情勢の特徴 - 2019年11月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「安倍晋三首相は大規模災害や来年夏の五輪後の経済成長を底上げするため、経済対策の策定を近く指示する。2019年度補正予算と20年度当初予算を一体編成し、それぞれに対策費を積む。当初予算は2年連続で100兆円を超す公算が大きい。潜在成長率の引き上げと財政再建の両立が課題となる。経済対策の策定は16年8月以来、3年ぶり。首相の指示を受け、各省が12月上旬までに具体策を詰める。与党内には国の財政支出は5兆円程度との見方がある。政府は国内外の経済情勢を見極めて判断する。緊急性のある経費は補正予算に、来年度にまたがる事業は当初予算に振り分ける。」(『日本経済新聞』2019.11.01)
●「企業業績の悪化が続いている。上場企業の2020年3月期の純利益は前掛比4%減と、2期連続の最終減益となる見通しだ。金融危機後では初めてとなる。世界的な自動車販売の低迷や米中対立を懸念した設備投資の減少で、幅広い製造業で利益が減る。中国など海外勢に競り負ける企業も出てきた。配当や投資が伸び悩み、日本経済の停滞につながりかねない。日本経済新聞社が7日までに決算発表した972社(新興市場などを除く)を対象に集計した。製造業の純利益は12%減と悪化が目立つ。非製造業は1%増を見込む。今期の利益は水準としては最高益だった18年3月期に比べ約1割低い程度に踏みとどまる見通しだが、回復の時期はまだ見えていない。」(『日本経済新聞』2019.11.08)
●「総務省が8日発表した9月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり30万609円だった。物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ9.5%増えた。伸び率は前回の消費増税前の2014年3月(7.2%)を上回り、比較可能な01年以降で過去最高に達した。家電や日用品などで増税前の駆け込みの動きが鮮明にあらわれた。」(『日本経済新聞』2019.11.08)
●「内閣府が14日発表した2019年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節諷整値で前期比0.1%増、年率換算で0.2%増だった。10月の消費増税を前にした駆け込み需要で4四半期適続のプラス成長となったが、伸びは小幅にとどまった。訪日外国人による消費減も響き、成長率は1%を大きく割り込む水準に鈍化した。」(『日本経済新聞』2019.11.14)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省の標準約款はまだか--。建設業界では、日増しに焦りの声が高まっている。改正民法では工事の受注に代表される『請負』のルールが変わる。建設業界で懸念されているのが、これまで慣行だった『債権譲渡制限特約』が4月以降結ぶ契約では原則へ無効になる規定だ。…中小企業が多い下請けにとっては、債権を金融機関に売却したり担保に入れたりすれば工事が完成する期日より前に資金を回収できる。ただこれまでは事実上、難しかった。債権が第三者に渡るのを嫌うゼネコンなどが『債権譲渡制限特約』を条件とすることが多い。改正法では制限特約を設けていたとしても原則、譲渡は有効となる。中小企業の資金繰りの改善につなげる狙いだ。だが現場では特約が無効になると工事に支障が出ると心配する声があがっている。」(『日本経済新聞』2019.11.04)
●「国土交通省は、地方公共団体における施工時期の平準化を推進するため、平準化の進捗や取り組み状況を見える化する。入札契約適正化法(入契法)に基づく入契調査で、全地方公共団体を対象に、実施の有無とその程度を詳細に調べる。特に取り組みが遅れている地方公共団体のヒアリングも行う。年度末に入契調査の結果を公表し、見える化の第1弾につなげる。国交省がコリンズの登録データを算出した結果によると、2018年度の平準化率は市町村が0.55で、国の0.85、都道府県の0.75、政令市の0.67を下回り、低い水準となっている。改正公共工事品質確保促進法(品確法)は平準化を発注者の責務と明確に規定し、改正入契法は平準化のための方策実施を発注の努力義務化した。」(『建設通信新聞』2019.11.05)
●「国土交通省は、自治体における調査・設計業務のダンピング(過度な安値受注)対策を推進する。ダンピング対策は多くの都道府県や政令市で一定の措置がとられているものの、市区町村では半数以上が低入札価格調査制度と最低制限価格制度のいずれも導入していない(2018年8月時点)状況だ。公共工事品質確保促進法(品確法)の改正で、業務についても明確にダンピングの防止措置を講じることが規定されたことを受け、国交省は工事だけでなく業務についても、実効性あるダンピング対策の実施を求めていく。」(『建設通信新聞』2019.11.07)
●「2021年3月までの時限組織である復興庁の設置期間が、10年延長する方向で固まった。内閣総理大臣を主任大臣とする内閣直属の組織で復興大臣を引き続き配置し、復興事業予算の一括要求など現行の総合調整機能を維持する。東日本大震災復興特別会計と震災復興特別交付税制度は継続する。地震・津波被災地域と原子力災害被災地域で取り組み期間を分ける。当面5年間の事業規模を整理し、必要な財源を手当てする。必要な法案は次期通常国会に提出する。」(『建設通信新聞』2019.11.08)

労働・福祉

●全建総連は31日、熊本市で定期大会の分科会を開いた。税金分科会では、消費税増税とインボイス(適格請求書)導入に批判が相次いだ。福岡建労の代表は「台風や地震、豪雨被害が残っているのに、10%増税を強行した安倍政権は血も涙もない」と批判。「将来的な消費税廃止をみすえた運動をすべきだ」と強調した。…茨城県連の代表は、「若手事業主から『インボイス制度は事業者をつぶす制度だ』と怒りの声がでている」と発言。兵庫県連の代表は「インボイスははっきり廃止と訴えるべきだ」と述べた。(『しんぶん赤旗』2019.11.01より抜粋。)
●「建設技能者の保有資格や就業履歴を業界横断・統一のルールで登録・蓄積する『建設キャリアアップシステム』に関して、国土交通省は10月31日、『建築大工』の能力評価基準を認定した。建築大工のレベルを、①初級技能者(見習いの技能者)、②中堅技能者(一人前の技能者)、③職長として現場に従事できる技能者、④高度なマネジメント能力を有する技能者(登録建築工基幹技能者等)--の4段階に設定し、各レベルと認められる資格や就業日数等を規定した。今後、賃金等の処遇の改善や人材育成などと連動することが期待される。」(『日本住宅新聞』2019.11.05)
●「建設業の労働災害死者の4割を占める転落事故を防ごうと、具体的な落下状況を想定した仮想現実(VR)ソフトを安全研修に採り入れる動きが建設業で広がっている。事故の恐怖を疑似的に体験し、危険回避につなげる狙いだ。ゲーム制作会社の協力などで精度も上がっており、専門家は『恐怖心をあおるだけでなく具体的な安全対策も組み合わせて』と話している。…厚生労働省によると、2018年の建設業の労働災害死者数は309人。事故の類型別で最も多いのが『墜落・転落』の136人で、2番目の交通事故(31人)の4倍だった。…同省によると、建設業の外国人就労者数は18年10月末時点で6万8604人となり、ここ10年で約8倍に増えた。外国人に指導する機会が増えるなか、VR研修は言葉の壁で伝えにくい現場の危険も視覚的に学ぶことができるため、外国人への教育効果も期待されている。」(『日本経済新聞』2019.11.06)
●「建設業界の共通インフラとして構築を目指す建設キャリアアップシステムについて、半数を超える26都府県で普及・利用促進の取り組みが実施または検討されていることが分かった。業界から要望されている発注時などの加点も9県で導入または検討されている。直轄だけでなく、自治体発注工事での促進策が始まったことで、今後の普及に弾みがつきそうだ。」(『建設通信新聞』2019.11.06)
●「国土交通省は8日、建設キャリアアップシステムについて、直轄工事の現場を活用して効果検証する『建設キャリアアップシステムモデル工事』を全国で実施すると発表した。直轄工事のうち、既に建設キャリアアップシステムが導入されている工事の中から日本建設業連合会の推薦をもとに、10-20カ所を選定する。年内に対象工事を決定し、順次効果検証を開始。年度内に検証内容を中間的にまとめ、必要に応じて検証を継続する。」(『建設通信新聞』2019.11.11)
●建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんなどにかかった労働者やその遺族54人が、国と建材メーカーに損害賠償を求めている「九州建設アスベスト訴訟」の控訴審判決が11日、福岡高裁(山之内紀行裁判長)であり、原告勝訴の判決が言い渡された。判決では、東京高裁、大阪高裁の同様の裁判に引き続き、国の責任に加えて2014年の福岡地裁判決では認められなかった企業の責任や個人事業主の労働者「一人親方」への賠償を認定。国と企業4社に総額3億4718万円余りの賠償を命じた。山本一行弁護団長は、「一人親方」救済や企業責任を認める流れが定着したと述べ「大きな武器になる貴重な判決。皆さんと一緒に国、企業に解決を迫っていく」と語った。(『しんぶん赤旗』2019.11.12より抜粋。)
●「国土交通省は改正出入国管理法(入管法)に基づく新在留資格(特定技能外国人)の受け入れに関する運用要領を改定した。国交省による受け入れ計画の認定審査で報酬額が低いと判断されると、引き上げるよう指導することを追記。認定要件の建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が申請中でも時限を設けて認める。国交省認定の申請・審査と並行して、法務省による在留の申請・審査も可能とする。」(『建設工業新聞』2019.11.14)

建設産業・経営

●「国土交通省が10月31日に発表した建設大手50社の工事受注動態統計調査によると、2019年度上半期(4~9月)の受注総額は前年同期比7.6%減の6兆0338億円となった。民間工事、公共工事ともに減少。中でも国の機関からの受注が2桁の減少となった。海外での受注も伸びなかった。」(『建設工業新聞』2019.11.07)
●「上場大手ゼネコン4社の2020年3月期第2四半期の決算がまとまった。連結売上高は全社が増収となり、大林組と清水建設は売り上げ、利益のいずれも第2四半期として過去最高となった。鹿島は売上高、大成建設は純利益が過去最高となった。各社とも手持ち工事を順調に消化し、利益も着実に確保している。受注は、3社が土木で減少したものの、下期に案件が集中していると見込んでいる。」(『建設通信新聞』2019.11.13)
●「建設産業専門団体連合会(才賀清二郎会長)は13日、東京都港区のニッショーホールで2019年度の全国大会を開いた。ことしは、『魅力ある建設産業に向けて―担い手確保のために専門工事業をどう変えていくか―』を大会のテーマに掲げ、月給化や週休2日制の導入による働き方改革の推進、建設キャリアアップシステムの加入促進による処遇改善を図ることで、若者が夢と希望を持って入職できる環境整備と産業としてのさらなる発展に取り組んでいくことをアピールした。」(『建設通信新聞』2019.11.14)
●「主要ゼネコン26社の2019年4~9月期の決算が14日出そろった。大都市圏での大型開発などを筆頭に手持ち案件が潤沢にある中で、工事が順調に進捗し、連結ベースで23社が増収となった。利益も高水準を維持しており、本業のもうけを示す営業利益は17社が前年同期を上回った。6社は売上高と営業、経常、純利益のすべてが過去最高を記録した。業績の先行指標となる単体受注高は20社が前年同期を下回った。下期に大型案件が控えているケースもあり、良好な受注環境は続くとの見方が強い。売上高と各利益で過去最高を更新したのは▽大林組▽清水建設▽五洋建設▽前田建設▽戸田建設▽東急建設―の6社。売上高で鹿島と青木あすなろ建設、東鉄工業の3社、営業と経常の両利益で飛島建設、純利益は大成建設と西松建設、東鉄工業が過去最高を更新した。」(『建設工業新聞』2019.11.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「台風19号の大雨により福島県などで東京電力福島第1原子力発電所事故の除染廃棄物を詰めた袋『フレコンバッグ』が屋外の保管場所から次々と流出した。環境省や自治体がドローンなどを使って捜索を続けているが、袋の中身の多くが見つかっていない。2015年の豪雨でも一部が流出しており、中間貯蔵施設に運び込む前の『仮置き場』が防災上の盲点になっている。」(『日本経済新聞』2019.11.07)
●「那覇市の首里城の火災から7日で1週間となる沖縄で、1992年の復元に携わった技術者や職人が再建に動き始めた。関係者は『若い人たちの力も借りて、美しい城を必ず復元させる』と沖縄のシンボルの早期復活を誓う。ただ、木材や瓦といった建材や、伝統の技法を知る職人の不足など課題は山積しており、再建には長い時間と険しい道が予想される。」(『日本経済新聞』2019.11.07)
●「国土交通省が10月31日に発表した2019年度上半期(4~9月)の新設住宅着工戸数は、前年度同期比5.0%減の46万6692戸だった。持ち家と分譲住宅が伸びたものの、貸家の落ち込みが響いた。着工戸数の内訳は、持ち家が4.4%増の15万2973戸、貸家が15.7%減の17万5372戸、分譲住宅が2.0%増の13万4986戸。分譲のうち、マンションは0.4%減の5万9023戸、一戸建ては4.0%増の7万4892戸だった。」(『建設工業新聞』2019.11.07)
●「温暖化やエネルギー問題への関心が高まる中、国土交通省は建築物を対象とした省エネルギー対策を強化している。今年の通常国会で成立した『改正建築物省エネ法』の一部が16日に施行される。これにより、省エネ基準の適合性をチェックする体制強化など、省エネ対策の実効性を高める取り組みが本格始動する。法改正に伴い省エネ基準も見直した。」(『建設工業新聞』2019.11.08)
●「国内の河川は河川法に基づき、防災上重要とされる部分を国が、それ以外を都道府県や市町村が管理する。国土交通省によると、台風19号で決壊した国や都道府県管理の河川堤防は71河川の140カ所。そのうち国管理は7河川の12カ所にすぎず、被害は都道府県管理の河川に集中していた。…河川の氾濫に備え、被害想定をもとに住民の避難場所などを明示した『ハザードマップ』の作製も、国は各自治体に促している。台風19号の被害を受けて対象を広げる方針だが、これまで多くの中小河川は対象外だった。都道府県や市町村が管理する中小河川は備えが間に合わず、今回の甚大な被害につながった。」(『日本経済新聞』2019.11.12)
●「老朽化で危険と診断された全国の自治体が管理する道路橋のうち、少なくとも122橋で修繕や撤去など恒久的な安全策の見通しが立っていないことが日本経済新聞の調査でわかった。財政負担の重さや職員不足で対応が放置されているためだ。台風などの自然災害で健全なインフラでさえ大きな被害を受けるなか、維持か撤去かが定まらない老朽インフラが取り残されている。」(『日本経済新聞』2019.11.13)
●「台風19号の上陸から12日で1カ月。広い範囲で記録的な大雨となり、関東・東北地方を中心に計140カ所で堤防が決壊するなど、河川が氾濫し全国で計約3万2000ヘクタールが浸水。900件を超える土砂災害も起きた。一方、これまで整備してきたインフラがストック効果を発揮し、洪水や浸水を回避できた地域も少なくない。気候変動に対応した事前防災対策を急がなければいけない。」(『建設工業新聞』2019.11.13)
●「政府は約7兆円の防災インフラ整備を盛る国土強靭化計画の期間延長を見送る方針を固めた。2020年度までの3カ年計画だった。台風19号で脆弱性が明らかになった河川などには同計画とは別に緊急的に対応する。膨大なコストを要するダム新設は避け、十分に活用されてこなかった利水ダムを有効活用する対策を新たに打ち出す。政府は18年に西日本豪雨や北海道胆振東部地震を踏まえ『防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策』を閣議決定した。約120の河川の堤防のかさ上げなど計160項目からなり、20年度までに総事業費で約7兆円を投じる内容だ。」(『日本経済新聞』2019.11.15)
●「民法の来年4月の改正に対応して建設工事標準請負契約約款の見直し作業を進めている国士交通省の中央建設業審議会・建設工事標準請負契約約款改正ワーキンググループ(座長=大森文彦弁護士)は10月24日の会議で、一般的な保証期間と同じような契約上の“隠れた瑕疵”に対する『瑕疵担保期間』について、現行制度では、木造建築物は引渡しから1年間としている規定を見直し、2年間とする考えを示した。現行制度では非木造のみ2年間としていたが、構造別の区分を廃止する。」(『日本住宅新聞』2019.11.15)

その他