情勢の特徴 - 2014年6月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「日銀が18日発表した2014年1〜3月期の資金循環統計(速報)によると、日銀が持つ日本国債(短期国債含む)の3月末時点の残高は前年と比べて57.2%増の201兆円と過去最大となった。日銀は昨年4月以来の量的・質的金融緩和で国債を大量に買い入れており、発行残高に占める日銀の保有割合は20.1%と、生命保険などの保険会社を抜き初めて最大の保有主体になった。3月末時点の国債の発行残高は998兆円。日銀は毎月6兆〜8兆円と発行額の約7割を買っており、残高が着実に増えている。長期金利にも大きな影響を与えており、新発10年債利回りは0.6%近辺の低い水準で推移している。」(『日本経済新聞』2014.06.18)
●「財務省は都道府県の健全財政を促すための数値基準をつくる検討に入った。財務省は都道府県が発行する地方債を引き受けており、『資金の貸し手』として債務の返済能力などの4指標で基準を設ける。自治体の財務を指標でわかりやすく明示することで、財政の安定を地方にもより意識してもらう狙いがある。…指標のベースは債務残高とし、残高を年間収支で割った『債務償還可能年数』や、収入の何カ月分の債務があるかを示す『実質債務月収倍率』などで、返済が予定通りに進むか判断する。」(『日本経済新聞』2014.06.19)
●「住宅ローン金利が過去最低の水準を更新している。基準となる市場金利が低いままなのに加え、4月の消費増税後に住宅を買う人が減り、銀行間の競争に拍車がかかったためだ。金利変動型、固定型とも下げ続けており、利用者にとっては借りやすくなっている。物価の上昇分を差し引けば、実質金利はマイナスともいえる。貸し手の利ざやは縮み、銀行の収益を圧迫している。」(『日本経済新聞』2014.06.22)
●「政府は24日夕、首相官邸で臨時閣議を開き、新しい成長戦略と、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決めた。成長戦略は法人減税や『岩盤規制』の改革に踏み出し、実行段階に入る。安倍晋三首相は記者会見で『経済の好循環を力強く回転させ、景気回復の実感を全国津々浦々に届けるのがアベノミクスの使命だ。すべては成長戦略の実行にかかっている』と訴えた。…アジアや欧州の主要国に比べて高い法人実効税率(東京都の場合、35.64%)は、2015年度から数年間で20%台に引き下げることをめざすと明示した。…首相は『成長戦略にタブーも聖域もない。日本経済の可能性を開花させるため、いかなる壁も打ち破る』として、医療、雇用、農業など関係省庁や業界団体が既得権益を守ろうとする『岩盤規制』にも切り込んだ。雇用では時間でなく成果に応じ給与を支払う制度を導入。農業では地域農協が創意工夫しやすい仕組みに改め、公的な医療保険が使える診療と使えない診療を組み合わせる混合診療も拡大する。」(『日本経済新聞』2014.06.25)
●「政府の税制調査会は25日午前、法人税改革に関する提言の最終案を公表した。『単年度の税収中立である必要はない』として初年度の減税先行を容認する一方で、『恒久財源を用意することは鉄則』とした。法人税の実効税率を来年度から引き下げるにあたり、『広く薄く負担を求める構造にする』と指摘。赤字企業でも課税する外形標準課税の対象を中小企業にも広げる方針を示した。」(『日本経済新聞』2014.06.25)
●「国土交通省を中心に防災インフラシステムの輸出を産学官で推進する新組織『日本防災プラットフォーム』が発足した。自然災害が多い東南アジア各国などに照準を合わせ、産学官が一体となって災害復旧への協力や防災インフラ案件の発掘・形成を促進。日本企業の防災技術・製品を売り込む。」(『建設工業新聞』2014.06.25)
●「政府は24日の臨時閣議で改定成長戦略『日本再興戦略』と『経済財政運営と改革の基本方針2014』(骨太の方針)をそれぞれ決定した。成長戦略では、リニア中央新幹線など高速交通網の整備や東京など大規模都市開発を推進していくことを決めた。建設業の担い手不足を解消する外国人の活用策も盛り込んだ。15年度予算編成の目安となる骨太の方針では、社会資本整備について都市の国際競争力を強化するインフラ整備などの施策を重点的に進めるとした。」(『建設工業新聞』2014.06.26)
●「4月の消費増税に伴う個人消費の落ち込みが続いている。総務省が27日発表した5月の家計調査では、1世帯当たりの消費支出(2人以上世帯)は物価変動を除いた実質で27万1411円と、前年同月に比べ8.0%減った。減少幅は4月の4.6%から拡大した。ただ、流通業の売上高を示す商業販売統計(小売業)は0.4%減にとどまった。4.3%減った4月に比べると落ち込みが緩やかになっている。家計調査の実質消費は、東日本大震災があった2011年3月(8.2%減)以来の落ち込みだった。1997年の前回増税時は駆け込み消費の反動で4月に1.0%、5月に2.1%落ち込んだ。今回の減少幅は4月に4.6%、5月に8.0%で、落ち込みがきつい。」(『日本経済新聞』2014.06.27)
●「2013年度の国の一般会計税収が約47兆円となり、政府見積もり(補正予算時点)を1兆6千億円上回ったことが26日分かった。07年度以来、6年ぶりの高水準。法人税収と所得税収の両方が伸びた。税収が想定を上回ったことで、政府・与党内では歳出圧力や15年度からの法人実効税率引き下げの財源にするよう求める声が高まりそうだ。財務省がまとめた13年度の税収は46兆9500億円程度と前年度の43兆9300億円から3兆円強増えたようだ。リーマン・ショックが起きた08年度の税収44兆3000億円を大きく上回った。」(『日本経済新聞』2014.06.27)
●「ヘッジファンドの運用資産が世界で拡大している。業界推計では5月末に2.1兆ドル(約212兆円)と過去最大を更新した。世界で超低金利が続くなか、利回りのよい運用先を求めるマネーが流入している。世界の金融当局がヘッジファンドへの規制を強化しても資金流入の勢いは衰えず、ヘッジファンドが再び市場の波乱要因になるとの警戒感も出てきた。…目立つのが年金基金からの投資だ。…背景には、先進国の中央銀行による金融緩和がある。日米欧の中央銀行は、リーマン危機後に低金利政策や国債などの資産買い入れ策を導入。市中へ大量のマネーを供給し、金利を長い間低水準に抑えている。…ただ、ヘッジファンドの拡大に市場では警戒感も高まり始めた。ヘッジファンドは市場の取引を活発化させる一方、短期的な売買を繰り返し、価格変動を激しくさせる側面もある。情報開示義務がないため保有している資産は不透明だ。リーマン危機の際は投資銀行傘下のヘッジファンドが巨額損失を抱え、投資銀行本体の経営を直撃した。このためヘッジファンドを規制する流れが強まり、米国は銀行からヘッジファンドへの出資や融資を禁じた。」(『日本経済新聞』2014.06.27)

行政・公共事業・民営化

●「政府の15年度予算編成の方向性を定める『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太の方針)の素案で、重点的に取り組むインフラ関連施策が出そろった。老朽化対策では『インフラ長寿命化行動計画』を既に策定した国土交通省に加え、インフラを管理する他省庁や地方自治体にも計画策定と実行を促す。木造密集地の解消に向けて公的不動産を活用した連鎖的な市街地整備も盛り込んだ。国土強靭化や防災・減災、担い手確保の推進も明記した。素案は13日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で決定した。…政府は今月末の閣議決定を目指している。骨太の方針に盛り込まれる個別施策は、優先的に予算を確保できる見通しだ。素案は、社会資本整備の基本的考え方として、▽国際競争力の強化▽地域活性化▽国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)▽防災・減災対策▽老朽化対策―の5大テーマに一層の重点化を図るとした。」(『建設工業新聞』2014.06.17)
●「政府の民間資金等活用事業推進会議(PFI推進会議)は16日、公共機関がインフラの所有権を保有したまま運営権を民間に委ねる公共施設等運営権(コンセッション)方式の導入目標を前倒しすることを決めた。従来計画では2020〜22年までに事業規模を2兆〜3兆円まで拡大するとしたが、16年度までの『集中強化期間』内での達成を目指す。」(『建設工業新聞』2014.06.17)
●「国土交通省は、直轄工事の入札参加時に、監理技術者や主任技術者の過去の実績を問わないモデル工事を実施する。優秀な若手技術者が早期に活躍できる環境を整えるのが狙い。建設産業活性化会議(座長・高木毅副大臣)が月内に決める中間取りまとめの具体策として盛り込む。モデル工事は、WTO政府調達協定の適用対象に該当せず、技術的な難易度が比較的低い案件で実施する方針だ。関東地方整備局が、工事成績や表彰などの少ない企業の参入を促す目的で『技術提案チャレンジ型総合評価方式』と呼ぶ方法を試行しており、同様の手法を想定。複数の整備局が実施に向けた準備を進めている。」(『建設工業新聞』2014.06.18)
●「国土交通省は18日、昨年12月に施行された交通政策基本法に基づく基本計画(15〜21年度)の素案をまとめた。首都圏にある羽田、成田両空港と京浜港(東京、川崎、横浜港)の拡充策が柱。地域間の移動を促す新幹線や高速道路の整備も推進し、経済成長に貢献する交通網の増強を目指す。縮小が進む地域公共交通網の確保や、大規模災害や老朽化に備えた安全対策にも注力する。8月に案をまとめ、11月の閣議決定を目指す。素案では、計画の目標として▽経済成長に貢献する地域間や海外との交通網増強▽地方都市の職住機能の集約化(コンパクトシティーづくり)と連動した地域公共交通網の確保▽安心や安全の確保―の三つを設定した。」(『建設工業新聞』2014.06.19)
●「国土交通省は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)が施行されたのを受け、各地方で国や自治体が参加する発注者協議会の活動を一段と強化する。23日の関東を皮切りに各地方で6〜7月に集中して開催。改正法で新たに明記された『発注者の責務』を地方の発注現場にまで徹底する。改正法は発注者間の連携強化もうたっており、協議会を通じて、工事成績の相互利用や成績評定要領の標準化なども進める考えだ。」(『建設工業新聞』2014.06.19)
●「中央省庁や独立行政法人などの特殊法人で組織する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)は、19日に開いた定期総会で、2015・16年度の競争参加資格審査から、社会保険未加入業者の申請を受理しないことに合意した。未加入業者は15年度以降、中央省庁などが発注する公共工事の入札に参加できなくなる。中央公契連メンバーの多くは、2年に1回の資格審査の定期受付をインターネットで一元的に実施している。今年度後半に始まる予定の次期受付を前に、申請に使う書類内容を固め、未加入業者を排除することで一致した。具体的には、経営事項審査の総合評定値通知書(写し)で、雇用・健康・厚生年金3保険の加入状況をそれぞれ確認する。一つでも未加入になっている場合は、その書類を受け付けない。」(『建設通信新聞』2014.06.20)
●「改正公共工事品質確保促進法(品確法)に位置付けられた多様な入札契約方式の導入・活用に向け、国土交通省は20日、新たな方式の採用に取り組む地方公共団体を支援するモデル事業の公募を始めた。新方式の導入を目指す具体的な工事案件を募る。選定先にコンサルタントなどの専門家を派遣し、入札説明書・仕様書の作成などを支援する。5件以上は採択したい考えで、10月中には実務レベルでの発注者支援を開始する。モデル事業の成果はマニュアルや事例集といった形にまとめて広く周知し、全国規模で水平展開する。」(『建設通信新聞』2014.06.23)
●「国土交通省は、民間工事分野における社会保険加入状況の実態調査に乗り出す方針を固めた。これまで加入状況は主に、公共工事を対象にした労務費調査の中で調べてきたが、建設投資額の過半数を占める民間市場の現状を把握することで、建設業界全体を視野に、加入促進のてこ入れに向けた施策の検討などに生かす。併せて、法定福利費を内訳明示した標準見積書のさらなる普及活用策も探っていく。」(『建設通信新聞』2014.06.24)
●「国土交通省は26日、建設産業活性化会議(座長・高木毅副大臣)の第7回会合を開き、建設産業界が抱える最重要課題の担い手確保・育成に向け、約80項目に及ぶ具体的施策を盛り込んだ中間とりまとめを策定した。これからの建設産業・発注行政が歩む道を示した“羅針盤”とも言える成果で、今後はこれを基に行政や業界、教育機関などの関係者が一丸となって、担い手の確保と建設生産システムの効率化に全力を挙げることになる。各種施策の実施主体やスケジュールを整理した工程表を作成し、確実な実行と進捗管理の徹底を図る。…官民一体で取り組むさまざまな施策は、▽技能者の処遇改善の徹底▽誇り(若手の早期活躍の推進)▽将来を見通すことのできる環境整備▽教育訓練の充実強化等▽女性のさらなる活躍の推進▽建設生産システムの省力化・効率化・高度化――という6つの大局から具体化していく。」(『建設通信新聞』2014.06.27)
●「国土交通省は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づき、年内にも作る発注者の共通ルール『運用指針』のたたき台をまとめた。発注関係事務を改正法の趣旨に沿って適正に実施するために、調査・設計から完成後に至るまで各段階で考慮すべき事項を列挙。事業特性などに応じて多様な入札契約方式の中から適切な方式を選択・組み合わせられるよう、各方式の内容も簡潔に紹介している。」(『建設工業新聞』2014.06.30)

労働・福祉

●「厚生労働省は公的年金の給付水準を物価動向にかかわらず毎年度抑制する仕組みを2015年度に導入する方針だ。いまの制度では物価の上昇率が低い場合は給付を十分抑制できないが、少子高齢化の進展に合わせて必ず給付を抑える。すでに年金を受給している高齢者にも負担を分かち合ってもらい、年金制度の持続性を高める。少子高齢化にあわせて毎年の年金給付額を抑えるマクロ経済スライドと呼ぶ制度を見直す。15年の通常国会への関連法案提出を目指す。…今後は物価や賃金の動向に関係なく、名目で減額になる場合でも毎年度0.9%分を削減する方針だ。この削減率は平均余命の伸びや現役世代の加入者の減少率からはじくので、将来さらに拡大する可能性もある。」(『日本経済新聞』2014.06.17)
●「厚生労働省はこのほど、平成25年の『職場での熱中症による死亡災害の発生状況』をまとめた。25年、職場での熱中症による死亡者は30人で、24年に比べ9人増加。平成10年以降では、22年の47人に次いで多い。また、業種別にみると、建設業での死者は9人。24年の11人よりは減少したが、過去4年間の業種別発生状況では最も多くなっている。」(『日本住宅新聞』2014.06.25)
●「厚生労働省が27日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍と前月から0.01ポイント上がった。上昇は18カ月連続で、1992年6月以来、約22年ぶりの高い水準。製造業やサービス業などで求人が伸びた。完全失業率も3.5%まで下がり16年5カ月ぶりの水準になった。」(『日本経済新聞』2014.06.27)
●「厚生労働省は民間の人材仲介事業への規制を緩和する。求職者が1つの窓口で派遣から正社員まで幅広い求人を紹介してもらえるようにする。働き方の多様化に対応して転職市場の効率を高め、成長産業へ人材が円滑に移動するよう促す。人材会社と求人を出す企業は職業紹介や採用のコスト負担が軽くなる。…一本化すると同じ窓口で正規・非正規を問わず多様な求人の紹介を受けられる。」(『日本経済新聞』2014.06.27)
●総務省が27日発表した労働力調査(季節調整値)によると、5月の全国の完全失業率は3.5%だった。前月比0.1ポイント低下したが、中身は非正規雇用の労働者が前年同月比30万人増。これに対して正規雇用はわずか1万人増えただけ。就業者数は前月比35万人増の6358万人、完全失業者数は3万人減の233万人だった。(『しんぶん赤旗』2014.06.28より抜粋。)
●「国土交通省は、2015年4月から運用を始める建設分野の外国人材活用に関する緊急措置について、監理団体や受入建設企業、外国人建設就労者の要件などを定めた告示案をまとめ、パブリックコメントを開始した。団体・企業の新規参入は認めず、日本人と同等以上の報酬を支払うことを規定。受入人数の上限は常勤職員と同数までとする。外国人就労者は自由に転職もできる。緊急措置の適用対象には建設関係21職種のほか、建設業者が実習実施機関である場合に限定して鉄工、塗装、溶接の3職種も加える。」(『建設通信新聞』2014.06.30)

建設産業・経営

●「主要上場ゼネコン57社の2014年3月期決算で、連結営業利益合計額が前期比108.2%増と倍増したことが、東京商土リサーチ調査で分かった。今後の経営環境を示す受注高累計額も18.3%増と2桁の伸びとなった。一方、建設企業の重要評価項目の1つである、完成工事総利益(粗利)率は5.9%(粗利内訳が判明した50社)で前期比0.9ポイントとわずかな改善にとどまった。ただ全体の粗利額は27.4%増と大幅に増加しており、確実に建設企業の経営環境は好転している形となった。主要上場ゼネコン57社の連結売上高は前期比8.2%増の13兆8417億円と3期連続の増収となったほか、営業利益額も108.2%増の3944億円となった。…利益面でも、57社すべてが営業黒字を計上し営業利益額全体も倍増したことから、経常損益と当期純損益いずれも57社全て.が黒字を計上した。」(『建設通信新聞』2014.06.17)
●「増収増益が目立ったゼネコンの13年度決算。主力の民間建築工事の受注・売り上げ計上が進んだのに加えて、旺盛な公共工事の発注が全体を押し上げた。東日本建設業保証がまとめた資料集『13年度版図で見る公共工事の動き』によると、3保証会社が13年度に保証を取り扱った工事・業務の請負金額は総額14兆5711億円(前年度比17.7%増)。2年連続で前年度を上回り、過去10年でも最高額に達した。資料集から13年度の公共工事のポイントを整理した。保証した工事・業務の請負金額は、04年度以降は減少傾向にあったが、11年3月に東日本大震災が発生し、膨大な復旧・復興工事が発注されるようになって12年度は大幅に増加。12年12月に安倍政権が発足すると、大型補正予算の編成をはじめとする経済財政政策が実行され、公共工事は全国的に増え始めたり震災関連工事・業務の発注も続いたことで、13年度の請負金額は前年度より2.2兆円も増えた。…請負金額を発注者別に分けると、▽国2兆8482億円(33.9%増)▽独立行政法人など1兆5312億円(22.8%増)▽都道府県4兆2822億円(11.2%増)▽市区町村5兆0544億円(14.1%増)▽地方公社1360億円(3.9%増)▽その他7187億円(20.5%増)。…工種別の請負高は▽土木8兆2652億円(11.0%増)▽建築3兆1194億円(26.4%増)▽電気9934億円(16.9%増)▽管6160億円(10.5%増)▽その他1兆5768億円(48.5%増)。すべての工種で前年度を上回り、土木は増加額が8200億円を超えた。」(『建設工業新聞』2014.06.17)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は20日の理事会で、建設業の担い手確保など目的にした改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)が施行されたのを受け、改正法の理念の実現に向けた決議を行った。『建設業が健全に発展するための枠組みが法制化された』とし、担い手確保に向け『行き過ぎた価格競争を是正し、適正な利潤を確保できるよう努める』と表明。『適正な受注活動の徹底』など六つの取り組みを会員一丸で推進するとした。取り組みは、▽適正な受注活動の徹底▽労務賃金の改善▽社会保険などの加入促進と作業所労働時間・労働環境の改善▽発注者との連携による円滑な施工確保▽民間工事施工に当たっての対応▽適正な施工と企業活動の徹底。改正法で規定された受発注者の責務を踏まえて決定した。具体的には、適正価格での下請契約、技術者・技能者の確保・育成など受注者の責務の履行には適正利潤の確保が不可欠と強調。13年4月の『民間工事における適正な受注活動に関する決議』も踏まえ、『適正な価格と適正な工期での契約に徹する』とした。さらに適正な下請契約、賃金支払いを確実に実施。4月に公表した『建設技能労働者の人材確保・育成に関する提言』に基づき、技能者の年収が全産業平均レベルの約530万円になるよう努めることを規定した。作業所の全日曜閉所と土曜閉所拡大による労働時間・労働環境の改善、17年度までに下請会社の社会保険完全加入と技能者の製造業並み加入を目指すことも打ち出した。」(『建設工業新聞』2014.06.23)
●「設計業務の書面契約義務化や一括再委託(丸投げ)の禁止などを柱にした改正建築士法が、20日の参院本会議で可決・成立した。現行制度は『責任の所在が不明確で紛争が生じやすい』などとして改善を求めた建築設計界の要望を踏まえて自民党建築設計議員連盟(額賀福志郎会長)を中心に改正案を練り、議員立法として提出。野党の理解も得て全会一致での可決となった。設計の『業』をめぐる課題が改善に向けて動きだす。…改正法の柱は、書面契約の義務付けや管理建築士の責務明確化による業務の適正化、免許証の提示などによる情報開示の充実、建築設備に関する業務の適正化などだ。」(『建設工業新聞』2014.06.23)
●「国土交通省は、建設業許可事務ガイドラインの見直し案をまとめた。許可業種区分に対応した建設工事の『内容』『例示』『区分の考え方』を、新たな施工実態や取引実態に対応させた。見直し案に対する意見を7月22日まで募集した上で、最終決定する。『内容』は同省の告示、『例示』と『考え方』は土地・建設産業局建設業課長通達となるガイドラインで示す。見直し案のうち、先に成立した改正建設業法で新たな業種区分として追加された『解体工事』に関連する部分は、公布(6月4日)から2年以内に定める施行日に合わせて適用。解体工事に対応する部分以外は即時適用となる。」(『建設工業新聞』2014.06.25)
●「国土交通省は27日、2014年度建設投資見通しを公表した。総額(名目値)は48兆4700億円となった。12年度末の大型補正や13年度の消費増税の駆け込みの反動があるものの、景気の回復による民間設備投資(非住宅、土木)の増加が見込まれ、前年度見込み額と比べ0.5%減にとどまる。建設投資見通しのうち、政府の建設投資は前年度見込み比1.1%減の20兆3700億円、民間が0.1%減の28兆1000億円となった。政府では、公共事業(土木)が4.2%減の14兆6900億円、そのほか(土木)が1.9%減の2兆5300億円、住宅建築が前年度と同額の6900億円、非住宅建築が23.0%増の2兆4600億円。非住宅建築を除き、前年度に執行がずれ込んだ前々年度末の大型補正予算の反動の影響で軒並み減少の見通し。民間住宅では、15年10月に予定されている消費税10%への引き上げの駆け込み需要を見込むものの、前年度の消費税率8%への引き上げの反動の方が大きく、4.1%減の15兆1000億円とした。一方で、景気回復による投資増加によって、民間非住宅が5.9%増の8兆4500億円、民間土木が3.4%増の4兆5500億円となり、民間全体を押し上げる見通しになった。」(『建設通信新聞』2014.06.30)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「東京・中央区は、20年東京五輪の選手村が整備される臨海部の晴海地区(約107ヘクタール)のまちづくりの方向性を定める『晴海地区将来ビジョン』の中間とりまとめ案を策定した。選手村の整備や周辺の住宅開発と合わせて、公共・公益施設や業務・商業施設の配置を誘導するための地区全体の土地利用の考え方を整理した。7月に中間とりまとめ案を東京都に提出。年内にも最終とりまとめを行い、15年度に改訂される都の『豊洲・晴海開発整備計画』に反映させたい考えだ。」(『建設工業新聞』2014.06.16)
●「交通政策審議会(交政審、国土交通相の諮問機関)の交通体系分科会地域公共交通部会(部会長・淺野正一郎情報・システム研究機衛国立情報学研究所名誉教授)は13日、改正地域公共交通活性化法を具体化するため、15年度予算の概算要求などに向けた最終提言案をまとめた。地方都市の中心部に職住機能を集める『コンパクトシティー』づくりと連携した地域公共交通網の整備を進めやすくするため、国が予算や税制などで自治体や民間事業者を重点的に支援するよう求めた。今国会で成立した改正地域公共交通活性化法では、まず市町村や都道府県が交通事業者と連携し、街づくりと一体になった持続可能な公共交通網の基本計画『地域公共交通網形成計画』を策定。これに基づく実施計画が国交相に認定されれば、交通事業者は駅前広場やバスターミナルの整備などで国からの財政支援を受けられるようになる。提言案では、実施計画に基づいて行う施設整備に対し、計画構想から実施段階までトータルで財政支援する仕組みを構築すべきだとした。財政支援に加え税制優遇など幅広い支援措置も求めた。」(『建設工業新聞』2014.06.16)
●「米西海岸発の『宿泊革命』が世界に広がっている。仕掛け人は2008年創業の米ベンチャー、Airbnb(エアビーアンドビー)だ。世界各地に点在する個人の空き部屋をインターネットで仲介する。利用地域は192カ国、宿泊者は1500万人を超え、既存のホテルビジネスを揺さぶる。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と旅行事業で提携するなど、業界の風雲児は次の照準を日本に定めた。…サイトに掲載されている部屋の数は約3万4000都市の計60万室以上。大手ホテルチェーンの部屋数と比べるとインターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)やマリオットなどに次ぐ世界5位の規模だ。ネットを介して個人の余剰な『モノ』や『時間』を、それを必要とする人と共有する――。Airbnbは『シェアエコノミー』と呼ぶ新しい消費スタイルの波に乗り短期間で世界規模の宿泊ネットワークを築いた。大半は一軒家やアパートの空き部屋で、木の上に泊まる『ツリーハウス」や城などユニークな物件もある。大手ホテルのようなサービスは期待できないが料金は総じてホテルより安い。貸す側の『ホスト』から宿泊料金の3%、ゲストから同6〜12%受け取る手数料が収入源となっている。」(『日本経済新聞』2014.06.17)
●「福島第1原発事故に伴う周辺地域の除染で発生した汚染土などを、最長30年間にわたって保管する中間貯蔵施設。来年1月の搬入開始を目指す政府は、建設候補地となった福島県双葉、大熊両町民の理解を得るため、15日までに県内外の避難先で全16回の説明会を実施した。だが、住民の抵抗感は根強く、国にさらなる説明や追加補償を求める声も上がる。着工への道筋が依然見えない一方で、除染作業は県内各地で進み、仮置き場や住宅の庭先に保管される汚染土は増え続けている。」(『建設工業新聞』2014.06.17)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)は17日、首都圏の5月の新築マンション発売戸数が前年同月比13.4%減の4300戸だったと発表した。マイナスは4カ月連続。昨年5月にアベノミクス効果で大幅に増加した反動が出た。戸数は減ったが、売れ行きを示す契約率は78.9%。好不調の分かれ目となる70%を上回り『需要は堅調』という。」(『日本経済新聞』2014.06.18)
●「国土交通省は、東京や大阪などの大都市で2020年度までに、民間が進める大規模開発事業約40件を実現に向けて後押しする。政府が取り組む新たな成長戦略(日本再輿戦略)の一環で、都市の国際競争力を強化するのが狙い。都市計画手続きの簡素化や規制緩和措置が適用される国家戦略特区制度や、未利用公有地を種地にした連鎖型再開発事業などを活用し、目標達成を目指す。」(『建設工業新聞』2014.06.18)
●「耐震性が不足しているマンションの敷地売却制度を創設する改正マンション建替え円滑化法が、18日の参院本会議で可決、成立した。特定行政庁から地震に対する安全性が確保されておらず、除却の必要があると認定されたマンションについて、区分所有者の5分の4以上の決議で敷地をディベロッパーなどに売却できるようにし、旧耐震基準のマンションなどの建て替えを後押しする。新築するマンションは、一定の敷地条件などを満たせば容積率の緩和措置が受けられる。」(『建設通信新聞』2014.06.19)
●「東京都が2020年東京五輪・パラリンピックの会場整備計画の再検討作業を始めた。恒久施設とする予定だった10施設のうち3施設を巡り、建設中止や予定地変更などの案が浮上。建設費の高騰で膨れ上がるコストの圧縮が最大の理由で、選手村から半径8キロ圏内に主要会場を整備する『コンパクト五輪』も見直される可能性が出てきた。都は厳しい決断を迫られた格好だ。…五輪施設のうち、都は恒久施設10カ所の新設と既存施設2カ所の改修を担当し、メーン会場となる新国立競技場の建て替えは国が担う仕分けになっている。都が計画の見直しに踏み切った最大の要因は、東日本大震災後の建設資材や人件費の上昇だ。都が新設する10施設の整備費は招致段階で1538億円だった。しかし、その後の再試算で約3800億円に膨れあがることが判明。五輪開催のために積み立てた約4100億円の基金を食いつぶす恐れすら出てきた。」(『日本経済新聞』2014.06.21)
●「高齢者向けの住宅として普及が進む『サービス付き高齢者住宅』(サ高住)の整備が、改正介護保険法の成立を受けて加速する見通しだ。改正法は、介護保険サービスの費用をサ高住の所在地とは別の自治体が負担する特例を認めるもので、これにより、都市部から住み替える高齢者向けに郊外や地方でサ高住の誘致・整備に動く自治体や民間事業者が増えるとみられている。高齢者の住まいの確保と併せ、地方の建設需要や雇用創出などの効果も期待される。」(『建設工業新聞』2014.06.25)
●「東日本大震災で被災した宮城県名取市の愛島東部仮設住宅の借地期限が6月末に迫り、市が立ち退きを求めた問題で、地権者らでつくる区画整理組合は28日へ土地約2.5ヘクタールを全て買い取るとした市の要請を受け入れることを決めた。半分超の戸数の住民が退去を迫られる当初の案は回避されることになった。」(『日本経済新聞』2014.06.29)
●「住宅市場で賃貸物件の建設が急増している。2013年度は新設戸数が前年度比15%増えて5年ぶりの高水準となり、今年度も増加が続く。都市部の地価持ち直しで生命保険会社などの投資マネーが流入しているほか、相続税増税を控えた個人の節税投資もみられる。高齢者向けの賃貸物件も増えており、住宅市場の下支え役となっている。」(『日本経済新聞』2014.06.30)

その他

●「自民、公明両党は24日の安全保障法制に関する与党協議会で、集団的自衛権の行使を容認することで大筋合意した。行使できるのは『密接な関係にある国への攻撃で日本国民の権利が根底から覆される明白な危険がある』などの要件を満たした場合に限るとの表現で一致。政府はこれらの要件を柱とする文案をまとめ、7月1日にも閣議決定する。」(『日本経済新聞』2014.06.25)