情勢の特徴 - 2015年3月後半
●「総務省が27日に発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は値動きの激しい生鮮食品を除いて102.5と、前年同月比で2.0%上昇した。14年4月の消費増税による要因を除くとゼロ%になり、1年9カ月ぶりに横ばいになった。原油安の影響が大きく、景気には追い風になる。ただ日銀が掲げる消費増税分を除いて2年で2%上昇という物価安定目標との差は一段と広がった。物価は13年6月以降、前年同月を上回って推移していたが、昨年春から伸びが鈍った。日銀は昨年の消費増税による物価の押し上げ効果を昨年4月が1.7ポイント、5月以降は2.0ポイントと試算しており、増税分を除く物価上昇率も14年4月の1.5%をピークに縮小傾向が続いている。物価の伸びが鈍化した最大の要因は、原油価格の下落。…このほかエアコンも前年同月比13.5%低下した。昨年の消費増税前の駆け込み購入の反動などが影響した。…総務省は先行きの物価について『当面はゼロ%付近で推移するのではないか』とみている。」(『日本経済新聞』2015.03.27)
●「内閣府は、空港などで行われる公共施設等運営権事業(コンセッション事業)の初期段階で公務員を派遣する制度を15年度にも開始する。今国会にPFI法の改正案を提出し、コンセッション事業に限定して国家公務員や地方公務員の派遣を認めるようにする。派遣期間は『3年』とする予定で、法改正成立後に閣議決定する基本方針に明記する。…改正法案によると、公務員を派遣する場合、コンセッション事業者がその業務内容や期間を含めた公共施設等運営権実施契約を公共施設管理者との間で締結。契約に基づき、職員が退職した上で、対象となる法人の業務に従事することになる。派遣期間が終わった後は公務員として復帰することが制度の前提となり、独立行政法人や自治体への派遣と同様、退職手当は派遣期間も100%通算する。」(『建設工業新聞』2015.03.18)
●「国土交通省は、4月1日以降が入札期限となる直轄工事を対象に、土木工事積算基準を改定する。20年ぶりに一般管理費等率を見直すとともに、元請企業から下請企業にわたる外注経費を十分に手当てするため、現場管理費率も改める。工事価格3億円の道路工事をモデルケースとした場合、予定価格は3%程度上昇する。また、土木工事共通仕様書には、適正な請負代金での下請契約締結など、元請企業の責務を追記する。」(『建設通信新聞』2015.03.23)
●「東京都は入札不調対策として、2015年度から3年間限定で、WTO(世界貿易機関)対象以外のすべての工事に最低制限価格制度を適用する。通常、自治体発注工事は、小規模工事は最低制限価格制度を適用し、それ以外は低入札価格調査制度を採用している。ただ低入札調査対象工事は低価格競争に陥りやすく、労務費や資機材価格高騰などを背景に採算性を重視する建設企業が応札を敬遠する傾向が広がっていた。そのため、東京都は積算基準見直しや工事途中での請負額変更を弾力に行うためのガイドライン見直しと合わせ、より入札に参加しやすいように、予定価格22億2000万円未満のWTO対象を除くすべての工事での最低制限価格制度導入に踏み切った。」(『建設通信新聞』2015.03.25)
●「国土交通省は直轄工事に導入している総合評価方式の入札で、施工能力や技術力が評価されにくくなっているとされる課題への対応策をまとめた。『施工能力評価型』などでは価格で落札者が決まる傾向が強いことから、品質確保の視点も加味し、過去に施工した工事の成績を、施工実績より高く評価する方式を試行。併せて、直轄工事の施工実績がない企業も新規参入しやすくなるよう、施工計画や自治体発注工事の実績を評価する試行工事も全国で展開する。」(『建設工業新聞』2015.03.26)
●「国土交通省は土木工事の工種別に標準工期を設定する。単一工種で構成される3億円未満の分任官工事などを対象に、純工事費の金額に応じた標準的な工期を示す。河川や道路改良など19工種が対象。…改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の発注者の責務に『適切な工期設定』が盛り込まれたことに対応した措置。標準工期は、過去に実施した直轄工事のデータなどを基に算定の仕組みを検討。純工事費に応じた現場の標準的な実働日数を示す。標準工期をベースに、休日数や気象・海象条件による作業不能日数などを考慮して個別工事の工期を設定する。」(『建設工業新聞』2015.03.27)
●「全国の市区町村に公共工事のダンピング受注防止策が浸透していることが、国土交通省などが実施した調査で明らかになった。13年9月時点で、低入札価格調査制度か最低制限価格制度を導入していた市区町村は前年同期に比べ25団体増加。未導入は全体の12%に当たる207団体となった。管内に未導入市区町村がゼロの都道府県が13府県に上る一方、5道県では依然として2桁の団体が導入しておらず、取り組みに地域差がある現状も浮き彫りになった。国交、総務、財務の3省が公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づいて毎年度、全公共発注機関を対象に行う『入札契約適正化法等に基づく実施状況調査』で判明した。」(『建設工業新聞』2015.03.30)
●「国土交通省は16日、2014年10月に実施した公共事業労務費調査に基づく、社会保険加入状況の集計結果を発表した。雇用・健康・厚生年金3保険の全国平均加入率は、企業単位が92.8%、労働者単位が67.3%となり、それぞれ前年同期より2.8ポイント、5.6ポイント上昇した。3保険加入率は、地方別や元下の次数別にみても軒並み上昇基調にある。法定福利費を含めた公共工事設計労務単価の再三にわたる引き上げや、14年8月以降に同省直轄工事などで始まった未加入業者の排除措置といった各種政策と、元下間での加入徹底に向けた機運の高まりが相まって、数字上にもさまざまな取り組みの効果が表れてきたと言えそうだ。」(『建設通信新聞』2015.03.17)
●「ゼネコン各社が新卒採用を増やしている。日刊建設工業新聞社が主要33社を対象に実施したアンケートによると、29社が今春(15年4月)の新卒採用人数を増やし、来春(16年4月)も27社が今春入社を上回る採用を予定していた。東日本大震災の復興事業や2020年東京五輪関連の需要など中長期的な事業量を見通した人員体制の強化を増加理由に挙げる社が大半を占める。即戦力となる中途採用に力を入れる企業も昨年同様に目立つ。」(『建設工業新聞』2015.03.20)
●「全国建設労働組合総連合(全建総連)は、賃金実態調査(2014年5月−7月)の結果をまとめた。37県連・組合から11万2700件のデータをもとに集計したもの。大工職種と各職で分類し、『町場・工務店現場』『地元住販・不動産会社などの建て売り現場』『大手プレハブ・住宅会社の現場』『ゼネコンの野丁場の現場』の4つの現場形態で、就労日数、労働時間、賃金、昨年の年収などの平均をとった。賃金調査では、2年連続で引き上げられた設計労務単価や技能労働者不足の状況も、賃金にほとんど反映されていない実態が明らかになった。」(『建設通信新聞』2015.03.23)
●「埼玉県内で、発注工事・委託業務に従事する労働者の労働条件を確認する調査を行う自治体が増えている。4月1日に公契約基本条例(公契約条例)を施行する草加市のほか、同条例を施行していない自治体の中でも、富士見、朝霞、越谷市の3市が一定金額以上の工事などを対象に調査を実施。新座市も4月に調査を開始する。施工者の『適正な利潤』の確保を発注者の責務と定めた改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の施行などを受け、他の自治体でも建設関連業者の処遇改善に向けた実態調査が今後広がりそうだ。」(『建設工業新聞』2015.03.24)
●「リフォーム工事で大工の不足が深刻――。住宅リフォーム推進協議会の2014年度住宅リフォーム実例調査結果によると、不足している業種(複数回答)は大工の81.8%が最多で、2位の左官工の31.6%を大きく引き離していた。3位は現場監理技術者等で26.4%、4位以下は塗装工、タイル貼り工などが10%台で続いている。…業種別の不足状況は、国土交通省の要請を受け初めて実施した。」(『建設通信新聞』2015.03.25)
●「残業代ゼロ制度」であるホワイトカラー・エグゼンプションを導入する一方で、最低賃金を引き上げているアメリカの現状を学ぼうと、日本弁護士連合会(日弁連)は23日夜、衆院第2議員会館で集会を開いた。…三浦直子弁護士は、ホワイトカラー・エグゼンプションの3要件の一つ、週あたり455ドル以上(年間284万円以上)という報酬レベルは、国政調査局が定める4人家族の貧困ラインより低い額だと指摘。残業代を支払われている労働者より、「残業代ゼロ」労働者の方が長時間労働になっているデータを示した。長時間・過密労働が労働者の健康を害しているとの問題意識から、「働いた時間すべてに賃金、残業代が支払われるべきである」という公正労働基準法の精神に立った改正が準備されていると紹介した。井上幸夫弁護士は、対象の要件を満たさない労働者にも広がったため、残業代を請求する訴訟が1年で8160件もあると紹介。アメリカに比べて救済制度が不十分な日本で制度が導入されることの危険性にふれ、「日本の動きは逆行している」と話した。(『しんぶん赤旗』2015.03.25より抜粋。)
●「国土交通省は25日、4月1日から適用する改訂版『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』を固め、関係省庁や都道府県・政令市、建設業団体、民間発注者団体それぞれに内容を周知する文書を送った。元請企業が下請企業に示す『見積条件』に、法定福利費を内訳明示した見積書の提出を明記することなどがポイントだ。ガイドラインでは、元請企業は当該見積書を求め尊重する、下請企業は法定福利費を適正に見積り注文者に提出するなど、元下双方の役割と責任を明確化した。支払い総額の増加を避けるため、その他経費との間で減額調整する行為などは『厳に慎むこと』と表現を強めた。」(『建設通信新聞』2015.03.26)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)は20日、理事会を開き、『再生と進化に向けて―建設業の長期ビジョン―』を了承した。建設市場規模は、維持修繕投資が拡大するものの、2020年度は54.4−57.6兆円(名目)、25年度が54.9−62.1兆円(同)とほぼ横ばいと試算。『100万人離職時代』の到来に対応し、市場規模を維持するための目標として、90万人の新規入職者確保と同時に生産性向上による35万人分の省人化を掲げた。長期ビジョンは、いま建設業に新規入職した若者が35年後に『建設業で働いて良かった』と思えるあり方を示すという意味で、2050年の建設業の役割や、あるべき姿を第1部で示した。『21世紀の歴史を開く』『国民産業としての建設業』『ものづくり産業の復権』『防災・応災体制の保持』『技術革新の推進』を建設業の使命として掲げた。…第2部では、まず建設経済研究所と共同で、内閣府の『中長期の経済財政に関する試算』を基に25年までの市場規模を良いケースと悪いケースの2パターンで提示した。25年度の維持修繕投資額は良いケースで17.4兆円、悪いケースで15.2兆円と、14年度より1.6−3.8兆円増加すると予測。政府建設投資はほぼ横ばいとした。これを基に新規入職や省人化の目標数の達成のために、他産業に負けない賃金水準や社会保険加入促進、建設業退職金共済制度の適用促進、休日の拡大、雇用の安定が不可欠との考えを示した。」(『建設通信新聞』2015.03.23)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)がまとめた会員98社の2月の受注総額は、前年同月比4.2%増の1兆1982億1100万円となった。前年度の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動で落ち込んでいた民間工事が盛り返し、大幅増になったことが全体をけん引した。民間工事は、累計(2014年4月−15年2月)でも前年度同期を上回った。2月の受注総額の内訳は、国内が21.8%増の1兆1809億6100万円、海外が90.4%減の172億5000万円だった。国内のうち、民間は49.6%増の8021億円、官公庁は13.4%減の3751億2100万円となった。…民間工事の2月までの累計受注額は前年度同期比0.1%増の7兆9603億4300万円となった。…官公庁の累計受注額は、32.3%増の4兆3405億8600万円で、2月までで既に13年度計の官公庁受注額を上回った。」(『建設通信新聞』2015.03.27)
●「日本建設業連合会(中村満義会長)が、『再生と進化に向けて―建設業の長期ビジョン―』で、2025年までに技能労働者90万人の確保と35万人分の生産性向上を業界全体の目棲に掲げた。担い手確保の必要性が叫ばれる中で、漠然とした危機感を長期ビジョンという形で輪郭をはっきりさせたという意味で建設業界に与えたインパクトは大きい。今後は、『生産性向上』がかぎを握る。中村会長が『建設業の生産体制が破綻しかねない』と表現した危機感は、長期ビジョンの中で『100万人離職時代の到来』を予測した点に表れている。総務省の労働力調査では、年代別の技能労働者数が把捉でき、これを基に10年後が予測できる。現在、60歳以上の技能労働者は79.5万人で、長期ビジョンでは、この年代がすべて離職すると予測した。さらに72.2万人いる50−59歳の4割、191万5000人いる15−49歳の1割も離職すると仮定すれば、25年までの10年間で128万人が離職する。高齢者の活躍を考慮に入れない厳しい推計ではあるが、この128万人を確保できなければいまと同程度の建設投資規模を10年後も維持することはできないという危機感をはっきり浮き上がらせた。この危機に対応するためには、10年間で34歳以下の技能労働者を90万人確保する必要があるという目標だ。単純計算すれば1年間で9万人。厚生労働省の雇用動向調査によれば、13年の34歳以下の建設業入職者数は約16万5000人で、9万人の目標は容易に見える。だが、雇用動向調査はぜネコン社員なども含めた建設業全体の数の上、13年の建設業離職率は12.1%で、9万人入職しても、1割が離職してしまえば目標は達成されない。建設需要が低かった09年の入職者は10万6000人で、2020年夏季東京五輪以後の建設需要を考えれば、25年までいまの16万人規模の入職者数が続くとは考えにくい。さらに、13年に新たに生産年齢に達する満18歳の人口は123万人で、25年までに年々、この数は減っていく。それを全産業が奪い合う中で、技能労働者だけで9万人を確保することば至難の業であり、長期ビジョンでも『極めて高い目標』としている。…ただ、処遇改善をしたから入職者を確保できるという確証はない。一方で、建設業自らが行動できる取り組みが『生産性の向上』であり、人口減少下で将来も生産体制を維持し続けるためのかぎを握る。長期ビジョンでは、35万人分の生産性向上を目標に掲げ、新技術の活用やプレキャスト化、ロボット技術の活用、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用、設計・契約の合理化などの推進を促した。」(『建設通信新聞』2015.03.27)
●「木材の輸出が活発になっている。スギ丸太やベニヤ合板といった国産木材の2014年の輸出額は前年比45%増の178億3400万円となり、2年連続で過去最高を更新した。北米からの供給減を背景に中国や韓国で日本産の需要が大きく伸び、九州などの木材産地も国内での需要不振を補おうと輸出に力を入れているためだ。財務省の貿易統計によると、14年の木材輸出は中国向けが96%増、韓国向けが73%増だった。米国で14年の住宅着工件数が7年ぶりに100万件台になるなど木材需要が高まり、米国やカナダから中韓などへの輸出量が減少。両国で木材が品薄になり、日本産に白羽の矢が立った。日本の森林組合などが海外市場の開拓に力を入れていることも輸出増につながった。」(『日本経済新聞』2015.03.16)
●「独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案が13日、閣議決定された。法案に盛り込まれている都市再生機構法の一部改正は、都市再生機構の業務の実施方法の見直しが柱となる。団地の統廃合のために現団地の近隣地への建て替えを可能とすることに加え、民間事業者との共同事業を実施しやすくするために開発型SPC(特定目的会社)への出資を可能とする投資規定を新たに追加する。現在地(従前地)や隣地への建て替えは、居住者の移転先の確保などを伴うことから統廃合に多くの時間を要するため、近隣地への建て替えを可能とすることで、団地の統廃合を加速。事業のスピードアップを図る。」(『建設通信新聞』2015.03.16)
●「東洋ゴム工業(大阪市)子会社が製造・販売した免震装置のゴムが性能基準を満たしていない問題で、国土交通省は17日、不適合装置が使われている55棟のうち、自治体庁舎や病院など計15棟の名称と所在地を公表した。同省は同日午後、不適合装置を製造した同社明石工場(兵庫県稲美町)に立ち入り調査を行う。国交省は55棟の公表を控えていたが、15棟について『不特定多数の出入りがあり、公共性が高い』と判断。一部の建築物で工事が中断し、納入先に動揺が広がっていることなども踏まえ、公表することにした。公表された自治体庁舎は8府県の計12棟。問題の免震ゴムが使用された病院は計6棟あり、このうち公立病院の2棟が公表された。他の民間病院4棟については、所有者の同意が得られ次第、速やかに公表するとしている。」(『日本経済新聞』2015.03.17)
●「仙台市で14日に開幕した第3回国連防災世界会議。『防災の主流化』をメーンテーマに、激甚化する巨大災害にどう対応していくのか、その最適解を求めて世界中の国々が官民の枠を超えた議論を展開している。その中で重要なキーワードとなっているのが『ビルド・バック・べター(より良い復興)』だ。被災地を災害前よりも強く、より良くしようという考え方である。さらに東日本大震災の教訓を踏まえ、想定し得る最大のリスクに備えて先行的に防災対策に投資することの重要性を訴えた国土交通省の取り組み姿勢は世界の共感を得ている。初日の開会式で安倍晋三首相は、『ビルド・バック・ベター』や、あらゆる開発政策・計画に防災の観点を導入する『防災の主流化』を提唱した上で、災害犠牲者を減らすための国際的な防災支援策『仙台防災協力イニシアチブ』を表明した。長期的視点での防災投資の重要性などを基本方針として示した上で、@人材育成や制度の整備などソフト面支援A洪水、土砂災害対策や災害観測など情報インフラ基盤、災害に強いインフラ整備などハード支援B国連国際防災戦略事務局(UNISDR)への支援強化などグローバルな協力と広域協力の推進――の3つの観点から2018年度までの4年間で途上国などに対し計40億ドルの協力を行う。」(『建設通信新聞』2015.03.17)
●「国土交通告は16日、安心居住政策研究会(座長・中川雅之日大教授)を開き、高齢者、子育て世帯、障害者世帯の現状と課題を踏まえた今後の取り組むべき対策を列挙した中間取りまとめ骨子案を提示した。子育て世帯が住宅取得資金を確保できるよう、親の住宅資産を活用することを提案。住居を担保に資金を借り入れるリバースモーゲージの新たな枠組みを導入することを検討するとした。子育て世帯は、住み替え意向があっても資金不足が課題とされる。親の世帯の資産を活用することで、住宅取得資金を確保する仕組みとして、リバースモーゲージの新たな枠組みを導入することを提案した。」(『建設工業新聞』2015.03.17)
●「東京都都市整備局は、区域を限定して木造建築物の建て替えを支援する『不燃化特区制度』の適用範囲を拡大する。現行制度では、建て替えにかかる解体費用などの補助対象の施設用途を住宅に限定しているが、15年度からはすべての施設に適用する。これにより、都は支援の対象外だった木造店舗の多い商店街などで、建て替え事業を促進したい考えだ。設計費の補助や専門家の派遣制度なども拡充し、密集市街地の不燃化を急ぐ。不燃化特区制度は、木造住宅密集(木密)地域の解消を目的に、木造建築物の所有者が行う建て替え事業の費用を補助する制度。具体的には、既存建物の除却費用の全額と、建て替える施設の設計費の一部を補助するとともに、固定資産税・都市計画税を5年間免除するなどの優遇措置を講じる。20年度までの時限制度で、これまでに39地区が特区に指定されている。現行の制度では、優遇措置の対象を施設用途の2分の1以上が住宅となっている建物に限定しているが、15年度からは用途条件を設けない。」(『建設工業新聞』2015.03.19)
●「国土交通省は23日『南海トラフ地震等広域的災害を想定した空港施設の災害対策のあり方検討会』(委員長・森地茂政策研究大学院大学教授)を開き、とりまとめ(案)を提示した。あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震や津波の発生を考慮しながら、空港施設の機能維持を念頭にした耐震対策の重要性を強調している。発災後の救助・救急活動や緊急物資の輸送など、航空ネットワークが果たすべき役割は大きい。特に近い将来に発生が懸念される南海トラフ巨大地震などの広域災害を想定した場合、救急・救命活動から緊急物資・人員輸送へと段階的に役割が変化していく中で、空港機能の確保や早期の復旧が経済活動の継続につながることは言うまでもない。…これまでの空港の地震対策は、全空港での耐震性確保を基本にしつつも、航空ネットワークの維持や背後圏の経済活動にとって特に重要と考えられる東京国際、成田国際、中部国際、関西国際、大阪国際、新千歳、仙台、新潟、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇の13空港を優先して耐震性を確保してきた。しかし、東日本大震災で航空輸送上の重要空港である仙台港が被災。民間航空機の運航が不可能となる中で、東北地方の各空港と関東、東海、西日本の各地を結ぶ民間航空機の定期便(臨時便)が運行されたように、重要空港が被災した場合の代替性の確保が優先課題の1つと言える。国交省は、重要空港が被災した場合に機能を代替する支援空港を想定して、それらの支援空港の耐震対策に優先度を持たせる方針。空港ネットワーク全体の輸送機能の低下を最小化するための対策として、重要空港間のネットワークを可能な限り維持する耐震対策を促進。特に国内外の輸送機能を維持させる首都圏空港(羽田、成田)の耐震対策を急ぐ。」(『建設通信新聞』2015.03.24)
●「国土交通省は病院を投資先とする不動産投資信託(REIT)の普及を促すため、資産運用会社向けの指針案を固めた。病院経営の経験者など専門家の意見を反映する体制を整えることを必須条件とする。病院経営にも投資マネーが流れ込みやすくなり、施設の改修・増床や先端医療機器の導入が進む効果をねらう。関係者の調整を経て7月からの適用をめざす。病院や介護施設を投資先とするヘルスケアREITは米国で先行。REITが病院から土地や建物を買い取り、それを病院側に貸し出すことで得られる賃料収入を投資家へ分配する。…ただ、投資資金が医療分野へ流れると『病院の収益性を上げるために診療科目を取捨選択するのではないか』と、医療関係者からは経営への介入を懸念する声も根強い。そのため指針案では運用会社に対し、@運用に携わる人が病院への投融資業務に携わった経験があるAコンサルタントなど外部の専門家と助言契約を結ぶB資産の取得や売却を決める委員会に専門家を加える――のいずれかを求める方向だ。」(『日本経済新聞』2015.03.29)