情勢の特徴 - 2018年3月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は2日の閣議で、国土交通省が今国会に提出する『海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案』(インフラ輸出促進法案)を決定した。日本企業による海外でのインララ整備や都市開発のプロジェクト受注をにらみ、最上流の案件形成から完工後の維持管理・運営支援に至る各段階で同省所管の独立行政法人などによるコンサルティングを本格的に解禁する。今国会で成立すれば新法は公布から3カ月以内に施行する。」(『建設工業新聞』2018.03.05)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、直轄港湾工事の入札に適用する総合評価方式の18年度実施方針を決めた。建設業の働き方改革や人材確保・育成、生産性向上に有効な取り払みへの評価を一段と重視する。他の土木施設工事より工程が天候に左右されやすい港湾工事でも休日を確保できるよう、全発注案件で一定の休日を確保した受注者を工事成績で加点する『休日確保評価型』と呼ぶ新類型を試行する。」(『建設工業新聞』2018.03.02)
●「国土交通省は、営繕工事を対象に『週休2日』工事の推進に乗り出す。原則として、土日祝日を“現場閉所”する取り組みを試行。受注者との協議が整った工事に限定して、その状況をモニタリングしていく方針だ。1日に対象工事となる2つの現場と受注者を公表した。今後も順次、対象工事を追加・拡大していく見込み。対象工事となるのは『H29静岡県警察学校炊食浴棟建設工事』と『新宿税務署増築棟(17)建設工事』の2件。」(『建設通信新聞』2018.03.05)
●「国土交通省は、13日に開いた有識者検討会に『建設工事公衆災害防止対策要綱』(1993年策定)の見直し案を提示した。関係者が持つべき理念と果たすべき責務を明確化するとともに、近年の災害事例や制度改正、施工技術の進展などを踏まえ必要な事項を見直す考え。要綱を建設業法に基づく技術的事項に位置付け、周知することも示した。具体的な内容を要綱に落とし込み、早期改定を目指す。公衆災害は建設工事の関係者以外の第三者を巻き込むような重大災害。国交省は建設工事の安全に対する意識の高まりなどを受け、公衆災害の防止に必要な計画、設計、施工の技術基準を示した要綱を見直す。」(『建設工業新聞』2018.03.14)

労働・福祉

●「企業の利益のうち労働者の取り分を示す『労働分配率』がなかなか上がらない。財務省が1日発表した10~12月期の法人企業統計調査によると、資本金10億円以上の大企業の分配率は43.9%だった。人手不足を背景に人件費は増えているものの、業績の改善ぶりに比べると分配のペースは緩やかなまま。賃上げの余力はなお残っている。労働分配率は、付加価値額に対する賃金などの割合で表す。付加価値額は人件費や経常利益、減価償却費、支払利息等を合計した。季節性をならすために過去4四半期の平均をとった。」(『日本経済新聞』2018.03.02)
●「厚生労働省は、高所作業で着用する現行構造規格の安全帯の着用と販売を2022年1月から全面的に禁止する。新たに高さ6.75メートル以上の場所で身体の複数箇所を支持するフルハーネス型の着用を例外なく義務付け、建設現場では5メートル以上の場所での着用を求める。これらの新ルールを定める政令と省令、告示を19年2月1日に施行・適用開始するが、一定の準備期間を設けることにした。同省は昨年6月に建設業など現場の労働災害で多い墜落・転落の防止策として、一定以上の高さの場所で着用する安全帯をフルハーネス型に限定する方針を決定した。最も普及している胴ベルト型の着用は安全機能の強化を前提に一定以下の高さの場所なら引き続き認めることにした。2日に公表した政令と省令、告示の案では、安全帯の着用・製造・販売と構造規格に関する新ルールを明示した。」(『建設工業新聞』2018.03.05)
●「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム(事務局・建設業振興基金)は、職業能力基準のレベル2・3を対象とした教育訓棟プログラムを2018年度に試行実施する方向で検討を進めている。職種に共通して講習が可能な知識や社会性、安全管理を対象に富士教育訓練センターの協力を得て、関係団体と連携しながら試行する。プログラムはOJT(職場内訓練)では取得が困難な能力取得を目的とし、将来的には建設キャリアアップシステムの評価制度との連携も視野に入れる。教育訓棟プログラムの試行実施は、6日に都内で開かれたコンソーシアムのプログラム・教材等ワーキンググループ(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)と、職業能力基準フォローアップ小ワーキンググループの合同会合で事務局が説明した。」(『建設通信新聞』2018.03.07)
●「ゼネコン各社が女性の新卒採用数を増やしている。日刊建設工業新聞社が主要33社を対象に実施した新卒採用アンケートの結果、今春(18年4月)の新卒女性採用数は、回答した32社のうち17社が前年を上回った。大半が技術系の採用を増やしている。竹中工務店は前年より31人少ないものの、技術系と事務系合わせて59人の女性を採用。4年連続最多となった。」(『建設工業新聞』2018.03.13)
●「厚生労働省は13日、18年度に官民で重点的に取り組む建設業の労働安全衛生対策をまとめた。建設業の死亡事故で最も多い『高所作業中の墜落・転落』を防止する策について、指導や周知を徹底する。昨年3月施行の建設職人基本法で工事従事者の安全と健康を確保する措置が規定されたのを受け、新たに専門工事業者や一人観方の安全衛生教育・活動を支援する施策の実施も打ち出した。…18年度の重点対策は同日付で、同省労働基準局安全衛生部の安全課長と労働衛生課長、化学物質対策課長の3者連名で、国土交通、農林水産両省や日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)など建設業団体に通知した。」(『建設工業新聞』2018.03.14)

建設産業・経営

●「竹中工務店は、2017年12月期決算で連単ともに最高益を確保した。連結は3期連続、単体は2期連続の更新となった。完成工事総利益(粗利)率は連結が前期比1.2ポイント増の13.6%、単体が1.4ポイント増の14.2%といずれも過去最高を記録。一方で18年12月期は、期首の手持ち工事の利益の落ち込みなどを踏まえ増収減益を見込んでいる。単体の売上高は5.3%増の1兆0065億円だが、利益面では営業利益が16.6%増の926億円、経常利益が21.5%増の993億円、純利益が23.7%増の656億円と大幅に伸びた。工事粗利率の改善について2月28日に会見した石﨑亮司財務室長は『17年に竣工した大型工事の利益が寄与したほか、生産性向上や追加工事の獲得などの要因もある』と説明した。…18年12月期の受注高は『オリンピック以降の長期の大型工事は各社の競争が激化している』(石﨑室長)こともあり、連結は5.9%減の1兆3100億円、単体は0.5%減の1兆0480億円を見込む。また、期首の手持ち工事の利益の落ち込み、技能労働者の不足や賃金上昇などの可能性を踏まえ『利益面は17年12月期がピークになる』(石﨑室長)とみており、単体の売上高は3.3%増の1兆0400億円、営業利益は27.7%減の670億円、経常利益は25.5%減の740億円、純利益は22.4%減の510億円、完成工事総利益率は2.8ポイント減の11.4%と予想する。」(『建設通信新聞』2018.03.01)
●「リニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合事件で、大手ゼネコン4社が、それぞれ独自に作成した技術関係資料を交換していたことが3日、関係者の話で分かった。発注者のJR東海に提出する見積もりを作るうえで互いに参考にしていたとみられる。東京地検特捜部などは昨年12月以降の捜索で押収。不正な受注調整をうかがわせる物証とみているもようだ。JR東海発注のリニア関連工事のうち、駅工事で受注調整した疑いが持たれているのは大林組、鹿島、清水建設、大成建設の大手ゼネコン4社。関係者によると、国が全国新幹線鉄道整備法に基づいてJR東海に建設を指示した2011年5月の前後から、大成建設の元常務執行役員、大川孝容疑者(67)=独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕=の呼びかけで各社間で情報交換を開始。工法などについて、各社が独自に作成した技術資料を交換していたという。」(『日本経済新聞』2018.03.03)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で、仮設住宅に入居している避難者は1月末現在、岩手、宮城、福島の3県で計2万9619人いる。6年前と比べ約10分の1まで減少したが、半数近い1万3564人がプレハブ仮設で暮らす。3県などによると、入居開始から7年となる3月以降に供与期間が終了する約8900世帯のうち、昨年12月時点(岩手は今年2月時点)で173世帯の転居先が未定となっています。(『しんぶん赤旗』2018.03.06より抜粋。)

その他