情勢の特徴 - 2019年3月前半
●「中小企業庁は4日、長時間労働を生む繁忙期や短納期受注の発生・対応状況に関する調査結果を発表した。繁忙期の発生率は建設業が93.4%と業種別で最も高く、行政や建設業と取引が多い技術サービス産業(調査、設計など)は71.7%。いずれも繁忙期の特徴として発注や納期の『年末・年度末集中』を挙げている。」(『建設工業新聞』2019.03.05)
●「国土交通省はインフラの海外展開について、鉄道駅周辺整備に特化した調査検討に乗りだす。駅前広場など駅周辺の公共施設が都市開発に与える効果を調査。鉄道整備が進むインドや東南アジアなど新興国へのアピールにつなげる。現在、調査検討業務を支援する事業者を選定している。…国交省は鉄道網の拡充とともに、駅前の利便性向上や活性化が進めば、周辺の都市開発にも弾みが付き、日本のデベロッパーなどが進出する余地が生まれるとみている。検討調査の支援業務では、新興国の政府関係者の理解を深めるため、駅周辺整備をはじめとする公共交通一体型の都市整備を効果的に進めるポイントを整理する。文献の翻訳や、現地でのセミナーの企画・開催も支援する。」(『建設工業新聞』2019.03.07)
●「内閣官房国土強靭化推進室は、19年度予算案で国土強靭化関連施設に関係府省庁が計上した予算額の内訳を公表した。関係府省庁が計上した総額は前年度比40.3%増の5兆3056億円。このうち大部分を占める国土交通省が計上した総額は27.5%増の3兆7044億円だった。」(『建設工業新聞』2019.03.07)
●「国土交通省は、土木工事・業務における積算基準等を改定する。柱となるのは、新技術の導入に要する現場経費(外注経費など)の増加を踏まえた現場管理費率の見直しなど。週休2日の実施に対する労務費や機械経費、間接費(共通仮設費・現場管理費)に対する補正係数は継続する。4月1日以降に契約する工事・業務から適用を開始する。i-Constructionの推進など、新技術の導入を背景に増加傾向にある現場経費(外注経費等)の実態を積算基準に反映。ICT施工の活用の有無に関わらず、ベースとなる現場管理費率を割り増す。」(『建設通信新聞』2019.03.13)
●「国土交通省は、直轄工事を対象に『週休2日』の推進に力を入れる。『現場閉所』を条件に、現場単位での休日の確保を促していく従来の仕組みだけでなく、現場に従事する技術者・労働者単位で休日の確保を促す『交替制』の導入が必要と判断。建設現場における働き方改革の推進へ、新たに『週休2日交替制モデル工事(仮称)』の試行に踏み出す。」(『建設通信新聞』2019.03.04)
●「労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)勤労者生活分科会の中小企業退職金共済部会は1日、東京都内で開いた会合で中小企業退職金共済法の改正案を審議し、妥当と認めた。建設業退職金共済制度(建退共制度)の掛け金納付について、共済手帳に証紙を貼る従来の方法に加え、電磁的方法を可能にするのが改正の内容。確実な掛け金納付を促進し、退職金の充実につながると期待されている。」(『建設工業新聞』2019.03.04)
●「厚生労働省は、2019年度に創設する墜落制止用器具(安全帯)の買い替え費補助制度の要件を固めた。身体の複数個所を支持するフルハーネス型安全帯を経費で購入する中小企業の社員を対象に、1セット当たり半額を補助。建設現場で働くユーザーの実態に配慮し一人親方も支援対象とする。補助制度は20年度まで重点的に行う予定だ。」(『建設工業新聞』2019.03.04)
●「厚生労働省は、2018年(1-12月)の職場での熱中症による心象災害発生状況(19年1月15日時点、速報値)をまとめた。休業4日以上の死傷者は1128人、死傷者のうち死亡者は29人で死傷者数、死亡者数とも前年の2倍以上となった。このうち建設業は、死傷者数が前年比84人増(59%増)の225人、うち死亡者数は2人増(25%増)の10人となっている。建設業での死傷者数は、主要8業種の中では最も多く、全体の約20%を占める。死傷者数の大幅増加は、18年の夏の記録的な猛暑が要因とみられる。全産業では死傷者数、死亡者数とも前年と比べ2倍を超えたが、建設業の死傷者数は約1.6倍にとどめた。厚労省は『屋外作業である建設業では熱中症対策が浸透してきている』(労働基準局安全衛生部)とみている。ただ、産業全体では職場での熱中症対策がまだ十分に浸透しきっていないとして、熱中症予防対策の徹底に向け、3年連続してキャンペーンを実施する。」(『建設通信新聞』2019.03.06)
●「東京五輪の開催に伴う一時的な建設需要への対応を目的に2020年度までの時限的な措置として展開している『外国人建設就労者受入事業(特定活動)』の受け入れ企業などが、新たな在留資格『特定技能』の活用に積極的な姿勢を見せていることが、国土交通省の調査によって分かった。特定技能に対する一定のニーズが明らかになった形となる。調査は、外国人建設就労者の受け入れを行う特定監理団体と受け入れ企業を対象に外国人建設就労者や技能実習生の雇用や賃金の状況など現状の実態を把握する目的で実施。1月10日から2月6日にかけて行った調査にそれぞれ139団体(84.8%)、736社(48.3%)が回答した。特筆すべきは、外国人建設就労者に対する期待として、今後も『建設技能者として引き続き国内で就労する人材になってほしい』という回答が9割以上(92.7%)に達していることだ。」(『建設通信新聞』2019.03.11)
●「国土交通省は、2019年度の直轄工事で建設現場の熱中症対策をさらに進める。気候や施工期間に応じて工事現場の安全対策に必要な経費として現場管理費を補正する。主な工種が屋外作業の工事を対象とし、地域を問わず全国で適用する。工事期間中の真夏日(最高気温30度以上)の日数に応じて設計変更時に現場管理費を補正し精算する。」(『建設工業新聞』2019.03.13)
●「外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法(入管法)に基づき創設する新たな在留資格制度(特定技能)の4月の導入に向け、業界団体などで構成する『共同団体』の内容が固まった。名称は一般社団法人『建設技能人材機構』(JAC)。理事長には建設産業専門団体連合会(建専連)の才賀清二郎会長が就く。4月1日に設立総会を開く。」(『建設工業新聞』2019.03.15)
●「国土交通省は、生産性革命『貫徹の年』に位置付ける2019年度の取り組みとして、工事全体でICTの活用を進める。『土工(盛土・切土、法面整形工)』や『舗装工(路盤工など)』といった工事の一部にICT施工を用いる“部分適用”から、1つの工事全体を一貫してICT化する“全面適用”に踏み出す。そのために必要な技術基準の策定に取り組んでいく。」(『建設通信新聞』2019.03.05)
●「地震による火災で大規模な延焼の恐れがある密集市街地を抱える都府県のうち、2020年度までの解消にめどを立てたのは2割強にとどまることが日本経済新聞社の調査で分かった。住民との調整に手間取り、延焼を防ぐ道路整備などの対策が遅れている。東日本大震災から8年を迎えるが、地域の防災対策への課題が浮かび上がる。」(『日本経済新聞』2019.03.11)