情勢の特徴 - 2018年5月後半
●「国土交通省は29日、石井啓一国交相が本部長を務める生産性革命本部の第7回会合を省内で開き、生産性革命プロジェクトに11件を追加することを決めた。既存プロジェクトの進捗に伴い内容を拡充することも確認。新規、既存合わせ31のプロジェクトについて、石井国交相は『引き続き施策の広報、周知、さらなる深堀に努めてもらいたい。合わせて来年度の概算要求に向け必要な検討を進めてほしい』と指示した。追加プロジェクトの内訳は『社会のベース』の生産性を高めるプロジェクトが3件、『産業別』の生産性を高めるプロジェクトが3件、『未来型』投資・新技術で生産性を高めるプロジェクトが5件。このうち『地方創生回廊中央駅構想』プロジェクトは、新大阪駅の容量制約を解消し生産性を高める。新幹線ネットワークのハブと位置付け、地方と地方をつなぐ中心的役割を果たし、地方創生回廊の実現に寄与するとしている。」(『建設工業新聞』2018.05.31)
●「降雪期の道路交通確保策を検討してきた国土交通省の有識者会議(委員長・石田東生筑波大名誉教授)は16日、地域建設業者の確保を柱とする政策提言をまとめた。全国的に地域建設業者で除雪機械を扱える熟練のオペレーターの減少や高齢化が進む中、地域の守り手として地域建設業者を維持・育成していくにはまず経営の安定化が不可欠と判断。除雪作業での適正な利潤確保に向け、契約方法の改善と適正な予定価格の設定を求めた。」(『建設工業新聞』2018.05.17)
●「国土交通省は地方自治体の公共事業を対象にしたPPP・PFIの導入支援策で、調査委託費の補助などを行う18年度初弾採択案件を決めた。3~4月に募集してきた『先導的官民連携支援事業』で17件、『地域プラットフォーム形成支援』で3件、『官民連携モデル形成支援』で3件を採択した。先導的官民連携支援事業では、公共施設の整備や運営などPPP・PFIで行う自治体に対し、導入するPPP・PFIの事業手法・類型や事業規模の調査を外部専門家に委託する経費について、1件当たり2000万円を上限に全額補助する。」(『建設工業新聞』2018.05.21)
●「国土交通省は22日、各地方整備局などに設置している『建設業法令順守推進本部』の18年度活動方針を発表した。外国人建設就労者受け入れ事業の状況や法定福利費を内訳明示した『標準見積書』の活用状況などを立ち入り検査する。法令順守ガイドラインの周知徹底に努め、安全衛生経費の確保や下請取引条件の改善に取り組む。活動方針を基に各地方整備局が地域実情も踏まえ活動を展開する。」(『建設工業新聞』2018.05.23)
●「総務省は22日、地方自治体の17年度公共事業執行状況について、最終調査結果をまとめた。3月末時点で16年度から繰り越された公共事業の予算と17年度予算を合算した21兆9607億円に対し、契約率は82.9%と前年度より0.3ポイント上昇。支出済み額の割合も56.5%と0.2ポイント上がった。自治体の公共事業執行状況調査結果は四半期ごとにまとめている。調査対象となる自治体の公共事業予算は、年度当初や補正といった編成時期、地方単独事業や国庫補助事業など財源に関係なくすべてを対象にしている。」(『建設工業新聞』2018.05.23)
●「国土交通省は建設業の担い手確保に関する制度的な方策を検討する。技能者の法令上の位置付けを明確化し育成や配置を推進する方策として、一定の技能者の配置を発注者や元請企業などがリクエストできる制度を創設。知識や技能の向上に努めることを義務化する考えも打ち出した。建設業許可要件の一つである経営業務管理責任者要件が若手後継者への引き継ぎの足かせと指摘も踏まえ、廃止を含め見直しその検討に入る。」(『建設工業新聞』2018.05.29)
●「国土交通省は、長時間労働の是正や休日の確保(週休2日の推進)といった、建設業の『働き方改革』を支える取り組みとして、受発注者の双方への規制に乗り出す。取り組みの前提となる“工期に関する基準”を作成。焦点となっている『適正な工期とは何か』を明らかにすることで、違法な長時間労働につながりかねない不当に短い工期での請負契約の締結を防ぐ。」(『建設通信新聞』2018.05.29)
●「神奈川県県土整局の発注工事に従事した労働者22職種別の平均賃金を見ると、18職種で設計労務単価の約80%以上が支払われている一方、とび工と塗装工、トンネル特殊工、型わく工の4職種はこの一定の水準を下回った。県がまとめた2017年度の賃金実態調査(工事・一般業務委託)で明らかになった。橋りょう特殊工が最も高い平均賃金となり、唯一、当該職種の設計労務単価を上回った。設計労務単価に占める平均賃金が約80%の水準を下回ったのは4職種。金額は時給換算で、とび工(労働者数33人)は設計労務単価が3250円、平均賃金が1953円で割合約60%、塗装工(同34人)は3350円、2007円で約60%、トンネル特殊工(同5人)は3525円、1895円で約54%、型わく工(同6人)は3075円、1741円で約57%だった。」(『建設通信新聞』2018.05.18)
●「労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は23日、加藤勝信厚労相が同日付で諮問した建設現場での鉄骨骨組みや送配電の電気工事など、高所作業を行う労働者の墜落による労働災害を防ぐ措置を定める労働安全衛生法施行令改正案要綱と労働安全衛生規則等改正省令案要綱を妥当と認めると答申した。高さ2メートル以上の場所で作業床設置が困難なところでの作業に携わる労働者が使う『墜落制止用器具』を原則フルハーネス型に義務化する。胴ベルト型では『U字つり』タイプを禁止する。」(『建設通信新聞』2018.05.24)
●「日本トンネル専門工事業協会(野﨑正和会長)が会員企業を対象に実施した働き方改革に関するアンケートによると、完全週休2日制の導入について、『賛成』や『条件付き賛成』と回答した社員の割合は7割を超えたが、技能員は収入の減少などが要因となり4割程度にとどまったことが明らかとなった。導入の条件としては『収入の補償』や「工事の継続性」を望む声が多く上がった。調査結果を踏まえた提言には変形4週8休制などを盛り込んだ。」(『建設通信新聞』2018.05.25)
●「厚生労働省は30日、労働災害統計の死亡災害発生状況には含まれない建設業における『一人親方』の死亡者数が2017年(1-12月)は前年比5人増の51人だったことを明らかにした。労働者扱いとはならない中小事業主や役員、家族従事者も含めた『一人親方など』の17年死亡者数は28人増の103人だった。中小事業主の死亡者数が前年の23人から47人と倍増した。17年の『一人親方』の死亡者数51人を事故別にみると『墜落・転落』が全体の3分の2を占める34人と突出して多かった。ほかは『その他』が5人、『はさまれ・巻き込まれ』が4人、『転倒』が2人など。」(『建設通信新聞』2018.05.31)
●「主要ゼネコン26社の18年3月期連結決算が15日に出そろった。売上高は21社が増収。工事の採算を示す完成工事総利益(粗利益)率は、公表ベースで19社が前期より改善し、本業のもうけを示す営業損益で18社が前期を上回った。業績の先行指標となる単体受注高は15社が前期を下回った。ただ手持ちの工事を増やした企業は多く、19年3月期は22社が増収を見込む。」(『建設工業新聞』2018.05.16)
●「23日に都内で開かれた通常総会・臨時役員会で選任された、日本建設躯体工事業団体連合会の大木勇雄新会長(大木組会長)は総会後の会見で『建設業にはフォローの風が吹いており、環境を変えるには良いタイミングだと思っている。人材の育成・確保・定着や技能労働者の処遇改善に力を入れていきたい』と抱負を語った。2018年度の重点取り組みとして、現場作業員の待遇改善、公共工事設計労務単価の上昇分の適切な反映、建設キャリアアップシステムへの対応などを挙げた。」(『建設通信新聞』2018.05.24)
●「道路舗装向けの改質アスファルトの販売を巡り、価格カルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は29日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、道路舗装会社など8社に立ち入り検査した。公取委は改質アスファルトのカルテルが全国に広がっている可能性もあるとみている。検査を受けたのは東亜道路工業、大林道路、ニチレキ、日進化成、昭和瀝青工業など。関係者によると、8社は各地で製造、販売する道路舗装向けの改質アスファルトの価格について協議し、調整していた疑いがもたれている。改質アスファルトのシェアはこの8社が大半を占めているという。公取委は今後、資料を分析するなどして実態解明を進めるとみられる。」(『日本経済新聞』2018.05.29)
●「レオパレス21は29日、計206棟のアパートで施工不良を確認したと発表した。『界壁』と呼ばれる防火性などを高める部材が天井裏に未設置だったり、十分な範囲に設けられていなかったりした。建築基準法違反の疑いがある。来年6月までに全3万7853棟を調査し、不備のある物件を改修する。」(『日本経済新聞』2018.05.30)