情勢の特徴 - 2014年5月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は1日、法人税の実効税率の引き下げについて、6月にまとめる経済財政運営の基本方針に『来年度から段階的に引き下げる』と明記する検討に入った。現在の35.64%(東京都の場合)から今後数年間で早期に20%台にすることを目指す。日本企業の競争力を底上げして外資系企業の直接投資を呼び込む狙いだ。」(『日本経済新聞』2014.05.02)
●「金融機関の全産業に対する貸出総額の回復が鮮明になる一方、建設業への貸出金額は、工事量が増加しているにもかかわらず、全国的に減少傾向にあることが、建設経済研究所の調査で分かった。震災復旧・復興で事業量が大幅に増えている東北でさえも、同様の傾向となっている。同研究所では、建設業の手元資金が増えてきていることなどが一因と見ている。国内銀行と信用金庫を合計した金融機関の貸出総額は2013年3月末に、8半期ぶりに500兆円台に回復し、その後もわずかながら増加の兆しが続いている。政府建設投資を中心に、事業量が増えている建設業への貸出金額も増加が予想されたが、これに反して減少傾向を示しており、資金需要の高まりは見られなかった。」(『建設通信新聞』2014.05.02)
●「世界の金融市場でヘッジファンドが膨張している。米ヘッジファンド・リサーチの調査によれば3月末の世界の資産残高は2兆7016億ドル(約280兆円)。リーマン・ショックで減った2008年末の約2倍に増えており、過去最高だ。日本でもヘッジファンドが株主に登場、経営改革を求める動きもあり、存在感は高まる一方だ。…2.7兆ドルは世界の株式市場全体の5%近くに相当。その資金を支える多くは年金などの機関投資家だ。金融危機以降、運用難の資金が流れ込む構図が続いている。…ヘッジファンドの膨張は市場に厚みを持たせる一方、短期的な価格変動を増幅する側面がある。アベノミクスヘの期待から、昨年は『日本株買い・円売り』をヘッジファンドが主導。今年はそれが反転し、日本株の下げを大きくしている。」(『日本経済新聞』2014.05.03)
●「政府が『50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する』との中長期の国家目標を設けることが3日明らかになった。日本の人口はこのままでは60年に約8600万人まで減る見通しのため、20年ごろまでに集中的に対策を進め、人口減少に歯止めをかける。高齢者に手厚い予算配分を現役の子育て世代に移し、経済・社会改革を進められるかが課題になる。政府が人口維持の明確な目標を打ち出すのは初めて。人口減は成長や財政、社会保障の持続に多大な悪影響を与えると判断。国を挙げて抜本対策をとるため、目標の提示に踏み切る。政府の経済財政諮問会議の下に置いた『選択する未来』委員会(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)が5月中旬に中間報告として諮問会議に提言する。6月にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。」(『日本経済新聞』2014.05.04)
●「国土交通省は、日本企業が海外のインフラ事業に進出しやすくなるよう、太田昭宏国交相らによる『トップセールス』を4月末からの大型連休期間を利用して集中的に実施した。インフラ需要が旺盛なアジアの新興国を中心に、太田国交相をはじめ副大臣や政務官が相次ぎ訪問。日本企業が持つ技術力と実績をPRし、新興国で相次ぐ都市開発や交通インフラ事業などで技術協力することを提案した。同省幹部が国会が事実上休会となる大型題休前後にインフラ輸出のトップセールスを展開した相手国は8カ国・地域。…インフラシステムの輸出拡大は政府の成長戦略『日本再興戦略』に位置付けられている。2020年には日本企業による海外での受注額を現在の3倍となる30兆円に引き上げる目標を設定。13年の受注実績は年間計67回に上った首相や閣僚によるトップセールスなどが奏功し、前年の約3倍となる9.3兆円に拡大した。この結果を受け国交省は継続してトップセールスに力を入れる方針だ。」(『建設工業新聞』2014.05.07)
●「先進国経済の潜在的な供給力に対して、実際の需要が依然として1.1兆ドル(約110兆円)規模で足りないことが国際通貨基金(IMF)の最新の推計でわかった。景気が回復しているのに、物価がなかなか上がらない世界的な低インフレの主因となっており、各国中央銀行による金融緩和の長期化は避けられない情勢だ。IMFが日米欧など36カ国の先進国について、潜在的な供給力と実際の需要の差を示す『需給ギャップ』を推計した。2014年は国内総生産(GDP)比で2.2%に相当する1.1兆ドルの需要不足。リーマン・ショック後の09年の約2.1兆ドルからほぼ半減したが、なお需要が足りない状況が続いている。」(『日本経済新聞』2014.05.10)
●「財務省が12日発表した2013年度の国際収支速報によると、モノやサービス、配当など海外との総合的な取引状況を表す経常収支は7899億円の黒字となった。比較できる1985年度以降で過去最低で、1兆円の大台を初めて割り込んだ。貿易赤字が大幅に膨らんだのが主因。企業が海外生産を増やした影響で円安傾向のなかでも輸出も伸び悩んだ。…13年度の貿易赤字は10兆8642億円と前年度の2倍超に膨らんだ。比較できる1996年度以降で最大。輸入額が80兆6681億円と約2割増えたのが影響した。原子力発電所の稼働停止で液化天然ガス(LNG)などエネルギーの輸入が急増。13年度の平均為替相場は1ドル=100円程度で前年度より約17円の円安が進み輸入価格を押し上げた。4月の消費増税前の駆け込み需要に合わせて、企業が原料や消費財の輸入を一時的に増やした影響も大きい。輸出は69兆8039億円。前年度に比べ12%増え6年ぶりの高水準になった。欧米景気の持ち直しで海外需要が回復しつつあるのが背景にある。ただ過去の円高局面で多くの企業が生産拠点を海外に移しており、大幅な円安にもかかわらず輸出は緩やかな回復にとどまっている。海外からの配当金などを表す第1次所得収支は16兆6596億円の黒字と前年度比で14%多い。黒字幅は5年連続で増え85年度以降で最大になった。サービス収支は3兆5779億円の赤字となり、前年度に比べ赤字幅が6085億円減った。訪日外国人が増えるなどで、国内サービスへの支払いが増えたためだ。」(『日本経済新聞』2014.05.12)
●「上場企業の収益が力強さを取り戻す。アベノミクスの追い風もあって大幅増益となった2014年3月期に続き、15年3月期も小幅ながら増益を維持しそうだ。全体の経常利益はリーマン・ショック前の最高益だった08年3月期にほぼ並び、上振れすれば最高益を更新する。金融危機や東日本大震災の影響で体力を落とした局面を抜け出る。今期は円安が一服、消費増税の逆風もあるが、競争力を高めて世界で稼ぐ製造業がけん引する。…今期の経常利益の総額は約29兆円で、最高益だった08年3月期の98%に回復。…好業績で目を引くのは競争力を高めて、グローバルに収益を伸ばす企業だ。三菱重工業は世界で勝てる事業に集中。エネルギーや航空機関連が好調で、今期は18年ぶりに最高益を見込む。オムロンは制御機器などを新興国市場で拡販。自動車向けも伸び、8年ぶりの最高益となりそうだ。M&A(合併・買収)で利益を増やす企業も目立つ。ダイキン工業は米グッドマン・グローバルを買収。米国で空調機の販路を広げたことで成長が加速する。ダイキンも含め、6社に1社が今期最高益を見込んでいる。」(『日本経済新聞』2014.05.15)

行政・公共事業・民営化

●「総務省は、地方自治体の財務制度の見直しに向けて検討している省内研究会の中間報告を公表した。公共施設の大量更新時代を踏まえた調達方法の改善が急務とし、その実現には会計制度が硬直化していることが問題点となっていることを指摘。特に、予算の繰り越し適用を認めるための新たな要件の検討を提起している。また、年度開始前に入札を実施できる可能性の検証や、自治体になじむ総合評価落札方式の検討なども盛り込んだ。」(『建設通信新聞』2014.05.02)
●「公共工事発注の先行きの目安となる設計、調査、測量の請負金額や件数がここ3年間で急速に増加している。北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証がまとめている公共工事前払金保証統計によると、2013年度の設計の請負金額は10年度の約1.6倍、測量は1.5倍、調査も1.4倍となった。設計、調査、測量が発注されれば、それに応じて工事発注可能な案件が積み上がるため、工事発注準備が急速に進んでいるといえる。13年度の設計請負金額は前年度比12.4%増の2716億6800万円、調査は23.9%増の1705億8100万円、測量は10.2%増の763億1900万円だった。いずれも過去5年間で最高の請負金額を記録した。…設計、調査、測量の請負金額と件数が、ここ3年で大幅な伸びを示していることは、予算が確保されれば、すぐにでも工事発注できる準備が整っているとみることができる。」(『建設通信新聞』2014.05.07)
●「国土交通省は7日、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会(部会長=家田仁東大・政策研究大学院大学教授)を開き、東京圏の今後の都市鉄道整備に関する議論をスタートした。2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの対応や首都直下地震を始めとした災害リスクの高まり、都市の国際競争力強化など、東京圏の都市鉄道を取り巻く課題の変化を踏まえ、整備すべき新線や新駅などを盛り込んだ答申を2015年度中にまとめる。」(『建設通信新聞』2014.05.08)
●「東日本大震災の被災3県で、2013年度の災害公営住宅建設工事の11%が入札不調となったことが、国土交通省の調べで明らかになった。不調の理由は、予定価格が低いためとする意見が多く、地域要件を満たす企業の不足や工期の短さを挙げる意見も目立った。各県とも発注方式や入札価格、地域要件などを見直し、早期に契約にこぎ着けている。建築工事では、半数以上の案件で不調になった1回目の入札から2カ月以内での契約となった。」(『建設通信新聞』2014.05.08)
●「日本の人口が減ると、全国の地方自治体の維持が難しくなるとの長期推計が相次いでいる。元総務相で東大の増田寛也客員教授らは8日、2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測をまとめた。国土交通省も全国6割の地域で50年に人口が半分以下になるとしている。ある程度の人口を保つことを前提にした国土政策は見直しを迫られる。…創成会議が着目したのは、出産に適した年齢といえる『20〜39歳』の女性の人口動態だ。40年には全国の49.8%にあたる896の市区町村で20〜39歳の女性が5割以上減り、このうち523市区町村は人口が1万人未満になる。こうした自治体は女性が生涯に産む子どもの数が増えても人口を保てず、『消滅するおそれがある』とした。全国でも高齢化が進む秋田県は25市町村のうち大潟村を除くすべての自治体が人口構成で見ると存続が難しくなる。青森県も9割近くの自治体で女性が50%以上減る。…同会議は人口減を食い止めるため、12年に1.41だった合計特殊出生率を、25年までに1.8まで高める必要があるとした。保育所が付いたマンションを整備して子育て世代を応援するほか、企業ごとに社員の出生率を公表させて家庭との両立を促すべきだとした。」(『日本経済新聞』2014.05.09)
●「内閣官房の『ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会』(座長・藤井聡内閣官房参与)は14日、5月末にも閣議決定する予定の国土強靭化基本計画(素案)をまとめた。5年ごとに見直す基本計画とあわせて、毎年度の取り組む具体的な施策を提示する『国土強執化アクションプラン2014』(素案)も提示した。アクションプランに基づき、各省庁が2015年度予算概算要求に盛り込む事業などを固めるとみられる。」(『建設通信新聞』2014.05.15)
●「国土交通省は、多様な入札契約方式の導入を推進するモデル事業の実施に向け、6月に公募を始める。選定業務などを支援するコンサルタントの特定を終えており、近く契約を結んで公募手続きの準備を本格化させる。事業では、先進的な取り組みを目指す地方自治体から5件程度を選定した上で、専門家などを派遣して実施を支援。その成果を踏まえた発注者マニュアルを作成し、自治体での多様な入札契約方式の波及につなげる。」(『建設通信新聞』2014.05.15)
●「国土交通省は、道路舗装を修繕・更新する適切なタイミングの明示に向けた検討に入る。交通量や寒暖の違いといった立地特性なども考慮しながら、舗装をいくつかの類型に分け、道路管理者が目安として活用できる更新年数や修繕間隔を類型ごとに示す。今年度いっぱいをかけて調査検討を進め、いずれはガイドラインのようなものとして取りまとめたい考え。成果物ができれば、まずは直轄道路で使い、地方公共団体にも活用を促していくことになりそうだ。」(『建設通信新聞』2014.05.15)
●「政府は、国土強靭化の基本計画と実行計画の素案をまとめた。実行計画の素案では、15年までに東京など大都市にある建築物の耐震化率を現在の約80%から90%、16年までに千葉以西の太平洋側にある海岸堤防の整備率を現在のほぼ倍に引き上げる目標を設定。巨大地震で懸念される建築物の倒壊や大津波などに備えるとした。政府は基本計画を5月末に閣議決定する。…基本計画は、今後30年以内の発生確率が70%とされる南海トラフ、首都直下の両大地震が発生しても迅速に復旧・復興を行えるようにするなど強靭化の狙いを明記。建築物の耐震化などに国と自治体、民間事業者が一体で取り組むとした。その上で、強靭化を推進する住宅・都市整備やインフラ老朽化対策といった15の施策分野ごとに今後約5年間の対応方針を明示した。住宅・都市整備では住宅や公共建築物の耐震化や密集市街地での延焼防止対策を推進。インフラ老朽化対策では、真に必要なインフラに絞って点検・診断・修繕・更新に循環的に取り組む『メンテナンスサイクル』を定着させるとした。基本計画の施策を着実に推進するため、1年ごとに実行計画を策定。優先して取り組む施策と達成目標を決める。最初の実行計画の素案では、首都直下地震で火災の延焼が懸念される東京などの密集市街地の解消に向け、建築物の耐震化や避難路の整備などを優先的に実施。密集市街地の改善整備面積を20年までに現在の0ヘクタール(11年)から約6000ヘクタールにする目標を設定した。」(『建設工業新聞』2014.05.15)

労働・福祉

●「公共投資の増加で入札不調の発生が問題視されている中でも、契約率は例年より高い水準で順調に推移していることが、建設経済研究所の調べで分かった。ただ、発注額は増えていても、全国的な人手不足の常態化で工事を消化できず、出来高につながっていない懸念も出ている。…同研究所が発表した『建設経済レポートNo.62』では、政府建設投資と公共工事前払金保証統計の相関性の高さを用いて、予算の契約状況を推測した。保証統計の各年度計を100とし、2月末時点の達成度を比較したところ、2009−11年度は80%台後半、12年度は90%となっているが、13年度は93.3%と例年より高い達成度だった。 しかし、建設投資額は契約ベースではなく、工事出来高ベースで算出される。契約が高水準でも、施工能力の制約で工事の進捗が遅れてしまうと、当該年度に予定されていた建設投資額は翌年度に繰り越されることになる。その結果、当該年度の国内総生産(GDP)の下支え効果も限られてくる。13年12月には、12年度の実質GDP成長率(確報)が1.2%から0.7%へと大幅に下方修正された。特に、公的固定資本形成(公共投資)が14.9%から1.3%に大きく下がった。復興事業の一部遅れや被災地以外の公共投資の伸び悩みなども原因に挙げられているが、技能労働者不足の深刻さが増したため、工事が進捗していないことが懸念されるという。」(『建設通信新聞』2014.05.01)
●「建設産業界を挙げた取り組みとして技能労働者の処遇改善が進む中、建設業(事業所規模5人以上)の月間給与が増加していることが、厚生労働省の勤労統計調査(3月分)で浮き彫りになった。ただ、東日本大震災の前年、2010年3月と比較すると、建設業給与の増額は製造業の4分の1程度にとどまった。建設産業界は、製造業並みの社会保険加入率と賃金水準を目標に掲げているが、統計上は製造業の賃金がこの4年間で建設業と比較して急激に増加していることになる。厚労省の3月分勤労統計によると、建設業の現金給与総額は、前年同月比2.4%増の34万2026円。製造業は同2.8%増の31万9685円だった。建設業の給与が製造業より高いのは、月間総労働時間が調査対象の16産業中、175.2時間と最も長いことが理由。そのため1時間当たりの給与額は建設業が1952円に対し、製造業は1964円と上回った。」(『建設通信新聞』2014.05.07)
●「建設技能労働者の年収を全産業労働者の平均レベル(約530万円)に―。日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)が先月、『建設技能労働者の人材確保・育成に関する提言』 (新提言)を発表した。『将来の担い手確保こそが当業界の喫緊の課題』『技能労働者の処遇の抜本的改善が不可欠』と提言の文言は強く訴える。会員各社が提言内容をどう具体化するのか。たくましい建設業の復活に向け、新提言を努力目標で終わらせないために各社の姿勢があらためて問われることになる。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、男性労働者の年収は全産業平均で529万円(12年)。これに対し、建設業の平均年収は392万円にとどまっている。日建連の新提言は、建設業の平均年収を全産業平均と同レベルの約530万円まで引き上げ、年齢別では20代で約450万円、40代で約600万円を目指すことを打ち出した。単純計算だと、現在の水準からは約3割のアップ。年齢の変化による賃金水準の変動は維持しながらも、若年世代ほど収入が手厚くなるようなイメージを描いている。…旧提言では、若い世代の目標となる『優良技能者』の標準日額年収を示していたが、新提言では『平均年収』を重視したのが大きな特徴だ。各世代の年収を全体的に底上げする必要性を色濃くにじませた内容となっている。平均年収のアップと同時に、技能と経験に見合う報酬が適切に確保されるよう、労賃とは別に手当を支給する『優良技能者認定制度』の普及や、材工の内訳明示などによる労務賃金の明確化も不可欠だとした。」(『建設工業新聞』2014.05.07)
●「厚生労働省は『建設産業と雇用の動向に関する長期分析』と題した労働市場分析リポートをまとめた。1960年代から現在までの建設産業の長期的動向を概括、特に建設就業者の高齢化問題を取り上げ、魅力ある建設産業を育てるためには、労働者の技能を次の世代へと着実に継承し、安定して人材を確保・育成していくべきとし、若年層・中壮年層・高齢層の世代的なバランスを保つことが重要と指摘した。」(『建設通信新聞』2014.05.08)
●「厚生労働省が2日に発表した13年度の平均有効求人倍率。職種別で見ると、建設関連業種の上昇が際立った。中でも『建設躯体工事』は、比較可能な00年度以降では最高値を記録した。企業の求人件数である『有効求人数』は、リーマンショック後の09年度を底に増加が続いているが、逆に職を探している『有効求職者数』は同年度から減少の一途。景気回復や公共投資増加の影響が顕在化した昨年以降は、雇用の需給ギャップ拡大に拍車が掛かっている。全職種の有効求人倍率は13年度平均で0.97倍と前年度より0.15ポイント上がった。この伸びを大きく上回っているのが建設関連職種だ。6.36倍と前年度比1.52ポイント上昇した型枠、とび、鉄筋工の躯体工事を筆頭に、建築の専門工事業が中心の『建設』が0.64ポイント高い2.54倍、『土木』が0.68ポイント上昇の2.31倍、土木・建築の設計、工事監督、測量の『建築・土木・測量技術者』が1.52ポイント上がって3.40倍だった。」(『建設工業新聞』2014.05.08)
●「厚生労働省は8日、13年の労働災害動向調査の結果を発表した。労働時間100万時間当たりの死傷者数を示す度数率は、総合工事業全体で1.25と、前年(0.83)よりも0.42ポイント上昇した。調査対象となった建築工事現場で労働災害が増えたことが全体の度数率上昇の主因。ただ、厚労省は『10年単位でみると、緩やかな減少傾向にある』(統計情報部雇用・賃金福祉統計課)としている。」(『建設工業新聞』2014.05.09)
●「田村憲久厚生労働相は11日、公的年金の受け取り開始年齢について、個人の判断で75歳まで延ばせるよう検討する方針を明らかにした。現在は65歳まで開始年齢を引き上げている最中で、個人の判断で70歳まで遅らせることが可能。富裕層の年金受け取りを遅らせることで、社会保障費の膨張を抑える狙いだ。」(『日本経済新聞』2014.05.12)

建設産業・経営

●「国土交通省は4月30日、13年度の大手50社の建設工事受注動態調査結果を発表した。受注総額は前年度比20.1%増の13兆2677億円と3年連続で増加した。国内の民間工事と公共工事、海外工事の受注額がいずれも大幅に伸びた。同省は『アベノミクスの効果で景気が上向いていることを反映した』(総合政策局)とみている。国内受注額の内訳は、民間工事が14.2%増の8兆4827億円、公共工事が31.2%増の3兆4391億円。公共工事の受注高の伸び率は、12年度の大型補正予算が繰り越された効果もあって過去最高を記録した。民間工事では、製造業からの受注が減少する一方、非製造業からの受注がサービス業、運輸業、電気・ガス・熱供給・水道業などを中心に増加した。公共工事は、国、地方機関からの受注とも増加。国の道路、政府関連企業の教育文化研究施設、都道府県の倉庫流通施設などの伸びが目立った。海外受注高は67.9%増の8669億円。建築が48.0%増、土木が95.4%増といずれも好調だった。」(『建設工業新聞』2014.05.01)
●「国土交通省が大手建設業者55社(総合建設業35社、設備工事業20社)を対象に行った13年の建設業活動実態調査結果(13年10月1日時点)によると、常時従業者数は合計で15万9385人と前年に比べ0.7%減少した。前年比マイナスは6年連続。事務職(前年比1.6%増)と技能職(0.3%増)は微増だったものの、技術職(1.4%減)の減少が響いた。業務部門別では、海外工事の受注増加などに伴い、海外部門の従事者が前年比9.9%増となった。」(『建設工業新聞』2014.05.01)
●「帝国データバンクは7日、4月の景気動向調査結果を発表した。10業界を調査対象にした景気動向指数(景気DI=50を境に上が「良い」、下が「悪い」)は前月比4.2ポイント低い46.8と50を割り込んだ。消費増税が影響したとみられ、落ち込み幅は、08年9月のリーマンショック後を上回って過去最大という。建設業の景気DIは52.9と依然高水準を維持しているものの、前月に比べると3.1ポイント下がり、同様に過去最大の落ち込みとなった。建設業では、深刻化する人手不足の影響に加え、消費増税への対応でメーカーの住宅資材や建材の生産が遅れ、着工が大幅に遅れていることも要因になっているという。対象10業界の中で建設業界の景気DIは、最も高いものの、今年に入って1月に56.8、2月に56.3、3月に56.0と小幅で下がっており、今回は落ち込みの大きさが目立つ結果となった。調査結果によると、現場管理者や技能労働者の不足状況が続く中、人件費や資材費の高騰で入札参加を辞退する企業が増えた。加えて、消費増税を控えた駆け込み需要から一転、民間工事が減少する中、公共工事も一巡し、新年度の発注待ちの状態となったことや、住宅資材や建材の入荷遅れも影響した。」(『建設工業新聞』2014.05.08)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)が、円滑な施工と担い手確保促進について会員にアンケートした結果、技術の伝承や配置予定技術者の固定化に対する不安、積算と実勢価格の乖離や工期変更に伴う増加費用の少なさに対する課題認識の声が強いことが明らかになった。…アンケートは、13年12月から14年1月にかけて日建連理事会社45社(建築専業会社除く)を対象に実施した。この結果、45社中41社が『人手が不足している』、39社が『若年技術者・技能者が少なく、技能の伝承ができない』、37社が『配置予定技術者に実績重視の傾向が強く固定化している』と回答し、担い手確保に対する不安が浮き彫りになった。現場における円滑な施工では、『現場条件が設計に適切に反映されていない』 『現場条件の変化対応した設計変更が行われない』『工期変更に伴う増加費用が少ない』との声が回答者の8割を超えた。」(『建設通信新聞』2014.05.12)
●「国土交通省は12日、建設工事受注動態統計調査の2013年度集計結果を発表した。全体の受注高は、前年度比10.1%増の75兆8905億円となった。国を筆頭に、都道府県、市区町村など公共機関からの受注が好調に推移した。景気の回復基調を背景に、民間の建築工事なども堅調な伸びを示した。受注高をブロック別に見ても、微減の北侮道を除くすべての地域が増加となっており、全国的な事業量の増加傾向が鮮明になってきている。元請受注高は12.4%増の51兆8107億円、下請受注高は5.5%増の24兆0797億円。業種別では、総合工事業が12.9%増の49兆0525億円、設備工事業が12.8%増の18兆0161億円となった一方、職別工事業は7.1%減の8兆8218億円だった。」(『建設通信新聞』2014.05.13)
●「大手上場ゼネコン4社の2014年3月期決算が13日出そろった。景気の緩やかな回復基調により、連結売上高は各社いずれも前期を上回った。公共投資の増加、非製造業を中心とした民間設備投資の持ち直しで、単体の受注高も軒並み増加しているものの、完成工事総利益(粗利)率は、主戦場の建築工事で不採算工事や労務・資材価格の上昇が影響し、清水建設を除いた3社が悪化した。営業利益率は改善傾向にあるものの、利益確保に苦戦しており、海外建設子会社を含むグループ会社の業績が今3月期決算を下支えしていることが浮き彫りになった。」(『建設通信新聞』2014.05.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は4月30日、13年度上半期分の建築物リフォーム・リニューアル調査報告を発表した。受注高は前年同期比33.8%増の5兆8129億円。08年度上半期の調査開始以来、最も多い受注高となった。この4月の消費増税を控え、大型マンションの改修工事が増加したことなどが寄与したとみられる。住宅、非住宅とも過去最高額で、新築と同様に消費増税前の駆け込みでリフォーム・リニューアル市場も活況を呈したことを裏付けた。…受注高のうち、住宅系は2兆2452億円(前年同期比49.8%増)、非住宅系は3兆5677億円(25.4%増)といずれも大幅に伸びた。…住宅、非住宅とも、劣化・損傷部位の更新・修繕のほかに、省エネ対策の工事を受注するケースが多かったという。」(『建設工業新聞』2014.05.01)
●「国土交通省が4月30日発表した13年度の新設住宅着工戸数は前年度比10.6%増の98万7254戸となった。増加は4年連続。持ち家(注文住宅)、貸家、分譲住宅ともに戸数を伸ばした。08年秋のリーマンショック以降、住宅着工は大幅に落ち込んだが、景気の緩やかな持ち直しで消費マインドが改善していることに加え、消費増税前の駆け込み着工が大きな押し上げ要因になった。着工戸数の内訳は、持ち家が35万2841戸(前年度比11.5%増)、貸家が36万9993戸(15.3%増)、分譲住宅が25万9148戸(3.8%増)。」(『建設工業新聞』2014.05.01)
●東京電力福島第1原発事故の避難指示区域には指定されていない居住地から、放射線の危険を避け自主避難している家族(父親が自宅に残る母子避難者をふくむ)の声を聞いた調査研究報告を、社会福祉学の研究グループがまとめた。「復興に携わらず逃げていった」など避難元からの批判や関係悪化、避難先での偏見や予断、子どもの不適応や家族離散など多くの犠牲を払っているという自責の念―の三重苦を背負っているとして、社会的支援の必要を指摘している。グループは、福島県会津若松市にある会津大学短期大学部の戸田典樹教授(4月から神戸親和女子大学教授)ら8氏。アンケート(47人)、インタビュー、手記などで構成している。全体で6割近くが「避難元へ帰りにくい」と答え、「避難元の親せき、職場、地域などから批判を受けていると感じる」母子避難者は6割。「戻らずに家庭を壊している」と言われた人もいる。避難元に戻る意向がある人が6割以上いる一方、手記で「もう自宅のある地域では受け入れてもらえない」と書く人がいる。「避難してきたことを後悔する」とした母子避難者は5割。母子避難者の7割近くが「避難生活を知られることに抵抗感」を抱き、避難者だと周囲に話せない人が多くいた。(『しんぶん赤旗』2014.05.03より抜粋。)
●広域を放射能で汚染させる過酷事故を起こした東京電力福島第1原発から20キロ圏内で、国と東電が「減容施設」という名の放射能ゴミ専用の焼却場の建設計画をすすめようとしている。自宅に戻ろうとする避難住民からは、「国は避難指示を解除する一方で、危険なものをおしつけようとしている。ちぐはぐな対応。おかしい」と反対する声が高まっている。建設計画があるのは、国が避難指示を解除した田村市都路古道地区と川内村の境にある東電用地。環境省が昨年7月、都路町区長会と川内村区長会を対象に、「減容化事業の事前調査にかかわる」説明会を開いて表面化した。説明会の資料などによると、焼却するのは、福島県内で放射能に汚染された稲わら、牧草、たい肥、下水汚泥などと、田村市と川内村の除染作業で集めた草木。いずれも、既設の焼却炉では燃やせない放射能で汚染されたゴミである。「減容」施設とは、放射能に汚染されたゴミの「体積を減らす」意味。しかし、放射能が減るわけではない。(『しんぶん赤旗』2014.05.10より抜粋。)
●「合板の生産で国産丸太の利用が拡大している。2013年の原料に占める使用率は7割を超え過去最高に達した。円安・ドル高などで外国産丸太の価格は高いが、植林した木が伐採期を迎えている国産は外国産の半値以下と割安感が強い。合板メーカーは山間部の工場で増産に動くなど国産丸太時代本格化への対応を急いでいる。…メーカー約30杜が加盟する日本合板工業組合連合会によると、13年の国内生産量は前年比10%増の281万立方メートル。住宅の屋根、床、壁の下地向けが好調で6年ぶりの高水準になった。原料の丸太は国産化が進み4ポイント高の72%に達した。なぜ国産丸太が重宝されるのか。かつて大量に使われたマレーシアなど南洋材丸太は現地の輸出規制強化で減り、北洋材丸太もロシアの輸出税引き上げ方針を受けて縮小。米材丸太も中国の買い付けや円安・ドル高による高値で敬遠された。農林水産統計によると、4月の合板用米ツガ丸太価格は1立方メートル2万5100円。国産杉丸太は1万1200円と半値以下だ。…ただ、国産丸太を使った合板の好調が今後も続くかどうかはわからない。需要は長期的には人口減で主力の住宅下地向けが頭打ちになりそう。供給は戦後の植林材の伐採が増え需給ギャップが大きくなる。これを防ぐには下地向け以外の需要開拓が欠かせない。…日本は国土の7割が森林。合板メーカーは自国の豊かな資源を生かす地産地消の循環型産業に生まれ変われるか。成否は今後の需要創出にかかっている。」(『日本経済新聞』2014.05.13)
●「福島、宮城、岩手の東日本大震災被災3県の災害公営住宅建設工事に関して、2013年度は11.1%が入札不調になったことが分かった。3県でそれぞれ4月に開催された『災害公営住宅発注支援連絡会議』で国土交通省が明らかにした。不調の理由は、『予定価格が低い』が最も多く21件。次いで『業者の地域要件等の中で入札できる業者が不足』10件、『工期が短い』7件、『工事が小規模』2件と続く。建築工事の不調に関しては、予定価格の見直しなどで半数以上が1回目の入札から2カ月以内に契約しているものの、半年以上経過したものも3件あった。『予定価格が低い』とする場合の対応策としては、設計内容や工事内容の見直し、最新単価への入れ替えなどが行われている。戸数を削減したり、被災地以外の労働者確保に掛かる費用の実費精算を加算するなどして対応した例もあった。『地域要件で入札できる業者が不足』の場合、入札参加要件を県内本店から県内営業所に緩和したり、『市内企業』から『県内企業』に拡大するなどして対応。それでも参加可能企業がなく、随意契約した例もある。『工期が短い』場合は工期を延長しているほか、工事が小規模で入札希望者がいなかったと考えられる宮城県の2地区に関しては、両方を合わせ規模を大きくして入札対象者のクラスを上げて一括発注する方針だという。」(『日本住宅新聞』2014.05.15)

その他

●「日本と同様に、米国でも建設技能労働者の確保・育成が大きな課題になっている。米建設市場は2008年のリーマン・ショック以降、長らく低迷を続けてきたが、最近のシェールガス革命を起爆剤に好転。建設投資は上向いているものの、低迷期に大量放出した労働力は戻っておらず、プロジェクトの遅延や新規制約の要因になっているという。日本の団塊の世代に当たる『ベビーブーマー世代』の大量退職が、人手不足の深刻化に拍車を掛ける見込みも類似している。建設経済研究所がまとめたレポートによると、米国ではリーマン・ショック後、建設セクターの不況が続いていたが、エネルギーインフラ分野を中心に建設投資にも明るさが戻ってきている。…この数年間、米国の建設市場は縮小を余儀なくされ、建設労働市場も大幅に削減されてきた。07年から11年までに、建設分野の雇用者数は763万人から550万人へと、200万人以上も減少した。この流れは、最近のシェールガスブームによって一挙に逆転してきている。米国の主要発注者と建設会社からなる連合組織『CURT』では、17年までに全米で200万人の建設労働者が不足すると予想。これから見込まれるベビーブーマー世代の大量退職といった要因も大きく、今後10年間で専門工事に従事する技能労働者のうち、6人に1人が建設労働市場から退場すると予測している。…こうした状況を受け、米建設産業界は行政・業界を挙げて、若年労働者の技能研修に力を入れている。連邦政府の雇用・訓練省は、10年から新たな研修プログラムをスタートさせた。急拡大するシェールガスセクターに適応できるスキルを養成するため、各州の地方教育機関における若年者職業訓練に助成。12年からは研修項目を石油・ガス業界の資格認定制度とリンクさせ、履修者には専門技術者としての資格を付与するなど、プログラムをより実践的なものへと充実させている。」(『建設通信新聞』2014.05.07)