情勢の特徴 - 2019年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「7日に成立した国の18年度第2次補正予算のうち、国土交通省分の歳出総額は国費ベースで8915億円となった。政府全体の公共事業関係費1兆1398億円のうち、同省分は8304億円。同省が地方整備局や地方自治体などに配分する事業費は総額1兆1636億円となる。大部分は18年12月に閣議決定した『防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策』に充てる。」(『建設工業新聞』2019.02.12)

行政・公共事業・民営化

●「公共事業における『平準化』の取り組みを先導する国土交通省は、2019年度当初予算案に約1095億円の『ゼロ国債』を設定。2カ年国債(約2099億円)とのセットで約3200億円規模の“平準化措置”を敷く。当初予算としては初となる業務における『ゼロ国債』を導入するなど、推進ツールを総動員して平準化を加速させる。」(『建設通信新聞』2019.02.06)
●「国土交通、総務両省は地方自治体が発注した工事での適切な工期確保に向け、速やかな繰り越し手続きの徹底を都道府県などに要請した。自然災害の発生など当初想定していない事案が発生し、年度内での工事完了が難しい場合、年度末の議会を待たず事案発生後の議会で繰り越し手続きを実施。繰越額の未確定が速やかな繰り越し手続きのできない理由とはならないともしている。補助事業でも繰り越し制度の適切な活用を求めた。」(『建設工業新聞』2019.02.13)

労働・福祉

●「国土交通省は1月31日、『建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会』(座長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)を開き、安全衛生経費の実態把握のために実施するアンケートの内容をまとめた。調査は発注者、元請け、下請けに実施し、安全衛生経費の契約と付随する手続きの取り扱いの実態を明らかにする。調査結果を基に、安全衛生経費を明確にするための方法や現場で活用しやすい方策、民間への普及策など施策の具体化へ向けた検討を行う。」(『建設通信新聞』2019.02.01)
●「国土交通省は、4月から本格運用を開始する建設キャリアアップシステムを活用した取り組みとして、その検討を進めている『建設技能者の能力評価制度』の構築を急ぐ。制度化へのステップの1つとして、4日に基本的なスキームなどを示す『建設技能者の能力評価制度に関する告示(案)』を公表。3月5日までを期間にパブリックコメントを行う。」(『建設通信新聞』2019.02.04)
●「建設業への就業者が増えている。総務省が1日発表した労働力調査(基本集計)結果によると、18年(l~12月)の平均(速報)で503万人と、前年に比べ5万人増(増減率1.0%増)となった。15年(502万人)以来3年ぶりとなる500万人台に回復。過去10年間で09年(522万人)、14年(507万人)、10年(504万人)に続き、同数の12年と並び4番目に高い水準だった。」(『建設工業新聞』2019.02.04)
●「厚生労働省が1日発表した18年(1~12月)の平均有効求人倍率は、前年より0.11ポイント高い1.61倍となった。高度経済成長期未年の1973年(1.76倍)に次ぐ過去2番目に高い水準だった。職業分野別では『建設・採掘』が0.8ポイント高い4.72倍と、5年前(13年2.37倍)から倍増した。国土強靭化関係を中心に公共事業量が増える中、着実な執行に向け人材確保が急務となる実態が改めて浮き彫りとなった。建設・採掘分野の職業で内訳を見ると、突出して高かったのが『建設躯体工事』で10.67倍(前年比1.46ポイント上昇)。このほかに『建設』4.65倍(0.64ポイント上昇)、『電気工事』3.13倍(0.47ポイント上昇)、『土木』4.56倍(0.94ポイント上昇)だった。」(『建設工業新聞』2019.02.04)
●「建設業界は外国人の就労管理を徹底するシステムを導入する。近く始まる作業員データベースを活用して技能レベルや在留資格を簡単に把握できる仕組みを構築し、労働環境や処遇改善につなげるとともに不法就労を防ぐ狙いだ。4月の改正出入国管理法(入管法)の施行で外国人労働者の拡大が見込まれるなか、安全かつ安定的に受け入れられる環境を整える。日本建設業連合会の山内隆司会長(大成建設会長)が明らかにした。国土交通省や建設業振興基金が4月に本格運用を始める建設作業員のデータベース『建設キャリアアップシステム』を活用し、約140社が加盟する日建連が連携して仕組み作りを進める見通し。」(『日本経済新聞』2019.02.05)
●「厚生労働省がまとめた18年の外国人雇用状況調査結果(18年10月末時点)によると、国内で働いている外国人労働者数は前年同期比14.2%増の146万0463人となり、6年連続で過去最多を更新した。このうち建設業で働いている外国人労働者数は24.4%増の6万8604人。全産業で4.7%を占めている。建設業に特化した調査結果を詳しく見ると、外国人労働者数の都道府県別内訳は東京が最も多い1万2157人だった。次いで神奈川6729人、愛知6533人、埼玉6505人、千葉4282人、大阪4044人、福岡2459人、静岡2202人の順となっている。在留資格別内訳は、技能実習が突出して多い4万5990人。次いで『身分に基づく在留資格』1万2894人、『専門的・技術的分野の在留資格』5994人、『特定活動』3280人、『資格外活動』442人の順に続いた。国籍別に見ると、ベトナムが最も多い3万1949人。次いで中国(香港等含む)1万2696人、フィリピン8144人、インドネシア3766人、ブラジル2584人、韓国995人、ペルー805人、ネパール420人だった。外国人労働者を雇用している建設業の事業所数は21.3%増の2万0264事業所となった。」(『建設工業新聞』2019.02.07)
●「全国の約250の主要市区のうち、外国人住民の仕事や生活を支援する総合的な窓口機能となる専門部署が未整備の自治体が6割に達することが日本経済新聞の調査でわかった。5年で外国人が3割近く増える一方、ゴミ出し案内や居住支援といった日常の生活サポートの取り組みも2割台にとどまる。4月に始まる外国人労働者の受け入れ新制度を控え、体制の充実が急務だ。総務省は2006年、増える外国人住民に対応するため全国の自治体に施策の指針・計画を策定するよう要請。自治体の組織として外国人住民との共生をサポートしたりする業務を担う専門部署の設置などを求めた。要請から10年以上たっているが、専門部署を『設けた』と答えた自治体は41%で57%の『設けていない』を大きく下回ったままだ。まだ設けていない那覇市の担当者は『対応する人見やコストなど行政資源は限られる。全ての施策に取り組むのは時間がかかる』とする。一方、具体的な行政サービスとしては、多言語対応、教育、生活支援など幅広い分野で自治体に取り組みが求められている。総務省が示した施策のうち、主な13項目の取り組み状況を調べた。実際に対応が進んでいるのは『行政情報の多言語による提供』だった。調査対象の9割を超える自治体が取り組む。『日本語の学習支援』も9割が実施している。その半面で生活関連の支援では対応の遅れが目立つ。例えば外国人が住まいを確保するための『居住支援や入居差別の解消』は全体の26%にとどまる。日本人の住民とのトラブルの原因になりやすい『ゴミ出し』の案内についても7割が実施していない。検討中も4%だけだ。」(『日本経済新聞』2019.02.08)
●「ゼネコン大手5社に今春入社予定の新卒者数は合計1370人となり、2年ぶりに増加することが分かった。全体の約85%に当たる1161人が技術系社員。今後採用活動が本格化する20年4月入社の採用予定者数は5社のうち大成建設と竹中工務店が増加、鹿島が減少となる見通しだ。」(『建設工業新聞』2019.02.13)
●「国土交通省は、4月から本格運用を開始する建設キャリアアップシステムを活用した取り組みとして、その検討を進めている『建設技能者の能力評価制度』の構築へ、建設技能者の能力評価制度に関するガイドライン(案)をまとめた。より詳細な実施スキームなどを示している点が特徴となる。4日に公表した告示(案)とのセットで、4月からの“制度化”に踏み出す。建設キャリアアップシステムを活用した『建設技能者の能力評価』は、システムに蓄積される就業履歴や保有資格といった登録データを活用して、それぞれの技能者が持つ力量を4段階でレベル分けする仕組み。制度としての枠組みを示す『建設技能者の能力評価制度に関する告示』と、より詳細な実施スキームなどを記す『同ガイドライン』に沿って、実施機関である専門工事業団体が、レベル分けのルールとなる職種ごとの『能力評価基準』の認定を国に申請。それが認定されると、それぞれの技能者の力量を見える化する『技能者の能力評価』が制度として動き出す。」(『建設通信新聞』2019.02.14)
●「全国建設業協会(近藤晴貞会長)は、各都道府県建設業協会の会員企業を対象に初めて実施した、『外国人労働者に関する実態調査』の結果をまとめた。外国人労働者の雇用状況については1割弱が技能実習生などを受け入れている。新たな在留資格である『特定技能1号』に対しては約2割が『活用したいと考えている』と回答。外国人労働者受け入れに当たっての課題では、『日本語能力の充実』への回答割合が最も高い。調査は、一定の専門性、技能を持つ外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、今後の対応を検討する際の基礎資料とするため1月に実施。各建協の全会員企業1万9018社のうち、2230社が回答した。」(『建設通信新聞』2019.02.14)
●「建設産業専門団体連合会は、日本よりも建設技能者の賃金が高いとされる米国に『調査団』を派遣する。13日に会見した才賀清二郎会長は『実際にどれだけの賃金が支払われているのか、米国の実態を把握することで、国内における技能者の処遇の改善につなげることができる。今後の施策・政策の提言に生かせる部分も出てくる』と、その狙いを説明した。調査団は、躯体、コンクリート圧送、型枠、鉄筋、左官の計5職種から選抜した若手リーダーなどで構成。国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課の大井裕子専門工事業・建設関連業振興室長が同行する。…調査団の団長を務める芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授は『米国の職人の賃金は日本よりも格段に高い。1人前の職人であれば年収ベースで1000万円ということも決して特殊なことではない』と指摘。『そうした仕組みが成り立つ背景には、日本にはない法律的な仕組みが存在していることも事実だが、決して制度的なバックアップだけで高い処遇を実現しているわけではない。いわゆるユニオンワーカーであっても、(1人前の職人として)勝ち残るために絶えず研さんを積んでいる。(業界として)そういうことを感じ取ることができるはず』と話す。」(『建設通信新聞』2019.02.15)

建設産業・経営

●「政府は1日、中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループを開き、長時間労働につながる商慣行に関するウェブ調査の結果を公表した。建設業では全産業で最多となる93%に繁忙期が発生していると回答。『取引先の大企業の時短対応のため、丸投げが増えた』という声も上がっている。政府は2月中に課題への対応策をまとめ、自主行動計画の改定要請や下請ガイドラインの改定など働き方改革関連法施行に向けて前倒しで対策を実施していくことを決めた。」(『建設通信新聞』2019.02.05)
●「大成建設が7日発表した2018年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比23%減の622億円だった。前年同期は完成が近い大型案件で追加工事を多く獲得し、その反動が出た。20年の東京五輪に向けた建設ラッシュによる人手不足で労務費が上昇したほか、鋼材やセメントが値上がりしたことも響いた。売上高は1%増の1兆975億円だった。首都圏の再開発などの手持ち工事を順調に消化。建築事業が3%増の7308億円、開発事業が3%増の748億円だった。」(『日本経済新聞』2019.02.08)
●「大手・準大手ゼネコン26社の2019年3月期第3四半期決算が14日、出そろった。各社とも近年の潤沢な手持ち工事を順調に消化しており、17社の連結売上高が前年同期比増となり、うち8社が第3四半期過去最高を記録した。営業利益では、19社が好調だった前年同期は下回ったものの、単体の完成工事総利益(工事粗利)率は17社が2桁台となるなど安定感が出てきた。売上高が過去最高だったのは、大林組、鹿島、長谷工コーポレーション、五洋建設、フジタ(単体)、東急建設、飛島建設、東鉄工業。特に大林組は売上高、営業利益、経常利益が5年連続、純利益が4年連続の過去最高となった。同社は『国内の建築工事の進捗が順調だった。出来高が急激に上がる工期後半の工事が多くなる時期に差し掛かった』としたほか、清水建設も『首都圏の手持ち大型工事の進捗が見込みどおりに進んだ』とするなど、各社とも国内建築工事の消化が順調に進んだ。」(『建設通信新聞』2019.02.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●大手サブリースのレオパレス21(東京都中野区)が開発・販売したアパートで新たに1324棟で建築基準法違反の疑いが発覚した問題で8日、同社は3月末までに退去するよう入居者に要請を始めた。違法建築の疑いが見つかった物件には、計1万4443人が入居しており、アパートの所有者は同社の対応に不安と怒りをつのらせている。同社が退去を求めているのは、早急に改修が必要な天井工事を伴う641棟の7782人。入居者の転居費用について、レオパレスの物件に引っ越す場合は、原則として敷金や礼金などは支払わないと発表したものの、その後「払う」と訂正した。新たな施工不良が見つかったのは1996~2001年に着工した33都府県の1324棟の物件。天井の耐火性能が国の基準を満たしておらず、外壁や屋根裏などに設置する延焼や音もれを防ぐ壁(界壁)に使われる素材が建築基準法の規定とは異なるものが使用されていたなど同法違反の疑いがある。会見で深山英世社長は「当時の順法性に対する意識と施工管理のぜい弱さがこういう結果になった」と説明。同社対策本部責任者の平坂弘幸氏は「基本的に協力業者が施工して社員が確認検査をするが、社員のレベルがまちまちだった」と述べた。同社のアパートで違法建築の疑いが見つかった問題は、昨年5月にアパート所有者らの指摘で発覚。アパート所有者らでつくる「LPオーナー会」の前田和彦代表は「監督責任を下請け業者に押し付けているような印象だ。建築技術の知識のなさと施工技術のおろそかさの実態が浮き彫りになった。住人やオーナーヘの全額補償は当然だ。行政の完了検査もまったく機能していないことも問題。行政のチェック機能が根本的に変わらないと問題は解決しない」と指摘する。(『しんぶん赤旗』2019.02.09より抜粋。)

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