情勢の特徴 - 2015年1月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「安倍政権が重要課題に掲げる地方創生が動き出す。政府は22日、地域の特色を生かした活性化策をまとめた21の『地域再生計画』を認定する。昨年秋の臨時国会で成立した改正地域再生法に基づく第1弾で、地方自治体による地方創生のモデル事業と位置づける。経済政策『アベノミクス』の地方波及が遅れる中、4月の統一地方選に向けて実績づくりを急ぐ狙いもある。政府が2014年度補正予算案に計上した自治体の地方創生に関する事業を後押しする交付金は2段構えになっている。このうち『地域再生戦略交付金』(約50億円)は『地域再生計画』を認定した自治体に配分する。まちおこし事業などが対象だ。 もう1つは自治体が柔軟に使い道を決められる地方創生に関する新たな交付金(約4200億円)で、購入価格より額面のほうが高いプレミアム商品券の発行のほか、就業支援や移住促進など自治体の長期的な取り組みを幅広く支援する。」(『日本経済新聞』2015.01.20)
●「財務省が26日発表した2014年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は12兆7813億円の赤字になった。赤字は4年連続で、比較可能な1979年以降では最大だった。円安で液化天然ガス(LNG)などの輸入額が膨らんだほか、半導体などの輸入も増えた。ただ年末にかけて輸出増や原油安の影響で赤字幅は縮小している。」(『日本経済新聞』2015.01.26)
●「26日開会の通常国会に提出された2014年度補正予算案のうち、一般会計の公共事業予算規模は、土木分野の『公共事業関係費』が3223億円、船舶建造費なども含む建築分野の『その他施設費』が3267億円の計6490億円になることが分かった。当初予算も合わせると、14年度の公共事業費は、公共事業関係費が6兆1970億円、その他施設費が8294億円の計7兆0264億円となる。今後執行される公共事業予算でみた場合、14年度補正予算案と15年度予算案をあわせた公共事業関係費は、6兆2934億円になる。」(『建設通信新聞』2015.01.27)
●「消費関連企業の景況感を示す『日経消費DI』の1月調査は業況判断がマイナス19となり、前回調査の2014年10月時点から6ポイント悪化した。3カ月後の見通しも物販、外食ともに落ち込む。消費者の支出意欲に対する見方も東日本大震災直後に次ぐ低水準となっており、個人消費にはなお上向く兆しがみられない。…業種別の業況判断をみると、物販は14ポイント低下のマイナス25。百貨店が30ポイント下がり、前回のプラスからマイナスに転じた。主要10都市を除く地方店の既存店売上高は12月に前年同月比3.8%減となり、9カ月連続で前年割れした。消費増税に伴う落ち込みの影響は地方ほど大きく出ている。スーパーの業況判断も1月時点、3カ月後ともにマイナス。小売り最大手のイオンは総合スーパーで『価格政策も含めた増税対応に失敗』(岡崎双一専務執行役)し、14年3〜11月期連結決算は大幅営業減益となった。」(『日本経済新聞』2015.01.28)
●民間信用調査会社の帝国データバンクが27日発表した2014年の『休廃業・解散』動向調査によると、1年間の『休廃業・解散』件数は2万4106件で、『倒産』とあわせると従業員8万6000人以上に影響があったことが分かった。調査によると、14年の『休廃業・解散』は前年比で4.7%減少したものの、同年の『倒産』(9180件)の約2.6倍に上った。業種別に見ると『建設業』がトップで7568件と全体の3割を占めている。『サービス業』が4958件、『小売業』が3784件と続いている。…『休廃業・解散』した企業の代表者の年齢では、14年には80歳以上が9.6%を占めた。10年前が4.5%だったことからも、高齢や後継者難を背景とした『休廃業・解散』のケースが増えてきたことが裏付けられた。(『しんぶん赤旗』2015.01.29より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は21日、八ツ場ダム、(群馬県長野原町)の本体工事に着手した。巨大公共事業の象徴として、民主党政権時に建設手続きが一時中止になった経緯がある。2019年度末まで完成する予定だ。ダム本体を造るための基礎掘削工事として、爆薬を使って岩盤を砕く発破作業の準備を始めた。実際の発破作業は22日からの予定。2月7日には関係者らが参加する起工式を開く。八ツ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設予定の多目的ダムで、旧建設省が1952年から調査に着手。94年には周辺工事が始まった。水没予定地の住民の多くは高台の代替地に移転した。…昨年8月、清水建設など3社による共同企業体(JV)が本体工事を請け負うことが決まった。ダムの総事業費は約4600億円で、JVが落札した本体工事費は342億5000万円。」(『日本経済新聞』2015.01.21)
●「改正公共工事品質確保促進法(品確法)に基づく、発注関係事務の共通ルール『運用指針』の全容が21日、明らかになった。法改正で明確化された発注者責務をすべての公共発注機関に全うしてもらうため、最新積算基準の適用や歩切りの根絶、低入札価格調査制度・最低制限価格制度の活用徹底、適切な設計変更などを必須事項に掲げた。運用指針は、月内にも開く関係省庁連絡会議の申し合わせを経て正式決定する見通し。今後の焦点は、いかに市町村レベルまで根付かせるかという点に移る。国土交通省は内容の周知徹底に向け、全国規模での説明会の開催や相談窓口の開設を予定。詳細を記す解説資料も別途作る。4月1日から、指針に基づく発注関係事務の運用を全面展開する。運用指針は、ダンピングの防止や入札不調・不落への対応、社会資本の維持管理、中長期的な担い手の育成・確保など、公共事業を取り巻く重要課題の解決に資することを目的に定める。…維持管理分野を含め、▽調査・設計▽工事発注準備▽入札契約▽工事施工▽完成後――の各段階で発注者が取り組むべき内容を列挙。受注者の適正利潤確保を念頭に置いた予定価格の設定などを促す。義務的な色合いを濃くした必須事項として、適正な工期を前提とする最新の積算基準の適用や、品確法違反に該当する歩切りの禁止、予定価格の原則事後公表などを明記。低入札価格調査制度・最低制限価格制度の適切な活用を徹底し、ダンピング受注をなくす。…努力事項には、多様な入札契約方式の選択・組み合わせや標準積算と実勢価格に禿離が想定される場合の見積り活用、受発注者間の情報共有や協議の迅速化などを盛り込んだ。…発注・施工時期の平準化を図るため、債務負担行為の積極的な活用や年度当初からの予算執行、年度末への納期集中の回避といった工夫を講じるとともに、建設資材や労働者の確保に配慮した着工までの余裕期間の設定などを推進。週休2日の確保に伴う不稼働日などを踏まえた工期設定にも努める。定期の競争参加資格審査や元請企業に対する指導強化などにより、社会保険未加入業者の排除を促す。」(『建設通信新聞』2015.01.22)
●「国土交通省は、災害で壊れた河川・海岸施設を原形以上の機能で復旧する災害改良工事で、都道府県と政令市に行っている工事費の助成制度を15年度に見直す。最長5年の助成期間中に、事前に予測できなかった情勢変化で工事費が増額した場合、増額分の半額を補助する新しい仕組みを導入する。労務費や資材費の高騰などで懸念される入札不調・不落の発生や工期遅延を防ぎ、大規模災害への備えを急ぐ狙いだ。」(『建設工業新聞』2015.01.23)
●「首都高速道路会社は27日、首都高の大規模更新事業の初弾案件となる『高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事』の公募型プロポーザル(WTO対象)手続きを開始した。老朽化した高速1号羽田線東品川桟橋・鮫洲埋立部(東京都品川区東品川2〜東大井1、延長1.9キロ、4車線)を約11年かけて全面的に架け替える大規模更新事業で、総事業費(用地費を含む)は912億円(税込み)。全区間の上下部工を一体で設計・施工(DB)一括方式で発注する。5月下旬にも優先交渉権者を選定し、7月2日に見積もり合わせを行った上で契約を締結する。」(『建設工業新聞』2015.01.28)
●「ゲリラ豪雨で都市部の浸水被害が相次いでいることから、国土交通省は水防法改正案を通常国会に提出する。下水道や側溝から水があふれ、浸水の危険がある区域の指定を市町村に義務付ける。地下鉄事業者や地下街の管理者には利用者の避難計画の策定を求める。…国交省によると、都市部を中心にゲリラ豪雨時に排水が追いつかず、地下街などに流れ込む被害が頻発している。現行の水防法は、河川ごとに洪水で甚大な被害が予想される『浸水想定区域』を指定することを国や都道府県に義務付けている。しかし、下水道や側溝のあふれによる浸水は『内水被害』として分類されており、河川氾濫のように浸水想定区域の指定がない。このため、改正法案では市町村に内水被害の恐れがある区域の指定を義務付け、河川氾濫などと同様に浸水対策を取る。」(『日本経済新聞』2015.01.30)

労働・福祉

●「建設大手がリーダー格の現場作業員の確保を急ぐ。独自の報奨金の制度を拡充するケースが目立ち、清水建設は2015年度に支払金額を今年度の約2倍に引き上げる。大林組は技能伝承を後押しするため支給年齢を引き上げる。建設業界は作業員の人手不足が深刻になっている。東京五輪まで工事は高水準が続きそうで、中長期で自社の工事能力を維持する考えだ。建設業の人手不足は続いており、足場を組むとび工など骨組みにたずさわる職種の求人倍率は7倍を超える。作業員は協力会社が雇い、直接に増員できないため、奨励制度を使って支援する。」(『日本経済新聞』2015.01.16)
●国際労働機関(ILO)はこのほどまとめた「世界賃金報告2014−15年版」で、日本の実質賃金が13年になっても08年のリーマン・ショック前を下回っているとし、非正規雇用の増加が原因であると指摘した。…報告書は「日本で労働所得が減ったのは、多くの企業が非正規労働者を雇えるようになった1990年代半ばの労働市場改革と関係がある。改革の結果、正社員より低賃金の非正規雇用労働者が増え、賃金の停滞を招いた」と分析した。日本では、労働者派遣法が次々に改悪されて非正規雇用が急増。その数は14年11月に2000万人を超え、全労働者に占める非正規の比率は38%に達している。報告書は、賃金と所得の格差が世界で拡大していることに懸念を表明。「格差の拡大は社会の公正さを損なうだけでなく、経済にも否定的な結果をもたらす」と述べた。(『しんぶん赤旗』2015.01.16より抜粋。)
●「厚生労働省は16日に労働政策審議会の分科会を開き、時間ではなく成果に賃金を払う新しい成果主義の制度案を示した。年収基準は1075万円以上。労働時間規制を外す職種として研究開発など5つを例示した。対象職種の追加も検討する。今月末の決着に向け対象を広げたい経営側と狭めたい労働側の綱引きが激しくなりそうだ。…新しい成果主義は1日8時間、週40時間という労働時間規制を外す仕組みでホワイトカラー・エグゼンプションと呼ばれる。残業代や深夜・休日手当がなくなり、長く働いても賃金は増えない。…厚労省は新しい成果主義を『高度プロフェッショナル労働制』と名付けた。対象職種は@金融ディーラーAアナリストB金融商品の開発CコンサルタントD研究開発の5つを例示した。厚労省は企業への聞き取りを進めて、職種の追加も検討する。年収要件は技術系課長職の年収の上位4分の1の水準として1075万円を示した。省令で明記する。法案に『年収が平均給与の○○倍を相当程度上回る』といった条文も盛り込んで、将来の改定に一定の歯止めをかける。」(『日本経済新聞』2015.01.17)
●「国土交通省は19日、社会保険未加入対策に関連する各種実態調査の結果を公表した。2014年10月に実施した公共事業労務費調査の速報値によると、技能労働者の3保険(健康・年金・雇用)加入率は、前年同期より5.6ポイント上昇し、67.3%となった。また、民間建築工事に特化した初の現場サンプル調査の速報版では、上位クラスの元請企業などが手掛ける現場の作業員の加入率は、公共事業分野とほぼ同水準にあることが明らかになった。労務費調査に基づく、ここ3年間の3保険加入率の推移をみると、11−12年の間では1.2ポイント増、12−13年は3.8ポイント増、13−14年は5.6ポイント増となっており、加速度的に上昇していることが分かる。保険の種類別では13−14年の間に、健康は6.0ポイント、年金は5.3ポイント、雇用は3.0ポイントそれぞれ上昇した。公共工事設計労務単価の引き上げや、直轄工事などにおける未加入業者の排除措置、許可更新時の指導徹底、建設業団体による行動指針策定など、官民を挙げたさまざまな取り組みが奏功したほか、企業業績の回復など建設業を取り巻く環境の改善傾向も背景にあると見られる。…また、法定福利費を内訳明示した見積書については、元請企業の21.3%が、全部または一部契約で下請企業に提出するよう指導したと回答。34.9%が実際に提出を受け、そのうちの54.1%は、法定福利費を含む見積金額全額を支払う契約をしたという。一方で、注文者に当該見積書を提出していない下請企業も69.4%と依然、多数存在している。提出しなかった理由は『注文者から提出するよう指示がなかった』が圧倒的に多い。元請け、下請けという関係性から“待ちの姿勢”を取っていると見られるが、提出された見積書を尊重する元請企業は着実に増えてきており、下請企業側にも『まずは提出する』という自発的な行動が求められている。」(『建設通信新聞』2015.01.20)
●「2014年(1−12月)の建設業での休業4日以上の死傷者数が、前年同期比(前年同時点比)0.2%増(30人増)の1万5792人と、4年連続して増えていることが、厚生労働省が20日にまとめた14年の労働災害発生状況(速報、1月7日時点)で分かった。うち死亡者数は359人で10.8%増(35人増)となり、2年ぶりの増加と悪化した。特に首都圏では今夏以降、土木・建築とも大規模工事を含め工事が一斉に集中することが予想され、建設業界にとってはさらなる労災防止策徹底の取り組みが必要不可欠となることは確実だ。」(『建設通信新聞』2015.01.21)
●「男女共同参画白書(平成26年度版。内閣府)の『労働人口率』によると、近年、女性の労働力人口が増加。平成25年には昭和43年以降でもっとも多い2804万人となっている。『女性の年齢階級別労働力率の推移』(図1)は女性の年齢別の労働力を示しており、20代から50代の労働力の増加が見て取れる。さらに平成9年には、『共働き世帯数』が『男性雇用者と無業の妻から成る世帯』を上回った。その差は年々開いている。女性の社会進出は工務店業界にも波及している。効率的な家事動線やデザイン性、子育てにやさしい間取り、適材適所にある充実した収納など、女性目線のアイデアを詰め込んだ家づくりが、広がりを見せている」(『日本住宅新聞』2015.01.25)
●「国土交通省は23日、土木コンサルタント業務などの積算に使う『2015年度設計業務委託等技術者単価』を決めた。全業種平均の基準日額は3万4175円で、前年度に比べて4.7%上昇した。14年に建設関連業界で相次いだベースアップや賞与増加など、処遇改善の動きが反映されたと見られる。4%台の大幅な伸びは2年連続。各職種単純平均の推移をみると、ピーク時(1997年度)の約9割の水準まで回復したことになる。新技術者単価は、月内の改定に向け、現在調整中の公共工事設計労務単価と合わせて適用する。技術者単価は、所定労働時間内8時間当たりの基本給相当額、諸手当、賞与相当額、事業主負担額で構成する。全体で約700社、1万8000人程度の技術者を対象に行った貸金実態調査の結果を反映した。業種別の職階平均は、設計業務が前年度比5.16%増の4万2214円、測量業務が7.23%増の2万7300円、航空・船舶関係が2.43%増の3万2080円、地質業務が3.64%増の3万0367円。処遇改善が積極的に行われ、もともとの水準が他業種に比べて低かった測量の伸びが顕著となった。97年度を100%とした場合の15年度水準は、地質が100%となり、ピーク時の水準まで戻った。このほかの業種も測量91%、航空・船舶88%、設計87%と回復傾向にある。」(『建設通信新聞』2015.01.26)
●「厚生労働省は30日、2015年度の公的年金の受取額を発表した。厚生年金を受け取る夫婦二人のモデル世帯では、22万1507円となり、14年度より2441円増える。年金の伸びを賃金や物価の伸びより抑える『マクロ経済スライド』を初めて実施するため、年金額の伸びを14年度比0.9%増にとどめる。年金制度の持続性を高める狙いがある。」(『日本経済新聞』2015.01.30)
●「今後の道路メンテナンスの課題を探るため、日刊建設通信新聞社は、神奈川県と県内19市の職員数動向を調査した。2014年度の20自治体を合計した全職員数は05年度比で、7.8%減の7万4114人。このうち、同年度を比較した土木系職員数はこの約2倍のペースで減少し、14.2%減の2900人となっていた。団塊の世代の大量退職など、各自治体で職員数が減少するなか、土木職は著しい落ち込みを示している。」(『建設通信新聞』2015.01.30)

建設産業・経営

●「セメント各社が海外展開を加速する。太平洋セメントは2015年秋、フィリピンに製造設備を新たに導入し、生産能力を1.7倍にする。トクヤマはセメントの中間原料をオーストラリアやニューカレドニアに輸出する。セメント国内市場は20年の東京五輪関連工事が一巡すれば需要が減る見通し。アジア・太平洋を中心とした海外需要を取り込み、収益源を広げる。」(『日本経済新聞』2015.01.20)
●「元下双方の建設業団体や行政機関、学識経験者ら建設業関係者が一堂に会す『社会保険未加入対策推進協議会』の第4回会合が19日、東京都内で開かれ、元請企業が下請企業に示す見積条件の中に、『法定福利費を内訳明示した見積書の提出』を明確に記すことなどを申し合わせた。建設業界における保険加入促進の取り組みについて、民間発注者にも理解を深めてもらうため、今回から不動産協会など12団体が新たにオブザーバーとして参画した。…申し合わせによると、元請企業は受注時に適正な法定福利費の確保に努めるとともに、法定福利費を内訳明示した見積書の提出を、下請企業に対する見積条件に明示する。下請企業は、建設労働者の雇用・請負関係を明確に区分した上で、自らが雇用する労働者を適切な保険に確実に加入させ、請負関係にある者にも同様の対応をとるよう指導を強化する。また、自社の経理を明確化し、注文者(元請企業、直近上位の下請企業)に、法定福利費を内訳明示した見積書を確実に提出する。再下請にも当該見積書の提出を促し、それを尊重する。国土交通省は、当該見積書の作成を促進する環境整備と、関係者への働き掛けを積極展開する。同省としては、申し合わせの内容などを反映させて『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』を改訂するほか、業界団体に加入していない小規模事業所の活用も視野に、法定福利費の算出方法などを解説する『見積書作成のポイント(仮称)』を14年度内に作る。」(『建設通信新聞』2015.01.20)
●「公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)は21日、14年12月に実施した建設業景況調査(14年度第3回)の結果を発表した。調査対象期間の14年10〜12月の地元建設業界の景気を表すBSI(景況判断指数)はマイナス4.5で、前回(14年7〜9月)調査の0.0から4.5ポイント下降。13年4〜6月以来、6四半期ぶりにBSIがマイナスとなり、『悪い』傾向に転じたことを示した。地元建設業界の景気は、東北と四国を除くすべての地区で『悪い』傾向。特に東海地区はマイナス9.0と悪化傾向が顕著だった。受注総額に関するBSI値も、マイナス7.5と減少傾向がやや強まっている。官公庁工事、民間工事とも同様の傾向で、ここでも東海地区がマイナス12.5と特に減少傾向が強かった。景気悪化・受注減少の要因について3社は『年度前半の公共工事の前倒し発注で、後半に息切れ感が出ていることも想定される』(調査担当者)としている。この15年1月〜3月はマイナス8.0とさらに悪化する見込みとなっている。」(『建設工業新聞』2015.01.22)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は26日、14年12月末時点の会員企業98社の受注実績を発表した。14年4〜12月の累計受注額は10兆7892億円と前年同期を7.6%上回った。4〜12月の累計受注額が10兆円を超えたのは16年ぶり(当時は48社)となる。98社の4〜12月受注額の内訳は、民間からの受注が6兆3707億円(前年同期比7.4%減)、官公庁からの受注が3兆6529億円(39.4%増)、海外受注が7401億円(46.0%増)。」(『建設工業新聞』2015.01.27)
●「東日本大震災で被災した高速道路舗装復旧工事の入札で談合を繰り返した疑いが強まったとして、公正取引委員会は28日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、入札に参加したNIPPOや前田道路など道路舗装会社13社の本社などに強制調査に入った。検察当局への刑事告発を視野に調査を進める。…工事を発注したのは、東北自動車道などの高速道路を管理する東日本高速道路会社(NEXCO東日本)の東北支社。公取委はほかに、国が発注元の工事でも談合をしていた疑いがあるとみて調べる。関係者によると、各社は2011年夏ごろ、福島、宮城、岩手各県などで行われる高速道路の舗装工事、少なくとも12件の入札をめぐり、事前に入札金額や落札者を決め、受注調整した疑いが持たれている。12件の落札金額は総額180億円弱とみられる。」(『日本経済新聞』2015.01.28)
●「国土交通省は昨年末、建設業法に基づく許可業種区分に対応した『建設工事の内容』と『建設工事の例示』『建設工事の区分の考え方』を示す告示やガイドラインを改正した。近年の施工実態などを反映させて内容を見直した。昨年の通常国会で成立した改正建設業法で29番目の業種区分として新設された『解体工事』の内容、例示、区分の考え方も追加した。…『内容』は国交省の告示として官報に掲載、『例示』『考え方』は建設業課長名の通達である建設業許可事務ガイドラインで示された。…『解体工事』の新設に対応した改正では、従来はとび・土工・コンクリート工事の内容や例示に入っていた『工作物の解体』『工作物解体工事』をそれぞれ解体工事の欄に移行。考え方では、総合的な企画、指導、調整の下で行う土木構造物や建築物の解体は土木、建築の各一式で対応するとし、各専門工事で建設される目的物だけを解体する工事は各専門工事に該当すると整理した。近年増えている太陽光発電に関連した工事については、屋根一体型のパネル設置は『屋根工事』、設備設置は『電気工事』の業種区分に該当することを明確化した。こうした複数にまたがる区分の考え方を列挙したものについては、関係するすべての業種区分に再掲したのも今回の特色の一つ。該当する一つの許可業種を持つ業者が、他の区分を見ていちいち比較するといった面倒な手間を省けるようにした。」(『建設工業新聞』2015.01.29)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「6000人を超す犠牲者を出した1995年1月17日の阪神大震災から17日で20年を迎える。機能集積が進んだ大都市を襲った直下型地震は当時、戦後最大規模の自然災害となった。同時に防災・減災の面で多くの貴重な教訓も生み、その後も頻発する各地の自然災害で生かされている。建設業界もインフラの応急復旧や物資搬送、がれき処理などで経験を積み、災害時の初動態勢や公共機関との災害協定、広域支援体制、さらには事業継続計画(BCP)といった形で実を結んでいる。」(『建設工業新聞』2015.01.16)
●「東京都オリンピック・パラリンピック準備局は、15年度予算案に前年度比164.1%増の642億7200万円を計上した。このうち五輪競技場などの整備費に468億円を充てる。施設計画を見直していた新設競技場の設計費をほぼ確定し、14年11月の概算要求時点の343億円から125億円増額した。施設整備スケジュールも公表した。整備費のうち、9競技場の設計費は179億円、選手村の整備費は12.7億円。」(『建設工業新聞』2015.01.19)
●「東京など大都市のオフィスビルの新規供給が2015年も高水準になる見通しだ。東京23区内が14年に比べて3〜4割増えるほか、名古屋市には2年ぶりに大規模ビルが完成する。業績回復への期待を背景に企業のオフィス需要は堅調で東京の空室率は約6年ぶりの低水準だ。新築ビルの完成が新たなオフィス移転を促しそうだ。森ビルのまとめによると、15年の東京23区内の大規模ビル(延べ床面積1万平方メートル以上)の新規供給量は111万平方メートルと、14年比26%増となる見通しだ。仲介会社の三幸エステート(東京・中央)のまとめでも、23区内の大規模ビル(基準階面積660平方メートル以上)の供給量は14年比42%増える。東京は丸の内・大手町地区への集中が目立っていたこれまでに比べ立地の分散が進む。」(『日本経済新聞』2015.01.22)
●「今年1月17日で、阪神・淡路大震災の発生から20年が経過した。この20年間には、新潟県中越地震・中越沖地震、東日本大震災など数多くの地震が発生。人的・物的被害が大きかったものも多い。直近では、昨年11月22日に長野県北部でマグニチュード6.7の地震が発生、家屋倒壊などの被害が目立った。また、首都直下地震や南海トラフ地震、東海地震などが、近い将来発生すると予測されている。地震への備えはあらゆる分野で必須となっているが、特に、発生時に人命に直結する住宅・建築物の耐震化・地震対策は急務だ。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木体協)が昨年12月17日に公表した、耐震診断結果についての調査結果によると、診断の結果、『倒壊しない(評点1.5以上)』、『一応倒壊しない(同1.0〜1.5未満)』と診断された住宅は全体の1割未満。一方、“現行の耐震性を満たし”ておらず『倒壊する危険性がある(同0.7〜1.0未満)』、『倒壊する可能性が高い(同0.7未満)』と診断された住宅が9割以上を占めた。新耐震基準(昭和56年以降)・旧耐震基準(昭和55年以前)の別に結果をみると、新耐震で建てられた住宅のうち、『倒壊しない』が2.45%、『一応倒壊しない』が12.29%。しかし、『倒壊する可能性がある』が22.20%、『倒壊する可能性が高い』は63.06%と」新耐震であっても約85%が耐震性に問題のあるものという結果となった。一方、旧耐震基準(昭和55年以前)で建てられた住宅の診断結果を見ると、『倒壊しない』との結果が出たものはわずか0.12%にすぎない。『一応倒壊しない』を合わせても、現行基準に合致するものは2%に満たない。『倒壊する可能性がある』『倒壊する可能性が高い』と診断されたものが全休の98.14%を占めた。」(『日本住宅新聞』2015.01.25)
●「2014年に着工された住宅数が前年比9%減の89万2000戸程度だったことがわかった。前年の実績を下回るのは5年ぶり。昨年4月の消費増税で市場が大きく落ち込んだ。なかでも持ち家の減少率は約20%と17年ぶりの大きさだった。政府は住宅エコポイントの復活や省エネ住宅を対象にした金利優遇幅の拡大で、低迷する住宅市場の活性化をめざす。国土交通省が30日に新設住宅着工戸数を発表する。住宅投資は木材やコンクリートなど建設資材から住設機器まで波及する業種が広く、関連する業界への影響が大きい。持ち家と貸家、マンションなどの分譲住宅を含めた全体の住宅着工は89万2000戸程度。なかでも持ち家は28万5000戸程度と09年以来の低水準にとどまった。落ち込み幅は約20%と1997年(約26%)以来の大きさだ。」(『日本経済新聞』2015.01.29)

その他

●国際援助団体オックスファム・インターナショナルは19日、スイスのダボスで21日から開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を前に世界の経済格差に関する報告書を公表した。世界で80人の億万長者が保有する富はこの5年間で倍加し、2014年は貧しい50%の人たちの富の総計を上回ったと指摘した。報告書によると、最も豊かな1%の人たちが保有する富は、世界金融危機が起きた08年以降増え続け、14年には世界の富の48%を占めている。この傾向が続けば、16年には逆転し、1%の富裕層が保有する富は残る99%の保有する富を上回ることになる。1%の富裕層の富の平均は、成人1人当たり270万ドル(約3億1900万円)。一方、下位80%の平均は1人当たり3851ドルで、その合計は世界の富の5.5%を占めるだけだった。…報告書は「不均衡の拡大は不可避ではない」と指摘。▽各国政府が貧富の格差是正に取り組む▽女性の経済的平等を促す▽労働者に生活できる賃金を保障し、役員報酬との格差を是正する▽富裕層の課税を強化する―ことなどを提言している。(『しんぶん赤旗』2015.01.21より抜粋。)