情勢の特徴 - 2016年3月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は4日、『中小企業新事業活働促進法改正案(中小企業等経営強化法)』を閣議決定した。特定の事業分野ごとに経営力向上(生産性向上)目標や方法など示す『事業分野別指針』を事業所管大臣が策定することを盛り込み、事業分野の特性に応じた支援の仕組みを整える。また、指針に沿って中小企業が事業計画(経営力向上計画)を国に申請し、認定を受けた中小企業は、税制や金融の支援措置を受けることができる。政府は、中小建設企業の本業における経営力と生産性を向上させるため、建設業の指針を策定する。」(『建設通信新聞』2016.03.07)
●「中堅・中小建設業者向けに国土交通省が創設した金融2事業の延長が決まった。公共工事請負代金債権を担保にして元請の資金調達を支援する『地域建設業経営強化融資制度』は20年度末まで5年間、下請が元請に対して持つ工事請負代金の保全を支援することで連鎖倒産を防止する『下請債権保全支援事業』は16年度末まで1年間それぞれ延長する。基本スキームは踏襲。利用時の助成割合は一部引き下げる。」(『建設工業新聞』2016.03.09)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、総合評価落札方式による業務負担の軽減を目的にした『段階的選抜方式』の活用を砿大する。企業や配置する技術者の実績など、書類選考による1次審査で参加者にふるいをかけ、技術提案の提出要請者を絞り込む段階的選抜方式は、手続き期間は延びるが受発注者双方にとって事務負担の軽減効果は高い。このため適用状況の分析をもとに、特に早期の契約が必要と考えられるものなどを除いて、段階的選抜方式の適用を基本に据える方針だ。」(『建設通信新聞』2016.03.02)
●「国土交通省は、施工能力評価型総合評価方式の入札に、手持ち工事量の評価を導入する。直轄工事を対象にした総合評価方式の運用ガイドラインを本年度内に見直し、現在は段階的選抜や総合評価で行っていない手持ち工事量の評価を発注者が選択できるようにする。受注量の急増によって、企業のバックアップ体制や技術者の体制がぜい弱になる可能性があることを踏まえた措置。評価には、過去数年の最大同時稼働件数の平均と契約時点の手持ち工事件数から算出した比率を用いる。」(『建設工業新聞』2016.03.04)
●「国土交通省は、地方自治体が管理している空港(全58空港)向けに作る滑走路などの舗装維持管理マニュアル案をまとめた。国や空港会社が管理している大規模な空港と比べ、技術者や経験年数の少ない自治体が管理している小規模空港は維持管理の体制もぜい弱なことから、初心者でも理解しやすいよう図や写真を多用し、点検の頻度を設定する方法や修繕工事の作業手順などをわかりやすく解説する。早期の正式決定を目指す。」(『建設工業新聞』2016.03.08)
●「国土交通省は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針で示された発注関係事務のうち、『予定価格の適正な設定』『適切な設計変更』『発注や施工時期の平準化』の3重点項目を中心に、統一的な指標を今夏をめどに定める。発注体制に応じて目安となる水準を示し、市町村を含めたすべての公共発注者が現状を客観的・相対的に評価できるようにする。設定された水準に届いていない発注者の改善意識を喚起して底上げを図る。」(『建設工業新聞』2016.03.09)
●「国土交通省は8日、近畿地方整備局が発注した工事を受注した元請業者が社会保険未加入の1次下請業者を使って施工したことが判明したとして、この元請業者を同日から4月7日まで1カ月の指名停止とした。直轄工事で試行中の社会保険未加入対策に基づく措置で、指名停止が行われたのは初めて。元請業者には下請契約額の1割の額を制裁金として請求。工事成績評定でも減点措置を講じる。建築解体工事を受注した建築Dランクの元請業者が使った1次下請のとび・土工工事業者が、3社会保険のうち健康保険と厚生年金の二つに入っていなかった。施工体制台帳の加入状況欄を整備局担当者が確認したところ、『未加入』と記載されていたため発覚した。この未加入業者はすぐに加入したことから、発注部局から建設業担当部局への通報は行わなかったという。」(『建設工業新聞』2016.03.09)
●「国土交通省は、石井啓一国交相を本部長とする国土交通省生産性革命本部の初会合を7日に省内で開き、『生産性革命プロジェクト』の第1弾となる6件の取り組みを発表した。各プロジェクトに省を挙げて集中的に取り組み、それぞれの熟度を高めていく。その一環で経済界と積極的に対話も行う。本部会合は1ヵ月に1回のペースで開催し、第2弾以降のプロジェクトを発表していく。第1弾となった6件のうち、『社会のベース』の生産性を高めるプロジェクトは、▽ピンポイント渋滞対策〜渋滞解消で労働力の創出〜▽渋滞をなくす賢い料金▽クルーズ船需要の取り込み―の3件。『産業別』の生産性を高めるプロジェクトは、▽本格的なi-Constructionへの転換▽新たな住宅循環システムの構築と住生活産業の成長−の2件。『未来型』投資・新技術で生産性を高めるプロジェクトは、『急所を特定する科学的な道路交通安全対策』の1件が位置付けられた。」(『建設工業新聞』2016.03.09)
●「国土交通省は、地域インフラを支えるコア企業の確保という観点から、新たな入札契約方式の検討に着手した。現在でも災害協定やBCP(事業継続計画)認定を総合評価で加点する試みを展開しているが、対象となる企業数が多く、真にコアな企業を差別化するには至っていない。国交省は、持続可能なインフラメンテナンス体制を確保するためにも、維持工事や小規模改良工事などの『地域密着型工事』の入札で、高評価が得られる企業を一定程度に限定することが望ましいのではないかと問題提起。従来以上に深掘りした地域精通度や災害時対応能力などを競争参加資格に設定し、入札の『入り口』段階で絞り込む方式も検討する。」(『建設通信新聞』2016.03.10)
●「政府は11日の閣議で、東日本大震災からの『復興・創生期間』と位置付ける16〜20年度に展開する復興事業の基本方針を決定した。同期間を復興の『総仕上げ』段階とし、最盛期を迎えている自治体の災害公営億宅整備と復興街づくり事業をきめ細かく支援。19年3月までにおおむねの完了を目指す。基本方針では、政府が復興・創生期間の5年間に復興事業予算として総額約6.5兆円を投入。さらに15年度末までの『集中復興期間』に投じる約26兆円と合わせ、法律で定める10年間の復興期間に総額約32兆円を確保することも明記した。政府は、復興・創生期間初年度となる16年度予算案には、復興事業予算(東日本大震災復興特別会計)として総額3兆2469億円を計上している。16年度以降、基本方針に盛り込んだ施策の進ちょく確認などを毎年度行い、3年後の18年度末までに見直す予定だ。」(『建設工業新聞』2016.03.14)

労働・福祉

●「北海道建設部は、建設業若年者入職に関するアンケート結果をまとめた。…建設業界への就職は『積極的に考えている』『たぶんすると思う』が70.2%。建設関係の仕事の魅力は『ものづくりはおもしろそう』が44.6%、『自分がやったという実感が持てる』が38.6%あった。企業に対する経営課題の問いは『人材の確保が困難』が50.9%と最多だった。これに『従業員の若返りが遅れている』が43.9%と続く。人材不足の要因は『募集しても応募がない』『応募はあるが、適当な人材がいない』『既存従業員が高齢で退職者が増加』が目立った。」(『建設通信新聞』2016.03.07)
●「厚生労働省は、2015年11月に実施した『過重労働解消キャンペーン』での重点監督実施結果をまとめた。5031事業場に重点監督を実施した結果、73.9%に当たる3718事業場で労働基準関係法令達反があった。このうち建設業は、全体の4.9%に当たる247事業場で重点監督を実施。72.1%を占める178事業場が労働基準関係法令達反だった。主な違反の内訳は、『36協定』がなく時間外労働をさせているか、『36協定』で定める限度時間を超えた時間外労働をさせていた労働時間違反が108事業場、賃金不払い残業が33事業場、衛生委員会の未設置や委員会設置も毎月1回以上開催していないなどの健康障害防止対策が18事業場となっている。長時間労働を原因とする脳・心臓疾患発症の労災請求があった建設業のある事業場では、複数の労働者が月100時間を超える違法な時間外労働(最長労働者は約200時間)があったほか、衛生委員会を開いているにもかかわらず、長時間労働による健康障害防止対策を調査・審議していなかったことから、労働基準法と労働安全衛生法違反を是正勧告した。」(『建設通信新聞』2016.03.09)
●「ゼネコン各社が女性の新卒採用を増やしている。日刊建設工業新聞社が主要33社を対象に実施した新卒採用アンケートの結果、16年4月入社の女性採用数は19社が前年を上回った。10人以上採用したのは前年と同じ16社。竹中工務店が65人(前年61人)で2年連続最多となった。具体的な目標を掲げて女性の採用を行っている企業も目立つ。」(『建設工業新聞』2016.03.10)
●「労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は10日、建設労働者雇用改善法に基づき厚生労働省がまとめた2016−20年度を計画期間とする第9次建設雇用改善計画案を妥当と議決した。『若者が展望をもって安心して活き活きと働ける魅力ある職場づくりの推進』をテーマに掲げ、▽若年者などの建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成▽魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備▽職業能力開発の促進、技能継承――の3項目を施策の最重点事項に位置付けた。計画に盛り込んだ施策を強力に進めることで、労働時間や賃金、休日などの面で、他産業と比べそん色のない就労環境の実現を目指す。」(『建設通信新聞』2016.03.11)
●「多くの建設会社が労働者のメンタルヘルス対策に高い関心を寄せていることが、建設労務安全研究会(労研)の調査で明らかになった。ゼネコン、専門工事業者ともメンタルヘルス対策に取り組んでいない会社が他産業より多いが、回答した企業の60%以上が今後取り組む考えを示した。メンタルの不調で長期休業・退職した労働者がいると回答したゼネコンが半分近くに達し、危機感は高まっている。対策に元請の支援を求める専門業者が多いことも分かった。」(『建設工業新聞』2016.03.14)

建設産業・経営

●「日本建設業連合会(日建連)がまとめた『建築設計部門年次アンケート2015』によると、国内建築工事の受注額に占める設計施工率(15年7月1日時点)は48.4%と前年より7.6ポイント上がり、過去最高を更新した。上昇は3年連続。設計施工は、施工計画を前倒しで設計に反映させやすく、コスト削減や工期短縮のメリットが出やすいとされる。受注額が増える中での比率上昇について、日建連建築設計委員会は『コストをコントロールしやすいという認識が施主側に広まっている』と見ている。」(『建設工業新聞』2016.03.01)
●「長谷工コーポレーションは4月にも認知症を対象にしたデイサービスの運営事業者を買収する。有料老人ホームなどの高齢者住宅は2020年までに現在の3割増となる計50施設まで増やす。主力の国内マンション建設は今後、市場縮小が予想される。長谷工は拡大が見込まれる高齢者向け事業で幅広いサービスを用意し、新たな収益源として育成する。」(『日本経済新聞』2016.03.15)
●「建設業振興基金(内田俊一理事長)は、国土交通省や建設業界団体などをメンバーとする『建設産業データ分析・整備検討委員会』を発足させた。建設産業に関する各種データは、国や関係機関などがそれぞれ整備・保有しているが、点在して集約されておらず、データの維持管理・更新が行われていないケースもあるなど課題がある。検討委は、建設産業施策にデータを迅速・的確に反映できるよう、未整備データの洗い出しや既存データの維持管理体制の検討などを1年程度をかけて行う。」(『建設工業新聞』2016.03.15)
●「災害発生後に被災者が入居する応急仮設住宅の建設などについて各都道府県との協定締結を進めている(一社)全国木造建設事業協会(全木協、理事長=青木宏之・JBN全国工務店協会会長)は、3月3日に山梨県と協定を締結した。全木協は東日本大震災での木造仮設住宅の建設を契機にJBNと全建総連が設立し、山梨県が21都県目の協定締結。」(『日本住宅新聞』2016.03.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「(一社)リフォームパートナー協議会(RECACO、窪田直彦理事長)は2月27日、第2回定期総会を開いた。同19日、国土交通省のリフォーム事業者団体登録制度に登録されたことを受け、2016年度の事業計画などを審議。正会員登録1000者を目標に、会員拡大を図る。また、消費者からの相談受付や、補助金活用や完了検査の支援を行うRECACOパッケージ事業を、3年以内をめどに展開することを目指し、検討を開始する。」(『日本住宅新聞』2016.03.05)

その他