情勢の特徴 - 2016年3月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は地域を限定して規制を緩和する国家戦略特区に関する初の評価をまとめた。東京圏(東京都と神奈川県の全域、千葉県成田市)は2月までに42事業を認定。都心再開発は10件で経済波及効果が計2兆4500億円と試算した。医療や創業支援の分野は遅れが目立つことを指摘。公園内保育所や民泊は『極めて有意義』などとして地域拡大を求めている。」(『日本経済新聞』2016.03.29)
●「過去最大となる一般会計総額96兆7218億円の2016年度予算案が29日の参院本会議で可決、成立した。このうち、国土交通省の公共事業関係費は前年度から約20億円増となる5兆1787億円。伸び率にして『0.04%』の微増ながら4年連続での増加となる。…公共事業関係費の内訳は一般公共事業費が5兆1252億円、災害復旧などが534億円。15年度補正予算と単純合計した公共事業関係費は5兆5673億円となる。」(『建設通信新聞』2016.03.30)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、2016年度の積算基準改定の中で、受注者の適正利潤確保などをうたった改正品確法を踏まえ、基準や制度のさらなる充実を打ち出した。特に沿道の工事制約条件が多く、安全費や運搬費などがかさむ東京23区と横浜市、大阪市に限定し、新たな大都市補正を導入する。対象地域での電線共同溝工事、道路維持工事、舗装工事について、現行の大都市補正で『1.5倍』にしている共通仮設費を『2.0倍』に引き上げる。これにより予定価格は3%程度上昇するという。経費部分と支出実績に禿離があるとの指摘を踏まえ、交通誘導警備員の経費計上方法を見直す。現在は共通仮設費に計上しているが、計上先を直接工事費に変更し、工事目的物の施工に直接必要な経費として組み込む。警備員に掛かる必要経費として、警備会社などにわたる費用は10%程度上がるという。積算の工種区分への『橋梁保全工事』新設に伴い、これまで同工事を発注していた『河川・道路構造物工事』『鋼橋架設工事』『道路維持工事』の3工種区分について、橋梁保全工事の実績を除外した最新データを基に、共通仮設費率と現場管理費率を見直す。いずれも予定価格は上昇し、小規模な工事ほどその傾向は強くなる。」(『建設通信新聞』2016.03.16)
●「政府は18日、16年度版の国土強靭化行動計画『アクションプラン2016』を5月下旬に決定することを決めた。主に過去1年間に起きた災害を踏まえ、官民で優先的・重点的に推進する防災・減災施策とその目標値を設定。16年度版計画では、河川堤防の決壊で大規模浸水被害が起きた昨年9月の関東・東北豪雨を教訓に、頻発・激甚化する豪雨災害対策を強化する方針だ。」(『建設工業新聞』2016.03.22)
●「政府は22日、ワーク・ライフ・バランス(WLB)や女性の活躍を推進する企業を、公共事業の調査・設計、工事を始めとした公共調達と補助金で優遇する評価制度の導入を正式に決定した。2016年度中に開始する。総合評価落札方式とプロポーザル方式などの企画競争方式(随意契約)による調達で、WLB推進企業を加点評価する。制度の導入はすべての公共調達を対象にしているため、建設産業界でもWLBと女性の活躍が一層進むとみられる。加点対象は、法律に基づく3つの認定制度によって認定を受けた企業。評価項目の一つとして加点する。…加点評価する企業は、長時間労働の是正や、多様で柔軟な勤務制度の導入、過労死防止、メンタルヘルスなどを評価の視点とすることから、女性活躍推進法、次世代育成法、青少年雇用促進法に基づくそれぞれの認定制度によって認定を受けた企業となる。さらに女性活躍推進法による行動計画の策定が努力義務である従業員300人以下の中小企業が計画を策定した場合も加点評価する。」(『建設通信新聞』2016.03.23)
●「国土交通、総務両省は、地方自治体に発注工事でのダンピング対策の強化を文書で要請した。低入札価格調査基準に関する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルと国土交通省の基準が見直されたのを受け、低入札価格調査制度や最低制限価格制度の適切な活用を徹底することで、ダンピング受注を排除するようあらためて求めた。調査基準価格や最低制限価格の事前公表はくじ引きによる落札の増加を招いているとして、契約締結後の公表に切り替えることも要請した。」(『建設工業新聞』2016.03.23)
●「国土交通省と日本建設業連合会(日建連)は、同省直轄工事で実施している現場の完全週休2日制モデル工事を16年度さらに拡大させ、工期設定を中心とする課題解決策を検討することで合意した。モデル工事は全国78件で実施しており、16年度は工種・規模をさらに広げ実施。週休2日の実現をどの段階で評価するかも各地方整備局の試行結果を分析しながら検討する。…国交省は、積算上の工期について、工種や工事規模ごとに過去の実績をベースに設定するとしており、業界側が主張する実態とどの点がかい離しているかを見定め、適切な工期設定のあり方を双方で議論。担い手確保の前提となる休暇取得の実現を目指していく。」(『建設工業新聞』2016.03.25)
●「老朽化した公共施設の更新が課題になるなか、近隣自治体による施設の共同運営に賛成している人が7割にのぼることが日本政策投資銀行の調査でわかった。他の自治体に出かけて利用してもよいものではスポーツ、教育・文化施設が半数を超えた。一方、福祉、子育てでは4分の1を下回り、自前の施設を求める意見が目立った。」(『日本経済新聞』2016.03.29)
●「環境省は、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で発生した汚染土壌などを長期に保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)整備事業で、物件調査など用地補償業務に携わる補償コンサルタント73社の情報を国土交通省に提供した。国の機関がこうした情報を別の機関に提供することは極めて異例の対応。施設の用地補償業務は環境省が日本補償コンサルタン卜復興支援協会に委託し、各社が実際の業務を担当している。このため、各社の売り上げにはなるものの、公共事業の元請実績とは有りない。公共事業の発注者である国交省が情報を共有することで、73社の取り組みを発注者の立場として一層理解してもらうとの狙いが込められている。」(『建設通信新聞』2016.03.29)
●「国土交通省は、16年度から本格化する生産性向上施策『i−Construction』のトップランナー施策の一つと位置付けた『ICT土工』を、浚渫工など土工以外の工種にも展開する方針だ。28日開いた有識者委員会に提示した報告書案に明記した。調査・測量、設計・施工、検査、維持管理・更新といった建設生産プロセスにICT(情報通信技術)を全面導入する取り組みを土工で先行的に進めながら、得られた知見を生かして、すべての現場に浸透させていくことを目指す。」(『建設工業新聞』2016.03.29)

労働・福祉

●「全建総連東京都連合会(伊東昇委員長)は、16年度の建設労働者の要求賃金を決定し、11日に東京建設業協会に申し入れた。諸経費や法定福利費を別枠として引き続き1日2万6000円を要求。当面、大手ゼネコンのレベルの現場では公共工事設計労務単価の水準の実現、地場工務店をはじめ一戸建て住宅などの現場では1日4000円のアップを目指す。平均賃金の上昇がわずかで、平均年収が東京の男性労働者平均を大幅に下回るため、関係機関に実現を強く求める。」(『建設工業新聞』2016.03.17)
●「勤労者退職金共済機構・建設業退職金共済事業本部(稗田昭人本部長)は、建退共制度のあり方を検討する場を今春にも立ち上げる。掛金納付方式や国土交通省など官民コンソーシアムが検討を進めている『建設技能労働者の経験が蓄積されるシステム』への対応、掛金や退職金給付などを検討項目とする。17日の運営委員会・評議員会で検討の場を設置することが承認された。今秋にもとりまとめる予定だ。」(『建設通信新聞』2016.03.18)
●「清水建設は17日、4月の賃金改定で基本給を引き上げるベースアップ(ベア)を実施すると発表した。定期昇給分と合わせたアップ率は3.2%、社員平均1万6700円の賃上げで、うちベア分は1.2%、平均6400円となる。賃上げの総額は組合の要求総額に応えたものとなっているという。」(『建設工業新聞』2016.03.18)
●「日刊建設通信新聞社が建設産業界各社の大手・準大手クラス118社に調査した結果、8割の企業に技術者の不足感が広がっていることが分かった。建築分野は安定した民間設備投資を背景に、大都市部での工事件数増加に加え、工事規模の大型化や複雑化が不足感に拍車をかける。納期や完工時期の平準化に動く公共分野だが、建設コンサルタントの7割強が不足感を抱くように、依然として技術者に忙しさがつきまとう。企業の8割は、この状況が今後も続くと見ており、即戦力を確保しようと、中途採用枠の拡大に乗り出す動きが鮮明になってきた。」(『建設通信新聞』2016.03.22)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、田中宏幸議長)は18日、企業の雇用実態に関する調査(15年12月調査)の結果を発表した。正規従業員が『増加』した企業が55%と前回調査(14年12月調査)から15ポイント上昇。事業量の増加に合わせて正規従業員の拡大に前向きな企業が多いことが浮き彫りになった。一方、新卒採用は『前年より多め』と『同数程度』の合計が82%と高水準にあるが、前回調査ではゼロだった『少なめ』『なし』が計18%となり、採用の調整に入った企業が出てきたことも分かった。」(『建設工業新聞』2016.03.22)
●「国土交通省は29日、2015年10月に実施した公共事業労務費調査に基づく、社会保険加入状況の集計結果を発表した。雇用・健康・厚生年金3保険すべての全国平均加入率は、企業単位が前年同期比2ポイント上昇の95%、労働者単位が5ポイント上昇の72%となった。調査を始めた11年10月時点と比較すると、加入率はそれぞれ11ポイント、15ポイント高まった。一方、企業単位は県別や職種別で大きな傾向の違いは見られないが、労働者単位では県レベルで加入率に2倍以上の開きがあるなど、地域差が鮮明になっている。日給制と月給制でも明暗が分かれ、給与形態のあり方が保険加入を左右している現状も改めて浮き彫りになった。今回調査で得た有効標本は企業が約2万5000社、労働者が約11万人。民間建築分野などは含まれておらず、国や都道府県などが発注した土木中心の公共工事従事者が対象となっている。…労働者単位では、石川と香川が各91%、島根90%と9割を超えている県があるのに対し、沖縄44%、千葉45%、東京48%と半分に満たないエリアも存在する。関東、近畿、沖縄地方が低い傾向にある。職種別は、交通誘導警備員Bが35%と最も低い。主要職種では型枠工が66%、とび工が67%、鉄筋工が75%など。次数別は元請け85%、1次下請け71%、2次下請け64%、3次下請け66%となっている。事業所規模別をみると、1000人以上が30%、500−999人が36%と規模が大きいほど加入率は低い。給与形態別で、日雇い・臨時の日給制の労働者が15%と突出して低いことと関連があるとみられる。たくさんの労働者を差配している事業所ほど、日雇いなどが多いと言えそうだ。また、月給制の労働者が95%以上の高い水準にあるのに対し、日雇い・臨時以外のいわゆる日給月給制の労働者は、62%と全体平均を10ポイント下回っている。年齢別は、19歳以下の若年層が69%と平均に満たない状況。20−50代は70−80%台にあるが、60歳を超えて高齢になるほど加入率は急激に下がる。特に、受給するために必要な保険料納付期間が定められている厚生年金保険はネックとみられ、その加入率は65−69歳が52%にとどまっている。」(『建設通信新聞』2016.03.30)

建設産業・経営

●「北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証の3社がまとめた公共工事前払金保証統計によると、2月の請負金額は、前年同月比2.2%減の6967億6100万円となった。関東ブロックが前年同月比で40%を超える増加だった一方で、北海道、東北は50%前後の大幅減となった。2015年4月から2月までの累計請負金額は4.7%減の12兆6283億円。3月が前年同月並みで推移すれば3年ぶりに年度累計が14兆円を割り込む。」(『建設通信新聞』2016.03.16)
●「鹿島は22日、2016年3月期の連結業績見通しを上方修正した。純利益は前期の4.6倍にあたる700億円と従来予想(400億円)を大きく上回り、1992年3月期以来、24年ぶりに過去最高を更新する。首都圏の再開発など建設需要の拡大を背景に国内建築工事の採算が上向く。年間配当は前期比3円多い8円とし、株主還元を強化する。」(『日本経済新聞』2016.03.23)
●「建設業振興基金(内田俊一理事長)が事務局を務める建設産業担い手確保・育成コンソーシアムは30日、16年度の地域連携ネットワーク構築支援事業の支援先として、予備調査10団体と実施事業15団体の計25団体を決定した。業界団体や教育機関、職業訓練施設、行政機関などが連携して、地域ごとに個々の企業の枠を超えた教育訓練体系の構築を目指す取り組みなどを後押しする。」(『建設工業新聞』2016.03.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

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