情勢の特徴 - 2014年9月後半
●厚生労働省は、消費税が8%に増税されて初めての概算要求で、増税の口実である社会保障費の充実どころか切り捨てに走っている。年金・医療費の自然増分8200億円は要求したものの、「合理化・効率化に最大限取り組」むとする安倍政権の概算要求基準を受け、年金では実質大削減を行っている。…物価が上昇しているにもかかわらず、黄金スライド分(0.8%)のみ反映し、『特例水準の解消』と称する0.5%削減に加えて、『マクロ経済スライド』の初めての発動で年金改定率を0%とする。物価上昇にもかかわらず年金が上がらず、実質大削減である。さらに厚労省は、保険料納付期間の延長や給付年齢の引き上げも検討している。(『しんぶん赤旗』2014.09.17より抜粋。)
●「第2次安倍改造内閣が最優先施策に掲げた『地方創生』。改造内閣発足から2週間がたち、司令塔となる政府の『まち・ひと・しごと創生本部』(本部長・安倍晋三首相)が発足するなど政府内の動きも本格化。その輪郭が少しずつ見え始めてきた。建設業に影響をもたらす施策も数多く検討される見通しだ。創生本部が12日の初会合で決めた基本方針には、地域間の役割分担とネットワーク形成によって活力のある経済圏をつくることが盛り込まれた。この下地になるとみられるのが、国土交通省が『国土のグランドデザイン2050』で打ち出した『拠点機能のコンパクト化』と『圏域人口確保に向けたネットワーク化』だ。創生本部の始動を受けて国交省は17日、省内に対策本部を立ち上げた。…一方、石破茂地方創生担当相は16日の閣議後の記者会見で、東京に集中している国の機関の地方移転に言及した。…『東京一極集中の歯止め』は創生本部の基本方針に盛り込まれた3木柱の一つ。国の機関が東京から移れば、地方に働く場所が生み出される。雇用の確保で、これから結婚、子育てを行う若年層の定着を図り、人口減少に歯止めを掛ける狙いがあるとみられる。政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)も地方創生に向けた規制改革の検討に乗りだした。16日の会合で、『地域活性化』の検討部会の設置を決定。これまでに企業や団体などから寄せられた規制改革提案の中から、地域活性化につながる建設・観光関連分野の提案について検討に着手することも確認した。建設関連の提案を見ると、国家戦略特区だけで認められる特例措置の全国適用、都市再開発やPFIの要件緩和や対象拡大、大型商業施設の立地規制緩和、建設現場への技術者の専任配置基準の見直しなどと幅広い。」(『建設工業新聞』2014.09.18)
●「日銀の保有国債が増え続けている。18日発表の2014年4〜6月期の資金循環統計(速報値)によると、6月末時点の日銀の国債保有残高(短期国債を含む)は前年比43.8%増の215兆円で、国債残高に占める割合は21.2%に上った。量的・質的金融緩和で国債を大量に買っていることが理由で、市場にゆがみも生じている。ゆがみが目立つのが短期国債だ。9月に入ってマイナス金利が続き、18日は新発3カ月物がマイナス0.005%、新発1年物がマイナス0.01%で取引された。」(『日本経済新聞』2014.09.19)
●「消費増税後の個人消費を巡り、復調する都市と低迷する地方の格差が鮮明になってきた。22日発表の食品スーパーの8月の販売統計では、首都圏を含む関東が4%超伸びた一方、中四国や近畿は減少が続いた。大都市部では高額品も売れ始めた。ボーナス増などが消費増につながる都市部と、ガソリン高が家計を圧迫する地方の違いが、消費の二極化を引き起こしている。」(『日本経済新聞』2014.09.23)
●「北海道や北陸で建設している整備新幹線の開業前倒しを検討する政府・与党の作業部会が24日、首相官邸で初会合を開いた。与党側から早期整備を求める声が相次いだが財源確保の見通しは立っていない。国土交通省は国が全株式を持つ九州旅客鉄道(JR九州)の上場による株式売却益を最大5000億円と見込むが、どれだけ整備財源に充てるかなど課題は多い。」(『日本経済新聞』2014.09.25)
●内閣府が8日発表した4〜6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、日本経済の変調を物語るものであった。物価変動の影響を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算で7.1%減。速報値(前期比1.7%減、年率6.8%減)から大きく下方修正された。東日本大震災の影響で6.9%減となった2011年1〜3月期を超え、リーマン・ショック後の09年1〜3月期(年率15.0%減)以来のマイナス幅だった。…大企業は過去最高の利益をあげている。しかしその利益が経済をけん引する設備投資の拡大に向かっていないことが示された。背景に内需の冷え込みがある。実質雇用者報酬は、前年同期比で1.9%減少した。(『しんぶん赤旗』2014.09.26より抜粋。)
●「公共工事の設計から施工までの公共調達を対象に、将来にわたる担い手確保・育成と適正利潤確保を新たに発注者に求める改正公共工事品質確保促進法(品確法)など担い手3法の来年度からの全面施行へ向け、地方自治体の動向が最大の関心事になっている。設計業務では価格競争が99%に上っているほか、工事でも違法である『歩切り』が依然横行していることが理由だ。地方自治体の対応を支援する国土交通省だけでなく、学術協会や政治も地方自治体の公共調達への姿勢変化を促すため対応を始めた。」(『建設通信新聞』2014.09.16)
●「相模原市は公契約条例を見直し、2015年度から対象となる契約の範囲を拡大する。工事請負は予定価格3億円以上を『1億円以上』にするほか、業務委託についても予定価格1000万円以上から『500万円以上』とするとともに『データ入力』『窓口受付』の2業務を追加する。16日に開始するパブリックコメントを経て、12月定例会議に条例案を提出。15年4月の条例施行を予定している。」(『建設通信新聞』2014.09.16)
●「国士交通省は、4〜6月に実施した直轄工事の入札で、不調の発生割合が9.3%と前年同期よりも0.7ポイント低下したことを明らかにした。13年度全体の不調発生率17.4%(12年度11.2%)を大きく下回っており、1月に打ち出した『公共事業の円滑な施工確保対策』の効果が出ているとみている。」(『建設工業新聞』2014.09.16)
●「日本学術会議土木工学・建築学委員会のデザイン等の創造性を喚起する社会システム検討分会(仙田満委員長)は16日、同会議場でフォーラムを開催、全国自治体アンケー卜の公表、公共施設の設計入札など公共調達の現状と改善方向について仙田委員長、福井秀夫副委員長(政策研究大学院大教授)、木下誠也日本大教授らが問題提起し、提言をまとめた。提言は、@知的生産者の選定は価格のみの競争を原則としないよう会計法・自治法を改正A公共工事・サービスにおける知的生産者の選定はアイデア・技術・デザインを優先したコンペ・プロポーザルにすべきBすぐれた提案を出したものから対価を順に交渉によって決定すべきCコンペ・プロポーザル等の選定委員会は外部専門家を入れ透明性のあるものにすべきD技術者が少ない自治体は積極的に外部委託をすべき――の5点に集約し、今後、関係者に働き掛けていく。」(『建設通信新聞』2014.09.17)
●埼玉県草加市議会は17日、田中和明市長が提出した「公契約基本条例案」を、無所属を除く全会派の賛成で可決した。県内初の公契約条例成立だ。…対象になる事業は、予定価格が1億5000万円以上の公共工事と同1000万円以上の業務委託・指定管理者協定で、賃金の最低ラインの基準額は、公共工事は国が定める設計労務単価を、業務委託などは最低賃金を勘案して決める予定。10月に事業者・労働者・有識者でつくる審議会を立ち上げ、来年4月から条例を施行する。(『しんぶん赤旗』2014.09.18より抜粋。)
●「国土交通省は18日、国土形成計画の全国計画を改定する作業に着手した。7月に策定した『国土のグランドデザイン2050』を具体化するため、中長期的に取り組む施策とその目標を盛り込む。政府全体の重点課題である地方創生や国土強靭化に関する施策も反映させる。建設産業の担い手確保に向けて中長期的な公共投資規模を見通しやすくするため、現行計画では設定されていない定量的な施策目標の導入も検討する。来夏に改定計画の閣議決定を目指す。」(『建設工業新聞』2014.09.19)
●「国土交通省は、公共機関が施設を所有したまま運営権を民間に売却するコンセッション(公共施設等運営権)の導入を拡大する。運営権を取得する民間事業者に対する税の軽減措置や、空港施設の運営権売却の促進、コンセッション契約に関する指針の整備などで導入を後押しする。15年度予算の概算要求や税制改正要望に盛り込んだ。」(『建設工業新聞』2014.09.25)
●「広島市北部で起きた大規模土砂災害を教訓に政府が29日召集の臨時国会に提出する土砂災害防止法改正案の概要が25日、明らかになった。自治体が住民の避難をより迅速に誘導できるようにするのが目的。都道府県に土砂災害リスクの高い箇所の公表を義務付けるほか、国による自治体への対策支援や関与を強める。改正案は10月中旬に閣議決定し、国会に提出する。改正案の柱は、▽土砂災害の危険性のある区域の明示▽円滑な避難勧告などの発令に資する情報の提供▽避難体制の充実・強化―の3点。」(『建設工業新聞』2014.09.26)
●「国土交通省は、日本で建設分野の技能実習を修了した外国人を活用する緊急措置『外国人建設就労者受け入れ事業』のガイドライン案をまとめた。8月の告示で示した制度の内容をより詳細に規定。外国人が受け取る報酬予定額について、3年の技能実習期間を考慮し、3年程度の経験を持つ日本人の報酬と比較して適切な金額に設定するよう求めた。外国人が転職を希望した際、相談や転職先の紹介など特定監理団体が取るべき対応も明記した。…報酬予定額について、告示の段階では同等の技能を持つ日本人の『同等額以上』としていたが、ガイドライン案では3年間の経験を持つ『経験者』として処遇し、同じ経験を積んだ日本人と比較して『適切な報酬予定額』であることを求めた。根拠となる書類の提出を受け入れ企業に求める。比較できる日本人労働者がいない場合は、就業規則の給与規定に基づき、3年程度の経験を持つ人の報酬額を提示する。」(『建設工業新聞』2014.09.16)
●「厚生労働省は16日、今年1〜8月の労働災害発生状況(速報値)を発表した。建設業の死傷災害(死亡・休業4日以上)の被災者数は前年同期比1.7%増の9803人。うち死亡者は18.9%(37人)増えて233人となった。…1〜8月の死亡者を事故の類型別にみると、『墜落・転落』が最も多く104人と既に100人を超えた。次いで建設機械への『挟まれ・巻き込まれ』が30人だった。道路での交通事故(22人)も多い。」(『建設工業新聞』2014.09.17)
●「三菱重工業下関造船所(山口県下関市)で働き、粉じんを吸い込んで、じん肺を患ったとして、下請けや孫請けの元従業員4人(うち2人は死亡)と遺族らが三菱重工に計約1億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は24日、原告敗訴の一審判決を変更し、計約8000万円の賠償を命じた。」(『日本経済新聞』2014.09.24)
●「15年春卒業の工業高校生に対する建設業の求人活動が活発化している。公共事業費の増加や景気回復を受けた民間需要の拡大を受け、採用ニーズが膨らんでいる。施工管理や技能職種など現場の将来を担う人材を確保したいという企業は多く、生徒1人に対し複数の求人が来ている状況だ。各社の採用活動には、近年は見られなかった切迫感が漂う。…求人が急増している直接のきっかけは、震災復興事業や公共事業の増加、景気回復による民需の拡大、さらに2020年東京五輪に向けた建設需要の高まりだ。だが、中長期的な視点でも、若い人材を取り込むことが企業の持続的な成長につながるとみて、採用活動を積極的に推進する動きも出ている。…各校に求人を寄せる企業は、地元の中小ゼネコンや専門工事会社が中心だが、広域化が目立つのも最近の特徴だ。」(『建設工業新聞』2014.09.24)
●「民間企業に勤める人の2013年の1年間の平均給与は、前年比1.4%増の413万6000円で3年ぶりに増えたことが26日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。給与所得者数や所得税額も2年ぶりに増加した。雇用形態別にみると、正規労働者が1.2%増の473万円、パートや派遣社員など非正規労働者は0.l%減の167万8000円だった。業種別では『不動産・物品賃貸業』の増加率が高く8.7%増(406万4000円)。『建設業』が4.6%増(450万6000円)だった。『電気・ガス・熱供給・水道業』は3.1%減の695万5000円、『宿泊・飲食サービス業』は0.8%減の233万円だった。」(『日本経済新聞』2014.09.27)
●2013年に民間企業で働いた労働者のうち年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が1100万人を超えたことが国税庁の民間給与実態統計調査(26日発表)でわかった。…このうち年収100万円以下の労働者は421万5000人。年収200万円以下の層が1000万人を超えるのは8年連続。15年前の1998年と比べると1.4倍の増加。全体に占める比率は24.1%。98年の17.5%から大幅に高まっている。(『しんぶん赤旗』2014.09.30より抜粋。)
●「全国建設業協会(全建)傘下の都道府県建設業協会による国や地方自治体などとの災害協定の締結が進んでいる。全建のまとめによると、14年4月時点で、地域の連合会などを含む50の協会が、合計218件の協定を締結していた。東日本大震災後に協定内容を見直したり、締結先を変えたりした協会もある。道路啓開などの緊急対応に加え、木造の応急仮設住宅の建設に関する協定を結んだ協会もあり、協定の内容も広がりを見せている。」(『建設工業新聞』2014.09.17)
●「国土交通省の建設総合統計データを使い、公共工事を受注したにもかかわらず、人手不足によって工事が進んでいないという報道が一部でなされたことに対し、建設業団体などから疑問の声が上がっている。あらかじめ決められた進捗率を掛けて、月々の出来高を推計する建設総合統計は、実態の工事進捗を表すものではない。そのデータを背景に、あたかも建設企業が受注した工事をうまく進められていないとの印象を与える報道には、国交省や業界内で強い反発が広がりつつある。」(『建設通信新聞』2014.09.19)
●「全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)と国土交通省などによる14年度の地域懇談会・ブロック会議の概要が18日固まった。全建、国交省がそれぞれ議題を決定。どちらも『担い手確保・育成』を議題の一つに設定した。全建は、適正利潤の確保と、生産性向上のための建設生産システム、国交省は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針の策定・活用と適正施工の確保もそれぞれ議題に挙げた。」(『建設工業新聞』2014.09.19)
●「日本建設業連合会の中村満義会長は19日、理事会後の会見で、人手不足によって施工の進捗を不安視する声があることに触れ『受注済み(手持ち)工事が遅れる心配はない。今後も適正価格で発注される工事であれば、施工余力に不安はない』と断言した。また、公共事業の増加が民間工事の円滑施工に影響を与えるという指摘についても、『土木中心の公共事業が増えたからといって、建築中心の民間工事の施工を圧迫することはない』と語気を強めた。」(『建設通信新聞』2014.09.22)
●「日本建設業連合会の中村満義会長は19日、理事会後の会見で、人手不足によって施工の進捗を不安視する声があることに触れ『受注済み(手持ち)工事が遅れる心配はない。今後も適正価格で発注される工事であれば、施工余力に不安はない』と断言した。また、公共事業の増加が民間工事の円滑施工に影響を与えるという指摘についても、『土木中心の公共事業が増えたからといって、建築中心の民間工事の施工を圧迫することはない』と語気を強めた。山内隆司副会長、宮本洋一副会長も同調した。」(『建設通信新聞』2014.09.22)
●「全国中小建設業協会(全中建、松井守夫会長)は、会員が直面する課題についてのアンケートを実施する。社会保険加入状況、予定価格を根拠なく切り下げる『歩切り』、女性技術者・技能者の就労、週休2日制の導入状況、重層下請について実態を調査。結果を来年2月ころまでにまとめ、課題への対応を盛り込む意見書とともに国土交通省に提出する。対象は会員2700社。10月に開始する。…調査項目のうち、社会保険加入については、現場の1次下請会社とその所属労働者の加入状況も聴取する。歩切りでは、行われた思われる発注者とその引き下げ幅を調べる。女性技術者・技能者は実際の人数を把握するのが狙い。週休2日に関しては特に技術系の実態を把握する考えだ。重層下請は、土木・建築ごとに何次まで形成されているか調べるという。」(『建設工業新聞』2014.09.29)
●「原材料や燃料の価格高騰を受け、資機材メーカー各社が製品の値上げを打ち出し始めた。円安が長期化し、輸入に頼る原材料や燃料の価格上昇が続いているためだ。各社は生産性向上や合理化で原価の上昇を抑えてきたが、今後も大幅なコストアップが見込まれることから、製品価格の引き上げに動きだした。資機材の値上げが広がれば、労務費とともに建設工事費の上昇要因になりそうだ。」(『建設工業新聞』2014.09.30)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)が16日発表した8月の首都圏マンション発売戸数は、2110戸と前年同月比で49.1%減と大きく落ち込んだ。減少幅はリーマン・ショック直後の2008年9月(53.3%減)以来5年11カ月ぶりの水準だった。消費増税前の駆け込み需要による反動減の影響が出た。首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の発売戸数が前年実績を下回るのは7カ月連続になる。…実際に売れた戸数の割合を示す契約率は69.6%と好不調の目安となる7割を下回った。」(『日本経済新聞』2014.09.17)
●「2014年の基準地価は景気の緩やかな回復を映し、三大都市圏の上昇傾向が鮮明になった。住宅地は6年ぶりに上昇、勢いは郊外に広がる。都心で相次ぐ再開発計画も商業地の地価を押し上げている。ただ、消費増税後の住宅需要は低迷し、地価上昇のペースは和らいでいる。…6年ぶりに上昇した三大都市圏の住宅地。東京五輪の開催でインフラ整備に弾みがつくとの期待感も加わり、東京の臨海部では大型マンションの建設に沸いている。…地方圏では調査地点の8割にあたる約1万2000地点で地価が下がった。人口減が進む地域で地価反転の糸口は見えない。」(『日本経済新聞』2014.09.19)
●「国土交通省は2015年をめどに、地方のバスや鉄道会社に車両を貸し出す仕組みをつくる。地域単位で自治体や金融機関と共同出資会社を設立。高齢者らが乗り降りしやすい新型の車両を調達してリースする。地方の交通会社は利用者の減少で経営が悪化し、車両を更新できない例が目立ってきたため、従来よりも踏み込んだ支援策が必要と判断した。」(『日本経済新聞』2014.09.21)
●国土交通省は1日、住宅リフォーム事業者団体登録制度を施行し、申請受け付けを始めた。この制度は、国が定める要件を満たした一定の規模と資力を持つリフォーム事業者団体を国が「優良」と認定し、インターネット上で公開するというもの。「登録できない小規模事業者は市場から排除されるのではないか」との懸念が広がっている。…問題は、登録できる団体を、構成員(会員、組合員)名簿の整備や設立・組織・運営・管理などを法令で定めている一般社団法人や事業協同組合とし、かつ構成員を100者以上組織しなければならないとしていること。団体を構成する業者は、リフォーム工事や内装・設備工事を行う技術と併せて建設業許可を取得し、常勤の建築士、建築施工管理技士などの在籍が要件になっている。…登録制度創設の背景について、全国建設労働組合総連合(全建総連)の清水謙一・書記次長は「中古住宅・リフォーム市場を20兆円(20年)に拡大しようとする国の産業政策がある」と指摘する。現在、リフォーム工事を担っているのは半数近くが地場の工務店だ。「新築住宅の建設が頭打ちになっている下、登録制度で大手住宅企業などが市場に参入できるよう国が全面的に支援する仕組みをつくり、小規模事業者をその支配下に組み込もうとしている」と清水さんは警鐘を鳴らす。さらに懸念されるのは、住宅リフォーム助成制度への影響だ。東京都内の自治体では「今後は、リフォーム事業者団体登録制の登録を受けていない団体に住宅相談の協力はお願いできない」との動きがすでに出ている。(『全国商工新聞』2014.09.22より抜粋。)
●「政府は福島県内の除染で出た汚染土壌などを最長30年にわたって保管する中間貯蔵施設の建設に乗り出す。総事業費が1兆円規模に達する大型プロジェクトで、2015年1月からの搬入開始を目指す。30年後には県外での最終処分を約束しており、汚染土の量や放射性物質の濃度を大幅に減らす技術開発も進めていく。中間貯蔵施設は双葉、大熊両町にある東京電力福島第1原子力発電所周辺の用地に整備する。施設の総面積は16平方キロメートルと羽田空港を上回る広さだ。今月1日に県が建設を容認する意向を政府に伝えた。政府は3千人規模とされる地権者を確定し、補償額などを伝える説明会を29日から順次、開く予定だ。」(『日本経済新聞』2014.09.26)
●「東京電力福島第1原発事故後の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、政府は29日、福島県大熊、双葉両町の建設予定地の地権者を対象に、用地補償に関する初めての説明会をいわき市で開いた。土地の買い取りについて、政府は『住宅地は原発事故がない場合の評価額の5割、山林は同7割』とした標準価格を算出。施設建設への理解を求めた。」(『日本経済新聞』2014.09.30)
●「英国北部のスコットランドの独立を問う住民投票が18日夜(日本時間19日朝)締め切られ、各地で開票作業が進んだ。BBCなど英主要メディアは19日未明(同日午後)、反対票が過半数となる見通しで、独立否決が確実になったと報じた。スコットランドの独立は回避され英国(連合王国)の一部として残留する見通しとなった。」(『日本経済新聞』2014.09.19)