情勢の特徴 - 2018年12月前半
●「政府・与党は住宅ローン減税が受けられる期間を3年延ばし、現行の10年から13年とする方向で最終調整に入った。2019年10月の消費税率引き上げに伴う住宅の駆け込み需要や反動減を防ぎ、購入を支援する。購入から11年目以降の減税幅は建物価格の2%を3年間かけて所得税などから差し引く仕組みにする。」(『日本経済新聞』2018.12.04)
●「国土交通省は、19年度から30年間で必要になる所管インフラ12分野の維持管理・更新費を推計した。損傷などの被害が出る前に修繕しておく『予防保全』と、損傷などが起きた後に修繕する『事後保全』の手法を採用する2パターンで試算。国交省が推進する予防保全を進めた場合、累計コストは176.5兆~194.6兆円と算出した。」(『建設工業新聞』2018.12.04)
●「政府は老朽化した重要インフラを補修するため、2018年度から20年度までの3年間で3兆円超を投じる方針を固めた。年末に決める19年度予算案では1兆円程度を計上する。当初予算ベースの公共事業関係費は前年度より最大で2割増の7兆円規模と、10年ぶりの高水準になる。縮小してきた公共事業が増加に転じ、歳出の選別が急務になる。」(『日本経済新聞』2018.12.05)
●「政府が年内に決定する18年度第2次補正予算案のうち、厚生労働省関係の概要が明らかになった。総額1346億円を計上。14日にも決定する『防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策』に291億円を充てる。緊急対策分も含めた全体的な水道施設整備費は270億円になる見通しだ。緊急対策の主要項目のうち、水道施設整備には66億円を計上する。大規模な地震や豪雨災害が発生しても水の安定供給を確保するため、水道施設の非常用自家発電設備整備などを実施。土砂災害・浸水災害に備える対策工事も行う。」(『建設工業新聞』2018.12.12)
●「水道事業の経営基盤強化策を盛り込んだ改正水道法が6日の衆院本会議で可決、成立した。老朽ストックが増えている水道施設の維持管理・更新を着実に進める制度を導入。コンセッション(公共施設等運営権)事業の適用を後押しするため関連手続きを簡素化する。…改正法の柱は▽関係者の責務明確化▽広域連携の推進▽適切な資産管理の推進▽官民連携の推進▽指定給水装置工事事業者制度の改善―の5点。適切な資産管理を推進するため、地方自治体を中心とする水道事業者に水道関連施設の維持・修繕の実施を義務付ける。施設の基礎情報をまとめた台帳の作成・保管も規定。長期視点での計画的な更新と、更新事業の見通しや収支予測の作成と公表にも努めるよう求める。」(『建設工業新聞』2018.12.07)
●「国土交通省は、橋梁の補修工事など、修繕工事における課題への対応として、設計業務(補修設計)の受注者が施工段階で関与する、新たな入札・契約制度の試行に踏み出す。仮設の足場を用いた詳細な調査(近接目視)など、設計段階での十分な現地調査が困難である点に着目。設計者と施工者の連携を図る手段の1つとして“逆ECI方式”を打ち出す。」(『建設通信新聞』2018.12.13)
●「国土交通省は直轄工事を対象に、労務費が現場の技能労働者一人一人に行き渡っているかどうかを把握するモニタリング調査に着手した。全地方整備局と北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局が所管する10地域で各約5現場が対象。書面調査で労働者に支払った『賃金』と、契約書などに内訳明示された法定福利費に基づき『労務費相当額』を把握。比較検証した上で必要に応じ面接する。年度内に結果を取りまとめる。」(『建設工業新聞』2018.12.04)
●「全日本漁港建設協会(長野章会長)は6日、東京都千代田区の東海大学校友会館で水産庁と『第12回新しい漁場政策に対する要望と意見交換会』を実施した。この中で協会側は会員対象に実施した外国人労働者の受け入れに伴うアンケートについて、現在受け入れているのは6.8%で、90.9%が『将来とも、受け入れる予定はない』とする回答結果を示した。意見交換会には、協会側が長野会長ら幹部11人、水産庁側は岡貞行漁港漁場整備部長ら6人が出席。議事では、▽公共工事品質確保促進法に基づく運用指針の適正な運用▽漁港の小規模工事における見積もりの採用▽回航費の適正な計上▽週休2日の確保(工事の円滑な推進、プレキャスト製残置型枠工法の採用、ICT活用工事推進)▽19年度の予算の確保▽新しい事業創設(養殖環境整備、藻場造成)▽外国人労働者の受け入れ▽官民一体で取り組む災害協定の推進・充実▽小規模漁港の整備――の9項目について技術的・政策的な課題などを討議した。」(『建設通信新聞』2018.12.07)
●「外国人労働者の受け入れ拡大に向けた、新たな在留資格『特定技能』の創設を柱とする出入国管理法の改正案が成立した。対象分野の1つである建設業を所管する国土交通省は、年内にも閣議決定する分野別の運用方針に対象となる職種や、運用の上限値となる5年目までの受け入れ人数などを示す見通しだ。来年4月からの改正法の施行へ、準備作業が本格化する。」(『建設通信新聞』2018.12.10)
●「政府は改正出入国管理法に基づき、2019年4月に新設する在留資格『特定技能』を巡り、まずはベトナムやフィリピンなどアジア8カ国から外国人労働者を受け入れる。19年3月までに情報共有などを定める2国間協定を結ぶ。来日した労働者の銀行口座の開設を容易にするなど働き手の不安を緩和し、日本での生活になじむよう最大限の環境整備に取り組む。」(『日本経済新聞』2018.12.12)
●「国土交通省は、i-Constructionの推進として、保有・取得するインフラデータの積極的な活用に乗り出す。取り組みのツールとなるのが、あらゆるデータを位置情報でひも付ながら、一元的に管理することができる『インフラ・データプラットフォーム』の構築だ。2019年度にプロトタイプとなるデータ基盤の構築と試行の実施に踏み切る。」(『建設通信新聞』2018.12.12)
●「東京都足立区は3日、シェアハウスの所有者や入居者を対象とした相談窓口を開設した。区内で使われなくなった物件が違法民泊や貧困ビジネスの温床となるのを防ぐ狙い。建築室開発指導課に設置し、経営アドバイスや居住相談の方法について専門家とも連携する。シェアハウスに関する相談窓口を開設する自治体は都内で初めて。」(『日本経済新聞』2018.12.04)
●「厚生労働省は、建築物の解体施工業者に義務付けている石綿(アスベスト)含有建材の使用有無調査について、実施内容を見直す。調査結果の信頼性を確保するため、新たに解体業者や調査結果を分析する委託業者に講習受講を義務付ける考え。調査結果に関する労働基準監督署への届け出規定も厳しくし、一定の解体規模や特定の建材使用があれば石綿使用の有無に関係なく、届け出を義務化する方向で検討する。」(『建設工業新聞』2018.12.05)
●「環境省は6日、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で出た除去土壌と焼却灰を貯蔵管理する中間貯蔵施設(福島県双葉、大熊両町)の工程となる『2019年度の中間貯蔵施設事業の方針』をまとめた。この中で、帰還困難区域を除き『21年度までに(福島)県内に仮置きされている除去土壌などのおおむね搬入完了を目指す』とし、22年3月末までにすべての除去土壌などを施設に運び入れる方針を明らかにした。搬入完了目標を示したのは今回が初めてとなる。この目標に向け、19年度の除去土壌と焼却灰の輸送量は、16年3月に公表した『当面5年間の見通し』の最大値である400万立方メートル程度とし、従来目標を堅持。20年には身近な場所から仮置き場をなくす、という政策目標の達成を目指す。」(『建設通信新聞』2018.12.07)
●「韓国の建設現場で働く外国人労働者が増加している。韓国建設産業研究院がまとめた『2019年建設外国人労働者適正規模算定研究』報告書によると、外国人建設労働者は、17年の約17万7000人が今年は約3万5000人増の約21万2300人。19年はさらに約1万5000人増の約22万8000人に達し、2年連続で20万人を超えるとの見通しを示している。」(『建設工業新聞』2018.12.12)