情勢の特徴 - 2014年5月後半
●「上場企業の2014年3月期の連結経常利益は前の期に比べ36%増えた。需要拡大や円安を追い風に、売り上げを増やしながら利益を伸ばす構造が鮮明となった。全体の7割の企業が増収増益となり、増収率は13%と過去10年で最大。自動車・部品や電気機器が2ケタかそれ以上の増収増益となるなど、製造業が全体をけん引した。…全体の経常利益は、リーマン・ショック前の最高益だった08年3月期の96%の水準まで回復した。経常最高益を更新した企業も345社に達した。…好調が目立ったのは製造業で、17業種のうち石油を除く全業種が増益だった。円安による輸出採算の好転で自動車・部品の経常利益は約1兆9000億円(54%)増えた。富士重工業は北米輸出が好調で、経常利益は3.1倍の3144億円と過去最高を更新。円安が1700億円の営業増益要因となった。電気機器の経常利益も2・1倍に膨らんだ。…非製造業も14業種のうち、空運を除く13業種が増益だった。通信ではスマートフォン市場の拡大でソフトバンクとKDDIは最高益を更新。公共工事の増加を追い風に建設の利益の伸びも目立った。『公共工事や企業の投資活発化で受注環境が好転し、採算が改善した』(清水建設の黒沢成吉副社長)。大都市部の市況改善で不動産も大幅増益となった。」(『日本経済新聞』2014.05.17)
●「羽田、成田両空港に発着できる航空便を増やす国土交通省の検討案が明らかになった。まず東京上空の飛行制限を緩め、2020年の東京五輪までに14年度末の計75万回から約1割増の約83万回にする。両空港で滑走路も新設して30年代をめどに最大110万回に増やす。韓国・仁川空港などに対抗し、人やモノが集まるアジアのハブ空港をめざす。」(『日本経済新聞』2014.05.17)
●日本の貿易赤字が拡大している。財務省が4月28日発表した貿易統計によると、2013年度の日本の貿易収支は13兆円を超える赤字。赤字は3年連続で、赤字額は過去最多となった。赤字の背景に日本経済の構造変化がある。2013年度の日本の輸出総額は70兆8574億円だったのに対し、輸入総額は84兆6081億円で、差し引き13兆7507億円の赤字だった。日本の貿易収支は11年度に初めて4兆4221億円の赤字となり、12年度も8兆1578億円の赤字だった。13年度の赤字額はこれまでで最大の規模となった。財務省は13年度の貿易収支について、前年度より輸出が増えたものの「輸入は原粗油、液化天然ガス等が増加し、17.3%の増加となった」ことが特徴としている。13年度の貿易収支を地域別にみると、確かに産油地域である中東地域に対して13兆7262億円の赤字である。ただ、単独の国で日本の貿易赤字額が最も大きいのは中国で、5兆5733億円。…12年度に日本が中国から輸入した総額は15兆388億円。一方、中国進出した日本企業の日本への輸出額は7兆1685億円なので、日本が中国から輸入する額の半分近くが、日本企業による「逆輸入」ということになる。貿易に詳しい東京工科大学の工藤昌宏教授は、「対中貿易は赤字額こそ突出して見えるが、日本貿易の象徴である」と話す。日本の貿易赤字の要因の一つが日本からの輸出の弱まりである。工藤教授はその要因について、@大企業による生産拠点の海外移転A大企業の利益優先体質で円安でも輸出価格が下がらないことB日本企業の技術競争力・コスト競争力の低下C中国、アメリカをはじめとする海外市場の停滞―を挙げる。(『しんぶん赤旗』2014.05.20より抜粋。)
●「経済産業省は21日、インフラシステム輸出のさらなる推進に向けた今後の方向性をまとめた。日本へのメリットが大きいトップセールスプロジェクトへの支援強化と公的ファイナンスの一層の迅速化・柔軟化、ソフト面のアプローチ強化の3項目を柱に掲げ、官民連携の情報収集と相手国への働き掛けを現地で継続的に行う仕組みの構築、円借款の調達段階などでの手続き迅速化と期間短縮などを今後の方向性として打ち出した。今後、検討を深め、6月に改定する成長戦略に反映させる。トップセールス案件では、案件の初期段階から日本企業を主体とした競争力のあるコンソーシアム形成とともに、重点的な政府支援を行う考え。公的ファイナンス関係では、円借款手続きの迅速化などほか、OECD(経済協力開発機構)ルール適用外の新興国との公正な競争条件確保などにも取り組む。」(『建設通信新聞』2014.05.22)
●全商連付属・中小商工業研究所は4月1日、14年上期営業動向調査をまとめ発表した。4月1日の消費税増税実施直前の調査であったため、「消費税問題」を「経営上の困難」だと感じている業者が、前期と比べ8.5ポイント増の39.5%に達し、「経営の勉強の希望」でも「消費税対策」を求める事業主が前期から3.8ポイント増の24.2%になるなど、前回以上に消費税に対する危機感が強く現れたものとなった。消費税の特別調査では、消費税を売り上げ・単価に「完全には転嫁できていない」と回答した事業者は49.4%と半数に及び、消費税が10%になった場合の転嫁の見通しについては、64.5%が「完全には転嫁できない」と回答した。また、消費税が10%になった場合、「利益が減る」(31.8%)、「売り上げが減る」(34.0%)と回答した事業主がいずれも3剖を超え、「売り上げが大幅に減る」との回答も16.2%だった。さらに「廃業を考えざるを得ない」との回答は8.7%に達するなど、消費税増税が営業破壊税であることをあらためて示すものとなった。(『全国商工新聞』2014.05.26より抜粋。)
●「政府は、自治体が主体になる国土強靭化の地域計画作りが円滑に進むよう、策定手順など示したガイドライン(指針)案をまとめた。5月末の閣議決定を目指す国の基本計画に従い、地域特性を踏まえて取り組む強靭化施策とその達成目標を決めてもらう。政府は地域計画を策定して施策に取り組む自治体に対し、税・財政面での支援や技術的助言などを行う。指針は、国の基本計画の閣議決定に合わせて正式決定する。指針案によると、地域計画の策定主体になるのは都道府県または市町村(東京23区含む)。計画づくりについては、▽目標設定▽災害時など最悪の事態を設定▽災害などへの脆弱性評価・分析▽リスクへの対応方策検討▽対応方策の重点化・優先順位付け―という基本的な手順を示した。(『建設工業新聞』2014.05.16)
●「政府は空港や水道などインフラ運営の民間開放を加速する。2022年までにインフラ運営権の売却規模を2兆〜3兆円とする現行計画を見直し、17年までの3年間で前倒し達成することをめざす。実現に向けて地方自治体の案件発掘を補助する制度をつくる。政府が民営化に前向きな姿勢を示すことで企業の投資意欲を刺激し、インフラへの民間マネー取り込みにつなげる。…政府は昨年、『PFI』と呼ばれる民間資金を活用したインフラ事業を推進する行動計画をつくった。柱となるのが、インフラの所有権を国や自治体が持ったまま運営権を民間に売る手法。22年までに2兆〜3兆円規模で実施するとしていた。新たな計画では、17年までの3年間をインフラ民営化の集中強化期間と位置付ける。期間中に、企業のインフラ運営権の取得や追加の設備投資にかかる総額が2兆〜3兆円になることを目標とする。施設ごとの数値目標も初めて設け、空港と水道、下水道は各6件、有料道路は1件と計19件の実施をめざす。」(『日本経済新聞』2014.05.17)
●「国土交通省は、8月1日から直轄工事で実施する社会保険未加入業者排除策で、未加入業者に科するペナルティーの内容を決めた。1次下請が未加入だった場合、元請業者に対し、元・下請間の最終契約額の10%を制裁金として請求。最長4カ月の指名停止と工事成績評定の最大20点減点も行う。16日付で各地方整備局などに具体的な手続きを示した通知文を出した。2次以下の下請も含め施工に携わるすべての未加入業者を発注部局から建設業担当部局に通報し、加入指導も徹底する。未加入業者排除策の対象は、下請代金総額が3000万円(建築一式は4500万円)以上となる直轄工事。元請業者については、工事案件ごとに経営事項審査(経審)で加入状況を確認し、未加入の場合は入札への参加を認めない。1次下請業者の加入状況は、元請業者が作成する施工体制台帳で確認。未加入だった場合は、元請への制裁金請求に加え、工事を発注した地方整備局の管内で2週間〜4カ月を範囲とする指名停止を実施。併せて工事成績評定の減点を行う。特殊技術が必要な工事で特定の未加入業者と下請契約を結ぶ必要があるような『特別な事情』が認められた場合は、おおむね30日以内に加入するよう指導し、それでも未加入の状態が続けば同様のペナルティーを元請業者に科する。工事に携わる2次以下の下請が未加入の場合、元請にペナルティーを課せられることはなく、建設業担当部局に事実が通報され、個別に加入指導が行われることになる。」(『建設工業新聞』2014.05.19)
●「国土交通省は21日、社会資本の老朽化対策会議(議長・太田昭宏国交相)を開き、14〜20年度を期間とする『インフラ長寿命化計画(行動計画)』を決定した。道路や河川・ダムなど所管インフラを対象にメンテナンスサイクルを全国に根付かせるための具体策を提示。道路橋などを対象にした5年に1回の近接目視点検や、空港での3年に1回を標準とする路面性状調査など維持管理に関する新たな基準・マニュアルの運用を盛り込んだ。行動計画は、昨年11月に政府全体でまとめた『インフラ長寿命化基本計画』に基づき、他省に先駆けて策定した。対象となるインフラは、同省が所管する▽道路▽河川・ダム▽砂防▽海岸▽下水道▽港湾▽空港▽鉄道▽自動車道▽航路標識▽公園▽住宅▽官庁施設▽観測施設―の14分野。各分野で維持管理・更新などを着実に進める中長期的な取り組みの方向性を示した。新設から撤去までのライフサイクルを延長するだけでなく、更新を含めて将来にわたって必要なインフラの機能を発揮し続けるための取り組みを実行し、メンテサイクルの構築と継続的な発展につなげる。」(『建設工業新聞』2014.05.22)
●「宮城県は、13年度の建設工事の入札結果(速報)をまとめ、21日の建設企業委員会に報告した。一般競争入札1274件のうち323件で不調が発生しており、不調発生率は25.4%だった。このうち、13年度中に契約に至らなかった未契約工事件数は77件で、実質的な不調発生率は7.5%だった。このうち災害復旧・復興関係が61件で大半を占めている。東日本大震災の復旧・復興工事の本格化や人材・資機材の不足などを背景に、依然として不調が多発しているが、復興係数による工事費補正といった対策で本年度には改善傾向も見られるという。」(『建設工業新聞』2014.05.22)
●「奈良県は、公契約条例の骨子案をまとめた。3億円以上の建設工事などが対象で、受注者には最低賃金以上の賃金支払いや社会保険への加入が求められる。県は条例案を6月議会に提出、順調に進めば夏にも公布し、2015年度からの施行を目指している。実現すれば、関西地区の府県では初の条例制定となる。」(『建設通信新聞』2014.05.27)
●「資材や人件費の高騰で公共工事の引き受け手が見つからない入札不調が増えていることを受け、首都圏の自治体が対策を始めている。東京都は2015年度をメドに中小企業が単独で参加できる入札範囲を拡大。横浜市は予定価格に市場の実勢を反映するため、毎月、基準の価格を見直している。2020年東京五輪を控えて建設需要はさらに高まるとみられ、各自治体は対応を急ぐ。都は入札不調の発生率が11〜12年度に約7%だったのが、13年4〜12月は約12%に上昇。五輪会場となる武蔵野の森総合スポーツ施設や中央卸売市場の移転先となる豊洲新市場など数百億円規模の事業も不調が生じた。こうした不調を抑えるため入札に参加しやすい制度づくりを進める。例えば現在、4億円以上などの大型工事は、1杜に任せるリスクを分散するといった理由で複数の建設会社による共同企業体(JV)に限定している。その基準を15年度にも引き上げることを検討する。金額の大きな工事を単独で請け負えるようにして、参加企業を増やす狙いだ。…この4月からは埼玉県は難度が高いといった理由で敬遠されがちな工事への入札参加を促す仕組みを15年度から導入する。各社の技術力を数値化する際に難工事の実績を加点評価し、人気の集中する他の入札で有利になるようにして難工事を請け負ってもらう。神奈川県は不採算な小口工事で不調が目立つため、1000万円未満の小規模案件はまとめて発注するなどの対策を進める。千葉市は2億円までとしていた建設会社への前払い金の限度額を14年度から撤廃した。仕入れなどに使ってもらう資金で、企業の資金繰りを後押しする姿勢をアピールし、12〜13年度に2割に達した不調発生率を11年度以前と同じ1割程度に下げたい考えだ。工事の予定価格を実勢に近づけるための取り組みも広がる。13年度に不調件数が前年度より2割強増えた横浜市は、従来年4回、資材価格などの基準単価を改定していたが、13年12月からは毎月改定し、相場とズレが生じないようにしている。」(『日本経済新聞』2014.05.28)
●「高速道路の大規模更新時代に突入――。建設から半世紀を経過するなどし、劣化・損傷が著しくなっている高速道路の大規模更新・修繕費用を捻出するため、料金徴収期間を延ばすことなどを柱とした改正道路法等が28日の参院本会議で可決、成立した。総額4兆円超に上る更新事業がいよいよスタートを切る。改正法は高架下占用基準の緩急などに関する一部を除き、公布から3カ月以内に施行される。国土交通省のある幹部は『更新というマーケットが蜃気楼ではなくなり、現実のものとなる。確実な需要として、法改正により予算が措置される。新たな需要はもう目の前にある』と語る。今回の法改正は、老朽化した高速道路の迅速で計画的な更新事業の実施、道路と都市の一体再生を可能にする立体道路制度の適用拡大、地域活性化につながるスマートインターチェンジ整備に対する新たな支援制度の創設が目的。道路整備特別措置法、日本高速道路保有・債務返済機構法、道路法が一部改正された。」(『建設通信新聞』2014.05.29)
●「建設業の担い手確保などに向けた対策を盛り込んだ改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)、改正建設業法、改正公共工事入札契約適正化法(入契法)の3法が29日の衆院本会議で全会一致で可決・成立した。建設投資の急減や受注競争の激化で疲弊した地域の建設業の課題を解決するため、ダンピング受注の防止と、受注者の適正な利潤を確保するなどの責務を発注者に課す。業界再生で将来の担い手を確保する取り組みが具体化する。…改正公共工事品確法では、担い手の確保を法の目的に明記し、それによって公共工事の品質を将来にわたって確保できるようにする。新たな目的と基本理念を踏まえた発注が行われるよう、発注者の責務を明確化。市場での労務や資材の取引実態を反映した予定価格の設定、ダンピング受注を防ぐ低入札価格調査基準額や最低制限価格の設定、計画的な発注、適切な工期設定、適切な設計変更などがその責務となる。…改正業法と改正入契法では、ダンピング受注を排除するため入札金額の内訳書の提出を義務付けるほか、受注業者による施工体制台帳の作成・提出を全公共工事に拡大し、契約内容の適正な履行を確保。建設業者団体による担い手確保に向けた取り組みを国が支援できる規定も設けた。改正業法ではこのほか、43年ぶりに許可業種区分を見直し、『解体工事業』を追加。ビルなどの解体需要が今後一段と増加する中で、技術水準を確保した適正な施工が行われるようにする。」(『建設工業新聞』2014.05.30)
●「国土交通省は建設業で専門的な技能を持つ職人の資格や経験をデータベースに登録し、建設会社が照会できる仕組みをつくる。職人の技術のレベルを『見える化』し、適正な評価と処遇を受けられるようにするのが狙い。企業側は有能な人材を見つけやすくなる利点がある。2017年度からの運用をめざす。データベースには、職人が手がけてきた工事のはか、業界団体が実施している研修の受講歴を登録する。現場で責任者になれる施工管理技士の資格を持っているかどうかなども対象にする。職人の情報は、雇った企業が入力するルールにする案が有力。業界で情報を共有し、各企業がその時々に必要な職人を確保できる仕組みにすることで協力を促す。」(『日本経済新聞』2014.05.17)
●「厚生労働省は、建設工事現場の人手不足で懸念される労働災害の増加を防止するため、建設業団体との連携体制を強化する。同省の出先機関、国の発注機関、都道府県、市町村に加えて建設業団体が参画する『建設工事関係者連絡会議』を全国に設置する。官民双方が知恵を出し合い、工事現場の効果的な事故防止策を模索するのが狙いだ。同省はこのほど、建設業関連の101団体に文書で協力を要請した。防災・減災やインフラの老朽化対策による公共投資の拡大に加え、2020年東京五輪に関連した建設工事が本格化すれば、技能労働者の不足が一段と深刻化。現場経験の浅い人が増えたり、現場管理に支障を生じたりする懸念がある。このため、厚労省は14年度から新たな会議体を設けて官民がスクラムを組み、地域の実情に応じた効果的な取り組みを進めたい考えだ。」(『建設工業新聞』2014.05.19)
●「厚生労働省は16日、13年の労働災害発生状況(確定値)を発表した。全産業で発生した労災の死亡者は2年ぶり、死亡・休業4日以上の死傷者は4年ぶりにそれぞれ前年を下回ったが、建設業の死傷災害は3年連続で増加となった。全産業の死亡者数は1030人で、12年の1093人よりも5.8%、63人減少した。建設業の死亡者は342人(12年比6.8%減)で12年と比べ25人減少したが、死亡者数は全産業の3割を占め、業種別でトップだった。…建設業の死亡・死傷災害の原因をみると、足場などからの墜落・転落が死亡災害の46%、死傷災害の34%を占める。一方、建設機械などに挟まれたり、巻き込まれたりする災害や感電災害は大幅に減少した。」(『建設工業新聞』2014.05.19)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)は、19日に国土交通省が開いた建設産業活性化会議で、中長期的な若年層の確保と持続可能な生産体制の確立に向け、技能労働者の下請企業による『直接常時雇用(社員化)』が必要との見解を表明した。建設産業のあるべき姿として、大手ゼネコンの団体が、下請けによる技能者の雇用形態改善の必要性に言及した格好で、実現のためには公共事業費の変動に対する対応策と、直接雇用に対する元請けの理解と行動が求められる。…日建連が目指す中長期な技能労働者の雇用形態として、まず『雇用』と『請負』を明確化し、基本的に『雇用』とすべきとの見解を示した。これによって重層請負構造が改善するとの考え方で、さらに、『雇用』の形も、1次、2次までの下請企業が一般企業の社員と同様に『直接常時雇用(社員化)』することが望ましいとした。常時雇用することで、月給制によって収入が安定し、勤務時間や休日確保にも効果があるとの考え方だ。」(『建設通信新聞』2014.05.21)
●「外国人技能実習制度の枠組み見直し議論の開始に先行して、外国人技能労働者の受け入れ拡大が決まった建設分野で、現場の統括管理を行う元請けだけでなく、実際に外国人技能労働者を受け入れる専門工事業からも警戒感が強まっている。今後、建設産業界が行う担い手の中長期的な確保・育成の取り組みが『阻害されかねない』ことへの問題が元請けと下請けの共通認識となりつつあることが理由だ。」(『建設通信新聞』2014.05.27)
●「全国鉄筋工事業協会(内山聖会長)は、厚生労働省の『建設業務労働者就業機会確保事業』適用を目指す方針を固めた。鉄筋工事業界で日常的に行われている、繁忙現場に同業他社の職人(技能労働者)が応援に入る実態が、労働者派遣法違反・偽装請負に当たる可能性が高いと判断。同業他社同士が繁忙地域・時期・現場に応じて合法的に職人を融通し合うことができるよう取り組む。28日に開く全鉄筋の総会で内山会長が、新組織で議論を開始する方針を打ちだす見込みだ。社会保険未加入対策を促進する上で、従来の商慣習が法律違反になりかねないとの認識が背景にある。」(『建設通信新聞』2014.05.28)
●「政府は28日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、専門職を中心に週40時間を基本とする労働時間規制を外す方針を決めた。首相は『労働時間制度の新たな選択肢を示す』と述べ、働いた時間ではなく成果に給与を払う『ホワイトカラー・エグゼンプション』を導入する。ただ厚生労働省内にはごく一部の高収入者に対象を限る意見があり、産業界と溝がある。企業の生産性を高めるには対象範囲を広げる制度設計がカギを握る。…首相は働く人の労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの対象を@職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材A希望しない人には適用しないB働き方の選択によって賃金が減らないようにする――と言及した。働く人の不安や反発を抑える狙いだ。」(『日本経済新聞』2014.05.29)
●「厚生労働省は30日、労働者と企業のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決する『個別労働紛争解決制度』の2013年度の利用状況をまとめた。労働相談の内訳は、パワーハラスメントにあたる『いじめ・嫌がらせ』が5万9197件(12年度比14.6%増)で、2年連続で最多だった。全体の相談件数は24万5783件(3.5%減)だった。…パワハラの具体例としては、正社員として入社した直後から上司の係長から殴る・蹴るなどの暴力を受けたり、体調不良で早退すると伝えたところ社長から暴言を受け、精神的に追い込まれて退職を余儀なくされたりした例などがあった。パワハラに次いで多かったのは『解雇』 (4万3956件、14.7%減)に関する相談で、『自己都合退職』(3万3049件、11%増)の相談が続いた。」(『日本経済新聞』2014.05.31)
●総務省が30日発表した4月の労働力調査(季節調整値)によると、4月の完全失業率は前月から横ばいの3.6%だった。正規雇用労働者が前年同月比40万人減少する一方で、非正規雇用労働者が同57万人増えた。就業者数は前月比23万人減の6323万人、完全失業者数は前月と同じ236万人。消費税増税後の企業の生産・販売活動の抑制が、非正規労働者を中心に就業者の前月比微減につながったとみられるが、総務省は「雇用情勢は引き続き持ち直しの動きが続いている」と総括した。(『しんぶん赤旗』2014.05.31より抜粋。)
●「主要ゼネコン25社の14年3月期決算が15日に出そろい、21社が増収となった。公共投資は震災被災地の復興関連が下支えし、堅調に推移。民間工事も消費増税前の駆け込み需要などで発注量が膨らみ、各社とも大幅に受注高を伸ばした。本業のもうけを示す営業損益で23社が前期を上回り、全社が黒字を確保した。一方、労務・資材費高騰の影響で工事採算を示す完成工事総利益(粗利益)率の回復は鈍い。生産体制を不安要素に15年3月期は大半の社が受注高を減らす見通しだ。」(『建設工業新聞』2014.05.16)
●「道路舗装大手8社の14年3月期決算が15日出そろい、全社が営業増益となった。工事受注が順調に推移し、営業停止の影響を受けた大成ロテックを除く7社が単体受注高を増やした。アスファルト合材の販売数量の増加、採算性の高い工事の受注などが奏功し、営業利益の増加率は20.2〜80.5%。15年3月期は、原料費や労務費の上昇、前期の反動から前田道路を除く7社が営業減益を見込む。」(『建設工業新聞』2014.05.16)
●「日本の建設業が海外で受注を伸ばしている。国土交通省がまとめた2013年の海外建設事業の契約金額は、前年比20%増の1兆8412億円と3年連続で増えた。海外進出した日系企業の工場やオフィスの建設需要を取り込んでいるほか、アジアで地下鉄や病院などのインフラ整備が進み、商機が拡大している。海外展開している大手建設会社約50社の受注動向をまとめた。海外での契約金額は00年代に伸び、2兆円を超えた07年を直近のピークとして減少していたが、10年を底に拡大基調に転じた。日本の建設会社が海外事業を再び加速している様子が浮かび上がる。」(『日本経済新聞』2014.05.22)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)がまとめた会員98社の4月の受注総額は、前年同月比119.7%増の1兆4536億1700万円となった。東京外かく環状道路(関越〜東名)本線トンネル工事の影響で官公庁の受注が過去最高の前年同月比5倍起となり、1983年4月の調査開始以来、初めて単月で国内の土木の受注が建築の受注額を上回った。4月の国内受注総額は122.1%増の1兆4450億0200万円、海外受注は22.2%減の86億1500万円となった。国内のうち、官公庁の受注が444.0%増の7347億7300万円、民間が38.0%増の7101億0500万円だった。官公庁の受注が民間からの受注を上回ったのは80年以降3度目。」(『建設通信新聞』2014.05.28)
●「環境省は、福島第1原発事故に伴い汚染状況重点調査地域に指定されている58市町村(福島県除く)を対象に、除染の進ちょく状況(14年3月末時点)をまとめた。除染が優先的に進められてきた学校・保育園、公園・スポーツ施設はほぼ完了。住宅は対象住戸の87%に当たる約11万戸で実施された。調査対象は岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の7県内の58市町村。福島県内については県が別途まとめている。…住宅除染(対象13万戸)については、昨年末時点から実績数が1.4倍に増加しており、同省は『確実な進ちょくが見られた』としている。道路(対象的4100キロ)や農地・牧草地(対象15平方キロメートル)の除染完了率は9割。森林(対象2.9平方キロメートル)は4割で完了している。」(『建設工業新聞』2014.05.16)
●「復興庁は、住まいの復興工程表を3月末時点の情報に更新した。防災集団移転促進事業など民間住宅等用宅地と災害公営住宅の整備について計画と進ちょく状況を整理。災害公営住宅は、岩手が5969戸(前回数値6038戸)に対し.13年度末までに10%の574戸、宮城が1万5465戸(1万5543戸)に対して9%の1343戸とほぼ1割の工事が完了した。14年度はそれぞれ、34%(岩手)、44%(宮城)まで引き上げ、15年度までにほぼ8割を完了させる。…福島県の災害公営住宅の計画戸数は、津波・地震被災者向けが2719戸(2684戸)、原発事故避難者向けが4890戸(1455戸)。これに対し、13年度末までに津波・地震被災者向けが357戸完了(原発事故避難者向けはゼロ)した。15年度までに合わせて3587戸の工事が終了する見込みだ。」(『建設工業新聞』2014.05.19)
●「首都圏のマンション販売に減速懸念が出ている。不動産経済研究所(東京・新宿)が19日発表した4月の発売戸数は前年同月に比べ4割近く減った。マイナスは3カ月連続。建設現場の職人不足などで建設コストが上昇、販売価格が上がっており、消費者の間に様子見のムードが広がっているようだ。好調を維持してきたマンション販売に陰りが見え始めている。4月の首都圏の発売戸数は39.6%減の2473戸だった。減少率は2009年3月(46.2%減)以来、約5年1カ月ぶりの大きさ。近畿圏の発売戸数は5カ月連続で減り、9.3%減の1222戸だった。」(『日本経済新聞』2014.05.20)
●福井県内外の住民189人が関西電力大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働差し止めを求めた訴訟で、福井地裁(樋口英明裁判長)は21日、2基について「運転してはならない」と言い渡した。2011年の東京電力福島第1原発事故後、原発の運転差し止めを命じた判決は初めて。樋口裁判長は、人の生命を基礎とする人格権をもっとも重視し、「これを超える価値を他に見いだすことはできない」と強調。そのうえで、住民らの人格権と電力の安定供給やコストの問題をてんびんにかけた関電側の議論を厳しく退け、「国富の喪失」とは運転停止による貿易赤字ではなく、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していること」を失うことだと強調した。また、原子力発電技術がもたらす危険性と被害の大きさは福島事故で自明とし、同事故を受け、同様の事故の具体的危険性が万が一にもあるかの判断を避けることは、「裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい」とした。(『しんぶん赤旗』2014.05.22より抜粋。)
●「首都圏で空き家を活用し、新たな住民の獲得につなげようとする試みが広がっている。神奈川県鎌倉市では、使われていない家屋を貸し出すサービスをベンチャー企業が開始。埼玉県秩父市では、市などが空き家情報を紹介する事業を実施し、3年間で約60件の成約があった。首都圏でも都心から遠い地域は高齢化もあって人口減が進んでおり、定住者を呼び込むことが急務になっている。」(『日本経済新聞』2014.05.23)
●「地方都市の中心部に職住機能を集める『コンパクトシティー』づくりが本格的な実行段階に入る。住宅や病院などを一定の区域に誘導しやすくなる改正都市再生特別措置法をはじめ、公共交通網を形成しやすくなる改正地域公共交通活性化法、大規模商業施設を駅前などに出店しやすくなる改正中心市街地活性化法が成立。政府はこれらの法律に沿って、都市のコンパクト化に取り組む市町村や民間事業者に対し、14年度から税財政や制度などで従来より手厚い支援策を講じる。地方都市のコンパクト化は、政府が昨年6月に策定した成長戦略『日本再興戦略』に盛り込まれた。日本の人口は2010年をピークに減少が始まった。今後、高齢化もさらに進む中で従来町のような郊外拡張型の都市づくりを続ければ、現状の住民サービスの水準を維持できなくなるとみられている。そこで国土交通省は、都市政策に関係する法律を改正し、基本的な考え方を転換することにした。改正都市再生特措法では、市町村があらかじめ決めた主要鉄道駅周辺など一定の区域に、施設の立地を戦略的に誘導する制度が創設される。市町村は立地を誘導する施設の配置計画を盛り込んだ『立地適正化計画』を策定。その中で、駅の近くなどに病院や商業施設を誘導する『都市機能誘導区域』、そのすぐ外側を住宅を誘導する『居住誘導区域』に設定する。都市機能誘導区域では、まず誘導する施設の用途を決め、その用途の施設に限定して容積率の上限を緩和する。…居住誘導区域では、郊外にある公営住宅を同区域内に移転して建て替える場合、既設住宅の除却費を補助。一方、開発許可制度を厳しくすることで、区域外での住宅開発を抑制する。」(『建設工業新聞』2014.05.26)
●「福島県は28日、2015年3月末で期限を迎える東日本大震災の被災者ら向けの仮設住宅の入居期間を1年延長し、16年3月末までとすると発表した。東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う自主避難者や、避難指示が解除された一部地域の避難者が住んでいる住宅も対象になる。入居期間の延長は3回目。県は避難指示が依然、広範囲で続いていることや災害公営住宅の整備が間に合わないことが理由としている。対象は41都道府県にある約5万戸の仮設住宅で、内訳は福島県内約3万6000戸、県外約1万4000戸。入居者は10万人超とみられる。」(『日本経済新聞』2014.05.29)