情勢の特徴 - 2019年10月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「財務省は17日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)財政制度分科会歳出改革部会で、2020年度予算編成に向けた社会資本整備分野の課題をまとめた。インフラの『量』を拡大する状況にないとした上で、▽『使い方』の改善によるストック効果の最大化、長寿命化・再編による維持コストの最小化▽料金収入などの活用と公費の重点化▽イノベーションの活用による省力化・スマート化―の3点の重要性を示した。」(『建設工業新聞』2019.10.18)
●「日本経済新聞社とテレビ東京は25~27日に世論調査を実施した。10月1日から消費税率が10%に引き上げられた後、家計支出を減らしたかどうかを聞くと『変わらない』が76%で『減らした』の21%を大幅に上回った。安倍内閣の支持率は9月の内閣改造後に実施した緊急調査から横ばいの57%で、不支持率は微増の36%だった。消費税増税後に家計支出を『減らした』と答えたのは、男性の19%に対して女性が24%と多かった。…2014年4月に消費税率が8%に上がった際の同様の質問では『減らした』は31%、『変わらない』が66%だった。」(『日本経済新聞』2019.10.28)

行政・公共事業・民営化

●「政府は18日、公共工事品質確保促進法(品確法)の『基本方針』と、入札契約適正化促進法(入契法)に基づく『入札契約適正化指針』の改正を閣議決定した。…今回の品確法改正の柱の1つである調査等については、工事と同等に独立した章を設けることで、測量・調査・設計などでの取り組みを強力に推進する姿勢を強調。業務においてもダンピングを防止するための低入札価格調査基準・最低制限価格の設定などの対策を自治体に促す根拠とする。調査・設計業務の性格に合わせたプロポーザル方式の選択についても明記している。受注者の責務に関する事項には、法定福利費を含めた適正な額の請負代金と適正な工期を定めた下請契約の締結を規定。労働環境の改善を推進するため、建設キャリアアップシステムの活用などで発注者と連携し、技能者の技能や経験に応じた処遇にも努めることとした。他方、入契法に基づく…適正化指針の柱に『施工に必要な工期の確保』と『施工時期の平準化』を追加した。特に施工時期の平準化を図るための方策として、①債務負担行為の活用②柔軟な工期設定(余裕期間制度の活用)③速やかな繰越手続き(繰越明許費の活用)④積算の前倒し⑤早期執行のための目標設定--を新たに記載。自治体を含めた各発注者に状況の報告を求めることができる適正化指針に規定することで、取り組みの有無だけでなく、その進度を確認することで、平準化の課題を浮き彫りにし、適切な対応を要請する。適正工期については、工期設定の考慮事項として、工事の規模・難易度、工事従事者の休日、準備期間、後片付け期間、降雨日などの作業不能日数などを規定した。そのほか、公共工事の適正な施工を確保する必要があることから、技能労働者の処遇改善の取り組みについても明記し、各発注者に建設キャリアアップシステムの利用推進などを求める。」(『建設通信新聞』2019.10.21)
●「国土交通省は、台風19号により甚大な被害を受けた東北、関東、北陸を中心に災害復旧工事の増加が見込まれることから、通常工事も含めた具体的な対策をまとめた。応急復旧工事に限定しない見積もりの積極的活用・見積単価の事前公表や、総合評価における技術者要件の緩和といった複数の施策を明記。発注量の増加に対応した施工体制の確保を図ることで、下期以降の事業執行に万全を期す。」(『建設通信新聞』2019.10.24)
●「北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証は、前払金保証実績に基づく2019年度累計(4-9月)の公共工事動向をまとめた。請負金額は前年同期比7.6%増の9兆1347億4500万円。増加幅は8月までの累計と比べ0.5ポイント減少しているが、公共投資予算の増加により依然として堅調に推移している。地区別では自然災害復興事業の反動減で、東北のみが落ち込んでいる。」(『建設通信新聞』2019.10.25)
●「国土交通省は、直轄工事において休日や準備期間、天候などを考慮し、工期を適正に設定するための指針を2019年度内に策定することを決めた。改正公共工事品質確保促進法(品確法)で、適正な工期設定が発注者の責務として明確に位置づけられたことを踏まえ、直轄工事で取り組むべき一連の手続きとしてまとめる。一部の地方整備局で実施している先駆的な取り組みも含めて盛り込み、自治体や民間においても参考とできる指針をつくる。」(『建設通信新聞』2019.10.30)
●「国土交通省は道路や下水道など5分野を対象に、早期のインフラメンテナンスが必要な施設数をまとめた。省を挙げて取り組む『予防保全』に基づくインフラ・メンテナンス・サイクルの構築に向け、迅速に対応すべき施設(一部推計)を整理。道路橋梁約6万9000橋、下水道管路施設的9000キロなど全分野で相当数あることが分かった。地方自治体の管理施設は技術、財政両面で引き続き支援し、早期の対策完了を目指す。」(『建設工業新聞』2019.10.30)

労働・福祉

●「島根県建設業協会の中筋豊通会長は、地域・職種ごとの登録基幹技能者の年収を調査し、外部に発信することで、技能労働者の処遇改善が加速すると訴え、各方面に求めていく考えを示した。建設キャリアアップシステムの最上位に位置し、技能労働者の中でも高いとされる登録基幹技能者の給与水準の“見える化”は、若者を引き付けるきっかけとなるだけでなく、現在の技能労働者のキャリアパスにもつながる。各職種の給与水準が明らかになれば、職種間の人材獲得競争の激化が想定されるものの、『特定の職種に限らず、すべての職種で待遇が改善し、産業全体が良くなっていかなければならない』と強調する。」(『建設通信新聞』2019.10.18)
●「鉄筋工の処遇改善に向けてかねてから訴えていた社会保険への加入は進んだ。次は『退職金制度の整備が必要だ』と指摘する芳和建設工業(浜松市)の國井均社長。…人財の確保、職人の処遇改善などへの取り組みを聞いた。『職人には退職金制度がないから生涯年収プラス退職金を労働日数で割ると限りなく安い。生涯年収と退職金を合わせた生涯所得を日割り計算すると製造業とは1.6倍の開きがある』と指摘し、『職人の年収を600万円、700万円と言っているが、それだけでは製造業と比べて低いということだ。退職金制度をきちんと整備しなければならない』と訴える。職人の現状は建設業退職金共済しかない。『20年で230万円、19歳から65歳まで働いて、満額もらっても800-900万円くらいしかない。退職金の平均が1300万円だから職人の退職金がいかに少ないかが分かる。引退しても年金と退職金で生活できないことが、辞められない理由になっている。だから70歳を過ぎても働かせてくれということになる』と解説する。同社では退職金を最低1000万円確保することを目標に積み立てを行っている。『退職金の原資を確保して、建退共にプラスアルファすることで1000万円にする』考えだ。『建退共だと1日1700円掛けないと1300万円にならない。1日310円では』との実情に加えて求人に高校を訪問した際に先生から『建設業は給料も上がった、休日も増えた。でも退職金がないでしょう。それでは人生設計が立てられないと言われた』ことも大きい。だからこそ『きちんと退職できる仕組みをつくらなければならない』とし、『最低1000万円の退職金をもらえるようにする。給料の仕組みから変えないといけない』と退職金制度の必要性を説き、『社会保険も加入が進んだ。次は退職金を何とかしてもらえないか』と切望する。合わせて、職人の高齢化の進む現状についても『高齢化していることを「良し」としているのではないか』と疑問を投げかけ、『(高齢者でも)人がいるから採用に力が入らない。職人が引退していく仕組みを作らなければ、新しい人は入ってこない』と話し、重ねて退職金制度の整備の重要さを訴える。加えて、社会保険に関しても『未だに貰ってないから払えないという考えの経営者がいる。それでは100年経っても貰えない』と苦言を呈する。週休2日や有給休暇の取得にも先進的に取り組む。すでに4週6休にしており、『職人は休みが増えると給料が減るから月給制にしないと生活できない』ことを指摘。有給指定日を設け、シフトで2-3人休むようにするなど、有給休暇の取得促進も図る。そうした中で、新卒者の1年目は週休2日にしている。『来年からは8月を休みにしようと考えている』という。週休2日だと、8月の労働日数が22、23日だから、8月以外の月の土曜日を2日出勤するという仕組みで、労働日数は変わらない。『まず新卒者から取り入れていく』考え。」(『建設通信新聞』2019.10.18)
●「厚生労働省は働き手が企業に未払い賃金を請求できる期間について、現行の2年を3年に延長する検討に入った。2020年4月の改正民法施行で賃金に関する債権の消滅時効が原則5年となるのに対応する。労働者の権利を守るため将来は5年への延長を視野に入れつつ、企業経営の負担が過大にならないよう、まずは3年への延長で制度改正の実現をめざす。」(『日本経済新聞』2019.10.21)
●「出入国在留管理庁は23日、2018年に日本企業への就職を目的として在留資格を変更した留学生は前年比15.7%増の2万5942人だったと発表した。前年から3523人増え、記録が残る1992年以降では最多となった。人数の増加は8年連続で、増加率も16年から17年の15.3%を上回った。」(『日本経済新聞』2019.10.23)
●「2016年3月卒業者で建設業に就職した3万8162人のうち、就職後3年以内に仕事を辞めたのは1万3909人で、卒業後3年以内離職率が36.4%となったことが、厚生労働省が21日にまとめた新規学卒就職者の離職状況から明らかになった。前年(15年3月)の卒業者と比べ離職率1.3ポイント低下、改善した。このうち、高卒者は1万4515人の就職に対し、6570人が仕事を辞めたことから、3年以内離職率は1.4ポイント減の45.3%だった。前年と比べ離職率が若干下がり、建設業への定着がわずかに進展したものの、2人に1人弱が離職している状況は続いている。全産業の高卒離職率39.2%と比べ、建設業の離職率は6.1ポイントも高い。」(『建設通信新聞』2019.10.23)
●「厚生労働省は日本で働く外国人が年金の『払い損』にならないよう制度を見直す。公的年金に加入する外国人が受給資格期間を満たさずに出国する際に受け取る『脱退一時金』の増額を検討し、外国人が働きやすい環境を整える。原則60歳までは引き出しが認められていない個人型確定拠出年金(イデコ)も、外国人が出国する場合に限って一時金を支給する方向で調整する。…年金制度の1階部分に当たる国民年金と2階部分の厚生年金は、国籍に関係なく日本に居住する限り加入しなければならない。現状では老後に年金を受け取るためには10年以上、保険料を納める必要がある。厚労省は年金の納付期間が10年に満たないまま出国する外国人に対して、保険料の一部を支給する脱退一時金の制度を設けている。だが、支給の上限は3年分までで、それ以上保険料を納めても一時金の金額は変わらず『払い損』になる。改正入管難民法が4月に施行され、外国人労働者の増加や滞在期間の長期化が見込まれている。少子高齢化で働く人の減少が見込まれる中、外国人が働きやすい環境の整備が急務になっている。厚労省は社会保障審議会に上限を5年に引き上げる案を示す。日本で3年以上働く外国人は、これまでより出国時に受け取れる一時金が最大で67%増える計算になる。」(『日本経済新聞』2019.10.29)
●「国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用し、建設技能者のレベルを4段階に分ける能力評価基準を31日に認定する。対象は▽防水施工▽切断せん孔▽サッシ・カーテンウオール▽建築大工―の4職種。これにより計9職種が認定された。基準を策定し、認定を受けた各専門工事業団体は今後、能力評価の実施方法などに関する規定を国交省に届け出た上で、職種ごとに4段階の評価が始められる。…専門工事業団体など能力評価の実施機関が職種ごとに基準を策定し、国交大臣の認定を受けた後、能力評価の実施開始日や手数料などを示した実施規定を国に届け出る。基準と実施規定に基づき、能力評価を行うスキームだ。国交省は登録基幹技能者講習実施機関(35職種)に対し年度内に基準案を取りまとめ、国交大臣への申請完了を要請。4種類のカードが技能者に行き渡る環境整備を進める。国交省は8日に3職種(鉄筋、型枠、機械土工)、25日に2職種(左官、内装仕上)を認定。今回の4職種を含め、10月中に計9職種が認定された。各団体からの実施規定の届け出を踏まえ、11月以降、職種ごとに能力評価が始まる。」(『建設工業新聞』2019.10.31)

建設産業・経営

●「北海道建設業信用保証と東日本、西日本建設業保証は16日、2019年度第2回(19年7-9月)の建設業景況調査を発表した。意識調査の結果を数値化したBSI値(景況判断指数)によると、地元建設業界の景気はマイナス3.5。前期比で1.5ポイントマイナス幅が拡大し、景況感は『悪い』傾向が続いている。調査は全国の2580社を対象に実施した。有効回答数は2307社(有効回答率は89.4%)だった。」(『建設通信新聞』2019.10.17)
●「日本建設業連合会の山内隆司会長は23日の理事会終了後に会見し、赤羽一嘉国土交通相への表敬訪問で『建設キャリアアップシステムを浸透させるため、一日も早く国交省直轄工事でシステム登録を義務化してほしい』と改めて要望したことを明かし、引き続き同システムの推進に力を入れていく考えを示した。赤羽国交相との面談で、山内会長は建設キャリアアップシステム直轄工事義務化に関するモデル工事を試行する際は『準備期間を考慮し、事前に試行開始時期、対象案件などを伝えていただきたい』ことを加えて求め、赤羽国交相は『(建設キャリアアップシステムを)しっかりと進めたい』と応じたという。また、山内会長は山梨県を始めとする複数の自治体が試行している、同システムヘの登録を入札制度で評価する取り組みについては『歓迎すべき動き』と述べた。会見に同席した宮本洋一副会長は、自民党などに対して実施する『公共事業費の安定的・持続的な確保に関する要望』を説明。多発・激甚化する自然災害を踏まえ『「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」後も国土強靭化は続けていかなければならない』とした上で、『台風19号でもダムや貯水池などの効果が顕著に表れた。これらがなかったと思うと恐怖を覚える。後世に憂いを残さないため、社会インフラのストック効果を発信し、(自然災害の)予防的な観点からも社会インフラの整備・維持管理に対する国民の理解を得ていく必要がある』と力を込めた。」(『建設通信新聞』2019.10.24)
●「頻発化する自然災害にセメント産業が果たす役割へ期待が高まっている。台風19号による浸水被害によって、西日本豪雨を上回るとの予想もある膨大な災害廃棄物の処理にセメント工場が持つ“大きな胃袋”への期待は高まるばかり。国策としての推進が求められる国土強靭化への貢献だけでなく、被災地の復旧・復興でもメーカー各社の存在感が発揮されそうだ。24日に会見したセメント協会の関根福一会長(住友大阪セメント社長)は、河川堤防の決壊など各地に甚大な浸水被害をもたらした台風19号による災害廃棄物の受け入れに言及。『災害廃棄物の処理は被災地の早期の復旧・復興に欠かせない』と述べた。『セメント産業は多様な廃棄物・副産物を原料あるいは熱エネルギーの代替として有効活用しながら、セメントに生まれ変わらせる“究極の環境産業”である』とメーカー各社が果たす役割を強調。セメント産業として可能な限り、災害廃棄物の処理に尽力していく方針を示す。麻生泰副会長(麻生セメント会長)もセメント工場の処理能力を“大きな胃袋”と表現。『これだけの規模で災害廃棄物を受け入れることができる業界はない。寄せられている期待は大きい』と話す。実際にメーカー各社が災害廃棄物の処理によって、被災地の復旧・復興に大きな役割を果たしてきたことはデータからも明らかだ。」(『建設通信新聞』2019.10.28)
●「大東建託の2019年4~9月期の連結営業利益は600億円程度と、前年同期より2割ほど減ったようだ。主力の建設事業で金融機関のアパート融資厳格化などで受注が低迷した影響が出た。アパート賃貸が好調に推移するなど、営業利益は会社計画の580億円を20億円ほど上回った。」(『日本経済新聞』2019.10.29)
●「日本建設業連合会(山内隆司会長)がまとめた会員96社の2019年度上期(4-9月累計)の受注総額は、前年同期比10.0%減の6兆1068億6700万円となり、2年連続で7兆円を割り込んだ。消費増税前の前倒し契約や前期にあった大型案件の反動などが響いた。ただ、日建連は『会員へのヒアリングでは市況が変わったという認識は各社とも持っていない』とした上で、『大型案件が下期に控えているという会員も少なくない。通期では前年から大きく落ち込むことはない」(企画調整部)との見解を示している。」(『建設通信新聞』2019.10.29)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「台風19号は広範囲に記録的な大雨をもたらし、多数の河川で堤防の決壊を引き起こした。事前にハザードマップが示した通りに浸水の被害が発生し、重要施設が水に漬かったケースもあった。堤防などハード整備に予算と時間の壁が立ちはだかるなか、『想定』を生かして命を守り、街を守る対策が問われている。…洪水のハザードマップは、19年3月時点で対象となる1347市区町村の約98%が公表し、広く定着してきている。…住民の避難行動を促す形での活用が進む一方、街づくりへの活用はハードルが高い。国交省によると商業施設や住宅を集約する『コンパクトシティー』の計画を策定した自治体では多くの場合、住民の居住を誘導する区域に災害リスクのあるエリアが含まれていた。インフラ整備での水害対策には財政面の限界がある。19年度の国の治水関連予算は臨時の措置を入れて10年ぶりに1兆円を超えたが、国交省の推計では、河川管理施設などの維持管理・更新だけでも今後30年間で最大約25兆円かかる。関東学院大の宮村忠名誉教授(河川工学)は『数百年に一度の災害に備える治水事業には莫大な予算と時間を要する。短期間でハード面の対策を終わらせるのは現実的に不可能だ』と指摘する。そのうえで、短期的には『どう命を守るのか、具体的な避難方法などを住民に理解してもらう必要がある』とし、『浸水想定地域からインフラ施設や住居を移転させる誘導策の検討も中長期的な課題だ』と話している。(『日本経済新聞』2019.10.16)
●「台風19号による記録的大雨の影響で、インフラは東海や関東甲信、東北、北陸など広範囲に大きな被害を受けた。河川、道路、鉄道、港湾、住宅・建築物、下水道など多岐にわたるインフラが被災。中でも複数箇所で堤防が決壊し浸水被害を広げた。赤羽一嘉国土交通相は『一日も早い仮の堤防づくりと浸水解消が、暮らしとなりわいの回復に向けて最も重要な第一歩だ』とし、応急対応に全力で取り組むよう指示した。…国交省によると、15日午前5時時点で、堤防の決壊は国管理で7河川12カ所、都道府県管理で43河川54カ所。重複箇所を除くと、47河川66カ所に上る。赤羽国交相は15日の閣議後の記者会見で『国管理河川は既に緊急復旧に着手しており、早期に仕上げたい。他の箇所も含め24時間体制で一日も早く復旧できるよう努める』と語った。浸水被害については全国からの広域派遣により排水ポンプ車を200台規模に増強し、排水作業に取り組んでいる。…土砂災害も広域で発生している。15日午前5時時点で、19都県で146件(土石流等18件、地すべり10件、崖崩れ118件)の土砂災害が発生していることを確認。まだ調査が終了していないため、『今後、件数が増えるだろう』(国交省水管理・国土保全局担当者)としている。道路の被災状況は15日午前5時時点で▽高速道路5路線5区間▽直轄国道6路線10区間▽補助国道33路線53区間▽都道府県道・政令市道369区間。調査や応急復旧を踏まえ、徐々に交通規制が解消してきた。」(『建設工業新聞』2019.10.16)
●「厚生労働省は石綿(アスベスト)飛散防止に関する省令を改定する。既存建築物の解体・改修施工業者に工事前段階で義務付けている石綿含有建材の使用有無調査で結果の届け出を強化。労働基準監督署への届け出は現行、飛散リスクが高い石綿が発見された場合だけに限られているが、請負金額100万円以上の解体・改修工事すべてを届け出対象とする方向。来夏をめどに改正省令の公布を目指す。」(『建設工業新聞』2019.10.16)
●「2019年度上期(4-9月)に東京23区内で計画された延べ1万平方メートル以上の建築物は、件数が前年同期比1件減の34件だったことが日刊建設通信新聞社の調べで分かった。総延べ床面積は27.8%減の110万8284平方メートル。34件の平均延べ床面積は3万2596平方メートルで、前年同期と比べて約1万1300平方メートル減少している。市街地再開発事業が6件から2件に減少し、このうち延べ10万平方メートルを超える大型市街地再開発事業は4件から2件に半減。その影響で床面積が減少したとみられる。」(『建設通信新聞』2019.10.17)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)が17日に発表した2019年度上半期(4~9月)の首都圏マンション市場動向で、平均価格が1991年度上期(6137万円)以来28年ぶりに6000万円を突破した。建設費の上昇で価格が高騰したため売れ行きは鈍化しており、契約率も11年ぶりの低水準となった。需要が低迷する中で価格が高騰する異常な事態になっている。19年4~9月の平均価格は前年同期比約4%増の6006万円と、東京都を中心に首都圏は全体的に上昇した。前年同期の下落から反転した。…一方で物件は売れていない。4~9月の契約戸数は前年同期比約15%減の1万3483戸にとどまる。契約率も、売れ行きの好不調の目安である7割を下回る64.6%と、08年上半期(63.9%)以来11年ぶり低水準となった。9月末の販売在庫数も6780戸と1年前より730戸多い。4~9月の発売戸数は1万1996戸と前年同期比約22%減少した。4~9月の発売戸数が前年同期を下回るのは6年連続で、92年度上半期(1万357戸)以来27年ぶり低水準となった。売れ行きが鈍化して、不動産業者が新規の発売よりも在庫の圧縮を優先したにもかかわらず、契約率が低迷している。…東京カンテイ(同・品川)が18年に発表した調査結果によると、各地域の新築マンション価格が年収の何倍かという『年収倍率』が首都圏で約11倍に達した。特に東京都は約13倍と高い水準だ。五輪開催が決まった13年以降、都内でホテルや公共施設の工事が急増した。さらにホテル用地との競合で都心や駅から近い人気エリアのマンション向け用地の取得が難しくなっている。東京都区部の住宅地地価も大幅に上昇し、高価格帯の物件の発売が増えたことが価格を押し上げた。」(『日本経済新聞』2019.10.18)
●「国土交通省は、気候変動によって降雨量が増えるとの国連の予測を踏まえ、水災害対策を抜本的に転換する方針を決めた。従来は降雨実績を基に対策を立てていたが、将来の降雨量を予測した結果を基にした手法に切り替える。社会資本整備審議会(会長・進藤孝生日本経済団体連合会副会長)に対し、具体的な対策の検討を18日に諮問した。観測史上最多の大雨を各地にもたらして100カ所超の河川堤防決壊を生じさせた台風19号など、水災害の激甚化・頻発化は現実のものとなりつつあり、気候変動を踏まえた対策は待ったなしの状況だ。」(『建設通信新聞』2019.10.21)
●「中心市街地での遊休施設や遊休地の拡大を、今後の深刻な課題とする地方自治体が6割に上ることが、内閣府の調査で分かった。人口規模が小さいほど、『利用希望者とのマッチング機能の強化』『利用可能な制度の普及』といった対策を求める傾向が強い。国の支援制度の活用について『今後検討したい』も含め約3割の自治体が意向を示した。国に対しては支援制度や措置に関する情報提供を求める声が多かった。…中心市街地が直面する課題としては、『空き店舗・空き家・空き地など遊休施設や遊休地の拡大』『にぎわいの空間としての魅力低下』が6割を超えた。将来の課題では『所有者不明土地の増加』、『各種施設の老朽化』『公共交通機能の低下』などが挙がった。…拡大する遊休施設や遊休地への対応では、『利用希望者とのマッチング機能の強化』が6割超、『関係者間の協働体制の構築』が4割超、『情報の集約・共有の仕組みづくり』『コーディネート機能を担う民間まちづくり団体の育成』『オーナーへの働き掛けの強化』が3割超だった。」(『建設工業新聞』2019.10.23)

その他