情勢の特徴 - 2017年7月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省は6月30日、2017年度の建設投資が前年度を4.7%上回る54兆9600億円になるとの見通しを発表した。増加は2年連続。内訳は政府建設投資が22兆2300億円(前年度比5.4%増)、民間投資が32兆7300億円(4.3%増)。建設投資は10年度を底に増加、横ばいの傾向で推移している。見通し額は、02年度実績(56兆8401億円)に近い水準にまで回復することになる。建設投資見通しは、国内建設市場の規模とその構造を明らかにすることを目的に、1960年度から毎年度、集計・公表している。日本の全建設活動について出来高ベースの投資額を推計している。」(『建設工業新聞』2017.07.03)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、『橋、高架の道路等の技術基準』の改定案と、新たに策定する『道路土工構造物点検要領』の案をそれぞれまとめた。技術基準は多様な構造や新材料に対応する設計手法として、安全率の部分計数化と限界状態設計法を導入したほか、橋の設計供用期間を100年に明確化した。いずれも7月中に成案を作成し、各地方整備局や高速道路会社などに通達を出す。」(『建設通信新聞』2017.07.03)
●「国土交通省は3日、地方自治体が行うプロジェクトの推進と、課題の解決につながる多様な入札契約方式の導入・活用をバックアップする『多様な入札契約方式モデル事業』の支援対象に、東京都板橋区の『小中学校等空調設備一斉更新事業』など4件(5自治体)を選定した。同日から対象の自治体に派遣する民間の支援事業者を公募。8月上旬から支援事業者によるモデル事業への支援をスタートさせる。2014年度から実施している『多様な入札契約方式モデル事業』は、都道府県や市区町村といった自治体が実際に発注を予定している公共工事を対象に、CM方式やECI(施工予定技術者事前協議)方式といった対象プロジェクトの性格や地域の実情に沿った多様な入札契約方式の導入の検討をサポートする取り組み。…モデル事業として選定されたのは、東京都板橋区(小中学校等空調設備一斉更新事業)、長野県上田市(庁舎改修・改築事業)、奈良県桜井市(新庁舎建設事業)、徳島県と美波町の共同申請による大規模災害を想定した復旧・復興事前検討事業の計4件。 いわゆる新築事業が大半を占めてきたこれまでのモデル事業と打って変わって、庁舎の改築と耐震改修・耐震補強をセットで行う上田市や、約80校に上る小中学校の空調設備の更新計画を、入札契約方式を含めた全体の発注計画として練り上げる板橋区など、バラエティーに富んだ事業が選定されている点も特徴だ。」(『建設通信新聞』2017.07.04)
●「日本と欧州連合(EU)が2013年から交渉していた日EU経済連携協定(EPA)が6日に大枠合意した。多くの交渉分野のうち、公共工事などを海外企業に開放する『政府調達』分野は、日・EU双方が市場アクセスを広げることになった。日本側は都道府県・政令市の地方独立行政法人が運営する大学や病院の建設工事などの調達、都道府県・政令市の電気事業をEUの企業に開放する。また、人口20万人以上の中核市は『建設サービス(建設工事)』を開放しないが、『建築のためのサービス、エンジニアリング・サービスその他の技術的サービス(建築設計や建設関連の調査・設計などの技術的サービス)』と『物品・役務』の一定基準額以上の市場を開放する。」(『建設通信新聞』2017.07.10)
●「農林水産省は、2017年度から『土日完全休工を促進するモデル工事』を試行している。政府が推進する働き方改革に基づき、各省庁の直轄工事で週休2日の取り組みが本格化する中、同省は土日の休日取得と現場事務所の閉所を重点化。建設業が目指す“他産業並みの就労環境”の第一歩となる土日休みを強力に後押しすることで、担い手の確保・定着につなげる方針だ。」(『建設通信新聞』2017.07.13)

労働・福祉

●「建設技能者の就業履歴や保有資格などを統一ルールで蓄積・管理する『建設キャリアアップシステム』の本格運用に向けた官民の協議会が6月30日、始動した。第1回総会が東京・虎の門の建設業振興基金で開かれ、運用に伴う料金体系や基本方針などを検討することを決定。『運用ルール検討分科会』を設置し、技能者の登録料や事業者の利用料などを議論。17年中に運用ルールを固めることで一致した。」(『建設工業新聞』2017.07.03)
●「国土交通省は、建設業許可や経営事項審査(経審)の申請などに合わせて実施している社会保険への加入指導の結果をまとめた。16年10月~17年3月の半年間で許可や経審を申請した業者のうち、既に社会保険に加入していた業者の割合は91.9%となり、半年ベースの集計で2期連続で9割を超えた。指導後に加入した業者を加えると、全体に占める割合は95.1%に達した。」(『建設工業新聞』2017.07.05)
●「文部科学省は12日までにストーブなどの煙突にアスベスト(石綿)を含む断熱材を使用している全国の学校や体育館、公民館など1万251施設のうち、昨年10月1日時点で、370施設の断熱材に劣化や損傷が見つかったと発表した。環境基準を超える量が直ちに飛散する可能性は低いとしているが、管理する地方自治体などに早期の対策を指示した。…調査は文科省が所管する全国12万7827施設が対象。損傷などが見つかった施設数は2014年の前回調査(380施設)を下回った。このうち公立学校では、14都道県の227の幼稚園や小中高校、特別支援学校で劣化や損傷を確認した。都道府県別に見ると北海道の116が最多で、石川34、東京22と続いた。私立学校では7都道県の19の施設で確認した。」(『日本経済新聞』2017.07.12)
●「国土交通省は15年4月に開始した外国人建設就労者受け入れ事業で、17年度末までに累計3200人程度が入国するとの見通しを明らかにした。5月末時点での受け入れ人数は1656人(4月末1558人)。特定監理団体の認定数は144団体(141団体)で、各団体と受け入れ企業が共同で策定し認定された適正管理計画は721計画(675計画)に達した。同事業は、東京五輪が開かれる2020年度までの建設需要の一時的な急増に対応する時限措置。日本の建設現場で3年間の技能実習を終えた外国人に2~3年の特別な在留資格を与え、日本の建設現場に即戦力として受け入れる。」(『建設工業新聞』2017.07.13)

建設産業・経営

●「10年後の建設産業が『生産性』を高めながら『現場力』を維持していくために――。その目的意識を持って、昨年10月にスタートした国土交通省の『建設産業政策会議』(座長・石原邦夫東京海上日動火災保険相談役)の最終報告がまとまった。提言のタイトルは『建設産業政策2017+10』。10年後を表す“+10”に将来を見据えた制度インフラの再構築と今後の産業政策に対する思いが込められている。提言は『あなたは若い人たちに明日の建設産業をどう語りますか』という問いかけで始まる。生産年齢人口の減少を背景に、建設産業にとって、最大の課題となっている『担い手の確保・育成』を意識しながら、それを支える『働き方改革』や『生産性の向上』といった取り組みの必要性を強く打ち出している点が特徴だ。整備したインフラに対する継続的なメンテナンスや防災・減災対策(災害対応)、除雪など、国民生活や経済活動を支えていくという建設産業が持つ役割は“不変”とする一方で、建設産業が提供する、いわゆる建設サービスは、その時代や国民のニーズに的確に対応する“進化”が求められると明記する。」(『建設通信新聞』2017.07.03)
●「群馬県建設業協会(青柳剛会長)は11日、週休2日制に関する会員企業のアンケート結果を発表した。国土交通省関東地方整備局が6月末に始めた新たな週休2日確保試行工事には、7割の企業が入札参加に関心を持っている。一方で、4週6休制が現場の実態と答えたのは5割を占めた。工期が延びることによるコスト増加を課題と捉え、発注者に必要経費の確保を求める必要があると考える企業が多い。13日に開く同局との意見交換会で調査結果を示し、意見交換の1つのテーマにする。」(『建設通信新聞』2017.07.12)
●「東京地区生コンクリート協同組合(斎藤昇一理事長)が3年半ぶりに生コン価格の値上げに乗り出す。12月1日引合受付分から1立方メートル当たり1000円引き上げる。主要原材料となる骨材の輸送に関して車両運転手不足、ガット船乗組員不足が顕在化しているための根強い値上げ要請に加え、ミキサー車両運転手の不足も生じていることから『コストアップを吸収することは限界』(同組合)と判断した。」(『建設通信新聞』2017.07.12)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「政府は6月30日、福島復興再生基本方針の改定を閣議決定した。原子力災害からの福島の復興・再生の意義と目標に初めて『将来的に帰還困難区域のすべてを避難指示解除し、責任を持って取り組む』と明記した。その第一歩として、帰還困難区域内に設ける特定復興再生拠点の計画認定に関する項目をまとめた。早ければ今夏から秋にかけて初弾計画を認定し、年度内に除染などの事業に着手したい考えだ。同日会見した吉野正芳復興相は『福島の復興・再生に向けた大きなツールをいただいたという認識だ。ツールを使って1日でも早い再生を進めていきたい』と、意気込みを口にした。」(『建設通信新聞』2017.07.03)
●「九州北部の豪雨で、福岡、大分両県の死者は11日までに25人に上り、20人超が行方・安否不明となっている。住宅を失うなどして約1400人が避難し、長期化の恐れが出ている。大量の土砂や流木が捜索やライフラインの復旧を阻み、生活再建は遠い。被害は筑後川流域の福岡県朝倉市と東峰村、大分県日田市に集中している。犠牲者のうちこれまでに19人の身元が判明した。数十キロ離れた下流の有明海で見つかった5人の遺体のうち、1人は朝倉市の男性だった。自衛隊や消防などは約1万2千人の態勢を維持し不明者の捜索を続けている。道路が寸断され、両県では一時、計1700人が孤立状態になった。ヘリコブタ一による救助が進み、福岡県は11日に県内の孤立解消を発表した。日田市では約110人が取り残されている。」(『日本経済新聞』2017.07.12)
●「東京都が、築地中央卸売市場(中央区築地)の豊洲新市場(江東区豊洲)への移転に向けた詳細計画の検討に腐心している。築地再開発や豊洲活用の内容によっては、周辺地区で民間事業者が進めるプロジェクトの計画変更、事業撤退へと影響が広がる恐れもあるためだ。既に豊洲地区で商業施設整備を予定していた事業者からは、状況次第で撤退を検討するとの意向が示されている。」(『建設工業新聞』2017.07.13)
●「(株)矢野経済研究所は7月7日、2017年版の住宅リフォーム市場に関する調査の結果を公表した。2016年の住宅リフォーム市場規模は、6兆2003億円(前年比4.4%減)と推計。17年は底堅く推移するとの見通しで、6兆4689億円(同4.3%)と予測しており、2020年まではストックの増加に伴う『設備修繕・維持関連』分野の拡大により、リフォーム市場は安定的に成長すると見ている。」(『日本住宅新聞』2017.07.15)

その他