情勢の特徴 - 2020年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「1月30日に成立した国の2019年度補正予算のうち、国土交通省分の歳出総額は国費ベースで1兆2634億円となった。政府全体の公共事業関係費1兆5653億円のうち、国交省分は1兆1865億円。国交省が地方整備局や地方自治体などに配分する事業費は総額1兆3044億円となる。大部分を『災害からの復旧・復興と安全・安心の確保』に充てる。」(『建設工業新聞』2020.02.03)
●「政府は4日の閣議決定で、地方自治体の歳入・歳出見込み額を示す2020年度地方財政計画を決定した。東日本大震災の復旧・復興事業分を除いた通常支出分の歳出総額は前年度比1.3%増の90兆7397億円。このうち全額が公共事業費となる投資的経費は2.0%減の12兆7614億円となる。」(『建設工業新聞』2020.02.06)
●「上場企業の業績が下振れしている。10日時点の2020年3月期の業績予想を集計したところ、純利益は前期比8.4%減と減益幅が昨年11月時点から1.6ポイント拡大した。中国の景気減速が長引き、製造業が22%減益と厳しい。増益予想だった非製造業(金融を除く)も、消費増税などで減益に転じる見通し。半導体など一部には回復がみられるが、新型肺炎が生産や消費を直撃し、一段の悪化が懸念される。」(『日本経済新聞』2020.02.11)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、2019年度補正予算を含む復旧・復興、国土強靭化投資の円滑かつ着実な執行へ具体的対策をまとめた。不調・不落防止の観点からの入札・契約上の工夫や発注ロットの積極的な拡大、実態に即した設計・積算への改善など複数施策を組み合わせることで、今後の事業執行に万全を期す。」(『建設通信新聞』2020.02.03)
●「国土交通省は、公共事業における測量、調査、建設コンサルタント業務の働き方改革の推進を目的として、履行期限のさらなる平準化に取り組む。第4四半期に集中する履行期限を他の四半期に分散させるため、公告時期から履行期限までの期間を考慮した4半期ごとに発注計画を作成。早期発注や繰越、複数年契約などの手法を組み合わせて、計画に基づいた平準化の目標を達成する。履行期限の平準化を着実に進めることで、中長期的には履行期限の件数ベースで上期50%、下期50%とすることを目指す。」(『建設通信新聞』2020.02.07)

労働・福祉

●「政府は4日、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定した。定年延長や再雇用のほか、フリーランスや起業した場合に業務委託で報酬を払う選択肢も認める。長寿化に合わせ、意欲のある人が長く働ける環境を整える。今国会で成立すれば2021年4月にも適用される見通しだ。」(『日本経済新聞』2020.02.04)
●「厚生労働省は、2019年10月末現在の外国人雇用状況をまとめた。建設業の外国人労働者数は前年同期比35.9%増の9万3214人に上り産業別で増加率が最も高かった。19年4月に創設された在留資格『特定技能』の労働者数は、建設が27人で、特定技能で受け入れが認められている14分野で5番目に多い。」(『建設通信新聞』2020.02.04)
●「総務省がまとめた2019年(1~12月)の労働力調査結果(速報)によると、平均の建設業の就業者数は前年と比べ4万人減(0.8%減)の499万人となった。500万人台を下回るのは2年ぶり。男女別の内訳は、男性が6万人減(1.4%減)の415万人、女性が2万人増(2.4%増)の84万人となった。」(『建設工業新聞』2020.02.04)
●「国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用し、建設技能者のレベルを4段階に分ける能力評価基準を5日に認定する。対象は『電気工事』『コンクリート圧送』の2職種。これにより計13職種の基準が整った。認定を受けた各専門工事業団体は今後、能力評価の実施方法などに関する規定を国交省に届け出た上で、職種ごとに4段階の評価を始めることができる。」(『建設工業新聞』2020.02.05)
●「厚生労働省が7日発表した毎月勤労統計(速報)によると、2019年の現金給与総額(名目賃金)は月平均で32万2689円だった。18年比で0.3%減り、6年ぶりに前年比でマイナスとなった。働き方改革の流れで時間外労働を減らす企業が増えたほか、人手不足によってパートタイム労働者の比率が増えたことも全体を押し下げた。」(『日本経済新聞』2020.02.07)
●「出入国在留管理庁は7日、2019年4月に創設した在留資格『特定技能』で日本に在留する外国人が同年12月末時点で1621人だったと発表した。国籍別ではベトナムが最多の901人、次いでインドネシアの189人、フィリピンの111人だった。受け入れ分野別では飲食料品製造業が557人と最も多く農業の292人が続いた。特定技能の在留資格を得るには大きく2つの方法がある。日本語試験と業種別の技能試験に合格するか、約3年の技能実習を修了するかだ。昨年末時点では技能実習からの変更が1486人と全体の91.7%を占めた。」(『日本経済新聞』2020.02.08)
●「国土交通省は改正出入国管理法(入管法)に基づく新在留資格(特定技能外国人)の対象職種を追加する。とび、建築大工、配管、板金などを予定。『技能実習生の受け入れ数が多い職種を追加できるよう、法務省などと調整を行っている』(中原淳建設流通政策審議官)。新たな職種を建設分野の運用方針に盛り込み、2月中にも閣議決定する予定。2020年度から新職種の受け入れが始まる見通しだ。」(『建設工業新聞』2020.02.10)
●「政府は、オンライン上で行政機関などが保有する個人の情報を確認できるマイナポータルを中心として、技能講習の修了者データベース(DB)と建設キャリアアップシステムを連携する。建設機械の運転作業など就業制限のある業務の従事時に携帯が義務付けられている技能講習修了証などをキャリアアップカードで代替可能とすることに加え、建設キャリアアップシステムへの資格情報の登録手続き簡略化などを図る狙いだ。」(『建設通信新聞』2020.02.13)
●「国土交通省は、建設分野における特定技能外国人に関する受入計画のオンライン申請を4月1日から開始する。これまで記入した書類などを郵送か持参で提出することとしていたが、原則としてオンラインによる書類申請に切り替える。受入企業にとっては、受入計画の作成・申請時の手間やコストが省けるだけでなく、変更申請時の入力も簡便化できる。」(『建設通信新聞』2020.02.14)
●「建設技能者のレベルを4段階に分ける能力評価基準の策定・認定が進んでおり、登録基幹技能者制度のある35職種で2020年度からレベルに応じた4種類のカードが技能者に行き渡る環境を整える。最上位のレベル4の登録基幹技能者に対しては、基準が策定されるまでの間の特例措置が講じられている。登録申請するだけでレベル4のゴールドカードが交付される。」(『建設工業新聞』2020.02.14)
●「コンビニエンスストアなど小売や外食の現場を担ってきたフリーターが急減している。2019年には全国で140万人を下回り、ピーク時に比べて4割弱減った。卒業後に可処分所得の高い正規従業員になる学生が増え、個人消費にはプラスといえる。その半面、非正規雇用に頼ってきた小売りやサービスの現場は深刻な働き手不足に悩まされている。」(『日本経済新聞』2020.02.15)
●「工務店向け業務効率化ソフトを運営するエニワン(株)は、工務店に勤める女性1098人を対象に『工務店女子』の実態調査を実施した。工務店に勤めることになったポイント(複数回答可)について質問したところ、『社風が良かった』(41.5%)と回答した人が最も多く、次いで『インテリアデザインやコーディネートが好き』(31.4%)、『建築設計が好き』(26.1%)、『人生で一番大きな買い物に携わりたかった』(14.1%)、『地域社会への貢献度が高い』(12.4%)、『家族が建設・建築業だった』(10.7%)と続いた。」(『日本住宅新聞』2020.02.15)

建設産業・経営

●「東京建設業協会(飯塚恒生会長)は6日、東京都千代田区の九段第3合同庁舎で国土交通省関東地方整備局管内の東京国道、京浜河川、相武国道、東京外かく環状国道、荒川下流河川の5事務所との意見交換を開いた。活況を呈する都内の建設事業に加え、昨年の台風被害に伴う復旧工事で不調・不落の発生が今後懸念されるため、同局が取り組む入札・契約施策などを通じ円滑な施工体制を確保することを受発注者間で共有した。」(『建設通信新聞』2020.02.07)
●「大成建設が7日発表した2019年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比10%増の686億円だった。インフラ整備の土木事業で採算が改善。不動産事業では物件売却や賃料収入が増えた。売上高は7%増の1兆1746億円だった。」(『日本経済新聞』2020.02.08)
●「国土交通省は建設現場で働く人々の『誇り・魅力・やりがい』の向上に向けた有識者提言を、12日にホームページ(HP)で公表する。建設業の既存ブランドの再構築を含め新たなブランドを構築する『リブランディング』を提唱。ターゲットを明確にし意識や関心に合わせた施策を展開する。受発注者が共通の目的やコンセプトの下、一体となって継続的で強力に取り組みを進める体制を都道府県単位で構築することを提案している。」(『建設工業新聞』2020.02.12)
●「建設業界各社が海外展開の拡大に積極的な姿勢を見せている。国内の建設市場は堅調なものの、中長期的には人口減少や少子高齢化に伴う市場縮小が予想される。経済成長が続くアジアや高品質な仕事が求められる欧米などを軸に、海外事業を成長戦略の柱に位置付けている状況だ。」(『建設工業新聞』2020.02.12)
●「上場大手ゼネコン4社の2020年3月期第3四半期の決算がまとまった。連結では全社が増収となった。大林組が連結の全項目(売上、営業利益、経常利益、純利益)で過去最高となったほか、鹿島が売上、清水建設が営業利益、経常利益、純利益で過去最高となった。各社とも繰越工事高(手持ち工事)が積み上がり、繁忙期が続く中でも、12.0%を超える高い完成工事総利益(粗利)率を維持している。」(『建設通信新聞』2020.02.13)
●「国土交通省は12日、2019年(1-12月)の建設工事受注動態統計調査報告をまとめた。全体の受注高は前年比2.2%増の85兆6746億円で、2年連続の増加となった。現在の推計方法で算出した過去7年間の比較でみると、最高値を記録した16年の86兆3986億円に次ぐ水準となる。公共機関からの受注工事は国、地方いずれも増加。民間からの受注は、総計で減少となったものの、大規模工事に限定すると過去最高となった。」(『建設通信新聞』2020.02.13)
●「大手・準大手26社の2020年3月期第3四半期連結決算が13日までに出そろった。手持ち工事が順調に進捗し、26社中24社が増収となった。本業のもうけを示す営業利益も15社が増益で、利益面でも堅調さが続いている。連結売上高・営業利益・経常利益・純利益の全項目が過去最高だったのは、大林組と五洋建設の2社。売り上げは9社、営業利益と経常利益は各5社、純利益は6社が過去最高となった。単体の完成工事総利益(粗利)率も10%前後を維持するゼネコンが多い。」(『建設通信新聞』2020.02.14)
●「主要ゼネコン26社の2019年4~12月期決算が13日に出そろった。前期から繰り越した豊富な手持ち工事の消化が順調に推移し、24社が連結ベースで増収となった。完成工事総利益(粗利益)率は公表している24社のうち11社が前年同期を下回ったものの、18社が10%台の高水準を維持した。民間工事を中心に受注競争が激化しつつあり、業績の先行指標となる受注高(単体ベース)は20社が前年同期の実績を下回った。通期の受注高は19社が減少を見通す。」(『建設工業新聞』2020.02.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は、昨年の台風19号で決壊した阿武隈川(宮城、福島県)など7水系で『緊急治水対策プロジェクト』に着手する。国交省と地元都県、市区町村が連携し、ハード・ソフトが一体となった総合的な治水対策を推進。2028年度までに約4213億円を投じ、河道掘削、遊水池や堤防の整備などを展開し、再度災害の防止を狙う。」(『建設工業新聞』2020.02.03)
●「国土交通省が1月31日発表した2019年(1~12月)の新設住宅着工戸数は、前年比4.0%減の90万5123戸と、3年連続で減少した。持ち家は3年ぶりに増加、分譲住宅は5年連続の増加となった。一方、賃貸の減少幅は2桁に達し、全体としては昨年を下回った。90万戸を超えるのは5年連続となる。国交省は昨年10月の消費増税を見越した駆け込み需要の影響は、14年の税率引き上げ時に比べると小さいとしている。」(『建設工業新聞』2020.02.03)
●「物流施設の需要が拡大し続けている。不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)によると、2019年12月末の首都圏の大型賃貸物流施設の空室率は1.1%と、04年の調査開始以来初めて1%台に下がった。19年の新規供給は過去最高を更新したが、人口の集中やネット通販の拡大などを背景に膨らむ需要が供給を上回った。物流施設はほぼ空きがなくなった。」(『日本経済新聞』2020.02.04)
●「厚生労働省は3日、『建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会』に設置した工作物に関するワーキンググループ(WG)の初会合を開いた。1月に公表した対策見直しの中間取りまとめについて、建築物と同様の措置を工作物に適用すべきかを議論した。3月をめどに意見を集約する。…工作物における簡易届出制度のあり方も議論した。中間取りまとめは、石綿含有の有無にかかわらず、▽80平方メートル以上の建築物解体▽請負金額100万円以上の建築物改修――を満たす工事について、工事開始前に事前調査の結果などを労働基準監督署へ簡易な方法で届け出る制度の創設を求めている。」(『建設通信新聞』2020.02.05)
●「国土交通省は6日、ダムの洪水調節に関する検討会を開き、ダムの洪水調節と、異常洪水時防災操作(緊急放流)への移行に伴う情報発信について、2019年の台風19号で明らかになった課題を基に対応の方向性を整理した。事前放流は、ダムによって水位低下量を設定するハードルが高いことが課題となっているため、管理体制や規模などダムごとの実情に応じた設定方法の選択肢をまとめる。」(『建設通信新聞』2020.02.07)
●「マンションの適切管理を促す仕組みができる。国土交通省は修繕費用の積み立てや管理組合の活動を計画通り実施する物件の認定制度を2022年までに創設する。認定物件には税制上の優遇措置などを検討する。老朽化したマンションをそのまま放置しないようにする狙いがある。」(『日本経済新聞』2020.02.09)

その他

●「新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が中国の製造業を直撃している。発生地の湖北省武漢市は素材、自動車、ハイテクと幅広い産業が集まる戦略都市だが、春節(旧正月)休暇前に始まった他省との交通封鎖の範囲は広がっており、企業の休業が長引く恐れが強まっている。物流が滞れば中国全体の生産が低迷し、世界貿易が縮小するリスクが高まる。」(『日本経済新聞』2020.02.04)