情勢の特徴 - 2014年12月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「外国為替市場で、主に原油などを輸出して稼いでいる資源国の通貨が軒並み売られている。なかでもロシアのルーブルの下げが激しく、同国の中央銀行は16日、通貨の価値を守るために政策金利を年10.5%から17.0%へと大幅に引き上げた。ノルウェーやメキシコの通貨も下げ足を速めている。原油安が資源国の経済に打撃を与えかねないとの懸念から、市場全体に動揺が広がっている。…ロシアルーブルのほかには、ノルウェーのクローネやメキシコのペソなどが売られている。銅や鉄鉱石など原油以外の鉱物価格に下落が波及し、オーストラリアやインドネシアなど、原油以外の資源が豊富な国の通貨も下げている。…原油価格が下げ止まる兆しはみえない。…背景には過剰供給への不安がある。15日にはアラブ首長国連邦(UAE)の政府幹部が、石油輸出国機構(OPEC)は1バレル40ドルに下落しても減産しないと発言したと伝わり、売りが膨らんだ。」(『日本経済新聞』2014.12.16)
●「政府・与党は2015年度からの法人税改革で、企業が12年度比で3%以上の賃上げをした場合、地方税の外形標準課税の負担を和らげる方向で調整に入った。15年度から企業の利益への課税を減らして給与総額などにかける外形課税を増やす。大幅に賃上げすれば賃上げ部分は非課税とし、家計の所得が増えやすくする。…外形課税は給与総額や資本金などにかけ、赤字でも企業規模に応じて負担を求めるしくみだ。…政府・与党は法人事業税の外形課税の税率を15年度に1.5倍、16年度に2倍にし、法人事業税に占める割合を4分の1から2分の1に高める。」(『日本経済新聞』2014.12.17)
●「政府は、衆院解散・総選挙で一時中断していた人口減少や地域活性化対策の検討を再開した。2020年までの間に国が取り組む地方創生政策を明記した『総合戦略』は、年内の閣議決定を目指して作業を加速する。閣議決定は26日が有力。総合戦略には、企業の地方移転を促す法人税の優遇措置などを盛り込む。…国は都道府県と市町村に対し、将来の人口目標を定め、その実現に向けた地方版総合戦略を15年度中に策定するよう求めている。総合戦略に盛り込んだ事業を後押しする使途の白由度が高い交付金は、26日に取りまとめる緊急経済対策に盛り込む方向。併せて、15年度当初予算実に計上することも検討している。交付の条件として、事業の政策効果を検証する仕組みの導入を求めるほか、地域経済や雇用構造の改善にどうつながるか説明を求める。石破担当相は『金・人・ものが、どこから入りどこへ出て行くのかを、地方版の総合戦略には盛り込んでもらう』としている。」(『建設工業新聞』2014.12.17)
●「政府は30年債などの超長期国債の発行額を来年度に2兆円程度増やす方向で調整に入った。低金利が続くうちに超長期債を増やし、将来の利払い費を減らしたい考え。来年度の国債発行総額は170兆円台に減る見通しだが、安定消化は日銀頼みの構図がさらに強まる。政府は歳出抑制などを通じて国債発行を一段と減らす必要に迫られる。」(『日本経済新聞』2014.12.18)
●「政府・与党は19日、富裕層の海外移住による税逃れの防止策を来年7月に導入する方針を固めた。1億円を超える金融資産を持つ富裕層の株式の含み益に所得税などを課税する仕組みを導入する。原則、出国時に課税する。30日にまとめる2015年度税制改正大綱に盛り込む方針。譲渡益への課税は国内に住む人の株式売却益に所得税と住民税が合計20%かかる。現行制度では含み益のある株を保有したまま移住すると、日本政府からは課税されず、売却時に移住先の国が課税することになる。金融資産の売却益に課税しないシンガポールや香港、スイスなどに移住すれば税金はかからない。日本では年間100人程度がこうしたケースにあたるという。節税策としての移住が増加しており、これを是正する狙いがある。」(『日本経済新聞』2014.12.19)
●「政府は22日、首相官邸で開いた経済財政諮問会議で、2015年度予算の基本方針案を示した。15年度に基礎的財政収支の赤字を10年度比で半減させる目標を『着実に達成するよう最大限努力する』と明記した。民間議員は成長率が想定より低かった場合でも20年度に収支を黒字化するには、どのくらいの歳出削減が必要かを示すべきだと提言した。」(『日本経済新聞』2014.12.23)
●「地方中堅企業の業績が足踏みしている。2015年3月期の経常増益率は1%にとどまる見通しで、全国9地域のうち北海道など5地域は減益になりそうだ。海外好調で国内苦戦を補う自動車のようなけん引役が少なく停滞する国内景気の影響を受けやすい。一部では持ち直す動きもあるが、最高益に迫る上場企業全体に比べると『アベノミクス』の地方への広がりは限られている。3月決算の1744社の業績を本社所在地別に集計した。国内外で幅広く事業展開する大企業が多い『日経500種平均株価』採用銘柄を除き、地方の中堅企業の業績を反映しやすくした。4〜9月期決算では上場企業全体が10%経常増益だったのに対し、地方企業は6%増だった。今期通期では北海道、北陸、中国、東海と九州・沖縄の5地域が減益の見込み。好調なのは東北、四国にとどまり、全地域増益だった前期からの減速が鮮明だ。」(『日本経済新聞』2014.12.25)
●「東京都は25日、『東京都長期ビジョン』を公表した。2020年東京五輪を通過点とした今後10年間の東京都の整備方針を示したもので、国際競争力の強化に向けたインフラ整備、頻発する自然災害への備え、スマートエネルギーの導入などに関する8つの都市戦略を提示。それぞれに具体的な取り組み内容や数値的目標を設定するとともに、予算裏付けのある3カ年の実施計画を明らかにした。同ビジョンで示した事業の15−17年度の3カ年での総事業費は3兆7400億円。豪雨対策や災害対応を盛り込んだ都市戦略『安全・安心な都市の実現』に1兆2900億円、スマートエネルギー都市の創造や都市インフラの安全性確保を盛り込んだ『豊かな環境や充実したインフラを次世代に引き継ぐ都市の実現』に1兆1700億円、広域的な物流ネットワークの形成などを実施する『高度に発達した利用者本位の都市インフラを備えた都市の実現』に7800億円など、ハード面の整備に重点を置いた計画となっている。また、20年東京五輪開催までのロードマップとして、大会の開催、成功に不可欠な取り組みや、大会がもたらすレガシーの基本的な方向性も示している。バリアフリー環境の構築や多言語対応などによる外国人が快適かつ安心して滞在できる都市の実現などに向けた取り組みに、3000億円を充てる予定だ。」(『建設通信新聞』2014.12.26)
●アベノミクスの一つ、「異次元の金融緩和」によって引き起こされた円安がとまらない。5日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=120円台に下落。2007年7月26日以降、約7年5カ月ぶりの120円台となった。…円安による原材料費などの高騰が続き、消費税増税も重なって、価格転嫁が難しい中小企業は収益を圧迫されている。経済産業省が11月21日発表した「原材料・エネルギーコストの増加による中小企業・小規模企業への影響調査」によると、昨年10月と比べ「原材料・エネルギーコストが『増加』した」と回答した企業は8割を超え、コスト増加分の「販売価格への転嫁が困難」と答えた企業は約6割だった。…帝国データバンクが4日発表した「『円安関連倒産』の動向調査」によると、11月の「円安関連倒産」は42件と、13年1月の集計開始以来の最多を更新。9月以降、3カ月連続の「月間最多」だった。14年1〜11月の累計を業種別にみると、運輸・通信業が86件(28.6%)で最多。以下、卸売業、製造業、建設業と続いた。負債規模別にみると、負債額5億円未満の中小企業が全体の75%強を占めた。(『しんぶん赤旗』2014.12.27より抜粋。)
●「政府は27日、総額3.5兆円の国費を投じて個人消費を支え、地方の産業振興を後押しする経済対策を閣議決定した。4月の消費増税後にもたつく景気を底上げし、企業の収益を増やして賃金を伸ばす「好循環」を狙う。災害復旧を名目とした公共事業や業界支援が色濃い事業も多く、財政再建との両立には課題も残った。今回の対策は『地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策』と名づけた。対策を裏付ける2014年度補正予算案は3.1兆円程度で編成し、来年1月召集の通常国会で早期成立を目指す。…対策は大きく分けて3つの柱がある。1つは家計や中小企業向けの支援策で約1.2兆円、地方の産業振興に約0.6兆円、災害復旧・震災復興加速に約1.7兆円、合計3.5兆円を計上した。」(『日本経済新聞』2014.12.28)

行政・公共事業・民営化

●「衆院選での与党圧勝を受け、安倍晋三首相(自民党総裁)は特別国会を24日に招集し、第3次安倍内閣を同日中に発足させる。連立政権は継続され、予算編成への影響を最小限にとどめるため、現在の閣僚はすべて再任される見込み。2014年度補正予算案の柱となる経済対策は年内にまとめるが、公共事業分野は3年連続の『15カ月予算』とはならず、補正予算案への公共事業費計上は災害復旧などごく限られたものになるとみられる。」(『建設通信新聞』2014.12.16)
●「国土交通省は16日、国土形成計画(全国計画)の改定作業で中間整理案をまとめた。3大都市圏(東京、大阪、名古屋)や人口100万人クラスの地方都市(札幌、仙台、広島、福岡)、県庁所在地を含む人口数十万人前後の地方部市といった都市の規模に応じてそれぞれ整備方針を設定。人口減少に対応してすべての規模の都市で職住近接の街づくりを推進する。…中間整理案によると、3大都市圏では、職住機能の近接や災害リスクの低減、都市環境の改善、交通渋滞の解消などに貢献する開発やインフラの整備を推進。同時に空き家や空き地を活用して都市再生を推進し、職住機能の集積・集約化を図る。3大都市圏を1時間程度で行き来できるようになるリニア中央新幹線の開業を契機に、3大都市圏を一つの巨大都市圏として捉える『スーパー・メガリージョン』の形成も推進する。人口100万人クラスの地方都市では、広域地方ブロック規模の経済をけん引するような成長産業の集積を進める。…人口数十万人前後の地方都市のうち、県庁所在地クラスの人口数十万人以上の都市では、この規模の人口が設置や営業の最低ラインとなる救命救急センターや大手飲食チェーン店などの都市機能を集積。これらのサービスが広範囲に行き届くよう、他の近隣都市をつなぐ交通ネットワークの形成を進める。」(『建設工業新聞』2014.12.17)
●「長野県は、3月に施行した『長野県の契約に関する条例』(契約条例)に基づく新たな入札契約制度の検討に本格的に乗りだした。新たな制度の柱は、適正水準の労働賃金を支払っている企業に対する総合評価方式での加点措置の試行だ。県は来年度、独自の失格基準価格の計算式の検討も開始する。地域の防災・減災で重要な役割を果たし、地域の雇用の受け皿ともなっている建設業が適正利潤を確保できる仕組みづくりのモデルとして注目を集めそうだ。」(『建設工業新聞』2014.12.22)
●「石川県建設業協会(北川義信会長)と谷本正憲同県知事との懇談会が24日、金沢市の金沢ニューグランドホテルで開かれ、県土木部は今年度内での『歩切りの廃止』について、県内19市町から合意を得たことを明らかにした。首長の考えが色濃く表れやすい地方自治で、公共工事品質確保促進法の改正を受けて同一県内の自治体が歩切りに対して統一的な見解を示すのは全国でも初めてとみられ、他の地域にも少なからず影響を与えそうだ。」(『建設通信新聞』2014.12.25)

労働・福祉

●「労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)安全衛生分科会は17日、塩崎恭久厚労相が諮問した足場からの墜落防止対策を強化する『労働安全衛生規則(安衛則)の一部改正省令案要綱』を妥当と認め、答申した。足場の組み立て・解体・変更作業時に事業者が講じる墜落防止と飛来・落下防止措置の対象を、現行の高さ5メートル以上から高さ2メートル以上の構造の足場にまで拡大した上で、安全帯を安全に取り付ける設備の設置と安全帯の使用を義務化する。足場の組み立てなどの作業に就く労働者に特別教育の受講も義務付ける。2015年1月中に改正安衛則を公布し、同年7月1日に施行する。特別教育は17年中に施行する予定。」(『建設通信新聞』2014.12.18)
●「若手人材の確保が社会全体の大きな課題となり、産業間の人材獲得競争が始まっている。厚生労働省が毎年10−11月に発表している高校卒業後3年以内の離職率を産業別に見ると、ここ数年の人材獲得競争に建設業が負け続けていることが浮き彫りになる。建設業の魅力向上を大前提として、若手にあった人材教育や処遇の改善など各企業による取り組みが急がれている。厚労省が発表している卒業後3年以内の離職率は、ハローワークに対し、新規学卒として雇用保険加入の届けがあった新規被保険者資格取得者の情報から新規学卒者と推定される就職者数を割り出し、離職日から離職率を算出して新規学卒就職者の離職状況として公表している。11月に発表した直近のデータでは、2011年3月に高校を卒業して建設業に就職したものの、3年目の14年3月までに離職したのは48.5%で、前年調査より1.7ポイント上昇した。3年以内に半数近くが辞めた計算になる。…全産業平均は、08年3月高卒が37.6%で、09年3月高卒には35.7%と一旦、離職率が下がったものの、10年3月高卒は39.2%、11年3月高卒が39.6%と、ここ2年間は全体的に離職率が上がっている。全体が上昇傾向にあるものの、建設業の離職率が他産業に追い抜かれるということは、建設業の離職率上昇度合いが他産業より高く、他産業より競争力が低いと見ることができる。…人材獲得に成功している専門工事業者からは『いまの若い人にとっては、まず教科書があるというような分かりやすい教育方法が合っている』と言った声があるほか、『基本的なビジネススキルを身に着けるための新人研修を外部コンサルタントも招聘して実施している』という地域建設業も出始めており、『見て覚える』という教育から脱却し、体系立てた教育制度を整備すると効果が出やすい傾向にある。入り口段階では、建設業に対するイメージの改善や魅力向上が重要になるものの、せっかく入職した若者を他産業に奪われないようにするためには、丁寧な教育も重要な課題と言える。」(『建設通信新聞』2014.12.19)
●「建設産業界が直面している課題の1つである、民間工事の専門工事業・職人の社会保険加入促進に対し、大手ゼネコンと準大手上位企業が相次いで、保険加入負担分の支払いへ向けた体制整備に動き始めている。社会保険加入促進は、積算で上乗せしている公共工事で先行していたが、民間建築工事では遅れていた。短・中期的に市場拡大が見込める建築工事で、専門工事業の社会保険加入促進を元請け大手がけん引するのは、中長期的に現場の各生産工程を担う専門職種ごとの元請けへの専属割合を高めるなど協力会組織強化によって、元請けの生産性向上につながる現場サプライチェーン(供給網)の再構築を図る側面もある。」(『建設通信新聞』2014.12.22)
●「建設業界は、震災復興、都市再開発、2020年の東京五輪に向けたインフラ整備など国内需要が旺盛になってきた半面人手不足や五輪後に想定される国内市場の縮小といった懸念材料を抱えている。こうした状況を背景に震災以降、実習期間中の労働力としての活用、将来的な国外市場での人材確保などを目的に国際研修協力機構で(JITCO)が推進する外国人技能実習制度を利用する企業、団体が増えている。入国2〜3年目の在留資格『技能実習2号』への建設関係移行申請者数は、11年の3679人から12年は4595人に、13年には5347人に増加。ピークは08年の5918人だったが、当時は中国人申請者が全体職種で5万人近くいたのに対し、過去3年は中国人申請者が4万人を下回る中での上昇となっている。その理由の一つが、ベトナム人申請者の増加だ。10年に3600人弱だったベトナム人申請者は、13年に約7600人まで拡大。同年から、国土交通省によるベトナム人の建設技能実習生を日本の工事現場で受け入れて育成する取り組みも始まった。」(『建設工業新聞』2014.12.25)
●残業をしたのに賃金が支払われない「サービス残業」(不払い残業)で、厚生労働省がこのほど、「監督指導による賃金不払い残業の是正結果」を発表した。2013年度に企業が労働者に支払ったサービス残業代の是正額は123億4198万円(前年度比18億8505万円増)だった。…13年度に不払い残業代が是正された労働者は、11万4880人(同1万2501人増)。是正企業数は1417企業(同140企業増)だった。1企業での最高の支払額は4億5861万円だった。(『しんぶん赤旗』2014.12.26より抜粋。)
●「大阪・泉南地域のアスベスト(石綿)工場の元従業員らが国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が国の責任を認めたうえで審理を高裁に差し戻した『第1陣訴訟』は26日、大阪高裁(山田知司裁判長)で和解が成立した。国による謝罪や賠償金の支払いなどが柱。第2陣訴訟は原告側勝訴の判決が確定しており、8年半に及んだ一連の訴訟は終結する。 原告以外の患者について、就労時期などが最高裁が国の責任を認めたのと同じ条件なら和解する方向も盛り込まれた。」(『日本経済新聞』2014.12.27)
●非正規雇用の労働者数が11月、初めて2000万人を超えて2012万人となった。役員を除く雇用者に占める非正規の比率は38%に達した。26日、総務省が発表した「労働力調査」で分かった。前年同月比では、非正規が48万人増えた一方、正規が29万人減。正社員を減らして非正規雇用に置き換える動きがいっそう進んでいる。(『しんぶん赤旗』2014.12.27より抜粋。)
●資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保が、前年度からのわずか1年で13兆円積み増し、過去最高の285兆円に達している(全労連・労働運動総合研究所〔労働総研〕調べ)。実質賃金が17カ月連続で減少するもと、2015年春闘で求められる月2万円などの大幅賃上げを実現する条件は十分あることを示している。大企業は、法人税の引き下げや優遇税制などによる恩恵を受けながら、正社員の定期給与の抑制、低賃金の非正規雇用労働者を増やしたことで、内部留保を積み増している。労働者の賃金は深刻です。民間給与実態統計調査によると、年間平均賃金は昨年より5万6000円(1.4%)上がり、413万6000円となった。(『しんぶん赤旗』2014.12.29より抜粋。)

建設産業・経営

●「自民、公明両党は30日、2015年度税制改正大綱を決定した。法人実効税率(東京都は35.64%)を15〜16年度に3.29%以上引き下げ、企業の実質的な税負担を4200億円減らすのが柱。消費税は17年4月に10%への引き上げを明記し、配偶者控除など所得課税の見直しは今後の検討課題とした。…柱になる法人実効税率の引き下げ幅は15年度が2.51%、16年度は財源となる外形標準課税の拡充分を踏まえ0.78%以上引き下げる。政府は15年度から『数年間で20%台に引き下げる』との目標を掲げており、目標の半分以上について当初2年でメドをつけた形だ。財務省によると、法人実効税率引き下げによる減収額は15年度で約9900億円。確保した代替財源の約7800億円を差し引くと2100億円が実質的な減税となる。16年度は外形標準課税の拡充分を法人減税に充てるため、減税規模は2100億円で変わらない。法人減税の代替財源として増税になるのは、赤字企業にも課税する外形標準課税の拡充が柱で、大企業を対象に15年度に現在の5割増、16年度に2倍に広げる。…消費再増税は1年半先送りして17年4月に10%に引き上げることを明記し、再増税に備えて消費喚起を促す税優遇措置を盛り込んだ。父母らから贈与された住宅資金の非課税枠を段階的に広げ、16年10月から1年間は3000万円に拡大する。住宅ローン減税も19年6月まで1年半延長する。」(『建設工業新聞』2014.12.16)
●「東日本建設業保証が、同社と保証取引実績のある建設業の決算書を基に13年度の決算分析を行ったところ、新潟、富山、石川の3県に本社を置く建設企業の収益性がかなり改善していることが分かった。総合的な収益性を示す売上高経常利益率の平均値は、3県とも2年連続でプラス。12年度は同利益率が1%を上回ったのは新潟だけだったが、13年度は富山、石川も1%を超えた。」(『建設工業新聞』2014.12.16)
●「経済産業省中小企業庁がまとめた10−12月期の中小企業景況調査によると、建設業の業況判断DI(好転から悪化を引いた指数)は、前期(2014年7−9月)から0.1ポイント改善したもののマイナス8.5と、3期続けてマイナスのDIとなった。業種別の『総合工事業』はマイナス11.2となり、前期から0.5ポイント悪化した。一方で『職別・設備工事業』はマイナス6.2と2.9ポイント上昇し、業種別で景況感にばらつきがある。…建設業の経営上の問題点は、5期連続して『材料価格の上昇』が1位で、2位が『民間需要の停滞』。3位は『官公需要の停滞』で、2期連続で5位だった『従業員の確保難』が4位に上昇した。」(『建設通信新聞』2014.12.17)
●「建設コンサルタンツ協会(大島一哉会長)が会員を対象に実施した2013年経営分析によると、売上高、売上高営業利益率は2年連続プラスだった。売上高は大手が顕著な伸びを示しているが、営業利益は逆に中小が大手よりも大幅に増加した。また、営業利益率は9地区すべてで前年を上回ったが、地域間でばらつきも見られた。…1社当たり平均の総売上高は、27億2400万円で前年比6.3%増、12年の6.8%増とほぼ同程度の伸び率だった。過去5年間の総売上高は11年の23億9900万円が底で、同年の東日本大震災発生後、復旧・復興需要で12年から増加に転じ、アベノミクスによる公共事業拡大で13年も増加を維持した。総売上高営業利益率も、11年が2.6%、12年が3.8%、13年が5.4%と回復傾向にある。総売上高の推移を企業規模別に見ると、建設コンサル業務が売上高の80%以上を占める専業社(138社)で大手と中小の差が大きくなっている。08年を100とした場合、13年は売上高60億円以上(19社)が126だが、6億円未満(49社)は99で水面下だった。」(『建設通信新聞』2014.12.18)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)は18日、『中長期ビジョン』の中間とりまとめを理事会で承認した。2050年を見据えた建設業の役割を『21世紀の歴史をひらき、文化をつくる』、業界全体の姿を『国民とともに歩み、地域と国を支える』、企業のあり方を『持続的成長可能な経営を実践し、国と世界の発展に貢献する』とし、目指すべき姿に向けた25年度までの道筋を示す。今後、中間とりまとめを基に検討をさらに深めるとともに、関係団体や有識者の意見を聞き、来春に最終まとめを策定する。」(『建設通信新聞』2014.12.19)
●「経済産業省は24日、2014年度第4四半期(15年1−3月期)の鋼材需要見通しをまとめた。普通鋼鋼材のうちの建設部門の国内消費量は、前期(14年10−12月期)実績見込み比3.1%減の560万1000トンとみている。前年同期比では3.5%減となる。公共土木部門が期ずれで減少するほか、人材不足などによる工事の遅れにより実需発生のタイミングのずれが続いている。また、予算執行前倒し効果が薄れることによって、鋼材需要は前年同期比でも減少すると見込んでいる。…建設部門の内訳をみると、土木は前期比8.3%減の174万1000トンの消費を見込む。前年同期比では5.1%減となる。…建築は前期比で0.6%減の386万トンを見込む。前年同期比では2.8%減となる。」(『建設通信新聞』2014.12.25)
●「国土交通省は25日、2014年度下請取引等実態調査の結果を発表した。今回新たに設問に加えた『法定福利費が内訳明示された見積書の活用状況』については、全部または一部の工事で提示するよう働き掛けている元請けと、実際に提出している下請けが、それぞれ3割程度であることが分かった。社会保険は加入が進んだ一方、未加入業者の中で、今後加入する予定という前向きな意識は薄れた。また、実勢価格の上昇などに伴い、約6割の企業が技能労働者の賃金水準を引き上げた(予定を含む)と回答した。」(『建設通信新聞』2014.12.26)
●「国土交通省は25日、建設業の各許可業種に対応した『建設工事の内容』と『建設工事の例示、区分の考え方』を改正した。施工実態・取引実態の変化や各業種区分に対応した業界団体の要望を踏まえて見直し、『内容』は国交省告示として同日付の官報に掲載。『例示、区分の考え方』は建設業許可事務ガイドライン改正に反映させ、建設業課長名で各地方整備局や都道府県、建設業界団体に通知した。」(『建設工業新聞』2014.12.26)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「日本スポーツ振興センター(JSC)は18日、国立競技場(東京都新宿区霞ヶ丘町10の1ほか)の解体工事に着手する。解体作業に入るのは、15日に施工者を選定した商工区で、18日は国立競技場の南側部分で仮囲いや現場事務所などの設置作業が行われる予定だ。2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の本体建設に向けたカウントダウンが始まる。JSCは、3日に現競技場の解体工事の施工者を決める一般競争入札(WTO対象)を北工区と南工区の2件に分けて実施したが、いずれも低入札価格調査となり、15日に調査を終えた南工区の落札者を関東建設興業に決めた。落札額は13億9400万円(予定価格17億3956万6000円)。…3回目となる今回の入札は、着工時期が当初の予定よりも半年程度遅れていることを考慮し、発生土の運搬作業など工事内容の一部を本体工事に移行して実施。工期は前回の入札時に設定していた15カ月から9.5カ月に短縮し、金属類などの発生部材の処理作業を工事内容から外した。」(『建設工業新聞』2014.12.17)
●「JR東海が東京・品川〜名古屋間(路線延長285.6キロ)で2027年の開業を目指すリニア中央新幹線が17日着工する。…大深度地下や3000メートル級の山岳地帯でのトンネル工事など各所で難工事が予想される中、施工を担当する建設会社への期待は大きい。総工費は5.5兆円。計画によると、既設駅舎の直下に開削工法で建設する品川、名古屋の両ターミナル駅は開業の27年までの工期を要する。15年度から本体工事に着手するため、自社所有地内で準備工(フェンス設置や資材置き場整備、支障物の整理・撤去など)を先行して進める。路線全体の86%に当たる246.6キロをトンネルが占め、高架橋が8%の23.6キロ、路盤が2%の4.1キロ。南アルブストンネル(25キロ)は最大土かぶり1400メートルに及ぶ日本一の大深度トンネルになる。」(『建設工業新聞』2014.12.17)
●「国土交通省は17日、第5回の『住宅団地の再生のあり方に関する検討会』(座長・浅見泰司東大院教授)を開き、これまでの議論で抽出された課題と提案された課題解決への方策を整理した。ニュータウンに代表される大規模な住宅団地は、人口減少社会の到来に伴う空き家の増加や住民の高齢化を背景に再編・集約が求められているが、区分所有のマンションは大規模であればあるほど関係権利者が多く、建て替えに向けた合意形成が難しい。…また、容積率制限や日影規制が導入される以前に建設された既存不適格マンションでは、建て替え後に従前マンションの規模を確保できないといった問題もあるため、思うように建て替えが進んでいない。…こうした課題を解決に導くツールの1つが、一括ではなく『敷地分割』によって団地の再生・再編を促す仕組み。棟ごとあるいはブロックごとに再生事業の単位を細分化。部分的かつ段階的に再生・再編を促す視点だ。」(『建設工業新聞』2014.12.18)
●「経済産業省資源エネルギー庁は18日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直し策を決めた。太陽光発電の買い取り価格の決定時期は、電力会社への接続申し込み時点から『接続契約時』に後ろ倒しし、実質的に価格を現在より引き下げる。来年度から適用する。電力会社が発電事業者に発電の一時停止を求める『出力抑制』の対象も来年1月中旬から拡大。」(『建設工業新聞』2014.12.19)
●低所得の若者の4人に3人が親と同居し、親もとを離れた若者も重い住居費負担で“極貧”状態にある――。貧困下にある若者の居住の実情が明らかになった。ホームレス支援を行うNPO法人「ビッグイシュー基金」住宅政策提案・検討委員会が17日、記者会見し「若者の住宅問題」調査結果を発表した。貧困と居住の関係に着目した調査は初めてという。関東・関西8都府県に住む20〜39歳の年収200万円未満(学生を除く)の未婚者を対象に8月にインターネットで実施。1767人から回答を得た。住居費を負担する人のうち、手取り月収から住居費を引くと「マイナス」になる人は27.8%だった。親と同居している人のうち、「年収50万円未満〜なし」が5割以上を占め、7割以上の人が「将来結婚したいが、できるかわからない・できないと思う」「結婚したいと思わない」と答えた。回答者の3人に1人が「いじめ」を経験し、「不登校・引きこもり」(22.5%)、「うつ病などの精神的問題」を抱える人(27.6%)が多いことも分かった。親と同居する人はこれらの割合がさらに高く、複合的な問題を多く経験し、社会的に孤立する傾向にあると分析している。(『しんぶん赤旗』2014.12.19より抜粋。)
●「国土交通省の『コンパクト+ネットワーク』への取り組みが本格化する。コンパクトシティーを効果的につなぐ公共交通ネットワークの再構築へ、全国で第1号となる『地域公共交通網形成計画』が動き出す。まちづくりとの連携や地域全体をとらえた面的な公共交通ネットワークの再構築を促すため、地方自治体が先頭に立って、地域公共交通の活性化や再生に向けた取り組みを推し進める。地域公共交通網計画は、11月20日に施行した地域公共交通の活性化および再生に関する法律(改正地域公共交通活性化再生法)に基づくもの。19日に第1号となる『北近畿タンゴ鉄道沿線地域公共交通網形成計画』(対象地域=京都府福知山市、舞鶴市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町と兵庫県豊岡市)と『四日市市地域公共交通網形成計画』(同=四日市市)が国交省に提出された。2つの計画は、公有民営化(鉄道の上下分離)による事業構造の変更を行う『鉄道事業再構築事業』を実施事業に位置付けている点がポイントとなる。継続が困難または困難となる恐れがある旅客鉄道事業を対象に、当該路線の輸送機能の維持を目的として自治体と事業者が協働で経営改善に取り組む。」(『建設通信新聞』2014.12.24)

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