情勢の特徴 - 2017年7月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「建設産業における生産性を推し量る1つの指標として用いられる『付加価値労働生産性』。ベースとなる請負金額から材料費などの中間投入額を差し引くことで割り出す付加価値(分子)を、就業者数や労働時間数といった労働投入量(分母)で除す、この考え方にとって重要なのは分母だけではない。生産活動で生み出す付加価値を減らさないための『分子』のあり方に改めて着目していく必要がある。…従来よりも少ない人数、少ない工事日数で従前と同じ工事量をこなすという現場の生産性を高める取り組み(1人当たりの生産性の向上)は、労務費の削減など全体としての工事金額の縮減に結びつくと考えられがちだが、それは付加価値(分子)と労働投入量(分母)の両方を削減しているだけで、結果として生産性の向上になっていない。分子を重視する視点は、生産性を高めることで生み出す付加価値を、技術者・技能者の処遇など『働き方改革』へと還元しなければならないというメッセージと言える。」(『建設通信新聞』2017.07.18)
●「世界の不動産市場にファンドマネーの流入が加速している。低金利下の運用難に悩む年金や金融機関からお金を集め、不動産やインフラを投資対象とするファンドは2017年上期に過去最高ペースの875億ドル(約10兆円)を調達した。ファンドの攻勢で不動産価格に過熱信号が点灯。金融引き締めに動き始めた米国など欧米主要国の中央銀行は価格高騰を警戒し始めた。…不動産投資では賃料収入を取得価格で割った投資利回りが採算を測るモノサシ。取得価格が上がるほど利回りは低下する。08年の世界金融危機直前のピーク時でも横浜市中心部の大型オフィスビルの利回りは5%台前半だったが、今回のガウの投資利回りは3%前後。…ファンドが高値もいとわず不動産購入に突き進む裏には未曽有の低金利がある。不動産の利回りは06~07年より低いが、借入金利を引いた実質的な投資利回りは東京・大手町の大型物件で3%台。2%台だった当時に比べて高い。ファンドの膨張と投資の拡大は世界的な現象だ。…背景には世界的な低金利の中で少しでも高い運用利回りを求める年金や金融機関の強い投資需要がある。…年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もファンド投資の準備を本格化。今年度中にインフラなどで実績を作る考えだ。…金融危機から9年続いた世界的な低金利で資産価格はすでに高くなっており、そこに低金利で膨張したファンドのマネーが流入しているのが今の構図だ。」(『日本経済新聞』2017.07.22)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省と中小企業庁は14日、17年度の下請取引等実態調査を始めた。無作為抽出した全国の建設業者約1万4000業者が対象。下請取引を巡る各種質問に回答してもらう。公共工事設計労務単価の引き上げが技能労働者の賃金水準に反映されているかどうかを聞くほか、元請負人の立場での社会保険の加入指導に関する質問も新設。建設業法違反が疑われる業者には指導票を送り、改善を促す。調査対象の内訳は、大臣許可約1700業者、知事許可約1万2300業者。元請負人の立場と下請負人の立場で回答を求める2部構成。」(『建設工業新聞』2017.07.18)
●「建設現場の休日の確保(週休2日の推進)など、建設産業おける『働き方改革』が着実に広がりを見せている。取り組みを先導する国の発注機関を中心に、都道府県・政令市といった地方自治体にも推進への意識が波及。『週休2月』モデル工事の実施など、建設企業の取り組みを後押しする公共分野の対応が加速している。民間工事への普及・浸透にも期待がかかる。直轄工事の率先行動として、積極的な取り組みを進める国土交通省は、これまで各地方整備局ごとの運用にばらつきがあった工事着手の準備に必要となる期間(準備期間)や後片付け期間の標準化、日当たり施工量をもとに各工種に必要な日数(工期)を自動的に算出する『工期設定支援システム』の活用(原則化)など、推進ツールを総動員したいわば“パッケージ型”の発注体制を整備。週休2日を考慮した間接工事費の補正で、休日が増加することによる企業側(受注者)のコストアップへの対応を支援する。5-6月に全国8地区で開催した春季『地方ブロック土木部長等会議』で参加した都道府県・政令市に『工期設定支援システム』を無償提供するなど、国と自治体の連携の中で、建設現場の休日拡大(週休2日の推進)や、そのための環境整備の必要性といった認識を共有。自治体の積極的な対応を促す。…実際に都道府県・政令市といった自治体がモデル工事の実施など積極的な取り組みを推し進める一方で、農林水産省も土地改良などの農業農村整備(地方農政局が発注・契約する工事)を対象に4月から『土日完全休工を促進するモデル工事の試行』を開始している。…国策として、その推進が求められている建設現場の『週休2日』は、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保など、受発注者の理解と協力が不可欠。特に懸案となっている『十分な工期の確保』や『休日が増加することによる企業のコストアップ』といった課題は、発注者としても必要な対策をしなければ、企業も取り組みの推進は難しい状況だ。モデル工事の試行・実施など、民間工事に率先した先導的な役割が求められる公共分野で、各発注者が積極的な対応を推し進めている現状は、民間工事を含め建設産業が取り組む『働き方改革』にとって、起爆剤としての効果もある。」(『建設通信新聞』2017.07.21)
●「国土技術研究センター(JICE、谷口博昭理事長)が一般国民を対象に行った社会資本に関する調査の結果(速報版)によると、インフラの充足度の評価で地域間格差が大きいことが分かった。特に四国と北海道は居住地域、日本全体ともに充足していないとの回答が多かった。今後の公共事業予算については『増やしていくべき』と『増やさざるを得ない』との回答が合わせて4割以上を占めた。…社会・生活空間、国土形成に関する現状評価については、『どちらともいえない』との回答が半数近くあったものの、安全・安心な社会や活力ある社会などに向けて社会資本整備が『非常に重要』『重要』との回答は約8割に上った。分野別の充足度と整備推進への意向について、居住地域で見ると、『充足度評価が低く・推進意向が高い』分野は河川の施設や地域の道路、医療施設、子育て施設、地域間の交通機関などで、地域の安全と生活を支える施設への要望が強いことが分かった。…社会資本の充足度評価については地域間格差が大きく、四国と北海道で充足していないと評価。一方、地方の中枢都市と近畿では充足度の評価が高かった。」(『建設工業新聞』2017.07.24)
●「政府は、官公需法に基づく2017年度の国などの契約の基本方針を固めた。国や独立行政法人などが中小企業・小規模事業者に発注する契約目標率は、16年度目標率と同じ55.1%とする。6兆9347億円の17年度官公需総額に占める中小企業・小規模事業者向け契約目標額は、3兆8185億円となる。このうち、工事の総予算額は3兆0025億円で、中小の契約目標額が1兆7242億円、契約目標率は57.4%に設定する。」(『建設通信新聞』2017.07.25)

労働・福祉

●「地方公務員の非正規職員が増えている。都道府県と市区町村を合わせて2016年は約64万人と、05年に比べて4割増加。全職員に占める比率は2割近くに達し、小規模な市町村では半数以上を占めるところがある。公立保育所の保育士などのほか、退職者の補充を非正規で対応してきた結果だ。ただ、5月に待遇改善を求めた改正地方自治法などが成立し、自治体は対応を迫られる。…全国1788自治体の非正規比率は19%で、05年より6ポイント高まっている。全体では国(17%)を上回る程度で、政令市を除く市区は32%、町村が35%と高い。財政難で非正規職員を増やして経費を抑制する動きがあるためだ。小規模自治体では民間委託が進んでおらず、直営事業を非正規が担うケースも多い。…近年、団塊の世代にあたる職員が大量退職したが、今後の人口減少を考えると終身雇用の新卒職員は増やせない。各自治体は雇用の調整弁として臨時職員などに置き換えてきた。…一方で、『官製ワーキングプア』といった批判もある。総務省によると時給は約千円。フルタイムでも年収は200万円程度にしかならないうえ、原則として契約は毎年更新で昇級もないためだ。地方自治総合研究所の上林陽治研究員は『賃金の安い非正規職員を都合良く使っているだけ』と指摘し、『同じ職場で正規、非正規の年収に2~3倍の差があるのは不合理だ』と批判する。…5月の改正法成立で今後は非正規職員に期末手当(ボーナス)の支給や昇級といった対応が必要になる。」(『日本経済新聞』2017.07.17)
●「大林組は、現場職員(出向派遣含む)の4週8休をスタ-卜した。土木では全店12現場で4週8閉所に挑み、技能労働者を含めた週休2日の課題抽出に乗り出す。建築は一斉閉所を増やしながら、現場全体の4週8休を目指す。土木と建築ともに固定した休日が確保しにくい現場もあり、年間を通してトータルで柔軟に休日を確保する枠組みも検証する方針だ。…技能労働者も含めた4週8休の実現には全店12現場を選定して4週8閉所にチャレンジする。先行する名古屋支店では既に全現場を対象に4週6閉所または8閉所への取り組みをスタートしており、土木では18年度以降に全現場の4週8閉所を目標に掲げ、協力会社への賃金水準確保の方策についても検討する。」(『建設通信新聞』2017.07.21)
●「厚生労働省が20日にまとめた2017年上期(1-6月)の労働災害発生状況(速報、7月7日時点)によると、建設業の休業4日以上の死傷者数は、前年同期と比べ0.3%減(19人減)の5982人となった。うち死亡者数は120人と、3.4%増(4人増)だった。…16年の死亡者数は294人(確定値)で上期が132人、下期が162人だった。16年上期の速報値は116人だったことから、確定値までに16人増えたことになる。このため、17年下期が16年下期と同じ状況と仮定した場合、速報値から確定値までに一定程度人数が増えることを踏まえると、300人前後と推計される。…17年上期の建設業の死傷者事故別人数は、『墜落・転落』が2037人と最も多く34.0%を占める。『はさまれ巻き込まれ』が681人、『転倒』が646人、『飛来・落下』が606人などとなっている。」(『建設通信新聞』2017.07.21)
●東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場建設の地盤改良工事の現場監督をしていた都内の建設会社の男性社員=当時(23)=が3月に自殺したのは、残業が月200時間を超えるなど過重労働が原因として、遺族が労災を申請したことが20日、明らかになった。…男性は昨年4月に入社し、同12月から施工管理業務に従事。今年2月からは、朝4時半に起きて深夜零時以後に帰宅するようになった。3月2日から行方不明となり、4月15日に長野県内で遺体で発見。「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」と書かれた遺書がみつかった。会社は当初、遺族に「残業時間は労使協定の範囲内」と説明したが、遺族側の調査で、失踪前1カ月で約211時間、2カ月前で月約143時間にのぼる時間外労働が確認された。7月12日に労働基準監督署に労災を申請した。(『しんぶん赤旗』2017.07.21より抜粋。)
●東京オリンピックの開会式会場となる新国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)の建設工事に従事していた男性=当時(23)=が過労自殺した事件で、開会(2020年7月24日)までちょうど3年となった24日、建設労働者でつくる東京土建一般労働組合などは建設現場入り口で「命と健康を守る現場にしよう」と呼びかける宣伝を行った。労働者から過酷さを訴える声が続々と寄せられた。…「過労自殺の当該企業だけでなく、元請けの大成建設や発注者の国の責任で、労働条件を是正させよう」と訴えた。…1次下請けの現場監督の男性は、「工期がだんだん短くなって圧迫されているというのは共通認識だ」と指摘。「もっと下請けの人たちは、圧力を受けているのではないか」と語った。…この日の宣伝は、早朝、昼休み、退勤時の夕方の3回行い、東京土建のほか、埼玉土建、千葉土建、神奈川土建、神奈川建連、国土交通労働組合なども参加した。(『しんぶん赤旗』2017.07.25より抜粋。)
●「厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は25日、2017年度の最低賃金の目安を全国平均で時給25円引き上げ、848円にすると決めた。現在の決め方になった02年度以降、16年度と並び過去最大の上げ幅となる。…現在の全国平均は823円。今後、各都道府県の審議会が地域別の最低賃金の実額を決める。…日本では労働者のうち非正規社員が4割弱を占める。賃金格差が大きく、非正規は正社員の賃金の約6割。欧州諸国の7~8割と比べても隔たりが大きい。」(『日本経済新聞』2017.07.26)
●「日本建設業連合会(山内隆司会長)は、建設業の労働時間適正化に向け、時間外労働の上限を段階的に強化する。自主規制となる『日建連基準』を設定し、9月をめどに試行を始める。建設業への時間外労働の罰則付き上限規制適用が政府方針として決定したことや、新国立競技場整備事業での長時間労働が原因とみられる過労自殺の発生を踏まえ、可能な限り早急に長時間労働の是正に取り組む必要があると判断した。今後、労働委員会を中心に具体的な上限基準などの検討を本格化する。」(『建設通信新聞』2017.07.27)
●「政府は27日、働く時間ではなく成果に応じて賃金を払う『脱時間給制度』について、残業時間の上限規制などの働き方改革関連法案と一本化で秋の臨時国会に提出する方針を固めた。連合の容認方針の撤回にかかわらず、連合が当初主張した修正案を受け入れて労働者に理解を求める。2015年の法案提出以来、塩漬けとなってきた同制度の早期導入を狙う。脱時間給制度は年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントらを労働時間の規制対象から外し柔軟な働き方を可能にする制度。対象になると労働時間規制や時間外・深夜の賃金割り増しなどの適用が除外される。日本企業の生産性の引き上げを促す施策として期待が大きい。」(『日本経済新聞』2017.07.28)
●「厚生労働省が28日発表した6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.01倍だった。1倍を超えて求人が求職を上回るのは2004年の調査開始以来初めて。企業の人手不足感が一段と鮮明になった。…パートタイムを含む全体の有効求人倍率(同)は1.51倍で前月比0.02ポイント上昇した。バブル期で最も高かった1990年7月の1.46倍を上回った。」(『日本経済新聞』2017.07.28)

建設産業・経営

●「東日本建設業保証がまとめた、前払い金保証工事からみた公共工事の動向によると、2017年度第1四半期(4-6月累計)の請負金額は、前年同期比4.9%増の2兆9909億円で6年連続増加し、過去10年で最高値を更新した。東京都発注の環状七号線地下広域調節池や、日本スポーツ振興センターの新国立競技場2期工事などの大型工事が全体の伸びをけん引した。発注者別の請負金額は、国が13.6%増の4073億円、独立行政法人等が19.1%増の5076億円、都道府県が1.1%増の8526億円、市区町村が0.7%増の1兆0290億円といずれも増加した。一方で、地方公社は6.1%減の339億円、その他は2.3%減の1602億円だった。」(『建設通信新聞』2017.07.18)
●「大東建託の2017年4~6月期の連結営業利益は前年同期比2割増の370億円前後だったようだ。微減の300億円強とみていた市場予想平均に反して増益となり、4~6月として過去最高となった。節税を目的にしたアパート建設が好調だった。14~15年に受注価格を引き上げており、工事の採算が改善したことも増益につながった。」(『日本経済新聞』2017.07.20)
●「ゼネコン(総合建設会社)大手4社の時価総額がそろって1兆円水準を回復している。4社そろって1兆円を超えれば、3月末ベースでは1990年3月末以来、約28年ぶりとなる。バブル崩壊後、多額の負債や会計処理の厳格化に苦しんだが業績の立て直しが進んだ。建設需要も復調し、株式市場での評価がようやく切り上がってきた。19日の時価総額は大成建設が1兆2201億円、鹿島が1兆203億円で、それぞれ5~6月に1兆円を超えた。大林組は1兆円超えまであと約300億円、清水建設は約600億円に迫る。東証1部で時価総額が1兆円を超えるのは19日時点で133社だ。」(『日本経済新聞』2017.07.20)
●「地域建設業界の景気のマイナス傾向が続いている。東日本建設業保証、西日本建設業保証、北海道建設業信用保証の3社が19日に発表した建設業景況調査(17年度第1回)で、4~6月のBSI値(景況判断指数=「良い」と「悪い」の回答差)はマイナス6.5。14年7~9月の0.0を境にした悪い傾向は11四半期連続。先行きを示す7~9月はマイナス12.0と厳しさがさらに増す見通しだ。」(『建設工業新聞』2017.07.20)
●「国土交通省は、建設工事標準請負契約約款(標準約款)を改正する。社会保険等への加入の促進あるいは徹底に向けた対応が柱となる。直轄工事を対象に4月からスタートさせた2次以下を含むすべての下請業者を加入業者に限定する、未加入業者の『排除』に向けた取り組みに対応する条文を整備。地方自治体などに、その段階的な適用を促す。近く中央建設業審議会として実施勧告を行う。請負契約の片務性の是正と契約関係の適正化を目的とする、いわゆる標準約款は請負契約における当事者間の具体的な権利義務の内容を律するものとして、中央建設業審議会が作成。当事者にその実施を勧告できる。…直轄工事で2次以下を含む、すべての下請業者を加入企業に限定する取り組みがスタートしていることから、公共約款に当該工事の下請け(2次以下を含む)を加入業者に限定する規定を新設。ポイントは、2次以下を含めたすべての下請企業を加入企業に限定する規定と、1次下請けを加入企業に限定する規定の2つの選択肢を用意している点だ。…公共工事での対策の徹底に取り組む一方で、民間工事における対策も加速させる。『公共約款』『民間約款(甲)(乙)』『下請約款』のそれぞれで、受注者に発注者への提出を求めている請負代金内訳書に、法定福利費を内訳として明示することを新たに規定。受注者が作成する請負代金内訳書の中に、法定福利費を内訳として明示することを“標準化”あるいは“ルール化”することで、法定福利費の確保を契約事項に組み込んでいく。受発注者間での内訳明示を促すことで、社会保険等への加入の原資となる法定福利費が下請企業にまで確実に行きわたる仕組みの構築につなげる。」(『建設通信新聞』2017.07.26)
●「国土交通省は、公共工事の元請企業に、その受審が義務化されている『経営事項審査』を見直す。焦点となるのが、社会保険への一層の加入を促す減点措置の強化(働き方改革に関する評価)と、防災活動への貢献に対する加点幅の拡大(地域貢献に関する評価)。4日に公表した建設産業政策会議の提言『建設産業政策2017+10』に示された方向性に沿って、第1弾の改正へと踏み出す。来年4月の施行を見込む。…25日の中央建設業審議会(会長・石原邦夫東京海上日動火災保険相談役)の総会に『社会性等(W点)ボトムの撤廃』『防災活動への貢献の状況の加点幅の拡大』『建設機械の保有状況の加点方法の見直し』という経営事項審査における3点の改正(案)を提示、了承された。算出方法や加点幅の見直しによって、より積極的に『働き方改革』を評価。地域貢献を含めた評価のウェートを高めることで、建設企業の取り組みを後押しする。」(『建設通信新聞』2017.07.26)
●「建設経済研究所と経済調査会は26日に『建設経済モデルによる建設投資の見通し』を発表した。2018年度の建設投資は前年度比3.9%減の51兆0200億円と推計。政府建設投資は9.9%減の19兆6200億円と予測している。政府建設投資は、18年度予算の全体像が現時点で不明となっていることから、国と地方単独事業費を前年度並み(横ばい)と仮定して事業費を推計。…民間住宅投資は0.6%増の15兆5100億円と見通す。持ち家や分譲戸建ては、低金利の住宅ローンや消費増税の駆け込み需要から着工戸数の増加を予想しているが、節税対策などで好調に推移してきた貸家の着工戸数に“息切れ感”が出始めると予測。価格と在庫率の高止まりで販売適地が限られてきている分譲マンションも全体として減少に作用するとみている。民間非住宅投資は0.2%減の15兆8900億円と予測。土木投資は0.1%増の5兆3760億円、建築投資は0.2%減の10兆5140億円と推計している。首都圏を中心とした大型物件の供給が見込まれる事務所や、ネット通販の拡大など消費形態の変化への対応が進む倉庫は引き続き底堅く推移する見通しだ。」(『建設通信新聞』2017.07.27)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「木造住宅の密集地域を抱える東京23区内で、強い地震を感知して自動的に電気を止める『感震ブレーカー』の導入が進んでいる。杉並区などはブレーカーの無料配布、設置を始めた。墨田区は町会など住民の防災組織と協力し普及へ呼びかけを始めた。東日本大震災をはじめ過去の大規模地震では漏電など家庭の電気が原因となった火災が多い。地道な取り組みで被害の拡大を防ぐ。感震ブレーカーは震度5強程度の強い揺れがあった場合に、おもりなどで荷重をかけてブレーカーを下げ、電源を自動的にオフにする。地震で傷ついた配線からの漏電やショートを防ぐ。東日本大震災で火災の原因の65%が電気関係という調査結果もあり、普及が広がりつつある。」(『日本経済新聞』2017.07.19)
●「17年度第1四半期(4~6月)に東京23区で公表された延べ床面積1万平方メートル以上の大規模建築計画は17件と前年度同期より2件減少した。延べ床面積の合計は前年度同期比48.0%減の58万2717平方メートル。『16年度に延べ床面積を押し上げていた東京五輪に向けた大型計画が一服した』(大手デベロッパー)ことが減少要因とみられる。…17件を区別に分けると、最も多かったのは大田区、江東区、新宿区の各3件。港、千代田、中央の3区がそれぞれ2件で続き、足立、練馬の2区が1件ずつだった。建物の主要用途別では、共同住宅が3件(前年度同期比2件減)、事務所が5件(1件増)、ホテルは3件(1件増)だった。このほか、学校施設が2件(1件減)、五輪競技施設(五輪終了後は展示場)、店舗、ごみ処理場、倉庫がそれぞれ1件となっている。」(『建設工業新聞』2017.07.20)
●「東京都は21日、築地市場の豊洲市場への移転時期を2018年春から秋として、卸関連業者など市場関係者と調整する方針を決めた。同日開いた小池百合子知事や関係部局の局長らによる会議で確認した。小池知事は18年5月の移転を目標に掲げている。築地市場を解体し、跡地に20年五輪のデポ(輸送拠点)を開設する工期を考慮している。知事が16年11月に示したロードマップ(行程表)は移転時期を17年冬~18年春としていた。一方、市場関係者は移転準備に一定の期間が必要だとして、移転は18年9月以降が望ましいとする見方が強い。都は業界に配慮して時期に幅を持たせたかたちだが、難航する可能性もある。同日の会議では、五輪の基幹道路となる環状2号線の地上部道路を20年3月までに整備する日程も示された。豊洲市場の建物下を盛り土から地下空間に変更したことに伴う環境影響評価(アセスメント)に関しては、8月中旬までに変更届を提出する方針を確認した。」(『日本経済新聞』2017.07.21)
●「九州地方整備局は19日、九州北部豪雨により被災した福岡県朝倉市の県が管理する筑後川水系赤谷川で河川分野では初となる権限代行による緊急対策工事に着手した。河道に流れ込んだ大量の土砂や流木により流れがせき止められ二次災害の恐れがあるため、これらを撤去し流路を確保する。今後、支川である大山川、乙石川でも順次着工し、本格的な台風時期までの完了を目指す。」(『建設工業新聞』2017.07.21)
●「国土交通省は17年度、老朽化した民間の住宅団地の建て替えを促す対策に乗りだす。改正マンション建て替え円滑化法で運用している建物と敷地(解体後の跡地)の一括売却制度を拡充。現在は1棟だけの建て替えに限っている同制度の適用対象を、新たに複数の住棟が並ぶ団地の建て替えにも広げる。建て替え時の住民合意要件が緩和される法定の市街地再開発事業の活用を促す指針も作る。…マンションの建物と敷地の一括売却制度を拡充するのは、建て替え時の住民合意要件が緩和されたり、売却後の土地の用途制限が撤廃されたりするメリットを団地の建て替えにも波及させるのが狙い。同制度を活用すれば、もともと民法で住民全員の合意が必要だった要件が『5分の4以上』に引き下げられる。原則として現在地に限られていたマンションの建て替え用地を別地でも確保できるようになる。法定の市街地再開発事業の活用を促す指針を作るのは、昨年の都市再開発法の改正でもともと5分の4以上の住民合意が必要だった要件が『3分の2以上』に引き下げられるメリットを波及させるのが狙い。現時点でまだ実績がないため、新たにこのスキームの内容を分かりやすく解説する指針を作ることにした。国交省によると、全国にある住宅団地のストックは13年度末時点で計約5000団地、戸数では計約200万戸に上る。このうち、民間のストックは団地数で7割に当たる3531団地、戸数で8割に当たる162.5万戸ある。」(『建設工業新聞』2017.07.26)

その他