情勢の特徴 - 2018年4月後半
●「国土交通省は16日、中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会『基本問題小委員会』(委員長・大森文彦弁護士、東洋大教授)を開き、市町村など公共発注者による施工時期の平準化を強化する施策の検討に乗り出した。政府全体で進める働き方改革や生産性向上の観点から、施工時期の平準化を制度として明確化することで、遅れがみられる市町村の取り組みを後押しする。公共工事入札契約適正化法(入契法)に平準化の規定を設けることなどを視野に入れた検討を進める。」(『建設通信新聞』2018.04.17)
●「国土交通省は、営繕工事における働き方改革として、受注者に提出を求めている工事書類の削減に乗り出す。従来から提出書類の明確化や効率化の取り組みを進めてきたが、一層の削減を目的に『省略・集約』の考え方を整理した。受注者との協議によって、省略・集約できる工事書類(19種類)の一覧をリスト化することで、取り組みの徹底につなげていく。」(『建設通信新聞』2018.04.23)
●「国土交通省は、下水道の効率的な維持管理を実現するため、修繕・改築や維持管理情報のデータベース(DB)化を起点としたマネジメントサイクルを確立する。従来の紙ベースの管理情報を電子データとして蓄積し、ビッグデータによる管路条件ごとの適切な点検周期の算定などに活用する。社会資本整備総合交付金など財政面での支援も継続することで、DB化が遅れている中小の地方自治体の積極的な取り組みを促す。」(『建設通信新聞』2018.04.24)
●「国土交通省は23日、『冬期道路交通確保対策検討委員会』(委員長・石田東夫筑波大名誉教授)を開き、大雪時の道路交通の確保対策に関する中間取りまとめ(案)を提示した。除雪作業を担う地域建設業者を確保するための契約方法の改善や予定価格の適正な設定などソフト対応と、高速道路の暫定2車線や主要国道の4車線化といったハード対応を盛り込んだ。準天頂衛星を活用した除雪車の自動化など新技術の積極的な活用も必要な対策として位置付けた。」(『建設通信新聞』2018.04.24)
●「日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が18年度に始めた現場の統一土曜閉所運動で、最初の対象日となった14日、会員企業がこぞって閉所に取り組んだ。実施を前に経営トップが閉所を全社員に呼び掛けた。工程の都合で同日の閉所が難しく、別の土曜日に実施を決めた社もある。働き方改革の一環で閉所の活動を少なくない社が先だって開始していたこともあり、上々の滑り出しとなった。日建連は週休2日に向け、統一土曜閉所運動として会員企業の全事業所を対象に、18年度は4週5閉所(原則毎月第2土曜日の閉所)、19年度は4週6閉所(同毎月第2、4土曜日の閉所)を目指している。」(『建設工業新聞』2018.04.17)
●「厚生労働省は18日、建設業での墜落・転落災害防止対策の充実・強化に向けた検討を本格的に始めることを明らかにした。専門家や建設現場の安全に詳しい者など14人で構成する実務者会合を設置。5月下旬に初会合を開き、労働安全衛生規則(安衛則)の改正も視野に入れ議論する。『より安全な措置』などを含む足場からの墜落・転落防止総合対策推進要綱に基づく対策や屋根など端からの墜落・転落災害防止対策のあり方、一側足場についての基準化などが論点になるとみられる。実務者会合は計5回程度開き、2019年3月に報告書を策定する予定。厚労省は、報告書を踏まえ19年度に必要な対応を取る。」(『建設通信新聞』2018.04.19)
●「土曜日を月2回以上休めたゼネコンの現場勤務者(外勤者)が初めて70%を超えたことが、日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、久保田俊平議長)の調査で明らかになった。『統一土曜閉所運動』を行った2017年11月の状況を調査し、2日以上休めた外勤者が76.1%(16年66.2%)に達した。休日の増加に伴って所定外労働時間が減少することも改めて裏付けられた。」(『建設工業新聞』2018.04.20)
●「建設経済研究所は、元請企業を対象とした建設技能労働者の社会保険加入や休日拡大、下請企業への労務費の支払いに関する調査結果を明らかにした。民間工事では4割以上の企業が、下請けが社会保険未加入でも選定すると回答。週2日閉所による技能労働者の収入減対策については、『日給を上げる』と回答した企業が最多を占めた。また、6割の企業が公共・民間問わず公共工事設計労務単価以上の引き上げを実施しており、そのうち約3割は実際に技能労働者の賃金上昇に反映されていることを把握していることも分かった。」(『建設通信新聞』2018.04.25)
●「厚生労働省がまとめた2018年1-3月の労働災害発生状況(速報、4月9日時点)によると、建設業の休業4日以上の死傷者数は、前年同期と比べ0.4%増(10人増)の2470人だった。うち死亡者数は63人で、28.6%増(14人増)と大幅に増えた。死亡者数は全産業の合計で7.0%減となっている中、建設業だけが突出して前年同期を大きく上回っている。」(『建設通信新聞』2018.04.26)
●「建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は、会員団体を通じて17年度に実施した登録基幹技能者の処遇に関するアンケート結果をまとめた。給与支払額(中央値)は40万0500円で前回に比べて5500円増加した。約8割の企業が『(登録基幹技能者を)評価している元請企業はない』と回答。元請大手が手当を支給している一方、地場企業での評価は広がっていない実態が浮き彫りとなった。」(『建設工業新聞』2018.04.27)
●「清水建設は25日、2018年3月期の連結純利益が前の期比14%減の849億円になったと発表した。従来予想の690億円から減益幅が縮小した。人件費や資材費が懸念していたほど上昇しなかった。売上高は3%減の1兆5194億円で、2%増の1兆6000億円としていた計画から一転して減収となった。一部の工事で収益計上が繰り延べになった。リニア中央新幹線の受注を巡る独禁法違反の事業への影響を織り込んで特別損失を20億円計上した。同社経理部は『課徴金などの見込み額を引き当て計上した。リニア関連はこれ以上は出てこない』としている。」(『日本経済新聞』2018.04.26)
●「建設経済研究所と経済調査会は26日、四半期ごとにまとめる建設投資見通しの最新状況を発表した。17~18年度の投資総額(名目値)を1月の前回調査時と比べ、17年度分で4300億円増の53兆8300億円(前年度比2.6%増)、18年度分で4700億円増の53兆8600億円(0.1%増)に上方修正した。いずれも民間建設投資見通しを上方修正した分を反映させた。」(『建設工業新聞』2018.04.27)