情勢の特徴 - 2018年9月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省と環境省は、建設副産物に関する登録作業を効率化するため、両省のシステム連携に乗り出す。排出事業者が環境省の電子マニフェストに入力するデータのうち、COBRISなどの建設副産物情報交換システムで必要となる項目を自動的に取り込めるようにする。これまで二度手間になっていた一部の登録作業や集計作業を削減することで事務作業の大幅な負担軽減に役立てる狙いだ。」(『建設通信新聞』2018.09.20)
●「政府は全国で相次ぐ大規模災害を踏まえ、国民生活や社会経済活動に不可欠な重要インフラを緊急点検する。2018年7月豪雨や台風21号、北海道胆振東部地震で空港や河川、発電所などに甚大な被害が発生したのを受け、災害時の機能確保や継続性を調べる。11月末ごろに点検結果をまとめ、新たに短期、中長期の両方で集中的に取り組む重要インフラの強靭化対策を打ち出す。」(『建設工業新聞』2018.09.25)
●「国土交通省は、社会保険の加入や賃金の支払い状況に関する実態調査を実施する。2018年度調査では企業の概要などの基本的な入力項目を簡略化するとともに、請負代金内訳書の活用状況に関する設問などを新たに追加した。アンケート回答者に対しては、社会保険加入に積極的に取り組んでいることを対外的にPRするために名刺やパンフレットに活用できるデータフォーマットを提供する。」(『建設通信新聞』2018.09.26)

労働・福祉

●「日本建設業連合会(山内隆司会長)は18日、建設工事の元請けとなる会員企業が1次下請けから提出される法定福利費を内訳明示した見積書を尊重する『労務費見積り尊重宣言』を打ち出した。同日、石井啓一国土交通相も出席して開かれた『建設業働き方改革加速化プログラムフォローアップ意見交換会』の場で明らかにした。協力企業が取り組んでいる職長・職人らの処遇改善へ、元請けとして必要な労務賃金は確実に支払うことを『宣言』という形で改めて強調した。」(『建設通信新聞』2018.09.19)
●「働き方改革を巡って国土交通省が18日に開いた建設業団体との意見交換会で、全国中小建設業協会(全中建、豊田剛会長)などが対応方針などを説明した。全中建は、週休2日の導入に向けた5年ベースの計画策定や、毎週水曜日に残業を行わない措置の導入などを会員企業に求めたことを明らかにした。日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は『労務費見積り尊重宣言』の実行に意欲を見せた。全中建の豊田会長は、『働き方改革に向けた具体的な取り組みについて』と題した対応を7日の理事会で決定したことを説明。『できることから始めよう』をスローガンに、段階的に完全週休2日(4週8休)を目指す考えを明らかにした。女性が働きやすい職場環境の整備、有給取得、適正な工期設定などを課題に挙げ、『自治体、民間の担当者への指導をお願いしたい』と要請。時間外労働の罰則付き上限規制について、『励みになる制度をお願いしたい』と、対応を促すためのインセンティブも求めた。」(『建設工業新聞』2018.09.20)
●「国土交通省は15年4月に開始した外国人建設就労者受け入れ事業で、18年度末までに累計6300人程度が入国するとの見通しを明らかにした。8月末時点での受け入れ人数は3800人を超えた。国別ではベトナムが約1560人と4割以上を占め、中国約1000人、フィリピン約560人と続く。職種別は鉄筋工、とびが各約710人となった。8月末時点の帰国者を除いた外国人建設就労者数は3829人で、17年度末から約1000人増えた。国別ではベトナムが最多の1566人。次いで▽中国1040人▽フィリピン568人▽インドネシア492人▽ミャンマー48人▽モンゴル41人▽タイ38人▽ネパール13人▽スリランカ10人▽カンボジア9人▽ラオス4人―の順となった。職種別では、鉄筋施工が最も多い717人で、とび715人、型枠施工471人、溶接387人、建築大工377人、建設機械施工235人、左官202人、塗装127人、鉄工120人、内装仕上げ施工96人と続く。同事業は、東京五輪・パラリンピックが開かれる20年度までの建設需要の一時的な急増に対応する時限措置。日本の建設現場で3年間の技能実習を終えた外国人に2~3年の特別な在留資格を与え、日本の建設現場に即戦力として受け入れる。」(『建設工業新聞』2018.09.20)
●建設現場でアスベストによる健康被害を受けたとして大阪府などの元建設作業員と遺族ら33人が国と建材メーカーを訴えた関西建設アスベスト大阪訴訟の控訴審判決(20日)。大阪高裁(江口とし子裁判長)は国とメーカーの責任を認め、計3億3900万円の賠償を命じた。「これまでより国の責任を重く認定した。全国の判決の積み重ねを踏まえて、解決に向けて前進させる大きな意義のある判決だ」。閉廷後の会見で村松昭夫弁護団長は語った。判決では、国が1991年までに石綿を含む建材の製造を禁止しなかったことを「違法」と判断。「石綿含有建材の普及は国の住宅政策に起因する面がある」と国の政策責任についても指摘した。これまでの判決では損害の3分の1とされていた国の責任範囲も、2分の1に引き上げた。建材メーカーについては、「75年には石綿を含む建材の危険性を予見可能だった」とし、警告表示の義務を怠ったとして8社に賠償を命じた。過去には「労働者ではない」として救済を拒まれてきた「一人親方」ら個人事業主も補償対象とした。3月の東京高裁判決、8月の京都訴訟大阪高裁判決に続くもの。被害者を幅広く救済する司法判断が続いている。裁判所は判決前に和解を勧告した。しかし国とメーカーは和解を拒み、争う姿勢を変えなかった。村松団長はこの姿勢を厳しく批判した。「これだけ負け続けているのに、国が解決に背を向けていることは異常だ。今回の判決は、解決を拒む国・メーカーに対する司法からの回答だ」。弁護団声明では、すべての被害者を救済するための基金創設を国とメーカーなどに求めた。(『しんぶん赤旗』2018.09.30より抜粋。)

建設産業・経営

●「国土交通省は現場打ちコンクリートの品質向上に向けた取り組みを試行する。コンクリートの初期欠陥の抑制と表層品質の向上が目的。施工状況を把握するチェックシートと、表層を目視で評価するシートを用いて発注者が確認を行う。対象工種は橋梁下部とトンネル。18年度に先行実施している東北地方整備局を除く各地方整備局で計27現場の試行を予定している。」(『建設工業新聞』2018.09.18)
●「20日の総裁選で安倍晋三首相が連続3選を果たした自民党に、建設業界から政策面の要望が相次いでいる。同日、東京都内で記者会見した日本建設業連合会(日建連)の山内隆司会長は自然災害が頻発、激甚化していることを踏まえ、国土強靭化をはじめ、国民の安全安心を守るために必要な投資の実行を求めた。地域建設業からは大型補正予算の編成や公共事業関係費の増額を求める意見が出ている。」(『建設工業新聞』2018.09.21)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●6日の北海道地震では、道内全域の295万戸が停電する空前の事態が起き、地震に伴う被害を一気に拡大した。…地震発生により震源地に近い北海道電力・苫東厚真火力発電所の全3基(計165万キロワット)中2基が緊急停止した。全道300万キロワットの電力需要の半分近くが供給不能になり、電力の需給バランスが崩壊。それに伴う周波数(発電機の回転数)低下による損傷を避けるため、他の発電所もすべて停止した。大手電力管内の全域停電(ブラックアウト)という初の事態になった。北海道での大規模発電所停止は想定されていた。各地の電力需給を調整する電力広域的運営推進機関は「北海道電力の最大ユニット(発電所)が脱落した場合、エリアの周波数が大きく低下」する危険性を想定(2015年4月の資料)。東北電力から北海道への給電で「瞬間的な電力脱落に対応」するとしていた。東日本大震災(11年)でも東北・東京電力エリアで数百万キロワット超の電力を一気に失い、周波数が急激に低下。しかし北海道からの供給などで周波数は5分で回復し「全系停電(ブラックアウト)は回避」された(電力系統利用協議会の11年8月の資料)。北海道・東北間には北本連系線があり、60万キロワットが供給できる。ところが今回これは十分機能しなかった。大規模な発電所に電源を集中させる危険が改めて明らかになった今回の事態。当初「1週間以上」とされた苫東厚真の復旧は大幅に遅れ、全面復旧は11月以降の見通し。(『しんぶん赤旗(日曜版)』2018.09.16より抜粋。)
●「国土交通省は住宅・建築物の省エネルギー対策の在り方に関する検討に入った。21日に社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)建築分科会と建築環境部会の合同会議を開催。▽新築住宅・建築物の省エネ基準適合の確保▽高い省エネ性能を有する新築住宅・建築物の供給促進▽既存ストックの省エネ性能向上―の三つの論点を提示した。答申につながる報告書を本年度内に取りまとめる。」(『建設工業新聞』2018.09.25)
●「Houzz Japan(株)は、このほど住宅リフォーム・リノベーション市場調査の結果を発表した。それによると、2017年に住宅をリフォーム・リノベーションした人の89%がリフォーム・リノベーションを専門家に依頼しており、業種としては工務店が25%で1位、以下、施工会社が19%、設計施工・リノベーション会社が15%、建築士・建築家が13%という順だった。この調査は、今年の3月5日から4月24日にかけて、Houzzに登録している18歳以上の国内ユーザーを対象に実施。日本では3862人の回答があり、その内2524人のユーザーからの有効回答を得た他、2017年中にリフォーム・リノベーションを実施したユーザー347人の有効回答を集計した。」(『日本住宅新聞』2018.09.25)
●「インドネシア中部、スラウェシ島の中スラウェシ州で28日に起きた地震と津波で、同国の国家災害対策庁は29日、死者が計384人に上ったと明らかにした。重傷者は540人、避難者は1万7000人弱で倒壊した建物は数千棟に上る。停電や陸路遮断で現地からの情報が十分に集まっておらず、犠牲者は増える恐れがある。…米地質調査所によると、28日午後6時(日本時間午後7時)ごろに発生した地震のマグニチュード(M)は7.5。1.5~6メートルの津波が発生し、沿岸部の住宅やモスクを直撃した。この地震の後にM4.5~6程度の余震が続いている。ジョコ大統領は28日に国軍や災害対策当局などが連携して事態に対処するよう指示。30日に現地視察に向かう予定だ。」(『日本経済新聞』2018.09.30)

その他