情勢の特徴 - 2018年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「1日に成立した一般会計総額1兆6547億円の国の17年度補正予算のうち、国土交通省分の歳出総額は国費ベースで8337億円となった。政府全体の公共事業関係費1兆0003億円のうち、国交省分は7231億円。国交省が各地方整備局や地方自治体などに配分する事業費は総額8760億円となる。主に昨年7月の九州北部豪雨を教訓に推進する緊急の防災・減災事業に充てる。配分額は、本性が具体的な事業を対象に配分する『本性配分』(8109億円)と、各地方整備局にまとめて配分する『一括配分』(651億円)で構成。全体配分額のうち、直轄事業に3505億円、補助事業には5255億円を充てた。」(『建設工業新聞』2018.02.05)
●「厚生労働省は6日、雇用関係助成金で2017年度から始めた生産性を向上させた企業に対する助成額や助成率を割り増しする『生産性要件』を満たし、都道府県労働局が助成金を支給決定した件数が、17年4-12月の全国累計で2300件を超えたことを明らかにした。このうち約77%に当たる1800件程度が、建設企業向けの『建設労働者確保育成助成金(建労金)』であることが分かった。働き方改革を通じて労働環境の整備、生産性向上に取り組む中小建設企業が、積極的に助成金を活用している状況がうかがえる。」(『建設通信新聞』2018.02.06)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、ICT施工を対象に積算の仕組みを見直す。これまで一律となっていた積算(ICT建機の使用割合を25%に設定)に、現場ごとに異なる実績値(ICT建機の使用実績)による積算変更を組み込む。小規模な工事を中心にコスト負担に対する受注者の不安を解消することで、中小企業におけるi-Constructionの一層の普及を狙う。」(『建設通信新聞』2018.02.01)
●「国土交通、総務両省は、都道府県・政令市に17年度補正予算を含めた公共工事の円滑な施工を要請する文書を送付した。適正価格による契約、技術者・技能者の効率的活用、施工時期の平準化などへの取り組みを求めた。公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく通知で、国交省土地・建設産業局長と総務省自治行政局長の連名。補正予算成立のタイミングに合わせた両省連名の通知は6年連続。16年度第3次補正予算成立後の要請文書(17年2月10日付)の内容に加え、3月1日適用の新しい公共工事設計労務単価を踏まえた予定価格の設定など、最新情報を盛り込み改めて周知する。」(『建設工業新聞』2018.02.05)
●「国土交通省は、許可制度の見直しなど、建設業法の改正に向けた検討に入る。13日に中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会『基本問題小委員会』(委員長・大森文彦弁護士、東洋大教授)を開く。建設産業政策会議が、昨年7月にまとめた『建設産業政策2017+10』における“制度的な対応を要する事項”の具体化に乗り出す。…検討のテーマとなる“制度的な対応を要する事項”は、許可制度の見直しや適正な工期設定を軸にした働き方改革の推進、技術者制度など。ことし1月の『建設業社会保険推進連絡協議会』で打ち出した未加入企業に対する許可や更新を認めない仕組みづくり(許可業者からの未加入企業の排除)の具体化に踏み出す。」(『建設通信新聞』2018.02.09)

労働・福祉

●「全国中小建設業協会(全中建)の豊田剛会長は1日、東京都内で記者会見し、働き方改革について今後の対応方針を明らかにした。週休2日の推進と時間外労働の『削減計画』を含む長時間労働の是正、処遇改善の推進、生産性向上、官民発注者への協力要請が柱。職員の担い手確保をすすめ、時間外労働に対する罰則付き上限規制に備えるのが狙い。豊田会長は『経営トップにリーダーシップの発揮を促す』と意欲を見せた。」(『建設工業新聞』2018.02.02)
●「日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は2日、技能労働者の資格や就業履歴を統一ルールで蓄積・管理する『建設キャリアアップシステム』の登録手続きなどに関する会員向けの説明会を開始した。4月からの事業者登録に対応しつつ、技能労働者の登録を進めるための代行申請を、協力会社に働き掛けるよう求めた。週休2日の定着に向けた取り組みも併せて周知した。」(『建設工業新聞』2018.02.05)
●「建設業の賃金と雇用の拡大が続いている。厚生労働省が7日に発表した17年(1~12月)平均の毎月勤労統計調査結果(速報)によると、建設業就業者に支払われた月間平均給与額は前年比0.5%増の38万8418円となり、5年連続で増加した。常用雇用労働者数も4.6%増の302.3万人と7年連続で増えた。毎月勤労統計調査の対象は5人以上が働く事業所。月間平均給与額の全産業平均は0.4%増の31万6907円。建設業は金額、伸び率ともこれらを上回った。建設業の月間平均給与額の調査結果について、厚労省は『人手不足などを背景に官民で推進している担い手確保・育成策が奏功したのではないか』(政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室)と分析している。」(『建設工業新聞』2018.02.08)
●「国土交通省は外国人建設就労者受け入れ事業のさらなる適正化を図るため、受け入れ実態を把握する調査を実施している。特定監理団体約100団体、受け入れ企業約600社に協力を要請。労働時間や賃金などに関する設問のほか、昨年11月施行の技能実習法で受け入れ期間が最長5年(従来3年)に延長されたことを踏まえた設問も用意。調査結果を事業改善に向けた検討材料として活用する。」(『建設工業新聞』2018.02.09)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)は13日、『2017時短アンケート』の結果を公表した。所定外労働時間は組合員全体で大きく減少し、1ヵ月平均所定外労働時間は46.8時間と現行調査を開始した2000年以来で過去最低の数値となった。一方で4週8閉所の実現に対しては過半数の組合員が懐疑的な立場で回答を寄せており、企業が実施する働き方改革と組合員の認識のギャップが明らかになった。」(『建設通信新聞』2018.02.14)
●「厚生労働省は18年度、主に中小建設業を対象にした『建設労働者確保育成助成金』(建労金)制度を見直す。技能労働者として女性と35歳未満の若者の入職・定着をより強力に後押しする。具体的には、企業が行う技能実習の開催経費を助成する支援メニューについて、対象を若者や女性に限定するケースの助成率を現在より10~15%引き上げる。18年度予算案に助成金全体の経費として53億円(前年度比6.0%増)を計上した。助成金の見直し内容を規定した建設労働者雇用改善法の改正施行規則を4月1日に施行する。」(『建設工業新聞』2018.02.15)

建設産業・経営

●「日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、4月に開始する『統一土曜閉所運動』の実施要領案をまとめた。『働き方を変える。建設業を変えていく。』をキャッチフレーズに、18年度は毎月第2土曜日、19年度からは毎月第2、4土曜日の現場閉所を促す。国土交通省に運動の後援を依頼済み。19日の理事会で会員企業に参加を呼び掛ける方針だ。運動は、週休2日の21年度末定着をうたった日建連の『週休二日実現行動計画』で、業界の意識を変えるための具体的な取り組みの一つに挙げている。」(『建設工業新聞』2018.02.06)
●「清水建設が8日に発表した2017年4~12月期連結決算は、純利益が前年同期比14%減の578億円だった。売り上げに立つ大型案件の端境期にあたり、減収減益になった。同日、4~12月期決算を発表した大成建設は純利益(6%増の809億円)が4年連続で最高となり、明暗を分けた。清水建の売上高は5%減の1兆497億円、営業利益は13%減の766億円だった。受注環境は良好で、昨年12月末の受注残高(単独ベース)は1兆7825億円と08年以来の多さとなった。ただ『契約から着工までの時間がかかる大型案件が多い』(山口充穂経理部長)といい、今期は業績に貢献する工事が減った。大成建は、首都圏の再開発案件や東京五輪関連施設の工事を順調に消化した。売上高は6%増の1兆829億円。国内の建築事業が14%も伸び、けん引役になった。昨年12月末の受注残高は2兆2856億円と5年連続で最高を更新している。」(『日本経済新聞』2018.02.09)
●「大和ハウス工業が9日発表した2017年4~12月期連結決算は、純利益が1754億円と前年同期比23%増加した。戸建て事業で新工法の注文住宅が好調だった。賃貸住宅や商業施設、事業施設の各事業の収益も順調に伸びた。純利益は4~12月期としては6期連続で過去最高を更新した。売上高は7%増の2兆6958億円、営業利益は20%増の2521億円となった。いずれも4~12月期として8期連続で過去最高となった。特に好調なのが戸建て住宅だ。4~12月期の同事業は、売上高が2753億円と1%の小幅増だった反面、営業利益は155億円と75%増えた。新工法の注文住宅は天井が高く、広い間口を取れるため引き合いが強く『適正価格での販売が進んだ』(同社)という。」(『日本経済新聞』2018.02.10)
●「大手・準大手ゼネコンが、利益を着実に積み上げている。13日までに開示した25社の2018年3月期第3四半期連結決算では6割の15社が最高益となった。手持ち工事の消化が計画通りに進むとともに、依然として工事採算が高水準にあることが、利益の押し上げにつながっている。単体の完成工事総利益(工事粗利)率では8割の19社が10%を超えた。」(『建設通信新聞』2018.02.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

その他