情勢の特徴 - 2018年5月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

行政・公共事業・民営化

●「地方自治体などが策定するインフラ維持管理・更新のための中期的な行動計画である公共施設等総合管理計画に、施設数や延床面積の削減目標を記載している自治体が、全体の約半数にとどまっていることが建設経済研究所の分析結果から分かった。個別施設計画ではスポーツ施設や文化施設、学校施設といった公共建築物で策定率がいまだ10%を下回っている状況だ。長寿命化の方針は定まったものの、具体的な数値目標まで踏み込めていない実態が浮き彫りになった。建設経済研究所が公表した『建設経済レポートNo.70』によると、2017年3月末時点で総合管理計画に『施設数、延床面積などに関する削減目標』を記載しているのは、1756団体中、54.6%にあたる959団体だった。都道府県で36団体、政令指定都市で8団体が未記載であることから、自治体の規模が記載の有無の要因とはなっていない。」(『建設通信新聞』2018.05.07)
●「国土交通省は、17年度に実施した公共工事の施工体制に関する全国一斉点検の結果をまとめた。点検は17年10~12月、直轄工事816件を対象に実施。明らかな建設業法違反で許可部局への通知が必要な工事は0件。改善すべき事項のあった工事は全体の約9.6%(16年度約11.7%)で、書類の不備などが見つかり、受注者に改善を求めた。改善事項のある工事は2004年度から年々減少しており、公共工事の施工体制の改善が進んでいることが分かった。一斉点検は02年度から毎年度行われている。17年度の点検対象は、稼働中工事の約11%で、816件のうち低価格入札工事19件、重点的に監督指導を実施する工事35件が含まれている。建設業法で義務付けられた『施工体制台帳の備え付け』や『建設業許可票の掲示』については、ほぼすべての工事で適正履行を確認。建設業許可票の掲示で改善事項のあった工事は全体の約0.2%と、点検を始めた02年度の約76%と比べて大幅に減少した。元請業者による下請業者への関与では、下請業者の完成検査の実施状況を確認できない(8件)、下請業者の安全管理の指導が確認できない(8件)、安全巡視の実施が確認できない(6件)、作業手順書の有無が確認できない(6件)、足場などの点検結果または措置を講じた場合の記録が保存されていない(5件)などが見られた。下請の主任技術者に対し、元請の地位を利用した不当な要求があるかどうかもヒアリングした。それによると、使用資材の購入強制で工事に使用する資材または機械器具を指定され利益を害された(6件)、注文者の取引上の地位を不当に利用された(3件)、請負代金額が通常必要と認められる原価に満たない(2件)などがあった。」(『建設工業新聞』2018.05.08)

労働・福祉

●「国土交通省は、4月26日に立ち上げた『専門工事企業の施工能力の見える化等に関する検討会』で、技能者の能力評価に関するルールづくりを担う『建設技能者の能力評価基準づくりワーキンググループ』の設置を決めた。先行して検討を進める4職種(鉄筋・とび・型枠・機械土工)を中心に評価基準の具体化に乗り出す方針だ。構成員として参画するのは、日本型枠工事業協会、日本建設躯体工事業団体連合会、日本機械土工協会、全国鉄筋工事業協会、建設業振興基金など。参加を希望する他の専門工事業団休もオブザーバーとして組み込んでいく見通し。3月に公表した『建設技能者の能力評価のあり方に関する検討会』(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)の中間とりまとめに示す、基本的な方向性をベースにして、それぞれ技能者の経験年数・保有資格のポイント設定やレベルアップの基準づくりなどを進める。」(『建設通信新聞』2018.05.01)
●東京電力は1日、福島第1原発の敷地内で、外国籍の技能実習生6人が働いていたことを明らかにした。東電は昨年2月、関係省庁と協議の上、技能実習生を福島第1原発で働かせない方針を示していた。東電によると、技能実習生を雇用していたのは、木やがれきなどを焼却する施設の建設作業の下請け会社。6人は昨年10~12月から今年4月下旬まで作業に従事していた。施設の建設場所は、被ばく量や在留資格などを確認しない放射線管理区域外で、作業に当たっての放射線教育も不要だったという。東電は6人の被ばく量を把握していない。今後、福島第1原発の敷地内で働いていた技能実習生が他にいないか、元請け各社に確認するとしている。(『しんぶん赤旗』2018.05.02より抜粋。)
●「建設業への就業者が増えている。総務告が4月27日まとめた労働力調李(基本集計)結果によると、建設業就業者数は17年度(17年4月~18年3月)時点の平均で500万人に上り、前年度時点の平均より3万人増(増減率=0.6%増)となった。人口減少で産業間の人材獲得競争が厳しさを増す中、国土交通省や建設関連団体・会社が注力している人材確保策が一定の成果を上げたもようだ。労働力調査の結果を見ると、17年度平均で全体の労働力人口は69万人増(1.0%増)の6750万人となり、うち就業者数は87万人増(1.3%増)の6566万人に上る。」(『建設工業新聞』2018.05.07)

建設産業・経営

●東京電力福島第1原発事故にともなう国直轄の除染工事。福島県飯舘村では大手ゼネコン・大成建設が独占受注し、工事費が大幅に膨れ上った。その裏で、ずさんな除染が横行。元請けの同社が実態を把握しながら、隠ペいした疑いが関係者の証言などで分かった。安倍政権は3月末で帰還困難区域を除くすべての除染が終了したと宣言したが、その信頼性が揺らぐ事態だ。飯館村での契約額10億円以上の国直轄除染工事は6件。そのすべてを大成建設や同社が幹事社のJV(共同企業体)が独占している。契約変更を繰り返した結果、工事費の総額は当初契約額の1.6倍、約2400億円に膨れ上がった。ずさんな工事が行われていたのは、環境省が発注した「平成26(2014)年度飯舘村除染等工事(その2)」の同村比曽地区。15年10月、除染廃棄物を入れたフレコンパッグ(フレコン)のうち約1000袋の内袋が閉まっていなかったことが発覚し、詰め直し作業が行われた。(『しんぶん赤旗(日曜版)』2018.04.29・05.06より抜粋。)
●「建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は、17年度の社会保険等加入状況に関する調査報告書をまとめた。保険加入の原資となる法定福利費の内訳を明示する標準見積書を提出した割合は83.0%と、前年度に比べ8.3ポイント上昇した。比例して元請から法定福利費が全額支払われたとする回答も73.8%と5.8ポイント上昇。専門工事会社が適正な経費を認識して元請に求めていく取り組みの効果が出ている。」(『建設工業新聞』2018.05.02)
●「三井不動産など不動産大手3社は、本業のもうけを示す連結営業利益が2019年3月期に過去最高を更新しそうだ。雇用の増加や働き方改革を背景に企業のオフィス需要は旺盛で、保有物件の賃料が上昇している。都心で大型の再開発ビルも相次ぎオープンするが、いずれもほぼ満床で開業を迎える。3社そろっての最高益更新は3期連続となる。」(『日本経済新聞』2018.05.06)
●「国土交通省は、ゼネコンと設備の大手建設企業53社を対象にした人員や設備投資、国際化などに関する『建設業活動実態調査』を公表した。常時従業者数は前年比1.4%増の16万8689人で4年連続の増加。技術職を中心に人員を増やしており、その中でも女性職員の伸びが大きい。前年比8.1%増の5154人となり、1994年の調査開始以来、初めて5000人を超えた。常時従業者数を部門別にみると、支店・支社・営業所が4862人増の6万0677人と最も増加した。次いで工事現場・作業所が1670人増の4万8461人で、好調な国内現場に人員を配分した格好だ。一方で、海外支店・駐在員事務所・現場は現地の常用雇用者を含み6.1%減の5840人だった。」(『建設通信新聞』2018.05.07)
●「ミサワホームと大末建設は8日、資本業務提携契約を締結した。国内の人口・世帯数減少に伴う住宅市場の縮小や、社会的ニーズの新築重視からストック重視への変化などに対応するため、両社の知見やネットワークを補完し合い、リフォーム・リニューアル事業や非住宅分野などで協業する。資本面ではミサワホームが25日付で、大末建設の株式(議決権割合14.5%)を取得し筆頭株主となる予定だ。業務提携のうち、営業分野では、営業・用地情報の共有と相互活用や共同での営業企画・プロモーションによる入札案件への取り組み、リファイニング・リニューアル分野での共同事業などを実施する。…大末建設は今回の提携に併せて、大東建託との資本業務提携を解消した。ミサワホームは、大東建託などが保有する大末建設株式を取得。また、ミサワホームは大末建設に非常勤取締役2人を派遣する。」(『建設通信新聞』2018.05.09)
●「清水建設は現場の週休2日を実現する取り組みを強化する。4月から協力会社に対する支払い条件を変更。5月からは4週7閉所か4週8閉所を実施する現場の1次協力会社を対象に、出来高の労務費相当分に対し加算措置を実施する。稼働日の減少に伴う技能労働者の収入減を補う。支払い条件の変更と賃金補填(ほてん)によって協力会社と技能労働者への支援を手厚くし、働き方改革の実現を目指す。」(『建設工業新聞』2018.05.09)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省が発表した2017年度の首都圏のマンション着工戸数は前年度比12%減の5万7591戸だった。6万戸を割るのは7年ぶり。20年東京五輪・パラリンピック前の完成を目指す大型物件の着工が一巡した。都心部の地価上昇も響き、『マンション用地が手に入りにくくなっている』(同省)という。」(『日本経済新聞』2018.05.03)
●「政府は8日、大規模災害時の避難所運営や仮設住宅整備などの権限に関し、都道府県から政令指定都市に移すことを可能にする災害救助法改正案を閣議決定した。被災者支援を巡る政令市の権限を強めて対応を迅速化し、都道府県が他の市町村への支援に注力できるようにする。2019年4月1日の施行を目指す。全国知事会が反対していることを踏まえ、権限移譲は都道府県知事の事前同意を前提とし、一定規模の財政力がある政令市に対象を限定。具体的な基準は法成立後に策定し、知事会の意向も反映させる方向だ。権限を移譲した場合、政令市が仮設住宅の資材などを先取りしないよう、都道府県が周辺自治体との配分調整を担う。被災時対応の財源として都道府県が積み立てている災害救助基金について、権限移譲を受ける予定の政令市にも必要額の積み立てを義務化。その際、都道府県の基金から政令市の人口割合に応じた分の取り崩しを認める。」(『日本経済新聞』2018.05.08)
●「東京都中央区の人口増に拍車がかかっている。2017年1月、55年ぶりに15万人を超えた人口は1年4カ月で1万人増加。14日に16万人を突破した。区内では20年東京五輪後にマンションに転用される選手村が建設されるなど人口はさらに増える見込み。区は今夏にも住宅政策を転換して人口増を抑える方針だが、保育所などのインフラ整備が追いつかない状況は当面続きそうだ。…人口増の主因は東京への一極集中と、それを背景にした活発なマンション建設だ。不動産調査会社の東京カンテイによると、中央区ではここ数年、総戸数100戸未満の中小規模のマンションで1000戸前後の供給が続いている。さらに総戸数が数百戸規模のタワーマンションが建つと一気に跳ね上がる。15年と16年は供給戸数が計3000戸を超えた。区内では臨海部などでマンション建設が続く。晴海で建設中の東京五輪の選手村は、選手らの宿泊施設が大会後に約5600戸のマンション群に転用される計画。22~23年ごろから入居が始まる見通しで、1万人超が新たな住民となる。」(『日本経済新聞』2018.05.15)

その他