情勢の特徴 - 2018年12月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は14日、総事業費約7兆円に上る『防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策』を閣議決定した。2018年7月豪雨など全国で相次いだ大規模な自然災害を踏まえ、20年度までに河川堤防かさ上げや交通インフラ網整備など計160項目の対策を推進する。今後3年は公共事業予算の大幅な増額が見込まれる中、円滑かつ適切な執行が課題となる。安倍晋三首相も『スピード感を持って進める必要がある』と関係閣僚に対応を指示した。」(『建設工業新聞』2018.12.17)
●「政府が21日に閣議決定する、国土交通省の2019年度予算案の概要が明らかになった。一般会計は前年度から18%増となる6兆8609億円。公共事業関係費は15%増の5兆9663億円となる。17日の大臣折衝で認められた消費税率の引き上げや国土強靭化の推進に伴う臨時・特別の措置として総額9393億円を盛り込むなど、いわば“2段ロケット”となっている点が特徴だ。」(『建設通信新聞』2018.12.19)
●「政府は年明けから、日本企業のインフラ輸出支援を資金面で強化する。政府開発援助(ODA)の円借款事業のうち、受注する代表企業が日本企業に限られる『本邦技術活用条件(STEP)』の制度を使いやすくする。具体策の一つがJV要件の緩和。JV構成員として従来の相手国企業や日本の子会社に加え、新たに第三国企業も参入できるようにする。」(『建設工業新聞』2018.12.21)
●「政府は21日、19年度予算案を決定した。一般会計の総額は101兆4564億円となり、当初予算で過去最大を更新。財源として建設国債を6兆9520億円発行する。公共事業関係費は前年度を9310億円上回る6兆9099億円(前年度比15.6%増)を計上。うち『臨時・特別の措置』は8503億円。差額が通常分で、前年度を807億円上回る6兆0596億円(前年度比1.3%増)を確保した。」(『建設工業新聞』2018.12.25)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、成果品に対する長期的な“品質保証”を条件として付す『長期性能保証制度』の運用を見直す。対象工事における運用方法の改善として、中間検査の免除や工事成績への加点、表彰制度の創設など、施工者にとってのメリットやインセンティブ(優遇措置)をつくり出す方針だ。従来の新設の道路舗装(アスファルト舗装)だけでなく、修繕工事への拡大も見込む。」(『建設通信新聞』2018.12.18)
●「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)の改正へ、その取り組みが本格的なスタートを切った。自民党・公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)の『品確法改正プロジェクトチーム』(座長・佐藤信秋参院議員)は20日、緊急対応の強化や市町村における平準化の推進を柱とする『骨子案』を提示。これをベースに成案化に向けた詰めの作業に入る。ベースとなる『骨子案』は、全国で相次ぐ大規模な自然災害からの迅速かつ円滑な復旧・復興を目的とする『緊急対応の強化』と、長時間労働の是正や従事者の処遇の改善といった『働き方改革の推進』が大きな柱となる。」(『建設通信新聞』2018.12.21)
●「国土交通省は、i-Constructionの推進として、国が持つ各種インフラデータの積極的な活用に乗り出す。取り組みのツールとして、建設現場で得られる現場データや地盤情報を集約・共有することができる『インフラ・データプラットフォーム』の構築に取り組む。現場デー夕を積極的に用いる“データ駆動型の行政”の推進に踏み切る。『建設・維持管理分野におけるデータ共有による産学官連携の加速化』として、21日に閣議決定した2018年第2次補正予算案に7000万円を盛り込んだ。」(『建設通信新聞』2018.12.28)

労働・福祉

●「近畿地方整備局の週休2日対象工事で、約9割の現場が会社の経営方針として週休2日推進に取り組んでいることが、日刊建設通信新聞社関西支社の調査で明らかになった。次の工事でも週休2日にチャレンジする意欲的な意見も現場の9割を超え、働き方改革に向けた施工者の前向きな意識が浮き彫りになった。」(『建設通信新聞』2018.12.17)
●「政府は17日、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法に基づく新制度の詳細案を自民党法務部会に示した。2019年4月から5年間で約34万人を受け入れ上限と位置づけ、大都市に集中しないよう必要な措置をとる。多言語への対応など受け入れを先導する地方自治体への交付金の活用を検討する。年内に正式決定し、企業や自治体に準備を促す。…改正入管法は新たな在留資格『特定技能1号・2号』を設け、単純労働への外国人就労を認める。人手不足が深刻な介護や外食、建設など14業種を対象にしている。政府が示したのは新制度を運用する基本方針と分野別運用方針、法務省令、外国人への支援策を盛り込んだ総合的対応策の各案。」(『日本経済新聞』2018.12.18)
●「外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法(入管法)に基づき、政府が25日にも閣議決定する建設分野の運用方針の概要が18日、明らかになった。制度導入後5年間の受け入れ見込み数は4万人が上限となる。新設する在留資格『特定技能1号』と『同2号』に求める技能水準を明示し、従事する業務として12職種を挙げた。建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録を受け入れ条件にすることも盛り込む。」(『建設工業新聞』2018.12.19)
●「来年4月に施行する、新たな在留資格『特定技能』による外国人労働者の受け入れを目的に、建設業界が“協働”する新団体を立ち上げることになりそうだ。国土交通省が、建設業界が一致協力して、円滑かつ適正な受け入れを進めていくための仕組みとして、元請団体と、受け入れの対象職種となる専門工事業団体で構成する新団体の設立を働きかけている。」(『建設通信新聞』2018.12.20)
●厚生労働省は19日、2018年の労働組合基礎調査(6月末時点)を発表した。組合員数は前年比8万8000人増の1007万人と、4年連続で増加。パートタイム労働者の加入が進んだためで、10年以来8年ぶりに1000万人台を回復した。一方、雇用者全体に占める組合員の割合を示す組織率は0.1ポイント低下の17.0%と、7年連続で過去最低を更新。組合員数の増加を雇用者数の伸びが上回ったため。…産業別で見ると、製造業が262万7000人(26.3%)で最多。卸売業・小売業が146万8000人(14.7%)、運輸業・郵便業が84万2000人(8.4%)と続いている。企業規模別では、1000人以上が565万7000人(65.4%)を占めており、300~900人が115万4000人(13.3%)、100~299人が60万2000人(7.0%)となっている。(『しんぶん赤旗』2018.12.21より抜粋。)
●「日本建設業連合会(山内隆司会長)の週休二日推進本部は、2017年12月に策定した『週休二日実現行動計画』に基づく、初のフォローアップ結果(18年度上期)をまとめ、21日に開かれた理事会に報告した。災害復旧など特別な理由がある『適用困難事業所』を除く『対象事業所』では、計画で中間目標(19年度末)に設定している『4週6閉所以上』を64.3%が達成し、4週8閉所以上は26.5%だった。日建連は結果を受け、『中間目標に向けて好スタートを切ることができた』と手応えを示している。対象事業所全体の閉所状況のうち、『土日閉所を基本とした事業所』では、4週8閉所以上が28.2%、4週6閉所以上が66.8%で、『土日閉所を基本としない事業所』のそれぞれ19.9%、54.7%を上回った。土日閉所を基本に計画している事業所の意識的な取り組みが、閉所率の高さに結び付いた格好だ。」(『建設通信新聞』2018.12.25)
●「日本建設業連合会(山内隆司会長)は、9月に打ち出した『労務費見積り尊重宣言』の実施要領をまとめた。元請・下請間で認識を共有するツールとして作成し、適正な労務費の定義や実施目標などを盛り込んでいる。2018年度は会員各社が可能な範囲での実施に向けた体制、方法を確立する準備期間とし、19年度から要領に基づいた取り組みを本格始動する。段階的に職種、地域を拡大し、23年度までには全職種、全国での定着実現を目指す。」(『建設通信新聞』2018.12.26)
●「型枠大工の一人親方や4人以下の事業所など社会保険加入適用除外対象者が前年から倍増した。さらに、型枠解体工は減少傾向に歯止めが掛からない。日本型枠大工工事業協会が214社から回答を得て、まとめた雇用実態調査で明らかになった。社会保険への加入が急速に進んだことが影響していると思われ、加入を推進するにあたり危惧されていたことが現実になっている。法定福利費の確実な支払いが求められる。また、高齢化も着実に進展している実態も明らかになったことで、担い手確保に早急に取り組まなければならずの現場で法定福利費の一部しか確保できていないというのが実態で、厳しい経営を迫られていることなどが影響している。」(『建設通信新聞』2018.12.27)
●「国土交通省が実施した18年度下請取引等実態調査で、技能労働者の賃金水準を引き上げる傾向が顕著に表れた。『引き上げた(予定含む)』の回答が前年度比2.7ポイント上昇し82.7%。調査を始めた13年度から5年連続で回答率が高まった。引き上げ理由では『周りの実勢価格が上がり、引き上げなければ必要な労働者が確保できない』『若者の入職促進など業界全体の発展に必要』などが挙がった。技能者の賃金について『引き上げた(予定含む)』の回答状況は、13年度50.2%、14年度61.2%、15年度68.6%、16年度69.8%、17年度80.0%と年々上昇し、18年度も8割を継続。下請次数別に見ると、1次が82.7%(17年度81.5%)、2次が80.3%(74.3%)、3次以下が66.7%(77.5%)となった。公共工事設計労務単価は13年4月以降、6度にわたって上昇。こうした動向を踏まえ、技能者の賃金水準の設定では『単価の変動などの動向を賃金に反映させている』が43.3%(44.1%)、『単価をそのまま使用している』が12.8%(12.6%)となった。設計労務単価の引き上げが、技能者の賃金水準に反映されていることが分かった。」(『建設工業新聞』2018.12.27)

建設産業・経営

まちづくり・住宅・不動産・環境

その他

●「ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、中心市街と川の対岸を結ぶ大型橋の建設が24日始まった。韓国が事業費の大半を政府開発援助(ODA)で融資し、対岸に工業団地も整備する。ヤンゴンは人口1千万人のメガ都市に発展する可能性がある。ミャンマーは日本と中国の協力も得ながら、市内を流れる河川への架橋と、対岸の住宅地や工業団地の開発を進める。『ミャンマー政府は近隣国の支援でインフラ整備を進めており、その一つが4車線の道路で両岸をつなげるこのダラ橋だ』。ハン・ゾー建設相が24日の着工式典で述べた。政権トップのアウン・サン・スー・チー国家顧問も出席し、期待の高さを印象づけた。ダラ橋はヤンゴン中心部と、ヤンゴン川を挟んだ南岸のダラ地区を結ぶ長さ約1.8キロメートル、高さ49メートルのつり橋だ。韓国側によると23年に完成する見込みで、韓国財閥GSグループが建設する。橋とつなぐ道路の改修を含む総事業費1億6800万ドル(約185億円)のうち、約8割を韓国のODAによる借款で賄う。総事業費は設計変更によって2000万ドル増える可能性がある。11年の民政移管後、ヤンゴン中心部はオフィスビルや商業施設の開業が相次ぐ一方、橋でつながっていないダラ地区は発展から取り残された。同地区は韓国主導の開発が進む見通しで、ヤンゴン管区政府は韓国企業と工業団地の建設をめざす。」(『日本経済新聞』2018.12.27)