情勢の特徴 - 2015年7月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「日本とタイ、べトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーは4日午前、日本・メコン地域諸国首脳会議を都内の迎賓館で開いた。2016年から18年まで3年間の協力内容を盛り込んだ共同文書を採択。日本が7500億円規模の政府開発援助(ODA)を実施し、産業基盤のインフラ整備などを進めると明記した。『質の高い経済成長』の実現を後押しし、各国と関係強化を図る。…共同文書『新東京戦略2015』は12年にまとめた戦略を改定したもの。@産業基盤インフラの整備A法整備や人材育成の協力強化B防災や環境に配慮した経済発展C米国や中国、アジア開発銀行(ADB)などメコン地域への関与を強める国や国際機関との連携――が柱だ。これらに役立てるODA拠出額を7500億円規模と明記。15年までの3年間で約6000億円とした前回の戦略に比べ1500億円増やした。メコン5カ国は東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の中で潜在成長力が高い地域だ。日本は港湾や道路、発電所、高速鉄道事業など産業基盤のインフラ建設で協力する。東南アジアの交通動脈でベトナムからラオス、タイを経てミャンマーをつなぐ東西経済回廊などの道路整備を通じ、地域の連結性を高める。文書は日本、ミャンマー、タイが、ミャンマー南部で計画する東南アジア最大規模の『ダウェー経済特区』に関し『多大な潜在性と地政学的意義』を指摘、さらなる発展に貢献すると歓迎した。」(『日本経済新聞』2015.07.04)
●「国土交通省が13〜16日にアフリカのエチオピアとケニアで行う日本企業のインフラ輸出セールスの詳細が明らかになった。日本からは同省幹部のほかゼネコンなど企業約30社が参加。当初から両国で予定していた実務者級の『官民インフラ会議』の開催と併せ、同時期にエチオピアで開催される国連の国際会議に出席する各国の閣僚向けにインフラセミナーを開くことも決めた。日本の高い施工技術や高品質の製品が生かせる『質の高い』インフラ事業への投資を強力にPRする。」(『建設工業新聞』2015.07.09)
●「経済産業省の有識者会議は13日、首都直下・南海トラフ地震などの大規模災害が発生しても石油やガスなどのエネルギー供給体制を確保し続けられるよう、エネ供給インフラ施設の耐久性強化を柱とする報告書案をまとめた。石油や液化石油(LP)ガス、天然ガスなどすべての主要エネルギー供給施設で、耐震化や津波・高潮に対する耐水化、地盤の液状化対策などを早期に推進するよう提言している。」(『建設工業新聞』2015.07.14)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省が今秋の閣議決定を目指して策定作業を進めている第4次社会資本整備重点計画の素案が2日、明らかになった。おおむね10〜20年先までの国土の目指す姿を示した上で、2020年度までの計画期間内に進める重点施策と実現すべき数値目標を設定。社会資本を目的・役割に応じて『安全安心インフラ』『生活インフラ』『成長インフラ』の三つに類型化し、優先度や時間軸を考慮しながら選択と集中を徹底させる。」(『建設工業新聞』2015.07.03)
●「内閣府は、PFIの支援策として実施している地方自治体への専門家派遣の対象を、PPP(公民連携)事業にも拡大した。公共施設等運営権方式(コンセッション)や公的不動産の民間活用、インフラの包括的民間委託など幅広い案件を対象にし、自治体によるPPP・PFIの案件形成を後押しする。専門家の派遣経費は内閣府が負担する。複数回の派遣も可能。専門的な知識やノウハウを持つ専門家がアドバイスや指導などを行う。」(『建設工業新聞』2015.07.03)
●「東日本建設業保証がまとめた公共工事の動向によると、2015年度第1四半期(4−6月)の請負金額は、前年同期比0.5%増の2兆7513億円となった。4月に計上された東京都内の大規模再開発を除けば前年同期を下回る水準で、工事の大規模化も顕著になっており、地方部での工事発注の減少が浮き彫りとなっている。…主要発注者の発注量減に加え、請負金額階層別の発注量を見ると、10億円以上の大規模工事が24.8%増となった以外、10億円未満の7階層すべてが前年同期を下回るなど工事の大型化が進んでいる。」(『建設通信新聞』2015.07.09)

労働・福祉

●「建設企業が求める技術者や職人の求人数と求職者の割合を示す、求人倍率の緩和傾向が続いている。求職者数は増加しているが、求人数の減少が、求人倍率を押し下げている形だ。最大市場である東京都内でも、技術者の求人数は直近5月統計で前年同月比2000人弱減少し、雇用統計上は技術者、技能労働者(職人)ともに労働力需要はじりじりと減少しつつある。」(『建設通信新聞』2015.07.01)
●「厚生労働省は3日、2016−20年度を計画期間とする第9次建設雇用改善計画の策定に向けた作業に着手した。担い手の確保・育成が大きな課題となる中、新規学卒者の建設業への就職を増やすことや女性就業者数の拡大など、ほかの産業との人材獲得競争に負けない雇用環境の実現に向けた方策を検討していく。労働時間の削減、週休2日制の導入率や年次有給休暇取得率の向上、技能労働者年収額のアップといった課題解決に向け、今後議論を深めていく。」(『建設通信新聞』2015.07.06)
●「社会保険に加入していない企業が新たに加入すると、過去2年分の保険料を一気に請求される―。建設業の社会保険未加入問題で、加入に踏み切れない理由として、保険料の納付を過去2年にさかのぼって求める『遡及適用』の問題を訴える声が一部の業界関係者の間で出ている。ただ、一方、日本年金機構は『立ち入り検査前に自らの申し出で加入すれば、新規加入として扱い、遡及適用は行わない』(担当者)との見解を示す。遡及適用がやや誤解されて伝わっているようだ。…年金事務所の指導を受けた後に自主的な申し出で加入すれば、新規加入と見なし、過去にさかのぼって保険料の納付を求めることはないという。さらに、立ち入り検査の直前には現地で加入指導を再度行い、その時点で加入を申し出ても遡及適用にはならない。年金事務所は加入指導から3カ月後を目安に立ち入り検査を実施している。遡及適用に至るのは、最初の国交省による加入指導から相当の期間がたち、度重なる指導にも応じなかったケースだ。指導される前に自ら加入しておけば問題はない。」(『建設工業新聞』2015.07.14)
●「厚生労働省は14日、建設業振興基金に委託した『建設労働者緊急育成支援事業』における訓練生の募集が8月から始まることを明らかにした。合わせて、労働局とハローワークに対し、訓練生の募集に協力するよう指示した。同日に開いた全国職業安定部長等会議の中で、訓練生募集開始時期を示した上で、労働局とハローワークに指示をした。厚労省は、訓練生の募集だけでなく、事業の周知と広報、訓練後の就職支援でも協力するよう要請している。事業は2015年度からの新規事業。建設業振興基金は『中央拠点』と都道府県建設業協会などの協力を得て『地方拠点』を置く。建設技能労働者の育成を目指し、若年入職希望者を主な対象として訓練生を募集し、職業訓練を行った上で、訓練修了者の就職支援までをパッケージで実施する。」(『建設通信新聞』2015.07.15)

建設産業・経営

●「経済産業省中小企業庁がまとめた4−6月期の中小企業景況調査によると、建設業の業況判断DI(好転から悪化を引いた指数)は、前期(1−3月)から0.3ポイント悪化のマイナス10.1と、5期続けてマイナスのDIとなりマイナス幅が拡大した。ただ、業種別の『総合工事業』はマイナス12.6となり、前期から1.1ポイント改善した。『職別・設備工事業』はマイナス7.1で前期と同じ指数だった。建設業の業況判断DIを経済産業局別にみると、全8地区ともマイナスの指数だが、東北、中部、近畿、四国、九州の5地区は指数が改善し、マイナス幅が縮小した。北海道、関東、中国の3地区はマイナス幅が拡大し、前期より指数が悪化している。九州がマイナス2.3、東北がマイナス4.9、中部がマイナス9.1と指数がマイナス1桁台の一方、北海道はマイナス20.2と、地域によって景況感のばらつきの差がさらに広がっている。」(『建設通信新聞』2015.07.03)
●「土木型枠工事の受注単価の上昇にばらつきがあることが、日本型枠工事業協会(三野輪賢二会長)が会員企業を対象に行った『15年度土木型枠に関するアンケート調査』で分かった。回答企業の半数以上が14年4月に比べ15年4月の受注単価が上昇したと答えたものの、約40%が『同程度』とし、『下降した』も5%あった。土木型枠工事は大半が公共工事のため、設計労務単価の引き上げと連動して単価も上昇するが、『地域性だけでなく、元請企業の対応によっても(単価上昇が)果なっている』としている。」(『建設工業新聞』2015.07.08)
●「建設工事が活況といわれる中で、建設資材の需要が伸び悩んでいる。セメント、生コンクリートなど主要資材は軒並み14年度の需要量が当初想定を下回り、15年度に入っても改善が進んでいない状況だ。このところの建設コストの高騰を受けてデベロッパーなどが着工を先送りしていることや、大量の手持ち工事を抱えるゼネコンが受注増に慎重になっていることなどが原因とみられている。震災復興からアベノミクス、2020年東京五輪と建設市場が盛り上がる中での『異変』に関係者は困惑気味だ。」(『建設工業新聞』2015.07.10)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「アマゾンジャパン(東京・目黒)は30日、積水ハウスなどと組みリフォームサービスの販売を始めた。キッチンや浴室、トイレなど計5千種類以上を扱い、価格は商品代に交換や取り付けなどの工事費を含めて定額で表示する。一般のリフォームサービスで手間がかかる見積もり作業などがなく、予算に応じてネットで手軽に申し込める。ほかに大和ハウスリフォームやダスキンと連携する。…積水ハウスと大和ハウスリフォームが提供するリフォームは、工事費込みで数十万円台中心となる。ダスキンがエアコンや浴室などの掃除も手がける。」(『日本経済新聞』2015.07.01)
●「東京都内で計画されている4件の大規模開発プロジェクトが6月29日、東京圏国家戦略特別区域の都市建築物等整備事業として国の認定を取得した。認定を取得したのは、東京都千代田区の『大手町一丁目2地区開発事業』(事業提案者=三井不動産、三井物産)、東京都港区の『虎ノ門・日比谷線新駅』(都市再生機構)、「虎ノ門一丁目地区第一種市街地再開発事業」(森ビル)、「虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業」(野村不動産)。いずれも都市計画決定・変更にかかわる特例を受けた。」(『建設工業新聞』2015.07.01)
●「災害時に火災が広がる危険性の高い木造住宅密集地域の再開発事業が、東京都豊島区の東池袋地区で始動する。都が木密地域の建物の建て替えを促進する『不燃化特区』の中で、東池袋5丁目の市街地再開発組合の設立を初めて認可した。大型マンションや広場を整備する計画で、2018年の完成を目指す。」(『日本経済新聞』2015.07.09)

その他