情勢の特徴 - 2019年1月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は5年に1度義務付けられているインフラの法定点検の目視要件を緩める。作業員が現場でチェックする目視を基本としているが、同等の性能をもつ技術で代替できることを明確化して、代替基準などのルールを整える。ドローンなど新技術の普及を促すとともに、点検の質を確保しながら合理化を進めて負担軽減につなげる。2019年度から適用する。」(『日本経済新聞』2019.01.07)
●「石井啓一国土交通相は日刊建設工業新聞など建設専門紙の新春共同インタビューに応じ、19年の行政運営への抱負を語った。国民の安全・安心の確保を国交省の使命とし、『防災・減災、国土強靭化に集中的に取り組む』と強調。建設現場を支える人材の確保・育成に向けた働き方改革にも意欲を見せた。今年を生産性革命『貫徹の年』と位置付け、i-Constructionなどの施策を積極展開する方針を示した。」(『建設工業新聞』2019.01.07)
●「国土交通省は19年度、地域建設業の持続性確保と経営効率化に向けた取り組みを進める。後継者不足など中小・中堅建設会社が抱える経営課題を把握・分析した上で、事業継承や経営力向上に関する相談窓口を設けて専門家によるコンサルティングを実施。課題を類型化して優良な取り組みの事例集を作成する。広く情報発信することで横展開を図り、企業活動の継続促進に役立ててもらう。」(『建設工業新聞』2019.01.09)

労働・福祉

●「国土交通省は19年度、建設産業の働き方改革の取り組みを公共工事から民間工事に浸透させる施策を実施する。民間工事での工期の設定方法などについて元請・下請間の実態を把握するため、中小零細の専門工事業を対象にした調査を行う。民間工事を対象に週休2日などの先進的な取り組み事例集を充実させるほか、民間発注者への専門家派遣を通じた契約図書の作成支援も行う。」(『建設工業新聞』2019.01.08)
●「厚生労働省は8日、『建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会のワーキンググループ(WG)』を開き、昨年12月に開催した同検討会との合同会合で示された論点に対応する技術的事項を整理した。石綿(アスベスト)含有建材を使用した建築物の解体の増加が見込まれる中で、ばく露対策の内容を明確にし、健康被害などを防ぐ。」(『建設通信新聞』2019.01.09)
●「全国建設業協会(近藤晴貞会長)は、会員企業による4週8休の取り組みを促すため、毎月プラス1日の休日確保を努力目標とする『休日月1+(ツキイチプラス)運動』のポスターを作成し、各都道府県建設業協会への配布を始めた。同運動は、2018年4月に全建が策定した『今後の働き方改革への取組について』に盛り込んでいるが、会員を対象としたアンケート結果では『知らない』との回答が44.4%を占めるなど周知が進んでいない。ポスターで周知を促進することでさらなる運動の活発化に弾みをつける。」(『建設通信新聞』2019.01.09)
●「4月から本運用が始まる建設キャリアアップシステム(CCUS)で技能者や事業者の情報登録を申請できる受付窓口が全国に広がっている。9日時点で全国建設業協会(全建)傘下の各都道府県協会に41カ所の窓口が開設されている。全建総連傘下を見ると、システムへの情報登録まで行う認定機関を含め窓口は37カ所に達した。インターネットや郵送に加え、直接出向き申請できる窓口の増加で、システム登録が一段と進む環境が整うことになる。」(『建設工業新聞』2019.01.10)

建設産業・経営

●(『2019年展望』より“ゼネコン団体”)「引き続き『働き方改革』と『生産性向上』がメインテーマになる。18年は日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が毎月を対象にした統一土曜閉所運動、全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が毎月の休日を増やす『休日月1+(ツキイチプラス)運動』を開始。全国中小建設業協会(全中建、豊田剛会長)は週休2日の行動計画の策定を会員に求めるなど、働き方改革の対応が本格化した。休日の確保に伴い、生産性向上の重要性が高まり、取り組みが一段と活発化しそうだ。…改正入管法に基づく外国人材の活用を巡る関心も高まっている。元請、下請双方にさまざまな意見があり、品質や安全を統括する元請側からは『意見をきめ細かく取り上げてほしい』(準大手ゼネコン首脳)と注文が付く。『担い手不足を補うのが先』と首脳が語る大手ゼネコンもあり、動向を注視する必要がありそうだ。」(『建設工業新聞』2019.01.01)
●(『2019年展望』より“ゼネコン企業”)「ゼネコン各社は、安定した国内建設需要に下支えされ、好調な業績を維持している。19年も取り巻く環境は昨年と大きく変わらないという見方が大半だ。『特に首都圏の開発案件は、まだまだめじろ押しだ。リーマンショックのような世界同時不況がない限りは、潤沢な需要に恵まれ、建設業界の好景気は続いていくだろう』と大手の経営トップは先々まで見通す。旺盛な需要に応えるため、繰越工事高が増加している企業も多く、職員はフル稼働の状況が続く。今年は2020年東京五輪・パラリンピック開催までに完成させるプロジェクトが首都圏を中心に最盛期を迎える。『特に仕上げ工事や設備工事がタイトになってくる』(準大手社長)との指摘もある。協力会社と連携し、労務・資機材の管理を徹底。竣工時の利益の確保に力を注ぐことになる。」(『建設工業新聞』2019.01.01)
●(『2019年展望』より“専門工事業”)「建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)が主体となる建設キャリアアップシステムが4月から本運用されることで、専門工事業界を巡る環境が大きく変わりそうだ。技能者一人一人の能力や経験を蓄積する同システムによって、あいまいだった技能者の地位が確立し、処遇改善につながると期待される。建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)は昨年5月の総会で、働き方改革を推し進め、技能者の直用化と月給制への移行などに取り組むと決議。その一環でキャリアアップシステムヘの加入促進に努力すると意思決定した。キャリアアップシステムと連動する形で国交省は、技能者の能力評価や専門工事業の施工能力を見える化する方策を検討中。これら施策とセットにすることでシステムをより使い勝手の良いものにしていく考えだ。」(『建設工業新聞』2019.01.01)
●「鉄骨建設業協会(田中進会長)によると、19年度の鉄骨需要量は530万トン前後となり、前年度見込みの521万トンから増加する見通しだ。東京など主要都市の再開発、大都市近郊での物流・商業施設整備などが堅調で、鉄骨需要も『足元は安定した動きが示されている』(田中会長)という。良好な事業環境が需要増の追い風になっているものの、人手不足が安定供給を阻害しかねない。働き方改革への対応もあり、業界を挙げて計画的な生産工程の遂行などに力を注ぐ構えだ。」(『建設工業新聞』2019.01.11)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「日立製作所は英国で計画する原子力発電所の建設事業を中断する方針を固めた。約3兆円の事業費を巡る日英の政府や企業との交渉が難航し、現時点での事業継続は難しいと判断した。2千億~3千億円の損失を2019年3月期中に計上する見通しだ。日本企業による海外での原発建設は事実上なくなる。日本政府のインフラ輸出政策も転換を迫られそうだ。」(『日本経済新聞』2019.01.11)
●東京都豊洲市場(江東区、東京ガス工場跡地)が2018年10月11日に開場した後、周辺道路の二酸化窒素、(NO2)濃度が開場直前と比べて最高2.4倍に増え大気汚染が悪化していることが、中央区労働組合協議会と臨海部開発問題を考える都民連絡会(臨海都民連)の測定調査で分かった。豊洲市場の開場1週間前の10月3~4日と、開場後の11月8~9日、12月26~27日の3回、市場周辺の4カ所で簡易測定カプセルによる24時間調査を行った。NO2の環境基準は、0.04~0.06ppmのゾーン内またはそれ以下。測定の結果、NO2濃度は、開場1週間前の平均0.027ppmから開場2カ月半後(12月26~27日)には同0.044ppmと、1.6倍に増えた。濃度が最も高かったのは、ゆりかもめ新豊洲駅下の0.053ppm。増加率が最も多かったのは水産卸棟の富士見橋門付近で、0.019ppmから、0.045ppmと2.4倍に悪化している。測定をした臨海都民連の矢野政昭さん(江棄区豊洲在住)は「私たちは、ベンゼンやシアンなど有害物質が高濃度で残されている東京ガス工場跡地に市場を移転することに反対してきた。今回の測定で、豊洲市場は江東区民に自動車の渋滞や大気汚染の環境悪化をもたらしたことが分かった。今後も測定を継続していく」と語った。(『しんぶん赤旗』2019.01.13より抜粋。)

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