情勢の特徴 - 2014年12月前半
●「国際協力銀行(JBIC)は11月28日、『わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告』をまとめた。製造業の海外拠点は強化・拡大、国内拠点は維持という傾向が続く。海外拠点では、インドへの関心が高まっており、インフラ整備に対する期待感が強い。製造業の海外展開動向は、国内建設投資の民間投資の動向に影響を与えるほか、海外建設受注の主要顧客の一つとして海外展開の見通しを占うという2つの面において建設業にとっての関心事となる。…国内建設投資に影響を与える製造業の生産拠点の動向では、14年度の海外生産比率(国内・海外の生産高に占める海外の生産高)が前年度比1.3ポイント増の36.5%で、4年連続で製造業が海外での生産割合を上げ、過去最高を記録した。17年産までの中期的計画ではさらに39.9%にまで引きあがる見通しだ。海外生産比率が上がれば、国内拠点への投資が減少する可能性がある。」(『建設通信新聞』2014.12.01)
●「東京都がまとめた『都民生活に関する世論調査』によると、暮らし向きが昨年に比べて『苦しくなった』と答えた都民が34.4%と前年から8.1ポイント増えた。増加は5年ぶり。苦しくなった理由として税金や物価上昇を指摘する声が多い。」(『日本経済新聞』2014.12.03)
●「外国為替市場でドルの強さが際立っている。2014年の主要通貨の騰落率を比べると、ドルの上昇率が7.7%と最大だった。米国は景気回復を背景に来年にも政策金利を引き上げるとの見方から、世界に広がっていた緩和マネーがドル資産へと回帰している。一方で資源国からは資金が流出し、大規模な金融緩和が続く日本の円も大きく下げている。」(『日本経済新聞』2014.12.04)
●「政府は独立行政法人の日本貿易保険(NEXI)を2017年にも株式会社化する方針だ。株式会社化に併せて貿易保険のための8000億円強の特別会計も廃止し、NEXIの資産として移す。株式会社化でNEXIの経営合理化と業務の拡充を進め、インフラ輸出に弾みをつける。経済産業省が15年の通常国会にNEXIの設立根拠法である貿易保険法改正案の提出を目指す。」(『日本経済新聞』2014.12.04)
●民間信用調査会社の帝国データバンクが4日発表した「『円安関連倒産』の動向調査」によると、11月の円安関連倒産(負債額1000万円以上、法的整理のみ)は、前年の同じ月に比べ約2.3倍の42件発生し、2013年1月の集計開始以降の最多を3カ月連続で更新した。また、14年1〜11月の累計が301件にのぼり、前年の同じ期間に比べ約2.7倍の大幅増加となった。…業種別にみると、運輸・通信業が86件(28.6%)で最多。以下、卸売業の68件(22.6%)、製造業の58件(19.3%)、建設業の42件(14.0%)と続いた。…帝国データは、「円安の恩恵が行き届きにくい地方企業や中小・零細企業を中心に、日銀による追加の金融緩和後の円安の影響が出始めると見られる年明け以降も引き続き、『円安関連倒産』はじわり増加基調をたどる可能性が高い」とみている。(『しんぶん赤旗』2014.12.05より抜粋。)
●「内閣府が8日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比年率1.9%減と、11月に発表した速報値の1.6%減から下方修正となった。速報値の推定よりも企業の設備投資や公共投資が少なかった。マイナス成長は2四半期連続で、前期からの減少幅が大きくな玖、4月の消費増税後の景気のもたつきが表と鮮明になった。」(『日本経済新聞』2014.12.08)
●「政府は、日本企業が海外の発電所や水インフラなどの整備・運営に参画しやすくするため、円借款の新制度を創設した。現地の国営企業からの支払い(サービス購入対価)が通貨危機など不測の事態で滞った場合、国際協力機構(JICA)が相手国政府に貸し付けを行い、その資金を民間事業者への支払いに充てる仕組み。財政力の乏しい途上国からの支払いを円借款で保証する形で、日本企業が大規模な官民連携(PPP)インフラプロジェクトに参画するリスクを軽減する。」(『建設工業新聞』2014.12.10)
●「総務省は、地方自治体が公共施設の統廃合や改修・更新投資の優先順位付けができるよう、固定資産台帳を含む財務書類を活用した予算編成を全国の自治体に促す。減価償却費から施設分野ごとの老朽化比率を算出し、比率の高い施設分野の老朽化対策に予算を優先配分することを想定。さらに、統廃合などコスト削減につながる事業の予算を組みやすくするため、予算の特別枠を設定するよう提案する。限られた財源で公共施設の効率的なマネジメントを実現する狙いだ。」(『建設工業新聞』2014.12.12)
●「日銀の総資産残高が初めて300兆円を超えた。国債を大量に買い入れて市場に資金を供給しているためで、国内総生産(GDP)の6割に相当する規模だ。12日には長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りも0.395%と、終値で初めて0.4%を割った。金利は下がっても脱デフレに向け前年比2%を目指す物価上昇率は原油安で伸び悩み、政策運営は難しくなっている。」(『日本経済新聞』2014.12.13)
●「国土交通省は11月28日、下水道分野で中長期(10カ年)の技術開発計画を策定する作業に着手した。事業主体となる自治体の財政や人材が制約される中、特に緊急課題となっている老朽化対策を低コストで迅速に進められる技術の開発を加速するのが狙い。現場の実態に合った開発のテ−マを設定し、新技術を着実に普及させる。」(『建設工業新聞』2014.12.01)
●「国土交通省は、水災害分野における気候変動適応策のあり方について、中間とりまとめ(骨子案)をまとめ、11月28日に社会資本整備審議会河川分科会の『気候変動に適応した治水対策検討小委員会』(委員長・福岡捷二中央大研究開発機構教授)に提示した。年度内に最終報告(答申案)をまとめる。適応策は、気候変動によって引き起こされる現況の安全度や、施設計画の目標値を上回る『最大クラスの外力』への備えが柱。阪神・淡路大震災や、東日本大震炎を踏まえた最大クラスの外力、いわゆる『レベル2』の考え方がある地震対策や津波対策に対して、こうした最大クラスへの防災・減災対策が行われていない洪水対策の充実が焦点となる。骨子案では、水災害における最大クラスの外力として、新たに現実的に想定される範囲内で最大となる外力(危機管理対応上の外力)を設定すると明記。現況の安全度から、この最大クラスの外力までの範囲で発生する、さまざまな規模のリスクを想定していく中で、その適応策を具体化させていく。」(『建設通信新聞』2014.12.02)
●「国土交通省は、8月1日に直轄工事で始めた社会保険未加入対策について、他府省庁や地方自治体を対象に行った実施状況調査の結果をまとめた。国の機関では、入札時に未加入の元請業者を排除した上で未加入の1次下請業者との契約も原則禁止としたのが、『実施済み』と『将来実施が決定』を合わせて11機関、元請排除策だけの実施も11機関に上った。入札や施工段階で未加入業者の排除が広がれば、17年度に全建設業許可業者の加入達成を目指す取り組みに弾みがつきそうだ。調査は、中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)のメンバーである各府省庁と国関係の発注機関、地方公共工事契約制度運用連絡協議会(地方公契連)を構成する都道府県と政令市を対象に実施。11月7日時点で、対策を実施済みまたは将来の実施が決定しているかどうかを回答してもらった。競争参加資格審査や入札公告などの段階で未加入の元請業者を排除し、かつ未加入の1次下請業者との契約を原則禁止としている国交省直轄工事と同様の措置は、中央公契連で11機関、地方公契連で7機関が実施。競争参加資格審査と入札公告などで未加入元請業者を排除する措置だけを実施または決定していたのが、中央公契連11機関、地方公契連39機関だった。検討中は中央9機関、地方21機関となっている。」(『建設工業新聞』2014.12.03)
●「8月に広島市北部で起きた大規模土砂災害を教訓に、政府の中央防災会議は4日、土砂災害対策の強化について話し合う検討ワーキンググループ(WG)を発足させた。広島市では山麓に広がる住宅地で大きな人的被害が出たのを受け、土砂災害が最も懸念される山間地にある住宅の移転誘導支援策の拡充を検討。土砂の崩壊・流出防止に効果がある治山対策の加速策も探る。」(『建設工業新聞』2014.12.05)
●「東京都水道局が発注する工事の入札で不調の発生件数が増えている。水道局は9月末、不調対策として1業者が同時に入札に参加申し込みができる件数を拡大したが、この取り組みが不調を誘発している可能性がある。複数の入札案件に参加申請を出した後により条件の良い工事が公告されると、その案件に業者が集中し、参加申請を出した他の案件から辞退するケースが多いという。」(『建設工業新聞』2014.12.08)
●「国土交通、総務両省は9日、適正な積算に基づく設計書金額の一部を控除する『歩切り』の根絶に向け、すべての地方公共団体を対象とする実態調査に着手した。歩切りが、改正公共工事品質確保促進法(品確法)に反する違法行為に当たることを明確にうたい、その具体例も示した上で、予定価格の設定に権限と責任を持つ首長や部局長らの判断を踏まえた回答を求める。調査では歩切りの目的や方法、根拠規定などを把握する。具体的な改善時期も問う。回答内容によっては個別に事情聴取するほか、頑なに歩切りを継続している場合などは、発注者名の公表に踏み切る。」(『建設通信新聞』2014.12.10)
●「技術者不足や資材の高騰などを起因とする工事の入札不調が依然として全国的に見られる中、国内最大の発注機関である東京都でも増加傾向が続いている。2014年度上期(4−9月)の入札不調発生率は建築が23.0%、土木が15.1%、設備が3.4%となっており、全体では12.2%にのぼる。14年度第4回定例会に上程する補正予算案に入札不調対策費として53億円を計上するなど、入札不調対策の取り組みが急務となっている。都が契約した工事全体の不調発生率は、11年度が6.6%、12年度は7.2%だったが、13年度は13.1%と急増。種類別で見ると、設備は11年度が8.6%、12年度は4.4%、13年度は8.5%となっている一方で、建築は11年度7.0%、12年度13.4%、13年度24.2%、土木も11年度5.0%、12年度8.0%、13年度は13.9%と大幅に増加している。」(『建設通信新聞』2014.12.11)
●「全国の自治体で使用を停止した公共施設を解体する動きが広がり始めた。老朽化して倒壊する恐れがあっても解体費を捻出できず放置される例もあったが、地方債を発行して費用を賄うことが認められたため、ごみ処理施設などの取り壊しが進む。人口が減り役割を終える施設が増える一方、財政難に悩む自治体は多く、施設撤去に地方債を使う取り組みは増えそうだ。」(『日本経済新聞』2014.12.12)
●「国土交通省は、発注体制を整備できない発注者向けの支援策を検討するため、すべての地方公共団体を対象に実施した『発注関係事務に関するアンケート調査結果』を公表した。1788団体中1159団体から回答(回答率64.8%)があり、『村』の約5割は技術職員が1人もいないことが分かった。約6割の『町』と約9割の『村』は、技術職員数が5人未満だった。発注関係事務にかかわる職員の資格保有状況によると、『都道府県・政令市』『市区』『町』は非保有者が7割程度、『村』は8割を占めていた。約8割の『市区』と、ほぼすべての『町』『村』では、技術研修や講習会が開催されていない。資格受験費用を支援している団体も少数だった。調査・設計、工事発注準備、入札契約、工事施工、完成後という発注関係事務の各段階のうち、特に事務量が多いのは調査・設計と工事施工の2段階。一定量の発注件数がある『都道府県・政令市』と『市区』は、入札契約段階で事務職員の事務量が多くなっている。適切に実施できていない発注関係事務の主なものは、業務行程の共有やワンデーレスポンスの推進といった業務環境整備、低入札価格調査基準・最低制限価格の設定、入札契約の透明性確保、予定価格の事後公表、労務単価の周知徹底、設計変更ルールの適切な運用など。町村レベルを中心に、歩切りを禁止できていない自治体が17%あることも分かった。」(『建設通信新聞』2014.12.15)
●「神奈川県は2015年度以降に発注するすべての一般競争入札(工事)案件で、元請業者と下請金額が総額3000万円以上(建築は4500万円以上)の1次下請を対象に社会保険未加入業者を排除するとともにペナルティーを課す。公共工事品質確保促進法(品確法)の改正などを踏まえ、中長期的な担い手の確保などを目的に、8月に国が開始した制裁金の徴収などと同様のペナルティー措置を設け、加入を促進する。」(『建設通信新聞』2014.12.15)
●「国土交通省は、改正公共工事品質確保促進法(品確法)に基づく、新たな入札契約方式となる『技術提案・交渉方式』について、手続きの進め方などを示す運用ガイドラインの構成案をまとめた。同方式は、難易度の高く特殊な『発注者が最適な仕様を選定できない工事』や、外からでは構造物の状態が分からない修繕工事など『仕様の前提となる条件の確定が困難な工事』に適用することを想定。入札公告や技術審査時に『参考額』を提示するが、上限拘束性を有するものではなく、これを超えて提案することも可能だ。ただ、参考額と提案者が出す見積額に大きな乖離がある場合は、どんなに提案内容が優れていても選定しないことを認める。ガイドラインは今年度末までに策定する。」(『建設通信新聞』2014.12.15)
●「国土交通省は、15年4月に始まる外国人建設就労者受け入れ事業で、実際に外国人を受け入れる下請企業を元請企業が指導する際のガイドライン案をまとめた。元請と下請の役割と責任を明確化。元請は、受け入れ企業の管理指導者が提出する『外国人建設就労者建設現場入場届出書』で就労場所と従事する業務の内容・期間を確認し、記載と実際の受け入れ状況が違えば、適正監理計画に基づいた受け入れを行うよう指導する。」(『建設工業新聞』2014.12.02)
●「国土交通省は、厚生労働省が2013年度補正予算で創設した『地域人づくり事業』について、建設分野における11月末現在の活用状況をまとめた。失業者(無業者)の就職を支援する『雇用拡大プロセス』では、調査回答のあった45都道府県のうち、36団体が建設分野の事業を実施または実施予定とした。建設業に特化したものは60事業あり、このうちの55事業は雇い入れ有りのタイプ。雇用予定人数は1294人。予算金額は約37億円で、既に約30億円が契約済みとなっている。雇用拡大プロセスの雇い入れ有り事業は、期間雇用した従業員の給料や実習・訓練費用などを国費で賄うという手厚い内容。一部では人材の呼び込みに苦労しているとの声もあるが、県建設業協会などが主体となっている岐阜や鹿児島などは、比較的順調に雇用数を伸ばしているという。」(『建設通信新聞』2014.12.04)
●「厚生労働省の労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会(部会長・勝悦子明治大副学長)は3日、建設業退職金共済制度の予定運用利回り引き上げなどのほか、中小企業退職金共済法の改正について議論した。建退共など特定退職金共済制度から一般の中小企業退職金共済制度に移転した場合、特退共での退職金相当額と中退共の限度額との差額をそのまま中退共に移管し、最後に退職金と合算して支払われるよう制度改正する案を提示した。16日の部会で法改正の内容をとりまとめる見通し。」(『建設通信新聞』2014.12.05)
●「日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)と全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、内山聖会長)は『2014年度社会保険加入状況調査結果』をまとめた。国土交通省と建設産業界が一体となって取り組んでいる、『社会保険未加入対策』の推進役として必要不可欠な標準見積書の提出と社会保険加入率は、前年度と比較して着実に上昇していることが浮き彫りになった。だが、建設市場の半分を占める首都圏と関西圏での社会保険加入率は依然として低い。特に関西圏については、日本型枠、全鉄筋いずれの業界でも標準見積書提出・採用割合が極端に低く課題も残る結果となった。日本型枠工事業協会は、全国の社会保険加入状況などを盛り込んだ『2014年度型枠大工雇用実態調査報告書』をまとめた。昨年度は会員企業だけが対象だったが、今回調査では非会員企業も加え、調査協力企業も前年度の187社から今年度は242社へ対象も拡大した。同調査は08年9月のリーマン・ショックを受け、型枠工事単価が大幅に下落したことを受け、元請け、行政などに改善を求めることを目的に10年度から開始、今回で5回目となる。」(『建設通信新聞』2014.12.05)
●「国土交通省は8日、建築保全業務費の積算に用いる15年度の『建築保全業務労務単価』を作成した。保全技師・保全技術員等(6分類)、清掃員(3分類)、警備員(3分類)の三つのカテゴリーで12分類の単価を設定しているもので、15年度単価は平均で前年度比1.48%上昇となった。」(『建設工業新聞』2014.12.09)
●「厚生労働省は、2015年度からの労働者災害補償保険(労災保険)料率を改定する。建設事業の料率は、8業種のうち『既設建築物設備工事業』だけが現状維持とし、7業種の料率を引き下げる。建設事業の労災保険料率算定に必要な労務費率も改定する。請負金額のうち賃金総額の占める割合が増えていることから、2業種を除き業種の費率を引き上げる。また、労務費率の改定に併せ、賃金総額の算定基礎となる請負金額から地方消費税を含む消費税を除く改正も実施し、建設産業界の要望に応えることにした。15年4月1日に施行する。」(『建設通信新聞』2014.12.12)
●「建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は、傘下団体を通じて初めて実施した会員各社の雇用状況調査の結果をまとめた。回答のあった14団体のデータを集計。13年度に903社が新卒と中途合わせて2420人、1社平均2.7人の人材採用を行っていたことが分かった。今回は主要職種団体からの回答がなく、今後はさらにデータを増やせるよう傘下団体に依頼して調査を継続。専門工事業の採用状況の推移を把握するのに役立てる。…採用ルートが判明している1847人のうち、新卒採用では、工業高卒が237人、その他高卒が189人、専門学校卒が158人、短大・大学・大学院卒が146人、中卒が23人。中途採用では、ハローワーク経由が531人と最も多く、そのほかに転職サイトなどが143人、縁故などが335人、その他が85人という状況だった。」(『建設工業新聞』2014.12.15)
●「建設業界が共同運営する建設技能・技術の研修拠点、富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)の建て替えを検討している実行委員会は1日、建て替え基本計画の見直しを決めた。最新の建築費の動向を踏まえ、建て替え規模を縮小。既存施設を活用しながら、宿泊施設は当初計画通り、現在の218人収容から350人収容の規模へと拡大する。設計・施工一括方式を採用し、近く業者を指名。総合評価方式で優先交渉権者を選定する手続きに入る。…事業費は従来通り27億5000万円(税抜き)程度を想定。発注手続きに当たって提示する要求水準書で、設計の自由度を高められるようにし、創意工夫を最大限生かす形で提案を受け付ける方針だ。」(『建設工業新聞』2014.12.02)
●「ゼネコン各社の採算改善が進んでいる。大林組は2016年3月期に建築部門の粗利率(完成工事総利益率、単独ベース)が今期計画比で1ポイント上昇し、連結営業利益は07年3月期以来の水準を回復しそう。大成建設など他社も改善する。東日本大震災前後に安値で受注した工事の消化が進み、好採算の案件が利益に貢献する。低収益期を徐々に抜け出しつつある。…もっとも、各社の平均粗利率は来期でも7%前後にとどまる。震災前の11年3月期(7.7%)に届かないもようだ。労務費などコスト高要因にも直面。今後、増益ペースを加速できるかは、どう価格に転嫁できるかにかかってきそうだ。」(『日本経済新聞』2014.12.03)
●「積水ハウスが5日発表した2014年2〜10月期の連結決算は、純利益が前年同期比10%増の561億円となった。単価の高い賃貸住宅の販売が伸びて業績をけん引した。消費増税前の駆け込み需要の反動による戸建て住宅の伸び悩みを補い、2〜10月期としての過去最高益を更新した。売上高は4%増の1兆3040億円だった。このうち賃貸住宅は17%増の2850億円と大幅に伸びた。15年1月から相続税の対象が広がるが、賃貸住宅を建てると土地など不動産の評価額が下がるため、節税を目的とする受注が膨らんだ。…消費増税の影響で戸建て住宅の売上高は14%減の3201億円となったが、親子の同居で評価額が下がる二世帯住宅は堅調だった。太陽電池や燃料電池などを組み合わせた省エネルギー型住宅の提案も奏功し、戸建て住宅の1棟単価は3537万円と14年1月期に比べ87万円上昇した。15年1月期通期の連結業績予想は11月13日時点の見通しを据え置いた。売上高は前期比6%増の1兆9100億円、純利益は12%増の890億円を見込む。」(『日本経済新聞』2014.12.06)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、建築工事の施工でビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を活用する際の手引を作成した。元請会社と専門工事会社間で行われるBIMに関するやり取りを『施工BIM』と定義し、双方がメリットを享受するための運用方法や事例を整理した。日建連は、施工BIMの標準化に向け、手引の普及に取り組む。」(『建設工業新聞』2014.12.11)
●「東京地区生コンクリート協同組合(吉野友康理事長)は、初出荷から一定期間を経過した後に出荷する生コン(契約残)の販売価格を見直す特約条項を売買契約に盛り込むことを決めた。現在は契約時に決めた販売価格が最後まで適用されるため、途中で原材料費などが上がっても販売価格に反映できず、メーカーの負担増になるケースが相次いでいる。15年7月1日の引き合い受け付け分から適用。今後、ゼネコン各社に周知を図り、理解を求めていく。」(『建設工業新聞』2014.12.11)
●「建設経済研究所は12日、主要ゼネコン上位し40社(連結売上高平均)の2015年3月期(一部は14年12月期)の第2四半期決算分析をまとめた。受注高合計は前年同期比3.3%増の6兆2892億円。増税前の駆け込み需要による反動減など、建築部門が下落に転じたものの、前年同期比49.2%増と『近年では見られない最高水準』まで増加した土木部門の伸びが受注高全体の維持を支えた形だ。全40社が営業黒字を確保するなど受注環境の回復基調は継続している。決算分析を項目別にみていくと、受注高は建築が10.9%減の4兆0308億円、土木が49.2%増の2兆1354億円。建築部門が増税前の駆け込み需要の反動を背景に下落に転じた。ただ、駆け込み需要の影響を受けない12年度と比較すれば、33.3%増と大幅に上回る水準にあり、『あくまで前年度比較で減少したに過ぎない』という状況にある。一方の土木部門は49.2%増と、26.2%増となった前年度を上回る大きな伸びを見せた。『近年では見られない最高水準』というように土木の大きな伸びが建築の下落をカバーした格好になった。」(『建設通信新聞』2014.12.15)
●「環境省は、国立公園などへの大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置について、基本的考え方の素案をまとめた。国立・国定公園の保護と、再生可能エネルギーの必要性を比較し、メガソーラーの設置を『限定的に許容すべき』と明記。景観上重要な地域などへの設置は認めないなど国や都道府県の判断基準を明確化した。…素案では、▽植生の復元が困難な場所▽野生生物の生息地・生育地として重要な地域▽景観上の重要な地域―に該当した場合は、立地場所から除外することを打ち出した。…メガソーラー自体の形状や色彩も、公園内の景観と調和させるよう指導するほか、送配電設備や道路など関連施設も含めて許可審査を行うよう求めている。」(『建設工業新聞』2014.12.02)
●「国立競技場の解体業者が3度目の公告・入札でも決まらなかった。日本スポーツ振興センター(JSC)は2日、WTO(世界貿易機関)対象の一般競争入札として、国立霞ヶ丘陸上競技場等とりこわし工事(北工区)と同(南工区)を開札した結果、ともに最低基準価格を下回ったため、入札を保留した。南工区の最低札は低入札対象、北工区では特別重点調査対象となった模様だ。今後、低入札調査や、最低札の応札企業に対する特別重点調査報告書の提出を求めるなどの手続きに入る見通し。新国立競技場の施工者が決まっている中で、前段となる既存施設の解体業者が決まらず、半年間も“足踏み”状態が続いている。」(『建設通信新聞』2014.12.03)
●「国土交通省は高齢化と人口減が進むニュータウンを活性化する新法をつくる検討に入った。土地の用途制限を緩めて福祉施設を誘致しやすくするほか、使われなくなった校舎を商業スペースなどに転用することを認める。街の活力を奪う空き地の増加に歯止めをかけるため、土地の取得や保有にかかる税負担の軽減も検討する。急速に進む高齢化に見合った街づくりを進め、高齢者が暮らしやすい環境を整える。ニュータウンは高度経済成長期に大都市への通勤・通学を支えるため郊外に開発された住宅地で東京の多摩や大阪の千里が代表格だ。1960〜70年代に入居が相次いだため、中心世代の高齢化が急速に進んでいる。都市再生機構(UR)が管理する団地では、65歳以上の高齢者を抱える世帯の割合は35%にのぼる。近年は都心回帰で人口が減り、路線バスやスーパーマーケットの撤退で生活機能が低下した地域も多い。国交省によると、55年度以降に着手された計画面積が16ヘクタール以上のニュータウンは全国に約2千地区あり、うち約半数で人口減と高齢化が同時に進行している。」(『日本経済新聞』2014.12.04)
●戸建て住宅の新築工事やリフォーム工事などについて「契約後に予定の工期が大幅に遅延した」「着工のめどすら立たない」といった相談が各地の消費生活センターに寄せられている。国民生活センターによると、着工・工期・引き渡し時期の遅延に関する相談は、2013年度に過去最多の件数を記録し、14年度は前年同時期比で約30%の増加になっている。新築工事のトラブルの相談は、30代を中心にした若年層に多く、契約購入金額の平均が約2500万円と高額なのが特徴。リフォーム工事は、新築よりも相談件数が多く、50代以上の中高年層を対象にした訪問販売による契約トラブルが多くみられる。消費者が費用をあらかじめ支払っている場合がほとんどだ。消費者へのアドバイスとして、国民生活センターは▽費用の全額前払いは避け、完成後の支払いを主とした契約にする▽事業者の責任で発生した遅延に伴う損害を補償する条項が契約の中にあるか確認する―ことなどをあげている。(『しんぶん赤旗』2014.12.08より抜粋。)
●「住宅メーカーが高価格の戸建て住宅を拡充する。大和ハウス工業は約60億円投じ、耐震性などを高め単位面積あたりの価格が主力商品より4割高い住宅の生産能力を、3倍強に引き上げる。大成建設ハウジングは1棟9千万円以上する商品を発売した。住宅販売が落ち込む中でも、株高などで資産が増えた富裕層の購入意欲は依然強い。供給能力や品ぞろえを広げ、需要を取り込む。消費増税に伴う駆け込み購入の反動で、4〜9月の国内戸建て住宅の着工戸数は前年同期を17%下回った。それでも高価格帯の需要は都市部を中心に堅調だ。東日本不動産流通機構の調査では、同期に首都圏で成約した新築戸建てのうち4千万円を超える物件は26.1%と、前年同期より2.3ポイント上昇している。」(『日本経済新聞』2014.12.09)
●「東京都心部でオフィス空室率の低下が続いている。仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が11日発表した東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の11月末の空室率は5.55%と10月末に比べ0.05ポイント下がった。新築ビルの供給が低水準だったことや既存ビルへの活発な移転が影響した。前月比では17カ月連続で低下し、2009年1月以来の低水準だ。新築・既存ビルとも前月に比べて下がった。」(『日本経済新聞』2014.12.12)
●「国土交通省は多くの人が利用する大型店やホテル、病院などの施設から出る温暖化ガスを減らすため、省エネ基準を満たさない建築の着工を段階的に規制する。床面積が2千平方メートル以上の場合、2017年度から着工を原則認めない方針だ。これまで建築主の自主的な取り組みを促してきたが、建築物の二酸化炭素(CO2)排出量は増加の一途をたどっている。規制強化に転じ、温暖化ガスの排出抑制を急ぐ。」(『日本経済新聞』2014.12.13)
●「全国に約53万ある土砂災害危険箇所や警戒区域のうち、市町村が一度も避難場所や避難経路を住民に知らせていない場所が26%あることが12日、国土交通省の調査で分かった。定期的に危険な場所の存在を住民に知らせたり、避難訓練などを実施したりしている割合も少なかった。国交省は危険箇所などの周知を徹底するよう各自治体に呼びかける。」(『日本経済新聞』2014.12.13)