情勢の特徴 - 2015年12月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(官公需法)の改正に基づいて、創業10年未満への新規中小企業者を含めた中小企業や小規模事業者への配慮を求めていた政府方針(8月閣議決定)を受けて、国土交通省は、2015年度における中小企業者に関する契約方針を制定した。政府全体の基本方針に沿って、省としての取り組み方針を定めた形となる。」(『建設通信新聞』2015.12.08)
●「民間建築市場の最大けん引役である『不動産業』の設備投資目的の新規借入金が増加し続けている。2015年度第2四半期(7−9月)期中に不動産業が設備投資目的で金融機関から借り入れた金額は前年同期比17.4%増の2兆9843億円となったことが日銀調査で明らかになった。リーマン・ショック以前の06年度、07年度の第2四半期と比較しても、4400億円程度、期中の新規借入額を増加させている。建設業界では『首都圏でのディベロッパーから中・大型開発案件は来年度から加速する』との見方で一致しているが、不動産業の資金需要からも業界の期待を裏付けた形だ。」(『建設通信新聞』2015.12.11)
●「不動産投資信託(REIT)の分配金(配当に相当)が増えている。2015年度は前年度比9%増となりそうだ。増加は5年連続となる。物件の新規取得による賃料収入の伸びは鈍ってきているが、低金利環境のもとで有利子負債の借り換えを積極的に進めて、支払利息を減らした効果が出ている。」(『日本経済新聞』2015.12.15)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、公共工事設計労務単価の次期改定で、技能労働者の社会保険への加入を徹底させる観点から、必要な法定福利費相当額を加算する措置を継続する方針だ。3日の衆院国土交通委員会の審議で石井啓一国交相が表明した。設計労務単価は13年4月以降、3度にわたって引き上げられ、全職種・全国平均で12年度単価に比べて28%上昇している。石井国交相は、これまでの単価上昇分が技能労働者の賃金に反映される『好循環』につなげたいと強調した。」(『建設工業新聞』2015.12.04)
●「国土交通省は7日、地方自治体の公共事業にPPP・PFIを普及させるため、全国8地域ブロックごとに産学官で案件の発掘や具体化に取り組む『地域プラットフォーム』を始動させる。第1弾は同日発足する中部ブロック。人口の減少で公共事業に充てられる予算や人員が減る中、国や民間事業者などがPPP・PFIの実績やノウハウに乏しい自治体を技術・資金両面で支援。日本建設業連合会(日建連)など建設業団体も参加し、案件の形成支援と会員会社の参入拡大を図る。」(『建設工業新聞』2015.12.07)

労働・福祉

●「建設技能労働者の技能と経験を『見える化』する就労履歴蓄積システムの構築に向けた細部を議論するため、官民コンソーシアムの下に設置された作業グループの第2回会合が2日開かれ、国土交通省としてのたたき台が提示された。登録する本人情報は、住所・氏名・生年月日・性別・国籍、保有資格、社会保険加入状況、所属企業を必須とし、住民票や資格証、標準報酬決定通知書などの証明書類を添付させることで、厳格な本人確認を行い登録情報の真正性を確保する。企業ごとの保険加入率も明示し、法定福利費の算定に活用できるようにする考えだ。」(『建設通信新聞』2015.12.03)
●「準大手ゼネコン各社が、下請の専門工事業者の社会保険加入に意欲的に取り組んでいることが日刊建設工業新聞社のアンケートで分かった。回答した21社のうち18社が、専門工事業者に対し法定福利費を内訳明示した見積もりの提出を求め、明示された金額通りに契約していると答えた。大半が未加入の1次下請とは契約しない方針も打ち出し、戸田建設では9月までにすべての1次下請が加入。五洋建設のように未加入の下請と原則契約しない方針を示す企業もあり、2次以下の下請の動向が今後の焦点の一つとなる。」(『建設工業新聞』2015.12.03)
●「国土交通省は3日、2015年度から時限的緊急措置として開始した『外国人建設就労者受入事業』について、給与水準などを把握する初の実態調査に着手した。特定監理団体や受入建設企業などにアンケート・ヒアリング調査を実施し、職種や地域ごとの賃金水準などを統計的につかむほか、適正監理に資する好事例や制度の改善要望などを集める。」(『建設通信新聞』2015.12.04)
●「建設業に入職したが就業期間の短い若者の多くは、教育・訓練の必要性を感じている。また、建設業に就職したきっかけは学校の推薦に次いでインターネットが多く、ネットによる求人も有効であることが、職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会(才賀清二郎会長)のまとめた『建設業における職業訓練生の建設業及び技術・技能に関するアンケート結果』で分かった。…アンケート結果によると、現在の会社に就職したきっかけは、『学校の推薦』が最も多く47.1%を占める。次いで『インターネット』が15.8%、『家族・知人の紹介』が14.6%で以下、『新聞・求人誌等』『ハローワーク』『民間職業紹介所』と続く。建設業に入職した動機では、『建設業に興味(憧れ)があった』が31.9%と最も多い。次いで『建設関係の学校に入っていた』が13.6%、『体を動かす仕事が好き』が12.9%、『技術や技能が身に着けられる』が10.9%となっている。…また教育訓練の必要性については、ほとんどの人が必要性を感じている。さらにほとんどの人がもっと技術・技能を学びたいという考えを持っていた。」(『建設通信新聞』2015.12.04)
●「国内最大の建設業向けクラウドサービスを提供するMCデータプラス(東京都港区、秋山光輝社長)は、労務安全書類サービス『グリーンサイト』の新オプションとして、膨大な蓄積データをユーザー視点で簡便に解析できる『データ解析サービス』をリリースする。初弾のターゲットは、官民を挙げて建設業界で加速している社会保険未加入対策。新サービスを使えば、下請協力会社の加入状況を企業別や作業員別の切り口で瞬時に可視化できる。元請企業は傾向ではなく実数を把達し、メリハリを付けた加入指導などが可能になる。2016年3月1日から正式に提供開始する。」(『建設通信新聞』2015.12.14)

建設産業・経営

●「東日本建設業保証(東保証)は、中小建設会社を主体にした14年度の決算分析をまとめた。対象は2万5171社(前回調査2万5683社)。投下資本に対する経常的な利益の割合を示す総資本経常利益率の全体平均は4.66%(2.67%)、本業の収益性を示す売上高営業利益率の全体平均は2.04%(0.82%)にそれぞれ上昇し、改善傾向にあることが分かった。ただ、15年度は請負金額ベースの工事量が減少している地域が多く、同社は動向を注視する方針だ。」(『建設工業新聞』2015.12.02)
●「大手ゼネコン5社が、専門工事業者に社会保険加入を促す取り組みを本格化させている。1次下請業者との契約で、社会保険加入の原資となる法定福利費の必要額を確保。2次以下の下請業者や労働者単位での加入促進といった課題への対応にも乗りだしている。業界をリードする大手5社の取り組みがどう波及していくか、注目か集まる。」(『建設工業新聞』2015.12.02)
●「日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、年内の作成を目指して検討中の杭工事管理指針の最終調整に入った。施工データの取得・管理を含む施工管理の体制や、施工計画書に記載する内容に加え、計画・施工・確認といった一連の作業の各段階で不備が発覚した場合の対応方針なども示す。既存のルールを明確化する内容で、今後の各社の対応に指針を生かしてもらう。」(『建設工業新聞』2015.12.07)
●「建設業とその周辺業界で新たな再編の動きが活発化している。ハウスメーカーとゼネコン、建設コンサルタントと建築設計事務所といった従来にない組み合わせが大きな特色だ。事業領域の異なる互いの強みを生かして相乗効果を創出する成長戦略としての再編ともいえる。将来の国内建設市場の縮小を見越し、領域の垣根を越えた企業連携によって業容を拡大したり、海外に活路を求めたりする動きが今後も活発になる可能性がある。」(『建設工業新聞』2015.12.08)
●「積水ハウスが10日発表した2015年2〜10月期の連結決算は純利益が前年同期比27%増の711億円だった。賃貸住宅の販売や管理、マンション分譲などの好調で9カ月間の最高益を更新した。消費増税の反動減が一服した戸建て住宅の受注も回復している。16年1月期通期の純利益は会社予想(前期比9%増の980億円)から上振れする可能性もある。」(『日本経済新聞』2015.12.11)
●「全国建設業協会(近藤晴貞会長)は、『災害対応空白地域』を調査した結果、全建会員企業不在の市町村が全1741自治体(東京都のみ区を含む)中、188自治体に上ることが分かった。前回調査(2011年2月)より22自治体増えた。47都道府県中26道府県が会員企業不在の市町村を抱えていることになる。全建会員がいなければ災害対応できないわけではないが、会員が存在する市町村と比べると災害対応力が弱いとみられる。」(『建設通信新聞』2015.12.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省が30日発表した10月の新設住宅着工戸数は前年同月比2.5%減の7万7153戸となり、8カ月ぶりに減少した。首都圏で前年同月に大型物件の着工があった反動で、分譲マンションが17.2%の大幅減となったことが響いた。不十分な基礎のくい打ちによる横浜マンション傾斜問題が10月半ばに明らかになったことが影を落とした可能性もある。」(『日本経済新聞』2015.12.01)
●「国土交通省は11日、直轄管理する河川の堤防約3000キロを対象に、5年間で総額8000億円を投じて緊急整備を行う計画を発表した。堤防のかさ上げや浸透・浸食対策を行う優先区間を約1200キロ、堤防の天端の保護や堤防裏の補強などによる粘り強い構造とする対策の実施区間を約1800キロ抽出。2020年度までにこれらの区間の対策を完了させる。9月の関東・東北豪雨を踏まえてまとめた『水防災意識社会再構築ビジョン』に盛り込んだ。」(『建設工業新聞』2015.12.14)

その他