情勢の特徴 - 2015年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「住宅ローン金利の引き下げ競争が過熱している。長期金利の指標となる10年物国債金利が急低下し、三菱東京UFJ銀行など大手は2月の金利を過去最低の水準に下げた。有力な融資先の乏しい地方銀行や信用金庫も低い金利での融資に前のめりで、採算割れのリスクもある。金融庁は過当競争を懸念して各行が適切にリスク管理しているか緊急調査を始めた。…過度な住宅ローン金利の下げが続けば金融機関の収益を圧迫する。『人件費なども勘案すると、住宅ローンだけではほとんどもうからない状態』(大手行)だ。消費増税後の住宅着工は低迷しており、日銀によると、国内銀行の新規貸出額は昨年4〜6月に前年同期比17%減、7〜9月に5%減と2四半期続けてマイナスだ。金融庁も過当競争を懸念し始めた。住宅ローンのリスク管理が甘くなっている可能性があるとして、金融庁は1月から大手銀行や一部の地方銀行を対象に緊急調査に乗り出した。07年度以降の住宅ローンの貸出額や平均金利、損失率の推移などを回答するよう求めた。貸し出した個人の年収に占める返済額の割合なども調査対象だ。金利が反転上昇した際に、収益を確保できる見通しがあるのかも確認する。今回の調査には、銀行が競争意識から過剰な貸し出しに走っていないか実態を把握する狙いがある。住宅ローンは14年9月末時点で114兆円あり、銀行の融資金体の4の1強を占める。景気の悪化で住宅ローンを返済できなくなる人が増えた場合、不良債権が膨らみ金融システムに影響を及ぼす懸念もある。」(『日本経済新聞』2015.02.03)
●「14年度補正と15年度の両予算案のうち、国土強靭化施策について国土交通省など関係12府省庁別の計上予算額が明らかになった。14年度補正予算案には総額3549億円(公共事業費1701億円)を計上。15年度予算案には同3兆7913億円(3兆1498億円)が計上された。政府全体の公共事業費として14年度補正予算案には4433億円、15年度予算案には5兆9711億円が計上された。うち15年度予算案の公共事業葺は前年度と横ばいだったが、強靭化関連の公共事業費は前年度より2.7%増えた。…補正予算案は災害リスクが高い地域でのインフラの緊急防災対策などに充てる。15年度予算案では防災・安全交付金で東京などの大都市に広がる木造住宅密集地域の耐震・不燃化を支援するほか、新たな財政支援制度を創設して大都市のオフィスビルへの熱電併給設備の設置を補助する。」(『建設工業新聞』2015.02.04)
●「上場企業の収益が拡大している。2015年3月期の経常利益は前期より3%程度増え、金融危機前で過去最高だった08年3月期を7年ぶりに上回りそうだ。原油など資源安が石油や総合商社で1兆円超の減益要因となるが、構造改革で稼ぐ力を高めた自動車と電機が円安を追い風に利益を1兆2000億円増やす。好調な企業収益は賃上げなどを通じた景気押し上げにつながりそうだ。」(『日本経済新聞』2015.02.06)
●日米政府は、早ければ3月中の環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を目指して、2国間協議の決着を急いでいる。交渉参加12カ国の国内総生産(GDP)の約90%を占める日米の合意をてこに、全体の合意を推進する意向。そのため、農産物重要品目の関税協議で、日本政府が国会決議に反して米国の、要求を受け入れる危険が差し迫っている。…日米協議では、日本政府は、主食用米の輸入を拡大するため、無税で輸入するミニマムアクセス(最低輸入機会)とは別枠で「TPP特別枠」を新穀し、米国産を含めて年間5万トン規模の拡大を検討していると伝えられる。米国は、20万トン規模の拡大を要求しているとされる。日本は現在、ミニマムアクセスで年間77万トンを輸入しており、米国からは36万トン程度を輸入している。うち、主食米は数万トン。甘利TPP担当相は1月27日、米国産主食米輸入について「1粒も、増やさないということは不可能だ」と述べ、早々に白旗を掲げた。牛肉の関税では、現行の38.5%を9%前後まで段階的に削減する方向で検討。輸入量が急増した場合に発動するセーフガード(緊急輸入制限)では、日本以外11カ国からの輸入総量を基準にし、現在の輸入量の50万トンから段階的に引き上げる案が浮上しているとされる。豚肉では、高額の豚肉の関税4.3%を撤廃。1キロ=542円以下の豚肉については、セーフガードの導入を条件に、1キロ当たり最大482円の関税を50円前後へ段階的に削減する方向。こうした政府の対応は、農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を交渉対象にしないよう求めた国会決議に反する。(『しんぶん赤旗』2015.02.06より抜粋。)
●「日本経済の『稼ぐ力』が大きく変化している。2014年の国際収支統計ではかつて稼ぎ頭だった貿易収支が10兆円を超える赤字となる一方、海外からの配当収入などで経常黒字を維持する構図が鮮明になった。最近の原油安が定着すれば貿易収支の悪化には歯止めがかかりそうだが、生産年齢人口が減り続けるなか、構造変化自体は止まらないとの指摘がある。財務省が9日発表した14年の国際収支速報によると、経常黒字は前の年に比べて18.8%減の2.6兆円で、現行統計が始まった1985年以降で最小の水準にとどまった。原子力発電の代替電源となる火力発電向け液化天然ガス(LNG)の輸入増などで、貿易赤字が10.4兆円と過去最大になったことが大きい。…貿易収支は10年前の14.4兆円の黒字からほぼ一本調子で悪化してきた。一時的に収支が改善しても、生産年齢人口が減り、生産はせずに消費だけする高齢者が増え続けるとすれば、輸入頼みが定着しかねない。貿易の代わりに経常黒字を支える主役になっているのが、18兆円強まで増えた海外からの配当・利子収入(第1次所得収支)だ。海外の子会社などからの配当金は4.2兆円で、10年前の4.7倍に膨らんだ。…外国人旅行者も日本に変化をもたらしている。旅行収支の赤字は0.1兆円で、10年前の2.9兆円から大きく縮小した。訪日外国人旅行者数は14年、前の年より3割増の1341万人となった。政府は15年の訪日客数が1500万人を超えると予測しており、旅行収支では初の黒字転換も視野に入ってくる。」(『日本経済新聞』2015.02.10)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は1月30日、昨年度に引き続き前倒しで改定し、2月から適用する『公共工事設計労務単価』を発表した。全国全職種平均の伸び率(単純平均)は、2014年2月比で4.2%上昇した。大幅引き上げ前の12年度と比較すると、28.5%の増加となる。一部職種に一律5%を上乗せしている東日本大震災の被災3県は、それぞれ6.3%、39.4%の増加となった。…新労務単価は、昨年10月に実施した公共事業労務費調査の結果をもとに設定。最近の労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映し、例年の4月改定を2年連続で早めた。社会保険の加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額も引き続き盛り込んだ。全51職種のうち、屋根ふき工と建築ブロック工は十分な有効標本数が確保できなかったため、残る49職種で平均値を算定している。」(『建設通信新聞』2015.02.02)
●「公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議が1月30日に開かれ、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針を申し合わせた。国や地方自治体などの発注周係事務に関する共通ルールとなる。調査・設計から完成後に至る各段階で発注者が果たす責務として、ダンピング受注の防止や入札不調・不落への対応などを挙げ、多様な入札契約方式の中から適切な方式を選択・活用するための考え方も示した。」(『建設工業新聞』2015.02.02)
●「インフラ老朽化対策と人口減少時代に合わせた施設群のスリム化を地方自治体に促す施策を総務省が矢継ぎ早に打ち出している。インフラの詳細な状況を把挺してマネジメントを行う計画作りを期限付きで求め、財政支援によって施設の統廃合を誘導する戦略だ。自治体は、従来は目を背けがちだった施設の現状と維持更新コストを直視し、地域の状況に合わせて取捨選択していくことを迫られる。民間にとっては、更新需要の増加やPPP・PFIなどのビジネスチャンスにつながるとの見方も出ている。総務省が打ち出した一連の施策のうち、要となるのが『公共施設等総合管理計画』の策定要請だ。総合管理計画は、政府が2013年に策定した『インフラ長寿命化基本計画』の自治体版計画に当たる。各自治体が所有するインフラの維持管理や更新、長寿命化、統廃合などを計画的に進めてもらうため、16年度までに全自治体が策定するよう求めている。…計画策定を誘導するための方策の一つが、不要になった公共施設の除却費を賄うために地方債の発行を認める特例措置だ。組合管理計画に盛り込んだ除却事業であれば、費用の75%に地方債を充当できるようにした。…次いで打ち出したのが、新設の地方債『公共施設等最適化事業債』。15年度の地方財政対策に盛り込んだ。総合管理計画に基づいて施設の集約・複合化を実施する場合には、財源を地方交付税で支援しようという措置だ。…同省の集計によると、111の自治体が14年度中に計画策定を完了。16年度までにはほぼすべての自治体が策定するとみている。」(『建設工業新聞』2015.02.03)
●「国土交通省は、地方自治体が発注する下水処理場の設備更新事業向けに作る入札契約方式に関するガイドラインの骨子をまとめた。設計、施工、補修・修繕といった業務をそれぞれ単年度契約で発注する従来の方式を見直し、業務全般を一括して複数年契約で発注する方式を推奨。業者選定の判断材料として応札者に処理場のマネジメント計画を提出してもらうことも盛り込んだ。受注業者のノウハウを最大限活用して事業を効率化するのが狙いだ。骨子では、下水処理場の設備更新で発注する▽設計▽施工▽補修・修繕▽保守点検▽運転操作監視▽水質試験―などの業務全般を一括して複数年契約で発注する方式の採用を検討するとした。電気や機械などの設備を可能な限り一つの企業の製品に統一すれば、維持管理負担が減って事業全体のコストを削減できると判断した。技術者が不足している自治体の発注事務を減らす効果も見込んでいる。」(『建設工業新聞』2015.02.06)
●「新関西国際空港会社は10日、関空と大阪国際(伊丹)空港の運営権売却について、16日に設定していた1次入札の締め切りを5月22日に延ばすと発表した。国内企業が45年と長い運営期間や高い取得額を懸念しており、応札前に契約条件を話し合う期間を設ける。事前審査を通過したオリックスや東京急行電鉄が協議入りする方向だ。」(『日本経済新聞』2015.02.11)
●「わが国における交通政策の羅針盤『交通政策基本計画』を政府が13日に閣議決定する。12日、議論の中核を担ってきた交通政策審議会の会長である淺野正一郎情報・システム研究機構国立情報学研究所名誉教授と、社会資本整備審議会の会長を務める福岡捷二中央大研究開発機構教授が太田昭宏国土交通相に答申を手渡した。国土づくりのキーコンセプトとなる『コンパクト+ネットワーク』を支える交通インフラ整備の道筋が定まることになる。」(『建設通信新聞』2015.02.13)
●「建設現場の完全週休2日という“常識破り”は実現できるか――。中長期的な担い手の確保・育成が、建設産業界の最重要課題の1つとなっている。特にかぎとなる若者に焦点を当てれば、従来から重視されてきた収入面にも負けず劣らず、プライベートの充実度、つまりは休日を大切にする思考が強まっているという。人口減少社会で産業間の人材獲得競争を勝ち抜くには、ワーク・ライフ・バランス(WLB=仕事と生活の調和)を無視できない時代になりつつある。このような中、国内建設市場の“本丸”とも言える国土交通省直轄工事で、週休2日の取得を促すモデル工事が動き始めた。先行している試行工事では上々の成果が確認されているほか、2015年度以降には全国規模で複数のモデル現場が誕生する見通しだ。」(『建設通信新聞』2015.02.13)

労働・福祉

●「法務、厚生労働両省は1月30日、外国人技能実習制度の見直し内容を公表した。制度を利用して外国人実習生を受け入れている監理団体や実習実施機関(企業)に対する監督を強化するため、立ち入り調査などの権限を持つ新たな機関(新法人)を設置することや、実習期間を現行の最長3年から一定の要件を満たすことを条件に5年に延ばすことなどが柱。制度改正は、出入国管理および難民認定法(入管法)の改正でなく、新たな法案としてまとめ、今通常国会に提出する。成立すれば、新法人を設置し2015年度中の施行を目指す。」(『建設通信新聞』2015.02.02)
●「建設業界に好循環の兆しが見え始めた。総務省が1月30日発表した2014年平均の労働力調査をもとに、国土交通省が建設分野を推計したところ、技能労働者数は暦年平均で4年連続の増加となり、前年より3万人多い341万人となった。また、全産業的に就業者に占める29歳以下の割合が下がる中、建設業は若者の比率が上昇に転じた。政権交代後の公共事業の安定化や民需の回復に加え、処遇改善や入職促進など、官民の総力を挙げた各種施策の効果が、目に見える形で表れてきた。14年平均の建設業就業者数は、6万人増えて505万人となった。ここ5年間で最も多い人数だ。このうち技能労働者は3万人増の341万人。このほか、技術者が1万人増の28万人、管理的職業・事務従事者が2万人増の98万人、販売従事者が1万人増の30万人などとなっている。建設業就業者のうち、29歳以下が占める割合は0.5ポイント上昇し、10.7%となった。全産業(16.4%)に比べて割合自体は依然低いものの、少子高齢化が進行して産業間の若者獲得競争が過熱する中、上昇に転じたというのは注目すべきポイントだ。人数ベースでも29歳以下は、3万人増えて54万人となっている。」(『建設通信新聞』2015.02.02)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、植村芳輝議長)は2日、14年11月8日に行った『統一土曜閉所運動』調査結果を明らかにした。同日の『完全閉所』と、閉所を別の日にした『読み替え閉所』を合わせた『完全・読み替え閉所率』は、前年同月より4.3ポイント高い50.4%と4年ぶりに50%を超えた。加盟組合の積極的な取り組みが奏功。長時間労働に対する経営者側の危機感も高まっていることで、閉所率が上がったという。労使の協力で取り組んだ社は閉所率も大きく向上した。」(『建設工業新聞』2015.02.03)
●「厚生労働省は2016年4月から社員に年5日分の有給休暇を取らせるよう企業に義務付ける方針だ。19年4月からは中小企業の残業代も引き上げる。時間ではなく成果に対して賃金を払う制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)も、対象が広がりすぎないよう年収基準に歯止めを設ける。働き過ぎを防ぎながら規制を緩める『働き方改革』を促す。」(『日本経済新聞』2015.02.04)
●「建設業の月額給与が上昇を続けている。厚生労働省が4日発表した毎月勤労統計調査によると、14年に建設業就業者に支払われた1カ月当たりの平均給与額は前年比1.4%増の37万6273円だった。増加は2年連続。東日本大震災が発生した11年を除けば過去10年で最も高かった。離職率も過去10年で最低水準。総務省の調査では技能労働者数も増えており、賃金上昇と雇用拡大、離職率低下の三つが同時に進む好循環が形成されつつある。」(『建設工業新聞』2015.02.05)
●厚生労働省が4日発表した2014年の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の変動を加味した実質賃金指数(従業員5人以上の事業所)は前年比2.5%減で、3年連続の減少となった。減少幅はこの3年間で最大。14年12月単月では前年同月比1.4%減で、18カ月連続マイナスだった。…14年の1人当たり、月平均では、基本賃金にあたる「所定内給与」が24万1357円と、前年比横ばいだった。残業代を示す「所定外給与」と、ボーナスに当たる「特別に支払われた給与」が増加したため、それらを合計した「現金給与総額」は0.8%増の31万6694円となった。(『しんぶん赤旗』2015.02.05より抜粋。)
●「官民の労働組合で構成する『2.13建設労働者春闘決起集会』実行委員会は5日、設計労務単価アップの浸透や社会保険の加入促進などを、太田昭宏国土交通相と塩崎恭久厚生労働相に要望した。実行委員会は13日に東京・日比谷公園で、『賃金引き上げと労働条件向上で、若者が入職できる建設産業をつくろう』をスローガンに、決起集会を開く。実行委員会は東京、神奈川、埼玉、千葉の4土建一般労働組合や、国土交通労働組合などが参加している。両大臣には『東日本大震災からの復興と建設産業の再生を求める要請書』を提出した。要請書は、労務単価アップがすべての労働者の大幅賃上げにつながる具体的施策の実施、社会保険加入促進のために法定福利費・労務費の別枠支給、災害復旧は応急復旧を手掛けた地元業者と随意契約の実施などを求めている。決起集会は、年収600万円の確保を目標に、日額2万6000円の実現を訴える。また、公契約条例は設計労務単価の9割程度に設定しているケースが多く、労働者の賃金引き上げに有効と指摘、5年後の2019年までに都内の自治体の過半数で制定を目指し、要望活動を展開する。集会には約3000人の参加を見込み、韓国のオ・ヒテク全国建設産業労働組合連盟事務局長が同国の労働運動を報告するほか、全建総連・岩手県建設労働組合連合会などが被災地の状況を説明する。」(『建設通信新聞』2015.02.06)
●「公共工事などに従事する労働者の最低賃金を保証する公契約条例の制定が地方自治体に広がっている。受注者の適正利潤確保を発注者の責務に位置付けた改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)など『担い手3法』が昨年成立。国土交通省も公共工事の積算に用いる設計労務単価を3度にわたって引き上げるなど、建設労働者の処遇改善は官民挙げた取り組みになっている。昨年12月に建設政策研究所の理事長に就任した浅見和彦専修大教授に公契約条例の課題を中心に話を聞いた。『09年に干葉県野田市が制定したのを皮切りに、現在までに15の自治体で賃金条項を定めた公契約条例が制定され、人口ベースでは約500万人を超えている』『自治体によって名称は異なるが、学識経験者や事業者と労働者の代表で構成する報酬等議会を設けて最低賃金の水準が決められている。今のところ、設計労務単価の何割といった決め方をしているところが多い。しかし、設計労務単価は市場調査によるもので、改善していく必要がある』『多くの先進国では建設業団体と現場労働者を組織する労働組合が産業別労働協約を結び、労働条件を決定している。日本では一気に全国レベルで産業別労働協約をスタートさせるのは困難だが、既に公契約条例が運用されている自治体で、報酬審議会の機能や審議内容の拡大を図ることがルールづくりの糸口になるだろう。地域の建設業の労働組合と業界団体が話し合いを進めることで、事実上、地域版の産業別労働協約に近い機能が出てくるのではないか』。」(『建設工業新聞』2015.02.09)
●厚生労働省は12日、自営業者や非正規労働者が加入し市町村が運営する国民健康保険(国保)の運営を2018年度から都道府県に移管する案を全国知事会、全国市長会、全国町村会に示し、了承を得た。市町村が行っている国保への繰り入れ(公費投入)をやめさせ、国保料のさらなる引き上げと徴収強化を招くもの。厚労省は今国会に提出する医療制度関連法案に盛り込む方針だ。(『しんぶん赤旗』2015.02.13より抜粋。)
●「全建総連東京都連がまとめた2014年の賃金調査(有効回答数1万9363人)によると、14年の賃金は常用1万5884円、手間請1万7664円、一人親方(材工とも)1万9040円だった。いずれも前年より増加しているが、11年を底に3年連続で増加している手間請に比べ、全体の底上げにつながる常用は12年以降は増加しているものの増加幅は小さく、常用と請負の賃金差は拡大している。」(『日本住宅新聞』2015.02.15)

建設産業・経営

●「国土交通省がまとめた2014年の建設工事受注動態統計調査報告(大手50社)によると、受注総額は前年比5.5%増の13兆9286億円で、5年連続の増加となった。国内建設工事は2.8%増の12兆8400億円で、このうち公共工事が38.3%増の4兆3101億円だった一方、民間工事は9.7%減の8兆0476億円。公共工事の増加が民間工事の減少を補った。民間工事は、消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった前年からの反動が影響した。」(『建設通信新聞』2015.02.02)
●「海外建設協会(海建協、白石達会長)は1月30日、会員企業の14年4〜12月の海外受注実績を発表した。受注総額は前年同期比28.4%増の1兆3593億円と4〜12月としては過去最高。日系企業や海外現地資本からの受注が好調で、現地政府からの公共事業の受注も多かった。地域別ではアジアが9000億円、北米が3000億円の大台に初めて乗った。」(『建設工業新聞』2015.02.02)
●「技能労働者の社会保険加入促進で、日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)が1月、会員企業向けに『社会保険加入促進要綱』を決めた。国が掲げる加入目標の前倒し達成を打ち出し、下請次数の制限にまでも踏み込んだ画期的内容だ。『ハードルは高い』と実現の厳しさを指摘する声もあるが、業界をリードする日建連の会員企業が足並みをそろえて取り組むことの意味は極めて大きいとみられる。要綱は、労働委員会に加え、会員企業の首脳が名を連ねる土木、建築の両運営委員会で議論。会員各社は、要綱に盛られた施策に4月から取り組む。具体的にはまず、社会保険加入の原資を確保するために、民間発注工事も含め、法定福利費が確保された適正金額で請負契約を結ぶことを徹底する。そのために、1次下請業者には法定福利費が内訳明示された見積書を提出するよう、元請側から求める。下請から提出された見積書を尊重し、法定福利費を必要経費として確保した元下請契約を結ぶ。下請に対しては、作業員名簿などで社会保険への加入状況を確認し、企業・労働者単位での適正加入を指導。2次以下の下請についても、1次下請との再下請負契約で法定福利費が内訳明示された見積書を提出させ、1次下請を通じて加入徹底を指導する。 下請が何層にも連なる複雑な契約形態が社会保険加入の阻害要因にもなっていることを踏まえ、1次下請には、2018年度までに再下請契約を原則2次以内(設備工事は3次まで)にするよう指導。社会保険加入を妨げる偽装請負など法令違反行為の排除も徹底する。」(『建設工業新聞』2015.02.04)
●「国土交通省は1月30日、14年(1〜12月)の建設大手50社の工事受注額が13兆9286億円と前年比5.5%増になったと発表した。うち国内工事の受注総額は2.8%増の12兆8400億円。全体、国内総額とも5年連続の増加となった。国内受注は主に公共工事がけん引した。国内受注のうち公共工事は38.3%増の4兆3102億円。東日本大震災前の10年まで大幅な減少が続いていたが、昨年は00年(総額4.5兆円)の水準にまで回復した。…一方、民間工事は昨年4月の消費増税前に集中した駆け込み需要の反動で9.7%減の8兆0477億円と5年ぶりに減少した。特に不動産やサービス、金融、保険などの業種からの受注が減った。ただ、12年との比較では8.8%の増加となる。」(『建設工業新聞』2015.02.05)
●「大和ハウス工業が6日発表した2014年4〜12月期の連結決算は純利益が前年同期比39%増の852億円だった。相続増税をにらんだ節税対策などで賃貸住宅の需要が伸びた。企業年金制度の変更に伴う特別利益も寄与し、4〜12月期として過去最高益を更新した。 売上高も過去最高で、4%増の1兆9760億円となった。部門別の売上高では、賃貸住宅が11%増えた。今年1月から相続税の課税対象が広がり、賃貸住宅を建てて土地の評価額を下げて節税する動きが広がった。商業施設も8%増と好調で、郊外型店舗の受注が伸びた。一方で、消費増税の影響が残る戸建て住宅は8%減った。」(『日本経済新聞』2015.02.07)
●「建設経済研究所と経済調査会は9日、2015年度の建設投資見通し(名目)を発表した。昨年10月発表の見通しを修正した第2次改訂版で、建設投資全体は前年度比1.2%減の46兆5500億円と予測した。民間住宅、非住宅建設投資とも前回より下方修正したが、この間に決定された補正予算などを踏まえて政府建設投資を上方修正したところ、全体の建設投資額は10月時点に比べて6000億円増える結果となった。15年度の政府建設投資見通しは、前年度比7.7%減の18兆2500億円。前回予想より9800億円の増加となった。内訳は土木投資が7.0%減の16兆円、建築投資が12.5%減の2兆2500億円となっている。…一方、民間住宅投資は、前回発表より1000億円減少するものの、4.8%増の15兆1500億円となる見通し。」(『建設通信新聞』2015.02.10)
●「太平洋セメント、住友大阪セメント、三菱マテリアル、宇部興産のセメントメーカー大手4社の14年4〜12月期連結決算が10日までに出そろった。最大需要地である東京を中心に、人手不足による着工遅延や、東日本大震災の復興需要に一服感が出ていることなどが影響し、国内販売数量が減少。2社が減収となり、変動費の増加などで3社が営業減益となった。」(『建設工業新聞』2015.02.12)
●「建設業情報管理センター(CIIC、松井邦彦理事長)は10日、13年度の『建設業の経営分析』をまとめた。経営事項審査(経審)でCIICに経営状況分析申請があった約5万7000社のデータを集計したもので、売上高総利益率は21.77%と12年度に比べて0.37ポイント上昇。過去10年間で最も高い数値となった。景気の好転で工事受注が増加するとともに、採算確保に向けて原価率を引き下げるなどの企業努力が実を結んでいる状況が明らかになった。」(『建設工業新聞』2015.02.12)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は1月30日、14年(1〜12月)の新設住宅着工戸数が89万2261戸と、前年比9.0%減になったと発表した。前年比での減少は5年ぶり。昨年4月の消費増税前に集中した駆け込み需要の反動が大幅減の要因で、12年との比較では1.1%の増加となる。 着工戸数の内訳は、持ち家(注文住宅)が28万5270戸(前年比19.6%減)、貸家が36万2191戸(1.7%増)、分譲住宅が23万7428戸(10.0%減)。分譲住宅のうちマンションは11万0475戸(13.4%減)だった。国交省によると、マンションの減少要因として、増税前の駆け込み需要に対する反動減に加え、大規模マンションの需要が旺盛な東京の都心部で建設用地が見つかりにくくなっていることが大きいという。」(『建設工業新聞』2015.02.02)
●「政府は3日、東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で出た汚染土を一時保管する中間貯蔵施設について、建設予定地である同県の双葉・大熊両町で整備工事を始めた。3月11日までに汚染土の搬入を始める。1兆円を超える国費を投じて両町で1600万平方メートルの敷地に建設し、最大で東京ドーム18杯分に相当する2200万立方メートルの汚染土を最長で30年保管する。」(『日本経済新聞』2015.02.03)
●「2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が自転車競技の仮設2会場の建設を中止し、静岡県伊豆市の『サイクルスポーツセンター』の活用を検討していることが4日、関係者の話で分かった。馬術競技の仮設会場も建設を取りやめ、東京都世田谷区の『馬事公苑』で代替する案が有力視されている。組織委は東京の湾岸部を中心に計11カ所の仮設会場を建設し、大会後に取り壊す計画だった。建設費の高騰を受け、既存施設を活用することで、コスト削減を目指す。」(『日本経済新聞』2015.02.05)
●「政府は5日、廃棄物処理法と災害対策基本法を一括して改正する法案を今国会に提出することを明らかにした。巨大災害発生時に大量発生するがれきと津波堆積物の災害廃棄物を迅速に処理するため、国が市町村に代行して処理できるようにする。また、国や都道府県、市町村、民間事業者は連携しながら主体的にがれきを処理する責務があると廃棄物処理法に明記する。民間事業者は『産業廃棄物処理事業者、ゼネコン(建設事業者)、セメント事業者など』(政府関係者)となり、政省令などで定める。法案は3月中下旬の閣議決定を見込む。」(『建設通信新聞』2015.02.06)
●「国土交通省は15年度から、空き家の増加に歯止めを掛けるため、空き家対策に取り組む市町村や所有者への支援を拡充する。2月にも施行される空き家対策特別措置法に基づき『空き家等対策計画』を策定する市町村に費用を補助。空き家の除却や改修・再生に対する助成要件も緩和する。固定資産税の特例措置も見直して危険な空き家を除去しやすくする。特措法では、市町村が空き家対策を円滑に行えるよう、国などが市町村の対策費を補助したり、必要な税制措置を講じたりすることが規定されている。市町村が空き家等対策計画を策定する際、社会資本整備組合交付金から策定費用を補助できるよう、交付金による支援メニューに加える。これにより市町村は空き家ストックの実態調査など行いやすくなるとみている。空き家の除却や改修・再生にかかる費用に対する同交付金からの補助については、要件を緩和する。現行では多数の空き家が集積している地域などに限って補助しているが、対策計画を作った市町村に対してはこの要件を緩和する。除却費への交付金は、18年度からは対策計画を策定した市町村に限定する方針だ。」(『建設工業新聞』2015.02.06)
●若者の住宅問題を考えるシンポジウムが8日、東京都内で開かれ、市民ら約200人が参加した。主催は、ホームレス支援を行うNPO法人「ビッグイシュー基金」住宅政策提案・検討委員会。同委員会は昨年、貧困下にある若者の居住実態調査を実施。20〜30代の年収200万円未満の未婚者(学生を除く)の4人に3人が、居住費負担ができないなどの理由から親と同居し、親もとを離れた若者も重い住居費負担に苦しんでいる実態を明らかにした。(『しんぶん赤旗』2015.02.10より抜粋。)

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