情勢の特徴 - 2015年5月前半
●「新たな成長分野をつくり出すことを目的に、2012年5月に発足した有識者会議『経済成長フォーラム』(座長・大田弘子政策研究大学院大学教授)は11日、地方創生への緊急提言をまとめた。提言では、サービス産業の活性化という地方創生への課題を解くかぎは、人と企業が集まる魅力的な拠点である“街のヘソ”をつくり出すことにあると明記。街のヘソの実現に向けて、大規模な都市再開発ではなく、短期間で成果が出るエリア開発のための手法整備を建言している。」(『建設通信新聞』2015.05.12)
●「国士交通省は4月30日、各地方整備局などに設置している『建設業法令遵守推進本部』の2015年度活動方針を決定した。新たな取り組みとして、直轄工事の発注部局と連携した社会保険未加入対策の推進や、外国人建設就労者受入事業にかかる立入検査を展開する。国交省直轄工事では、4月1日以降に契約するすべての案件から、施工体制台帳を通じて保険加入状況を確認し、未加入が判明した場合に建設業担当部局に通報する取り組みを開始。推進本部としてもこの動きに連動し、加入指導などを徹底する。また、4月には外国人建設就労者受入事業もスタートしたことから、担当部局と連携しながら円滑、適切な立入検査を実施する。」(『建設通信新聞』2015.05.01)
●「国土交通省が『ストック効果』を重視する姿勢を鮮明に打ち出す中で、建設業界でも、国土のあり方や新たなまちの姿、社会資本を維持する意義を発信する必要性を訴える声が高まっている。従来の公共工事発注を求める『要望型』の声との大きな違いは、業界や建設会社自身が需要を生み出す“土俵づくり”をしようという意識が働いている点だ」(『建設通信新聞』2015.05.12)
●「全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、内山聖会長)は、政府が2020年度末までの時限的緊急措置として4月からスタートした『外国人建設就労者受入事業』の本格活用に向け、4月30日付で、傘下7社それぞれと共同で作成・申請した適正監理計画の国土交通大臣認定を取得した。以前に技能実習を修了した中国人17人が第一陣として、7月以降に再入国する。いずれも帰国後1年以上が経過しており、3年間国内業務に従事する計画。受入各社は月給23万円以上を保証する。」(『建設通信新聞』2015.05.01)
●「福島第1原発事故に伴う周辺地域の除染作業に携わる人の被ばく放射線量を集計した結果を放射線影響協会がまとめた。それによると、12年の作業従事者1.1万人と13年作業従事者2.0万人の平均年間被ばく線量は、ともに0.5ミリシーベルトとなった。同協会によると、原子力発電所の維持管理に携わる一般的な作業員の平均値(約1ミリシーベルト)の半分程度の線量という。被ばく線量が最も高かった従事者は12年が13.9ミリシーベルト、13年が6.7シーベルトだった。…主な集計結果を見ると、12年、13年とも従事者は60〜64歳が最も多い。平均年間被ばく線量は年齢にかかわらず12年、13年とも0.5ミリシーベルト前後で推移。…複数の工事の従事者の割合は、12年の8.4%から13年の24.0%に増加。平均被ばく線量は従事した現場が増えるほど増加する傾向にあり、最大値は12年、13年とも5現場を経験したケースで、平均被ばく線量はそれぞれ2.2ミリシーベルト、1.4ミリシーベルトだった。」(『建設工業新聞』2015.05.08)
●「国土交通省は、4月30日に大手建設企業53社を対象にした2014年の建設業活動実態調査の結果をまとめた。国内売上高の総額は前年比3.9%増の13兆1279億円と3年連続で増加。海外事業の契約金額も6.5%増の1兆9610億円と4年連続での増加になった。海外市場への意欲の高さをうかがわせる結果になっている。」(『建設通信新聞』2015.05.01)
●「大和ハウス工業は13日、2016年3月期の連結純利益が1250億円と前期比で7%増える見通しだと発表した。4期連続で過去最高を更新する。顧客の相続税対策で賃貸住宅の販売が堅調なうえ、ネット通販市場の拡大で物流施設など『非住宅』分野が寄与する。好業績を受け、今期の年間配当は前期比10円増の70円に引き上げる。」(『日本経済新聞』2015.05.14)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)が、首都圏の公共発注機関に対し、工事の設計変更ガイドラインの策定と現場への周知徹底を求めている。日建連は、同じ発注機関でも出先の発注事務所などによって設計変更手続きの運用方法にばらつきがあると指摘。これを受け、首都圏の自治体の中には、5月中に改定される関東地方整備局の設計変更ガイドラインなどを参考に指針の策定や手続き改善を進めようという動きが出てきた。」(『建設工業新聞』2015.05.15)
●「東京都内で計画されている市街地再開発事業などの大規模建築プロジェケトで、建物の着工時期を遅らせる事例が目立ってきた。ここ数年の労務費・資材費の高騰によって建設コストが急上昇した影響で、着工を目前にして施工会社と工事費の折り合いがつかなくなるケースが増えているようだ。市街地再開発事業では、事業計画の見直しで地権者の合意形成が難航する事態も起きている。」(『建設工業新聞』2015.05.01)
●「頻発・激甚化する豪雨で懸念される都市部の浸水被害の軽減策強化を柱にした水防法など3法の一括改正法が13日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。対象は水防法、下水道法、日本下水道事業団(JS)法。公布から2〜6カ月以内に施行される。改正下水道法では、都市部の民間ビルの地下に雨水貯留施設の設置を促す制度を創設する。」(『建設工業新聞』2015.05.01)