情勢の特徴 - 2015年4月後半
●「政府は24日、2015年版の中小企業白書を閣議決定した。従業員の過剰感を示す指数(『過剰』と答えた割合から『不足』の割合左差し引いた値)は、14年10−12月期にマイナス12.5と、リーマン・ショック後の09年以降で最低となったことから、労働力不足の深刻化について『景気回復基調の中で、中小企業の健全な成長の阻害要因となる可能性がある』と指摘した。…また、政府は、小規模企業振興基本法に基づく初めての白書となる2015年版小規模企業白書も閣議決定した。小規模事業者の実態や動向、地域での役割など『小規模事業者の構造分析』結果を示した。白書によると、小規模事業者の13.4%に当たる44万8293者が建設業(従業員20人以下)だった。このうちの13万2000事業者は、常用雇用者を雇っていない事業者で、電気工事業(1.4万者)や建築リフォーム工事業(9000者)、舗装工事業を除いた土木工事業(同)、床・内装工事業(8000者)、左官工事業(7000者)、とび・土工・コンクリート工事業(3000者)に常用雇用者がいない事業者が多い。」(『建設通信新聞』2015.04.27)
●「土木学会建設マネジメント委員会は、『維持管理等の入札契約方式ガイドライン(案)』をまとめた。インフラの維持管理・更新業務に民間技術を効率的・効果的に活用するため、発注ロットの大型化や複数年契約、複数企業による共同受注など包括的な契約の考え方を示した。インフラを管理する地方自治体が自らの状況を自己診断してそれぞれ抱える課題を認識した上で適切な入札契約方法を選択し、戦略的な維持管理を実施できるようにする狙いだ。」(『建設工業新聞』2015.04.22)
●「公共工事が大規模化している。北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証がまとめた『公共工事前払金保証統計』によると、2014年度計の請負金額は、前年度比0.3%減の14兆5222億4300万円となった。ほぼ前年度と同額と言えるが、14年度は地域建設業から公共工事の発注量の減少を訴える声が強かった。その理由を探ると、小規模工事の減少と大規模工事の増加という変化が見えてくる。」(『建設通信新聞』2015.04.24)
●「建設経済研究所は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)で導入や活用が定められた『多様な入札契約方式』について、地方自治体や建設会社を対象にアンケートを実施した。国土交通省が採用している『段階的選抜方式』や首都高速道路会社が導入した『技術提案交渉方式』について、前向きな意向を示した自治体は1〜2割だったが、企業では約8割に上った。企業にとって技術力がより重視される同方式への期待が大きいことが分かった。」(『建設工業新聞』2015.04.24)
●「国土交通、総務両省は28日、公共工事の入札で予定価格を根拠なく引き下げる『歩切り』の実態調査結果を発表した。全地方自治体(1788団体)が回答。今年1月1日時点で、約4割に当たる757団体が歩切りを実施していたが、うち3分の2の団体が『見直す予定』とした。一方、156団体は見直しに否定的な見解を示した。両省は調査結果を踏まえ、同日付で自治体に対し歩切りの撤廃を再度要請。6月をめどに再調査を実施することも決めた。…再調査は、見直す方針を示さなかった156団体を中心に実施し、その後、個別に理由も聴取する。それでも対応に変化が見られない場合は、自治体名の公表に踏み切る方針だ。…歩切り実施の理由を大きく分けると、459団体が『慣例による』や『自治体財政の健全化や公共事業費の削減のため』などとし、297団体が『端数処理』などを挙げた。」(『建設工業新聞』2015.04.30)
●「国土交通省は15日、『外国人建設就労者受け入れ事業』を適切に進めるため、関係省庁や建設業団体、受け入れ企業を指導する特定監理団体、学識経験者で構成する『適正監理推進協議会』を発足させた。近く始まる技能者の受け入れに備え、課題に対応する枠組みを整えた。会長には水町勇一郎東大社会科学研究所教授が就任した。」(『建設工業新聞』2015.04.16)
●「ベトナムで日系企業が発注する建築工事の増加を見込み、日本語に加え日本水準の高い施工技術を身に付けたべトナム人現場リーダーを、日本で養成する産学連携の取り組みが動きだす。工学院大学が初めて留学プログラムを組み、ベトナムの若手を留学生として受け入れる。期間は最長2年。大学で日本語や建築学科の講義を受けながら、フジタが施工する同大校舎の建築現場で実習。帰国後は日系ゼネコンの現場で工事監督や職長などとして活躍してもらう。」(『建設工業新聞』2015.04.17)
●「建設現場で働く技能者の不足が深刻化しているゼネコン業界で、今年に入り、協力会社の職長や上級技能者の賃金を上乗せする動きが相次いでいる。鹿島、飛島建設、西松建設に続き、17日に竹中工務店、東急建設が賃金の引き上げを発表。清水建設は4月に入り、職長手当制度を改定した。大成建設も引き上げの検討に入る予定だ。大林組は17日、将来の職長となる若手・中堅世代の技能者の資格取得を支援する報奨金の導入を公表した。」(『建設工業新聞』2015.04.20)
●「建設経済研究所は、地方で働く建設技能労働者の実情を探るため、とび、鉄筋、型枠の躯体3職種の専門工事業24社に対するヒアトングを実施した。その結果、1次下請が技能者を常用雇用しているケースが大都市圏よりも多く、新規高卒者を社員として雇用する傾向が見られた。…地方の専門工事業をめぐる状況を整理した結果、1次下請は複数の全国ゼネコンや地場ゼネコンと取引しており、建築・土木の両方を規模の大小を問わず請け負っている業者が多かった。工事量が少ないことが主な理由という。さらに、地方は公共工事の比率が高いため、2次下請の法人化や社会保険加入、建設業許可の取得が首都圏などの業者よりも進んでいた。」(『建設工業新聞』2015.04.27)
●「国土交通、厚生労働両省は、15年度に取り組む建設業の人材確保・育成策をまとめた。魅力ある職場づくりや、若年者の入職促進と育成に向けた環境整備など約30施策をパッケージ化。厚労省が建設業向けに設けている助成金を企業や団体が活用しやすくなるよう両省で支援していくほか、建設業の魅力発信にも引き続き取り組む。」(『建設工業新聞』2015.04.27)
●「建設経済研究所と経済調査会は22日、15年度の建設投資が前年度比1.9%減の46兆2300億円になるとの予測結果を発表した。2月の前回予測と比べ、民間投資の伸びが緩やかになると見込み、3200億円の下方修正を行った。政府建設投資は前年度と比べ減少するが、民間投資の回復基調は変わらず、前年度に落ち込んだ住宅投資が3.7%増と反転するとみている。」(『建設通信新聞』2015.04.23)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)がまとめた会員98社の14年度受注総額は前年度比9.4%増の15兆2311億円となった。増加は4年連続(11年度は旧日建連の48社集計)。製造業、非製造業からの受注が増え、国内民間が前年度比4.4%増となったのに加えて、東京外かく環状道路都内区間の大型工事(計約5000億円)を含む国内官公庁からの受注が23.4%と大幅に増えた。海外は、前年度に大型工事が相次いだ反動で8.0%減となった。」(『建設工業新聞』2015.04.28)
●「国土交通、総務両省は、空き家対策特別措置法が5月26日に全面施行されるのを前に、市町村が所有者に除却・修繕命令など強い権限を行使できる『特定空き家』を判断する際の基準案をまとめた。放置が続けば倒壊する恐れがあるなど特に危険な状態の空き家を特定空き家と定義。そうしたリスクを判断する際に使う傾斜や屋根の脱落といった調査項目を一覧にした。市町村が持つ権限の執行手順などもまとめた。」(『建設工業新聞』2015.04.16)
●「空き家の3分の2(68.9%)が現在の耐震基準がなかった1980年以前の建物であることが国土交通省の調査で分かった。老朽化した空き家を放置すれば倒壊などのリスクもある。国交省は空き家対策を一段と強化する考えだ。」(『日本経済新聞』2015.04.22)
●「国土交通省は21日、2020年度を目標年次とする現行の住生活基本計画(全国計画)を見直す作業に入った。住宅市場の最新状況や需要予測を踏まえ、防災・減災や高齢者向け住宅の供給など施策項目ごとに設定している数値目標を再検討。居住形態の多様化や老朽ストックの増大など新たな課題に対応した新施策や目標値の新設も検討する。来年3月に16〜25年度を対象とする改定計画の閣議決定を目指す。…初会合では、計画見直しで重視する項目として、▽職住近接・一体やシェアハウスなど居住形態の多様化▽耐震化・省エネ化・長期優良化の促進▽空き家利活用を含む賃貸住宅の質の向上と長寿命化▽リフォーム・リノベーションや用途転換の促進、老朽住宅の除却▽住宅ストック効果の分析・公表▽医療・福祉・介護との連携▽子どもを育てやすい居住環境形成▽都市のコンパクト化▽密集市街地の改善▽公的賃貸住宅・住宅団地の再生▽木造住宅・木材利用の供給・促進―などを列挙した。」(『建設工業新聞』2015.04.22)
●「福島第1原発事故で避難指示を受けた周辺12市町村の住民の早期帰還や生活再建に対する支援を拡充する改正福島復興再生特別措置法が24日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。復興再生拠点として住宅や商業施設などを集積させる新市衝地の形成に活用できる交付金『帰還環境整備交付金』の創設が柱。今後、公布と同時に施行する。新交付金は、原発事故の被災12市町村に帰還した住民の生活や地域経済の再建拠点となる新市街地の形成を急ぐため、市町村による用地買収やインフラ整備、住宅や学校といった公共建築物の建設など幅広い取り組みを対象にした。改正法では、市町村が新市街地の形成に必要な用地を土地の用途にかかわらず買収・取得しやすくする『復興再生拠点整備制度』も導入。」(『建設工業新聞』2015.04.27)
●「国士交通省は、大都市戦略検討委員会(委員長・奥野信宏中京大理事)を開いた。7月下旬のとりまとめを目指す大都市戦略ビジョン(仮称)の策定に向けて、▽郡市の国際競争力・都市再生▽大都市圏での高齢者の急増等▽大都市の災害への脆弱性▽大都市圏内・圏域間の役割分担と連携――の4つの論点に沿って、大都市政策のあり方を探っていく。」(『建設通信新聞』2015.04.28)