情勢の特徴 - 2019年8月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「各省庁が月末までに財務省へ提出する2020年度予算概算要求で、国土交通省の基本方針が1日、明らかになった。『被災地の復旧・復興』『国民の安全・安心の確保』『生産性と成長力の引き上げの加速』『豊かで暮らしやすい地域づくり』の4点が柱。ストック効果を重視した公共投資で経済成長を図り、経済再生と財政健全化の双方を実現するため必要な公共事業予算を安定的、持続的に確保する。」(『建設工業新聞』2019.08.02)
●「政府は、地方公共団体が実施する国土強靭化地域計画の施策・事業を対象に、2020年度から国土交通省など9府省庁が所管する補助金・交付金の重点配分や優先採択などの重点化を行う。現在は交付の判断で一定程度配慮するとしており、対応を強化することで、市区町村の同計画策定を加速化する。20年度から府省庁ごとに補助金・交付金の配分結果を取りまとめ、公表する『見える化』も行う。21年度には、重点化からさらに一歩進んで要件化を検討する。」(『建設通信新聞』2019.08.05)
●「内閣府が9日発表した2019年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算では1.8%増だった。プラス成長は3四半期連続。改元に伴う大型連休で個人消費が伸びたほか、設備投資も増えた。米中貿易摩擦の影響で輸出は停滞が続いたが、内需が経済を下支えした。…GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.6%増で、3四半期連続のプラスとなった。4月末から5月にかけての10連休で、旅行などレジャー関連の消費が盛り上がった。新型車の発売が相次いだ自動車の販売も好調だった。5~6月に気温が高めに推移したことで、エアコンが早めに売れ出したこともプラスに働いた。内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増えた。建設関連の需要が強く、1~3月期の0.4%増から上昇幅が拡大。サービス業を中心に人手不足に伴う省力化投資も引き続き活発だ。公共投資は1.0%の増加。18年度の補正予算が執行段階に入り、伸びにつながった。GDPの伸びに対する内需の寄与度は全体で0.7ポイントのプラスだった。外需は中国や欧州など海外経済の減速で弱い動きが続いた。輸出は0.1%減で、2四半期連続のマイナスだった。米中の貿易摩擦などから海外での需要が減速し、半導体製造装置や金属加工機械などの中国向け輸出が落ち込んだ。…4~6月期のGDPは生活実感に近い名目でみると前期比0.4%増。年率換算では1.7%増だった。4~6月期は物価が伸びず、名目の成長率が実質をわずかに下回った。」(『日本経済新聞』2019.08.09)

行政・公共事業・民営化

●「2040年ごろの地方自治体の行政課題と対応方策を話し合う政府の第32次地方制度調査会(首相の諮問機関)は7月31日、中間報告をまとめた。生産年齢人口(15~64歳)が減少し、インフラの維持管理を担う人材も減少傾向にある現状を指摘。今後も市町村がインフラの維持管理や更新を着実かつ効率的に行えるよう、複数の市町村連携による共同実施体制の構築などを訴えた。中間報告では40年ごろまで人口減少が急ピッチで進んでいくとした調査結果を紹介。生産年齢人口は40年時点で5978万人と、15年時点の7728万人より1750万人も減ると見通した。老朽化の進行などで適切な維持管理や更新が必要となるインフラが増える中、既に土木・建築分野の労働力は減少傾向にあると警鐘を鳴らした。担い手不足を踏まえ、インフラの維持管理を着実かつ効率的に行える実施体制の構築を提案。特に予算と人材が制約される市町村の体制に考慮し、近隣市町村との連携による共同実施や都道府県からの支援を求めた。…インフラの施設種類別に維持管理の進め方もまとめた。公共建築物は将来の人口減少や高齢化、利用者数を考慮し、適正な立地を実現できる枠組みが必要になると指摘。延べ床面積ベースでストックの大部分を占める学校施設は民間活力の導入も視野に入れつつ、多機能化や他用途への転用を求めた。」(『建設工業新聞』2019.08.01)
●「政府は公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)が改正されたことを踏まえ、発注者の共通ル-ル『運用指針』を見直す。8日に関係省庁連絡会議の幹事会を開き、運用指針の改正骨子案をまとめた。国土交通省が地方自治体や建設業団体に同日付で送付し意見照会を開始。寄せられた意見を反映した運用指針案を今秋までに作り、年内をめどに決定する。2020年度から新たな運用指針に基づく発注事務を開始する。」(『建設工業新聞』2019.08.09)

労働・福祉

●「中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は31日、2019年度の最低賃金の引き上げを決めた。東京都と神奈川県は時給1千円を超え、19年度と同じ上昇率が続けば全国平均も23年度ごろに1千円台にのる。最低賃金に近い水準で働く人は女性や中小企業の従業員に多い。引き上げで所得と消費が増え、生産性も高まるという『1千円時代』の好循環を実現できるかどうかは女性と中小企業がカギを握る。最低賃金は4年連続で約3%の引き上げとなった。所得拡大で消費を後押しする狙いだが、これまでの効果は今ひとつだった。なぜか。パートやアルバイトで働く人の時給は最低賃金と連動する。過去3年の引き上げでパートの時給 (1~3月)は4年前と比べ8.7%上昇した。だが、パート全体の所得総額の伸びは1.6%にとどまる。働く人は増えたが、1人当たりの労働時間が大きく減ったためだ。より短時間、低めの時給で新たに働き出す人が増えている。背景には2つの変化がある。一つはパートの高齢化だ。65歳以上のパートは18年に340万人と4年前より4割増え、パート全体の2割強を占める。時給アップが呼び水となり、年金を受け取りつつパー十で働き出した。…もう一つは現役世代の主婦の就労調整だ。…会社員の夫に扶養される60歳未満の妻(3号被保険者)は収入が基準以下なら年金や医療の保険料を負担しなくてよい。このため時給が上がると保険料負担が生じないよう働く時間を収入基準内に減らす人が多い。」(『日本経済新聞』2019.08.01)
●「建設キャリアアップシステムの本格運用に合わせ、登録基幹技能者の意義について再び注目が集まっている。登録機関技能者は同システムの最高位に位置付けられているにもかかわらず、その技能を活用し評価される機会が限られているため、給与を始めとする待遇面に反映されず、資格取得へのモチベーションが薄れているという現状が背景にある。技能労働者の高齢化、若手不足が顕在化する中、専門工事業が産業として健全に発展していく上で、キャリアパスを見通せることも重要な要素となっている。」(『建設通信新聞』2019.08.01)
●「国土交通省は、建設分野における在留資格『特定技能』での外国人材受け入れに当たって、受け入れ希望企業からの提出を求めている『建設特定技能受入計画』をことし4月の制度開始以降で、初めて認定した。認定を受けたのはコンクリート圧送などの5企業で、受け入れる9人の計画で、認定日は7月30日。今後、出入国管理庁による在留資格の認定や変更許可の審査など所要の手続きを経て、就労を開始する。建設分野における特定技能での外国人の受け入れを希望する企業は、外国人への報酬額などを記載した建設特定技能受入計画を国土交通相に提出し、認定を受ける必要がある。主な審査基準は、同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うことや月給制で報酬を安定的に支払うこと、建設キャリアアップシステムへの登録、特定活動の外国人就労者数を含む1号特定技能外国人の数が常勤職員の人数を超えないことなど。」(『建設通信新聞』2019.08.01)
●「国土交通省は、登録基幹技能者を認定するための講習を実施する職種として、新たに『土工』を追加することを明らかにした。5日に講習の実施機関として日本機械土工協会を指定する。ICTにより生産性向上が進む中で、多能工的な役割を担いつつ、全体をマネジメントできる『登録土工基幹技能者』の確保・育成・活用に取り組むことで、工事全般に関する生産性をさらに高める狙いだ。目標育成数は初年度で200-400人、5年目で6000人を設定し、最終的には2万人の育成を目指す。」(『建設通信新聞』2019.08.05)
●「厚生労働省と法務省は外国人技能実習生の就労環境を改善させるため監視を強める。在留外国人の3割を占める中国を含めた15カ国と協定を結び、悪質な仲介業者を実地調査し、排除する。日本側でも違法な長時間労働を実習生に強いる悪質な事業主を監視するため調査要員を大幅に増やす。人手不足の現場で実質的に貴重な戦力とみられている実習生。政府は劣悪な職場の改善にようやく動き出す。…政府による総合的な対策の柱の一つは悪質な仲介業者の排除だ。実習生が借金で高額な保証金を母国の仲介業者に払って日本に渡航する例が問題になっている。実習生が希望する業種に送り出さない業者も多いとされる。悪質な仲介業者を探り出し、母国の担当機関の業者リストから除外する。…実習生の情報管理も厳しくする。劣悪な労働環境や多額の借金に耐えきれず、仕事を途中で投げ出して失綜する実習生は17年末までの5年間でのべ2万6千人に上った。実習生の氏名・性別、国籍などを公共職業安定所(ハローワーク)に届けるよう事業主に義務付けているが、在留カード番号も追加する。…在留カード番号を届け出れば、ハローワークを通じて厚労省が把握できる実習生の雇用管理と、法務省の出入国管理システムとの連携が円滑になる。…日本の事業主も監視を強める。技能実習生を雇う事業所の7割強で残業代の未払いなどの違法行為が発覚している。違法な長時間労働もはびこっているとされる。悪質な事業主を摘発しやすくするため、事業所の監視を担当する外国人技能実習機構(東京・港)の調査機能を拡充する。」(『日本経済新聞』2019.08.08)
●「副業や兼業をしやすくするため、労働時間の管理を柔軟にしようとしている規制緩和が難航しそうだ。政府は全ての職場での労働時間を通算する現行制度の見直しを閣議決定したが、過重労働につながるとの声もあり、厚生労働省は慎重な姿勢を示している。今秋にも議論が本格化するが、決着は見通せない。現在、労働基準法では労働者保護のため、複数の職場で働く人の労働時間を通算することを定めている。同法に基づき1948年には局長通達で、複数の企業で働く人も労働時間を通算管理するよう定めた。政府は6月に決定した規制改革実施計画で、副業と兼業を後押しするため『労働時間の把握・通算に関する現行制度の適切な見直し』を明記。厚労省の検討会で議論し、労使や有識者で構成する労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で早期に結論を出すよう求めた。検討会は8日に報告書を公表した。単月100時間未満を上限とする残業規制について、事業主が健康確保に取り組むことを前提に、他の仕事の時間と通算せず『事業主ごとに上限規制を適用する』ことなどを示した。労基法では法定労働時間を超えた場合に割増貨金を支払う必要があるが、この仕組みも見直す。現在は副業側の事業主が割増賃金を支払う必要があるが『各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付ける』とした。ただ、いずれの案も最後に『考えられる選択肢の例示』との文言を明記した。労働基準局監督課は結論を出す時期も『労政審で議論を深めていただくので、いつまでにということは申し上げられない』と説明し、決定に慎重な姿勢を示した。」(『日本経済新聞』2019.08.09)
●「厚生労働省は、建設業の一人親方を対象として、2018年度に実施した働き方の実態に関するアンケートの結果をまとめた。労災保険の特別加入制度に加入しているまたは加入予定は8割を占めた。厚労省は『高い水準』とみている。一方、元請けに安全経費の見積もりを提示したことがない人は2割いた。『安全経費があることを知らない』との意見もあり、周知が十分ではない状況が浮かび上がった。8日に開いた労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会に示した。調査は、『建設工事従事者の安全および健康の確保の推進に関する法律』(建設職人基本法)の基本計画に基づき、一人親方に対する特別加入制度への加入の積極的な促進や、業務の特殊性、作業の実態を踏まえた安全衛生に関する知識習得の支援に役立てる目的で実施した。日本建設業連合会、全国中小建設業協会、全国建設労働組合総連合、建設産業専門団体連合会の4団体を経由して25万7000部を配布し、18年12月末までに調査票を回収した4万2384件を分析した。特別加入制度に加入しているまたは加入予定と回答した者のうち、選択している給付基礎日額は5000円が3割で最も多く、6000円と4000円が各1割だった。特別加入制度に『加入していない』のは1割。その理由は、『保険料を負担したくない』『民間保険に加入済み』『特別加入制度を知らなかった』がそれぞれ2割を占めた。仕事の受注方法は、『主に特定の元請けから出来高払いの仕事のみを請け負う』が4割、『特定の元請けから出来高払いの仕事を請け負う以外に、発注者から直接仕事を請け負うことがある』と『主に特定の元請けから材工込みの仕事のみを請け負う』が各2割だった。…元請けまたは注文者との安全経費に関する契約は、4割が『書面で契約しないことが多い』。契約の中で認めてもらっているのは2割だった。」(『建設通信新聞』2019.08.09)
●全国の労働基準監督署が2018年度に監督指導した外国人技能実習生の働く事業場7334カ所のうち、70.4%が労働基準関係法令に違反していたことが分かった。…技能実習生自身の申告で是正されたのは、103件で前年89件から増加したものの、08年の331件から大きく減少している。重大・悪質な事案として送検したのは19件で、15年の46件から3年連続減少した。主な違反事項は、労働時間が1711件(23.3%)、使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準1670件(22.8%)、割増賃金の支払い1083件(14.8%)の順だった。…違反率が高かったのは、食料品製造業73.6%(936件)、建設業71.9%(474件)だった。(『しんぶん赤旗』2019.08.11より抜粋。)

建設産業・経営

●「国土交通省は7月31日、『専門工事企業の施工能力の見える化等に関する検討会』を開き、評価機関となる各専門工事業団体などの検討状況を報告した。各団体ともに企業の基礎情報や施工能力などの評価について、方針が具体化してきたことを確認。評価の基礎となる建設キャリアアップシステムは、さらなる登録促進に向け、活用や運用面での推進方策の検討が必要であるという意見が上がった。」(『建設通信新聞』2019.08.01)
●「上場大手ゼネコン4社の2020年3月期第1四半期の決算がまとまった。大林組と清水建設が連結の売り上げ、利益のいずれも第1四半期決算開示以降で過去最高を記録し、鹿島は売上高、大成建設は純利益が過去最高となった。大林組と清水建設、大成建設の3社は、手持ち工事の消化が順調に進み、増収増益となった。鹿島は利益が大幅に減少したものの『一過性の事象』としており、一部で懸念の声が上がっていた受注競争の激化や労務・資材コストの上昇による利益の悪化はみられない。…各社とも、『業績に影響するほどの資材・労務費の上昇、受注競争の激化はみられない』との見解で一致しており、大手4社の順調さが目立った。」(『建設通信新聞』2019.08.08)
●大手ゼネコン4社の子会社や関連会社が談合やカルテルなど独禁法違反を繰り返しているとして、公正取引委員会が大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設の社長を呼び出し、グループ全体で再発防止策を構築するよう要讃していたことが7日、関係者への取材で分かった。…こうした要請は初めてとみられる。…公取委は7月30日、道路舗装に使うアスファルト合材の販売で価格カルテルを結んだとして、4社の子会社や関連会社を含む大手合材メーカー8社に対し、過去最高額となる総額約400億円の課徴金納付命令などの行政処分を出した。舗装業界ではこの他にも、東日本大震災で被害を受けた高速道路の復旧工事をめぐる談合事件など違反行為が相次いでおり、4社の子会社や関連会社が関わっていた。4社は2005年12月に談合決別宣言をしたが徹底されておらず、公取委は経営トップに直接働きかける必要があると判断したとみられる。4社は取材に対し要請があったことを認めた。(『しんぶん赤旗』2019.08.08より抜粋。)
●「施工不良問題を抱えるレオパレス21が9日発表した2019年4~6月期の連結決算は、最終損益が57億円の赤字(前年同期は9億5700万円の赤字)となり、2年連続の赤字となった。入居率の低下などで主力の賃貸事業が振るわない上、施工不良が判明した物件の補修工事の費用も想定より膨らんだ。売上高は前年同期比12%減の1133億円だった。営業損益は42億円の赤字(同41億円の黒字)に転落した。9日発表した7月の入居率は80.7%だった。前年同月比で約10ポイント低下した6月(81.4%)からさらに下落した。…足元では課題が散見される。まず施工不良問題が収束していない。不備があった物件は7月末時点で2万2139棟と6月末時点から2千棟以上増えた。調査完了時期は10月までになっており計画より4カ月遅れている。調査も全物件の8割程度終わっただけ。市場では『追加工事が必要な物件の数がさらに膨らむ可能性がある』との懸念がある。施工不良に関する会社側の『安全宣言』が出ていないため、入居者がどの程度回復するかも見通せていない。また、施工不良物件の改修工事については、一部案件での工事の完了時期が、想定していた今年7月末から、来年6月にずれ込む見通しだ。」(『日本経済新聞』2019.08.10)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は老朽マンションの建て替えを促すため、敷地売却のルールを緩和する方針だ。現在は耐震性不足が認定された場合のみ所有者の8割以上の賛成で売却可能だが、外壁や配管などが劣化した危険な物件も同条件で対象に加える。こうした物件を放置して住民や周辺に被害が及ばないように、管理組合で自主的に再生しやすくする。敷地売却制度は、敷地を不動産会社などに売却し、住民はその代金を手元に建て替えられたマンションに再入居したり、別の住居に引っ越したりする仕組みだ。国交省は適用できる建物の対象を広げ、耐震性に問題がなくても骨組みや外壁、配管といった設備の劣化や、マンション管理の不備などを加味する方針だ。…国交省は適用対象の拡大によって、1981年6月以降に建てられた、いわゆる新耐震基準の建物の老朽化に対応させたい考えだ。新耐震基準でも築40年超となる建物は2022年末に約25万戸、37年末には約250万戸になると推計される。耐震性だけを基準とした現行制度では、老朽化を理由とした再生に対応できなくなる恐れがある。」(『日本経済新聞』2019.08.03)
●東京電力福島第1原発事故で福島県から愛知、岐阜、静岡の各県に避難した42世帯128人が国と東電に計約14億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、名古屋地裁であった。桃崎剛裁判長は国の責任について、東電に対し津波防護措置を命令しなかったのは「著しく合理性を欠くとは認められない」と、国の責任を否定した。また東電に対し、109人について計約9684万円の支払いを命じ、19人の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。全国で約30ある同様の集団訴訟で12件目の一審判決。国が被告になった9件の裁判で、国の責任を否定したのは千葉地裁の二つの判決に続く3件目。桃崎裁判長は、国は2006年時点で福島第1原発の原子炉建屋がある敷地の高さを超える津波の到来を予見できたと判断。しかし、原告側が主張するタービン建屋の二重扉設置などの津波防護措置は「事故までに完成しなかった可能性が高く」、事故を防げたと認められないとした。また、原告の多くを占める避難指示区域外からの避難者について、最大12年8月末まで合理性を認め、慰謝料額を1人当たり最大100万円が相当とした。(『しんぶん赤旗』2019.08.03より抜粋。)
●「再生可能エネルギーの主力電源化へ向け、経済産業省の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会は5日、今後の政策は大規模と小規模、風力発電とバイオマス発電といった、電源特性に応じて『競争力のある電源への成長が見込まれる電源(競争電源)』と、地域事情を重視する『地域において活用され得る電源(地域電源)』――の2つに分けて進めるべきとの中間整理をまとめた。主力電源化だけでなく地域活性化へ向けきめ細かな政策判断が必要との考えを強調した格好だ。」(『建設通信新聞』2019.08.06)
●「住宅生産団体連合会(住団連、阿部俊則会長)は7月31日、住宅メーカーなどの会員企業の経営者を対象に4~6月の景況判断指数(『良い』の割合から『悪い』の割合を差し引いた数値)に関するアンケート結果を発表した。総受注戸数、総受注金額とも予想を大幅に下回る結果となった。消費税増税前の駆け込み需要が落ち着き、反動減の影響が出た形だ。」(『建設工業新聞』2019.08.06)
●「国土交通省は賃貸住宅などのサブリース(転貸借)事業者に法規制を導入する検討に入った。国への登録を義務化し、将来の家賃収入などについて顧客への説明を必須にする。サブリースでは約束した賃料が顧客に支払われないといったトラブルが目立つ。悪質業者の排除にむけ、2020年以後の早期に新法制定をめざす。サブリースはアパートなどの所有者から建物を一括で借り上げ、長期間にわたり入居者にまた貸しするビジネスだ。事業者が入居者の募集から建物の維持・管理、家賃収納までを担う。アパートなどの所有者が少ない負担で収入を得られるようにするが、近年はトラブルが相次いでいる。特に『安定した家賃収入を保証する』と勧誘され、多額の融資を受けてアパートを建設したケースで問題が多い。事業者から家賃の減額を迫られ、借入金の返済が滞る例もみられる。…サブリースを直接、規制する法律はなく、国交省は事業者に登録を義務付ける新法を検討する。現在も賃貸住宅の管理業者に登録制度があるが、登録は任意だ。全国で約3万社とされる事業者のうち登録は4千社程度にとどまる。登録事業者には守るべきルールを設ける。将来の賃料の変動について取引先に適切に説明したり書面を交付したりすることを求め、将来、賃料が下がることで起きるトラブルを抑える。」(『日本経済新聞』2019.08.11)
●「熊本地震で仮設住宅団地を離れる人が相次ぐ中、孤立防止の取り組みが進んでいる。熊本市は災害公営住宅の入居前後に地元住民との交流会を開き、ご近所付き合いのきっかけづくりを目指す。7月に入居が始まった熊本市中央区の災害公営住宅『大江第二団地』の近くにある公約施設では8月10日、交流会が開かれた。参加したのは入居者11人のほか、自治会役員や市職員ら約20人。4つのグループに分かれ約2時間、メンバー同士の共通点を見つけたり珍しい特技を紹介し合ったりし、その後他のグループに披露した。当初は緊張していた参加者も冗談を言い、次第に和やかな雰囲気になった。」(『日本経済新聞』2019.08.14)

その他