情勢の特徴 - 2018年2月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府はインフラ整備を柱にした19年10月の消費再増税後、あるいは20年東京五輪後の景気反動減対策に本腰を入れる。20日に開いた経済財政諮問会議で安倍晋三首相が具体策作りを関係官僚に指示した。インフラ整備は東京五輪後の持続的・安定的な成長を支える大規模プロジェクトに重点化。具体策を今夏に閣議決定する『経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)』で示す。」(『建設工業新聞』2018.02.22)
●「国土交通省は、官民一体となった海外インフラシステムの輸出に向けて、新たな支援体制を整備する。独立行政法人などが海外社会資本事業の調査業務を実施できるようにする新法を今国会に提出。トップセールスで獲得した案件を確実に日本企業が受注できるよう、調査段階から日本仕様を組み入れる。政府目標である2020年の日本企業によるインフラシステム受注30兆円の具体化に貢献する。」(『建設通信新聞』2018.02.28)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は16日、土木コンサルタント業務などの積算に使う2018年度の『設計業務委託等技術者単価』を決定した。全職種平均の基準日額は3万7665円。前年度に比べて3.0%(12年度比22.4%)の上昇になった。1997年度の基準日額を100%とした場合、約98%の水準にまで回復した計算となる。」(『建設通信新聞』2018.02.19)
●「国土交通省は16日、3月から適用する『公共工事設計労務単価』を発表した。全国の全職種平均(単純平均値)の伸び率(2017年3月比)は2.8%。単価の上昇が始まった12年度との比較で43.3%の増加になる。6年連続での上昇となる今回の改定によって、ピーク時(1997年度)の97.4%の水準にまで回復した。新単価は、従事した労働者に対する賃金の支払い実態などを集計した『公共事業労務費調査』(昨年10月に実施)の結果をベースに設定。社会保険への加入を徹底させる観点から、継続して必要な法定福利費相当額を反映している点もポイントとなっている。国策として、公共事業の平準化に力を入れる中、1日に成立した17年度補正予算の円滑な執行を目的に、通常は4月を基本としている改定のタイミングを前倒す。」(『建設通信新聞』2018.02.19)
●「『ワーク・ライフ・バランス(WLB)推進企業』を総合評価落札方式・企画競争方式による公共調達で加点評価する取り組みついて、『国に準じた』取り組みを実施している都道府県・政令市が、2017年11月1日時点で、前年度の同時点から6自治体増え、11自治体あることが内閣府の調査で明らかになった。都道府県は秋田、東京、香川の3都県、政令市が横浜、新潟、名古屋、大阪、堺、神戸、広島、北九州の8市となっている。」(『建設通信新聞』2018.02.21)
●「国や地方自治体が公表する工事発注見通しを、地域ブロック単位で統合公表する取り組みが広がっている。国土交通省の全地方整備局と北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局がそれぞれのホームページ(HP)にコンテンツを設け、統合公表の体制を構築。今後も公共発注機関の参加を積極的に呼び掛けていく。地区ごとに国や自治体などの発注見通しが一元的に閲覧できれば、施工時期の平準化や安定的・計画的な受注に役立つと見られている。」(『建設工業新聞』2018.02.23)
●「国土交通省は、年度末の3月に納期が集中する傾向が強い、業務委託の平準化に力を注ぐ。焦点となるのが、年度の上期に発注・契約して、下期に納品させるという従来の『発注サイクル』の見直し。2018年度に特定の現場事務所(発注機関)をモデルに、繰越制度や債務負担行為の活用によって、上期と下期に納期の“山”を分散させる取り組みに乗り出す。」(『建設通信新聞』2018.02.28)

労働・福祉

●「建設工事における事故をいかにして未然に防ぐか。そのための取り組みが、蓄積した事故情報から発生の要因や傾向をあぶりだす『データ解析』だ。解析したデータから対策を導くことで、予見できない事故のリスクを未然に摘み取ることができれば、建設工事の安全性や信頼性は増す。国土交通省は、そのデータ解析の手段としてAI(人工知能)活用を視野に入れる。」(『建設通信新聞』2018.02.22)
●「労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は、加藤勝信厚生労働相が19日に諮問した2018-22年度の5年間を計画期間とする『第13次労働災害防止計画』(13次防)案について、20日付で妥当と認めると答申した。建設業は、死亡災害件数が依然として全体の3分の1を占めることから、引き続き重点業種に位置付けて労災防止対策に取り組む。建設業の目標は、『死亡者数を17年と比較して22年までに15%以上減少』(12次防は20%以上減)とした。答申を受け厚生労働省は、3月中旬に13次防を策定し、公示する。建設業の重点対策は、▽墜落・転落災害防止対策の充実強化の検討▽高所作業時(高さ約5メートル以上)の墜落防止用保護具は原則、フルハーネス型を義務化▽解体工事での安全対策の検討▽20年東京五輪・パラリンピックの大会施設における長時間労働の縮減も含めた安全衛生対策の徹底▽『建設工事従事者の安全・健康の確保に関する基本的な計画』に基づく、安全衛生経費の適切な積算と確実な支払に関する施策の検討・実施や、施工段階の安全衛生に配慮した設計の普及、中小建設企業の安全衛生管理能力向上への支援――など。」(『建設通信新聞』2018.02.22)
●「大手・準大手ゼネコンの新卒採用が安定している。大手・準大手クラス31社に今春2018年4月に入社するのは合計3478人、来春19年4月も未定の準大手2社を除き3472人とほぼ同水準になることが、日刊建設通信新聞社の調べで分かった。20年以降も現在規模を『維持する』とした社が8割の26社に達し、大手・準大手の新入社員は当面3500人規模が続く見通しだ」(『建設通信新聞』2018.02.23)
●「厚生労働省が23日発表した17年(1~12月)平均の『毎月勤労統計調査結果』(確報)によると、建設業の就業者に支払われた月間平均給与額は38万9037円(前年比0.7%増)となり、5年連続で増加した。建設業の常用雇用労働者数も4.7%増の302.3万人となり、7年連続で増えた。月額平均給与額は調査結果の速報段階と比べ619円上乗せした。建設業の月間平均給与額の内訳を見ると、固定給に当たる『所定内給与』は0.2%増の30万2211円。残業手当などの『所定外給与』が6.9%増の2万4281円、賞与や一時金などの『特別に支払われた給与』が1.4%増の6万2545円だった。」(『建設工業新聞』2018.02.26)

建設産業・経営

●「全国建設業協会(近藤晴貞会長)は、地域建設業の目指すべき方向性を示す『地域建設業将来展望』の事務局案を14日に東京都中央区の東京建設会館で開いた『将来展望策定専門委員会』(委員長・一色眞人西松建設取締役専務執行役員土木事業本部長)の第3回会合に提示した。2017年12月の第2回会合で示した骨子案を肉付けし、地域建設業ならではの企業力を最大限発揮した事業展開など、“求められ続ける地域建設業”のあり方を盛り込んだ。今後、各建協の意見照会や総合企画委員会での審議などを経て3月の理事会で承認し、5月の定時総会で公表する。将来展望では、18年に迎える設立70周年を契機に、地域建設業の目指すべき姿を提示する。」(『建設通信新聞』2018.02.16)
●「ゼネコン各社が工事採算を改善している。14日までに発表された主要26社の17年4~12月期連結決算によると、売り上げ計上した工事の採算を示す完成工事総利益(粗利益)率(単体ベース)は、公表している24社のうち、17社が前年同期を上回った。採算性の高い工事の進ちょくが、本業のもうけを示す営業利益を押し上げ、17社が増益となった。半数を超える企業が営業利益の通期目標で達成率が8割を超えている。国内建設市場は、非住宅分野を中心とした底堅い民間需要に支えられて高水準を維持している。各社とも受注時に採算が見込める工事を獲得でき、建設コストが安定して推移したこともあり、建設事業の利益率が改善したとみられる。」(『建設工業新聞』2018.02.19)
●「東京商工リサーチがまとめた東京都内の2017年の休廃業、解散件数は16年に比べ1%増えて、3054件だった。前年を上回るのは2年ぶりとなる。ただ、建設業は20年の東京五輪に向けた需要増加などを背景に10%減った。同社は『建設市場は当面活況が見込めるが、全体としては先行きの不透明感や後継者不足で休廃業が増える可能性が高まる』と分析する。建設業の休廃業・解散件数は前年比10%減の368件だった。リーマン・ショックの影響が色濃く残っていた09年に比べると約4割減った。五輪に向けた建設需要の拡大などを背景に低水準となったもようだ。」(『日本経済新聞』2018.02.23)
●「国土交通省は、頻発する豪雨災害を受け、市街地や住宅地で処理能力を超えた雨水が氾濫する内水被害への新たな支援策の検討に着手した。地方自治体や河川管理者などの共同計画に基づき、本川と支川の合流点付近での調整池整備や支川堤防のかさ上げ、水門整備などを組み合わせた集中支援を想定。全国で実施する中小河川緊急治水対策プロジェクトや内水・外水の被害を受けた個所での対策検討に内水対策支援を加えて、総合的な防災と再度災害の防止を目指す。」(『建設通信新聞』2018.02.16)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は増え続ける空き地や空き家を、地域ぐるみで活用する制度を設ける。地権者が協定を結び用途を決めると、相続などで所有権が移転しても使い続けられるのが特徴。その土地を広場や集会所として住民有志らが共同管理することを想定する。人口減少で街中に未利用地が増える『都市のスポンジ化』が進んでいる。土地を住民がシェアする形で有効活用し、地域再生に活用につなげる。」(『日本経済新聞』2018.02.21)
●「東京度は2025年度までに高齢者や低所得者らが入居しやすい住宅を3万戸登録する。アパートの空き部屋などを高齢者など向けの専用住宅として登録すれば、大家に改修費や家賃を補助する制度も18年度に創設する。独り暮らしの高齢者の増加や若年層の収入減で、自力で住宅を確保できない世帯が増えている。『住宅弱者』の安全網となる民間住宅を増やす。」(『日本経済新聞』2018.02.22)

その他