情勢の特徴 - 2014年10月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省は、中長期的かつ安定的な道路予算の確保に全力を傾ける考えだ。9月30日に開いた自民党のITS推進・道路調査会(山本有二会長)に道路行政の現状を報告した。2004年度からH年度までの10年間で直轄道路事業費が約3割減少、このうち維持修繕費も約2割減少している状況に、自民党議員からも建設産業が中長期的な需要を展望できる「安定的な予算確保」を推す声が相次いだ。」(『建設通信新聞』2014.10.01)
●「安倍内閣が『地方創生国会』と位置付ける今臨時国会は、地域活性化策が大きな焦点となる。政府は、創業10年未満の中小企業を『新規中小企業者』と定義、官公需の受注機会を増やす『中小企業需要創生法案』を3日に閣議決定し、国会に提出する。国が中小企業契約目標などを定めた『基本方針』を策定、この基本方針に基づいて、中央省庁、独立行政法人ごとに『契約方針』を定め、公表することが新たに規定される。新規中小企業者の受注機会確保の対象は、物件、役務だけでなく、工事も対象だ。ただ、工事は実績を重視するだけに、新規中小企業だからといって簡単に受注に結び付くわけではない。このため政府は、工事、役務、物件とも入札参加資格の弾力的な運用や随意契約の活用などによって新規中小企業の受注機会を増大させることを想定している。」(『建設通信新聞』2014.10.03)
●「経済産業省は、資材価格が高止まりしている中、急激な円安によって原材料や電力料金などの高騰で収益の圧迫に苦しむ中小企業の支援に乗りだした。小渕優子経産相名で、中小企業の円安による原材料・エネルギーコスト増加分を大企業に適正に転嫁できるよう、2日付で経団連など経済団体や日本建設機械工業会、セメント協会など所管業界団体の関連431団体に文書で要請した。また、日本建築士事務所協会連合会や建設コンサルタンツ協会、日本建設業連合会、全国建設業協会など国土交通省所管の関連142団体には、小渕経産相と太田昭宏国土交通相の連名で要請した。要請先は他省庁の関係団体も含め計745団体となる。要請文では、下請中小企業振興法に基づく振興基準や下請代金法の趣旨に照らし、適切に価格決定するよう、会員企業への周知を求めた。こうした要請は、エネルギー価格が高騰した2007年以来、7年ぶりとなる。」(『建設通信新聞』2014.10.06)
●安倍晋三政権が4月に強行した消費税増税が消費を冷え込ませ、景気をいっそう悪化させている。日本経済は「好循環」どころか、悪循環の危険水域に入っている。9月30日に発表された8月の経済指標は、消費税増税が個人消費に及ぼした影響の大きさを鮮明に示した。総務省の8月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は、実質で前年同月比4.7%減少した。住宅リフォームやエアコンの不振が目立った。マイナス幅は7月(5.9%減)より縮小したものの、消費税増税が実施された4月以降5カ月連続のマイナス。前回増税後の1997年8月(0.5%減)と比較しても、消費の回復はずっと弱くなっている。…家計消費が低迷する根本には、国民の所得が減り続けていることがある。8月の毎月勤労統計調査によると、物価の変動を反映した賃金水準を示す実質賃金指数(現金給与総額)は、前年同月比2.6%低下し、14カ月連続で前年割れとなった。一方で8月の消費者物価指数は、価格変動の大きな生鮮食料品を除く総合指数が前年同月比で3.1%上昇。物価の上昇に賃金が追い付いていない状況が続いている。急激な円安の進行に伴う原材料価格の上昇で食料品などの値上げが相次ぎ、家計を圧迫している。(『しんぶん赤旗』2014.10.07より抜粋。)
●日本企業の多国籍企業化が進んでいる。特に製造業企業の海外進出で国内の産業空洞化がますます深刻になっている。それが、輸出不振、雇用喪失などの主要な要因をなしている。製造業企業の海外進出をデータでみる。経済産業省の「企業活動基本調査」によると、日本企業の海外子会社数は2012年度末(13年3月末)現在、3万9154社に達した。2000年度の1万8710社から12年間に2倍に増加した。製造業が約6〜7割を占めている。製造業をみると、海外子会社数は00年度の1万1117社から12年度の2万6771社へ、同じ期間に全体の伸びを超える2.4倍に増えた。産業別では、12年度には、自動車など輸送用機械器具が4529社(製造業全体の16.9%)、化学が3104社(同11.6%)、電子部品・デバイス・電子回路が2906社(同10.9%)などとなっている。…製造業企業の海外進出に伴い、海外生産比率が高まっている。海外生産比率は、国内生産高と海外生産高の合計に占める海外生産高の割合。国際協力銀行の「わが国製造業の海外事業展開に関する調査」によると、海外子会社を持つ製造業企業の海外生産比率は、12年度に全産業で32.9%を占めた。産業別では、電機・電子が43.3%、自動車が39.4%などとなっている。各社の中期的計画に基づく推計によると、16年度には、海外生産比率が全産業で38.6%に達する見込み。…この傾向に伴い、海外子会社の従業員が増え、国内での雇用が失われている。 経産省の「海外事業活動基本調査」によると、製造業の海外現地法人(子会社)従業員数は、00年度の281万人から12年度の436万人へ、12年間に約1.6倍に増えた。一方、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、国内従業員数は、00年度の1005万人から13年度の801万人へ、2割も減少した。(『しんぶん赤旗』2014.10.10より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「政府は9月30日の閣議で、先の通常国会で成立した改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく基本方針と、改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく適正化指針を正式決定した。ダンピング受注防止を発注者の責務に位置付け、予定価格を根拠なく引き下げる『歩切り』の根絶を明記。建設業の担い手確保・育成の取り組みも規定した。国や地方自治体などの公共発注機関には、これに沿った措置を講じる努力義務が生じる。」(『建設工業新聞』2014.10.01)
●「長野県は、適正な労働賃金の支払いを誓約することを評価する新たな総合評価方式の入札を実施するため、元請企業による下請企業への支払い状況を確認する方法の検討に入った。現在、県発注工事で一定の基準を下回る価格で契約した案件の受注者を対象に行っている『契約後確認調査』の調査項目を増やし、下請企業への支払い状況を確認することを想定している。新たな総合評価方式の実施は、県が契約条例に基づき策定する『契約に関する取り組み方針(案)』の重要施策の一つ。」(『建設工業新聞』2014.10.01)
●「国土交通省は1日、国や地域づくりの基本方針となる『国土形成計画』の改定に向けた論点をまとめた。人口減少が進む中で地域が生き残るため、雇用の場を生む産業の創出などの『地方創生』政策が必要と指摘。高度成長期に開発された東京圏のニュータウンなどを念頭に、『異次元の高齢化』に対応する考えも掲げた。同省は論点を2日の国土審議会(国交相の諮問機関)の部会に提示。審議会は年内に中間まとめを行う。政府は審議会が来夏まとめる最終報告を踏まえ、計画を閣議決定する。」(『建設通信新聞』2014.10.02)
●「政府は、公共機関がインフラを所有したまま運営権を民間に売却するコンセッション(公共施設等運営権)方式の事業で、運営権を取得した民間企業に業務のノウハウを持つ国家公務員を派遣・出向させるため、法的措置を講じることを決めた。新法制定か法改正で対応するかば今月末までに詰める。来年の通常国会への提出を目指す。」(『建設工業新聞』2014.10.06)
●「日本学術会議は、土木工学・建築学委員会の『デザイン等の創造性を喚起する社会システム検討分科会』(仙田満委員長)がまとめた『知的生産者選定に関する公共調達の創造性喚起』を正式な提言として採択、ホームページで公表した。設計入札などの価格競争重視の矛盾を明らかにしたもので、会計法や地方自治法に基づく公共調達が世界的、経済的、時代的に遅れたものとし、創造的生産者の適正選定の方策を提起した。…提言第1項の本文では、『知的生産者を選定する方法は会計法、地方自治法に則るものが採用されているが、これらの法により価格競争が原則とされているために多くの公共調達主体が安さのみを重視する入札方法を取られている。本来的に知的生産・サービスを対価の多寡のみで決定する方法は不合理』と指摘し、『原則その対価の安さのみで決めてはならないとするよう、法制度上の環境整備が必要』と提言した。」(『建設通信新聞』2014.10.10)
●「国土交通省の吉田光市建設流通政策審議官は、発注時期や年度末に集中する工事完成時期をずらすために、国庫債務負担行為や繰り越し拡大を具体化させるための議論に入ることを明らかにした。発注行政と連携して対応する。直轄工事で、発注時期と納期を集中させず分散化・平準化することで、元請けの技術者だけでなく下請けの職人を含め年間通じて人材や手持ち資機材を効率的に活用できることにつながる。また発注・納期の分散化は、結果的に元請けと下請け、職人を含めた稼働平準化と施工対応能力拡大に寄与し、自治体発注工事の入札不調抑止にもつながりそうだ。」(『建設通信新聞』2014.10.14)
●「東日本建設業保証がまとめた前払金保証工事から見た衆目本の『公共工事の動向』によると、14年度上期(4〜9月)は、保証を取り扱った工事などは8万2010件(前年同期比1.1%増)で、その総請負金額は5兆1551億円(6.0%増)、保証金額は2兆0467億円(8.0%増)となった。上期の請負金額の増加は3年連続で、02年度上期(約5兆円)と同水準。請負金額を発注者別に見ると、国の減少率が2桁に達する一方、都道府県、市区町村は10%以上増加した。」(『建設工業新聞』2014.10.15)

労働・福祉

●「厚生労働省は企業に対して社員の有給休暇の消化を義務付ける検討に入った。社員の希望をふまえ年に数日分の有休の取得日を企業が指定する。社員から有休取得を申し出る今の仕組みは職場への遠慮から休みにくい。労働基準法を改正し法的義務にすることで欧米より低い有休の取得率を引き上げる。『ホワイトカラー・エグゼンプション』など労働時間の規制緩和と並行して長時間労働の是正を進め、働き手の生産性を高める。…働かなくても賃金を受け取れる有給休暇は、6年半以上働けば年20日分もらえるようになる。現在は原則として社員が企業に申し出る必要がある。企業には社員に有休を取らせる義務は無く、日本の有休取得率は47%にとどまる。新しい仕組みではそれぞれの社員が年数日分の有休を取るよう企業側に義務付ける。一般社員に加え管理職も対象とする。中小も含む全企業を義務化の対象とする方向で検討が進む見通し。過剰な規制で企業の負担を増やさないよう、法的義務を課すのは有休20日分の一部にとどめる。」(『日本経済新聞』2014.10.03)
●「行政機関と建設産業団体、教育機関が三位一体となって建設業界の人手不足解消に取り組む、『北陸建設界の担い手確保・育成推進協議会』(座長・野田徹北陸地方整備局)が3日発足した。建設系学生の教育に携わる新潟、富山、石川各県の教育委員会や大学、高専、工業高校が参画することで、従来の官民連携の枠組みでは見えにくかった学生ニーズを的確にとらえ、建設業界の魅力をより効果的に発信。若手を惹きつけるための施策につなげていく。」(『建設通信新聞』2014.10.06)
●「鹿島の協力会社でつくる鹿島事業協同組合が、各社の人材採用活動を支援するため、職業安定法に基づく職業紹介事業に乗りだした。『鹿島』のネームブランドを生かし、学生・生徒や保護者に仕事の安定性やキャリアアップの仕組みなどをPRするのが狙い。組合が各社の求人票を預かり、高校や専門学校、ハローワークなどに一括して提出。双方のマッチングを行う。厚生労働省の助成金をフル活用し、合同説明会や学校への出前講座、職業訓練なども展開する。」(『建設工業新聞』2014.10.06)
●「建設業の全労働者に占める15〜34歳の若年労働者の割合が、13年10月時点で21.0%と、5年前の前回調査(09年10月時点)と比べ約4ポイント下落したことが、厚生労働省の『若年者雇用実態調査』で分かった。前回調査はリーマンショックの1年後に当たり、雇用情勢が急激に悪化した時期だったが、その時よりも若年労働者が少ない実態が浮き彫りになった。…建設業の正社員のうち、若年労働者は22.6%と前回調査より1.7ポイント上昇。一方、非正社員に占める若年労働者の割合は9.6%で、6.6ポイントの大幅上昇となった。」(『建設工業新聞』2014.10.08)
●「戦後の高度成長を支えた鉱物に、知らぬまま身体をむしばまれた労働者や遺族に新たな救済の通が開かれた。アスベスト(石綿)被害を巡り、国の責任を認めた9日の最高裁判決。『長い道のりだった』。提訴から8年余りを経た後の勝訴に原告から喜びの声が上がった。全国各地で続くアスベスト訴訟にもー定の影響を与えそうだ。この日の最高裁判決は『1958年ごろにはアスベスト工場の労働者の健康被害は相当深刻であることが明らかになっていた』と指摘。排気装置の有効性に関する技術的知見も広まっており『国は工場に排気装置設置を義務付けることが可能だった』とみて国の対応を違法と結論付けた。…アスベスト訴訟は大きく分けて@工場内で働いていた人が原告の『屋内型』A屋外の建設現場などでの『屋外型』B周辺住民による『環境型』――の3類型がある。今回の判断が直接影響するのは、このうち屋内型の訴訟だ。最高裁が58年までに排気装置設置を義務付けなかったことを違法としたことで、同年から設置が義務付けられた71年までの間に屋内での就労歴があれば、新たに賠償を受けられる可能性が高まった。一方、訴訟の大半を占める屋外型の『建設アスベスト訴訟』(東京地裁などで係争中)では、マスクなしで働いていた元建設労働者らが賠償を求めている。今回の判決はマスクの義務付けについては国の責任を認めなかったが、判決文は『工場ではマスクは補助的な手段』とも指摘。弁護団の山下昇登司夫弁護士は『屋外では対策手段がマスクしかなく、今回の判決による(マイナスの)影響はない』と強調する。」(『日本経済新聞』2014.10.10)
●「厚生労働省は14日、運用成績によって将来もらう年金額が変わる確定拠出年金(日本版401k)の見直しに着手した。専業主婦や公務員なども含め、誰でも加入できるようにする。401kに加入する会社員は転職時に年金資産を持ち運びやすくする。公的年金の目減りがさけられないなか、老後の備えを厚くするため、企業年金制度の加入者を増やす。」(『日本経済新聞』2014.10.15)

建設産業・経営

●「一部大手ゼネコンが首都圏の建築も含めた鉄筋工事で、協力会に加盟する複数の鉄筋業が作成した契約単価と社会保険負担分を別枠計上した、鉄筋業共通の見積書と契約書を採用していることが9月29日、東京都鉄筋業協同組合(館岡正一理事長)の9月定例会で報告された。別枠計上が先行して進む土木に比べ、対応が遅れていた建築でも、社会保険加入負担分を見積書と契約書で別枠計上する動きが出始めた形だ。鉄筋業だけとはいえ、今後一段と増加が予想される首都圏建築工事を控え、元請けにとっては協力会組織の強化と職人確保が、専門工事業にとっても元請けに対する専属意識が高まるというそれぞれのメリットがありそうだ。」(『建設通信新聞』2014.10.01)
●「製造業からの受注増加基調が続いている。日本建設業連合会(中村満義会長)の会員98社を対象とした調査によると、民間工事のうち、製造業からの受注が4月から8月まで5カ月連続で前年同月を上回ったほか、1月から8カ月連続で、製造業の前年同月比の伸び率が非製造業を上回る“逆転現象”が続いている。」(『建設通信新聞』2014.10.02)
●「全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は3日、会員会社を対象に行った担い手確保・育成に関するアンケートの結果を明らかにした。9割近くの企業が従業員の賃金を『引き上げ済み』または『引き上げ予定』と回答。下請会社の労務単価を『引き上げ済み』『引き上げ予定』との回答もほぼ8割に達した。下請会社に社会保険(健康・年金・雇用)への加入を指導していたのは84%で、3保険とも現場労働者のほぼ8割が加入していた。」(『建設工業新聞』2014.10.06)
●「今年度上期(4−9月)の建設業倒産(負債総額1000万円以上)が、1990年度以来の低水準となったことが、8日公表した東京商工リサーチの調査で分かった。上期ベースで6年連続の前年同期比減少となり、負債総額も過去20年間で最小となった。企業数で大半を占める中小・小規模企業の経営環境改善の実感がまだ浸透していない中、景気動向判断指標の1つでもある倒産統計に限定すれば、バブル期並みの状況に落ち着き始めたと言えそうだ。…地区別では9地区全てで減少、倒産減少は全国的な傾向となった。ただ業種別の倒産内訳では、土木、職別と設備の大半業種で減少した一方、建築工事は前年同期比10.2%増、木造建築工事同11.5%増、建築リフォーム同24.3%増など中小・小規模の建築業を中心に増加に転じた。今後の見通しについて、東京商工リサーチは、『当面、倒産が急増する要因はない。ただし、労務費上昇に加え、最近の円安進行に伴い建築資材にも値上げが拡大し、建設工事コスト上昇の影響が懸念される』としている。」(『建設通信新聞』2014.10.09)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの普及政策が、仕切り直しを迫られている。2012年に太陽光などの電力を電力会社が高値で買い取る制度を始めたが、再生エネの事業者が急増して受け入れきれないためだ。わずか2年で行き詰まり、4電力が30日に新規の買い取り契約を当面停止すると表明した。…日照量が多い九州では再生エネの事業者が多く参入し、太陽光での電力の買い取り申し込みが殺到した。このまま受け入れれば、再生エネの導入量は同地域のピーク時の電力需要を上回る規模になるという。北海道電力や東北電力、四国電力も30日、再生エネの新規の買い取り契約を当面停止すると表明した。停止するのは企業が対象で、送電網への影響が小さい家庭での再生エネの発電はこれまで通り買い入れる。…政府は12年7月に再生エネを高値で買い取ることを電力会社に義務付ける『固定価格買い取り制度』を始めた。東日本大震災後、それまで電源の3割弱を占めていた原子力発電所が一斉に停止したため、代替として地球温暖化ガスの排出抑制につながる再生エネに期待が集まった。特に太陽光は設備を導入しやすく、企業などが大規模発電所をつくった。制度開始後2年で、経産省が認定した再生エネの設備の容量は7178万キロワットと、原発70基分に相当する。経産省は近く専門家会合を設けて制度の見直しに着手する。再生エネの電力を全国の各電力会社が横で融通し合ったり、再生エネを受け入れる地域の送電網を強化したりする策を検討する。いずれも送電インフラヘの投資が欠かせず、全国で数兆円規模が必要になるとの見方がある。」(『日本経済新聞』2014.10.01)
●「安倍政権が成長戦略の目玉と位置づける東京圏の国家戦略特区事業の素案が30日、明らかになった。三菱地所や三井不動産などが参画し、東京や横浜など11カ所で一体的に国際ビジネス拠点を整える。規制緩和を活用して外資系企業を誘致しやすい環境をつくり、国際都市として東京を再生させる狙いがある。東京周の特区事業の具体化で経済浮揚効果への期待も高まりそうだ。」(『日本経済新聞』2014.10.01)
●「14年度上半期(4〜9月)に公表された東京23区内の大規模建築計画(延べ床面積1万平方メートル以上)が、前年同期に比べて件数、総延べ床面積ともに大幅に減少したことが明らかになった。建築費の上昇が続いているのに加え、景況感の回復を背景とした地価の上昇がデベロッパーの新規開発にブレーキをかけているとみられる。」(『建設工業新聞』2014.10.02)
●「古い木造住宅などが密集する市街地をなくすため、政府は『玉突き型』と呼ぶ大型の再開発を予算と税制の両面で後押しする。自治体が所有する遊休地にマンションを建てて再開発地域の住民に移り住んでもらい、住民が引き払った土地に次の再開発に必要な移住用マンションを建てる。来年度にも東京や大阪などで始める。地震などの災害に備えると同時に、土地の有効利用を進める狙いだ。」(『日本経済新聞』2014.10.03)
●「東日本大震災による地盤の液状化現象で被害が出た千葉県浦安市の分譲住宅地の住民ら36人が、三井不動産などに約8億4200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、東京地裁であった。松本利幸裁判長は『三井不動産は被害の発生を予測できなかった』として、住民側の請求を棄却した。…問題になったのは、浦安市の埋め立て地に造られ、三井不動産が1981年に販売を始めた『パークシティ・タウンハウスV』。大震災の液状化で地面が陥没し、建物が傾いたり上下水道管やガス管が寸断されたりした。住民側は『別業者が販売した隣接分譲地は対策工事によって液状化が起きていない』とし、『被害を予想できたのに地盤改良工事を施さなかったのは不法行為に当たる』と主張していた。三井不動産側は『大震災は予測できなかった』などと反論していた。」(『日本経済新聞』2014.10.08)
●「8月に発生した広島市の豪雨災害を始め、全国各地で災害が頻発している状況を受けて国土交通省は、現状の想定を超える災害への対応を視野に防災・減災対策の充実に取り組む。近年、気候変動による影響で激甚化する豪雨などへの対応が狙い。『想定外』を想定していく中で、新たなステージでの対応策を探る。8日に『新たなステージに対応した防災・減災のあり方に関する懇談会』を設置。検討をスタートさせる。」(『建設通信新聞』2014.10.08)
●「住友林業は8日、建物で6000万円以上する高価格帯の注文住宅事業を本格展開すると発表した。東京都世田谷区など大都市圏の高級住宅地周辺にモデル住宅を順次開き、経営者や医師などの需要を開拓する。富裕層からの受注は消費増税後も底堅い。人口減が本格化する今後も、一定の需要が見込めると判断。年間500棟の受注をめざす。」(『日本経済新聞』2014.10.09)
●「東京都心部のオフィスビル空室率が一段と低下し、9月末は5年7カ月ぶりに5%台となった。業績が好調な企業によるオフィスの拡張移転が増えているためだ。空室の減少に伴い平均募集賃料も9カ月連続で上昇しており、賃料引き上げの動きも目立ってきた。」(『日本経済新聞』2014.10.09)
●「首都圏の自治体が2020年東京五輪・パラリンピックに参加する各国チームの事前キャンプ誘致に力を入れている。東京都町田市は約74億円を投じてスポーツ施設が集まる市立公園を拡張、受け入れ態勢を整える。神奈川県は県内約80の競技施設を紹介するホームページを作成する。世界のトップ選手を我が町へ――。各自治体は街をPRしようと知恵を絞る。…東京五輪・パラリンピック組織委員会は国内に1つでも多くの事前キャンプを誘致できるように、候補地を紹介するガイドを作成する。練習場や宿泊施設、交通などの情報を各国の国内オリンピック委員会(NOC)・国内パラリンピック委員会(NPC)へ伝える。…東京都も都内の候補地を効果的にPRする手法を検討していく。オリンピック・パラリンピック準備局の児玉英一郎・大会計画担当部長は『キャンプの誘致は、国際交流や街おこしにつながる。都全体で機運を盛り上げていきたい』と語る。」(『日本経済新聞』2014.10.11)
●「政府は14日の閣議で、土石流や地滑りなどの危険がある場所を『警戒区域』に指定し、対策を重点化する土砂災害防止法の改正案を決定した。指定の前提となる基礎調査が進んでいない都道府県に対し、国が早期実施を求める。調査結果の公表も義務付ける。現場の多くの地域が未指定だった8月の広島市の大規模災害への反省から、区域指定を促し、住民に危険性を知らせる狙い。臨時国会での成立を目指す。国土交通省によると、全国に危険な場所は52万5000カ所程度ある。一方で、基礎調査の完了は38万9000カ所、区域指定は35万6000カ所にとどまっており、国の関与強化で引き上げを目指す。」(『日本経済新聞』2014.10.14)

その他