情勢の特徴 - 2015年11月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「TPP(環太平洋経済連携協定)の協定文書(英文)が公表されたことで、第10章『国境を越えるサービスの貿易』のうち、日本が完全自由化の対象外として付属書に列挙した『留保』分野に、建設業や自由職業サービス(建築士など)、不動産業、不動産鑑定業、職業上の安全・衛生関連サービス、測量業などが含まれていることが明らかになった。これら建設・不動産関係の留保は、いずれも協定発行時に存在し、今後も維持ができる措置の『現在留保』となる。外国企業などが日本でサービスを提供したり、建設業を営む際に、日本国内に現地拠点竜設けることを留保措置の内容としている。…建設・不動産関係の『現在留保』分野は、『各国の国内法に従う当然の内容で、留保するリストに列挙する必要もなかったが、保険的な意味合いでリスト化したところ、そのままとなった』(政府関係者)という。また、日本は、将来新たに規制を導入することができる『将来留保』分野の一つとして、土地取引を掲げた。日本で外国人や外国法人による土地の取得、賃貸借を禁止か制限できる措置とした。ただ、この措置は、日本の企業などが外国で同一か類似の禁止、制限を課されている場合に限っている。」(『建設通信新聞』2015.11.09)
●「日米など12カ国が先月5日に大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)。その英文の協定暫定案文がこのほど公表され、政府調達で内外無差別の公開入札が追加的に原則適用される国別の対象機閑や適用基準額などが明らかになった。…政府調達で協定の対象となる基準額がこれまでの複数国間や2国間の国際約束よりも引き下げられ、市場が拡大するのは、チリ、ペルー、オーストラリアの3カ国。…これら3カ国の基準額は、それぞれ設定される経過期間が終了した後の最終的な基準額として公表された。TPP協定の発効後、政府調達については、3年以内に地方政府を含めた適用範囲の拡大に向けてあらためて交渉することも明記した。」(『建設工業新聞』2015.11.09)

行政・公共事業・民営化

●「都道府県が発注する公共工事で、入札不調の発生率が一段と低下してきた。国土交通省の集計によると、15年度上半期(4〜9月、全工種)の不調発生率は前年同期より1.9ポイント低い4.0%だった。東日本大震災後は頻発していた不調も、13年度の発生率は通年で7.6%、14年度は通年で6.8%と低下傾向にあり、本年度に入っても沈静化の傾向が続いていることが鮮明になった。特に若手県の低下が顕著で、震災の被災地全体でも大幅な低下が見られた。」(『建設工業新聞』2015.11.13)
●「全国の自治体の首長50人が参加する『資産経営・公属連携首長会議』が発足し、11日に東京都内で第1回総会を開いた。財政難と人口減少で公共施設の老朽化対策や再編に十分な施策が講じられないことに多くの自治体が悩む。そうした課題を共有し、各自治体の資産経営、公共施設マネジメント、公共施設等総合管理計画の策定などに役立つ政策提言を国に行っていく。…民間企業と連携した省インフラ研究会の活動を進める東洋大学PPP研究センター(根本祐二センター長)と連携。事務局は公共ファイナンス研究所(阿部博人代表取締役)内に置く。」(『建設工業新聞』2015.11.13)

労働・福祉

●「2012年3月卒業で建設業に就職した3万2034人のうち、就職後3年以内に仕事を辞めたのは1万2730人おり、卒業後3年以内離職率が39.7%となった。厚生労働省が10月30日にまとめた新卒者離職状況によると、前年(11年3月)の卒業者と比べ離職率は1.3ポイント上昇した。大卒者は1万5938人が就職し、3年以内に4793人が離職。離職率は0.9ポイント増の30.1%だった。高卒者は1万2082人が就職し、6042人が仕事を辞めた。3年以内離職率は1.5ポイント増の50.0%に達し、2人に1人が離職している状況だ。全産業の高卒離職率(40.0%)と比べ、建設業の離職率は10ポイントも高く、担い手を確保しても、定着が困難であることを浮き彫りにしている。」(『建設通信新聞』2015.11.02)
●「建設技能労働者の就労経験が蓄積されるシステムの構築に向け、8月に立ち上げられた官民コンソーシアムの下、対象とする人や現場の範囲、運用主体など各種テーマの詳細を議論する『作業グループ(G)』の初会合が4日開催される。まずは関係者間で、システムがもたらす多様なメリットを共有し、蓄積情報の内容や閲覧可能な範囲、入退場を記録する手法・端末、費用負担のあり方などを順次詰めていく。コンソーシアムは作業Gでの議論を踏まえ、2015年度内に一定の方向性を示した中間取りまとめを策定する。」(『建設通信新聞』2015.11.04)
●「現場作業員は3年先に型枠工、鉄筋工が大きく不足――。軽仮設リース業協会(関山正会長)がユーザーのゼネコンを対象に実施したアンケート結果によると、『大きく不足』の現在の割合は型枠工が24%、鉄筋工が20%だが、3年先は型枠工が53%、鉄筋工が50%と大きく上昇する。地区別では、震災復興需要が続く東北と民間投資が活発な関東で、『大きく不足』が3年先に50%を超え高水準となるが、四国は不足感が逆に低下するなどばらつきもあった。」(『建設通信新聞』2015.11.10)
●「国土交通省は、4月に始まった『外国人建設就労者受け入れ事業』で、特定監理団体と受け入れ企業を対象としたアンケートに着手する。国交省から認定された適正監理計画に基づき、実際に外国人就労者に支払われている賃金水準や、生活の場となる宿舎の現状などを聞く質問を設ける。アンケート結果を踏まえて、外国人就労者15人ほどを抽出してヒアリングも実施。就労状況の好事例や事業の改善すべき点などを把握し、制度を見直す際の参考にする。」(『建設工業新聞』2015.11.10)
●「福島県楢葉町の除染に絡み、下請け業者幹部らが逮捕された違法派遣事件で、東京都品川区の2次下請け業者が違法に労働者を受け入れていた疑いが強まり、青森県警は14日までに、職業安定法違反の疑いで社長(62)と当時の現場責任者(63)の逮捕状を取った。…捜査関係者によると、2013年11月から14年3月、除染の3次下請け業者『泉友』 (青森県大間町)の元社長、泉一哉容疑者(41)=同法達反容疑で再逮捕=が集めた労働者16人を受け入れ、楢葉町の除染に従事させた疑いが持たれている。職業安定法は、雇用していない労働者を、さらに第三者の指揮命令の下で働かせる労働者供給事業を禁じており、受け入れた側も罰せられる。…事件では、泉友を含む3〜6次下請けの幹部ら8人が労働者派遣法が禁じる建設業務に従事させたなどの疑いで逮捕された。」(『日本経済新聞』2015.11.15)

建設産業・経営

●「日本建設業連合会(中村満義会長)がまとめた会員98社の2015年度上期(4−9月)の受注総額は、前年同期比4.8%減の6兆9929億4100万円となった。前年度に東京外かく環状自動車道の大型工事があった反動で前年同期を下回ったものの、受注額が急回復した13年度同期並みの水準を維持している。」(『建設通信新聞』2015.11.02)
●「上場大手ゼネコン4社の2016年3月期第2四半期決算が10日に出そろった。主戦場である国内建築工事の採算が改善し、中間期の連結営業利益は4社とも過去最高となった。営業利益率の伸びも顕著で、大成建設は連結で6%を超えている。一方、4社そろって通期業績予想を修正したのも今中間期の特徴だ。当初予想比では、売上高に小幅な増減があるものの、各利益が大幅に増加する見通しは共通で、過去最高の数値を予想する社も複数ある。『量も質も追求する』のが大手ゼネコンの宿命だが、底堅い事業環境の中、利益競争の構図がさらに鮮明になってきた。」(『建設通信新聞』2015.11.11)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「空き家のうち、二次的住宅(別荘等)や賃貸用・売却用を除いた住宅約320万戸に関して、国土交通省が耐震性や腐朽・破額の状況、立地条件等を勘案して試算したところ、簡易な手入れで利活用可能な空き家が全国で約48万戸に止まることが分かった。リフォームによる空き家の利活用とともに、安全面からの適切な除去等も並行して進める必要性が浮き彫りになった。」(『日本住宅新聞』2015.11.05)

その他