情勢の特徴 - 2018年7月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

行政・公共事業・民営化

●「建設業法の改正に向けた動きが一段と加速することになりそうだ。『建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン』の改訂を決めた、2日の第4回『建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議』で、野上浩太郎内閣官房副長官は、関係省庁が連携して準備を進めることなどを指示。中核を担う国土交通省に制度改正への取り組みの推進を求めた。」(『建設通信新聞』2018.07.03)
●「自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(会長・根本匠衆院議員)の総会が3日、東京・永田町の党本部で開かれ、来年6月で施行から5年を迎える『改正公共工事品質確保促進法』(公共工事品確法)の見直しが提案された。国土交通省の有識者委員会が6月に建設業法、公共工事入札契約適正化法(入契法)の改正を視野に審議した中間取りまとめを策定。これにより、来年の通常国会で『担い手3法』改正に向けた議論が本格化することになる。」(『建設工業新聞』2018.07.04)
●「国土交通省は、下水道のコンセッション(運営権付与)事業の実施に関するガイドラインの改正に向けた検討に着手した。6日に『下水道事業における公共施設等運営事業等の実施に関するガイドライン(案)』改正検討委員会の初会合を開催。リスク分担や地方自治体による出資などの事業スキームと、モニタリング手法など事業の実施・終了に関するそれぞれの論点を提示。年内に改定内容をまとめ、年度末にガイドラインを改正する。」(『建設通信新聞』2018.07.10)

労働・福祉

●「時間外労働時間の罰則付き上限規制導入などを柱とした働き方改革関連法が、6月29日の参院本会議で可決、成立した。上限規制は2019年4月から施行され、24年4月からは建設業にも適用される。建設業界では、すでに上限規制適用を見据えた自主的な取り組みが進んでいるが、改革の実現には適切な工期設定や週休2日に伴うコスト増への対応など、受注者側の努力だけでは困難な部分も多い。関連法の成立を節目に、しがらみや慣習から脱却し、受発注者一丸となった改革の前進に期待がかかる。建設業の働き方改革をけん引する日本建設業連合会は、改革の中核に位置付ける週休2日の実現に向け、17年12月に『週休二日実現行動計画』を策定し、建設現場の週休2日(原則、土日閉所)の定着に向けた取り組みを推進。4月からは『統一土曜閉所運動』を開始し、初年度に4週5閉所以上、行動計画で掲げる中間目標の19年度末には4週6閉所以上の達成を目指している。」(『建設通信新聞』2018.07.02)
●「日本建設業連合会(山内隆司会長)のけんせつ小町委員会は、会員企業を対象に実施した2017年度の女性活躍推進に関するアンケート結果をまとめた。女性の現場監督数については、1社当たりの平均人数が調査を初めて実施した15年度の6.4人から12.0人にほぼ倍増したほか、『ゼロ』との回答割合が44%から22%に半減するなど着実な前進を見せている。また、現場内の仮設トイレについて女性専用の設置をルール化(一部含む)している割合も22%から46%に上昇し、現場での環境整備も進んでいる。」(『建設通信新聞』2018.07.02)
●「厚生労働省は9日、建築物解体・改修工事などでの石綿ばく露防止対策の充実・強化に向けた議論に着手した。同日、有識者検討会の初会合を開き、石綿障害予防規則(石綿則)のいわゆる『みなし規定』を吹き付け材にも適用することを決めた。石綿作業に関する労働安全衛生規則(安衛則)の『計画届』と石綿則の『作業届』の2つの届出は、作業届を計画届に整理統合することも決まった。これにより、石綿則と安衛則を改正することになった。」(『建設通信新聞』2018.07.10)
●「政府が決定した、最長5年を上限とする新たな在留資格の創設による『新たな外国人材受入れ拡大』に向け、人手不足に悩む業種・所管官庁が一気に動き出した。経済産業省は12日、『製造業における外国人材受入れに向けた説明会』を開き、新在留資格対象が一部報道の建設含む5業種に決定しているわけではないことを改めて強調、業所管官庁と業種別業界・団体が連携していく必要を訴えた。これまでも製造業を中心とした経済界から、外国人材受入れ拡大を主張する声は強く、法改正による新在留資格創設が決定したことで、行政・業界が一気に動き出した格好だ。」(『建設通信新聞』2018.07.13)

建設産業・経営

●「国土交通省は6月29日、2018年度の建設投資見通しを公表した。総額(名目値)は、前年度の見込み額(56兆0200億円)との比較で2.1%増の57兆1700億円。近年、増加を続けている政府投資と、堅調に推移する民間投資を背景に、3年連続での増加となる。安定的かつ持続的に増加する1つの流れを堅持していく見通しだ。3年連続での増加を見通す政府投資は前年度比0.1%増の23兆0600億円、民間投資は3.4%増の34兆1100億円。民間投資の内訳は住宅建築投資が2.2%増の16兆3400億円、非住宅建築投資と土木投資を足し合わせた民間非住宅建設投資が4.6%増の17兆7700億円と推計している。」(『建設通信新聞』2018.07.02)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は6月29日、建築物リフォーム・リニューアル調査の平成29年度分をまとめ、公表した。受注高の合計は12兆4873億円で、対前年度比2.5%減少。このうち、住宅に係る工事の受注高は3兆8295億円で同7.8%減少し、非住宅建築物の受注高は8兆6578億円で同0.1%の増加となった。」(『日本住宅新聞』2018.07.05)
●「国土交通省は広い範囲で大きな被害が発生した2018年7月豪雨の災害復旧事業の円滑な実施に全力を挙げる。資機材調達や労働力確保などの全面的な協力を建設関連138団体に要請。10日には牧野たかお副大臣が日本建設業連合会(日建連)など4団体トップに直訴した。災害復旧作業に当たる建設業者への支援策の一環で、公共工事前払金保証事業会社3社(北海道、東日本、西日本)に、前払金保証の事務処理の迅速化・円滑化も要請した。国交省は総合政策局長と土地・建設産業局長の連名で『18年7月豪雨に係る災害応急対策への協力について』と題した文書を、建設業や建設関連業、資機材関係、建設機械関係の計138団体に9日付で送付。建設機械や資機材の調達、労働力の確保など、建設業界などの全面的な協力が不可欠とし、協力を求めた。記録的な豪雨災害の深刻さを踏まえ10日には、牧野副大臣が日建連の山内隆司会長、全国建設業協会(全建)の近藤晴貞会長、全国中小建設業協会(全中建)の豊田剛会長、日本建設業経営協会(日建経)の原眞一会長に災害応急対策への協力を直接要請。地方自治体や国との緊密な連携などを通じて、『可能な限り被災地の応急対策に取り組んでいただきたい』(牧野副大臣)とした。4団体トップは『しっかり取り組んでいく』と応え、建設業界が一丸となって災害復旧に当たる姿勢を示した。」(『建設工業新聞』2018.07.11)
●「国土交通省は2018年7月豪雨の災害復旧事業の早期執行と円滑実施に省を挙げて取り組む。緊急性の高い直轄工事には随意契約、指名競争入札を適用し、最適な契約相手を選定。積極的に見積もりを活用して施工地域の実態に即した適正な予定価格を設定し不調・不落を防ぐ。契約済みの工事・業務を一時中止しても災害復旧対策を優先する。被災自治体からの相談に技術的助言で応え、早期復旧を支援する。」(『建設工業新聞』2018.07.13)
●西日本豪雨で小田川とその支流が決壊し、50人の死者が出た岡山県倉敷市真備町地区―。洪水時に想定される浸水域を示す、市の「洪水ハザードマップ」は、今回の浸水域とほぼ重なった。マップを住民の避難にどう結びつけるのかという課題を残した。市が2017年に改定したマップでは、小田川流域で「2日間で225ミリ」「多くが2階の軒下以上まで浸水」と想定している。今回、5日午前0時から48時間で小田川流域に平均で246ミリの雨が降り、堤防が決壊して多くが住宅2階まで浸水。ほぼマップ通りの災害となった。市は、6日午前11時30分に「避難準備・高齢者等避難開始」、午後10時に「避難勧告」、午後11時45分と7日午前1時半に「避難指示(緊急)」を出した。国交省が小田川支流の堤防決壊を確認したのは、その4分後の午前1時34分ころ。深夜の避難指示となり、住民の判断はわかれた。避難指示は防災無線とエリアメールで行うのが基本。防災無線は豪雨で聞こえないなど伝達の難しさもある。2階の軒下まで浸水し、つくりが高い隣の家に逃げた男性(73)は「6日夕方に川を見て大丈夫と思っていた。マップがあるのは知っていたが、見ていなかった」という。(『しんぶん赤旗』2018.07.15より抜粋。)

その他