情勢の特徴 - 2014年8月後半
●トヨタ自動車の1次・2次下請け企業のうち約7割で、2013年度の売り上げがリーマン・ショック前の07年度の水準を回復していないことが分かった。民間信用調査会社の帝国データバンクが行った「トヨタ自動車グループの下請け企業実態調査」で明らかになった。…13年度の売上高が07年度を下回る「減収」企業の割合は、1次と2次の合計で70.5%(1万4232社)だった。1次では68.1%(2179社)、2次では71.0%(1万2053社)だった。トヨタ自動車の14年4〜6月期連結決算は、営業利益、税引き前利益、純利益のすべてが過去最高を更新しました。帝国データは、「業績拡大が続くトヨタ自動車本体をはじめ、トヨタ直系を中心とする上場クラスの部品メーカーなども軒並み好調を支持している。しかしその一方で、下請け企業の中では大手・中小の業績格差が広がりつつある」としている。(『しんぶん赤旗』2014.08.16より抜粋。)
●政府は2015年度予算で、経済対策に使える予備費を1兆円程度計上する検討を始めた。15年10月に消費税率を10%に引き上げた際に、景気に悪影響が広がらないように機動的に経済対策を実施できるようにする。消費増税は安倍晋三首相が今年12月初めにも最終判断する。安全綱をあらかじめ用意して、増税の判断に向けた環境を整える。(『日本経済新聞』2014.08.21)
●「消費増税後の個人消費を巡って、地方の回復力の弱さが鮮明になっている。21日発表の食品スーパーの7月の販売統計では、首都圏を含む関東が堅調だった一方で、中国・四国や近畿などの不振が目立った。百貨店でも地方の販売回復スピードは鈍い。大都市部と比べて賃金上昇が相対的に弱いことに加えて、ガソリン価格の上昇などが消費者心理を冷え込ませ、消費全体の足かせになっている。」(『日本経済新聞』2014.08.21)
●「政府は消費増税で落ち込んだ住宅市場を立て直すため、贈与税の非課税制度を拡充する方針だ。現在は親などから住宅購入資金をもらった際、最大1000万円まで贈与税がかからない優遇措置がある。国土交通省は2015年度の税制改正で非課税枠を3000万円に引き上げるよう求め、財務省と調整に入る。高齢世代から若者世代へ資金移転を促して、個人消費全体を刺激する狙いもある。住宅市場は消費増税の影響で落ち込みが大きい。4〜6月期の国内総生産(GDP)をみると、住宅投資は実質ベースで前期比10.3%減と大幅に落ち込んだ。政府は来年秋に消費税率を再び引き上げることを検討しており、住宅向けの税優遇を拡大して住宅市場を下支えする。」(『日本経済新聞』2014.08.23)
●「内閣府は23日、『国民生活に関する世論調査』の結果を公表した。今後の生活で何に力を入れるか(複数回答)では『レジャー・余暇生活』が37.5%と最も多く、前年比で0.6ポイント上昇。『所得・収入』(34.3%)『資産・貯蓄』(33.4%)が続き、それぞれ2.0ポイントと3.0ポイント伸びて過去最高になった。将来に備える意識が高まっている状況もうかがえる。…『日常生活に悩みや不安を感じている』との回答は66.7%で、ほぼ横ばい。悩みや不安の内容(複数回答)のトップは『老後の生活設計』の57.9%で、前年を2.6ポイント上回り過去最高だった。2位の『自分の健康』は49.7%で同2.7ポイント下がった。…政府への要望(複数回答)では『医療・年金等の社会保障の整備』が2.7ポイント上昇の68.6%で最多だった。『高齢社会対策』や『少子化対策』と答えた人の割合もそれぞれ上昇した。」(『日本経済新聞』2014.08.24)
●「建設資材や人件費などの上昇がマンションなど建物価格に波及している。野村証券の調査では、マンションなど建築物の建築着工単価は今年6月で1平方メートルあたり18万5600、円。1年前に比べ9%高い。建設コスト上昇がマンションの発売減や工事の入札不調を招くなど実体経済に影を落としている。」(『日本経済新聞』2014.08.26)
●「財務省は25日、13年度補正予算と14年度当初予算の6月末までの執行状況を公表した。3.4兆円の補正予算に対する執行率は69%、当初予算12.2兆円に対する執行率は49%となり、いずれも執行が着実に進んだことが明らかになった。執行目標は、本年度前半に経済効果を発揮するよう設定され、6月末までの目標は補正予算が7割程度、当初予算が4割以上としている。」(『建設工業新聞』2014.08.26)
●「2015年度予算に向けた各省庁の概算要求が出そろった。総額は過去最大の101兆円台に達した。社会保障費や国債の元利払いがかさむためだ。一方、成長戦略や地方創生など特別枠4兆円にほぼ満額の要望が集まった。財政が苦しい中で、成長戦略の実現に必要なお金をどれだけつくり出せるかが焦点になる。…過去最大の要求だが、自由度の高い予算は意外に少ない。国債の元利払い費は25.8兆円と14年度予算より11%増えた。医療・年金など社会保障費が大半を占める厚生労働省の要求額は31.7兆円と3%増えた。人件費は横ばいながら、12.4兆円にのぼる。16.1兆円の地方交付税交付金も地方に回す経費だ。政府が新たな政策などに使える裁量的経費は17兆円と、要求総額の2割にも満たない。6月にまとめた成長戦略の実現などのために財務省は4兆円の特別枠を作り、予算を優先的に配分する考えを示している。」(『日本経済新聞』2014.08.29)
●「国土交通省は28日、15年度予算の概算要求を発表した。一般会計の総額(国費)は前年度比15.7%増の6兆6870億円。うち公共事業関係費は16.2%増の6兆0121億円となった。インフラの維持管理や災害対応などを担う建設業が中長期的な建設投資の規模を見通せるよう公共事業予算を安定的・持続的に確保する観点から、通常の要求と『新しい日本のための優先課題推進枠』を最大限活用した要求を行うことにした。公共事業関係費のうち新しい日本のための優先課題推進枠では1兆3440億円を要求する。一般会計とは別枠の東日本大震災復興特別会計には48.3%増の8834億円(復旧・復興8410億円、全国防災423億円)を計上した。…地方創生が政府の重要課題となる中、7月にまとめた長期構想の『国土のグランドデザイン2050』に示した『コンパクト+ネットワーク』などの考え方に基づく戦略的な取り組みを展開するため、コンパクトシティーの推進に153億円を計上。社会資本整備総合交付金には1兆0644億円(前年度比16.7%増)を要求し、地方創生をインフラ整備の側面から支援できるようにする。防災・減災や老朽化対策では、水害、土砂災害、高潮災害、渇水など気候変動に伴う各種災害への対策として、『多重防御』の考え方による適応策などに取り組む。南海トラフ地震や首都直下地震対策などには2441億円を要求。粘り強い構造の防波堤・海岸堤防の導入など耐震・耐津波性能を強化するほか、災害時に危険な密集市街地の総合的な環境整備にも重点的に取り組む。インフラの老朽化対策では、戦略的な維持管理・更新の推進に4400億円を計上。防災・安全交付金に1兆2647億円(前年度比16.7%増)を確保し、防災・減災対策、インフラの点検・診断、修繕・更新、交通安全対策など地域の総合的な取り組みを集中的に支援する。」(『建設工業新聞』2014.08.29)
●「政府は、公共施設の老朽化に伴う建て替えや施設集約を今後、国だけでなく全国各地の地方自治体が進めることを踏まえ、自治体のインフラ長寿命化計画(公共施設等総合管理計画)策定の際に、PFI/PPPの導入検討を求める。内閣府の『PFI事業実施プロセスに関するガイドライン(実務指針)』に盛り込まれる。地方建設業界にとって今後自治体が策定する長期の公共施設総合管理計画は、地域建設市場動向を把握できる判断材料の1つ。今回の国が打ち出した方針によってこれまで関心が薄かった地方建設業界にPFI/PPP事業が拡大する可能性が高まった。」(『建設通信新聞』2014.08.20)
●「北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証の3社がまとめた公共工事の前払保証統計によると、7月の請負金額は、前年同月比3.5%増の1兆6272億8100万円で、2013年4月から16ヵ月連続で前年同月を上回った。独立行政法人などや都道府県、市区町村、地方公社は前年同月を上回ったものの、国からの受注が2割近くも減少した。国は、前年度、前々年度の増加幅が大きかったことによる反動とみられる。」(『建設通信新聞』2014.08.22)
●「秋田県大仙市は、冬季の安定的な除雪体制を確保するため、新たな発注方式を導入する。初弾として、本年度から対象個所の大工区化を図り、地域建設業による共同企業体への委託を始める。その成果を踏まえた上で、16年度をめどに契約期間の複数年化へと切り替える予定だ。さらに、冬季の除雪と夏季の道路維持管理を一体化し包括委託する方向で検討する。」(『建設工業新聞』2014.08.22)
●「国土交通省は、国土形成計画と社会資本整備重点計画を見直す検討に入る。『国土のグランドデザイン2050』や『インフラ長寿命化計画(行動計画)』、さらに組織・施策を総動員する『まち・ひと・しごとの創生』などを踏まえ、新たな課題に対応できるよう、現在の計画内容を再検討する。年内に策定予定の交通政策基本計画などと併せ、2020年東京五輪とその後も見据えた政策を計画的に推進できるようにする狙いだ。」(『建設工業新聞』2014.08.29)
●「厚生労働省は、人材不足重点4分野の1つである建設分野での人材確保につながる支援策を強化する。具体的には地方建設業界で人気が高い建設労働者確保育成助成金の事業メニューを拡充するとともに、既存メニューを充実させる予定だ。政府の方針である『女性の活躍推進』の視点から、建設業に女性が入職し定着することを目的とした事業を実施する中小建設企業、中小建設企業団体を支援することを検討している。また、建設を含む人材不足分野の中小企業を対象とした雇用管理改善モデル事業を始める。これら支援策の実施に必要な経費は、2015年度予算の概算要求に盛り込む。」(『建設通信新聞』2014.08.18)
●「技能労働者を中心に人材不足が深刻化している建設業が、高卒者の採用を大幅に増やしている。昨年度卒業し、建設業に就職した高卒者は過去10年間で最も多い1.7万人に上った。来春卒業の高校生に対する求人は6月末の段階で既に約2万人に達し、前年同期比で64.1%の増加となっている。高卒者の採用拡大は、建設企業が将来の担い手育成に本腰を入れ始めた表れともいえるが、『中小建設業が経験者を思うように採用できず、高卒者を求めるようになった』(厚労省若年者雇用対策室)との見方もある。」(『建設工業新聞』2014.08.18)
●「国土交通、防衛両省が共同で、建設業界に退職自衛官の雇用促進を呼び掛けている。災害派遣など部隊での実務経験を持ち、建設系重機や大型車両の運転免許や資格を保有する人材も多く、建設現場の即戦力として期待できるためだ。建設会社に再就職する人は、退職自衛官全体の1割にも満たないのが現状。被災地の復旧・復興や建設投資の増加で技能労働者不足が大きな課題になる中、両省は建設業界が退職自衛官を積極的に受け入れるよう期待している。」(『建設工業新聞』2014.08.19)
●「政府は裁判で認められた不当な解雇を金銭補償で解決する制度の検討に入る。解雇された労働者が職場に戻る代わりに年収の1〜2年分の補償金を受け取れる枠組みを軸に検討を進める。労働者が泣き寝入りを迫られる現状を改めつつ、主要国と金銭解決のルールで足並みをそろえる狙いだ。2016年春の導入をめざすが、中小企業や労働組合の反発は強い。…厚労省に寄せられる解雇トラブルの相談は年5万件。うち裁判にまで進むのは1000件程度で、裁判で判決を受けるのは300件程度だ。今の制度では裁判官が解雇を無効だと認めても、判決では職場復帰しか命じることができない。労働者がもらえたはずの賃金を受け取るには、判決後にあらためて和解や賠償請求の手続きがいる。新制度では、労働者側の希望に応じて裁判官が判決時に不当解雇の補償金を払うよう企業に命じられるようにする。年収の1〜2年分を補償金としている海外の相場を軸に制度の枠組み作りが進む見通しだ。」(『日本経済新聞』2014.08.24)
●「厚生労働省が27日にまとめた2014年1−7月の労働災害発生状況(速報、8月7日時点)によると、休業4日以上の建設業の死傷者数は、8456人と、前年同期と比べ3.5%増(285人増)となった。うち死亡者数は197人で、22.4%増(36人増)だった。13年は1年間で死亡者数が過去最少だったため、ことしに入って死亡災害が急増していることが分かる。12年の同期と比べても2.1%増となっている。」(『建設通信新聞』2014.08.28)
●総務省が29日発表した労働力調査(季節調整値)によると、7月の全国の完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の3.8%となった。悪化は2カ月連続。一方、厚生労働省が発表した7月の全国の有効求人倍率(同)は前月と同じ1.10倍だった。人手不足などを背景に新たに仕事を探す人が女性を中心に増加したことなどが失業率悪化の要因の一つ。完全失業者数は前月比4万人増の248万人、就業者数は6万人減の6353万人だった。(『しんぶん赤旗』2014.08.30より抜粋。)
●「主要ゼネコン26社の14年4〜6月期決算を見ると、各社の採算重視の取り組みが成果として現れてきた。厳しい受注環境の中で獲得した低採算工事がほぼ完工するとともに、労務費や資機材価格の上昇などを見据えた採算重視の受注活動や原価管理の徹底を推進。その結果、採算性が改善し本業のもうけを示す営業損益は、26社中22社が黒字を確保。黒字転化した9社を含む20社が増益を達成した。4〜6月期決算によると、受注高は26社のうち24社が前年実績を上回った。事業環境に明るい兆しが出始める中、売上高は26社中16社が増収となり、営業損益も20社が増益を確保。土木、建築とも利益率の改善が進み、7社が3桁増と大幅に伸ばした。各社はここ数年、不採算工事の徹底排除、原価管理の強化、徹底したコストダウンに一層力を注いでおり、労務費や資機材価格の上昇が続く中でも収益性を確保した。」(『建設工業新聞』2014.08.18)
●「帝国データバンク新潟支店は、県内企業の後継者問題に関する実態調査結果をまとめた。県内企業の約6割に当たる58.8%が後継者不在で、建設業に限れば不在率は67.0%と全産業中最も高い結果となった。」(『建設工業新聞』2014.08.19)
●「建設コンサルタントなど建設関連業の受注が好調に推移している。国土交通省の統計によると、2014年度第1四半期(4−6月期)の契約金額は、建設コンサルと測量業が4年連続増加、地質調査業は4年ぶりにマイナスに転じた。地質の減少について全国地質調査業協会連合会は、『4、5月は発注が遅れていたが、6月後半から出始めた』と話している。想定よりも受注が堅調なことから、決算の上方修正が相次いでいる。国交省の各業種大手50社を対象とした受注動態調査結果の第1四半期は、建設コンサルが1586億9900万円で前年同期比3.2%増、測量が316億1400万円で2.2%増、地質が217億6900万円で17.0%減だった。…3業種に共通しているのは、過去5年間では10年度が受注の底となっている点だ。民主党政権時代に公共事業の削減が続いたためで、11年3月の東日本大震災以降、復旧・復興や全国防災の需要増によって、受注が回復傾向に転じている。」(『建設通信新聞』2014.08.20)
●「東京商工リサーチがまとめた7月の建設業倒産は前年同月比16.2%減の196件だった。7月としては過去20年で最少の件数だが、今年に入って最多。全国9地区のうち東北、関東、北陸、四国の4地区で前年同月を上回るなど増勢の兆しもうかがえるという。負債総額は226億800万円(前年同月比15.2%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。平均負債額は1億1500万円(1.7%増)。負債10億円以上の大型倒産は3件だった。業種別では、総合工事業109件(1.8%増)、職別工事業53件(29.3%減)、設備工事業34件(34.6%減)。原因別では、受注不振(販売不振)が116件(25.6%減)と全体の6割を占め、既往のしわ寄せ(赤字累積)が44件(12.0%減)、運転資金欠乏が9件(12.5%増)などと続いた。」(『建設工業新聞』2014.08.20)
●「ゼネコン各社の本年度の海外工事受注が順調な滑り出しを見せている。海外建設協会(海建協、白石達会長)が先に発表した14年度第1四半期(4〜6月)の会員企業の海外工事受注額は、前年度同期を1割以上上回った。13年度は受注総額が前年度比35.5%増の1兆6029億円に達して過去3番目を記録しており、この好調を持続できるかどうかが今後の焦点となる。海建協の集計によると、会員48社が14年度第1四半期に受注した海外工事は計514件、総額3619億円。件数はほぼ横ばいだが、金額は前年同期比13.6%増となった。アジア地域の工場建設などを中心に受注が積み上がり、北米での受注好調も加わったという。…受注額のうち、会員企業本体(本邦法人)による受注が1148億円(前年同期比29.6%増)、現地法人による受注が2471億円(7.5%増)。受注件数は、本邦法人が128件(前年度124件)、現地法人が386件(388件)だった。」(『建設工業新聞』2014.08.27)
●「日本スポーツ振興センター(JSC)は、日本建築家協会、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、東京建築士会、東京都建築士事務所協会が共同でまとめた新国立競技場整備に関する質問書への回答を明らかにした。建築関係団体が7月7日に開かれた説明会を踏まえ、需要予測や維持管理費、改修を断念した理由など5項目について説明・資料を求めていた。複数の建築家が提案していた国立競技場の改修案について、JSCは現行法規制への適合、競技場機能の確保、スケジュールの確保の点から実現困難であると説明した。回答では、現在の国立競技場が建築基準法等の構造基準に適合するには大規模な耐震改修工事が必要であるほか、絵画館敷地などへの日影規制で既存不適格となっている東側スタンド増築部分を取り壊して必要な座席数を確保しなければならないため『改修計画の難易度は極めて高く、改修の最大のメリットである費用の大幅な軽減もなされない』と判断。また8万人席、観客席への屋根設置、良好な観戦環境、ホスピタリティ機能の確保といった国際基準に対応する必要があるため、2019年ラグビーワールドカップに間に合うように改修計画・工事を進めることは事実上難しいと指摘した。」(『建設通信新聞』2014.08.18)
●「大和ハウス工業は自社が開発した戸建て団地の再生に取り組む。集会施設の設置や飲食・小売店の誘致で若い家族層を呼び込み、住宅の改築・改装の受注につなげる。来年以降、10年間に50カ所を手がける。同社は1960年代に『ネオポリス』ブランドで民間企業として初めて大規模な団地開発を始めた。これまでに65カ所で6万1千区画を整備してきたが、住居などの老朽化が目立っている。まず65年に開発した兵庫県川西市の団地で取り組む。合計1万3000戸の住宅があり、1ブロック当たり50戸程度で構成されている。来年2月にも3〜4ブロックごとに空き家の改装や建て替えで子供が遊んだり、高齢者が集まって体験教室ができたりする集会施設にする。建物の1階には生鮮品や生活用品などを扱う小売店舗も呼び込む。団地の居住者で店舗を開きたい人がいれば割安の賃料で空き家を貸し出す考え。…同社は改装・改築事業の年間売上高を2017年3月期をメドに1000億円と、14年3月期から4割増やす計画。そのうち団地再生で20億円を売り上げたい考えだ。」(『日本経済新聞』2014.08.19)
●「民間建築市場をけん引する『不動産業』の資金需要が拡大している。金融機関の6月末不動産業向け貸出残高は、2011年6月末から3期連続増加したほか、設備投資目的の新規貸出額も前年同期に続き1兆8000億円台を確保した。不動産業の設備投資を目的とした金融機関からの借入額だけを見ると、リーマン・ショック以前、いざなぎ景気で民間建設市場が拡大した07年水準まで戻りつつある。」(『建設通信新聞』2014.08.19)
●「広島市で20日未明、局地的に猛烈な雨が障り、安佐南区と安佐北区で土砂崩れが相次いで発生した。多数の住宅がのみ込まれて住民が生き埋めになり、警察庁によると、18人が死亡、13人が行方不明になっている。被害は広範囲に及び、救出・捜索活動が続いている。…広島地方気象台によると、安佐北区付近では午前3時半までの1時間雨量が約120ミリに達し、『記録的短時間大雨情報』を出した。同4時半までの3時間では204.0ミリと同地点の観測史上最多になり、8月の平年月間雨量を上回った。市は午前4時すぎ、安佐南区と安佐北区の一部に避難勧告を出した。」(『日本経済新聞』2014.08.20)
●「東日本旅客鉄道(JR東日本)は19日、東京や新宿など東京都心と羽田空港を結ぶ新線構想を発表した。都心の主要駅からの所要時間を約半分に短縮、2020年の東京五輪開催までに一部ルートの先行開業を目指す。五輪までのインフラ整備では東京急行電鉄と京浜急行電鉄の蒲田駅を結ぶ計画も浮上。品川駅の大規模再開発も進む。訪日外国人2千万人という政府目標達成に向けて羽田を核にしたインフラ整備が加速してきた。」(『日本経済新聞』2014.08.20)
●環境省が今月初めに発表した「個人の被ばく線量重視」「効果的除染」を掲げた「除染・復興の加速化に向けた中間報告」―。報告は多くの市町村が目指している空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルトは除染目標ではないと強調している。…2011年11月に決定された放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針では、「長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となること」(空間線量に換算すると毎時0.23マイクロシーベルト)とされ、これまでこれが除染の目標とされてきました。環境省の今回の税明は、年間1ミリシーベルトは放射線防護の目標値で、除染だけでなくモニタリングや食品の安全管理など総合的に達成するものなので、除染そのものの目標ではないという。…福島市除染企画課長は、「原発事故が起こり放射能への知見も少ない中で、ともかく除染をしなくてはいけないので政府が提示した0.23を目標にした。しかも除染計画は環境省も認めた放射性物質汚染対処特措法に基づく法定計画だ。今になって除染の目標じゃなかったといわれても住民の理解は得られない」と話す。(『しんぶん赤旗』2014.08.21より抜粋。)
●「内閣府防災担当は21日、『被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会』(座長・室崎益輝神戸大名誉教授)の中間とりまとめを公表した。迅速で的確な住家被害の認定が必要になるとの認識で、国の技術的支援や民間団体などとの連携・活用に向け、『災害に係る住家被害認定業務実施体制の手引き』の改訂や研修の充実に向けた積極的な支援の推進などを求めた。検討会では、災害時の応急仮設住宅の位置付けや恒久住宅への移行のあり方などを議論した。制度上は災害時の被災者への応急的な対応という考え方だった応急仮設住宅が、東日本大震災では『日常生活の確保』を目的としたものに変化。このため、応急仮設住宅から恒久住宅に移行するための支援策が不十分という課題が持ち上がっている。これを踏まえ、中間まとめでは、応急仮設住宅などのあり方を見直し、恒久住宅への円滑な移行に向けた総合的な支援の必要性を指摘。今後、さらに検討を進めることとした。…被災者の自立につながる適切な情報提供・相談体制や働く場の確保の体系的な仕組みが不足していることも指摘。市町村などの情報提供体制の整備を迅速に進めるよう促すとともに、就労・事業再建支援などの総合的な対策の検討を求めた。」(『建設通信新聞』2014.08.22)
●「政府が福島県に建設受け入れを求めている除染廃棄物の中間貯蔵施設について同県は22日、設置への同意に向け最終段階の調整に入った。住民の理解を得るため、国が予定している土地の買い取り価格に県が上乗せし、住民が放射性物質で汚染される前の価格で売れるようにする方向で検討している。県は大熊町と双葉町の関係者にもこの案を伝えた。」(『日本経済新聞』2014.08.23)
●「22日午前8時現在で死者39人、行方不明者が50人を超すなど、20日に広島市で発生した土砂災害がより深刻さの度合いを増している。刻々と変化する被害状況とともに、『土砂災害』を未然に防ぐ“仕組み”にも注目が集まってきた。自然災害に脆弱な国土を持つ日本にとって、広島での被害は全国に起こり得る共通課題。事前防災の観点から、土砂災害への今後のあり方が問われることになる。…豪雨による土砂災害が起きた広島市の多くの地区が土砂災害防止法に基づく、『警戒区域』に指定されていなかったことで、同法の改正を含めた対応も大きな焦点になっている。同法では、土砂災害の危険性の高い地区を『土砂災害特別警戒区域』と『土砂災害警戒区域』に指定しているが、危険性に関する基礎調査や住民合意など、指定作業の一連のプロセスを担う都道府県によって、指定の状況にはばらつきがある。実際、全国に52万5307カ所ある土砂災害の可能性がある『危険個所』のうち、広島県は全国で最も多い3万1987カ所。警戒区域への指定割合は7月末時点で37%にとどまる。…背景には、区域指定が与える負の影響がある。私有財産である土地を警戒区域に指定することは、地価の下落などを招く要因になるからだ。指定作業を担う都道府県は、住民の意向を無視することができないため、理解を得ながら丁寧にやろうとすればするほど時間がかかってしまう。付け加えれば、そもそも危険個所とされる土地を住宅などの開発を認める『市街化区域』としている都市計画のあり方や、まちづくりへの影響も否定できない。」(『建設通信新聞』2014.08.25)
●「政府の有識者検討会は26日、日本海を震源とする大規模地震の調査報告書を公表した。北海道から九州北部の沖合などにある60断層を分析し、起こりうる地震の最大規模はマグニチュード(M)7.9と推計。16道府県の沿岸を襲う恐れのある津波の高さは最大23.4メートル(北海道せたな町)、人家のある平地でも最大12.4メートル(同奥尻町)に達するとした。政府は首都直下地震や南海トラフ地震の津波規模や被害想定をまとめているが、日本海側の大地震の想定を出すのは初めて。各道府県が策定する浸水想定や警戒区域指定の基準となる。」(『日本経済新聞』2014.08.27)
●「大和ハウス工業や積水ハウスなど住宅大手10社で構成する優良ストック住宅推進協議会は、優良な中古住宅の流通を拡大するために専門の査定士を大幅に増やす。査定する資格取得者は現在、大手10社で2400人程度。今後3年以内に各社が社内研修などを強化し、10倍の2万4000人にする。住宅大手にとって新築住宅の受注回復が見込みにくいなか、中古住宅の取引を新たな収益の柱にする。」(『日本経済新聞』2014.08.27)
●「信号機がなく、重大事故が起こりにくいとされる環状交差点『ラウンドアバウト』について、通行ルールを定めた改正道交法が施行される9月1日、8都府県の34カ所に誕生することが27日、警察庁などへの取材で分かった。年度内にさらに15カ所追加される見込み。…環状交差点では車は右回りに進行する。対向車両と正面衝突しない構造のため、重大事故が起きにくい。また信号機がないため、災害時に停電しても交通制御できる利点があるという。」(『日本経済新聞』2014.08.28)
●「JR東海は、東京・品川〜名古屋間を最噂40分で結ぶリニア中央新幹線の工事概要をまとめた。路線延長285.6キロのうち、橋梁78カ所(総延長1万1626メートル)、トンネ43カ所(同25万6550メートル)を整備するほか、沿線の地下トンネル部分に非常口16カ所を設ける。工事実施計画の認可を今秋中に国土交通省から得た上で、地元などで説明会を行いながら発注手続きに入る考え。27年の開業実現に向け、品川や名古屋のターミナル駅など、工期10年以上の工事案件から先行的に発注手続きを進めることになりそうだ。26日に国交省に提出した品川〜名古屋間の工事実施計画によると、総工費(用地費・車両費含む)は従来の見込みより935億円増加し、5兆5235億円と算出。今回の計画はトンネルや橋梁、停車場などの土木構造物を中心に作成した。電灯・電力線路や車両などの関連設備について、JR東海は工事内容が確定した段階で実施計画をまとめ、国交省に追加の認可申請を行う。工事費4兆0158億円の内訳は▽用地費3420.4億円▽路盤費1100.9億円▽橋梁費2922億円▽トンネル費1兆6219.6億円▽軌道費7243.6億円▽停車場費5206億円▽防護設備費37.8億円▽発電所・変電所費1855.9億円▽工事用建物費9.7億円▽工事用機械費136.3億円▽工事付帯費2006億円。1キロ当たりの工事費は140.6億円。労務費の一定程度の上昇リスクについては織り込み済み。」(『建設工業新聞』2014.08.28)