情勢の特徴 - 2017年5月後半
●「人工知能(AI)やロボットの活用を柱とする第4次産業革命の実現に向けて経済産業省が検討している『新産業構造ビジョン』の全容がわかった。AI市場などへの参入を検討している大企業やベンチャーを支援するため産業競争力強化法などの関連法制を2018年にも一括改正する。成長戦略の目玉と位置づけ、欧米に立ち遅れている新産業ビジネスの育成で巻き返しを目指す。同ビジョシは30年に向けた産業政策の大がかりな工程表を示すもので、18日の産業構造審議会(経産相の諮問機関)で骨子案を示し、今月末にも取りまとめる。産業構造に関するビジョンを改定するのは10年以来。関連法実は来年の通常国会にまとめて提出する。ビジョンでは『移動手段』『生産』『健康・医療』『暮らし』の4つを戦略分野とし、30年を見据えた数値目標も設ける。例えば『移動手段』では自動運転の普及を通じ、運転手が原因となる事故を限りなくゼロにしたり、数百万人にも上る交通手段を持たない人が自動運転車で動けるような目標を設ける。」(『日本経済新聞』2017.05.18)
●「日本下水道事業団(JS)をモデルとした『ベトナム下水道センター(VSC)』が、年内にも設立される見通しとなった。国際協力機構(JICA)は、設立に向けたパイロット研修を2016年8月から開始した。国土交通省はことし4月、ベトナム建設省との下水道分野の協力覚書に、VSCの設立や運営に協力する旨を盛り込み更新した。JICAと国交省、JICAから支援プロジェクトを受託しているJSの3者で、VSC設立に日本の経験・ノウハウを生かす。」(『建設通信新聞』2017.05.23)
●「政府が今月末にまとめるインフラシステム輸出戦略の改定案全容がわかった。輸出先の国のまちづくり計画を設計段階から提案し、法整備や人材育成、資金調達などについて包括的に支援するのが特徴だ。インドネシアの高速鉄道などで日本より低価格で売り込む中国に競り負けた教訓をいかす。日本が得意とするきめ細かなサービスで受注を狙う。政府は近く開く『経協インフラ戦略会議』で改定案を決定。6月にまとめる経済財政運営の基本方針『骨太の方針』に盛り込む。インフラ輸出はインドネシアの高速鉄道受注で中国勢に、トルコのつり橋建設計画では韓国勢に競り負けるなど日本勢は劣勢が目立つ。『一帯路』構想を掲げる中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)による融資を通じてインフラ需要の獲得を急ぐ。国際的な受注競争は険しさを増している。改定案には相手国の都市計画づくりなど開発段階から参画する方針を明記した。相手国の担い手育成や竣工後の維持・管理など長期的な支援を打ち出した。2020年までにインフラ輸出の受注額を30兆円にする政府目標の達成へ弾みをつける。具体的には東南アジア諸国連合(ASEAN)の国や地域を中心に国土計画や都市計画の策定や見直しを提案する。現地で設備の運営・維持管理を担う人材の育成や法制度の整備も手がける。まちづくりを巡る課題解決に日本の技術を取り入れてもらうよう働きかける。交通渋滞の緩和や情報通信技術(ICT)を活用した防災対策を想定する。電力、鉄道、情報通信などを技術やサービスの輸出を増やす重点分野と位置付け、海外展開拡大へ分野別の戦略をつくる。関係省庁と民間企業、業界団体など官民で検討を進める。輸出に力を入れる技術や分野、具体的な取り組みや数年単位の目標値を記す。」(『日本経済新聞』2017.05.26)
●「企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が26日午前の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。民法制定以来、約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直した。インターネット取引の普及など時代の変化に対応し、消費者保護も重視した。改正は約200項目に及び、公布から3年以内に施行する。改正の柱の一つが当事者間で特に利率を定めていない際に適用される『法定利率』の引き下げだ。現在は年5%で固定されている法定利率を年3%に引き下げる。低金利が続く実勢にあっていないためで3年ごとに1%刻みで見直す変動制も導入する。法定利率は、交通事故の損害賠償額の算定などに使われている。インターネット通販など不特定多数の消費者と同じ内容の取引をする場合に事業者が示す『約款』の規定も新たに設ける。消費者の利益を一方的に害する条項は無効になる。長文で細かい約款をほとんど読まずに契約したことによるトラブルで泣き寝入りする事例を減らす狙いがある。」(『日本経済新聞』2017.05.26)
●「国土交通省が26日発表した2017年版の『首都圏白書』で、首都圏の交通渋滞による経済損失が80万人規模の労働力に匹敵することが分かった。全国の渋滞で失う『渋滞損失時間』のうち、首都圏だけで3割分を占める。同省は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備で渋滞が解消されれば、首都圏全体の生産性を高める効果があると指摘している。」(『日本経済新聞』2017.05.27)
●「自治体所有の公共建築物や道路、橋梁などのインフラ施設、水道や下水道といった公営企業施設の更新・統廃合・長寿命化計画のベースとなる『公共施設等総合管理計画』を、全1788自治体の98.2%に当たる1756自治体が2016年度末(3月31日時点)までに策定したことが、総務省がまとめた同計画策定取り組み状況調査で明らかになった。47都道府県と20政令市はすべての自治体が策定。市区町村は、1721自治体のうち98.1%の1689自治体が策定した。16年度の1年間で、全自治体の7割超となる1315自治体が計画を策定したことになる。」(『建設通信新聞』2017.05.16)
●「今後の道路施策を検討している社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)道路分科会の基本政策部会(部会長・石田東生筑波大特命教授)は16日、維持管理体制がぜい弱な市町村道の老朽化対策の強化を柱とする建議の骨子案をまとめた。道路管理者の市町村が点検や補修・修繕、更新の取り組みを持続できる予算を安定的に確保する方策を求めた。…骨子案は、道路施策のテーマに▽メンテナンスのセカンドステージヘ▽交通安全▽防災・インフラ安全▽交通円滑化▽人と物の流れ▽モーダルコネクト(他の交通との連携)▽地域・民間との連携▽道路空間の利活用▽『観光先進国』の実現―の9項目を列挙した。このうち『メンテナンスのセカンドステージヘ』と銘打った老朽化対策を強化する施策では、ストックの大部分を占める市町村道の老朽化対策の強化を提案。市町村が維持管理の取り組みを持続できる予算を安定的に確保する方策を検討するよう求めた。国交省が昨年行った市町村の道路管理に関するアンケートで、有効回答を得た1684団体のうち約6割が現状の予算規模では維持管理に十分に対応できないと回答しているためだ。」(『建設工業新聞』2017.05.17)
●「都道府県で、発注工事の下請業者に社会保険加入を促す動きが広がっている。国土交通省が6月時点の状況を調査したところ、44団体が1次下請からの未加入業者の排除策を実施。2次以下の下請に未加入が判明した場合も41団体が何らかの対策を講じていた。同省は17年度の社会保険未加入対策の柱に地方自治体発注工事での対策徹底を打ち出しており、今後、取り組みが一段と広がりそうだ。29日に開いた『社会保険加入対策に関する都道府県監理課長等会議』で、5月に行った調査(6月時点の状況)を基に、都道府県の社会保険加入対策の取り組み状況を報告した。それによると、1次下請業者に未加入が判明した場合、元請業者または1次下請業者に何らかの対応を行っているのは44団体で、前回調査(16年10月)から5団体増えた。元請業者への対応(複数回答)として、制裁金の請求を12団体、工事成績評定の減点を20団体、指名停止措置を26団体が実施。その他(次回から加入業者と契約するよう要請)も1団体あった。未加入の1次下請業者に対して、37団体が加入指導を実施、33団体が関係部局への通報を行っていた。2次以下の下請業者が未加入だった場合の対策を調査した結果、41団体(前回調査36団体)が元請業者または未加入業者に何らかの対策を講じていることを確認した。」(『建設工業新聞』2017.05.30)
●「国土交通省と厚生労働省は、3月16日に施行した建設工事従事者の安全および健康の確保の推進に関する法律(建設職人基本法)に基づき、政府に策定が求められている基本計画をまとめた。月内にも開催する予定となっている、建設工事従事者安全健康確保推進会議(議長・末松信介国土交通副大臣)で正式に決定、6月の閣議決定を目指す。15日に開いた、学識者や業界団体などで構成する『建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議』(委員長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)に基本計画(案)を提示した。ベースとなる建設職人基本法は、公共工事のみならず、民間工事を含めたすべての建設工事の従事者に対する安全や健康の確保を求める理念法。適正な請負代金での契約の締結や適切な工期の設定、安全衛生に要する経費(安全衛生経費)の確実な確保によって、建設現場で働く従事者の処遇の改善や地位の向上につなげていくことが狙いとなる。」(『建設通信新聞』2017.05.16)
●「顧客の求めに応じて業界内企業などから人材を探して転職を促すヘッドハンティング市場で、建設会社の人材ニーズが多様化している。数年前までは、現場で施工管理を担う技術者の依頼が大半だったが、受注工事の内容に応じて求める人材も変化。設備工事の専門会社が建築の技術者を求めたり、施工管理以外に積算や購買の専門人材を求めたりするケースも。従来はほとんど無かった中小の地域建設会社からの依頼も増えているという。 厚生労働省が4月末に発表した3月の有効求人倍率で建築・土木・測量技術者は4.96倍などと高水準。転職市場では、企業のニーズにかなう優秀な人材を求職者だけから確保するのが難しくなっている。特に受注好調で多くの工事を抱える大手建設会社などでは採用人数が計画に追い付かず、縁故や紹介による採用も厳しい状況とされる。そうした中、企業のニーズに応じて必要な人材を独自のルートやノウハウで探して転職を働き掛けるヘッドハンティング専門会社には建設会社からの依頼が増えている。一昨年、建設業に特化した専門チームを設けたヘッドハンティング会社のプロフェッショナルバンク(東京都千代田区)によると、建設会社からは最近、依頼の増加に加え、要求される人材が多様化する傾向もあるという。」(『建設工業新聞』2017.05.18)
●「厚生労働省は政府の働き方改革実行計画に基づいて『勤務間インターバル制度』の普及促進策を話し合う有識者検討会(座長・今野浩一郎学習院さくらアカデミー長)を設置し、16日に初会合を開いた。当面は1~2カ月ごとに会合を開き、先進企業の好事例を聴取していくことを確認。同省は検討会の意見を踏まえ、17年度末までに同制度の導入マニュアルを作る。勤務間インターバル制度は、1日の最終的な勤務終了時から翌日の始業時までの間に一定の休息時間を確保する努力義務を事業主に課す新たな仕組み。政府は早ければ今年の臨時国会にこの制度を定める労働時間等設定改善法改正案を提出する。現在は労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)の労働条件分科会(分科会長・荒木尚志東大大学院法学政治学研究科教授)が制度設定を進めている。」(『建設工業新聞』2017.05.18)
●「2016年(1-12月)の建設業での労働災害による休業4日以上の死傷者数と死亡者数がともに、2年連続で過去最少となったことが、厚生労働省が19日にまとめた16年の労災発生状況(確定値)で分かった。死傷者数は前年比3.4%減(526人減)の1万5058人と、3年連続の減。速報値の段階では1万4000人台となる可能性があったが、最終的には2年続けての1万5000人台となった。また、死亡者数は10.1%減(33人減)の294人と、2年連続して減少した。建設業の死亡者数は1948年に統計を取り始めて以来、初めて300人を下回った。全産業の死亡者数は928人で、2年連続で1000人を下回っている。」(『建設通信新聞』2017.05.22)
●「厚生労働省は19日、労働災害統計の死亡災害発生状況には含まれない建設業における『一人親方』の死亡者数が2016年(1-12月)年は前年比2人減の46人だったことを明らかにした。労働者扱いとはならない中小事業主や役員、家族従事者も含めた『一人親方など』の16年死亡者数は6人減の75人だった。…年齢別では、『60-69歳』が19人と最も多く、次いで『70歳以上』が10人だった。また、死亡者のうち 労働者災害補償保険特別加入者は29人、未加入者が17人だった。加入者の内訳は元請け6人、下請け18人、不明5人。未加入者は元請け3人、下請け11人、自社1人、不明2人となっている。」(『建設通信新聞』2017.05.22)
●『職員育成』をキーワードに専門工事会社が広域連携する動きが出てきた。建築塗装の竹延(大阪市、竹延幸雄社長)の全額出資で4年前に創業したKMユナイテッド(同)は、高松市で『職人育成塾』を主宰する新日本建工の岡村真史社長を6月1日付で会長に招へい。同社から増資も受け入れる。今後理念を共有する企業から出資を募りながら事業を拡大し、2年後をめどに上場を目指す。」(『建設工業新聞』2017.05.22)
●「国土交通省は最大8万2千棟のアパートや事務所でアスベスト(石綿)が使われているとする推計を取りまとめた。このうち3万棟では除去工事などの対策が未実施とみられる。石綿を吸い込むことで、中皮腫などを発症する恐れがあり、同省は実態の把握を急ぐ。 横浜市が実施した調査などをもとに、延べ床面積1千平方メートル未満の小規模建築物について推計した。対象は建材メーカーが石綿の使用を自主規制した1989年以前に建てられたアパートや会社事務所など。」(『日本経済新聞』2017.05.23)
●「建設業労働災害防止協会(建災防、銭高一善会長)は22日、2020年東京五輪の大会施設やインフラなどの建設工事現場での労働災害防止に向けて行う安全衛生対策の17年度実施方針を決めた。16年度に続き首都圏4都県(東京、埼玉、神奈川、千葉)で新規入職者や外国人建設就労者らへの安全衛生教育を実施。現場パトロールは16年度目標より240件多い840件に増やす。17年度に4都県で行う安全衛生対策は、初めてとなった16年度に続いて厚生労働省から受託した『2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る建設需要に対応した労働災害防止対策事業』に当たる。17年度実施方針は、建災防の本部と4都県の各支部の関係者約40人が出席して都内で同日開いた同事業の推進会議で確認した。17年度は新規入職者向け安全衛生教育を4都県でそれぞれ最低3回以上開催し、2200人以上の参加を目指す。現場監督向けの安全衛生教育は4都県でそれぞれ6回開催し、720人以上の参加を目指す。外国人建設就労者向けの安全衛生教育は5都府県(東京、愛知、大阪、広島、福岡)でベトナム人やインドネシア人などを対象に18回開催し、外国人建設就労者を雇用する事業者向けの安全衛生教育は5都府県で6回行う。」(『建設工業新聞』2017.05.23)
●「社会保険料の原資となる法定福利費の確保をめぐり、専門工事業者の間に窮状を訴える意見が出ている。東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、館岡正一理事長)が19日に都内で開いた総会後の労務状況報告で、法定福利費の支払いに応じないゼネコンの存在を指摘する会員企業が相次いだ。東鉄協は、社会保険を完備した魅力ある鉄筋工事会社として、若い担い手を確保しようと、会員企業に加入を促してきた。未加入の下請業者や作業員の現場入場を制限する国の措置と、それに呼応した日本建設業連合会(日建連)の加入促進策に伴い、会員企業の対応も活発化。『加入は下請を含めてほぼ100%』(経営トップ)という会員企業も少なくない。窮状を訴える意見が出た背景には元請のゼネコンの対応がある。ある会員企業のトップは『(法定福利費の)支払いに前向きなゼネコンでも現場の担当者によって対応が異なる』と指摘する。『1日30人分、1人当たり4000円足りない』。別の会員企業のトップはある現場の状況をこう説明し、原資を確保するために元請業者と激しい交渉を続けていることを明かした。会員企業の多くは技能者の社員化にも力を入れてきた。会合は、ある企業のトップは『事業主の負担分を継続して払わなければならない。せめて下請業者分の原資の確保を先行しないと』と課題を指摘。『(単価に)組合としてタッチできないか』と、需給バランスなどから各社が見込んでいる他社への応援単価をはじめ、単価設定への組合の関与を求める意見も出た。」(『建設工業新聞』2017.05.23)
●「国土交通省は、建設キャリアアップシステム運営協議会を6月に設立する。システム運営主体の建設業振興基金と共同で事務局を務める。業界団体などをメンバーとして、システムの運営に関する基本方針を策定するなど、合意形成を図る場とする。システム開発は振興基金で調達手続きが現在進行中で、6月にも契約が行われる見通し。18年10月からの先行運用、19年度からの本運用に向けた体制が始動する。協議会は、国交省の土地・建設産業局長が会長となり、会員団体として▽日本建設業連合会(日建連)▽全国建設業協会(全建)▽全国中小建設業協会(全中建)▽建設産業専門団体連合会(建専連)▽日本空調衛生工事業協会(日空衛)▽日本電設工業協会(電設協)▽住宅生産団体連合会(住団連)▽全建総連―が参加。厚生労働省も特別委員として加わる。そのほか、公共工事前払金保証事業会社3社(東日本建設業保証、西日本建設業保証、北海道建設業信用保証)、全国建設産業団体連合会(全国建産連)、勤労者退職金共済機構をオブザーバーとする。」(『建設工業新聞』2017.05.25)
●大阪や京都、滋賀など近畿の6商工団体連合会(県連)・民主商工会(民商)は5月11日、建設業者への社会保険加入問題で、国交省近畿地方整備局と交渉した。各県連役員、建設関連の民商会員など22人が参加。大阪で取り組んでいる建設業者のアンケート結果も示し、社会保険の適用除外となる小規模事業者への加入強要の中止、法定福利費を十分確保できる単価契約など4項目について、整備局として元請け企業を指導するよう要望した。国交省の「下請け指導ガイドライン」は4月以降、「適切な保険」に加入していることを確認できない作業員について、元請け企業は「特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべき」と明記。しかし「適切な保険」の誤った解釈が相次いでいます。参加者は「加入義務がないにもかかわらず、親会社から社会保険加入と法人化を求められている。国のガイドラインも見せたが『上から言われている』の一点張り」「ゼネコンによって法定福利費の支払いに差がある中で社会保険に加入するのは無理」「4月分の単価が下げられた分が、きっちり法定福利費として計上された」「親会社から社会保険には入れるが、保険料は自分で負担しろと言われた」「建設業者アンケートでは約8割の人が単価に法定福利費が反映されていないと回答している」―など、ガイドラインとかけ離れた実態について告発が相次いだ。ガイドラインの解釈や国の対応についても「『社会保険の加入』が強調され『適切な保険』に焦点が当たっていないことが誤解を生んでいる。書き方や言い方を考えてほしい」「未加入=問題事業所という目で見られるのがつらい」「兵庫県との交渉で国のガイドライン周知についての通達について、知らないと言っていた。実態は深刻。もっと迅速な対応が必要」「国の相談ダイヤルにも電話したが、聞くだけで何の力にもなってない」など、指導や早急の対策強化を求める声が次々と上がった。近畿整備局の担当者は「『法人化』するような要請はしていない」「社会保険に加入すれば、法定福利費を計上するという対応は間違っている」と回答。さらに「国のガイドラインで求めているのは、加入義務のある保険に加入するということ。誤った取り扱いがなされないようゼネコンや主要な企業への説明会や立入調査で周知徹底していきたい」「具体的な事例については、近畿整備局としても対応していく」と答えた。(『全国商工新聞』2017.05.29より抜粋。)
●主要ゼネコン26社の17年3月期決算が15日出そろった。売上高は微減・微増が大半を占めた。売り上げ計上した工事の採算を示す完成工事総利益(粗利益)率は、公表ベースで22社が前期より改善。本業のもうけを示す営業損益で21社が前期を上回った。業績の先行指標となる受注高は16社が前期を下回ったが、手持ちの工事を増やした企業は多く、18年3月期は全社が増収を見込んでいる。」(『建設工業新聞』2017.05.16)
●「国土交通省は、交通政策と連携したコンパクトなまちづく必を進めるモデル都市として、青森県弘前市など全国10市を初めて選定した。モデル都市の事例を公表することで、コンパクトシティー形成に向けて他都市への横展開を進める。計画の実行段階を見据えて、各都市の取り組みの見える化をサポートする枠組みや技術も整備する。モデル都市は…いずれも、現状の課題を分析した上で、立地適正化計画を使って理想の都市像を実現するための具体策や数値目標が明確化されている点が評価された。立地適正化計画の策定後、取り組み内容の見える化を図るため、国交省は都市計画情報のオープン化を推進する。」(『建設通信新聞』2017.05.22)
●「東京都は25日、空き家の管理や有効活用を区市町村と共同で検討するための協議会を設置した。都が区市町村に技術的な支援をしたり、他の自治休の取り組みを情報提供したりする。空き家対策に取り組む区市町村が抱える具体的な課題の解決につなげる。「東京都空き家対策連絡協議会」は都と都内の全区市町村で構成する。自治体間の情報共有に加え、課題を整理し、空き家の管理や有効活用の方策を共同検討する。空き家の所有者の特定が難しい場合の対応方法を検討したり、必要な基準の見直しを国に共同で要望したりする。外部の専門家を招いて空き家対策に必要な知見も紹介してもらう考えだ。協議会は今年度中に5回ほど開く予定だ。座長の都の桜井政人・住宅政策推進部長は『空き家を放置すれば地域の活力低下や環境悪化に直結しかねない』と指摘。そのうえで『空き家対策の推進に有益な場となるように協議会を進めたい』と話した。」(『日本経済新聞』2017.05.26)