情勢の特徴 - 2019年4月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「経済産業省中小企業庁は2日、中小企業政策審議会を開き、2019年度に講じる中小企業に関する施策・制度をまとめた。今国会に提出している改正中小企業強靭化法案で新設する事業継続力の強化に向けた計画認定制度や社外の高度人材を活用して行う事業計画の認定制度の内容を規定。事業継承、人材不足、頻発する災害対応を主眼に置き、予算・税制もあわせて、総合的に持続的発展を支援する。」(『建設通信新聞』2019.04.03)
●「国土交通省は5日、官民一体となったインフラシステムの海外展開に向けた取り組みの指針となる『国土交通省インフラシステム海外展開行動計画2019』を決定した。『川上』から『川下』まですべての段階を通した政府の関与強化を掲げ、日本企業がプロジェクトに参入しやすい環境構築に取り組むことを強調。プロジェクト獲得後も継続的に関与する方針を示し、運営・メンテナンスや経営への参画を支援する。今後注視する海外の主要プロジェクトには、計83件を選定。ヤンゴン内環状道路整備事業など新規18事業を追加した。」(『建設通信新聞』2019.04.08)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、地方自治体にダンピング(過度な安値受注)対策の徹底を促す。低入札価格調査基準(調査基準価格)の設定範囲を『75-92%』に引き上げたことを受けて、3月29日に総務省と連名で都道府県や政令市といった自治体にダンピング対策の徹底を要請。低入札価格調査制度や最低制限価格制度の適切な活用など、実効性ある対策の実施を求めていく。出発点となっているのは、予定価格の70-90%となっていた従来の設定範囲を『75-92%』に引き上げる直轄工事における低入札価格調査基準(調査基準価格)の改定。3月28日に『中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデル』が改正されたことを受けて、自治体にダンピング対策の徹底を促す。特に設定範囲の上限値が引き上げられる、今回の見直しを踏まえた、低入札価格調査基準や最低制限価格の適切な運用を要請。ダンピング対策の一層の進展を狙う。上限値の引き上げに注目が集まる一方で、下限値の『75%』への引き上げが、国の算定式を参考にする自治体の発注工事にもたらす効果も大きい。設定範囲の下限値(予定価格の70%)をそのまま最低制限価格としてきた自治体にとっては、直接的に“基準値”が引き上げられることになるからだ。」(『建設通信新聞』2019.04.01)
●「国土交通省は、直轄工事における成績評定の運用を見直す。災害対応など緊急的な対応が求められる工事への確実な評価を打ち出す一方で、受注者に過剰な書類作成を促すような表現を削除。添付や提出が不要となる書類を明示することで、工事書類の簡素化にも力を入れる。既に各地方整備局に通知。1日以降に入札公告する工事から適用を開始した。」(『建設通信新聞』2019.04.03)
●「国土交通省は、直轄工事を対象に『週休2日』の普及・定着に取り組む。そのための手段として、労務費(労務単価)に対する“週休2日補正”の継続や、適切な工期設定の推進など、焦点となっている『費用』と『工期』の両面から、受注者である建設企業の取り組みを後押しする方針だ。『週休2日交替制モデル工事』の試行など、新たな対応にも乗り出す。1日以降に入札手続きを開始した工事に適用する“週休2日対応”の取り扱いとして、補正係数の導入(継続)や、『週休2日交替制モデル工事』の試行、適切な工期設定の推進に取り組む。3月29日付で関連する3本の通知を各地方整備局に送付した。受注者である建設企業が『働き方改革』の推進に取り組むことができる環境の整備として、対象期間(工事着手から工事完成まで)の現場閉所の状況に応じて『労務費』『機械経費(賃料)』『共通仮設費』『現場管理費』に乗じる補正係数の導入を継続。必要経費の計上に取り組むことで、建設現場における『週休2日』の普及・定着を狙う。」(『建設通信新聞』2019.04.05)
●「地域経済活性化の観点からPPP/PFI事業の普及策を議論してきた内閣府の有識者会議は9日、地域企業の参画促進を柱とする提言を発表した。地域の課題や二-ズに精通した企業の事業参入が増えれば、地域活性化の潜在力を最大限引き出しやすくなると指摘。PPP/PFI事業に携わる国や地方自治体、専門家団体など関係機関に対し地域企業の参画を後押しするよう求めた。」(『建設工業新聞』2019.04.10)

労働・福祉

●「新たな在留資格『特定技能』を新設する改正出入国管理法が4月1日から施行される。人材不足が深刻な14業種を対象に、一定の技能と日本語能力のある外国人に日本での就労を認める。単純労働での外国人材活用に門戸を開く。初年度となる2019年度は最大で4万7550人、5年間で約34万5000人の外国人労働者の受け入れを見込んでいる。」(『日本経済新聞』2019.04.01)
●「国士交通省は3月29日、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した建設技能者の『能力評価制度』に関する告示とガイドラインを公表した。制度の大枠を告示に、詳細をガイドラインに明記。告示で建設技能者を『建設工事の適正実施に必要な技能を有し、CCUSに登録した者』と定義した。CCUSの本運用開始と同じ1日に施行する。」(『建設工業新聞』2019.04.01)
●「新たな在留資格『特定技能』の創設に伴う建設分野における外国人材の受け入れへ、オール建設業界が協働する新法人『建設技能人材機構』が1日に設立した。同日に東京都港区の機械振興会館で開いた第1回の総会(設立総会)で、建設分野における共同ルールとなる『特定技能外国人の適切かつ円滑な受入れの実現に向けた建設業界共通行動規範』決めた。才賀清二郎理事長(建設産業専門団体連合会会長)は『外国人の適正かつ円滑な受け入れの実現に、それぞれの団体が相互に協力して受入事業を実施していく必要がある』と強調。『その代表として先頭に立って取り組んでいく』と力を込めた。新たに設立された建設技能人材機構は、特定技能外国人の受け入れに関する共同ルール(建設業界共通行動規範)の策定・運用や技能評価試験の実施に関する業界団体の調整、外国人材の入国前後のサポート(外国人の応募・試験・選考など)を一体的に行う。『建設業の将来を支える人手の確保』という目的を果たすためのプラットフォームとしての機能を担う。」(『建設通信新聞』2019.04.02)
●「全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は2019年度の働き方改革への取り組みについて、1日付で都道府県建設業協会会長宛に活動の周知を要請した。昨年4月に始めた毎月の休日を前年実績から1日増やす『休日 月1+(ツキイチプラス)』 運動の実施と社会保険加入対策、公共工事設計労務単価の改定を受けた対応の3項目。前年度に続く要請で、会員企業に積極的な取り組みを求めている。」(『建設工業新聞』2019.04.02)
●「週休取得を増やすには適正な工期の設定が不可欠―。東日本建設業保証(東保証、三澤眞社長)が実施した地域建設業の実態アンケートによると、週休取得を増やすために効果的と思われる対策の回答の上位3項目に『適正な工期(余裕ある工期)の設定』『現場に関わる人手の確保』『発注者への提出書類の簡素化・削減』が挙がった。」(『建設工業新聞』2019.04.05)
●「厚生労働省は建設業の労働災害防止対策として、2019年度に官民の受発注者が推進する施策を決めた。引き続き建設業の死亡災害で最も多い墜落・転落災害の対策に注力。現場で労働安全衛生法令に適合する足場の設置や、身体の複数箇所を支持するフルハーネス型墜落制止用器具(安全帯)の着用を徹底して進める。18年度に全国で相次ぎ発生した現場の火災対策などにも注力する。」(『建設工業新聞』2019.04.08)
●「厚生労働省は2019年の賃金構造基本統計から、外国人労働者の賃金や労働時間の調査を始める。これまでは別の調査で外国人の労働者数や雇用する事業者数などを調べていたが、労働条件を詳しく調べるのは初めて。外国人は4月から新たな在留資格での受け入れが始まった。増える働き手の処遇を把握し雇用環境の改善につなげる。」(『日本経済新聞』2019.04.09)

建設産業・経営

●「日本建設業連合会(山内隆司会長)は、『建設業における「収益認識に関する会計基準」の研究報告』をまとめた。2021年度から建設業各社は『収益認識に関する会計基準』(新基準)へ移行する必要があることから、『収益認識の単位』『履行義務の充足による収益の認識』など7つのテーマごとに、新基準を建設業に当てはめた場合の解釈や、注意点などを整理している。建設業の収益認識(売上高に関する会計処理)は現在、『工事契約に関する会計基準』に則って、工事進行基準などの会計処理を実施しているが、コンバージェンス(会計基準の共通化)の一環として、IFRS(国際会計基準)に現行の日本の会計基準を合わせるため、18年3月に企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した新基準に移行する必要がある。」(『建設通信新聞』2019.04.05)
●「後継者がいないなどとの理由による『人手不足関連倒産』が建設業にも影を落としている。東京商工リサーチの調査によると、2018年度の人手不足関連による倒産は前年度比28.6%増の400件となり、13年度の調査開始以来、最多を更新した。要因は『後継者難』が全体の7割弱を占める。建設業は4.1%増の75件で、サービス業他の105件に次いで多い。東日本建設業保証が地域建設業を対象に実施した調査でも事業継承の課題は『後継者・人材不足』が上位を占めており、建設業界の持続的な発展に向けて、経営者の確保・育成が大きな課題になっている。」(『建設通信新聞』2019.04.09)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省がまとめた2018年度第3四半期(18年10~12月)の建築物リフォーム・リニューアル工事の受注額は、前年同期比で1.8%減の3兆0183億円となった。内訳は住宅1兆0726億円(前年同期比6.4%増)、非住宅1兆9457億円(5.8%減)。受注件数は261万0117件(9.0%減)で、このうち住宅が182万7703件(10.8%減)、非住宅が78万2415件(4.5%減)だった。」(『建設工業新聞』2019.04.05)
●「津波被害の恐れがある全国672市区町村のうち、浸水想定区域や高台までの経路などを示した避難計画を作成したのは昨年12月時点で97.5%(655)だったことが総務省消防庁の調査で分かった。一方、自治会単位などエリアを絞り、内容を詳しくした地区計画は65.0%(437)が未作成だった。消防庁は命を守るのに必要だとして、両方の早期策定を促している。」(『日本経済新聞』2019.04.08)
●「国土交通省は、大規模自然災客の発生を想定した空港機能の確保対策をまとめた。昨年、台風や地震で関西国際空港(大阪府泉佐野市)と新千歳空港(北海道千歳市)の運営に支障が出たことを教訓に、機能確保の課題を抽出した。緊急着手が必要なハード対策に護岸のかさ上げなどを列挙。ソフト対応策には国による空港の運用などで専門知識を持った職員を、緊急災害対策派遣隊(テックフォース)として派遣することなどを盛り込んだ。国交省が設置した『全国主要空港における大規模自然災害対策に関する検討委員会』(委員長・家田仁政策研究大学院大学教授)の議論の成果を取りまとめた。」(『建設工業新聞』2019.04.11)

その他