情勢の特徴 - 2019年9月前半
●「環境省は8月30日、2020年度予算の概算要求を正式に公表した。このうち東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で生じた除去土壌などを保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)の施設整備費と管理運営費、施設への除去土壌などの輸送費には5338億円を計上した。20年度は復興・創生期間の最終年度に当たることから、3年や4年の国債を設定して発注した施設整備・輸送工事の後年度負担分を計上した。福島県内の帰還困難区域を除く仮置き場などにある除去土壌などは、21年度までに施設内へおおむね運び入れるとの目標を掲げていることから、『(21年度以降も)切れ目のない輸送と施設内での作業を実施する』(環境省)ため、国債を設定し20年度内に新規発注する『後工事』の予算も盛り込んだ。」(『建設通信新聞』2019.09.02)
●財務省が2日発表した2018年度の法人企業統計調査によると、資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を含む)の内部留保は同年度末449兆1420億円となり、過去最高を更新した。統計で比較可能な08年度以来、毎年度増え続けている。…同日発表された4~6月期の法人企業統計調査によると、金融機関を除く全産業の設備投資額は前年同期比で1.9%増加した。11四半期連続のプラスだったが、米中貿易摩擦の影響などで伸び率は1~3月期(6.1%)に比べて鈍化。製造業では2017年4~6月期以来、8四半期ぶりにマイナスヘ転じた。(『しんぶん赤旗』2019.09.03より抜粋。)
●今年6月時点の生活保護利用世帯は約163万世帯で、うち半数が1人暮らしの高齢者世帯であることが4日、厚生労働省の被保護者調査でわかった。単身高齢者のなかで生活困窮が広がっている実態がうかがわれる。調査によると、6月時点の生活保護を利用した世帯は前年同月より2024世帯少ない163万4303世帯。世帯類型別(保護停止中を除く)にみると、高齢者世帯が前年同月比1万5710世帯増えて89万5514世帯で最多。とくに、高齢者の単身世帯が1年前より1万6871増えて81万8903世帯となり、全利用世帯の半数を占めた。一方、2人以上で暮らす高齢者世帯では生活保護の利用世帯が1年前より1161減っており、単身世帯での増加が高齢者世帯での生活保護利用を押し上げているようだ。(『しんぶん赤旗』2019.09.05より抜粋。)
●「東京都新宿区は、10月1日から公契約条例を施行する。現行の要綱から業務と対象労働者の適用範囲を一部拡大したほか、最低賃金水準額については、新たに区長の付属機関として第3者機関を設置し、適切な額を設定する。適用範囲は、▽予定価格が2000万円以上の工事の請負契約▽予定価格が1000万円以上の業務の委託契約▽指定管理者との公の施設の管理に関する協定――で、10月1日以降に区が公告や指名などを行い締結する契約(特命随意契約を含む)と、施行日以降に締結する協定が対象となっている。労働者の適用範囲は、▽受注者、受注関係者(下請け、再委託など)に雇用され、公契約条例の業務に従事する者(正社員、日雇い労働者、パート、アルバイト、派遣労働者など)▽自らが提供する労務の対価を得るため、受注者、受注関係者との請負契約または業務の委託契約により公契約の業務に従事する者(一人親方)――となる。労働報酬下限額については、区長が付属機関の『新宿区労働報酬等審議会』に諮問した上で告示する。労働者は、下限に満たない支払いを受けた場合、区長か受注者に申し出ができる。」(『建設通信新聞』2019.09.04)
●「国土交通省は、改正建設業法などを踏まえ、民間発注工事の工期設定方法や建設資材の活用状況、技術者・技能者の個人レベルの労働時間の実態調査に乗り出す。同法に基づく規制をより実効性のあるものとするため、現状の実態把握、課題の洗い出しなどを進める。民間発注団体や建設業団体などの関係者と連携して取り組み、働き方改革関連法に基づく時間外労働の上限規制の適用開始までに、長時間労働の是正が実現できる環境を整える。」(『建設通信新聞』2019.09.06)
●「長野県は、技能労働者の処遇改善に向けた新たな施策の方向性を明らかにした。県発注の全ての工事で、労務費や法定福利費を内訳明示した『標準見積書』の活用を促す。建設キャリアアップシステムの導入企業や、常用雇用者に対する月給制の採用企業を加点評価する仕組みも検討する。」(『建設通信新聞』2019.09.12)
●「国土交通省がまとめた2018年の建設業活動実態調査結果(18年10月1日時点)によると、大手建設業者53社(総合建設業33社、設備工事業20社)の常時従業者数は合計で17万1162人と前年に比べ1.5%増加した。前年比プラスは5年連続。技術職は微減(前年比0.0%減)となり、技能職は増加(8.1%増)した。男女別では男性が1.1%増、女性が4.6%増で女性の増加が目立った。」(『建設工業新聞』2019.09.02)
●「建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)は4日、4月に本運用が始まった建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者登録が10万人を突破したと発表した。事業者登録も2万社を超えた。…登録申請をさらに促すため、国土交通省や運営主体の振興基金ではCCUSの普及と周知に全力を注ぐ。初年度に100万人、今後5年間で約330万人の登録を目指す。振興基金によると、8月末時点の累計登録数は技能者10万0916人、事業者2万0312社となった。」(『建設工業新聞』2019.09.06)
●「政府は最低賃金を全国平均で時給1000円に引き上げる目標を実現するため、省庁横断の検討会を今秋に立ち上げる方針だ。最低賃金アップが重荷になる中小企業への支援策を立案しつつ年3%以上の引き上げを続けて早期達成を目指す。パート労働者らの厚生年金加入を増やす制度改革の議論とも連動させ、短時間労働など多様な働き方をする人たちの年金の増額にもつなげる。…検討会では約5兆円ある雇用保険の積立金を使った中小企業支援策などが議論されそうだ。雇用保険には非正規労働者の処遇改善を促す助成金などがある。一般会計でも最低賃金を引き上げた中小企業を対象に、生産性向上のための設備投資に対する助成金がある。これらの増額や要件緩和などが課題となる。最低賃金引き上げに向けた対策の議論は、政府が月内にも立ち上げる社会保障改革案を立案する有識者会議の議論と連動することになる。有識者会議では『全世代型社会保障』の総仕上げとなる改革案を作る予定だ。政府は最低賃金の引き上げによって、公的年金の2階部分にあたる厚生年金に加入するパート労働者が増える効果も狙う。厚生年金が適用されると労使で年収の18.3%という報酬比例の保険料を負担するようになり、加入者が将来もらう年金額も増える。現在、週の労働時間が30時間未満のパート労働者の厚生年金の適用基準は①従業員数501人以上の企業に勤務②週20時間以上働く③月収8.8万円以上――を満たす場合が原則になっている。最低賃金が時給1000円の場合、大企業で週に5日、1日4時間程度働くと厚生年金の加入対象になる計算だ。時給800円の場合に比べ、厚生年金の要件を満たす1日の労働時間は1時間短くなる。最低賃金が上がると、それに応じて厚生年金に加入できるパートが増えることになる。厚生労働省は厚生年金の適用要件のうち企業規模の基準を引き下げて加入対象者を増やすことを検討しており、来年の通常国会への法案提出を目指している。こうした改革と並行して最低賃金を引き上げていけば、年金制度改革との相乗効果で厚生年金の加入対象者を一段と広げる効果が出ると見込んでいる。」(『日本経済新聞』2019.09.11)
●「国土交通省は、安全衛生経費の実態を把握するため、現場で働く一人親方を対象としたヒアリング調査と、自治体・民間の発注者を対象としたアンケート調査に乗り出す。元下間や技能者への行き渡りに重点を置いて調査・検討を進めてきたが、より実効性をもった対策を検討するため、一人親方や自治体・民間の発注者など調査の網を広げて、現状の課題を確認する。調査結果は年末の対策取りまとめに反映し、来年の建設職人基本法の基本計画の見直しにも生かす方針だ。」(『建設通信新聞』2019.09.11)
●「日本建設産業労働組合協議会(鈴木誠一議長)は10日、第2回となる6月の『4週8閉所ステップアップ運動』の結果を公表した。平均閉所日数は『6.51閉所』、前回との比較に用いるために算出している土日・祝日を踏まえて補正した閉所指数は『5.21閉所』となった。全体として改善の傾向にあるが、企業・組合によって取り組みに温度差も見られている。調査は対象となる6月(1カ月間)の現場閉所の日数を集計した。加盟35組合の8割を超す30組合の計3909作業所(土木1820、建築2089)から回答を得た。平均閉所日数は第1回(2018年11月)の実績値と比較して1.05ポイント増の『6.51閉所』、その月の土日・祝日の日数を踏まえて補正した閉所指数は0.36ポイント増の『5.21閉所』だった。多くのゼネコンが『4週6閉所』を目標としていることからすれば、『平均閉所日数の6.51閉所や閉所日数別の分布から、その目標に近い結果になっている』(日建協)と評価する一方で、組合別にみた補正指数の最高値(6.05閉所)と最低値(3.64閉所)に2日を超える差が出るなど“二極化”の動きも見え隠れしている。…昨年11月にスタートした『4週8閉所ステップアップ運動』は閉所による休日の確保と、その延長線にある労働環境の改善が狙い。これまで6月と11月の第2土曜日を閉所する『統一土曜閉所運動』を展開してきたが、国策としての推進が求められる建設業の働き方改革を背景に従来からの取り組みを強化。閉所実績データの経年の推移など、そのデータを生かした活動を展開することで継続して4週8閉所の定着を狙う。」(『建設通信新聞』2019.09.11)
●地方自治体で働く臨時・非常勤職員の多くは2020年4月から「会計年度任用職員」という制度に一本化される。多くの自治体では、労働条件などを定めるための条例案が9月議会に提出される。…制度導入の法改定の際、衆参両院の委員会付帯決議では、現在の臨時・非常勤職員に不利益とならない勤務条件の確保のため、政府が助善し、必要な財源確保に努めることが盛り込まれた。…会計年度任用職員は、「いつまでも非正親雇用」「いつでも雇い止め可能」という劣悪で不安定な状態が続く危険性がある。…国は法案審議にあたって、自治体が独自に定めている採用方法や給与などの労働条件を「適正化する」と説明し、「期末手当の支給を可能とする」などと強調していた。しかし、自治体のなかには、財政負担が増えないようにするため毎月の給与を減額し期末手当に充てるところも相次いでいる。休暇制度では、国の非常勤職員とのバランスを保つとの理由で、自治体独自の休暇の廃止案を示すケースもある。(『しんぶん赤旗』2019.09.11より抜粋。)
●「日刊建設通信新聞社が、建設コンサルタント業務の売上高上位50社程度を対象に実施したアンケートの結果、総合評価落札方式に関して回答のあった37社合計の2018年度での受注金額は前年度比6.3%増の1291億5300万円、受注件数は1.0%減の3803件だった。受注件数を入札件数で割った受注率は全社平均で23.1%となり、前年度から0.9ポイント上昇した。…受注率アップに向けて、技術提案書のブラッシュアップや積算精度の向上に力を注ぐ企業が多い一方、現行では技術点に有意な差がない場合が多く、結果として調査基準価格近傍での価格競争となっていることから、『総合評価』の意味を失っているとの指摘が多くの企業から寄せられた。」(『建設通信新聞』2019.09.02)
●「ゼネコン各社による研修施設整備の計画が相次いでいる。6月に清水建設が約500億円を投じて新たな研究・研修拠点を整備すると発表。東鉄工業も同月、茨城県つくば市に4ヘクタールの用地を取得し、新たな研修施設の整備計画を始動させた。研修施設の計画では『体験型』をうたうゼネコンが目立つ。座学だけでなく、体を動かして学ぶ体験型の研修を加える傾向があり、企業の人材育成もスタイルが変化しているようだ。…主要ゼネコンでは11年以降、新卒採用数の増加傾向が続く。少子化による若年人材の減少、首都圏を中心に相次ぐビッグプロジェクトなどが背景にあり、ゼネコン各社は採用した人材の育成を急いでいる。」(『建設工業新聞』2019.09.12)
●「直近5年間に上昇カーブを描いてきた完成工事高の上位30社における“稼ぐ力=1人当たり営業利益高”が高止まりの気配を見せている。5年間で急激な上昇を示してきた大手5社は、2017年度をピークに減少局面に突入。各階層の推移をみても減少が目立つ。全体の傾向として、従来の上昇基調から『維持・安定』路線に、そのフェーズが移りつつある状況と言えそうだ。」(『建設通信新聞』2019.09.13)
●「首都圏のマンション取引で中古物件が主役となっている。中古の成約件数は新築の供給戸数を2018年まで3年連続で上回った。長く新築が中心だった市場に起きた変化の背景を探ると、首都圏の土地の供給事情と買い手の意識が変わってきたことが浮かび上がる。…東日本レインズによると、18年の中古マンションの成約数は3万7217戸。不動産経済研究所がまとめた新築供給戸数の3万7132戸をわずかながらも上回った。5年前には新築が中古を2万戸も上回っており、中古が主役となる状況が3年も続くのは異例だ。逆転をもたらした原因の一つが新築価格の高騰だ。不動産経済研のデータをもとに計算すると、18年は首都圏の新築の坪単価が平均約290万円で、08年に比べ3割超も上昇した。働き手不足に東京五輪関連の建設も重なり、作業員確保が難しくコストが増大した。東京23区の新築価格は平均7142万円で横ばいだが、これにはカラクリがある。買い手がつきにくくなることを不動産会社が恐れ、面積を狭くして価格を抑えた物件を供給しているのだ。一方、中古の坪単価は東日本レインズのデータをもとに計算すると首都圏で平均約170万円にとどまる。さらに中古は良質な物件が多く供給される時期も迎えている。…買い手の意識の変化も見逃せない。国土交通省の調査で新築と中古のどちらを持ちたいか聞いたところ、『どちらでもよい』との回答は11年度の29.5%から18年度に37.9%まで上昇した。首都圏に限ると17年度に41.1%に達した。特に若い世代は中古への抵抗感が薄れてきており、『リノベーション向けのローンや品質認定制度の普及も購入につながっている』(三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫研究理事)という。」(『日本経済新聞』2019.09.02)
●「国土交通、経済産業両省は2日、改正建築物省エネ法の施行に向けて見直す、住宅などに課すエネルギーの省エネ性能基準の省令案を公表した。改正法により大手事業者の供給住宅対象の『住宅トップランナー制度』に一戸建て注文住宅と賃貸アパートが追加されたことに伴い、それぞれ省エネ性能基準を新設する。目標年次はいずれも2024年度以降とする。」(『建設工業新聞』2019.09.03)
●「2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる東京・お台場の海で、水質への懸念が増している。東京湾には降雨時に河川に放流された簡易処理や未処理の下水が流れ込んでおり、8月のテスト大会で水質悪化によって競技の一部が中止になった。首都のインフラが抱える隠れた弱点が浮き彫りになった。…テスト大会を兼ねたトライアスロンの国際大会(8月15~18日)では、17日のパラトライアスロンのスイムが中止になり、ランとバイクのみで実施された。前日の水質検査で大腸菌が上限値の2倍を超え、国際トライアスロン連合が定める水質基準で最悪の『レベル4』となったのが原因だ。大腸菌の値は17日のうちに基準内に戻り、18日のトライアスロン男女混合材レーではスイムも行われた。西日本を縦断した台風10号の影響で東京都心でまとまった雨が降り、下水処理能力を超えた汚水が会場周辺に流れて一時的に水質が悪化したとみられている。下水道には家庭のトイレやキッチンなどからの汚水と雨水を同じ管で流す『合流式』と別々の管で流す『分流式』があり、東京23区の8割は合流式だ。合流式は雨量が一定量を超すと処理が間に合わなくなり、塩素による簡易処理で河川への放流が行われる。さらに雨量が増すと簡易処理も追いつかず、未処理のまま放流する下水が生じる。17年度、23区内にある合流式の処理施設11カ所から簡易処理で放流された下水の総量は1億7千万立方メートルに上る。未処理で放流された下水の量は把握すらできていない。…都の試算によると23区を全て分流式に切り替えるコストは10兆3千億円に上る。加えて家屋なども分流式に対応できるよう改修する必要がある。都は現実的な対策として、降雨時に下水を一時的にためる施設の整備を毎年度100億~150億円かけて進めている。目黒川付近では整備後のサンプル調査で未処理放流の回数が7割減少する効果があった。ただし整備が完了するのは五輪後の23年度になる。」(『日本経済新聞』2019.09.06)
●「国土交通省は、『居心地が良く歩きたくなるまちなか』の形成に向けた取り組みを始める。有識者会議が6月に提言したまちづくりの新たな考え方で、この観点に沿った市街地整備のあり方を9月から検討する。新たな有識者会議を立ち上げ、年内に中間取りまとめを行う。また、『まちなかウォーカブル推進プログラム』として関連施策をまとめ、2020年度予算の概算要求に新規3事業、拡充4事業を含む11事業を盛り込んだ。国交省が設置した『都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会』が、『「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生』と題する提言を6月にまとめた。提言は、コンパクト・プラス・ネットワークなどの都市再生をさらに深化させ、官民のパブリック空間を『ウォーカブル』(歩きたくなる)な人中心の空間へ転換し、民間投資と共鳴した『居心地が良く歩きたくなるまちなか』を形成する必要があると指摘。多様な人々の出会い・交流を通じたイノベーションの創出や、人間中心の豊かな生活を実現し、まちの魅力・磁力・国際競争力の向上が内外の多様な人材、関係人口をさらに引き付ける好循環が確立された都市の構築を図るべきとしている。」(『建設通信新聞』2019.09.06)
●「環境省は、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染で出た除去土壌などを貯蔵する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)建設地の地権者2360人(登記記録)の、2019年8月31日時点の用地交渉状況(確定値)を6日にまとめた。全体面積約1600ヘクタールの69.9%に当たる約1119ヘクタールを契約。うち民有地の取得は約1080ヘクタールで、民有地取得予定面積のうち85.0%を取得した。契約済みの土地は、公有地約39ヘクタール、民有地約1080ヘクタールの計約1119ヘクタールで、契約済みの土地は19年7月末時点と比べ0.4ヘクタール増えた。」(『建設通信新聞』2019.09.09)
●「国土交通省がまとめた4~6月の建築物リフォーム・リニューアル工事の受注額は、前年同期比13.1%増の3兆1537億円となった。内訳は、住宅が8272億円(前年同期比3.2%増)、非住宅建築物が2兆3265億円(17.0%増)だった。受注件数は220万8676件で、前年同期に比べ2.0%減少。件数は減少したものの大型の工事が増え、受注額が伸びた。…住宅の受注高のうち、一戸建て住宅は4804億円(6.1%増)、共同住宅が3232億円(0.4%増)とともに増加。工事種類別にみると、維持・修理が微減だったが、増築、一部改築、改装・改修は増加となった。非住宅を工事種類別にみると、増築工事が1551億円(42.3%増)、一部改築工事が437億円(8.2%減)、改装改修工事・維持修理工事が2兆1277億円(16.2%増)。用途別では、飲食店が62.2%増、学校の校舎が.55.1%増となった。」(『建設工業新聞』2019.09.11)
●「東京電力ホールディングスは11日夜、台風15号による大規模停電の全面復旧は13日以降になる見通しだと発表した。なお約40万軒が停電している。…直接的な原因は台風15号が関東地方に上陸した台風で過去最強クラスだったことだ。千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを観測。電柱は通常、経済産業省の省令に基づき風速40メートルに耐える設計だが今回はそれ以上の強風で、多数の電柱が倒壊した。その結果、千葉県南部を中心に最大93万軒が停電となった。東日本大震災以降で東電では最大規模だ。千葉県君津市では高さ40メートル以上ある送電線の鉄塔2基も倒壊した。これが約10万軒の停電につながり、復旧の見通しが立っていない。…想定外の強風は間違いないが、なぜ復旧に手間取っているのか。災害対策で東電の見込みの甘さを指摘する声がある。応援対応を取り仕切った東北電力は、同社と中部電力を中心に約1070人の応援を決めた。想定以上に山間部での倒木などが多く、段階的に応援を増やし、11日には最大約2400人まで増員したが、後手に回った。…もう一つは東日本大震災の原発事故で経営が厳しくなった東電が送電関連の設備投資を抑えたことだ。東電は送電や配電設備に1991年には約9千億円を投じていたが、2015年には約2千億円にとどまっている。耐久性があると判断した電柱への投資を先延ばししてやりくりした結果だ。経産省は昨年の台風被害などを受けて電力関連の防災システムづくりを議論する有識者会議を設置。大手電力が持つ約28万9千基の送電設備などには問題ないと結論づけたものの2年連続で台風による大きな停電が起きた。設備投資や耐風性などの基準が適正だったか、見直しが広がる可能性がある。」(『日本経済新聞』2019.09.12)
●千葉県松戸市が進める「新松戸駅東側地区土地区画整理事業」に対し、「住民から8割もの土地を奪い、不動産事業に乗り出すものだ」との声が上がっている。…この事業は、新松戸駅(松戸市)の東側区域(2.6ヘクタール、地権者は52世帯)の土地を区画整理し、地権者の土地の整理を口実に77%も減歩(=取り上げ)して、駅前広場や道路、14階建てマンション、公園緑地などを整備する計画。事業費は、関連道路を含めて205億円を超える見込み。事業区域の31%と最大面積の土地を有する地権者は、「下水道や道路、駅前整備は必要」としながらも「当初、市は『減歩は3割程度』としていたのに、昨年9月に突然、『77%超』と前言を翻した」と憤る。さらに、この地権者に対し、市と同行したコンサルタント業者が「市の事業なので強制収用も可能だ」と言い放ったことに、地権者・住民の反発が広がり、民放番組でも取り上げられた。松戸市民や超党派議員でつくる「新松戸駅東側のまちづくりを考えるネットワーク」(吉野信次代表)は、本郷谷健次市長に対し、住民説明会の実施や「住民合意による計画の見直し」を求める署名活動を展開。ところが、松戸市は8月5日に県に事業認可申請を提出。県は同16日に認可してしまった。(『しんぶん赤旗』2019.09.12より抜粋。)
●「国土交通省は高経年マンションを巡る課題解決に向け、新たなマンション政策を確立する。マンションの維持管理の適正化や再生円滑化の強化策などを議論するため検討組織を立ち上げ、10月以降に初会合を開く。年内に政策の方向性をまとめ、2020年1月ごろの決定を目指す。国交省によると、高経年マンションが増加する中で、建物・設備の老朽化や管理組合の担い手不足が顕在化している。区分所有権利者が多数いる場合、建て替えなどの合意形成が困難という課題もある。そのため▽地方自治体によるマンション管理適正化への関与の強化・充実▽マンション再生の円滑化の多様な二-ズに対応した事業対象の拡充▽団地型マンションの柔軟な再生を可能とする手法の充実―という三つの視点で具体策を議論する。」(『建設工業新聞』2019.09.13)
●東京都が2020年東京五輪の選手村整備の名目で、中央区晴海の都有地(約13.4ヘクタール)を不動産会社11社に近隣地価より92%も値引きして売却したことは違法だとして、都民が舛添要一前知事、小池百合子知事らに損害賠償を求めた住民訴訟の第7回口頭弁論が13日、東京地裁で行われた。原告訴訟代理人の千葉恵子弁護士が意見陳述し、原告側の不動産鑑定士の修正意見書を紹介し、都の売却額(129億6000万円、1平方メートル当たり9万6784円)の土地単価は東京都檜原村の住宅地と同程度の安値だと指摘。都有地の大幅減額処分によって、都民の財産1480億円を失わせるとし、都に減配の根拠を明確に示すよう求めた。(『しんぶん赤旗』2019.09.15より抜粋。)