情勢の特徴 - 2014年7月前半
●「政府は2015年度予算の概算要求基準の概要を固めた。安倍晋三首相が重視する成長戦略に関連した施策に限って各省庁から要望を集める特別枠を設ける。財源として14年度予算のうち各省庁の政策的な自由度が高い裁量的経費の1割分の事業の廃止・縮小を求めるなどしてまかなう。特別枠には3兆円を超える要望を認める方向で調整する。」(『日本経済新聞』2014.07.01)
●「政府は厚生年金入っていない中小零細企業など約80万社(事業所)を来年度から特定し加入させる方針だ。国税庁が保有する企業情報をもとに厚生年金に加入していない企業を調べ、日本年金機構が加入を求める。応じない場合は法的措置で強制加入させる。加入逃れを放置すれば、きちんと保険料を払っている企業や働く人の不満が強まり、年金への信頼が揺らぎかねないと判断した。」(『日本経済新聞』2014.07.04)
●「帝国データバンクが7日発表した2014年1〜6月の都内の倒産件数(負債額1000万円以上)は、907件と前年同期比19.5%減った。景気の回復や金融機関が返済猶予に柔軟に対応したことが大きく、上期としては9年ぶりに1000件を下回った。業種別ではその他を除く7業種中、6業種が減少。公共工事の増加が続く建設業や、広告代理などサービス業が大幅に減った。一方、燃料費の高騰に直面する運輸・通信業は増加した。負債総額は2.7%増の4460億3200万円。…全体的には負債額1億円未満の倒産が約7割など小規模倒産が引き続き多いが、5億円以上などと負債額が大きい倒産も少しずつ増えてきているという。」(『日本経済新聞』2014.07.08)
●「日本銀行が7日公表した地域経済報告(さくらレポート)で、北海道から沖縄までの9地区すべてで、公共投資が『増加』『高水準』を維持するとともに、設備投資も『増加』または『持ち直し』の状況であることが浮き彫りになった。地域の景気情勢そのものも、全地域で前回調査の4月判断を維持、消費増税の反動影響はあるものの基調的には緩やかな回復を続けていると判断した。地方建設業界にとっては、公共投資の増加・高水準が持続するだけでなく、民間受注につながる設備投資も全地区で回復基調にあることは、今後の受注環境にも追い風となりそうだ。」(『建設通信新聞』2014.07.08)
●「政府が政府開発援助(ODA)政策の見直しに乗り出した。外務省の有識者懇談会が6月26日に報告書をまとめたのを受け、年内にODA大綱を改定する。…報告書はODAの新たな4つの基本方針を提言し、その第1に掲げたのが『非軍事的手段による平和の希求』という原則だ。外務省幹部は『日本が目指す外交理念がここにある』と指摘する。『ODAは平和国家として世界の平和と繁栄に貢献してきた我が国の最大の外交ツール』。報告書は憲法9条の下、武力を使って問題を解決する手法ではなく、平和の環境づくりに向けてインフラ整備や人道支援で援助してきたことをこう評価する。外国から信頼を得てきたODAをいかし、さらに日本の貢献の幅を広げようという発想だ。支援を途上国だけでなく、国民所得の高い国にも広げる。経済援助に偏らず、平和構築にも重点を置くため、ODA大綱の名称を『開発協力大綱』と改める。」(『日本経済新聞』2014.07.09)
●「カナダで開かれている環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合が現地時間12日(日本時間13日未明)に終了する。労働や検疫など過半の分野が今回の会合で事実上決着した一方、日米の関税協議や知的財産、環境など難航分野は棚上げされた。参加12カ国は年内合意を視野に入れるが、残された難題の解決に向けたハードルは高い。」(『日本経済新聞』2014.07.13)
●「すべての道路管理者に法令に基づく橋梁とトンネルの定期点検を義務付ける国土交通省令が1日施行され、道路分野での本格的な維持管理・更新時代が幕を開けた。産学官の予算、人材、技術を投入した『道路メンテナンス総力戦』が全国展開され、点検・診断・措置・記録というメンテナンスサイクルが回り出す。」(『建設通信新聞』2014.07.01)
●「今後ニーズの急拡大が見込まれるインフラの維持・修繕業務で、採算に対する受発注者間の溝が埋まらない。国土交通省が1日公表した調査結果によると、建設会社など企業の6割以上が市町村発注業務の『収益性は低い』と考えていることが明らかになった。発注者の積算と実際の費用に開きがあるのが最大の理由。一方で自治体の7割は『乗離していない』としており、自治体と受注者側で認識のギャップが生じていることが浮き彫りになっている。」(『建設工業新聞』2014.07.02)
●「太田昭宏国土交通相は1日の閣議に13年度国土交通白書を報告、了承された。白書は『これからの社会インフラの維持管理・更新に向けて』をテーマに据え、国民の意識調査や事業者アンケートなどを実施。『賢く使う』『みんなで支える』『将来を見越す』の三つのキーワードで目指すべき維持管理・更新の姿を示し、既存インフラの多面的利用、民間企業の活用、発注者・受注者双方の担い手確保などの必要性を指摘した。約3000人を対象に実施した国民意識調査(14年2月時点)では、老朽化の進行で76%の人がインフラの今後について『非常に不安に思う』『不安に思う』と回答。…受注者から見た維持管理・修繕業務の課題も明らかになった。事業者へのアンケート調査で、課題として多く挙げられたのが▽作業可能時間帯や条件の制約▽作業人員の確保▽設計図面や管理履歴など情報の不足―の3点。…こうした現状を踏まえ、今後展開する施策の方向性を三つのキーワードで示した。そのうち『賢く使う』では、一つのインフラにさまざまな機能を持たせたり、再利用・用途転換したりした先行事例を示したほか、インフラをより効率的に活用できる都市構造のコンパクト化などが必要だとした。民間の積極活用をうたう『みんなで支える』では、維持管理・更新分野で独立採算型のPFIを拡大することを提唱。…『将来を見越す』では、インフラを管理する行政、維持管理を担う建設業者の双方で担い手の確保・育成が必要だと指摘。」(『建設工業新聞』2014.07.02)
●「2013年10月の伊豆大島土砂災害を踏まえた土砂災害対策の強化を検討していた国土交通省の有識者会議は3日、大規模土砂災害に対する技術指針などの作成や国による大規模災害リスクの調査などを柱とする提言の内容を固めた。土石流・流木対策技術指針の改訂や土砂災害に対処するための『タイムライン』の作成推進なども盛り込んだ。」(『建設通信新聞』2014.07.04)
●「国土交通省は4日、2050年を照準にした新たな国土のグランドデザインを策定した。『コンパクトとネットワーク』をテーマに、地方郡市の中心部に職住機能を集めるコンパクトシティーと、拠点都市間を短時間で移動できる高速交通網の整備を推進。東京にある民間施設の地方移転を促す新たな施策も検討し、災害に強く持続的に成長・発展できる国土造りを目指す。グランドデザインを具体化するため、今夏から2年程度かけて国土形成計画を見直す。グランドデザインでは、2050年には居住地域の6割以上の地点で人口が半減し、うち2割では誰も住まなくなると予測。3大都市圏(東京、名古屋、大阪)を除く人口30万人以上の都市圏は現在の61から43に減るとも予測している。こうした予測を踏まえ、30万人以上の都市圏を現在と同水準以上の約60〜70形成する目標を設定した。 目標の達成に向け、地方都市のコンパクト化を推進し、老朽インフラの更新や業務・商業ビルなどの再開発を行う。リニア中央新幹線など高速交通網の整備も推進し、都市圏間の移動を活性化させる。首都直下地震などの大規模災害に備え、東京に集中している民間施設の地方移転や、所有者不明の土地の実態を把握して有効活用できるようにするためのルールづくりも進める。」(『建設工業新聞』2014.07.07)
●「東京都財務局は、工事入札に適用している低入札価格調査制度の運用を厳格化し、入札額に占める一般管理費等の割合が5%以下の応札者は一律に失格とする。従来は5%以下でも経営実態を考慮して落札を認めるケースもあったが、例外をなくす。交通、水道、下水道の3局も財務局に倣い、15日以降に公告する案件から適用する。」(『建設工業新聞』2014.07.10)
●「厚生労働省がまとめた2014年1−5月の労働災害発生状況(速報、6月7日時点)によると、建設業の死亡者数は、前年同期と比べ33.7%増(33人増)の131人となった。また、休業4日以上の建設業死傷者数は、6月7日時点で5586人と、前年同期比で233人増(4.4%増)だった。」(『建設通信新聞』2014.07.01)
●安倍政権が「残業代ゼロ」をめざす「新たな労働時間制度」などを導入すると、年収450万円層の労働者で、年間39万円の残業代を失う―。全労連と共同して研究・政策活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)がこのほど発表した試算で、収入が大幅に削減することが明らかになった。安倍政権は、労働時間規制を外す新制度をめざしており、対象者を「年収1000万円以上」とし、仕事の範囲が明確で、高い職業能力を持つ労働者としている。一方、もう一つの「残業代ゼロ」制度である「裁量労働制」を拡大することで一致している。試算結果によると、年収450万円の労働者で、月13.6時間の残業(厚生労働省「毎月勤労統計調査」の一般労働者、平均残業時間)をした場合、年間38万7600円の残業代を失う。月平均で30時間残業した場合では、月7万222円、年間84万2664円の残業代が支払われない。(『しんぶん赤旗』2014.07.01より抜粋。)
●「厚生労働省は1日、中央最低賃金審議会を開き、2014年度の最低賃金引き上げの議論を始めた。足元の経済指標はおおむね改善しており、10円超の引き上げが議論の軸になる。今年春に正社員を中心に賃上げの動きが広がった。非正規労働者への影響が大きい最低賃金の動向は景気にも響きそうだ。」(『日本経済新聞』2014.07.02)
●「国土交通省は、技能労働者の不足感が特に強いとび工、鉄筋工、型枠工の3職種を対象に、賃金動向の定点観測を始める。特定の下請企業に対する継続的な調査を行うことで、賃金水準の変動状況をリアルにつかむ。3カ月ごとに実施するモニター調査の結果は、適切な賃金水準の確保方策を機動的に検討するための基礎データとして生かす。」(『建設通信新聞』2014.07.03)
●「国土交通省は、ベトナム人の建設技能実習生を日本の工事現場で受け入れて育成する取り組みを強化する。実習生を受け入れる日本の専門工事業者向けに、職長級のスキルを持つ技能者を育成するためのマニュアルを14年度に作成。実習生を受け入れる現場の数も13年度より増やす考えだ。近くマニュアルの作成支援や受け入れ現場の調整などを行ってもらう業務を外注する。」(『建設工業新聞』2014.07.04)
●安倍政権は、「給与制度の総合的見直し」で、国家公務員に対して新たに恒久的な賃下げをねらっている。この賃下げは地方公務員や独立行政法人など約625万人の賃金に直結し、地域経済に深刻な影響を与えることが、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の試算で明らかとなった。安倍政権や人事院がねらう「給与制度の総合的見直し」には、地域間格差がさらに拡大するという大きな問題がある。昨年8月の人事院報告では、12県を選んで国家公務員給与と民間賃金を比べ、民間賃金が2〜3%低いと指摘。公務員に対するさらなる賃下げを求めていた。この賃下げ分を原資にして、民間賃金が高い都市に地域手当としてつけるというもの。今でも18%にも及ぶ地域間格差が、さらに広がる恐れがある。 しかも、今回の賃下げは民間労働者の賃金に悪影響を与え、地方経済に深刻な影響を与える。国公労連の試算では産業連関表を使い、国家公務員の賃下げを3%と仮定し、国家公務員、地方公務員、国立病院機構、国立大学法人に限って試算。29県について、地方経済へのマイナス波及効果を算出した。「見直し」の根拠として比較対象となった12県での影響は、非常に大きいものがある。例えば岩手県では、給与削減額は72億3000万円となり、減額による直接消費支出減は43億3000万円にのぼります。公務員賃金の削減は他産業の賃金に波及し、公務員と民間を合わせた賃金減少額は93億円にも。その結果、岩手県全体の総消費支出は66億7000万円も減ることになる。賃下げによる総消費支出減少額は12県で699億円にものぼり、地域経済を直撃する。(『しんぶん赤旗』2014.07.12より抜粋。)
●「国土交通省、全国建設業協同組合連合会(全建協連)、建設業振興基金の幹部らが14日、群馬県沼田市の建築板金業者、テクノアウター(桑原敏彦社長)が自己資金で開設・運営している技能労働者の訓練施設(同市岡谷町)を視察した。他社や海外からも訓練生を積極的に受け入れ、現在は板金工を目指す国内外の若手10人が在籍中。…同日、訓練を受けていたのは同社の新人5人と他社(三重県)の2人、インドネシアからの実習生3人の合計10人(10〜20代)。…この訓棟施設は5年前に同市岡谷町に開設。運営資金は年間約400万円程度という。」(『建設工業新聞』2014.07.15)
●「国土交通省は、社会保険未加入業者に対する加入指導状況(2012年11月−14年3月)をまとめた。経営事項審査の申請時などに未加入が判明し、建設業許可部局が指導した結果、そのうちの約3割が保険に加入した。一方、原則2回の加入指導にも従わなかったため、厚生労働省保険担当部局に通報した件数も約3割だった。…判明した未加入業者のうち、1万0549件(38.9%)は指導後の加入確認待ち。8316件(30.6%)は指導を受けて加入したが、ほぼ同数の8273件(30.5%)は2回の指導に従わず厚労省に通報された。」(『建設通信新聞』2014.07.01)
●「専門工事業界と国土交通省各地方整備局との意見交換で、工期・工程と社会保険未加入の2つの問題が2大争点として改めて浮かび上がっている。…建専連が今回の意見交換で工期・工程を問題として提起するのは、工期を順守しながら工程が遅れることで、建設現場の後工程職種からの『これまでも常にしわ寄せを受けるのは後工程。このままでは適正利益の確保はできない』という強い危機意識が背景にある。…建専連が意見交換前に統一テーマとして掲げた6テーマのうち、『適正工期・適正価格での受発注』と『社会保険等加入促進に向けた取り組み』の2課題が大きな争点になっているのは、建専連が社会保険加入促進へ向け『パンドラの箱を開けた。もう後戻りできない』として進めている取り組みの効果が特に地方で上がらないことが最大の理由だ。さらに躯体系の前工程と、仕上げ系の後工程で分かれる専門職種のうち、仕上げ系職種からの『前工程が遅れたつけをいつも払っているのは後工程。もう我慢できない』(石田信尚建専連副会長・全国建設室内工事業協会会長)という強い問題意識が専門工事業界に広がっていることが、日建連と国交省各地整との意見交換でも議論となった、効率的・合理的な工程管理と適正な工期設定の課題提起につながった。」(『建設通信新聞』2014.07.02)
●「国土交通省は1日、主要建設資材の14年度需要見通しを発表した。対象6資材9品目の需要量はすべて前年度に比べ減少する見込み。14年度の建設投資見通しが前年度割れとなり、特に土木部門が落ち込んでいることが影響しているという。ただ減少幅は最大のアスファルトでも3.8%減と小幅にとどまっている。」(『建設工業新聞』2014.07.02)
●「東京商工リサーチは8日、2014年上期(1−6月)の建設業倒産(負債額1000万円以上)結果を公表した。件数は前年同期比19.6%減の1035件で、6年連続の減少。91年(987件)以来の低水準となった。負債総額も上期として過去20年間で最少金額で、倒産統計からは建設業の経営環境改善が持続していることが浮き彫りになった。」(『建設通信新聞』2014.07.09)
●「公共機関の入札契約手続きでプロポーザル方式や総合評価方式など企業の技術力を問う方法が普及する中、建設コンサルタント各社が技術提案作成に伴う経費の負担増をどう消化していくか、対応に苦慮している。国を中心に総合評価方式などの発注比率が増加したことで、受注額に占める経費率はここ5年間で約9%上昇したという調査結果もある。業界が技術力重視の入札契約方式の導入拡大を国や地方に要望している一方で、各社の経営には負担増が重くのしかかる。」(『建設工業新聞』2014.07.11)
●「大成建設は10日、機械自体が判断・作業する次世代型の無人化施工システムの実証実験を行い、有効性を確認したと発表した。オペレーターから作業指示を受けると、機械自身のセンサーによって自己位置や速度などを常に把握しながら作業を実施。所定の位置に戻り作業を終え、オペレ一夕一に報告し停止した。同社はこの実験結果を基に、人が立ち入れない危険区域や災害現場の復旧・復興など過酷な環境での適用だけでなく、技術のさらなる高度化によって適用現場の拡大を目指す。」(『建設工業新聞』2014.07.11)
●「全国建設労働組合総連合東京都連合会は10日、『人が育つ明るい建設現場をめざす討論集会』を東京都新宿区のけんせつプラザ東京で開き、社会保険加入のための取り組みなどについて本音で討論した。『社会保険問題は、あとは加入するだけという雰囲気が漂っているが、まだまだやらなければならないことがある』との声が上がった。討論会では、蟹澤宏剛芝浦工大教授が社会保険未加入対策について、問題提起した。その後、三野輪賢二日本型枠工事業協会会長が登壇。躯体業界からの報告として人手不足について触れ、『型枠に限らず、まだ発注時期が集中し、仕事の忙しさに山がある。忙しい時の人の足りなさを基準にして対策を考えると未来に禍根を残す。まず仕事の平準化が必要だ。発注と竣工時期を半年ずつでもずらすと、人手不足感は一服する。これが(仕事の安定につながり)社会保険加入にもつながる』と発注平準化の重要性を強調した。あわせて、『社会保険は、技能労働者が加入するだけという雰囲気があることに非常に違和感を覚える。50歳以上の技能者の加入などまだまだ議論してほしい』と訴えた。…業界からの報告では、矢島孝夫矢島鉄筋工業社長が、自社の取り組みとして、『一人ひとり社会保険に入っているか調べ、加入する職人には、加入に必要な額をすべて矢島鉄筋で負担して加入を進めている』と紹介した。新妻尚祐新妻鋼業社長は『社会保険の問題は、建設業界を魅力ある業界にして、公平に競争できるようにすることが目的だ。そのための第1段階が保険加入であり、標準見積書の提出だ。ほかに問題はたくさんあるが、まず企業として最低条件の福利厚生に取り組むという考え方であり、仕事の量で賃金が上下するのではなく、本来は職種の技術や技能で値段が決まる仕組みにならなければならない』と、社会保険未加入問題に取り組む意識を示した。…このほか、『就労履歴が明らかになると都合の悪い人が多い。こうしたことの救済も考える必要がある』『民間工事でも社会保険を加入するよう法制度を整備してほしい』といった意見が出された。」(『建設通信新聞』2014.07.14)
●「国土交通省は14日、外国建設業者(外国法人と外資50%以上の日本法人)の建設業許可取得状況(13年度末時点)をまとめた。許可業者は大臣許可と知事許可を合わせて21カ国の132社と前年度末より11社増え、国数、業者数とも1988年度の調査開始以来、最多となった。この1年間に新たに許可を取得したのが18社、撤退したのが7社だった。」(『建設工業新聞』2014.07.15)
●「国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2014年分の路線価(1月1日現在)を発表した。全国約34万地点の標準宅地は前年比で平均0・7%マイナスと6年連続で下落したが、下げ幅は前年より1.1ポイント縮小した。前年を上回ったのは8都府県で、東京都や大阪府が6年ぶりに上昇。沖縄県は横ばいで、下落した38道府県も下げ幅はすべて縮小し、地価の底打ち傾向は強まっている。」(『日本経済新聞』2014.07.01)
●「国土交通省が30日発表した5月の新設住宅着工戸数は前年同月比15%減の6万7791戸だった。減少は3カ月連続で、減少率は2009年12月以来約4年半ぶりの大きさだった。相続税の増税を控えた個人の節税投資で賃貸住宅は15カ月連続のプラスになったが、消費増税の影響で持ち家や分譲住宅の落ち込みが大きくなったのが響いた。持ち家は22.9%減の2万2288戸だった。分譲住宅は27.1%減の1万7437戸で、特にマンションが43.3%減と大きく落ち込んだ。持ち家、分譲住宅ともに4カ月連続で前年同月を下回った。住宅市場では4月の消費増税をにらんで個人の駆け込み購入が出ていたが、足元ではその反動で着工ペースが鈍っている。建設業界の人手不足や資材価格の高騰が足かせになっている面もある。」(『日本経済新聞』2014.07.01)
●「青森県大間町にJパワーが建設中の大間原子力発電所を巡り、北海道函館市が建設中止などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、東京地裁(増田稔裁判長)であった。函館市の工藤寿樹市長は『国や事業者は、建設の同意を求めることも一切せずに(市を)無視している』と批判。『一民間企業のために27万人の市民の生命と財産が危険にさらされている』と主張した。自治体が原告となって国に原発差し止めを求めた訴訟は初めて。…市側は『地方自治体の存立が奪われる事態を自治体が止められるのは明らか』と指摘。2012年の原子炉等規制法改正で『国民の財産の保護』の文言が盛り込まれたことに絡み、『原発事故で被害が想定される法人や地方公共団体の財産権は個別的利益として保護されている』と訴えた。一方、国側は『地方自治体の自治権は、固有の権利を保障しているものではない』と主張。判例では『財産権や地方自治権は個別的利益として保護されない』と説明し、『函館市は法律上、原告として認められない』と棄却を求めた。」(『日本経済新聞』2014.07.04)
●東京都江戸川区は3日、税金の無駄遣いと批判される国の「スーパー堤防」事業に関連する土地区画整理事業で、対象となった同区北小岩1丁目の住宅6軒の強制撤去に向けた作業を強行した。同事業に反対する「スーパー堤防・まちづくりを考える会」の住民ら約30人が抗議の声を上げる中、午前9時ごろに区の職員らが6軒のうち1軒に強制的に立ち入り、家財の確認などを行った。区は残る5軒についても順次、強制撤去を検討するとしている。区は昨年12月、立ち退きに応じられない住民に「催告書」を送付。2月3日には「建築物等の除却について」と題する文書を送付するなど、住民の意向を無視して退去を迫っている。(『しんぶん赤旗』2014.07.04より抜粋。)
●「東京電力福島第1原発事故で自主避難する住民への支援策として、国土交通省は7日までに、公営住宅に入居する際の要件を緩和するよう全国の自治体に通知した。家族が別々に生活する場合には世帯収入を実際の半分とみなすほか、福島に持ち家があっても入居できる特例を設ける。各自治体は入居申請に対応する準備が整い次第、適用を始める。支援策の対象者は、福島第1原発周辺の『避難指示区域』に自宅が含まれていない福島県内の住民。県は県外に避難している約4万5000人(6月時点)のうち半数以上が自主避難者とみている。…公営住宅の入居要件となる世帯の手取り月収は、公営住宅法の施行令が最高25万9000円までと定めており、地域の実情に応じて都道府県や市町村が具体的な金額を決めている。支援策では、福島の家族が自主避難して別々に暮らす場合、世帯収入を2分の1とするよう算定方法を改める。世帯収入が40万円の場合、20万円とみなすことになる。また、公営住宅法の規定に基づき原則として自宅を所有する人は公営住宅に入れないとされているが、福島の自主避難者は県内に自宅を所有していても喪失したとみなし、入居できるようにする。この特例は家族全員で避難する場合も利用できるという。」(『日本経済新聞』2014.07.08)
●「住宅大手がリフォームの受注に力を入れる。大和ハウス工業は2015年春をめどに専用の営業拠点を全国20カ所につくる。他社の物件を取り込むのが狙いだ。三井ホームは女性を中心に3年後の営業人員を2倍に増やす。顧客の層が厚い首都圏でも20年ごろには世帯数が減少に転じる見通し。中古物件はシニア層に加え、若い世代の需要も高まっている。各社は既存の物件でも稼げる体制づくりを急ぐ。」(『日本経済新聞』2014.07.08)
●「文部科学省は、公立学校の老朽化状況を点数化し、一定の数値を下回った場合は改築補助の対象にする『耐力度調査』の基準を16年4月に改定する。改定は15年ぶりとなる。施設の経過年数や危険な非構造部材の数を重視するなど老朽化の実情や地震の影響に即した配点に変更。耐震診断結果も活用できるようにして調査の簡素化も図る。検討を先行させているRC造とS造については本年度内をめどに内容を固める。」(『建設通信新聞』2014.07.09)
●「9日午後5時40分ごろ、長野県南木曽町読書の木曽川に流れ込む梨子沢で土石流が発生、住宅1棟が倒壊し、中にいた子ども3人と母親(36)の家族4人が巻き込まれた。いずれも救出され病院に運ばれたが、このうち長男の中学1年が死亡した。母親と三男(5)は軽傷とみられ、次男(10)にけがはなかった。…現場は町の中心部でJR南木曽駅の北側。土砂は梨子沢の両岸数百メートルに及び、ほかに5棟が半壊した。土砂が流入するなどの被害も十数棟に出ているもよう。被害はさらに広がる可能性がある。JR東海によると、同町のJR中央線南木曽−十二兼間にある橋桁が流された。巻き込まれた車両はない。同区間などで運転を当面見合わせる。県と町によると、町内を通る国道19号も一部通行止めになった。町民や交通機関の不通で帰宅できなかった生徒ら約280人が、町役場など9カ所に避難した。長野県は災害対策本部を設置し、南木曽町に災害救助法を適用した。」(『日本経済新聞』2014.07.10)
●「東京都心部のオフィスの募集賃料が6カ月連続で前月を上回った。オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が10日発表した6月末の平均募集賃料は、3.3平方メートルあたり1万6607円と前月比106円高い。空室率は約5年ぶりの低水準となり、オフィス需要は堅調だ。大型ビルだけでなく中規模ビルにも需要が広がっている。」(『日本経済新聞』2014.07.11)
●「鉄筋コンクリート造などに取って代わられ、姿を消しつつあった木造の学校校舎を再び増やそうと、政府内の取り組みが進んでいる。文部科学省は、木造校舎の建設を検討する学校設置者を支援するため、全国各地の木造校舎を集めた事例集を近くまとめる。国土交通省は木造3階建ての校舎を建てやすくする改正建築基準法が先の国会で成立したのを受け、具体的な技術基準案を今秋までにまとめる予定だ。」(『建設工業新聞』2014.07.11)
●「国土交通省は今年3月、『個人住宅の賃貸流通を促進するための指針(賃貸借ガイドライン)』中で、借主が自己負担でリフォームできる“借主負担DIY型”の賃貸借契約を提示した。(株)リクルート住まいカンパ二−が6月23日に公表した『賃貸住宅におけるDIY意向調査』の結果によると、借主負担型DIY契約の認知度は8.7%とまだ低いものの、全体で46.9%が『利用してみたい』と回答。専門家によるサポートを求める意見も多く、工務店の新たなマーケットとなりうるサービスの創出も期待できそうだ。」(『日本住宅新聞』2014.07.15)
●「南米のアルゼンチン政府は、6月30日に期限を迎えた同国国債の保有者に対する利払いを実行できなかった。米連邦地裁が求めた米ファンドへの優先的な債務返済に応じなかったため、利払い手続きを完了できなかった。国債への利払いは1カ月の支払猶予期間に入る。同国政府は代表団を米国に送り、デフォルト(債務不履行)回避に向けて交渉を本格化する見通しだ。」(『日本経済新聞』2014.07.01)
●政府は1日午後、首相官邸で臨時閣議を開き、歴代政権が憲法上、禁じてきた集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更を決めた。「海外で戦争しない」ことを大原則としてきた憲法の平和原則に対する、戦後かつてない挑戦である。…閣議決定は、@武力行使にいたらない侵害(グレーゾーン)への対処A自衛隊の「戦地」派兵拡大B集団的自衛権の行使容認など「武力行使」要件の拡大―の3本柱で構成されている。憲法9条の下で許される武力行使を日本への武力攻撃(急迫不正の侵害)の場合に限った従来の「自衛権発動の3要件」に代わり、「他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」で武力行使が可能とした「武力行使の3要件」(新3要件)を盛り込んでいる。(『しんぶん赤旗』2014.07.02より抜粋。)
●「警察庁は10日、運転免許の区分を新設し、18歳で運転できるトラックの総重量を5トン未満から7.5トン未満に引き上げることを決めた。高校新卒者が運送業界に就職しやすくするためで、来年の通常国会に道交法改正案を提出する。…今回の改正では普通、中型、大型の区分のうち、普通で運転できる車の総重量を5トン未満から3.5トン未満に引き下げ、中型の5トン以上11トン未満を7.5トン以上11トン未満に変更。3.5トン以上7.5トン未満の区分を新設する。名称は今後、検討する。受験資格は従来通りで、普通が18歳以上、中型が普通取得後2年以上経過した20歳以上。新区分は普通を先に取得するのが条件だが、トラックを使った教習を受けて試験に合格すれば、18歳から運転できるようになる。」(『日本経済新聞』2014.07.10)