
●「自民党の空き家対策推進議員連盟(宮路和明会長)は9日、今国会に議員立法で提出する空き家対策推進特別措置法案を同党の国土交通・総務合同部会に示し、了承された。防災や景観などに悪影響を及ぼす恐れのある空き家の増加を防ぐため、市町村の権限で家主に除却や修繕を命令できるようにする。国は税財政面で市町村や家主を支援する。国土交通、総務両省は合同で今秋にも空き家対策に関する基本指針を策定する。」(『建設工業新聞』2014.04.10)
●「国土交通省は10日、中古住宅の長寿命化改修費を補助する14年度の『長期優良住宅化リフォーム推進事業』の補助対象メニューを発表した。従来の評価基準に基づく補助に加え、評価基準のレベルを超えた先導的提案による長寿命化改修と、すべての評価項目で最高基準(S基準)を満たした長寿命化改修にも新たに補助を行う。従来のメニューには1戸当たり100万円、新設する二つのメニューには同200万円を上限に改修費の3分の1を補助する。」(『建設工業新聞』2014.04.11)
●「政府は11日に閣議決定したエネルギー基本計画で、民主党政権が掲げた『原発ゼロ』を撤回した。安全が確認された原発を動かす方針も記し、全基が止まっている原発の再稼働に一歩踏み出した。ただ、原子力、ガス、石炭などの電源構成の明示は先送りした。当面は化石燃料を燃やす火力に依存せざるを得ず、エネルギー政策の将来像は描ききれていない。エネルギー基本計画は電力を安定供給し、産業競争力を高めるための国の基本戦略を定める指針で、原則3年ごと見直す。東京電力福島第1原発事故後、初めての改定で、原発の扱いが最大のポイントになった。政府が新指針で原発を『重要なベースロード電源』と位置づけたのは重要な一歩といえる。…だが、具体的に電源に占める原発の比率は示せなかった。再稼働の道筋が明確に見えてこないうえに、数値を記せば原発の再稼働や新増設に慎重な一部の与党議員を刺激しかねないからだ。一方、太陽光、風力など再生可能エネルギーは『過去の水準をさらに上回る水準を目指す』と思い切って拡大する姿勢を打ち出した。水力を含めれば再生エネの電源比率は現在、1割程度。…結果的に、火力ヘの依存構造が続く可能性が大きい。発電に占める火力の比率は足元で9割を占める状況にある。」(『日本経済新聞』2014.04.12)

その他

●「集団的自衛権を議論する政府の有識者会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』(座長・柳井俊二元駐米大使)の報告書案が明らかになった。従来の解釈を変更し、集団的自衛権は憲法が認める必要最小限度の自衛権に含まれるとした。原則として国会の事前承認を必要とし、他国の領域では同意なしに行使しないなど発動に6つの条件を付ける。…報告書は中国の軍備拡張や北朝鮮の核・ミサイル開発など安全保障環境の変化を受け、憲法改正をしなくても集団的自衛権を行使できるとの見解を打ち出す。与党内の慎重論も踏まえ、行使のための条件を明確にする。…原則として日本の領域や公海上での行使を想定し、他国の領土・領海・領空での活動は『当該国からの明確な要請があった場合』に限る。…集団的自衛権を行使するかどうかば『首相が総合的に判断する』とし、国際社会や国益への影響を勘案して決める。国会の事前承認を義務付け、緊急時のみ例外的に事後承認を認めるとする。報告書は4月下旬以降に政府に提出する。政府は報告書に与党内の意見を加味して集団的自衛権に関する『政府見解』をまとめ、夏までの閣議決定を目指す。」(『日本経済新聞』2014.04.03)
●「世界の科学者らが地球温暖化の防止策をまとめる新たな報告書の最終原案で、日本や欧州連合(EU)などの先進国に温暖化ガスの排出削減を義務付けた京都議定書は『成功とはならなかった』と評価していることが3日明らかになった。米国や中国など主要排出国が参加しない取り組みには限界があると科学的に認めることになる。…最終原案では京都議定書について『参加国は削減目標を達成した一方、先進国の議定書への参加が不完全で、直接規制していない途上国の排出も急増した』と記している。世界全体の温暖化ガス排出量は10年までの10年間の平均で年2.2%増え、00年までの30年間の年1.3%増を上回ったという。アジアや南米、中東などが占める部分が多い。このためIPCCも科学者らの議論を経て京都議定書を『注目すべき功績』とした従来の評価を改める。」(『日本経済新聞』2014.04.03)