情勢の特徴 - 2017年4月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「経済産業省は、建材・住宅設備産業取引ガイドライン(建材・住宅設備産業における下請適正取引などの推進のためのガイドライン)を改定した。改正した下請代金支払遅延等防止法(下請法)の運用基準で大幅に追加した違反行為事例のうち、建材・住宅設備に関係する『買いたたき』や『受領拒否』などの違反事例を追記したほか、改正した下請中小企業振興法(下請振興法)に基づく振興基準に盛り込まれた、労務費上昇に伴う対応として協議に応じることが望ましいとの文言を新たに記載した。また、型の保管や管理の適正化にかかわる内容も明記した。改正振興基準と改正した下請代金支払手段通知(手形通知)で示した内容も追記した。」(『建設通信新聞』2017.04.19)
●「相続税対策を背景に拡大している賃貸アパート向けの融資で、一部の大手地銀が顧客を建築業者に紹介する見返りに手数料を受け取っていることが金融庁の調べで分かった。請負金額の最大3%に上り、請負額が増えるほど銀行の実入りが増える。建築費を低く抑えたい顧客との間で利益相反が生じる懸念があり金融庁は顧客本位の原則に沿って是正を促す方針だ。アパート融資は2015年の相続税制の改正で課税対象が広がったのを機に全国で需要が急増。16年中の同融資額は前年を2割上回る3兆8000億円と過去最高を更新した。地方を中心に人口減が加速するなかアパートの過剰供給で空室率が上昇。家賃保証をめぐるトラブルも増えている。」(『日本経済新聞』2017.04.23)
●「中小企業庁は今年度を初年度に、中小企業経営者の大きな課題の1つ『事業承継』支援を5年間に賃中実施する方針を固めた。21日の中小企業政策審議会基本問題小委員会で政策の方向性について説明した。基本問題小委では2030年代に向けた中小企業政策の具体的方向性や検討課題を示した中間整理を承認。中間整理では、事業承継に向けた一層の環境整備へ集中的な支援実施を明記していた。さらに中小・小規模企業の連携・共同化・統合へ向けた支援政策整備にも言及。人口減による担い手不足、生産性向上などの問題が深刻化していること示した。」(『建設通信新聞』2017.04.25)
●「国土交通省は、昨年3月に作った日本企業のインフラ輸出戦略をまとめた行動計画を初めて見直した。新たな重点施策分野として、▽受注競合国どの競争力強化▽インフラ輸出の推進体制強化▽民間資金の一層の活用▽新技術の活用▽マスタープランなどの上流計画形成への積極関与▽他国政府・企業と連携した第三国へのインフラ輸出―の6分野を追加した。」(『建設工業新聞』2017.04.26)

行政・公共事業・民営化

●「政府は19日、公共施設等運営権(コンセッション方式=運営権付与)などを活用した新市場確立に向け、5月中下旬にまとめる新たな『PPP・PFI推進アクションプラン』に盛り込む内容と、6月に策定する『日本再興戦略2017』(成長戦略)への反映を目指す内容を明らかにした。成長戦略2016で数値目標を設定することになっていたクルーズ船旅客ターミナル施設は、17-19年度の3年間で3件、MICE(研修・視察・会議・展示)施設が19年度までの3年間で6件をコンセッション事業として具体化する。公営発電施設は、コンセッション方式を活用したPFI事業のあり方を検討し、重点分野指定と数値目模の設定について17年度中に結論を出す。」(『建設通信新聞』2017.04.20)
●「国土交通省は、庁舎の建て替えなど地方自治体が発注する建築工事をターゲットに、発注者が抱える課題の解決を急ぐ。24日に検討のフィールドとなる『地方公共団体における建築事業の円滑な実施に向けた懇談会』(座長・大森文彦東洋大教授、弁護士)を開催した。6月をめどに課題の検証と、その対応策を示す自治体向けのガイドラインをまとめる方針だ。技術職員の不足など発注体制が脆弱(ぜいじゃく)な自治体が、適正な予定価格の設定や適切な工期の設定といった発注者に求められる責務を着実に果たせる環境を築くことが狙い。予算を措置する『企画』の段階や、その先にある『設計』『積算』といった工事の発注に至るまでのフローに沿って、現状の課題を浮き彫りにすることで、対応策を導き出す。」(『建設通信新聞』2017.04.25)
●「国土交通省は、建設業の働き方改革を実現する一環として導入した週休2日の工期が設定できる『工期設定支援システム』の精度をさらに高める。17年度から原則としてすべての土木工事に適用し、実績を蓄積。工事全体の標準的な工程に沿って工種を自動的に並べる機能などを持たせる。今後、実績や経験を学習する人工知能(AI)の活用も進めていく。工期設定支援システムは、標準的な作業日数と作業工程を自動算出するのが特徴。同種工事の実績と自動的に比較・確認ができる。具体的にはまず、歩掛かりの日当たり施工量を基に工種ごとの所要日数を自動算出するとともに、その日数に応じたバーチャートを自動作成する。各地域ごとに設定されている『雨休率』を入力すると、これを考慮した日数に変更。準備・後片付け期間も工事区分に応じて標準日数を自動に設定できる。」(『建設工業新聞』2017.04.26)

労働・福祉

●「日本建設業連合会(中村満義会長)は18日、初の週休二日推進本部(井上和幸本部長)・同幹事会合同会議を開き、当面の検討事項などを盛り込んだ基本方針を決定した。原則として『現場の土曜閉所』による週休2日を目標とし、稼働日数が減少した場合でも建設技能者の総収入が減らない方策などを検討する。井上本部長は『本部の活動は、産業としての生き残りをかけた、将来に向けた一大プロジェクトと言っても過言ではない。社会的運動のような位置付けで、地道に粘り強く着実に取り組まなければならない』と不退転の決意を表明した。」(『建設通信新聞』2017.04.20)
●「長時間労働を是正するために休日確保の重要性が増している。日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の16年の調査によると、現場勤務の職員は1カ月の所定外労働時間が70時間を超え、土曜と祝日は約半分が休めていない。所定外労働の削減には『休日に休むのが特効薬』(日建協)で、現場の土曜閉所を原則に週休2日の普及を目指す日本建設業連合会(日建連)の活動に期待がかかる。」(『建設工業新聞』2017.04.21)

建設産業・経営

●「日本建設業連合会(日建連)がまとめた会員企業97社の16年度の建設受注額は、前年度比1.3%増の15兆2094億円となった。15兆円台は3年連続。非製造業の受注が増加し、国内は3.2%増の14兆9159億円。17年ぶりに14.5兆円を超え、民間を主体に建設需要が堅調なことが裏付けられた。ただ関東が約半数を占め地域差は拡大傾向にある。17年度について一部の会員企業は『前年並みか少し増える』と見ている。」(『建設工業新聞』2017.04.28)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「文部科学省は、公立学校施設の老朽度合いを総合的に評価する『耐力度調査』を改定する。改定内容は、建物の経過年数よりも、駆体の健全度をより細かく評価し、建物の老朽化の程度を客観的に評価できるようにしたほか、構造耐力の算出に耐震診断の結果のIs値(構造耐震指標)を利用できるようにして、調査方法を簡素化したことなどがポイント。文科省は今後、運用細目などの改正作業を9月末をめどに進め、10月にも詳細な改正内容を自治体に通知する。周知期間を経て、2018年度から新たな耐力度調査の適用を始める。公立学校施設の耐力度調査を受託する設計事務所などは、改定する調査方法への対応が求められることになる。」(『建設通信新聞』2017.04.17)
●「地下空間の利活用に関する安全技術の確立に向けた方策を検討するため国土交通省が設けた学識者委員会の第2回会合が14日に開かれ、官民が所有する地盤などの地下空間情報を共有していく方向で意見が一致した。地盤など自然物だけでなく、地下埋設物など人工物の情報も随時更新しながら取り込むべきだとの意見も多く、今後、データ収集・共有の範囲や個人情報の扱いなどについて議論を深める。」(『建設工業新聞』2017.04.17)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)が17日発表したマンション市場動向調査によると、2016年度の首都圏の新規供給戸数は3万6450戸だった。前年度比4.4%減と3年連続で減り、1992年度以来の低水準となった。販売価格の高止まりを受け、消費者の購入割合を示す初月契約率は好不調の分かれ目となる70%を下回った。1戸当たりの平均販売価格は5541万円。前の年度に比べ1.4%下落したが、4年連続で5千万円台となった。同研究所の松田忠司主任研究員は『価格の高止まりが敬遠されて売れ行きが悪化した』と指摘した。」(『日本経済新聞』2017.04.18)
●「原子力規制委員会は19日、運転開始から40年が経過した4原子力発電所の計5基の廃炉を認可した。老朽原発の廃炉認可は東京電力福島第1原発事故後に原発の運転期間が原則40年と規定されてから初めて。1970年代から相次ぎ運転を始めた国内の原発は順次、稼働40年を迎える。廃炉時代が本格的に始まる。4原発5基は日本原子力発電敦賀1号機(福井県)、関西電力美浜1、2号機(同)、中国電力島根1号機(島根県)、九州電力玄海1号機(佐賀県)。いずれも70~75年の間に運転を始めた。規制委は同日午前の会合で廃炉申請について審議した。各社が計画で示した廃炉作業は、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しや、原子炉本体や周辺設備の解体などがあり、最終的にはすべての施設を撤去する。」(『日本経済新聞』2017.04.19)
●「改正住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅供給促進法(住宅セーフティーネット法)が、19日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。空き家を活用した住宅セーフティーネット機能を強化することで、高齢者や低所得者、子育て世帯らの住生活の安定と向上を実現する。国土交通省は2020年度末までに制度の登録住宅17万5000戸、居住支援協議会に参画または自ら設立する市町村を全体の80%とすることを目指す。改正法は賃貸住宅の登録制度の創設と、要配慮者の入居円滑化に関する措置を規定。登録制度は、賃貸人(大家)が空き家を要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として都道府県や政令市、中核市に登録できる仕組み。登録住宅の手すりの設置など改修費を支援し、要配慮者の家賃債務保証料や家賃低廉化を国・地方自治体が補助する。入居円滑化に関する措置は、都道府県がNPOなどの居住支援法人を指定し、登録住宅の情報提供、入居相談などの援助を実施する。既存の国の基本方針に加え、地方公共団体が地域の住宅事情に応じて賃貸住宅の供給促進計画を策定できる体制もつくる。」(『建設通信新聞』2017.04.21)
●「19日に開かれた東京都議会のオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会で、都が6月から試行する入札契約制度改革への懸念が浮上した。大幅な制度見直しの影響で今後、2020年東京五輪関係の建設工事の入札が不調に終わる可能性が高まると一部の都議が指摘。五輪開催に支障が生じないよう、新たな入札制度の慎重な試行を求めた。東京五輪の開催は20年7月からだが、都が新たに整備する競技会場は、テストイベントを行う19年内の完成が想定されている。今後入札公告する競技施設関連工事の工期は実質2年もないのが実情で、入札のやり直しで着工が遅れれば、工期はさらに厳しくなる。」(『建設工業新聞』2017.04.21)
●「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で出た除去土壌などを長期に保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)の本体施設工事となる『平成29年度中間貯蔵(大熊1工区)土壌貯蔵施設等工事』は鹿島・東急建設・飛島建設JV、『同(大熊2工区)土壌貯蔵施設等工事』は清水建設・竹中土木・東洋建設JV、『同(双葉1工区)土壌貯蔵施設等工事』は前田建設・奥村組・鴻池組JVがそれぞれ落札者になったことが分かった。各JVは5月に環境省と契約を結ぶ予定だ。契約後、準備が整い次第、取得済み用地で着工する。」(『建設通信新聞』2017.04.28)

その他