情勢の特徴 - 2019年1月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「総務省は25日、地方自治体の19年度歳出見込み額について、最新の試算結果を公表した。公共事業関係費に当たる投資的経費の総額は前年度比12.1%増の13兆0200億円と試算。このうち自治体単独事業費は5.2%増の6兆1100億円を見込む。国直轄事業の地方負担金と国庫補助事業を合算した歳出額は18.9%増の6兆9100億円となる。歳出見込み額のうち投資的経費とは別に、インフラや公共施設建築物などの維持補修額は3.2%増の1兆3500億円と試算した。19年度歳出見込み額を試算した結果は、19年度予算案が閣議決定した昨年12月21日にも公表している。今回の試算結果は前回公表時と比べやや細かく更新した。総務省は近く自治体の詳細な19年度歳入・歳出見込み額を示す19年度地方財政計画をまとめ、閣議決定を目指す。」(『建設工業新聞』2019.01.28)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は21日、建築設計・工事監理等の業務報酬基準を10年ぶりに改訂した。現状の業務実態に即した基準に見直すことで、建築設計・工事監理における業務報酬の適正化を促すことが狙い。従来の告示15号は廃止。新たに『建築士事務所の開設者がその義務に関して請求することのできる報酬の基準(平成31年国土交通省告示第98号)』を制定した。」(『建設通信新聞』2019.01.22)
●「地方自治体における『平準化』の取り組みが一層、求められることになりそうだ。焦点となるのは、その取り組みに遅れが見られている市区町村。実際に全47都道府県で、発注や施工時期の平準化を目的とした『債務負担行為の活用』が進む一方、市区町村の取り組みには大きな進展が見られていない。市区町村における取り組みの必要性は明らかだ。取り組みの現状は、国土交通省が22日に公表した入札契約適正化法に基づく実施状況の調査(入契調査)の結果から明らかになった。平準化の推進を目的に債務負担行為の活用に取り組んでいる自治体は513団体(2018年8月1日現在)。17年度(17年3月末)の442団体から71団体の増加となった。目を引くのは、17年度の調査で41団体だった都道府県のすべてが、平準化の推進を目的に債務負担行為の活用に取り組んでいる点だ。」(『建設通信新聞』2019.01.23)
●「公共発注機関で社会保険加入対策が着実に進んでいることが、国土交通省などの調査で明らかになった。18年8月時点で、元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを『実施していない』のは対象1931団体の28%に当たる547団体(前回〈17年3月〉659団体)。下請業者の場合は1078団体(1290団体)が未実施だった。」(『建設工業新聞』2019.01.23)

労働・福祉

●「厚生労働省がまとめた2018年1-11月の労働災害発生状況(速報、18年12月7日時点)によると、建設業の死亡者数は、前年同期と比べ1.9%増(5人増)の270人となった。また、建設業の休業4日以上の死傷者数は1万2871人で3.5%増(437人増)だった。死亡者数、死傷者数とも前年同期を上回っている。死亡者数の業種別は土木が104人、建築が114人、そのほかが52人。…前年同期と比べ『切れ・こすれ』は86人減っているものの、『高温・低温物との接触』が143人増えた。この『高温・低温物との接触』には、熱中症が含まれることから、熱中症を発症した労働者が多かったとみられる。また、労災防止に注力している『転倒』(108人増)や『墜落・転落』(73人増)での死傷者も増加している。」(『建設通信新聞』2019.01.16)
●「厚生労働省は15日、中長期的な労働政策を検討する雇用政策研究会を開き、労働力推計を公表した。2040年まで経済がゼロ成長で推移し、女性や高齢者の労働参加が進まない場合、40年の就業者数は17年に比べ1285万人減少し、5245万人に落ち込むと試算。減少幅は働き盛りの30-59歳で大きく、『成長に向けた大きな阻害要因』と結論付けた。産業別の減少幅は、人手不足が深刻な卸・小売りが287万人に上り最大。次いで鉱業・建設は221万人、製造も206万人それぞれ減少する。一方、高齢化の加速に伴い介護人事の需要が伸び、医療・福祉は103万人増を見込んだ。」(『建設通信新聞』2019.01.16)
●「厚生労働省は15日、労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開き、新たな外国人受入制度の創設に伴い、『外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針』の見直しの概要を示した。不合理な待遇や差別的取り扱いの禁止規定を明記。労使協定による派遣労働者の待遇の確保や待遇に関する説明の規定も盛り込んだ。賃金の支払いについては、最低賃金以上の賃金を支払うことはもとより、基本給、割増賃金などを原則的に支払うことを明記した。また、労使協定に基づき、食費、居住費等を賃金から控除する場合は、その控除額について実費を勘案し、不当な額とらないようにすることも求める。」(『建設通信新聞』2019.01.16)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、久保田俊平議長)は17日、2019年賃金交渉基本構想を発表した。日建協個別賃金水準で示すあるべき賃金水準の実現に向けて月例賃金の改善にこだわる。一時金は前年実績以上を目指す。賃金交渉の統一スケジュールは3月26日を要求提出日、4月9日を指定回答日に設定し、『魅力ある産業は魅力ある処遇から』をキャッチコピーとした。」(『建設通信新聞』2019.01.17)
●「厚生労働省は23日、調査方法に不備があった『毎月勤労統計』のうち、正確な集計結果を出すためのデータが残っていた2012年以降の数値を修正した。直近の過去6年(12~17年)で建設業就業者に毎年支払われた月間平均給与額は、従来値と比べ0.1%~0.8%増える。…建設業に特化した主な修正結果を見ると、12~17年は毎年支払われた月間平均給与額が0.1%~0.8%増加する。年別の修正値は▽12年=36万5864円(従来公表値比0.1%増)▽13年=37万1809円(0.2%増)▽14年=37万7167円(0.3%増)▽15年=38万2164円(0.5%増)▽16年=38万8190円(0.6%増)▽17年=39万2008円(0.8%増)―となる。常用雇用労働者数は微増。14年が272万5554人(0.0%増)、15年が281万3113人(0.1%増)、16年が289万1698人(0.1%増)、17年が302万3618人(0.0%増)となった。月間平均実労働時間は修正後も横ばいだった。」(『建設工業新聞』2019.01.24)
●「高砂熱学工業は、4月から新たな人事制度を導入する。65歳選択定年制度や複線型人事制度とするほか、キャリアパスの体系化、等級・報酬・評価制度の改定を実施する。社員の多様なライフプランを支援するとともに、役割や成果に応じて評価することで、社員のやりがいを高め、会社の成長につなげる。」(『建設通信新聞』2019.01.25)
●「国土交通省は、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法(入管法)に基づき創設する新たな在留資格の4月の導入に向け、建設分野の特性を踏まえた受け入れ基準を定めた告示案を公表した。受け入れ企業が作成する『受け入れ計画』の認定基準や、元請団体や専門工業団体で組織する『共同団体』の登録基準などを明示した。2月28日まで告示案への意見を募集し、4月1日に適用する予定だ。国交省は、業種横断の基準に加え、建設分野の特性を踏まえた受け入れ機関の適格性の基準を設定する。外国人材の入国に先立ち、受け入れ企業が計画を作成し、国交大臣が定める基準(告示)に適合するか審査・認定を受けることを在留資格取得の要件とする。告示案によると、受け入れ企業が作成する計画の認定基準は、同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給を行うことや、賃金などの契約上の重要事項を書面(母国語)で説明することを規定。受け入れ企業と外国人材が、建設キャリアアップシステムに登録することも認定基準とする。」(『建設工業新聞』2019.01.31)

建設産業・経営

●「債務超過などで破たんする前に、休廃業・解散という形で建設市場から撤退する企業数が増加の一途をたどっている。2018年の倒産件数が過去30年で最小になる一方、倒産統計には表れない“静かな建設市場からの退場”が顕著になった格好だ。建設業で休廃業・解散をした企業トップの年齢は、70歳台以上が54%と半数以上を占めるなど、高齢化も進んでいる。安倍政権は中小企業支援と雇用継続につなげる目的で、事業承継時の金銭負担ゼロを柱にした中小企業向け事業承継税制を昨年から導入したが、企業の市場撤退に歯止めはかかっていない。建設業で休廃業・解散するケースが18年は前年比8.7%増の9084件に上ったことが、東京商工リサーチの『2018年休廃業・解散企業動向調査』で分かった。同社調査による18年の建設業倒産(法的・私的倒産で負債額1000万円以上)は1431件で平成以降、最小件数にとどまった。」(『建設通信新聞』2019.01.24)
●「大東建託の2018年4~12月期の連結営業利益は1050億円程度と、前年同期より6%ほど減ったようだ。同期間での営業減益は10年ぶり。地銀などがアパート向け融資を厳格化した影響で、受注キャンセルや着工の遅延が増えたことが響いた。売上高は1%増の1兆1700億円程度だったもよう。アパートの賃貸など不動産事業が好調だった。管理するアパートが増加し、入居率も高水準だった。」(『日本経済新聞』2019.01.25)
●「建設経済研究所と経済調査会は30日、四半期ごとにまとめる建設投資見通しの最新状況を発表した。18~19年度の投資総額(名目値)は、18年10月の前回調査と比べ18年度分が1700億円増の56兆8400億円(前年度比1.5%増)、19年度分が3兆0700億円増の58兆2200億円(2.4%増)と予測した。いずれも政府建設投資見通しの上方修正した分を反映させた。今回調査(1月)は、災害復旧・復興や防災・減災、国土強靭化対策を柱とする18年度第1次補正予算、同第2次補正予算案、19年度予算案を踏まえて推計。この結果、政府建設投資は、18年度が22兆9500億円(0.4%減)、19年度が24兆4400億円(6.5%増)。02年度(25兆9000億円)、03年度(23兆4000億円)の水準に近づく。」(『建設工業新聞』2019.01.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は19年度、大規模地震発生時に滞在者が多い地域で、官民鼠携による安全確保の取り組みをさらに後押しする。官民協議会による防災計画の作成や、計画に基づくハード・ソフト対策の支援対象地域を中心駅の半径1キロから2キロの範囲に拡充。滞在者の多い中心駅で支援対象を広げ、安全の確保と都市機能の継続につなげる考えだ。 19年度予算案で、都市安全確保促進事業の経費として約1億円を計上。対象地域を対象に計画作成とソフト対策の経費の2分の1、ハード対策の経費の3分の1をそれぞれ補助する。」(『建設工業新聞』2019.01.21)
●「国土交通省は盛り土造成地を示す『盛り土マップ』と液状化の可能性を示す『液状化マップ』について、自治体に代わり作成・公表に乗り出す。ともに地域住民が災害時の危険性を知る町に役立つ地図だが、未公表の自治体が多いため。2019年度中にホームページで公表する。18年9月の北海道地震で造成地の液状化被害が相次いだことを受けた。」(『日本経済新聞』2019.01.22)
●「新築分譲マンション市場の減速が鮮明だ。マンションの発売月に販売戸数のうちどれだけ契約に至ったかを示す『初月契約率』は、2018年の首都圏平均で27年ぶりの低水準となった。価格が高止まりするなか、消費者の人気は駅前の物件に集中しており、選別が強まっている。マンションは関連産業の裾野が広く、建設などにも減速が波及する可能性がある。不動産経済研究所(東京・新宿)が22日にまとめた東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の18年の初月契約率は62.1%だった。リーマンショックがあった08年(62.7%)を下回り、バブル経済が崩壊した1991年(58.3%)に次ぐ低水準だ。約10年ぶりに好不調の境目とされる70%を3年連続で下回った。単月で見ると18年12月は49.4%まで落ち込み、減速感が強まっている。」(『日本経済新聞』2019.01.23)

その他